搬出間伐における作業システム運用技術の開発搬出間伐における作業システム運用技術の開発...

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搬出間伐における作業システム運用技術の開発 誌名 誌名 高知県立森林技術センター研究報告 = Bulletin of Kochi Prefectural Forest Technology Center ISSN ISSN 13486004 巻/号 巻/号 38 掲載ページ 掲載ページ p. 23-36 発行年月 発行年月 2013年3月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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Page 1: 搬出間伐における作業システム運用技術の開発搬出間伐における作業システム運用技術の開発 誌名 高知県立森林技術センター研究報告

搬出間伐における作業システム運用技術の開発

誌名誌名高知県立森林技術センター研究報告 = Bulletin of Kochi Prefectural ForestTechnology Center

ISSNISSN 13486004

巻/号巻/号 38

掲載ページ掲載ページ p. 23-36

発行年月発行年月 2013年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

Page 2: 搬出間伐における作業システム運用技術の開発搬出間伐における作業システム運用技術の開発 誌名 高知県立森林技術センター研究報告

概要

高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年 3月

搬出間伐における作業システム運用技術の開発

一搬出間伐の作業システムに関する功程調査と改善案の提案一

Development of method to Apply logging system to commercial

thinning

-Investigation of amount of work of logging system on thinning and

Suggestion of improvement planー

渡辺直史、徳久 潔、山崎敏彦、藤本浩平

N aoshi WatanabeラKiyoshiTokuhisa,Toshihiko Yamasaki,Kouhei Fujimoto

新たに高性能林業機械を導入し搬出間伐事業を行う 4森林組合で、作業効率改善を目的とした功

程調査を行った。伐倒から造材集積までの労働生産性は 2.31m3/人目 ""'-'5.94m 3/人目であった。

間伐方法は点状の抜き切りと列状間伐、集材方法はコレクター集材、ランニングスカイライン集材、

単線地引集材、グラップルによる直掴み、造材方法はチェーンソー、プロセッサ一、ハーベスタに

よる造材方法があった。集材を考慮した間伐、機械待機を少なくするための作業配置、現場に適し

た機械の導入等の改善点があった。

キーワード:搬出間伐、労働生産性

1.緒言

本県の豊富な森林資源は成熟が進み、収穫を積極的に行う時期を迎えつつある。収穫方法には皆

伐や搬出間伐等があるが、皆伐は林業の採算性の悪化による更新費用の問題やシカによる食害の恐

れから再造林されずに放棄される可能性がある。搬出間伐はこれらの問題の心配はないが皆伐より

生産効率は悪く、高度な技術を要する。これまで育ててきた人工林資源を活用するためには、効率

的な原木生産が求められるが、地況や林況、路網配置等に応じた作業システムの運用について十分

な技術力を有する事業体は少ない。

本研究では、林業事業体や建設業等からの参入企業等が、搬出間伐作業システムを円滑に導入で

きるようにするため、効率的な作業システムを新たに導入して搬出間伐に取り組む事業体を対象に、

間伐事業や林業普及指導活動などと連携して作業功程の調査と改善案の提示を行った。対象とした

事業体は、芸東森林組合、須崎地区森林組合、幡東森林組合、中村市森林組合の 4事業体である。

以下に各森林組合別に調査結果を記載していく。

2.芸東森林組合

2.1 調査地

室戸市吉良川町地震潰の民有林で行っている搬出間伐の事業地内に調査区を設定した。調査区は

上下を作業道に挟まれた縦長の形状で、樹種はヒノキ、面積は 1,192m2、平均傾斜は 20度、斜面

方位は南東、間伐方法は列状間伐で調査区内に 2列の伐採列を設けた(図 2- 1 )。

-23-

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年 3月

調査区の立木密度は1.443本/ha、平均樹高は 15.7m (12.5"'-' 23.9m)、平均胸高直径は 25.7cm (14.0

"'-'40.0cm)、平均単木材積は 0.413m3 (0.088"'-'0.930m 3)、間伐木は平均樹高 15.9m(13.0"'-' 19.1m)、

平均胸高直径は 25.6cm (16.0"'-' 40.0cm)、平均単木材積は 0.414m3 (0.154"'-'0.930m 3)、間伐率

は本数率、材積率ともに 25.6%であった。

作業システムと使用機械

伐倒はチェーンソーによる下方伐倒、集材はベースマシン 7tのグラップルにウインチを付けた

スイングヤーダによるランニングスカイライン集材、造材は作業道上でチェーンソーにより行った。

スイングヤーダにより作業道まで引き寄せられた木は、一端路肩に預けたままにして(図 2- 2)

