改訂された鉄道の耐震標準 と今後の課題 ·...
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本日の講演内容
●平成22年に改定された「鉄道構造物等設計標準(耐震設計)」(耐震標準)について、概要を紹介する
●特に、動的解析を活用した方法の位置づけについて言及する。
●また、東北地方太平洋沖地震以降、いわゆる想定を越えた事象に対する取り扱いが喫緊の課題になっており、耐震標準における考え方について紹介する。
2
■鉄道構造等設計標準「耐震設計」が改訂。平成24年7月に国土交通省より通達。9月に出版
●平成17年度より「耐震設計標準に関する委員会」において改訂に関する審議
委員長 佐藤忠信(神戸学院大学教授)幹事長 澤田純男(京都大学防災研究所教授)
● 平成23年3月末の時点では成案(通達準備中)
● H23.3.11に東北地方太平洋沖地震が発生従来の想定を超える巨大地震(Mw9.0)「鉄道構造物耐震基準検討委員会」を発足させ、この地震に対する設計標準の適用性について検証
鉄道構造物の新しい耐震設計基準
3
(1) 国際標準化機構(ISO)や欧州規格委員会CEN(European Committee For Standardization)を中心とする国際規格の制定の動きが急速に進みつつある
■国際基準への配慮
・ISO2394:General principles on reliability for structures (1998)
・ISO23469 Bases for design of structures --Seismic actions for designing geotechnical works (2005)
(2) 世界的に性能規定化の流れ鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年:国土交通省第151号)も性能規定化
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改定経緯(1)
世界貿易機関(WTO)における「政府調達協定」及び「貿易の技術的障害に関する協定」(TBT協定)により、加盟国の国内規格の基礎として国際規格を遵守することが義務
■地震観測網の整備
兵庫県南部地震(1995)以降、急速に地震観測網が整備された(K-NET, KiK-net)
多数の強震動が記録地震動の予測技術に貢献
●地震による各種データの蓄積
●実験技術の向上による現象解明の進展
●シミュレーション技術の飛躍的向上地震動評価技術構造物の挙動評価技術
■地震工学分野の研究の進展
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改定経緯(2)
●構造物は,建設地点の地形,地盤条件および地震環境等に適した構造を計画するものとする
●地震随伴事象(津波・地表断層変位・余震etc)に関しては未解明な部分が多いので、照査する体系とせず、耐震構造計画で配慮する
●想定する地震動および構造物の重要度に応じて、必要な性能を定めて照査するものとする.
●構造物の性能照査においては,使用目的に応じた要求性能を設定し,適切な照査指標を用いて,要求性能を満足することを照査するものとする.
耐震構造計画
性能照査
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耐震設計の基本
耐震設計
■L1地震動:構造物の建設地点で設計耐用期間内に数回程度発生する確率を有する地震動
H11標準踏襲
●陸地近傍で発生する大規模な海溝型地震●内陸活断層型地震
■L2地震動:構造物の建設地点で考えられる想定される最大級の地震動
構造物の設計耐用期間中に発生する確率は低いが非常に強い地震動
H11耐震標準
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設計地震動
対象とする地盤・構造物の動特性によってL2地震動の対象地震が異なる!
○最大級とは,加速度や震度といった指標を指すのではなく,「対象とする構造物に最大級の影響を与える地震動」である.
●動的相互作用の結果として得られる入力損失効果や逸散減衰効果を期待して、設計地震動の短周期側を実際よりも小さく設定する
●重要度に応じて設計地震動を変化させる
設計地震動
実際の設計計算の際に用いる地震作用を算出する際の基本となるものであり、自然現象としての地震動
よくある
考え方
●入力損失効果等は別途、応答値算定の際に考慮
●重要度は要求性能で考慮
本標準
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耐震設計の基本
注意点
動的解析を実施する場合には、相互作用の影響を考慮できるモデルで行うことが前提となっている!!
安全性構造物の構造体としての安全性
構造物の機能上の安全性
●L2地震動に対して、全体系が破壊しないための性能
●脱線に至る可能性をできるだけ低減するための性能●少なくともL1地震動に対して構造物の変位を走行安全上定まる一定範囲内に留める
復旧性 構造物周辺の環境状況を考慮し,想定される地震動に対して,構造物の修復の難易度から定まる損傷等を一定の範囲内に留めることにより,短期間で機能回復できる状態に保つための性能とする.
