ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策...

41
キュウリ メロン スイカ 小玉 スイカ カボチャ ズッキーニ トマト ミニ トマト ナス ベイナス シシトウ ピーマン パプリカ オクラ イチゴ スイート コーン エダマメ サヤエン ドウ サヤイン ゲン ソラマメ キャベツ ハクサイ ブロッコ リー カリフラ ワー レタス リーフレ タス ホウレン ソウ シュンギ チンゲン サイ コマツナ ナバナ類 ミズナ アスパラ ガス ネギ タマネギ ニラ ニンニク モロヘイヤ 食用ギク ミョウガ セリ 切ミツバ ダイコン カブ ニンジン ゴボウ ジャガイモ サツマイモ サトイモ ナガイモ ツクネイモ 山ウド クサソテツ (コゴミ) モミジガサ (シドケ) ミヤマイラクサ (アイコ) イヌドウナ (ホンナ) フキ ジュンサイ タラノメ ギョウジャ ニンニク 215 ナバナ類 ナバナ類(オータムポエム) アブラナ科 ハウス栽培 栽培型 目標収量 200 kg/100㎡) ハウス 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 播種  ◎定植  収穫 栽培暦 期間に継続して収穫するためのは種適期は9月中旬 である。8月、9月のは種では株が大きくなり、10 月播種では株が小さくなる。ハウスの利用体系を 考えて播種時期を決める。 育苗場所 育苗場所はパイプハウス内とする。 必要床面積 9月播種では400株程度植え付けられるので、 50穴のセルトレイで育苗する場合は、100㎡当た り2㎡程度は種床が必要である。10月播種の場合 は密植となるので、4㎡程度必要である。 播種 播種は50~72穴セルトレイ、ペーパーポット、 ポリ連結ポット等を使用する。各ポットに2~3粒 まく。 発芽率が高いので、多く播種すると間引き作業 が多くかかるばかりでなく、徒長するので注意す る。 間引き 本葉1~2枚時に1本立ちにする。 温度管理 25℃以上の高温になると徒長するので換気を行 う。育苗は、平均気温20℃程度で管理することが 望ましい。8~9月のは種では特に保温する必要は ない。10月播種の場合は、株が大きくなる前の花 芽分化を避けるため、は種期から出蕾期まで不織 布やビニールフィルムで保温する。 水分管理 床土の表面が乾いたら灌水する。水分が多すぎ ると徒長しやすく、根張りも悪くなるので注意す る。 作型の特徴 オータムポエムは低温伸長性が高く、10~15℃ 程度の気温で最も良く生育する。寒さに強く、パ イプハウス等の簡易な施設を利用して、冬期に無 加温で栽培できる。凍結に対しては-13℃まで耐 えられるが、とう立ちした茎は-5℃以下の低温で 裂皮の危険性があるので、不織布で保温すること が必要である。 土質は特に選ばないが、排水は良好なほ場が望 ましい。 労力があまりかからず、技術的にも容易なので、 年間を通した施設の有効利用、特に冬期間の栽培 品目として有望である。 品種と特性 オータムポエム 花芽分化に低温を必要とせず、8~9月には種し てもとう立ちする。主茎の収穫後、一次分枝、二 次分枝が発生するので、長期にわたって継続して 収穫できる。 三陸つぼみ菜よりも低温には弱い。食味は甘み があり、柔らかく歯触りが良い。また、鮮やかな 緑色で、外観も良い。寒さに当たれば当たるほど 味が良くなる。 栽培方法 □育苗 種子の準備 種子量は本畑100㎡当たり4~6ml準備する。 播種時期 播種時期は8月から10月中旬までであるが、冬

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Page 1: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

215ナバナ類

ナバナ類(オータムポエム)アブラナ科

ハウス栽培

栽培型 目標収量

200 (kg/100㎡)

ハウス

8月

中 上 下

9月

中 上 下

10月

中 上 下

11月

中 上 下

12月

中 上 下

1月

中 上 下

2月

中 上 下

3月

中 上

●播種  ◎定植  ■収穫

● ◎ ● ◎

● ◎

栽培暦

期間に継続して収穫するためのは種適期は9月中旬

である。8月、9月のは種では株が大きくなり、10

月播種では株が小さくなる。ハウスの利用体系を

考えて播種時期を決める。

育苗場所

育苗場所はパイプハウス内とする。

必要床面積

9月播種では400株程度植え付けられるので、

50穴のセルトレイで育苗する場合は、100㎡当た

り2㎡程度は種床が必要である。10月播種の場合

は密植となるので、4㎡程度必要である。

播種

播種は50~72穴セルトレイ、ペーパーポット、

ポリ連結ポット等を使用する。各ポットに2~3粒

まく。

発芽率が高いので、多く播種すると間引き作業

が多くかかるばかりでなく、徒長するので注意す

る。

間引き

本葉1~2枚時に1本立ちにする。

温度管理

25℃以上の高温になると徒長するので換気を行

う。育苗は、平均気温20℃程度で管理することが

望ましい。8~9月のは種では特に保温する必要は

ない。10月播種の場合は、株が大きくなる前の花

芽分化を避けるため、は種期から出蕾期まで不織

布やビニールフィルムで保温する。

水分管理

床土の表面が乾いたら灌水する。水分が多すぎ

ると徒長しやすく、根張りも悪くなるので注意す

る。

作型の特徴オータムポエムは低温伸長性が高く、10~15℃

程度の気温で最も良く生育する。寒さに強く、パ

イプハウス等の簡易な施設を利用して、冬期に無

加温で栽培できる。凍結に対しては-13℃まで耐

えられるが、とう立ちした茎は-5℃以下の低温で

裂皮の危険性があるので、不織布で保温すること

が必要である。

土質は特に選ばないが、排水は良好なほ場が望

ましい。

労力があまりかからず、技術的にも容易なので、

年間を通した施設の有効利用、特に冬期間の栽培

品目として有望である。

品種と特性オータムポエム

花芽分化に低温を必要とせず、8~9月には種し

てもとう立ちする。主茎の収穫後、一次分枝、二

次分枝が発生するので、長期にわたって継続して

収穫できる。

三陸つぼみ菜よりも低温には弱い。食味は甘み

があり、柔らかく歯触りが良い。また、鮮やかな

緑色で、外観も良い。寒さに当たれば当たるほど

味が良くなる。

栽培方法

□育苗種子の準備

種子量は本畑100㎡当たり4~6ml準備する。

播種時期

播種時期は8月から10月中旬までであるが、冬

Page 2: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

216 ナバナ類

病害虫対策

9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、

アブラムシが発生するので注意する。

□本畑準備ハウスの選定

アブラナ科野菜であるオータムポエムは、根こ

ぶ病に対して抵抗性がないので、必ず排水性の良

いハウスを選定する。また、排水不良土壌ではナ

メクジの発生が懸念されるため、排水対策は万全

に行う。

土壌改良

作付年数が短いハウスでは、標準量の土壌改良

資材を投入するが、作付年数の長いハウスもしく

は夏作に果菜類を作付けし、土壌改良が十分に行

われているハウスでは施用量を控えめにする。特

に、リンサンは年々過剰になりやすいので注意す

る。土壌診断してから施用量を決めるのが望まし

い。

基肥・耕起

他作目の後作が多いため、必ず土壌診断(EC

測定)を実施してから基肥量を決める(下表参照)。

施肥後、15~20cm程度に深耕する。

【施肥例】

【EC値(電気伝導度)と基肥量の目安】

畝立て

畝幅80~100cmの畝を作り、透明マルチを張る。

この時、灌水チューブも一緒に設置する。通路は

50cm位にする。

□定植植え付け

苗は本葉3~4枚時に植え付ける。

9月中旬に播種した場合は、大株になるので、株

間は35cm間隔の2条植えとする。遅く播種すると

株が小さくなるので、9月下旬のは種で25cm間隔、

10月の播種では20~15cm間隔に植え付ける。

□定植後の栽培管理温度管理

8月播種でもは播種後35日程度で花芽分化する。

播種後、低い温度で管理すると葉数が少ないうち

に花芽分化するので、出蕾期までは20℃前後で管

理することが望ましい。しかし、25℃以上の高温

では軟弱に生育するので注意する。

出蕾期以降はできるだけハウスの換気を図る。

低温に当てることにより甘みと凍結に対する強さ

が増す。

凍結により枯死が心配される温度は-13℃程度

である。また、分枝の裂皮が心配される温度は-

5℃以下である。天気予報で、この気温よりも低く

なることが予想される場合は、二重カーテンや不

織布で保温する。しかし、保温を過度にすると内

部の湿度が高くなり、凍結に対して弱くなるので、

保温は最小限にし、できるだけ採光する。

2月中旬以降はハウス内の気温が高くなるので、

晴天日でハウス内気温が15℃以上になる場合は、

サイドを半開して換気する。

水分管理

灌水は11月までとし、土壌の状態を見ながら随

時行う。12月から2月中旬は凍結防止のため、灌

水を行わない。2月下旬以降は必要に応じて灌水す

る。

内張カーテン トンネル 支柱 240㎝

パイプハウス ポリ 270㎝幅 0.05㎜厚

0.3 1.2 0.6

間口5.4m

(ハウス内の保温方法)

EC値 基肥量

0.3mS/cm以下 標 準 量

0.3~0.5mS/cm 標準量の1/2

0.5~0.8mS/cm 標準量の1/3

0.8~1.0mS/cm 標準量の1/4

1.0mS/cm以上 無 肥 料

成分量(㎏/100㎡)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

1.5

生育の状況を見ながら必要に応じて行う。

1.5 1.5

施肥例(㎏/100㎡)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

苦土重焼燐

緩効性高度化成 あるいは、 有機配合肥料

200

10

4

10

25

(15-15-15)

(6-6-6)

Page 3: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

217ナバナ類

追 肥

追肥は11月まで生育の状態を見ながら行う。12

月から2月中旬は行わない。2月下旬以降は必要に

応じて薄めの液肥などで追肥する。

主茎の摘心

播種期が遅く、主茎の太さが1cm程度の時は収

穫する。

しかし、9月播種の場合は主茎が太くなり、商品

にならないので、抽だいして10cm程度になった時

に摘心する。

摘葉

側枝の発生、発育を促進するため、過繁茂にな

らないようにする。大きな葉は、隣接する株に覆

い被さらないように半分切り取る。また、老化葉

は病害発生の原因になるので摘葉する。

□収穫・調整収穫適期

主茎の収穫は摘心の項を参照する。側枝は次々

に発生するが、次に発生する芽を絶やさないよう

にするため、下部から発生する側枝は基部の1~3

葉残して収穫する。

栽培終了後のほ場管理

残さをそのまますき込むと、後作に根こぶ病や

べと病等の発生を助長する危険性があるので、栽

培が終了したら残さを引き抜き除去する。

□病害虫防除べと病

老化した下葉から発生するので、黄ばんだ葉を

摘葉することで、耕種的に防除できる。

白さび病

被覆資材を使用して、葉が常時濡れているよう

な時に発生しやすい。被覆資材はビニールを使用

せず、不織布にすることで、耕種的に防除できる。

アオムシ、コナガ

9月から11月中旬まで発生するので特に注意す

る。

×印:摘心・収穫 ×印:摘心・収穫

9月中旬播種のハウス内温度管理例

9月:日中の気温で25℃、夜間の気温で15℃ 

を目標に管理する。

10月:10月中旬に出蕾するので、出蕾期以降

は強風の時以外はハウスサイドを全開

して換気する。

11月:強風、特別な寒波の時以外はハウスサイ

ドを半開して換気する。

12月:ハウス内気温が15℃以下の場合は密閉

するが、晴天日で15℃以上になる場合は

サイドを半開して換気する。

厳寒期:-5℃以下の気温となる地域では二重

カーテンや不織布のトンネル、べたがけ

で保温する。日中、寒気が緩み、凍結の

恐れのない場合は保温資材を外して、で

きるだけ採光する。

2月中旬以降:外気温は低いものの、日差しは

強くなる時期なので、ハウス内の気温が

高くなる。晴天日で15℃以上になる場合

は、サイドを半開して換気する。

Page 4: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

218 ナバナ類

ナバナ類(三陸つぼみ菜)アブラナ科

ハウス栽培

目標収量

200 (kg/100㎡)