その後ベースマシン 7tグラップルにより作業道上に並べられ造材を行った(図 2- 3)。調査区下

方で作業道上に倒れた木はグラップルで、直接掴み路上に並べた(図 2- 4)。

作業は 4人で行い、最初 2人が伐倒を行って残り 2人が下の作業道上に倒れた木の木寄せ、造材、

集積を行った。伐倒が終了すると、この 2人はスイングヤーダによる集材を行った。下の作業道で

の造材が終了した 2人は上の作業道に移動し、スイングヤーダで集材された木の木寄せ、造材、集

2.2

積を行った。

スイングヤーダによる集材の平均集材距離はおよそ 30mであった。

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伐裂列 、/'''~'''-'''>

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スイングヤーダによる集材図 2-2

-24-

調査区図 2- 1

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年 3月

図 2-3 造材状況 図 2-4 グラップルでの木寄せ

2.3 結果と考察

搬出された木材は 10.735m 3で造材歩留まりは 59%であった。伐倒から集積までの 4人の総作業

時間は 16時間 49分 56秒で、 1日当たりの実働時間を 6時間とすると伐倒から集積までの労働生産

性は 3.83m3j人目であった。伐倒の生産性は 32.34m3j人日で l本当たりの伐倒時間は 167秒、ス

イングヤーダ集材の生産性は 8.OOm 3 j人目で lサイクル当たりの時間は架設・撤去の時間を除くと

267秒、架設・撤去の時間を含むと 323秒、造材の生産性は 9.41m3j人日で 1本当たりの造材時間

は 1,085秒であった。

図 2-5に伐倒の要素作業構成を示す。本調査地は全幹集材した後チェーンソーで造材されるた

め、伐倒後の枝払いが後作業として集計されている。 1本当たりの伐倒時間 167秒のうち後作業が

39%、62秒を占めており、全木集材を行うため枝払いの無い他の調査地 1)で l本当たりの伐倒時間

が 150"-'300秒であることと比較すると非常に良い数字と言える。図 2-6にスイングヤーダ集材

の要素作業構成を示す。集材時間のほぼ半分を実搬送が占めている。実搬送の中には、搬送中に切

株にかかり、切株の除去やワイヤーの掛け直し等のために多くの時間を要したものがあり、これら

を除くと集材作業に占める実搬送時間は 35%に低下し、 1サイクル当たりの時間は架設・撤去の時

間を含まない場合 267秒から 180秒へ、架設・撤去の時間を含むと 323秒から 247秒へと大幅に減

少する。図 2-7に造材の要素作業構成を示す。待機時聞が 72%を占めており、大きな時間ロス が

あることが分かる。待機時間を除くと I本当たりの造材時間は 299秒になる。この待機時間は グラ