10
構造物の要求性能
①要求性能に対して限界状態を設定②構造物または部材が限界状態に達しないことを確認
あらかじめその精度が検証された信頼性の高い方法
限界状態設計法
0.1Ld
Rdi I
I設計応答値
設計限界値構造物係数
Ex) トータルコストを照査指標とした復旧性照査
原則
標準的方法
11
性能照査の原則と方法
●L2地震動は、強震動予測手法に基づき地点依存の地震動として設定することが基本
13
L2地震動の設定
●伏在断層による地震にも配慮
●詳細な検討を必要としない場合は,簡易な手法により設定してもよい(「標準応答スペクトル」の利用)
1) Mw=7.0よりも大きな震源域が建設地点近傍に確認されない場合
1
2) 耐震設計上の基盤面より深い地盤の影響によって地震動の著しい増幅が想定されない場合
2
明確な適用範囲
弓ヶ浜半島 島根半島
(出典:港湾空港技術研究所)
地点① 地点②
日本海 中海
2000年鳥取県西部地震
地点の深部地盤構造の変化によって,地震動が急激に変化
0.0
1.0
0 5 10 15(km)
1500m/s
3200m/s
Vs=700m/s
(km)
地点① 地点②
(吉川他(2002)に加筆)
地盤構造
-90
0
90
0 10 20 30-90
0
90
速度
(cm
/s)
時間 (秒)
地点①
地点②
Max=82kine
Max=18kine
観測記録
地域特性の違いによる地震動の変化
L2地震動を簡易な手法により算定する場合は,あらかじめ妥当性が検証された標準的な弾性加速度応答スペクトルに基づき算定してよい.
スペクトルⅠ Mw=8.0程度の海溝型地震が建設地点より60kmの位置で発生した場合を想定
スペクトルⅡ Mw=7.0程度の内陸活断層が建設地点の直下で発生した場合を想定
既往の観測記録を基に『標準応答スペクトル』設定
15
簡易な手法により設定するL2地震動
0.1 0.5 1 510
50
100
500
1000
5000
10000
応答
加速
度 (g
al)
周期 (sec)
観測記録(地震基盤・深) 非超過確率90% スペクトル II(G1地盤)
0.1 0.5 1 510
50
100
500
1000
5000
10000
応答
加速
度 (g
al)
周期 (sec)
観測記録(地震基盤・深) 非超過確率90% スペクトル I(G1地盤)
マグニチュードMと震源距離Rを補正した観測記録群に対して非超過確率が90%になるように設定した
Mw=7.0、直下 Mw=8.0、R60km
スペクトルⅠスペクトルⅡ
標準応答スペクトル
16
-1000
0
1000
加速
度 (g
al)
max=524(gal)
0 10 20 30 40 50 60 70 80-1000
0
1000
加速
度 (g
al)
時間 (s)
max=944(gal)
○標準応答スペクトルに適合する波形は無数に存在
○過去の観測記録および断層破壊過程を考慮した手法で位相特性をモデル化し,時刻歴波形を設定
○構造物の非線形応答として,危険側の設定となっていないことを確認済
スペクトルI
スペクトルII
標準応答スペクトルの時刻歴波形
17
0 500
130° 135° 140° 145°30°
35°
40°
45°
0
20
40
60km
Mw=8.0を上回る地震が想定される震源域とこれらの震源域から距離60km以内のエリア
130° 135° 140° 145°30°
35°
40°
45°
0 500Mw=7.0を上回る地震が想定される震源域 18
標準地震動の適用が難しい地域①
1) Mw7.0より大きな震源域が近傍に確認される場合1
18
0.1 0.5 1 50.5
1
510
50
周期 (s)
増幅
倍率
