高木学園女子高等学校国語科の、教科で育てたい力げんたん(いいずな書店)...

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高木学園女子高等学校国語科の、教科で育てたい力 国語を学ぶにあたって ○はじめに 皆さんは、 『国語の学習』と聞いて、どのようなことをやればよいか、すぐに答えることができますか。 ある人は「漢字」を多く書けるようにすること、またある人は「語彙(=言葉の意味)」をたくさん覚えるこ となどを挙げるかもしれません。しかし、ほとんどの人は読み、書き、表現するという国語の中心的な学習 をどう進めればよいのか、よく理解できていないのではないでしょうか。それは、「センスがないとできな い」「センスがないから自分はだめだ」などという話を聞くことが、特に『現代文』についてよく耳にする ことからもうかがい知れるところです。同様に、「『英語』や『数学』などは、勉強法がわかるが、『国語』 とくに現代文は、何を、どう勉強すればよいのかがわからない。」そう思っている人も少なくはないようで す。「勉強しなくても、なんとなくできる」と考えている人もいるでしょう。しかし、それらは、根拠のな い思い込みです。 国語の学習とは、まず論理、そして表現法について意識して学んでいくところから始まります。「無意 識」の底に沈んでいるものを「意識化」し、筆者の主張を理解する時も、たとえば試験で問題の答を出す時 も、「なんとなく」考える、勘で答えるのではなく、「根拠をしっかりと意識的にとらえる」ことができるよ うにしていくことが大切なのです。「この表現があるから、これが筆者の最も言いたいことである。」「この 部分があの箇所の言い換えだ。」というように、本文の構造や根拠をしっかりと意識化し、読解する力を身 につけていくこと。これが国語の学習の根幹となるのです。 ○すべての教科の土台となる、現代社会に必要不可欠な国語力 論理的な文章がわかるということは、論理的な文章が書ける、話せるということにつながります。この力 なくして学問を全うすることはできません。そして、国語力とはまず第一に論理力です。すなわち、国語力 =各教科の理解力という関係が成り立つということです。また、現代の社会は、グローバル化、情報化の進 む変化の激しい、価値観の多様化した社会です。相手の主張や思いを正しく明確に理解するため、つまり人 と人とがわかり合い認め合っていくためにも、国語力(=論理力)は必須です。もちろん、国語力のなかに は表現力も含まれます。自分の考えや気持ちを正確に伝え、良好な人間関係を築いていくためには、表現力 の向上も必要不可欠です。論理と表現法を習得し、真の国語力を身につけ、世界に羽ばたいていきましょう。 ○現代文の学習について 伝えたいことを伝えるために、人は文章を書きます。では伝えたいことを、正確に、強いインパクトで、 相手に伝えるにはどうすれば良いのでしょうか。説得力のある文章とはどんな文章なのでしょうか。 文のかたちや文章の構造、修辞法、ことばや言い方(書き方)など、論理と表現法がそこにはあります。そ れらはいったん意識化しないとなかなか習得できないことです。もちろん、基本となる漢字や語彙を身につ けることが大切であることは言うまでもないことでしょう。それらを駆使して文章を読解できるようにする ことが現代文の学習となります。したがって、「現代文は感覚やセンスでなんとかなる科目ではない」とい うことをまずは前提として押さえておきましょう。「なんとなく」では限界があります。文章を漫然と「な んとなく」読むのではなく、論理をしっかりたどり、表現法に着目し、たとえば試験であれば、「なぜその ような答になったのか、どうやってそれを導いたのか」を自分の中で説明できるようにしていきましょう。 ○古典の学習について(古文) グローバル社会。これから皆さんは様々な国、地域の人々と手を携えて生きていかなければなりません。 その際、これはとても大切なことなのですが、自分の国のことを語れずして尊敬されることはまずないとい うことを知っておきましょう。自国の文化、歴史についての教養は身につけていて当然という世の中がもう はじまっているのです。そうです、古文を学習する意味はそこにあるということがわかりますよね。千年以 上前の自国の文芸に通じているということはすごいことで、すべての国の人々にリスペクトされるのですよ。