ップルによる木寄せ時間であり、待機時間を少なくするような作業配置および作業土場の確保が必

要である。

生産性を向上させるための提案として、 1.集材時に支障となる切株が残らないような伐倒をす

ること、 2.待機時間を少なくするような作業配置をすること、が考えられた。

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年 3月

中車両移動

011 33喧 5空軍

図 2-5 伐倒の要素作業構成 図 2-6 スイングヤーダ集材の要素作業構成

本作業

721

図 2ー 7 造材の要素作業構成

3. 須崎地区森林組合

3.1 調査地

中土佐町大野見吉野の民有林で搬出間伐を実施している事業地内に P1、P2の 2カ所の調査区

を設定した。東西南を尾根に固まれた地形で、谷沿いに作業道を開設し作業道終点を作業土場とし

ている(図 3-1 )。樹種はヒノキで谷沿いにスギが混植されている。 P1は面積 O.3362ha、平均傾

斜は 39度、立木密度は 1,279本/ha、平均樹高は 15.4m、平均胸高直径は 21.1cm、平均単木材積

は 0.322rn3、間伐率は本数率 43.0%、材積率 32.3%であった。 P2は面積 O.0533ha、平均傾斜は

34度、立木密度は 1,032本/ha、平均樹高は 14.9m、平均胸高直径は 19.0cm、平均単木材積は 0.237

rn3、間伐率は本数率 49.1%、材積率 32.8%であった。 P1、 P2とも間伐方法は点状の抜き切り

であった。

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高知県立森林技術センター研究報告 第 38号平成 25年 3月

仁コ問地仁コ事業地欄剛山作業滋

3.2 作業システムと使用機械

公選

架線

土壌

図 3- 1 調査区

z gomj

P 1はチェーンソーによる下方伐倒、集材機によるコレクタ ー集材(図 3- 2)、造材は土場で

12 tのプロセッサーにより行った。 P2はチェーンソーによる下方伐倒、 12tのスイングヤーダに

よる単線地引集材と直接木寄せ集材、造材は土場で 12tのプロセッサーにより行った。

作業は 3人で行った。 P1では最初 1人が先行伐倒を行い、伐倒終了後 3人(集材機運転、荷掛、

荷外し+プロセッサー運転)で集造材を行った。 P2では最初 1人が先行伐倒を行い、伐倒終了後

3人(スイングヤーダ運転、荷掛、プロセッサー運転)で集造材を行った。

平均集材距離は P1がおよそ 100m、 P2がおよそ 15mであった。

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成25年 3月

主祭 SKL 搬器 CR

務上げ潔 LFL

YD集材機 lB 祷鯵滑車〈ロージングブロック〉

CB コレクター滑主義

き引漢索r瞳

コレクターCOPL作集繁

ヱンドレス索 εLL

図 3-2 コレクター集材索張り図

3.3 結果と考察

.•.