サイト増幅特性が大きな地点で観測された記録の例① 新潟県中越沖地震 K-NET柏崎
サイト増幅特性
全国の平均+標準偏差
K-NET柏崎
0.1 0.5 1 550
100
5001000
5000
周期 (s)
応答
加速
度 (g
al)
観測記録の応答スペクトル
標準応答スペクトル(スペクトルII)
K-NET柏崎
標準地震動の適用が難しい地域②
19
0.1 0.5 1 50.5
1
510
50
周期 (s)
増幅
倍率
サイト増幅特性
サイト増幅特性が大きな地点で観測された記録の例② 宮城県北部地震 K-NET牡鹿
簡易な判断基準で地点の地震動特性を適切に評価可能
全国の平均+標準偏差
K-NET牡鹿
0.1 0.5 1 550
100
5001000
5000
周期 (s)応
答加
速度
(gal
)
観測記録の応答スペクトル
標準応答スペクトル(スペクトルII)
K-NET牡鹿
標準地震動の適用が難しい地域②
20
建設地点,K-NET観測点で調査を実施
地震観測 常時微動観測
観測箇所1箇所
(建設地点のみ*)
2箇所(建設地点+
K-NET観測点)
観測時間(目安) 数ヶ月 数時間
観測方向水平2方向
(東西,南北)3方向
(水平2+上下)
データ整理 非常に容易 容易
評価精度 非常に高い 中
調査に供することのできる期間,費用を勘案して調査方法を決定
*) K-NETでは地震記録が公開されているため
サイト増幅特性の調査方法
21
①対象地点、対象震源域の特定
・既存資料に基づき、周辺の震源域を抽出
②対象震源域のパラメータ設定
③対象地点のサイト増幅特性の評価
・計算に必要なパラメータは標準値が全て公開されている
④統計的グリーン関数法による地震動評価
・近傍のサイト増幅特性(K-NET観測点)を使用・地震観測記録もしくは常時微動観測に基づき補正
・計算手法の原理は既に確立済み
強震動予測手法によるL2地震動の設定
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観測点
小断層
L
W
大地震
小地震
小地震の断層変位
変位
時間
小地震の規模
大地震の断層変位
変位
時間
大地震の規模
重ね合わせ
破壊過程の時間的重ね合わせ
断層面状の空間的重ね合わせ
小地震の記録を破壊の時間的・空間的成長に従って足し合わせることで大地震を合成
強震動予測手法によるL2地震動の設定
23
■ごく軟弱な粘性土層およびシルト質土層に生じる強度低下
■地下水位下の砂質土を主体とする土層に生じる地盤の液状化
■液状化に伴う地盤の側方流動
■地盤の動力学特性や地層構成による地震動の増幅
■不整形地盤における局所的な地震動の増幅
注意を有する地盤
25
表層地盤の挙動の算定は,耐震設計上の基盤面で設定された設計地震動を用いて,地盤応答解析による
地点依存の地盤応答解析
●時刻歴非線形解析●GHE-Sモデルと一般化パラメータ
●詳細な検討を必要としない場合に限る「注意を要する地盤」は適用を避けたい
●地盤種別はG0~G7●L2地震に対してはG6,G7地盤が簡易法の適用外
簡易解析法
表層地盤の挙動評価
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動的解析法
●地盤種別を用いるには非常に高度な判断が必要①当該地盤が地盤種別による方法の適用範囲?
・不整形地盤?・層構成により著しい増幅はないか?・特殊な非線形性はないか?
②対象とする地盤が本当に「○○地盤」?③耐震設計上の基盤はどこか?
表層地盤の挙動評価に関する大きな誤解
Q:地盤種別による方法は本当に簡易(楽)なのか?
A:Noです!
●計算のプロセス(計算)が楽なだけ!
アレコレ考えるなら、地盤をあるがままの姿で『動的解析』をする方が遥かに楽では?
これをいい加減に判断してないか?