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高木学園女子高等学校国語科の、教科で育てたい力

国語を学ぶにあたって

○はじめに

皆さんは、『国語の学習』と聞いて、どのようなことをやればよいか、すぐに答えることができますか。

ある人は「漢字」を多く書けるようにすること、またある人は「語彙(=言葉の意味)」をたくさん覚えるこ

となどを挙げるかもしれません。しかし、ほとんどの人は読み、書き、表現するという国語の中心的な学習

をどう進めればよいのか、よく理解できていないのではないでしょうか。それは、「センスがないとできな

い」「センスがないから自分はだめだ」などという話を聞くことが、特に『現代文』についてよく耳にする

ことからもうかがい知れるところです。同様に、「『英語』や『数学』などは、勉強法がわかるが、『国語』

とくに現代文は、何を、どう勉強すればよいのかがわからない。」そう思っている人も少なくはないようで

す。「勉強しなくても、なんとなくできる」と考えている人もいるでしょう。しかし、それらは、根拠のな

い思い込みです。

国語の学習とは、まず論理、そして表現法について意識して学んでいくところから始まります。「無意

識」の底に沈んでいるものを「意識化」し、筆者の主張を理解する時も、たとえば試験で問題の答を出す時

も、「なんとなく」考える、勘で答えるのではなく、「根拠をしっかりと意識的にとらえる」ことができるよ

うにしていくことが大切なのです。「この表現があるから、これが筆者の最も言いたいことである。」「この

部分があの箇所の言い換えだ。」というように、本文の構造や根拠をしっかりと意識化し、読解する力を身

につけていくこと。これが国語の学習の根幹となるのです。

○すべての教科の土台となる、現代社会に必要不可欠な国語力

論理的な文章がわかるということは、論理的な文章が書ける、話せるということにつながります。この力

なくして学問を全うすることはできません。そして、国語力とはまず第一に論理力です。すなわち、国語力

=各教科の理解力という関係が成り立つということです。また、現代の社会は、グローバル化、情報化の進

む変化の激しい、価値観の多様化した社会です。相手の主張や思いを正しく明確に理解するため、つまり人

と人とがわかり合い認め合っていくためにも、国語力(=論理力)は必須です。もちろん、国語力のなかに

は表現力も含まれます。自分の考えや気持ちを正確に伝え、良好な人間関係を築いていくためには、表現力

の向上も必要不可欠です。論理と表現法を習得し、真の国語力を身につけ、世界に羽ばたいていきましょう。

○現代文の学習について

伝えたいことを伝えるために、人は文章を書きます。では伝えたいことを、正確に、強いインパクトで、

相手に伝えるにはどうすれば良いのでしょうか。説得力のある文章とはどんな文章なのでしょうか。

文のかたちや文章の構造、修辞法、ことばや言い方(書き方)など、論理と表現法がそこにはあります。そ

れらはいったん意識化しないとなかなか習得できないことです。もちろん、基本となる漢字や語彙を身につ

けることが大切であることは言うまでもないことでしょう。それらを駆使して文章を読解できるようにする

ことが現代文の学習となります。したがって、「現代文は感覚やセンスでなんとかなる科目ではない」とい

うことをまずは前提として押さえておきましょう。「なんとなく」では限界があります。文章を漫然と「な

んとなく」読むのではなく、論理をしっかりたどり、表現法に着目し、たとえば試験であれば、「なぜその

ような答になったのか、どうやってそれを導いたのか」を自分の中で説明できるようにしていきましょう。

○古典の学習について(古文)

グローバル社会。これから皆さんは様々な国、地域の人々と手を携えて生きていかなければなりません。

その際、これはとても大切なことなのですが、自分の国のことを語れずして尊敬されることはまずないとい

うことを知っておきましょう。自国の文化、歴史についての教養は身につけていて当然という世の中がもう

はじまっているのです。そうです、古文を学習する意味はそこにあるということがわかりますよね。千年以

上前の自国の文芸に通じているということはすごいことで、すべての国の人々にリスペクトされるのですよ。

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さて、古文を正確に読むために必要な力は、①「単語力」、②「文法力」、③「古典常識」、④「①~③の