実働時間 6時間/日として算出した労働生産性は、 P1では伐倒 20.88m 3 j人目、集造材 3.48m 3

/人目、伐倒から造材集積まで 3.00m3j人目、 P2では伐倒 18.90m 3 j人日、集材 5.16m 3 j人日、

造材 35.88m 3 j人目、伐倒から造材集積まで 3.66m3j人目であった。作業 lサイクル当たりの時間

は、 P1では伐倒 131秒、集材 714秒、造材 254秒、 P2では伐倒 125秒、集材 366秒、造材 69秒

であった。

図 3-3に伐倒の要素作業構成を示す。掛かり木の発生率は P1で 35.4%、P2で 26.9犯であり、

この処理に要する時間が l本当たりの伐倒時間に占める割合は P1で 12%、 P2で聞であった。

表 2ー 1は平成 18年から 19年に高知県内で行われた森林整備革新的取組事業の事業地 9事例であ

る 2)。この表でヒノキの定性間伐(点状の抜き切り間伐)の掛かり木発生率は 51犯と 75犯であり本調

査地の掛かり木発生率は高知県内の他事例と比較して低い値と言える。ただし、本調査地は木が小

さいことに加え P1では間伐木の 46%が切り捨てであったことから、伐倒の労働生産性は芸東森林

組合の 3分の 2程度と低い値となったと考えられる。

図 3-4に集材の要素作業構成を示す。 P1の空搬送と実搬送は図 3-2の搬器の移動にかかわ

る要素、 L B空搬送と LB引き込みは搬器から集材木までの LB (ロージングブロック)の移動に

かかわる要素である。 P1では L B引き込みが最も多い割合を占めている。ロージングブロックを

引き込み、搬器に近づいて材が空中につり上がる瞬間に大きく触れて注意を要する状況があった。

これは、今回の架設では主索の高さが集材対象域の高低幅のほぼ中間に位置していたため、集材サ

イクルのおおむね半分で荷掛け位置が搬器より高い位置にあり、下げ荷方向に材を移動させること

に起因するものである。今回の方式では、全ての集材サイクルにおいて搬器の移動距離は同じであ

り、搬器の実搬送中は材が空中に浮いた状態であるため実搬送時間も一定である。したがって、 L

B 空搬送~LB 引き込みまでのロス時間を少なくすることが生産性の向上に重要である。

P 2のその他には、作業場所を確保するためのプロセッサーとスイングヤーダの入れ替えが入っ

ているがわずかな時間であり、機械待機時間も少なく良好な結果と言える。 P2の作業時間を他事

例と比較してみる。後藤 2)は 35度の傾斜地における単線地引と集材時間の関係を 206.2+13. 36X

で示した。図 3-5は他事例と P2を比較したもので、 P2の作業時間は短いことが分かる。集材

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号 平 成 25年 3月

距離 30m以下なら単線地引集材がスラックラインやランニングスカイラインより有利と言われて

いる。 P2は単線地引集材の利点を十分に活かしたと言える。

移動

12% 23%

図 3-3 伐倒の要素作業構成(左: P 1 右 P2)

表 2- 1 伐倒作業における掛かり木発生状況(後藤 (2008)の表-5より)

i舞遺t. かかり 作業事事詩型{分:秒} t生到による水準緩

4縦緩 f免ま4空3淡 例議選通 コド1ft慾3発予審

灘霊草繍効!l2襲会、かり*処湧援費量集作費E

稼業体 司匹 を重量む作* {斜~織の湯会}

定後上方 F.a 54~弘 1:41 2:47 l.o m も1司』 (83弘)

スギ 定後下方 を'F.a 12 ~弘 0:49 2:40 .Um 78も (95も}

タIJt長"Fn ε'H 9性 。:54 1:15 6.5 m 74 ¥ (93弘)

定然よフヲ 75~ 。:40 3:41 1.5 m 66 '¥ ¥85弘1

ヒノキ 定後下15 E.F・1 51 ~ 0:45 2:24 2.3 m 11¥ (94ち}

~J松下方 E 1.0も 。:37 1:17 6.4 m 84¥ (98、}

図 3-6に集材の要素作業構成を示す。 P1では l本当たりの造材時間 4分 14秒のうち機械待

機が 42%の l分 46秒を占める。この機械待機は造材終了後次の材が集材されてくるまでの時間で、

集材速度が造材速度に追いつかずプロセッサーの能力が十分活かされていないことが分かる。 P2

では 1本当たりの造材時間 l分 9秒のうち造材時間が 55%の 38秒を占め、機械待機は無いσP2

ではプロセッサーの能力が十分活かされていることが分かる。

P 2では、生産性、サイクルタイム共に良い数字で、 30m以下の集材距離ではこの方式を続けて

いけばよいと考えられる。 P1では、主素より高い位置に集材区域が広がっ ていたため、 ロージン

グブロックの引き込み作業の難易度が増して作業能率の低下につながっている。インター ロック等

集材機側の対応や伐採列の工夫でこの点を改善すれば、集材効率が上がり造材時の機械待機も減少

するため、生産性の向上につながるであろう。

-29-

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平 成 25年 3月

省外し

17%

その絶1- 空蝉 !

実.送

15%

l6~1込: 23% 21% !