27
0.1 0.5 1 5100
500
1000
5000
応答加速度
(gal
)
周期(秒)
地盤種別 G1 G2 G3 G4 G5 減衰定数h=0.05
0.1 0.5 1 5100
500
1000
5000
応答加速度
(gal
)
周期(秒)
地盤種別 G1 G2 G3 G4 G5 減衰定数h=0.05
スペクトルⅠ スペクトルⅡ
●地盤が軟弱なほど応答加速度は小さくなる●G3地盤以降では、スペクトルⅠとⅡは同一のスペクトル
地盤の塑性化:地盤のせん断強度以上の加速度を上層に伝えることができない
地盤種別による方法価
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●地盤材料の動力学特性のモデル化
動的解析による方法
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●地盤のモデル化
●地盤の液状化の可能性の有無
(1)非線形モデル(2)弾塑性モデル(3)マルチ・スプリングモデル
(1)水平成層地盤(2)1次元モデル(3)多次元モデル
(1)全応力解析(2)有効応力解析
実務的な非線形モデル(GHE-Sモデル)
-4 0 4-150
-100
-50
0
50
100
150
She
ar s
tress
(kN
/m2 )
Shear strain(%)
-0.1 0 0.1-30
-20
-10
0
10
20
30S
hear
stre
ss(k
N/m
2 )
Shear strain(%)
紡錘型
逆S字型
γ=10-3
γ=10-2
10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-10
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0
0.1
0.2
0.3
G/G
0
Shear strain
h
:G/G0~γ関係 :h~γ関係
従来のモデル
GHE-Sモデル
30
21
1Cx
C
xy
1cos
20
20 1111
1 xccccxC
1cos
20
20 2222
2 xccccxC
Strain γ
従来は一定
今回は歪みとともに変化
2.0
1.5
●骨格曲線
●履歴曲線
Masing則
f
y
r
x
-0.02 -0.01 0 0.01 0.02
-2
0
2
She
ar s
tress
Shear strain
実務的な非線形モデル(GHE-Sモデル)
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6個のパラメータについて標準的な値を設定した
0.001 0.01 0.1 1 10 1000
0.2
0.4
0.6
0.8
1
γ/γ0.5
G/G
0 粘性土 砂質土 砂 礫
0.001 0.01 0.1 1 10 1000
0.2
0.4
0.6
0.8
1
G/G
0
GHE-Sでモデル化し た G / G 0 ~ γ / γ 0 . 5
ばらつきは変動係数0~14%
C1(0) C2(0) C1(∞) C2(∞) C1(1) C2(1)1.0 0.83 0.17 2.5 0.87 1.05
●試験によりモデルパラメータを把握するのが原則●ただし、全ての層で把握するのは実質困難・・・
パラメータの標準値
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構造物の破壊形態を確認する
●プッシュ・オーバー解析
構造物の応答値の算定の目的
■構造物が崩壊に至るまでの過程を粘り強い破壊形態にして構造物全体の脆性的な破壊を防ぐ L2設計地震動を越えたとしても、カタストロ
フィックな被害に直結させない
■復旧の容易な箇所に損傷を集中させる
設計地震動に対する設計応答値を算定
●動的解析:最も合理的な方法
●静的解析:静的な地震作用を設定できる場合
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大きな変更点
■ 動的相互作用の積極的な考慮
■ 精度向上のための改定
①標準的な動的解析モデル
②応答変位法の適用範囲の拡大
③部材モデルの変更(Yb点の導入)④非線形応答スペクトル法の改良⑤液状化地盤の構造物の応答値の算定
設計地震動に対する設計応答値を求めるための解析
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1)表層地盤の設計固有周期Tgが0.5秒以上の場合(G4~G7地盤)
2)表層地盤のN値および層厚が解説表6.4.1の条件に該当する場合
粘性土 砂質土
N値 層厚 N値 層厚
N=0N≦2N<4
2m以上5m以上10m以上
N≦5N<10
5m以上10m以上
G0~G2地盤を除く地盤に建設
される深い基礎においては,地盤の硬軟によらず地盤変位の影響を考慮する
平成11年標準 改訂標準
②応答変位法の適用範囲の変更
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●今後新しい構造形式が開発され,益々慣性力が低減される可能性を考えると,地盤変位の考慮が必須