知識を駆使して総合的に本文を読み解く力」です。

古文を、大ざっぱに単語で分けると、助詞・助動詞が50パーセント、自立語が50パーセント。自立語の

中で、現代語と意味が違っていたり、現代語では無くなっていたりする言葉のうち、頻度の高いものが重要

単語です。この重要単語と助詞・助動詞を理解し(=文法力の一部)覚えさえすれば、古文の90パーセント

は「わかる」ようになります。50+50が100にならないのは、そこに「古典常識」も加わるからです。

古文を理解するのに必要な400語前後の重要単語、9種類の活用型の動詞や形容詞、形容動詞、30個の助

動詞、主な助詞等の文法事項を、「古典常識」とあわせてしっかりと学習し、定着させていきましょう。そ

のうえで、さまざまな古文を読んでいくうちに「本文を読み解く力」もついてくるはずです。皆さんで国際

人としての教養を身につけていきましょう。

○古典の学習について(漢文)

日本が最初に多大なる影響を受けたのが「中国」と称される海の向こうの大陸国家の思想や文化などです。

そして、日本の先人は外国語である当時の「中国語」を、返り点等の記号をつけて、日本語として読める

ようにしました。そのアイディアと工夫には本当に頭が下がります。

さて、その工夫等も含めて漢文とよぶのですが、漢文を理解するためには、その先人の知恵を利用し、さ

らに英語の文法・構文にあたる「句形」と、単語・熟語にあたる「語彙」をマスターすることが必要です。

授業では、「中国古典」を読むことで、文学としてのおもしろみ、思想の多様さと特殊さを味わいます。

「句形」や「語彙」を学習し、さらに、中国の人々の思想や哲学、文化や歴史を学んでいきましょう。

○小論文の学習について

小論文とは、ある命題(「○○は△△である」といった文)についての賛否など、自分の意見を根拠付き

で文章にし、表明するものです。論理力、表現法を駆使して書くことになるので、授業として取り扱うのは

3年生になってからとなります。現代文の授業を通して論理とはどういうものか、表現法とはどのようなも

のか、修得したうえでないと本格的な小論文を書くことはできないからです。書くことについては、1、2年

生から現代文分野の授業の中で基礎的な部分を学んでいきます。自分の意見(=伝えたいこと)を、正確に、

強いインパクトで、相手に伝えるにはどうすれば良いのか、説得力のある文章とはどんな文章か。現代文で

の学習が基礎となるゆえんです。良い文章を書くことが出来るようになりましょう。

○推薦図書・参考書等は、授業内で適宜説明します。

◇小テスト

国語の授業では、全科、「国語総合」「現代文」「古典」の各科目で以下の小テストを実施します。

漢字 漢字検定で2級レベルまでカバーします。普通科ふたまわり、専門科ひとまわり実施

語彙 進学・就職に必須の重要語彙を扱います。普通科ひとまわり、専門科ふたまわり

古文単語 受験の重要単語と敬語表現の習得をめざします。普通科 文系さんまわり、理系ひとまわり

◇アクティブラーニング

国語科では以下のような形でアクティブラーニングを授業に取り入れています。

現代文 ペアワーク、グループワーク、プレゼンテーション

古 典 ペアワーク、グループワーク、発表

小論文 ペアワーク、グループワーク、ディベート

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科目:国語総合(現代文編) 対象: 普通 科 1 年

今年度到達目標

・国語を適切に表現し的確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力を

伸ばし,心情を豊かにし,言語感覚を磨き,言語文化に対する関心を深め,向上を図る態度を育てる。

定期テスト実施の有無

1 学期中間 有 1 学期期末 有 2 学期中間 有 2 学期期末 有 学年末 有

使用教材(主たるテキスト)

国語総合現代文編 三省堂

論理エンジンOS1~2 水王社

使用副教材

新国語総合ガイド、準拠学習課題ノート(京都書房)

げんたん(いいずな書店)

水の東西(評論) ・対比構造を読み解き論旨を正確に追いながら、筆者が述べる 〇「水」をめぐる文化の相違を把握する。

論理エンジン ・OS1 Lv1~5 〇表現活動 ・文書作成の基礎(論理エンジンに含まれる)