ハウス 無加温

●播種  ◎定植  □□収穫

~ ◎ ~ ◎

● ●

● ●

栽培型 下

9月

中 上 下

10月

中 上 下

11月

中 上 下

12月

中 上 下

1月

中 上 下

2月

中 上 下

3月

中 上 下

4月

中 上

栽培暦

作型の特徴ナバナの発芽適温は20℃前後で比較的冷涼な気

候を好む。生育適温も同様だが、低温に強く、乾

燥にも比較的強いため、栽培しやすい。三陸つぼ

み菜は寒さに強く、パイプハウス等の簡易な施設

を利用して、冬期でも無加温で栽培できる。オー

タムポエムよりも低温に強く、土質も特に選ばな

いため、県内全域で栽培が可能である。ただし、

排水は良好なことが望ましい。栽培は労力があま

りかからず、また、技術的にも容易なので、年間

をとおした施設の有効利用、特に冬期間の栽培品

目として有望である。

品種と特性三陸つぼみ菜

低温伸長性が高く、10~15℃程度の気温でも良

く生育する。オータムポエムに比較すると、花芽

分化に必要な低温の要求量が多いので、とう立ち

した茎葉の収穫は2月以降となる。但し、かき葉を

収穫出荷する場合は12月以降から随時可能であ

る。

冬期の寒波の時は凍結するが、凍結に対する強

さは-15℃程度と考えられる。しかし、とう立ち

した茎は-10℃以下の低温時には茎が裂皮する危

険性があるので、不織布等での保温が必要となる。

食味は甘味と独特の風味をもち、柔らかく歯ざ

わりが良い。生育時にはキャベツのように少々灰

色がかっているが、ゆでると美しい緑色になる。

寒さに当たればあたるほど味が良くなり、早春の

旬の野菜として人気がある。

栽培方法

□育苗種子の準備

種子量は本畑100㎡当たり12ml準備する。

播種時期

播種時期は9月中旬から10月下旬までに播種す

る。9月播種では株が大きくなり、10月播種では

株が小さくなるため、ハウスの利用計画を考慮し

て播種時期、栽植密度を工夫するとよい。

育苗場所

育苗場所はパイプハウス内が望ましい。

9月播種では400株程度植え付けられる。50穴

のセルトレイで育苗する場合は本畑100㎡当たり

2㎡程度の播種床が必要となる。

10月播種では密植となり、育苗管理、定植の労

力面から直播が有利である。100㎡当たり4㎡程度

の播種床が必要となる。

播種

播種は50~72穴セルトレイ、ペーパーポット、

ポリ連結ポット等を使用する。各ポットに2~3粒

播く。発芽率は高いので、多く播種すると間引き

作業が繁雑で労力が多くかかる他、徒長しやすく

なるので注意する。

間引き

本葉1~2枚時に1本立ちにする。

温度管理

25℃以上の高温になると徒長しやすくなるた

め、充分に換気を行う。なお、9月から11月にか

けては特に保温の必要はない。

水分管理

床土の表面が乾いたら灌水する程度とする。多

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

219ナバナ類

灌水すると、徒長しやすく、また、根張りが悪く

なるので注意する。

□本畑の準備ほ場の選定

三陸つぼみ菜はアブラナ科野菜であり、根こぶ

病に対する抵抗性がないので、根こぶ病の発生し

ないハウスの選定が必要である。また、過湿環境

下ではナメクジの発生が多くなるので、排水対策

に心がける。

土壌改良

土壌改良資材の施用は、作付け年数が少ないハ

ウスでは標準量を施用しても良い。但し、作付け

年数が長いハウスや、夏作に果菜類等を作付けし、

土壌改良が十分に行なわれているハウスでは施用

量を控えめとする。特に土壌の表面に白い粉が析

出しているようなハウスではマグネシウム、カル

シウム等塩基類が過剰であり、土壌診断してから

土壌改良資材の施用量を決めるようにする。

施肥

土壌診断の結果から施肥量を決めることが望ま

しい。基肥を施肥し、15~20cm程度で耕起する。

【施肥例】

畝立て

畝幅80~100cmの畝をつくり、灌水チューブを

設置し、透明マルチでマルチングする。通路は

50cm程度は必要である。

□定植苗は本葉3~4枚時に植え付けする。

9月中旬に播種した場合は、大株になるので、栽

植密度は35cm間隔の2条植えとする。

播種時期が遅くなる程株が小さくなるので、9月

下旬の播種では25cm間隔、10月の播種では20~

15cm間隔とする。

□定植後の管理温度管理

花芽分化には低温が必要なのでハウスの換気を

充分にとり、必要な低温量が確保できるようにし、

高温とならないように管理する。

温度管理の目安

10月:強風の時以外は、ハウスのサイドを全開に

して充分に換気する。

11月:強風、特別な寒波のとき以外は、ハウスの

サイドを半開して換気する。

12月:ハウス内の気温が15℃以下の場合は密閉

するが、晴天日で15℃以上になる場合は

サイドを半開して換気する。

厳寒期:寒さに馴らすと凍結に対する強さが増す

ので、出蕾期以降は寒さにあてる。

凍結により枯死が心配される温度は-

13℃程度である。また、分枝の裂皮が

心配される温度は-5℃以下である。こ

の気温よりも低くなることが予想される

場合は、2重カーテンや不織布で保温す

る。しかし、本県は日射量が少ないので、

保温を強化すると内部の湿度が高くな

り、凍結に対して弱くなるので、保温は

必要最小限にする。日中、寒気が緩み、

凍結のおそれのない場合は保温資材をは

ずしてできるだけ採光する。

2/中~:2月中旬以降は外気温は低いものの、日

差しは強くなるのでハウス内の気温が

高くなる。晴天日で15℃以上になる

場合はサイドを半開して換気する。

水分管理

灌水は11月まで、土壌の状態をみながら行う。

土壌が過湿だと凍害が発生しやすいので、12月か

成分量(㎏/100㎡)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

1.5

※追肥は生育の状況を見て行う

1.5 1.5

0.3 0.3

施肥例(㎏/100㎡)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

高度化成

有機配合肥料

200

10

4

25

2

(6-6-6)

(16-10-14)

肥 栽植様式の例

↓カーテン(内張り)

[㎝] │ │ │ │ │ │ │ │← → ←120→ ← → ← 120 → ← → ← 120→ ← →

30 60 60 30

Page 6: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

220 ナバナ類

ら2月中旬は灌水を控え、凍結を防止する。2月下

旬以降は必要に応じて灌水する。

追肥

追肥は11月まで生育の状態をみながら行う。12

月から2月中旬は行なわない。2月下旬以降は必要

に応じて追肥する。基肥を施用する際に、測定し

た土壌の肥料分がチッソ成分で100㎡当り2kg以

上ある場合は、追肥の必要はない。

主茎の摘心

播種期が遅く、主茎の太さが1cm程度の時は収

穫する。しかし、9月播種の場合は主茎が太くなり

過ぎ、商品にならないので、抽たいした主茎が

20cm程度になった時にピンチする。

摘葉

側枝の発生や発育を促すため、摘葉して過繁茂

にならないようにする。大きな葉は隣接する株に

覆いかぶさらないよう半分に切り取る。また、老

化葉は病害発生の原因になるので摘葉する。

□収穫・調整収穫適期

茎葉の長さが25cm程度となったら分枝の基部か

ら収穫する。主茎は出荷できる1cm程度の太さの

場合には収穫するが、9月播種では太くなり過ぎる

ため、早めに摘心する。

栽培終了後のほ場管理

残さをそのまま鋤き込むと、後作に根こぶ病や、

べと病等の発生を招く危険性があるので、栽培が

終了したら残稈を引抜き除去する。

□病害虫防除べと病

気温の低い時期で降雨日が多い時や過湿条件で

発病する。発病適温10~15℃。下葉から発生し始

め、暗緑色から淡黄色の不整形な病斑となり、裏

側にカビが生える。過湿条件や密植、肥切れでは

発病しやすいので注意する。

また、老化した下葉から発生するので、黄化し

た葉を摘葉することで、耕種的に防除できる。

白さび病

葉の裏側に蒼白色のカビを生じ、次第にひび割

れ、表面に白色の粉状物を形成する。気温10℃前

後の多湿条件下で発病が多くなる。被覆資材を使

用して、葉が常時濡れているような時に発生しや

すく、窒素過多の条件で発病しやすい。排水対策

や日中の換気を充分に行うこと、また、被覆資材

を不織布など通気性の良い資材にすること、過繁

茂や窒素過多を避けることで耕種的に防除できる。

根こぶ病

生育の悪い株や晴天時に萎凋する株を抜いてみ

ると根にコブが観察される。ネコブセンチュウの

コブとは大型で表面が滑らかな事から区別できる。

病原菌は寄生植物が居ない条件でも4年以上、湛水

状態でも1年7ヶ月以上生存するため、発生ほ場で

はアブラナ科野菜の連作を避ける。

最適発病条件は18~25℃であるが、過湿条件で

は発病しやすく、高畝が望ましい。また、気温が

低くなってから播種したり、石灰資材を投入して

pHを高める等で発病を軽減できる。

コナガ

気温が低くなると発生は少なくなるが、9月に播

種する作型や暖冬時には発生しやすい。

被覆資材や防虫ネットの設置で成虫の侵入を防

ぐことで耕種的に防除できる。発生時にはナバナ

類の適用がある薬剤で防除する。

主枝摘心

収穫茎

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

221ミズナ

ミズナアブラナ科

ハウス栽培

目標収量

夏まき (120kg/100㎡) 秋冬まき

(200kg/100㎡)

ハウス 子株どり (直播)

●播種  ■収穫

● ●

● ●

栽培型 上 中 下

1月

上 中 下

2月

上 中 下

3月

上 中 下

4月

上 中 下

5月

上 中 下

6月

上 中 下

7月

上 中 下

8月

上 中 下

9月

上 中 下

10月

上 中 下

11月

上 中 下

12月

栽培暦

ほかのアブラナ科野菜に比較して土壌条件はあ

まり選ばないが、砂質土のほうが収穫・調製が容

易にできる。

土壌改良・施肥

全量基肥とする。ミズナは胚軸部が弱いため、

塩類集積土壌では胚軸の基部から倒れる立枯れ様

症状を呈することもあるので、土壌の塩類濃度を

EC0.8前後に調整する。

【施肥例】

畝立て

120cmの平畝(通路30cm位)を作る。

播種

10a当たり4~6dlの播種量である。

播種する前に、スミサンスイ等の灌水チューブ

で1時間程度、または、頭上灌水で20分程度灌水

し、1~2日程度置いて適当な水分状態になってか

ら播種をする。

播種後すぐに灌水を行い、発芽を揃える。本葉

作型の特徴従来は晩夏から播種し、苗を定植して降霜後に

大株を収穫する露地栽培が行われていたが、近年

は、分げつさせずに200g程度の小株どりを行う施

設栽培が多く行われている。小株どり施設栽培で

は、夏期では播種後30日で収穫が可能であり、年

4~5回の連作が可能であるが、9月~10月上旬播

きの10月~年内収穫、3~4月播きの5~6月収穫

が栽培しやすい。

栽培方法は、直播と移植栽培があるが、作業の

手間や経費を考えると、直播で間引きなしの栽培

が一般的である。

抽だいは、他の漬け菜類と同様に、低温で花芽

分化が促進され、その後の温度上昇で抽だいする。

特に、発芽時や子葉展開時の低温で著しく花芽分

化が促進されるので、冬期に播種する場合は、保

温対策が必要である。

品種と特性早生千筋京水菜

鮮緑色の細葉で葉縁に多数の欠刻があり、小~

中株採り(まくり菜)の周年栽培可能な早生種で

ある。抽だい性は、中程度である。

京みぞれ

株張りにすぐれ、小株どりに適した周年栽培可

能な早生種である。抽苔は一般の早生水菜と同じ

程度である。

栽培方法

□直播栽培本畑準備

成分量(kg/a)

チッソ リンサン カリ

基肥(夏)

基肥(秋冬)

0.7

1.0~1.5

0.7

1.0~1.5

0.7

1.0~1.5

施肥量(kg/a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

BMようりん

高度化成

200

10

5

5

(12-17-12)