…一一一一知一…………一一一一… …_....._..........-….~_..._.-

右 : P 2) 集材の要素作業構成(左:P 1

o P2

一一線形{健司E例}

100

30

{S寝誼掛

tA示、わ

図 3-4

600

500

4∞

。。08。。s(O

3∞ 200

10 20

集材距緩(m)

。。

単線地引集材のサイクル作業時間の比較図 3-5

5"

右 :P 2)

骨%

造材の要素作業構成(左 P 1 図 3-6

unぺυ

幡東森林組合

調査地

4.

4.1

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年3月

幡多郡黒潮町蛤川の民有林で行っている搬出間伐の事業地内に調査区を設定した。調査区は作業

道を挟んで上下に縦長の形状で、作業道下側を P1 ,上側を P2とした。樹種はヒノキ、 P1は面

積 670m2、平均傾斜 34.5度、斜面方位は南東、間伐方法は列状間伐で調査区内に 2列の伐採列を

設けた。 P2は面積 1,192.m2、平均傾斜 37度、斜面方位は南東、間伐方法は列状間伐で調査区内

に 2列の伐採列を設けた(図 4- 1 )。

調査区 P 1の立木密度は 985 本/ha、平均樹高は 19.5m(12.5.....__23.9m)、平均胸高直径は

29.1cm(18.0.....__ 53.0cm)、平均単木材積は 0.644m 3 (0.215.....__ 2.254 m 3 )、間伐木は平均樹高

18. 7m(12.5.....__ 21.6m)、平均胸高直径は 27.2cm(20.0.....__ 34.0cm)、平均単木材積は 0.538m3 (0. 234""'__

0.864m 3)、間伐率は本数率 30.3%、材積率 25.3%であった。

調査区 P 2の立木密度は 990本/ha、平均樹高は 17.0m(12.6.....__22.3m)、平均胸高直径は

26.7cm(16.0.....__ 38.0cm)、平均単木材積は 0.474m 3 (0.154.....__ 1.072 m 3 )、間伐木は平均樹高

17 .9m(14.0.....__ 21.5m)、平均胸高直径は 28.5cm(18.0.....__34.0cm)、平均単木材積は 0.559m3 (0. 180""'__