●例えば、免震基礎など,上部から伝達される慣性力が小さい構造物では,むしろ地盤変位が杭基礎の決定要素
■新形式構造への対応
■G3地盤における基礎の被害事例
●工事中の構造物で,杭基礎のみが構築された状態の杭が損傷(G3地盤)
性能設計を意識した改訂!これまでの“一般的な条件”に捉われないことが重要
■設計の連続性
●G3地盤とG4地盤の設計の連続性●液状化地盤との連続性
②応答変位法の適用範囲の変更(背景)
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Inertial force(Inertial interaction)
Soil deformation(Kinematic interaction)
Mtotal Ma Mg
fu Rsf uuuu sf uu Ru
■幾何学的相互作用 ■慣性相互作用
耐震設計における解釈
地盤・基礎の動的相互作用
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動的相互作用の観点 設計的な観点
慣性の相互作用Inertial interaction
幾何学的相互作用Kinematic interaction
慣性力に対する抵抗Resistance against inertial force
作用としての地盤変位Soil deformation as seismic action on pile
=
=
地盤・基礎の動的相互作用
39
0 1000 2000-20
-15
-10
-5
0
慣性力+地盤変位
深度
(m)
慣性力のみ
0 1000 2000曲げモーメント(kN・m)
0 1000 2000曲げモーメント(kN・m)
大きい死荷重高い降伏震度 低い降伏震度
小さい死荷重
慣性力支配的 地盤変位支配的
壁式橋脚(C/L)・高架橋の事例
40
-0.035 -0.03 -0.025 -0.02 -0.015 -0.01 -0.005 0 0.005 0.01-4
-3
-2
-1
0
1
2
3x 10
4
Rot. angle (rad)
Mom
ent (
kN-m
)
M- at pier bottom
w/LRBOriginal
0 2000 4000 6000
-15
-10
-5
0
Dep
th fr
om th
e pi
le to
p (m
)
Moment (kNm)0 2000 4000 6000
-15
-10
-5
0
Dep
th fr
om th
e pi
le to
p (m
)
Moment (kNm)0 2000 4000 6000
-15
-10
-5
0
Dep
th fr
om th
e pi
le to
p (m
)
Moment (kNm)
免震支承
固定支承
橋脚下端モーメント
地盤変位によるモーメント
慣性力によるモーメント最大モーメント
低減効果低減効果小
免震橋梁の場合の事例
41
基礎各部で地盤変位は異なり、それらの効果は相殺されて、振動し難い
基礎側面の地盤変位はほぼ一様で、基礎は地盤変位合わせて振動する
低振動数Low frequency
高振動数High frequency
有効入力動
入力損失効果とは・・・
42
0 5 10 150
0.5
1
1.5
Frequency (Hz)
Kin
emat
ic d
ispl
acem
ent f
acto
r η
Case2-1 Case2-2 Case2-3
入力の損失効果
●杭径1.0(m)●杭長20(m)●4本杭
Vs,eq=200(m/s)=150(m/s)=100(m/s)
入力損失効果の定量評価
振動数(Hz)
有効
入力
係数
43
10-1 100 101
Frequency (Hz)10-1 100 101
10-1
100
101
102
103
Four
ier a
mp.
(g
al*s
ec)
Frequency (Hz)
10-1 100 101101
102
103
Res
pons
e ac
c (g
al)
Period (sec)
自然地盤 有効入力動Case3-1 有効入力動Case3-2 有効入力動Case3-3
10-1 100 101101
102
103
Res
pons
e ac
c (g
al)
Period (sec)
自然地盤 有効入力動 Case3-1 有効入力動 Case3-2 有効入力動 Case3-3
0 5 10 15 20 25 30 35 40-1000
-5000
5001000
Acc
(gal
)
Time(sec)
0 5 10 15 20 25 30 35 40-1000-500
0500
1000
Acc
(gal
)
Time(sec)
兵庫県南部地震(KOB)
岩手内陸地震(IWT)
KOB IWT IWT
KOB
応答スペクトル
入力損失が構造物の応答に与える影響
44
橋脚の動的解析モデルの例
動的相互作用を考慮できるモデルが必要
自由地盤
構造物
地震動
(例)
入力損失も評価可能
地盤変位による影響も評価可能
不適
設計地震動は、相互作用の影響を考慮できるモデルで行うことが前提となっている!!