Page 8: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

222 ミズナ

が1~2枚展開する頃に再度灌水を行い、初期生育

を早める。その後は、灌水量を徐々に減らし、収

穫時は土壌水分がやや乾燥した状態にする。

栽植様式

株間6~8cm(秋冬播き:5~6cm)、条間20~

25cm(秋冬播き:15~20cm)で1粒播きとする。

高温期では、粗植にすることで、密植による軟弱

徒長を防ぐ。

□移植栽培育苗

早春どり栽培では抽苔の回避やハウスの栽培回

転数アップのため、秋冬どり栽培では夏秋期の果

菜類(トマト、ナス等)や花き類栽培後のハウス

利用のため、トレイ育苗による移植栽培が有効で

ある。ただし、抽苔回避のためには温床育苗を行

い、最低気温が13℃より下がらないように保温に

努め、日中は25℃以上にならないように換気し、

根張りのよいガッチリした健苗に仕上げる。トレ

イのサイズは200穴セルトレイに1穴1粒播き、も

しくは128穴ペーパーポットに1穴2粒播きが標準

である。

定植

マルチを行い、栽植様式は直播栽培に準じる。

□播種後・定植後の栽培管理灌水

「水入菜」と呼ばれていたほど、ミズナの場合

は水管理が重要であり、やや多めの水分条件を好

む。乾燥条件で生育が遅延すると、アブラナ科野

菜特有の辛味成分が出てくる。ただし、高温期の

生育後期には、過湿による軟腐病が多発すること

があるので注意する。

温度管理

生育適温は10~23℃で、低温により花芽分化を

促進させるので注意が必要である。12月から2月

に播種するパイプハウス栽培では、本葉3枚となる

までは、抽だい防止のため、外張りビニール2重被

覆、不織布によるべたがけ等で保温に努める。特

に生育初期の低温は花芽分化を促進するので注意

する。また、暖かな日はハウス内の換気をして、

軟弱徒長を防ぐ。(25℃を目安とする)

遮光

夏期は高温障害により葉焼けが発生しやすいの

で、遮光資材を用いて適宜遮光を行う。

□収穫・調整収穫適期、品質保持対策

草丈30cm位から収穫を開始する。収穫後は、急

速に品質が低下するので、枯葉や傷んだ葉等を丁

寧に除去し、袋詰めを行う。

□病害虫防除コナガ、キスジノミハムシの食害を受けやすく、

被害にあうと商品価値をなくす。適用薬剤も少な

いため、被覆資材の利用と収穫残さのほ場外への

持ち出し等で対応する。また、胚軸部が弱いため、

株元より病害が発生しやすいので、土壌水分管理

が重要である。

コナガ

葉裏から円形または不規則な形に小さく葉肉だ

けを食害し、葉おもての表皮を残すためすけてみ

える。

孵化直後の幼虫は薬剤に比較的弱く、老齢にな

るほど防除効果は劣るので、初期防除の徹底を図

る。また、寒冷紗などによる被覆は、コナガの侵

入防止効果がある。

キスジノミハムシ

葉一面に、成虫による1mm以下の円形のゴマ症

状になった食痕が現われる。食痕は、葉が生長す

ると不規則な裂孔となる。被害葉付近には、体長

2mm前後の左右に黄色の長い条紋のある黒い甲虫

がいて、ノミのように跳ねるので、他の害虫と区

別ができる。

寒冷紗などによる被覆は、コナガと同様に侵入

防止効果がある。

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

223アスパラガス

アスパラガスユリ科

露地長期どり栽培

栽培型 上

1年目

2年目

3年目以降

中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中

3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月

下 目標収量

1,000 (kg/10a)

◎ ●

栽培暦

作型の特徴アスパラガスは作期を通して地上部の『ぎ葉』

で光合成した養分をいったん『貯蔵根』にため込

み、その後、その養分を利用して若茎が萌芽して

くる。

栽培期間中はいかに効率よ

く立茎し、若茎を萌芽させて

いくかが収量に直接影響して

くる。

収穫時期別には春どり作型

の萌芽は、前年の株の養成状

況に大きく影響を受ける。そ

のため、当年施用の肥料、資

材の影響をほとんど受けない。

夏どり作型の萌芽は、立茎

の光合成の効率に大きく影響

を受ける。適切な、養水分の

供給による茎葉の維持、拡大

によって光合成能力が高まり、

養分供給が潤沢に行われる。

その結果、若茎の萌芽による

消費とのバランスがとれ、収

穫が継続される。

グリーンアスパラガスは春

の収穫が終了する6月下旬頃か

ら高値になるのが一般的であ

る。露地長期夏秋どり栽培は、

春収穫後も立茎して光合成を

させながら7~9月にかけて収

穫を続け総収量、収益を高め

ることを目的とした作型であ

る。

早生系品種を利用し、適切な管理を行うことに

より2年目から夏芽の収穫が可能であるため、従来

の春どりの作型よりも格段に収益性の高い作型で

ある。

時期別の養分の動き

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224 アスパラガス

アスパラガスの土壌応性は広いが、耕土層が深

く、排水の良いことが必須条件である。

品種と特性バイトル

耐寒性が強く、初期生育の旺盛な極早生系一代

交配種。若茎色は濃緑でアントシアンの発生が少

なく、フザリウム菌やさび病に対して耐病性があ

る。

ウエルカム

雄株率がほぼ85% の早生系一代交配種。若茎色

は濃緑で、フザリウム菌やさび病に強い。休眠時

間も短く、促成栽培の品種にも用いられる。

栽培方法

■1年目の管理□育苗準備ペーパーポットまたはセルトレーを用いトンネ

ル又はハウス内で育苗する。

必要株数は10a当たり1,852~1,360株(畝間

180~210cm、株間30~35cmとして)、成苗率を

85%程度として播種する。

種子量

0.6~0.8dl 3,200~3,500粒/1dl(品種によ

り異なる)

床土量

床土量は約120L(覆土分を合む:セルトレーの

場合は128穴で床土量は約半量)を準備する。床

土は無病な原土と完熟堆肥を7:3の割合で混合

し、この床土120L当り苗床肥料0.5kg、てんろ石

灰1.0kg、ようりん1.0kgを加えてpH6.0~6.5に

調整する。

苗床

苗床面積は、本畑10a当たり2㎡必要。床幅

120cm、長さ3m、高さ3cmの平床とする。根が

土中に入り込まないよう床の底面に有孔ポリや不

織布を敷く。水稲育苗箱13枚にペーパーポット

162穴(3.6×5cm162穴)を展開、固定し、床土

を詰め、播種前に十分灌水し、ポリ等で覆い地温

を高めておく。(目標地温25~30℃ )

□播種種子予措

種子をガーゼ等で包み、30~34℃ の温湯に2

昼夜浸潰し、種皮を破る(魔法瓶等を利用して保

温する方法もある)。種子の皮が厚過ぎて発芽が悪

い場合は、袋に種子と砂を一緒に入れ、少し挟む

ようにして種子の表面に軽く傷を付けるようにす

ると吸水、発芽が良くなる。発芽に際しては酸素

を必要とするため、沸騰した湯を冷まして使わな

いようにする。更に、温湯は1日ですぐ黒く汚くな

るので、1日毎に交換する。

播種方法

ペーパーポットに深さ1cm、直径1cm位の穴を

開け、種皮が破れた種を1粒づつ播き、覆土する。

その後軽く鎮圧し、温水で灌水する。発芽までは

濡れ新聞紙等で覆い、乾燥を防ぎ、ポリエチレン

フィルムをかけ地温を確保する。

□育苗管理発芽までの地温は25~30℃、発芽後は20~

25℃とし、発芽が揃うまでは土壌を乾燥させない

ようにする。土の乾燥程度により適宜灌水するが、

ペーパーポットは外側が乾燥しやすいので、外側

の箱の周りを土で覆うとともにきめ細かな灌水に

努める。発芽揃い後は苗立枯病の防除を行う。

育苗目標

育苗日数40~50日、草丈15~20cm、茎数1~2本

□本畑準備アスパラガスは多年性のため、植付ほ場は排水、

日当たりの良いほ場を選定し、畑地の土壌改良は

定植前に重点をおき、定植後は毎年の畝間の浅い

中耕と、数年毎の畝間の深層改良によって行う。

土壌改良資材は、土質や改良する深さなどにより

加減する。

全層改良方法

新植時に行う基本的な改良で、土壌の物理性と

化学性の改良を目的に行う。

深耕ロータリー等で深さ約40cm位を目標に深耕す

る。

同時に完熟堆肥、土壌改良資材を深耕改良する

深さに見合う量施用し、全層によく混和する。

○ 有効土層の深さ:40cm 以上

○ 地下水位:50cm 以下

○ pH( H2O):5.5 ~ 6.5

○ EC(1:5):0.2~0.6 mS/cm

土壌改良の目標

Page 11: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

225アスパラガス

□定植作業畝立て・マルチ

深耕、施肥終了後、ドライブハロー等で表層を

耕起し、水分状態も含め、土が落ち着いてから雑

草発生防止も兼ねて黒マルチを行う。

栽植密度

畝幅:180~210cm 、株問:30~35cm

(10a当り1,852 ~1,360株)

将来ハウス又はトンネル被覆を行う場合は、ハ

ウス等を設置しやすいように、あらかじめ畝の間

隔を考慮する。

定植

アスパラガスの根元を見て、新芽が畝と平行に

一定方向に進むように植付ける(南北畝の場合は

南向き)。

根鉢程度の植え付け深さとし、深植えしない。

マルチの縁は覆土をしてバタつかないようにする。

定植後に茎枯病や株腐病の防除を兼ねて薬剤散布

を行う。

□定植後の管理定植1月後までの管理

活着までは1株毎にこまめに灌水を行う。

定植1月後にマルチ穴の除草と穴の周りに速効性

の化成肥料の追肥を行う。施用量は窒素成分で

2kg/10a程度とする。以降生育状況を勘案して、

8月上旬頃まで数回行う。

定植1月以降の管理

萌芽の促進

若茎の萌芽が進むと、マルチ穴の周辺からも萌

芽が始まるので、適宜マルチ穴を広げ、萌芽を妨

げないようにする。

生育促進のために適宜灌水を行い、干ばつ傾向の

時は液肥の灌注も有効である。

8月頃になり、萌芽が進んで15本程度茎数があ

る場合は、早く萌芽した古い茎や病斑や食害のあ

る茎を中心に適宜切除し、太い茎の萌芽を促す。

ネットを設置している場合は30~50cm程度に設

置し、それ以下の草丈の茎は切除するが、草丈と

全体のバランスを考慮して切除し、切りすぎに注

意。

灌水

無降水日が続く場合は適宜灌水を行う。特に盛

夏期のみならず、定植期から7月下旬までの茎数確

保が8月下旬からの太い若茎の萌芽を促すため留意

する。秋期の萌芽が少い時期も灌水を行い株の充

実とりん芽の発生を促す。

支柱の設置

茎の倒伏が見られる前に支柱を立て誘引する。1

年目は株を中心に幅20cm、間隔360cmに立てる

が、フラワーネット等を使う場合は最初から支柱

幅30~45cm程度、間隔180cmで行い、適宜若茎

を振り分け混みすぎない様にする。なお、支柱は

高さ180cm以上の物を用いる。ネットは徐々に高

くするようにし、最終的には株の状況を見て草丈

の1/3程度の高さに張り、茎葉の倒伏、垂れ下がり

を予防する。

雑草防除

1年目の防除が2年目以降の雑草発生に大きな影

響を与えるので徹底した防除が必要である。特に、

スギナのほ場内への進入と秋冬期の除草の徹底に

留意する他、中耕除草による畝間の除草も怠らな

いようにする。

病害虫防除

病害虫の発生を見た場合は適宜防除を行う。特

に、8月以降に病害虫の発生が多くなるが、6月下

旬、7月下旬、8月下旬、9月中旬を重点防除時期

として茎枯病、斑点病防除を徹底する。

茎葉刈り取り後に株元を中心に火炎バーナーで

焼き土処理を行い、残さに付いている病原菌、虫、

卵等の焼却を行う。また、殺菌剤、殺虫剤の株元

(kg/ 10a):定植時 【全層改良施肥例】

(耕深40cm 全面改良、作条施用は幅50cmを想定)

全面 施用

作条 施用

肥料名 総量 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

キングシェル

ようりん

肥効調節型高度化成

緩効性高度化成

FTE

20,000 以上

20,000 以上

400

200

300

40

2060

40

2060

(ようりん除く)BM苦土重焼燐 300

300

300

(12-16-14)

N-13.8

P-15.4

K-14.6

(15-15-15)