1.072m 3)、間伐率は本数率 23.7%、材積率 28.0%であった。

/

図 4-1 調査区 函 4-2 スイングヤーダ集材とグラップルによる木寄せ

2.2 作業システムと使用機械

伐倒はチェーンソーによる下方伐倒、集材はベースマシン 12tのスイングヤーダによるランニン

グスカイライン集材、造材はベースマシン 7tのハーベスタにより行った。 P2で作業道ヒに倒れ

た木はベースマシン 7tのグラップルによる直掴みで作業道上に並べられた。このグラップルに よ

る直掴み集材が全集材材積の半数を占める。スイングヤーダにより作業道まで引き寄せ られた木は、

グラップノレとの連携作業によりにより作業道上に並べられ造材を行った(図 4- 2)。

作業は 4人で行った。 P1では 3人が伐倒を行い、伐倒終了後 3人(スイングヤー ダ、グ ラップ

ノレ、荷掛)が集材、 1人はハーベスタによる造材を行った。 P2では 3人が伐倒を行い、 1名が作

業道に倒れた木の集造材を行った。伐倒が終了すると、 3人はスイングヤーダによる集材を行い、

1人は引き続きハーベスタによる造材を行った。

スイングヤーダによる集材の平均集材距離は P1ではおよそ 24m、 P2ではおよそ 33mであっ

た。

司υ

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年 3月

4.3 結果と考察

搬出された木材は 16.530m 3で造材歩留まりは 63%であった。伐倒から造材集積までの 4人の総

作業時間は 16時間 2分 57秒で、 1日当たりの実働時間を 6時間とすると伐倒から造材集積までの

労働生産性は 5.94m 3 j人目で、比較的良い結果であった。伐倒の生産性は 38.76m 3 j人日で 1本当

たりの伐倒時間は P1が 243秒、 P2が 173秒、スイングヤーダ集材の生産性は 17.41m3j人日で

lサイクル当たりの時間は架設・撤去の時間を除くと P1が 402秒、 P2が 557秒、架設・撤去の時

間を含むと P1が 496秒、 P2が 674秒、グラップル集材の生産性は 48.99m3j人目で lサイクル

当たりの時間は 172秒、造材の生産性は 29.7m 3j人日で l本当たりの造材時間は 256秒であった。

図 4-3に伐倒の要素作業構成を示す。 P1では移動、後作業に時間がかかったことにより P2

より 1本当たりの伐倒時聞が多くなっている。図 4-4にスイングヤーダ集材の要素作業構成を示

す。図中「グラッフ。ル移動Jr木寄せJiグラップル待機Jiその他作業」がグラップル木寄せに関

わる作業で、その時聞が P1では 70%、 P2では 58%と非常に大きな割合を占めている。スイン

グヤーダ集材において、集材木を路肩に預けておくことができなければ木寄せ作業を省くことはで

きないが、本調査地はヒノキであり路肩に預けても滑落の恐れがないため、木寄せ作業を省略する

ことが可能であったと考えられる。また、連携作業であったことにより機械の待ち時聞が発生して

いる。本調査地におけるスイングヤーダ集材の労働生産性は芸東森林組合の 2倍以上であり高い数

字を残しているが、木寄せ作業の省略、連携作業を分離させる等の工夫により更なる生産性の向上

が期待できる。造材は、ベースマシン 7tの機械を使用しているが、木が比較的大きかったことも

あり 12tの機械であればなお良好な生産性であったと推察できる。

本調査地においては単木材積が大きかったこともあり、全ての功程で高い生産性を確保している。

更に、集材材積の半数をグラップルによる直掴みが占めたことも生産性を高めた要因となっている。

集材における作業の工夫、 12tクラスの造材機械の導入を行えば更なる生産性の向上が期待できる。

図 4-3 伐倒の要素作業構成(左:P 1 右 :P 2)

ワuqu

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その健作業

7%

9%

高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年 3月

タラップル移草島

13%

その健作業1弘

図 4-4 スイングヤーダ集材の要素作業構成(左 P1 右 P2)

5. 中村市森林組合

5.1 調査地

荷量ま

9%

四万十市初崎の民有林で行っている搬出間伐の事業地内に調査区を設定した。調査区は作業道の

上下に設定し、作業道より下を P1、上を P2とした。樹種はヒノキ、面積は P1が 1,055m人 P

2が 1,099m2、平均傾斜は 33度、斜面方位は北北西、間伐方法は点状の抜き伐りであった(図 5

- 1 )。

調査区の立木密度は P1が 1,450本/ha、 P2が 1,547本/ha、平均樹高は P1が 16.7m (12 . 5~

21.3m)、 P2が 16.2m(10.5""' 22.2m)、平均胸高直径は P1が 20.5cm(13.9""' 30.0cm)、 P2が

19.0cm (12.0""' 30.0cm)、平均単木材積は P1が 0.291m3 (0.119""'0.660m 3)、 P2が 0.247m3

(0.066""' 0.628m 3)、間伐木の平均樹高は P1が 16.2m(12.5""' 21.3m)、 P2が 15.6m(10.5""'