45
要求性能
安全性
復旧性
破壊に関する安全性
走行安全性
性能項目
構造物の性能照査のための照査指標の限界値
性能項目 照査指標の例
力,変位・変形
変位・変形
力,変位・変形等損傷,安定,変形
照査指標定量的評価
要求性能,性能項目ごとに設定
要求性能と照査指標
47
破壊に関する安全性
(部材の破壊)
一部の部材が破壊しても構造物全体が崩壊しないことを照査
各部材が耐荷力を失い構造物全体系が破壊に至る挙動を把握できる解析が必要
安全側の割り切り
いずれか一つの部材が破壊したときを構造物の破壊と仮定
部材の破壊:過大な作用により自重等が保持できない状態
現状,変位等による定量化が困難
破壊に対する設計限界値の考え方
48
安全側の割り切り
破壊に関する安全性の設計限界値損傷レベル3限界点
①:ひび割れ発生点
②:コンクリートが圧縮強度に達する点
③:鋼材,又は部材の降伏点
④:曲げ降伏前のせん断破壊点
⑤:軸方向鋼材の座屈開始点
⑥:かぶりコンクリートのはく落開始点
⑦:降伏耐力を維持できる最大変形点
⑧:コアコンクリートの圧壊点
⑨:曲げ降伏後のせん断破壊点
荷重
変位
①
③
④
⑨
② ⑤ ⑥
⑦
⑧
せん断破壊
曲げ破壊
損傷
レベル 1
損傷
レベル 2
損傷
レベル 3
損傷
レベル 4
RC部材・SRC部材の例
破壊に対する設計限界値の考え方
49
損傷レベルの設定 部材の種別を考慮した修復行為の難易性
地中部材
地上部材
修復困難
修復容易柱先行降伏などの配慮
復旧性の設計限界値の例
力学的特性考慮⇒損傷レベル2
周辺環境から修復が容易な場合⇒損傷レベル3を許容
復旧性に対する限界値の考え方
●復旧性は、外的要因(被災後の復旧資材の確保や復旧体制etc)などに大きく左右される
本標準では,修復性以外の要因を別途考慮することを前提に,構造物の修復性に対する力学的な性能項目を定めた
50
(ラーメン高架橋)
構造物の要求性能と損傷レベル,安定レベルの例
構造物の要求性能 復旧性 安全性(破壊)
構造要素の損傷レベル
上層・地中梁 2 3柱 2~3 3
その他の梁 3 3 (4)
基礎の安定レベル 2 3
注意点①
注意点②
地中部材が損傷すると、その修復には柱部材等に比べて膨大な費用が必要。故に、柱等の降伏するように配慮
周辺環境に応じて、部材の復旧性の限界値は変化。Ex)店舗利用や支援物資の搬入路の確保が難しい場合は、限界値を厳しく設定
設計限界値の考え方
51
耐震設計で考慮する大地震(L2地震)
構造物の建設地点で考えられる最大級の地震動
(1)海溝型地震(Mw8.0、断層最短距離60km)(2)活断層型地震(Mw7.0、直下)
標準的には・・・
必ずしも、物理的に発生可能な極限の地震ではない
●地震は非常に大きな不確定性を有する現象●力学的合理性の追求の過程で経済的・社会
的合理性と手を結ぶ
●想定以上の地震が作用する可能性は排除できない
どう対応するか?53
今、求められている事
想定を超える巨大地震災害などの「危機」に対して、破局的な状態の回避と全体系機能の早期回復を可能にする必要性
●国土強靭化基本計画(平成26年6月3日閣議決定)
・人命の保護・重要な機能が致命的な障害を受けず維持・被害の最小化・迅速な復旧・復興
目標
危機耐性 付属資料1-1(3.2)
54
考えられる事象
耐震設計の枠組みと危機耐性の関係
耐震設計
従来の耐震設計で制御可能な事象
耐震設計で制御可能な事象の「補集合」
危機耐性
照査
構造計画
構造的対応
ソフト的対応
●直接的に定義し照査する体系は未整備●本標準では「2.2 耐震構造計画」等でこれを配慮
55
■構造物全体系として脆性的な破壊形態となるのを避ける■構造物への進入路、作業ヤードの確保