200

400改

Page 12: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

226 アスパラガス

散布を行う。

茎葉の刈り取り

刈り取り時期は、11月に入り降霜に1~2回遭

遇し、茎葉が70~80%黄化してから開始する。ブ

ッシュカッター等で、なるべく地際から刈り取る。

刈り取った茎葉は束ねてほ場外へ持ち出し、病害

や野その隠れ場所を作らないようにする。

土寄せ

次年度の立茎後のグラツキ防止と早期萌芽の防

止(晩霜対策)を目的に、株元へ5~7cm培土を行

う。出来なかった場合は次年度萌芽前に行う。

野そ対策

殺そ剤や忌避剤を新しいねずみ穴に投入する。

薬剤投入時は体臭をつけないように手袋を使用し

て行う。また、石灰窒素を根雪直前に3~4袋全面

散布する。

■栽培管理(2年目)融雪

4月上旬の作業開始に合わせて、消雪の必要があ

る場合は、融雪剤(くん炭、てんろ石灰等)を散

布し、消雪を早める。

野そ対策

消雪後、ネズミ穴を見つけ、殺そ剤を投入する。

堆肥・基肥の散布

消雪後の4月上旬、萌芽の20日前を目途に堆肥

と基肥を畝間(通路)に散布し、軽く中耕する。

培土

前年秋に培土を実施できなかった場合、茎のグ

ラツキ、萌芽抑制(霜対策)を目的に株上に5~

7cm程度の培土を行う。

除草対策

施肥後、アスパラガス用除草剤を4月中下旬の萌

芽前に全面散布する。除草剤散布時は、なるべく

表面を平らにし、砕土率を高めてから散布する。

その後、畝の上は手取り除草、畝間は管理機によ

る中耕で対応する。

支柱立て・誘引準備

萌芽直後から立茎処理に入るので、倒伏防止と

養分の有効的な蓄積のため支柱を設置する。設置

済みの場合は金具等にゆるみが無いか確認し、随

時補強する。マイカー線はあらじめ2段分準備して

おく。支柱間隔は幅 30cm、間隔180cm程度とし、

フラワーネットの使用時は適宜変更する。

立茎処理

株の個体差があるので、茎太と立茎本数で調整

し、植栽年限の浅いうちにほ場全体の生育を揃え

る。茎の太さが 1cm前後のもの(M、Lクラス)

を選び、1株当り適当に間隔を空けて5~8本程度、

1m当たりで20本程度立茎し、他に萌芽したもの

は、順次切り取るか間引き収穫する。

立茎の選択は5月末を目途に終了するが、春芽の萌

芽開始から10日前後で立茎を行う一斉立茎の方が

立茎の判断が容易である。立茎以外に萌芽してく

る物で、奇形等(頭の開きが早い・曲がり等)は

即時除去し、出荷基準に達した物は出荷し、株の

消耗を抑える。立茎はなるべく間隔が広がるよう

に選抜し、同一ケ所から2本発生した茎は1本に整

理する。奇形等の整理、収穫共にはさみで地際か

ら切り取る。なお、春に細い茎の立茎しか出来な

い場合は、夏芽の萌芽初期に適切な太さの茎に随

時更新立茎する。

誘引・側枝の整理

立茎と同時に倒伏防止を目的に、1段目のマイカ

ー線を地上50cm、その後生育状況を見て2段目を

1.5mの位置に張る。支柱の間は、広がらないよう

頭を結ぶ。収穫物の色上がりを良くするため、地

上から50cm程度までの側枝は随時掻き取る。また

側枝が伸びて垂れ下がる場合は1段目のマイカー線

を更に引き上げ側枝を斜め上方に誘引する。

病害虫防除

1年目の管理に準ずる。マルチがない分発病が早

いため、6月の立茎時の予防防除と、茎表面への発

病を見逃さず、以降適期防除に努める。

収穫・出荷

6月下旬頃から夏芽の萌芽が本格化するので出荷

基準に従って順次収穫を行う。規格に準じた出荷

目印棒を用い、規格の長さと太さに慣れるように

する。収穫開始年は短めに切る傾向があり、基部

の着色が悪い若茎の収穫も見られるので注意する。

定植2年目はM規格の収穫が多く、収穫作業も過重

となる。このため、晩期の追肥による9月以降の収

(kg/ 10a)【施肥例】基肥

肥 料 名 総 量 畝間施用 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

肥効調節型高度化成

緩効性高度化成

FTE

4,000 以上

4,000 以上

100

40

100

40

160

60

4

N-34.6

P-34.6

K-34.6

(ようりん除く)

(16-16-16)

(15-15-15)

Page 13: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

227アスパラガス

穫期間の延長は次年度以降の生産量の停滞につな

がるため、出荷量を勘案して収穫を早めに切り上

げるようにする。9月の上旬頃からは早めに萌芽を

切り取るようにして株の負担を軽減して、その後

の株養成に備える。

その他

茎葉の刈り取り、野そ対策等は1年目に準ずる。

■栽培管理(3年目)基本的な管理は2年目に準じる。

主な相違点は以下の通り。

支柱間隔は40~45cm、間隔は180cm程度とする。

立茎はLサイズ(1~1.2cm)の太さの茎を1株

当たり5~7本、1m当たり15本前後を目標に行う。

太い茎の立茎になった場合は夏芽の萌芽時に適切

な太さの茎に更新する。

■栽培管理(4年目以降)

□春の管理融雪等の萌芽前の管理  前出参照

基肥

春芽の萌芽前4月中旬を目途に行う。施肥量は成

園の度合いによって変更する。過剰な施肥では肥

料が蓄積する。

収穫

出荷規格に合せ、一定の長さになったものから

順次収穫する。細茎、弱茎、奇形等の商品価値の

ない若茎は、株の消耗を早めるだけなので早めに

除去する。合わせて、虫害やナメクジ、ウスカワ

マイマイ等の発生にも注意し、被害が見られたら

直ちに防除する。4月下旬から5月初旬までは晩霜

による被害が心配されるので天気予報に十分注意

し、もし被害が発生したら、直ちに被害にあった

若茎を除去し、株に無駄な養分を使わせないよう

にする。強い霜の場合は、地表近くの若茎も被害

を受けている場合があり、注意が必要である。

収穫は遅くとも5月末で打ち切る。株疲れの兆

候が見られるようになったら、早めに収穫を打ち

切り茎立てに切り替え、株養成を行う。

立茎処理

夏どりに向け株養成を行うため、時期を決めて

茎を立てる。立茎を行う時期は、通常春どりが一

段落してからでよいが、春どり開始時から早期に

立茎を始める方法もある。早期立茎は5月の収穫量

は減少するが、通常収穫量が少なくなる6月に収穫

でき、面積が多い場合、通常立茎と組み合わせ立茎

時期をずらすことで労力分散を図ることができる。

春どり終了後に行う場合、株疲れの兆候をみて、

株に余力のあるうちに収穫を打ち切り立茎を行う。

見極めが難しい場合は早めに立茎処理を開始する。

L規格(1~1.2cm)の太さの茎を中心に、畝の

長さ1m当り10~15本程度を選定し、バランス良

く茎立てする。立茎が決定した後に萌芽してくる

ものは、すべて間引き収穫する。

太過ぎる茎を残した株は、翌年以降の萌芽が太

くなる傾向にあり、爆裂茎の発生などで品質低下

を引き起こす。

立茎を揃えるまでの期間によって一斉立茎と順

次立茎があり次のような特徴がある。

【一斉立茎】

立茎開始から1週間程度の短期間に一斉に茎立て

して必要な立茎数を確保する。茎の太さや配置は

制限を受けるが作業は簡単である。株毎のバラツ

キが出やすく、不良な立茎があった場合、更新し

株の均一化を図ることが望ましい。

【順次立茎】(だらだら立茎)

立茎開始から1ヶ月くらいかけて良い茎を選びな

がら立茎する方法。太さや配置を調整でき、立茎し

ながら間引き収穫できるが、作業はやや面倒である。

生育不良な株は早めに立茎させて株養成を行う。

□春どり後の管理定植後の土壌改良

植付後、5年以上経過したほ場では、春の収穫終了

直後、トレンチャーなどで通路部分を掘り起こし、

良質な有機物、改良資材を投入し下層土改良をする。

(kg/ 10a) 【施肥例】

畝間施用 肥料名 総量 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

肥効調節型高度化成

緩効性高度化成

4,000 以上

4,000 以上

100

200

40

(16-16-16)

N-38.0

P-38.0K-38.0

(15-15-15)

100改

(kg/ 10a) 【施肥例】

肥 料 名 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

肥効調節型高度化成

緩効性高度化成

4,000以上

100

20040

N-38.0P-38.0K-38.0(16-16-16)(15-15-15)

急にM・Sの萌芽が増える。 発生量減少(盛期の3割以下) 奇形の若茎が多くなる

健全な萌芽

【株疲れの兆候】

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228 アスパラガス

全ての畝間の改良は、貯蔵根の切断等で株に与

える影響が大きいので、1~2畝おきに数年のロー

テーションで行う。投入する改良資材の目安は、

基肥相当分の2倍程度とする。幅15~20cm、深さ

40~50cmを目標にトレンチャー等で溝を掘り、完

熟堆肥、土壌改良資材を施用し埋め戻す。ただし、

排水不良のほ場では、溝に集水し、株腐れ等を引き

起こすことがあるので、植え溝より低い位置に暗

渠を設置する等の十分な排水対策が必要である。

誘引

マイカー線等の丈夫なテープで誘引する。生育

に応じて誘引の段数を順次増やし、倒伏を防止する。

立茎開始後20日程度から茎葉整理を行い、過繁

茂による病害(茎枯病、斑点病) の発生を予防す

る。2L、3Lクラスの立茎は草丈が高くなり過ぎ、

倒伏、折れの危険性が高まるため、早めに摘心し、

支柱の上60cm程度で止めたい。摘心の際は側枝も

早め切り揃える。時期が遅くなり強整枝になると、

萌芽が抑制されたり、曲がりが増える。

夏秋どりは間引き収穫を行うため、萌芽した物の

色上がりを良くするため、立茎した株の地上より

50cm以内に発生する擬葉、わき芽を主枝の付け根

から随時除去する。これにより、日当たり、風通

しを良くし、ムレを防ぐ。

収穫

夏期は高温のため若茎の伸長が早く、頭部の開

きが早まるため1日2回収穫する。弱茎、奇形等は

株を消耗させるので早期に除去する。9月末を目安

に収穫を打ち切るが、細い茎が主体(M以下)の

萌芽や奇形が多くなったら、早めに収穫を打ち切

る。以降は萌芽を早めに切り取り、株の消耗を押

さえて株養成に努める。

灌水

アスパラガスは体内の水分量が90%以上あり、

水を潤沢に必要とし、また蒸散も大きい作物であ

る。このため、夏秋どりの場合、灌水は追肥以上

の効果を発揮する。ただし、水田への作付けが多

い本県にあっては、排水対策の徹底されたほ場で

効果が高い。特に、梅雨明け後では、乾燥すると

萌芽が抑制され、収量、品質が低下するので、土

壌の乾燥状態を見て灌水を行う(畝間灌水は1畝

毎に行い、停滞水に注意する)。畝間へのマルチ、

敷わらも非常に効果が高く、病害や雑草の抑制に

もつながる。灌水は追肥とセットで行うと効果が

高いので、追肥後は灌水を行う。灌水チューブを

用いる場合は少量多灌水を心がける。1回の灌水量

は15~20mm程度とし、週2回程度実施する。ま

た、土壌水分の管理目標はpF値で1.8~2.0とする。

なお、秋の収穫終了後であっても、光合成を行っ

ているため、草勢を維持し、同化養分の蓄積を潤

沢に行うためには水分が必要になる。この時期の

水分量が不足すると株の充実が妨げられ、りん芽

の生育が抑制され、翌年の収量品質に大きな影響

を与える。

雑草対策 前出を参照

□収穫打ち切り後の管理平均気温が16℃以上では、茎葉で光合成を行い、

根に養分を蓄えながら萌芽するが、9月末頃に気温

16℃を切ると養分は萌芽作用へは回らず、ほとん

ど根に転流して貯蔵養分となる。気温が下がり萌

芽がみられなくなったら、積雪前の茎葉刈取りま

での間、株養成を行う。このため、収穫終了後で

あっても適宜病害虫防除、灌水を行い、次年度養

【溝改良施肥例】(kg/ 10a ):畝間深耕改良時

肥 料 名 畝間施用 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

緩効性高度化成

FTE

8,000以上

200

100

60

6

(ようりん除く)

N-9.0P-9.0K-9.0

(15-15-15)