げんたん ・小テスト

ありのままの世界は見えない(評論) ・本文の内容理解を図りながら、問題提起、展開、具体例の提 〇示等の、評論の基本構成を学ぶ。

論理エンジン ・OS1 Lv5~10 (適宜、OS2にも取り組む) 〇表現活動 ・スピーチの基本 〇

げんたん ・小テスト

ネットが崩す公私の境(評論) ・インターネットがその利便性の背後で生み出した深刻な問題 〇

を筆者の意見から読み取り、自らの考察に繋げる力を養う。

その子二十(短歌) ・短歌の情景や歌人の心理を読み取る。 〇

論理エンジン ・OS2 Lv11~18(夏期課題の答え合わせ含む) 〇

げんたん ・小テスト

羅生門(小説) ・「下人」および「老婆」の視点を明らかにしながら、「語り手」が 〇構成する作品世界の空間の意味を考える。

論理エンジン ・OS2 Lv19 〇表現活動 ・POP製作 〇

げんたん ・小テスト

マルジャーナの知恵(評論) ・現代評論ならではの「情報」が「商品化」れるという視点を本文を通して理解し、評論文の基本的な読み方の定着を図る。

夢十夜(小説) ・夢語り形式で書かれた作品世界の内容理解、現実の世界とは異なる描写を読み取る。

論理エンジン ・OS2 振り返り、OS3 Lv28 〇

げんたん ・小テスト

※AL欄 : ○・・・アクティブラーニングを取り入れている。

2学期

3学期

期末試験   夏休み  課題:論理エンジンOS2他

中間試験

期末試験   冬休み 課題:論理エンジン誌上講義他

学年末試験

AL

中間試験

学期 教科単元 内容

1学期

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科目:国語総合(古典編) 対象: 普通 科 1 年

今年度到達目標

・様々な古文と漢文に触れ、昔の日本を思い描く。 ・古文と漢文の基礎知識を身につける。

・古文と漢文の基本的な文法を身につけて文章を読めるようになる。

定期テスト実施の有無

1 学期中間 有 1 学期期末 有 2 学期中間 有 2 学期期末 有 学年末 有

使用教材(主たるテキスト)

国語総合古典編 三省堂

使用副教材

新国語総合ガイド 京都書房

みるみる覚える古文単語 いいずな書房

よくわかる新選古典文法 東京書籍

よくわかる新選古典文法ノート 東京書籍

児のそら寝(説話・古文入門) ・歴史的仮名遣いや古文の語彙・文法の基本を学ぶとともに、描か ○れた人間像を理解し、古文の世界に親しむ。

新選古典文法/古典文法ノート ・歴史的仮名遣いを習得する。 ○

みるみる覚える古文単語 小テスト

竹取物語(古文・物語) ・物語の展開を,語句や表現に即して理解するとともに、当時の ○ 習俗について学ぶ。

成句・格言(漢文入門) ・訓点、書き下し文についての基本を身に付ける。 ○

新選古典文法/古典文法ノート ・用言(動詞)を習得する。 ○

みるみる覚える古文単語 小テスト

伊勢物語(古文・歌物語) ・登場人物の心理を,状況や行動に即して理解し,歌の読解と鑑賞 ○

 を通して歌物語の特徴を学ぶ。

新選古典文法/古典文法ノート ・用言(形容詞・形容動詞)を習得する。 ○

みるみる覚える古文単語 小テスト

土佐日記(古文・日記) ・日記文学の意義を知り、表現の特色を学ぶとともに、当時の制度 ○ 風習や旅の様子、作者の心情を理解する。

故事成語(漢文) ・日本においてもなじみのある故事成語について深く学ぶ。 ○

新選古典文法/古典文法ノート ・助動詞を習得する。 ○

みるみる覚える古文単語 小テスト

徒然草(古文・随筆) ・筆者の人間観や自然観、美意識などを読み取りその特色を理解 ○ するとともに、自分自身の考え方を深め、視野を広げる。

新選古典文法/古典文法ノート ・敬語の基礎を習得する。 ○

みるみる覚える古文単語 小テスト

※AL欄 : ○・・・アクティブラーニングを取り入れている。

2学期

3学期

期末試験   夏休み

中間試験

期末試験   冬休み

学年末試験

学期 教科単元 内容

1学期

AL

中間試験