21.3m)、平均胸高直径は P1が 18.4cm(13.0""' 28.0cm)、 P2が 16.9cm(12.0"-24.0cm)、平均

単木材積は P1が 0.228m3 (0.119""'0.554m 3)、間伐率は P1が本数率 42%、材積率 33%、 P2

が本数率 38%、材積率 29%であった。

5.2 作業システムと使用機械

作業道下側の P1では、伐倒はチェーンソーによる 下方伐倒、集材はウインチ付きグラップルに

よる単線地引集材、ハーベスタによる造材を行った。作業道上側の P2では、 P1と同じ方法の他、

ノ¥ーベスタのアームが届く範囲では伐倒から造材までハーベスタのみで行ったりグラッブルとハー

ベスタのベースマシン重量は 7tであった。作業は 4人で、伐倒 1人、集材 2人、造材 1人で行っ

た。単線地引集材の平均集材距離はおよそ 15mであった。

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年 3月

N

o 5 10 15 20 25 1 1 1,

図 5- 1 調査区図 ×が間伐木 図 5- 2 造材状況

5.3 結果と考察

搬出された木材は P1で 5.735m 3、P2で 3.303m 3、造材歩留まりはそれぞれ 48%、43切であっ

た。 1日当たりの実働時間を 6時間としたときの伐倒から造材集積までの労働生産性は P1で 2.71

m 3/人目、 P2で 2.31m 3/人日であった。伐倒の生産性は P1で 11.23m3/人日、 P2で 10.22m

3/人日で 1本当たりの伐倒時間は P1が 184秒、 P2が 149秒、単線地引集材の生産性は P1で 5.55

m 3/人目、 P2で 4.17m3/人日で lサイクル当たりの時間は P1が 305秒、 P2が 258秒、造材

の生産性は P1で 10.06m 3/人目、 P2で 10.58m 3/人目で l本当たりの造材時間は P1が 190秒、

P 2が 184秒であった。

本調査地は急傾斜ではあったが、集材距離が短く条件は良い方であった。各工程のサイクルタイ

ムは本研究における他の 3組合と比較して短い方であるが、労働生産性は最も悪くなっている。こ

れは単木材積が P1で O.291m3、P2で O.247m3と、最も大きかった幡東森林組合の半分以下で

あったことが最大の要因と考えられる。

図 5-3に伐倒の要素作業構成を示す。 P1では待機時間が多くなっている。待機時間には集材

待ち時間、グラップルによる掛かり木処理のための待ち時間が多く含まれている。先行伐倒を行う

ことや、掛かり木の発生しない伐倒技術を身につけることにより伐倒の生産性を上げることができ

る。図 5-4に集材の要素作業構成を示す。 P1では実搬送時間が多くなっている。 P1は上げ荷

であり、上げ荷の地引集材は集材木の重量に枝と地面の摩擦が加わるため機械のパワーが小さいと

時間がかかると推定できる。今回の調査地は木が小さかったが、地引の功程アップと造林木の将来

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年 3月

の成長も考え大きい機械の導入を行うべきであったと考えられる。図 5-5に造材の要素作業構成

を示す。造材に関してはスムーズに作業ができていると推察できる。

後作業5時

図 5-3 伐倒の要素作業構成(左:P 1 右:P 2)

鎗泊1拡

符.6%

事者"し11"

空鐙送

16"

諸外し

3"

図 5-4 集材の要素作業構成(左:P 1 右 :P 2)

図 5-5 造材の要素作業構成(左 P1 右 P2)

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移動7%

ヨE下"1%

相量事事鰐書量

15%

安置陸送

10%

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高知県立森林技術センター研究報告第 38号平成 25年 3月

6.終わりに

4つの森林組合において、事業現場に調査地を設定して功程調査を実施して問題点や改善点を明

らかにし、各森林組合で勉強会を行い調査結果のフィードパックを行った。今回調査を行った森林

組合は搬出間伐事業を始めたばかりであり、今回指摘した改善点以外にも多くの課題があると考え

られる。今後現場で改善を加えながら生産性を向上させ、搬出間伐事業が大きく伸びていくことを

期待する。

謝辞

本研究に当たって調査地を提供していただいた各事業体および調査や調査結果の解析に協力い

ただいた林業改革課の方々に御礼申し上げる。

文献

1)渡辺直史、山崎敏彦、藤本浩平(2011)、中山間再生のための林業経営システムプランの研究開発、

高知県立森林技術センター研究報告、第 36号、 10・39

2)後藤純一(2008)、傾斜地における高密度路網を活用した間伐材搬出システムの選択、機械化林業、

6 5 8、林業機械化協会、 p.1-6

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