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

229アスパラガス

分の蓄積に努める。

茎葉刈り取りとほ場の清掃

晩秋の霜に遭遇して茎葉が黄変したら、地上部

を刈り取る。刈り取った茎葉はほ場外に搬出し、

焼却する。茎葉処理後畝間に堆肥(春肥の5割程度)、

土壌改良資材を施用し、地下茎を損傷しない程度

の深さに中耕を行ない、株元に培土する。

その他

以降の管理は前出を参照

□病害虫防除茎枯病

全身性病害で、萌芽初期より感染する。被害部

は初め白色に変色し、その後小さな黒色粒が多数

形成される。被害が大きいと1本の茎だけでなく

株全体が枯死する事もある。潜伏期間は4~5日

で、6月~7月の梅雨期、9月の秋雨期に発生が多

い。病原菌は切り株や残さの上に越冬し、翌年の

伝染源となる。防除の決め手は、伝染源をほ場に

残さない事で、病茎は見つけ次第、ほ場から除去

する。茎葉刈り取り後もしくは春先雪解け後、直

ちにバーナー等で残さを焼却し、伝染源を減らす

(春の被害茎葉の抜き取り等も含む)。茎葉伸長期

に重点的に薬剤散布を行ない予防に努める。具体

的には、春どり終了直後に連続防除を行い、第一

次発生源の病原菌密度を低下させる事が重要であ

る。

風で煽られ弱ると茎枯病に罹りやすくなるので

風の強い地域は防風ネットの設置が必要である。

斑点病

6月下旬~8~9月の雨期に発生し、茎葉が黄化

し落葉する。立茎に発病する場合は、茎周囲に赤

褐色の紡錘形の病斑が出来る。初期病斑は茎枯病

に似ているが黒色粒がないので区別できる。病原

菌は茎枯病と同じく前年の被害残さ中で越冬し、

翌年の伝染源となる。降雨と過繁茂等による茎葉

中の高湿度が病気の伝搬を助長し、温度が20℃以

下になると発生が促される。発生は6月下旬頃から

見られるので留意する。激発すると早期落葉し、

翌年の収量に大きく影響する。防除は茎枯病と同

様、伝染源を除去するとともに過繁茂にならない

管理を行う事が重要である。薬剤散布による防除

は茎枯病に準じ、同時防除となる。

軟腐病(トロケ症状)

細菌性の病害で7月~9月にかけて高温多湿によ

って発生がみられる。組織の軟らかい部分や害虫

による傷から菌が侵入する。病徴は穂先から腐り

始め強烈な悪臭を放ち、著しく商品価値を低下さ

せる。

ほ場における粗選別段階で病徴が軽微で見られ

なくても、数日後の出荷・市場段階において発病

する、いわゆるポストハーベスト病害である。発

生原因は、①高温・多湿の気象条件、②害虫の食

害痕からの菌の進入、③ほ場内残さ(切り戻し部

分)の腐敗からの伝染等が考えられている。

対策としては、7月上旬から発病適期を見計らっ

た、①薬剤による定期的(1週間~10日)な病害

虫防除、②切り戻し等の残さや、トロケ発生茎を

ほ場外に持ち出す、③収穫後の水洗い・水切りの

徹底、④明るい所での粗選別により、穂先の変色

や傷の見受けられるものは絶対に出荷しない様に

徹底する。なお強酸性電解水が出荷物の腐敗防止

に活用できる。収穫後すぐに収穫物の5倍量の強酸

性電解水(pH2.5以下、塩素濃度約30ppm)に30

秒間浸漬したのち水道水で水洗、15~20分間風乾

した後出荷する。

アスパラガスの気温と光合成の関係

(9月) (10月)17~20℃ 16℃以下

呼吸量 15% 10% 萌芽の発生・伸長 25% 0% 根の伸長 25% 25% 根への貯蔵 35% 65%

平均気温

0

30

60

90

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月

降 水 量

降水量 消長

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月

茎枯病の発生消長

斑点病の発生消長

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230 アスパラガス

ジュウシホシクビナガハムシ

成・幼虫が萌芽初期の葉芽や幼茎の表皮を食害

する。そのため、茎が曲がったり芽を欠いたり褐

変するなどして商品価値がなくなる。山間高冷地

で発生が多い。年1回の発生で越冬成虫は萌芽する

とすぐに食害し産卵を始める。新成虫は7月頃から

現れ、10月まで食害する。

その他の害虫

近年寄生、食害する害虫が増えており、十分な

注意が必要である。薬剤防除だけでなく、周辺雑

草の除去など、耕種的な防除も併せて行う。

ナメクジ、マイマイ等は防除が難しいので、忌

避剤、誘殺剤を有効に利用する(忌避剤、誘殺剤

は、降雨により効果が低下するので天候に注意す

る)。

野鼠駆除

忌避剤による予防を徹底する他、ほ場周辺の越

冬用巣穴や隠れ場所の除去等も組合わせて行う。

□生理障害

穂先の開き

春どり期間の収穫が進み貯蔵養分が消耗した時

期と夏秋どり期間の高温乾燥期に発生が多い。夏

秋期では収穫回数を増やし適期収穫に努めるとと

もに、灌水により過度に土壌乾燥させない。また、

スリップスが頭部のりん片葉に入り込んだ時にも

同様な症状が見られる。春どりでは開きが多くな

った場合は早めに収穫を打ち切る。

爆裂茎とタケノコ茎

萌芽の直後に頭部が破裂した様になる症状。梅

雨時から夏秋期にかけて発生が多くなる。発生す

る株は、雌株に多く、生育が旺盛な2~6年程度の

若い株に多いのが特徴。乾湿の差が激しい場所で、

激しい降雨があったり、灌水の直後で多くなる。

一般的に太い茎の立茎株に多いことから、翌年の

立茎時期にはその株を細めの茎で揃えることが必

要となる。また、若茎の横肥大が進行するタケノ

コ茎も極端に太い茎を立茎した株に多いので、立

茎時に留意する。

パープルスポット

若茎の基部を中心に紫色の小斑点が出る症状で、

春どりで発生が多くなる。18℃以下の地温条件下

で降雨後に発生が多くなるとされる。収穫適期の

長さまでには症状が改善されないため、症状がひ

どい場合は早めに切除する。

□改植対策

アスパラガスの収量は株が旺盛に伸長、拡大し

ている時期に増加し、株の衰えとともに減少する。

県内には定植15年以上のほ場も散見されるが、定

植5、6年のほ場と比較して収量の低下は否めない。

これらほ場では施肥、灌水のいかんにかかわらず、

収量の回復が難しくなっており、低下したほ場で

は改植の検討が必要である。改植が必要なほ場は、

①欠株が多くなったほ場(2割程度)、②平均収量

の減少が恒常的になったほ場(2~3割減)、③排

水対策や畝間の土壌改良による草勢回復が見込め

ないほ場、である。減収の原因は、同一ほ場での

栽培による「連作」によって、土壌病害の密度増

加、過剰施肥による塩類集積と塩基バランスの偏

り、pHの異常、有機質の不足、土壌物理性の悪化、

アレロパシー(アスパラガス自身が生産する物質

で自らの生育を抑制する現象)などが考えられる。

改植時の留意点としては、①定植位置は前回の畝

間にする。②改植時に、根株を出来るだけ抜根し

てほ場外へ持ち出す。③肥料分が少ない時は一年

復田する。または他作物の作付けで数年休耕する。

その後の定植に際しては、長野県野菜花き試験場

では、①定植の際にヤシ殻活性炭のフロアブル剤

をセル苗へ浸漬処理し、②活性炭の粒剤、粉剤の

定植位置へ散水処理やほ場への全面散布処理を併

用することによって収量回復に効果を上げている。

この方法で長野県では改植面積が増加しているが、

県内での実施例はなく、検討が必要である。今後

は、環境保全、株の維持の面からも、多肥、多収

による株の脆弱化を早める栽培から、少肥、高品

質(規格、内部成分)の栽培検討が求められてい

る。

ガ 生消4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月

ジュウシホシクビナガハムシの発生消長

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

231アスパラガス

アスパラガスユリ科

促成栽培

促成栽培

目標収量 (kg/10a)

350 (kg/10a) (株養成面積)

●播種  ◎定植  ■茎葉刈り取り  ●株掘取り  ▲株伏込み  □□収穫

● ● ◎ ◎ ~ ~

栽培型 中 下

2月 3月 4月 5月 6月 10月 11月 12月 1月 2月

上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下

■ ● ▲

栽培暦

作型の特徴1年間露地で養成した根株を掘り上げて、ハウス

内につくった温床に伏せ込み、加温することによ

って冬期に収穫する作型である。充実した根株の

養成と温床の温・湿度管理が本作型における高品

質・高収量を得るポイントである。

品種と特性ウェルカム

早生・多収の一代交配種。若茎色は濃緑でアン

トシアン(紫色)の発生が少なく、フザリウム菌

やさび病に強い。休眠が浅い。

バイトル

耐寒性が強く、初期生育の旺盛な極早生系一代

交配種。若茎色は濃緑でアントシアン(紫色)の

発生も少なく、フザリウム菌やさび病に強い。

グリーンタワー

初期から太い若茎が発生する一代交配種。若茎

は緑色の円筒形になり、茎の頭部の鱗片はアント

シアン(紫色)の発生が少ない。

栽培方法

■株養成

□育苗育苗場所

ハウスまたはトンネルハウスで行う。2月下旬か

ら3月上旬播種の場合は、温床の設備が必要である。

7.5cmポリポットで、10a当たり10㎡必要となる。

苗数

必要苗数は10a当たり1800株(畝間140cm、

株間40cmとして)が基準となるため、成苗率を考

慮して10a当たり2000株程度必要。

床土量

床土は10a当たり約120L(覆土分含む)を準備

する。無病な原土と完熟堆肥を7:3の割合で混合し、

床土120L当たりUF苗床肥料0.5kg、てんろ石灰

1.0kg、ようりん1.0kgを加えてpH6.0~6.5に調

整する。

苗床

苗床面積は、本畑10a当たり10㎡必要。(7.5cm

ポット使用)

根が土中に入り込まないように、床の底面に有

孔ポリや不織布を敷く。2月から3月上旬播種は低

温期の播種であるため、温床で育苗する。ポリ等

で覆い地温を高めておく。(目標地温25~30℃)

□播種播種時期

育苗日数は60~70日とし、定植予定日から逆算

して播種する。

播種量

品種により異なるが、10a当たり0.7~1.0dl

(1dl:3200~3500粒)

種子準備

種子をガーゼ等で包み、30~35℃の温湯に2昼

夜浸漬し、種皮を破ってから播種すると揃いが良

い。最初は温水が濁るので、1回温水を交換する。

酸素を必要とするため、1回沸騰させた湯冷ましを

使わないこと。(魔法瓶等を利用して保温する方法

もある)

種子の皮が厚過ぎて発芽が悪い場合は、袋に種

子と砂を一緒に入れ、少し揉むようにして種子の

Page 18: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

232 アスパラガス

表面に軽く傷を付けるようにすると吸水、発芽が

良くなる。

播種方法

育苗箱に深さ1cm、直径1cm位の穴を開け、種

皮が破れた種を1粒づつ播き、覆土する。その後軽

く鎮圧し、温水で灌水する。発芽までは、濡れ新

聞紙等で覆い、乾燥を防ぎ、ビニールトンネルや

ラブシート等で被覆し、地温を確保する。

育苗管理

温度管理および灌水

発芽までの地温は25~30℃、発芽したら新聞紙

を取り除きトンネル換気も徐々に行なって湿度を

取り除くとともに地温も徐々に下げていく。発芽

後の地温は20~25℃とする。

発芽が揃うまでは土壌を乾燥させないようにす

る。土の乾燥程度を見て適宜灌水する。ただし、

水のかけすぎは根腐れやカビ病の発生原因となる

ので十分注意する。

育苗目標

育苗日数:60~70日、

草丈:15~20cm、

茎数:3~4本

養成畑の準備・土壌改良

排水、日当りが良く膨軟な土壌のほ場を選定す

る。土壌病害や茎枯病の発生が見られないほ場を、

30cm以上深耕し、根圏域を拡大するとともに、良

質な有機物や土壌改良資材を十分に投入する。水

田転換畑など排水の悪いほ場は、明渠や高畝等の

対策が必要である。

施肥

生育が停滞すると株の生育不良や病害の発生を

助長するため、その場合は追肥を行う。ただし、

遅くまで肥料が効き過ぎると株への養分転流が上

【施肥例】

手くいかなくなるので、追肥は8月上旬までとする。

砂地では肥効率を高めるため肥効調節型肥料を

利用し基肥主体とする。

畝立て・マルチ

定植1週間前までに畝立てし(畝の高さ目標20

~30cm以上)、乾操防止と雑草防止のためマルチ

ング(黒マルチ)をする。砂地など保水性の悪い

ほ場では、灌水チューブを設置する。

栽植密度

基準は畝間140cm、株間35~40cm、畝の高さ

20~30cm。

(10a当り1786~1984株)とし、堀り取り機に併

せて調整する。

□定植定植は遅霜の心配が無くなる、5月上~下旬の温

暖な日を選び定植する。定植前には、茎枯病予防

のため薬剤で防除する。植穴には株が隠れる位に

覆土し、軽く鎮圧後、再度4~5cm覆土する(マル

チの抑えを兼ねる)。

□定植後の栽培管理灌水

乾燥すると生育が抑えられるので、好天が続き

土壌の乾燥が著しい場合は、畝間灌水または灌水

チューブからの灌水を行う。

除草

特に生育初期は雑草を繁茂させないように注意

する。また、年間を通じて徹底した防除が必要で

ある。

定植1ヶ月後に植穴の手取り除草を行い、その後

の管理は畝間を中耕する。除草剤を使用する場合

は、茎葉に薬液がかからないように注意する。

その他の管理

若茎萌芽の確保のため、順次太い茎が萌芽して

きたら、カッター等でマルチ穴を広げて萌芽を妨

げないようにする。

■促成栽培

□根株の堀取りと伏せ込み根株の掘り上げ

11月上旬以降に2~3回程度霜にあてて、茎葉が

90%程度黄化してから行う。低温に遭遇しないと

休眠打破が十分されないので、早堀りしない。

地上部の刈り取り

成分量(kg/10a)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

18~20

6~7

20~25

2~3

18~20

6~7

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

BM苦土重焼燐

緩効性高度化成

高度化成

緩効性高度化成

5,000

100

40

80

70

(15-15-15)

(0-35-0)

(12-16-12)

(16-4-16) 40

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

233アスパラガス

地上部は、草刈り機等で地表面から3cm程度の

ところから刈り取る。貯蔵根を傷めないように、

堀取り機で丁寧に掘り上げる。

養成株の目標

根株の貯蔵

できるだけ早く伏せ込むことを原則とするが、

貯蔵の場合は伏せ込みまで乾燥を防ぎ、また凍結

しない範囲で出来るだけ温度の低い場所(0~5℃)

で貯蔵する。

伏せ込み床の準備

灌水の便が良く、排水の良い所を選定する。伏

せ込み床の面積は、株養成畑10a当たり35~50㎡

必要である。

ハウス内に幅120cm、高さ50cm程度の大きさ

で床を作成し、温湯ボイラー等の暖房を設置する。

さらにトンネル、二重カーテン(ビニールと保温

マット)を設置する。枠板には、漏水防止を目的

に内側をビニールで被覆する。温湯ボイラーは事

前にチェックしておく。

伏せ込み作業

根株を一方から順序良く詰め込み、鱗芽が温床

の上端から5~6cmの位置になるよう揃える。1列

伏せ込むごとに合い土を入れ、根株に隙間をつく

らない(根株に隙間があると、温度変化が生じる)。

並べ終えたら、株の上に芽土を5cm位入れ、土が

根株の間へ十分入るよう灌水を併せて行う。使用

する芽土は、通気性、保水性のある軽い土が良い。

(畑土+腐葉土、砂壌土等)

□伏せ込み後の管理加温は伏せ込み後7~10日目頃に開始する。株

の消耗を防ぐため、急激な温度上昇は避け、徐々

に(5℃位づつ上げて)適温に近づける。

萌芽までは気温20~25℃、地温15~20℃とし、

萌芽以降の気温は日中25℃以下、夜温10℃以上と

する。地温は15~18℃を確保する。日中25℃以

上になると穂先が曲りやすく、夜温が5℃以下にな

ると低温障害を起こすので注意する。

灌水は伏せ込み床内部の水分を確認して行う。

朝の収穫直後に行い、少量多灌水が最適で土質に

合わせて加減する。過湿には十分注意する。

□収穫・調整収穫方法

加温後5~6日目位で萌芽が始まり、その後10~

15日位で収穫となる。

28~30cm位の若茎を1日2回収穫し、地際の堅

い部分を切り落として25cmにする。曲りや奇形、

極細茎等は株の消耗を防ぐため、早めに切り取る。

□病害虫防除露地長期夏秋どり栽培に準ずる。

パイプハウス伏せ込み床の構造

間口2.5間ハウスの場合

120cm

伏せ込み床

コンパネ70cm

50cm

伏せ込み床夜は保温マット

ビニール冬場は日照量が少ないので、被覆資材は光線透過量の多いものを

芽土は隙間のないように入れる

温湯ボイラーもみがら

1.3kg以上

株重

貯蔵根長

糖度

30cm以上 25度以上(Brix値)

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234 ネギ

ネ ギユリ科

越冬春どり(5~6月)

目標収量

3000 (kg/10a)

(CP育苗) 元晴晩生

羽緑ー本太

(地床育苗) 元晴晩生

●播種  ◎定植  ■収穫

● ●

◎ ◎

● ● ◎ ◎ ~ ~

~ ◎ ◎

栽培型 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中

2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月

● ● ~

栽培暦

る。分げつネギの元晴晩生は1穴1粒播き、1本ネ

ギの羽緑一本太は1穴2~3粒播きとする。覆土後

むらのないように十分に灌水し、その後は床土の

表面が乾いたら軽く灌水する。ハウス内の温度は

20~25℃とし30℃以上にしない。播種後4~5日

程度で発芽する。

発芽後の灌水は天候と土壌の乾き具合によって適宜

行い、温度は15~20℃の低めに管理し徒長を防ぐ。

育苗日数は40~50日で、本葉2枚時に定植する。定

植予定の1週間前には、ハウス外に出して馴化する。

育苗中にネギアザミウマの発生がみられる場合

は早めに防除する。

□本畑準備土壌改良

排水の良い畑を選定し、排水が十分図られるよ

うに改良する。

堆肥、苦土石灰、ようりん等の土壌改良資材は

pH6~6.5を目標に施肥量を加減する。

施肥

肥料は定植の2~3日前に施用し耕起する。砕土

率を高めるために土壌が乾いている時に丁寧に耕

起する。

【施肥例】

作型の特徴この作型は、関東地域以南のネギの端境期に出

荷することができる。越冬後、抽だい前に収穫す

るので、越冬率が高く、抽だいの発生が遅い品種

を選定する。抽だいの発生時期は、地域、播種時

期、育苗方法等の栽培管理により異なるので、各

地域で適正な播種時期を確認し、統一した栽培管

理で行う必要がある。抽だい前の収穫となり収穫

適期幅が短いため、無理のない作付け面積とする。

品種と特性元晴晩生

越冬率が高く抽だい時期も遅い。分げつは3~4

本程度となる。

羽緑一本太

晩抽性一本太ネギのF1種。抽だいは、元晴晩生

と同等かやや遅い。越冬率が高く、春先の生育量

が旺盛。元晴晩生より収穫後の日持ちに優れる

栽培方法

■CP(チェーンポット)育苗CP(チェーンポット育苗)と簡易移植機(ひっ

ぱりくん)体系による栽培法である。

□育苗育苗はハウス内で行い、無加温とする。育苗培

土に超微粒被覆肥料(マイクロロングトータル100

日)を培土1L当たり2g添加すると育苗中の追肥が

省略でき、定植後の初期生育を促進する効果があ

成分量(kg/10a)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

12

15

16

4

12

15

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

235ネギ

植え溝づくり

植え溝は培土機等を用いて掘り、地表面からの

深さは10~15cmにする。植え溝は定植当日に掘

るとひっぱりくんでの定植がやりやすい。

□定植溝の中心の植えつけ部分を足で踏みつけないよ

うに注意して、ひっぱりくんで定植する。チェー

ンポットの紙ポットが土に隠れるように植えつける。

栽植様式

畝幅は90cm~100cm。株間は5cm。

□定植後の栽培管理追肥と削り込み・土寄せ

越冬前の削り込み・土寄せは5回程度に分けてこま

めに行う。削り込み・土寄せごとにその直前に窒素成

分で10a当たり2~3kg追肥する。1回目の削り込みは、

葉鞘部の太さが5mm程度になった頃に行い、土を通

路部から削るように、ネギの植え溝に埋め戻す。削り

込みは中耕を兼ねながら2回程度行い溝を埋める。そ

の後の土寄せは葉鞘径が3mmほど肥大するたびに管

理機で行う(時期にもよるが概ね20日おきを目安とす

る)。1回当たりの土寄せ量は、ネギの生育に応じて異

なるが、5~7cm程度とし、生育を停滞させないため

に本葉を4~5枚確保する。

越冬後は新葉の発生を確認し、1~2回追肥と土寄

せを行う。

越冬率向上のための排水対策

越冬率を高めるため、越冬前にほ場周辺に明渠を掘

り、越冬後の表面排水を図る。

□収穫・調製収穫適期

分岐長35cm~40cm、軟白長25cmを目標とし

て収穫する。

抽だいがみられると、抽だい茎が硬くなり品質

を落とすので、抽だい前に収穫する。

栽培年、栽培場所にもよるが、抽だいは5月中旬

頃から発生する。4月中~下旬頃に葉鞘部を分解し、

ネギ坊主がどの部位にあるか確認して、収穫時期

を決める。

□病害虫防除病害虫の防除は、秋冬どり栽培に準じる。越冬

後は、病害虫の防除はほとんど必要ない。

■地床育苗露地ほ場で育苗を行い、裸苗を機械移植(半自

動)または手植えで行う栽培法である。

□育苗播種床は、排水対策を十分図るとともに堆肥等の有

機物、土壌改良資材の施用を行い、膨軟な土壌にする。

苦土石灰・ようりんは土壌pH6~6.5を目標に、施

肥量を加減する。

条間は15~20cmとする。播種は播種機(ごん

べえ等)または手で条播きする。発芽を揃えるに

は、播種床の均平をとり砕土率を上げ、覆土を2~

3mmで均一にすることが重要である。覆土後の灌

水はむらのないように行う。

発芽後、密生部を間引いて最終株間を1.5cm程

度にする。灌水は土の乾き具合をみて適宜行い、

追肥は葉色が退色しないように行う。

□本畑準備CP育苗に準じる。

□定植定植苗は太さ8mm前後が適期であり、大苗、小苗

に分けて定植する。根が乾くと活着が遅れる傾向がみ

られるので、当日は定植できる分のみ掘りあげ、根も

直接日に当たらないように不織布で覆う等の処理をす

る。半自動移植機では、苗を畝の中央に植える。手で

植える場合は溝の側面にまっすぐ立てるように植え、

倒れない程度に5cm位株元に土寄せを行う。

栽植様式

畝幅は90cm~100cm。株間は15cm。

□定植後の栽培管理裸苗の定植となるので活着まで下葉の枯れ上が

りがみられ、定植後20日~30日は生育が停滞する

が、その後はCP育苗に準じた方法で行う。

□その他の管理(病害虫防除、収穫など)CP育苗と同様である。

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

高度化成

高度化成

2,000

100

50

100

(12-16-12)

(16-4-16) 90

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236 ネギ

仮植

収穫期に入る前に、収穫株から系統の良いもの

を選抜する。5月下旬までに仮植を完了する。土寄

せはしない。

畝幅80cm、株間12cmに斜めに植える。

追肥は仮植後7~10日後に施用する。

□本畑準備土壌改良

土壌適応性は広いが、排水がよく、適当な保水

性をもった肥沃な土壌が適する。加えて、栽培の

特性から白根部を確保できる作土層が必要である。

また根の酸素要求性が高いので、排水不良地では

生育に対する影響が大きい。

排水不良による生育障害を防ぐため、暗きょに

よる地下排水を行うとともに、地表水を速やかに

排水するための明きょを設置する。

定植予定の1週間以上前に堆肥や土壌改良資材を

散布し25cm以上の深耕を行う。

なお、土壌改良資材は土壌pH6~6.5を目安に施

用量を加減する。

施肥

肥料は、定植の10~15日前に施用し、25cm以

上の深耕し、砕土率を高める。

石灰窒素は、施肥後分解するまで10日以上要す

るので、施用する場合は注意が必要である。

【施肥例】

ネ ギユリ科

夏どり(坊主不知)

目標収量

2,500 (kg/10a)夏どり

▲仮植  ◎定植  ■収穫

▲ ▲ ◎ ◎

栽培型 上 中 下

1月

上 中 下

2月

上 中 下

3月

上 中 下

4月

上 中 下

5月

上 中 下

6月

上 中 下

7月

上 中 下

8月

上 中 下

9月

上 中 下

10月

上 中 下

11月

上 中 下

12月

栽培暦

作型の特徴坊主不知ネギは、抽だいしない特性を利用して、

一般ネギが抽だいのため出荷量が少なくなる5月

末から6月を中心に(端境期)出荷できる。

品種と特性晩生ネギと千住系の夏ネギの中間で、6月から7

月上旬に出荷する品種である。葉は濃緑色で、外

形や風味はあまりよくない。品種名のとおり、ほ

とんど抽だいしないので株分けをして栽培をくり

返す。

栽培方法

□育 苗仮植床準備

本畑10aの苗を育成するためには、2aの苗床を

準備する。

【苗床施肥例】

成分量(kg/10a)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

1.5

12.0

2.1

8.8

1.5

10.6

成分量(kg/2a)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

1.0

0.7

1.4

0.5

1.0

0.6

施肥量(kg/2a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

有機配合肥料

速効性高度化成

800

30

10

10

(10-14-10)

(14-10-12) 5

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

237ネギ

注)連作による土壌病害の発生が懸念される場合

は、石灰窒素を60kg/10a程度施用する。但し、

この場合は基肥から窒素成分量を減肥する。

畝立て

土が落ち着いたら、畝幅85cm、植え溝の幅20

~30cm、植え溝の深さ15~20cmに畝立てする。

畝の方向は南北畝とし、西側に植えるのが理想

だが、東西畝の場合は北側に植える。

□定植苗は溝の側面に株間20~30cmで真直ぐに立てるよ

うに植え、倒れないように根元に土を3cm位寄せる。

茎の太さを大、中、小に分けて植える。

基肥は、活着後すぐ施用する。

□定植後の栽培管理追肥

10a当たり成分量で1回につきチッソ3kg、カリ

3kg程度施用する。

生育に応じて追肥間隔や追肥量を加減する。

1回目:9月中下旬

2回目:10月中旬

3回目:雪消え後すぐ(3月下旬~4月上旬)

4回目:4月下旬

5回目:5月下旬

土寄せ 

1回目:軽く倒れない程度に行う

2回目:植溝が平になるようにする

3回目:消雪直後で軽く土寄せを行う。

4回目:葉の分岐点まで土寄せを行う。早く収

穫する場合は、収穫の25日前までに葉の分岐点の

上5cm程度まで十分行う。

5回目:最終培土となる。収穫の25日前まで分岐

点の上5cm程度まで十分行う。

□収穫・調整収穫適期と収穫方法

軟白長(20cm以上)や太り、しまり等をみて出

荷基準に達したら収穫する。

品質保持のため、一人で1日あたり20~30ケー

スを掘り取りの目安とする。

堀取りには、管理機用堀取りロータ、乗用トラクタ

用浮かし掘り機、根深ネギハーベスタにより行う。

堀取り時は土壌水分に注意し、皮むき時に軟白

部への土砂の付着を少なくする。堀取り後は布袋

などで巻いて収納し、運搬時は立てた状態で積み

込み、葉の損傷を防止する。また、屋内で保管す

る場合も立てた状態がよい。

出荷調整

根切り、葉切り、皮むき、選別、結束、箱詰め作

業を行う。作業時間がかかるため、皮むき機(根・

葉切り付きもある)や選別機を利用して調整する。

生葉数3枚程度付け、全長60cmとする。根はで

きるだけ短く切り、太さ、長さを揃える。ただし、

根の切りすぎは出荷後に軟白部の中心の葉鞘部が

下へと伸びて(出ベソ)、見栄えが悪くなるばかり

か、やがて軟白部がぶかぶかになって商品性がな

くなるので注意する。

また、調整作業終了後できるだけ早く出荷を行

い、予冷庫で温度を下げて鮮度保持に努める。

鮮度保持

収穫後の芽の伸長が非常に早い。そのため、温

度の高い状態で横積みすると、芽が上に曲がって

伸びたり、軟白部が曲がってしまう。また、縦に

置いて芽が曲がらなくとも、伸長した部位は淡い

緑色となり、軟白部の白とのコントラストが悪く

なって外観を損ねる。さらに品質低下が進むと、

外葉の葉身から黄化や腐敗が発生したり、軟白部

のツヤがなくなる。

収穫・調整・出荷作業は、夏ネギでは2日程度で

済ませる。選別は規格別に太さにより選別を行う。

また選別機の利用により作業効率が向上する。

結束は、手動型や小型の電動式、自動結束機により

行う。箱詰めは、人力で出荷規格に合わせて行う。

収穫後のほ場管理

収穫残さをほ場外に搬出し、プラウ等で土壌反

転耕を行う。

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

有機配合肥料

速効性高度化成

2,000

200

60

15

(10-14-10)

(14-10-12) 88

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238 ネギ

ネ ギユリ科

夏どり(7~9月)

目標収量

3,200 (kg/10a)

春播き (CP育苗)

秋播き (ハウス地床育苗)

秋播き (ハウスCP育苗)

●播種  △仮植  ◎定植  □□収穫

● ●

◎ ◎

◎ ●

栽培型 上 中 下

1月

上 中 下

2月

上 中 下

3月

上 中 下

4月

上 中 下

5月

上 中 下

6月

上 中 下

7月

上 中 下

8月

上 中 下

9月

上 中 下

10月

上 中 下

11月

上 中 下

12月

栽培暦

作型の特徴夏どりは、春播きと秋播きがある。夏どりは価

格的にも堅実で経営的にも有利性のある作型であ

る。

春播きはハウス内で加温育苗して、早春に露地

へ定植する作型である。この作型では、低温期の

定植のため初期生育の促進、さらに生育後半が高

温期にあたるため、品種の選択と病害虫防除が栽

培のポイントとなる。

秋播きは品種の選択、苗の越冬率の向上、春先

の生育促進及び抽だい抑制等が栽培のポイントで

ある。

品種と特性春播き品種

吉蔵

黒柄系の一本葱で、耐暑性があり、早生で収量

性が高い。首部の揃いと締りが良く、分げつが少

なく光沢もあり、肉質軟らかく市場性が高い。葉

身部が短く草勢はおとなしい。

元蔵

合柄系の一本葱で、葉は立性で耐寒性と低温伸

長性があり、収量性が高い。軟白部の首の締りは

よいが、若干捲れる株が出る時もある。肉質は軟

らかく繊維が少なく食味が良い。

雄山

黒柄系のF1品種で、葉鞘の伸長が早く、襟じま

りが良い。「元蔵」より多収だが、葉鞘部がやや細

い。分けつの発生はほとんどない。

ホワイトスター

合柄系のF1品種で、生育が旺盛で伸びや太りに

優れ、首の締まりがよい多収品種である。

根張りが良いため、過乾加湿に強く、低温伸長性

にすぐれる。草姿が立性で、葉鞘部の長さや太さ

の揃いが良い。

肉質は緻密で繊維が細く、苦みや辛味が少なく、

食味が良い。軟白部の白さとテリ・ツヤに優れる。

白妙

黒柄系のF1品種で、草姿は立性で葉色が濃く、

草丈が長めだが、早い太りと揃いの良さから収量

性が高い。

首の締まりが良く、襟の割れが少ないので、首も

とのまとまりが良好である。

耐暑性が強く、高温伸長性に優れるので、夏ど

りの早どりに好適である。

夏扇4号

黒柄系のF1品種で、草勢が強く、立性で葉折れ

が少なく、葉鞘部の長さや太さが揃う。耐暑性、

耐寒性があり、作型適応性の広く、べと病、さび

病、黒斑病に強い。小菌核腐敗病には、夏扇2号・

3号に比べてやや劣る。

秀逸

合黒系のF1品種で、葉は濃緑で、草勢が強く、

立性で葉折れが少なく、草丈は伸びやすいが、太

りは緩慢で、特に夏ネギにおいて生育初期の低温

で太りが遅くなるので、初期の生育促進を図るこ

とが重要である。

作型適応幅が広く、品質・食味に優れる。

さび病、べと病、黒斑病、白絹病に強い。

Page 25: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

239ネギ

夏扇3号

黒柄系のF1品種で、苗揃いがよく、草勢が強く、

立性で葉折れが少なく、葉鞘部の長さや太さの揃

いが良い。

耐暑性、耐寒性があり、作型適応性が広い。べと

病、さび病、黒斑病に強い。小菌核腐敗病には、

夏扇4号に比べてやや優る。軟腐病に少し弱いので、

防除対策を徹底する。

秋播き品種

羽緑一本太

黒柄系の晩抽性一本太ネギのF1品種。春扇より

抽だいする時期が遅く、分けつはほとんどしない

ので、収穫期の幅が広く、収量性が高い。越冬率

が高く、白根の伸び、首の締まりや揃いは良く、

春先の生育量が旺盛なので、取り遅れに注意する。

春扇

合黒柄系の晩抽性一本太ネギのF1品種。羽緑一

本太より太りが早いが、生育後期になると葉先枯

れや軟腐病の発生が増加し、取り遅れると分けつ

と尻太りの発生で品質が低下しやすいので注意す

る。

長悦

千住黒柄系の晩抽性一本太ネギの固定種。7月ど

りとしては、初期生育がゆっくりで、分けつが少

なく、揃いが良い。軟白長も確保しやすく品質は

よいが、首の締まりが弱い。収量は、F1品種より

少ないが、在ほ期間が長くなっても葉先枯れが目

立たず、遅どりに向く。

栽培方法

□育苗春播きの場合は目標とする収穫期に合わせてハ

ウス内でチェーンポットで育苗する。秋播きはハ

ウス地床育苗を基本とする。詳細は共通技術・育

苗の項参照。

□本畑準備土壌改良

土壌適応性は広いが、排水がよく、適当な保水

性をもった肥沃な土壌が適する。加えて、栽培の

特性から白根部を確保できる作土層が必要である。

また根の酸素要求性が高いので、排水不良地では

生育に対する影響が大きい。

排水不良による生育障害を防ぐため、暗きょに

よる地下排水を行うとともに、地表水を速やかに

排水するための明きょを設置する。

定植予定の1週間以上前に堆肥や土壌改良資材を

散布し25cm以上の深耕を行う。

なお、土壌改良資材は土壌pH6~6.5を目安に施

用量を加減する。

チェーンポットや機械移植では砕土率が植え付

け精度、能率に影響するので十分に行う。

施肥

注)連作による土壌病害の発生が懸念される場合

は、石灰窒素を60kg/10a程度施用する。但し、

この場合は基肥からチッソ成分量を減肥する。

畝立て

畝幅90~100cm。植え溝は培土機等を用いて深

さ、溝底部の幅とも25cm以上に掘る。

□定植チェーンポット育苗の場合(春播き作型)

定植時の苗の大きさは草丈15cm(剪葉後)、葉

数2~3枚、太さ2~3mmで根鉢が十分形成されて

いることを目安とする。

畝幅90~100cmの植え溝に株間5cmで定植す

る。

ひっぱりくんは一定速度で平行に引っ張る。ま

た、溝の中心の植え付け部分を足で踏みつけない

成分量(kg/10a)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

10~12

10~15

20~25

8~10

10~12

10~15

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

有機配合肥料

速効性高度化成

3,000

200

60

120

(10-14-10)

(14-10-12) 80

削り 込み部分

畝の高さ

cm25

cm植え 幅 25

cm畝幅 90~100

【植え付け溝の断面図】

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240 ネギ

除草

定植後、土寄せまでに雑草の発生が予想される

場合は、除草剤を散布して雑草の発生を抑える。

除草剤を散布する場合は、ネギに直接かからな

いように十分注意して行う。砂質土壌では薬害を

避けるため、除草剤の散布は避ける。

追肥

生育に応じて追肥間隔や追肥量を加減する。特

に、最終土寄せ時の追肥は、ネギの太りや葉色を

見ながら判断する。追肥は土寄せと同時に行う。

速効性高度化成肥料を使用し、10a当り1回につ

きチッソ、カリ成分で2.5~3kg施用する。

【追肥時期の目安】

土寄せ作業に合わせ、土寄せ前に株元に施用する。

土寄せ  

土寄せの回数を多くし、かつ早くから行うと軟

白部は長くなるが、細くて収量が上がらない。

一方、土寄せ回数を減らし、かつ遅く行なえば

太くはなるが、軟白部は短く、締りも劣り商品価

値が下がるので、生育状態をみて土寄せを行う。

【土寄せの目安】

定植15~20日後(茎径4~6mm以上)ころに除

草を兼ねて定植畝の表土を削り込みし、その後20

日目に再度土を戻して、畝を平になるようにする。

その後、20日前後の間隔で土寄せを行う。最後

の土寄せは、収穫予定の20日前に行う。収穫期間

が長くなる葉鞘部の伸長が進み、葉鞘部の緑白部

(ボケ)になり品質が低下するので、最終土寄せは

大面積を一斉に土寄せせず、日毎の収穫量に合わ

せて土寄せを行う。

削り込み 定植15~20日後 に実施

埋め戻し 削り込み20日後 に平畝にする。

第1回土寄せ 埋め戻し20日後 に実施

第2回土寄せ 第1回土寄せ20 日後に実施

第3回土寄せ 第2回土寄せ15~ 20日後に実施

葉鞘部と葉身部の 分岐点から10cm位 下まで土寄せ

分岐点から5 cm下まで土 寄せ

【土寄せの方法】

【被覆栽培の仕方】

ように留意して植え付ける。

チェーンポットの根鉢が土で隠れるように植え

付ける。ただし、深植えにしないように留意する。

ハウス地床育苗(秋播きの場合)

定植苗は太さ8mm、草丈30cm、葉数3枚程度

が適期である。大苗、小苗に分けて植える。

畝幅90~100cmとし、大苗は3cm間隔に植え

る。苗は溝の側面にまっすぐに立てるように植え、

倒れない程度に2~3cm根元に土寄せを行う。

□定植後の栽培管理保温

夏どりで早く収穫するには、定植後パスライト

等の不織布によるべたがけやトンネル被覆で保温

し生育促進を図る。ポット苗による幼苗定植の場

合は初期生育の促進に大きな効果がある。

被覆後は日中の気温上昇に注意し、外気温が生

育適温になったら被覆資材を取り除く。

不織布

不織布べ たがけ

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

241ネギ

【土寄せの程度】

最後の土寄せ以外は、葉身部と葉鞘部の分岐点

を超えないように、分岐点から10cm程下まで行う。

最後の土寄せは葉身と葉鞘部の分岐点の5cm位

下まで行う。

摘蕾

秋播き作型では抽苔する場合があるので抽苔し

た株は花蕾を速かに摘み取る。

□収穫・調整収穫適期と収穫方法

ネギの生育状態、市況等から収穫期を決めるが、

最終土寄せをして、軟白長(25cm以上)や太り、

しまり等をみて出荷基準に達したら収穫する。

品質保持のため、一人で1日あたり20~30ケー

スを掘り取りの目安とする。

堀取りには、管理機用堀取りロータ、乗用トラ

クタ用浮かし掘り機、根深ネギハーベスタにより

行う。

堀取り時は土壌水分に注意し、皮むき時に軟白

部への土砂の付着を少なくする。堀取り後は布袋

などで巻いて収納し、運搬時は立てた状態で積み

込み、葉の損傷を防止する。また、屋内で保管す

る場合も立てた状態がよい。

出荷調整

根切り、葉切り、皮むき、選別、結束、箱詰め

作業を行う。作業時間がかかるため、皮むき機

(根・葉切り付きもある)や選別機を利用して調整

する。

生葉数3枚程度付け、全長60cmとする。根はで

きるだけ短く切り、太さ、長さを揃える。ただし、

根の切りすぎは出荷後に軟白部の中心の葉鞘部が

下へと伸びて(出ベソ)、見栄えが悪くなるばかり

か、やがて軟白部がぶかぶかになって商品性がな

くなるので注意する。

また、調整作業終了後できるだけ早く出荷を行い、

予冷庫で温度を下げて鮮度保持に努める。

鮮度保持

収穫後の芽の伸長が非常に早い。そのため、温

度の高い状態で横積みすると、芽が上に曲がって

伸びたり、軟白部が曲がってしまう。また、縦に

置いて芽が曲がらなくとも、伸長した部位は淡い

緑色となり、軟白部の白とのコントラストが悪く

なって外観を損ねる。さらに品質低下が進むと、

外葉の葉身から黄化や腐敗が発生したり、軟白部

のツヤがなくなる。収穫・調整・出荷作業は、夏

ネギでは2日程度で済ませる。

収穫後のほ場管理

収穫残さをほ場外に搬出し、プラウ等で土壌反

転耕を行う。

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242 ネギ

ネ ギユリ科

秋冬どり

目標収量

3,700 (kg/10a)

チェーン ポット育苗

地床育苗

●播種  ◎定植  □□収穫

● ◎

● ◎

栽培型 上 中 下

4月

上 中 下

5月

上 中 下

6月

上 中 下

7月

上 中 下

8月

上 中 下

9月

上 中 下

10月

上 中 下

11月

上 中 下

12月

(囲いネギ)

中 下

1月

上 中 下

2月

上 中 下

3月

(囲いネギ) ●

栽培暦

作型の特徴秋冬どりは、大きく3体系ある。4月に播種し年

内に収穫する作型は最も作りやすく、一般的で栽

培面積も多い。

冬期出荷は、露地栽培して降雪前にハウスに一

時取り込んで出荷する方法と、露地で囲い冬期に

出荷する方法がある。

品種と特性夏扇4号

夏ネギの項参照

冬扇3号

合黒系のF1品種であり、耐寒性が特に強く、霜

の降りる厳寒期でも葉折れが少なく、良品多収と

なる。

葉勢は強く、立葉で葉折れが少なく、葉鞘部の

伸び特に低温期の昇りがよく、土質の重い地域や

冷涼地に適する。

白妙秋冬

黒柄系のF1品種であり、初期生育が良く、葉身

が短く、葉折れが少ない。伸びやすいため、葉鞘

の太りを確保するため、土寄せを少し遅れ気味に

行う。生育後半の軟腐病や葉先枯れが出やすく、

根張りが弱いため強風により倒伏しやすいので注

意する。

夏扇2号

黒柄系のF1品種で、揃いが良いが、暑さに弱く、

生育・伸びがやや弱い。

緑の剣

黒柄系のF1品種であり、病気に強く、葉質がし

っかりしており、耐倒伏性がある。耐暑性や耐寒

性に優れ、いかなる温度条件でもゆっくり生育す

るため、伸びすぎることがなく、台風による倒伏

害や棒ネギになる心配がない。

栽培方法次の体系で栽培する方法を前提とする。

①チェーンポット育苗と移植機(ひっぱりくん)体系

②地床育苗と機械移植体系または手植体系

育苗 共通 育苗の項参照

□本畑準備土壌改良

土壌適応性は広いが、排水がよく、適当な保水

性をもった肥沃な土壌が適する。加えて、栽培の

特性から白根部を確保できる作土層が必要である。

また根の酸素要求性が高いので、排水不良地では

生育に対する影響が大きい。

排水不良による生育障害を防ぐため、暗きょに

よる地下排水を行うとともに、地表水を速やかに

排水するための明きょを設置する。

定植予定の1週間以上前に堆肥や土壌改良資材を

散布し25cm以上の深耕を行う。

なお、土壌改良資材は土壌pH6~6.5を目安に施

用量を加減する。

チェーンポットや機械移植では砕土率が植え付

け精度、能率に影響するので十分に行う。

施肥

【施肥例】

成分量(kg/10a)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

10~12

10~15

20~25

8~10

10~12

10~15

Page 29: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

243ネギ

注)連作による土壌病害の発生が懸念される場合

は、石灰窒素を60kg/10a程度施用する。但し、

この場合は基肥から窒素成分量を減肥する。

畝立て

畝幅90~100cm。植え溝は培土機等を用いて深

さ、溝底部の幅とも25cm以上に掘る。

【植え付け溝の断面図】

□定植チェーンポット育苗と移植機(ひっぱりくん)体系の場合栽植様式

畝幅90~100cmの植え溝に株間5cm(チェーン

ポット)で定植する。

定植時の留意点

ひっぱりくんは一定速度で平行に引っ張る。ま

た、溝の中心の植え付け部分を足で踏みつけない

ように留意して植え付ける。

チェーンポットの根鉢が土で隠れるように植え

付ける。但し、深植えにしないように留意する。

【定植時の苗の大きさの目安】

草丈:15cm(剪葉後)

葉数:2~3枚

太さ:2~3mm

根鉢が十分形成されていること

地床育苗と機械移植・または手植え体系の場合定植苗は、太さ8mm、草丈30cm、葉数3枚程度

が適期である。大苗、小苗に分けて植える。

畝幅90~100cmとし、苗は3cm間隔に植える。

苗は溝の側面にまっすぐに立てるように植え、

倒れない程度に5cm位根元に土寄せを行う。

□定植後の栽培管理除草

定植後、土寄せまでに雑草の発生が予想される

場合は、除草剤を散布して雑草の発生を抑える。

除草剤を散布する場合は、ネギに直接かからない

ように十分注意して行う。砂質土壌では薬害を避

けるため、除草剤の散布は避ける。

追肥

生育に応じて追肥間隔や追肥量を加減する。特

に、最終土寄せ時の追肥は、ネギの太りや葉色を

見ながら判断する。追肥は土寄せと同時に行う。

緩効性高度化成肥料を使用し、10a当り1回に

つきチッソ、カリ成分で2.5~3kg施用する。

【追肥時期の目安】

土寄せ作業に合わせ、土寄せ前に株元に施用する。

土寄せ 

土寄せの回数を多くし、かつ早くから行うと軟

白部は長くなるが、細くて収量が上がらない。

一方、土寄せ回数を減らし、かつ遅く行なえば太

くはなるが、軟白部は短く、締りも劣り商品価値

が下がるので、生育状態をみて土寄せを行う。

【土寄せの目安】

定植15~20日後(茎径4~6mm以上)ころに除

草を兼ねて定植畝の表土を削り込みし、その後20

日目に再度土を戻して、畝を平になるようにする。

その後、20日前後の間隔で土寄せを行う。最後

の土寄せは、収穫予定の20日前に行う。収穫期間

が長くなる葉鞘部の伸長が進み、葉鞘部の緑白部

(ボケ)になり品質が低下するので、最終土寄せは

大面積を一斉に土寄せせず、日毎の収穫量に合わ

せて土寄せを行う。

【土寄せの程度】

最後の土寄せ以外は、葉身部と葉鞘部の分岐点

を超えないように、分岐点から10cm程下まで行う。

最後の土寄せは葉身と葉鞘部の分岐点まで行う。

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

有機配合肥料

速効性高度化成

3,000

200

60

100

(10-14-10)

(14-10-12) 80

削り込 み部分

畦 の高さ

cm25

cm植え 幅 25

cm畝幅 90~100

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244 ネギ

□収穫・調整収穫適期と収穫方法

ネギの生育状態、市況等から収穫期を決めるが、

最終土寄せをして、軟白長(30cm以上)や太り、

しまり等をみて出荷基準に達したら収穫する。

品質保持のため、一人で1日あたり20~30ケー

スを掘り取りの目安とする。

堀取りには、管理機用堀取りロータ、乗用トラ

クタ用浮かし掘り機、根深ネギハーベスタにより

行う。

堀取り時は土壌水分に注意し、皮むき時に軟白

部への土砂の付着を少なくする。堀取り後は布袋

などで巻いて収納し、運搬時は立てた状態で積み

込み、葉の損傷を防止する。また、屋内で保管す

る場合も立てた状態がよい。

出荷調整

根切り、葉切り、皮むき、選別、結束、箱詰め

作業を行う。作業時間がかかるため、皮むき機

(根・葉切り付きもある)や選別機を利用して調整

する。

生葉数3枚程度付け、全長60cmとする。根はで

きるだけ短く切り、太さ、長さを揃える。ただし、

根の切りすぎは出荷後に軟白部の中心の葉鞘部が

下へと伸びて(出ベソ)、見栄えが悪くなるばかり

か、やがて軟白部がぶかぶかになって商品性がな

くなるので注意する。

また、調整作業終了後できるだけ早く出荷を行

い、予冷庫で温度を下げて鮮度保持に努める。

鮮度保持

収穫後の芽の伸長が非常に早い。そのため、温

度の高い状態で横積みすると、芽が上に曲がって

伸びたり、軟白部が曲がってしまう。また、縦に

置いて芽が曲がらなくとも、伸長した部位は淡い

緑色となり、軟白部の白とのコントラストが悪く

なって外観を損ねる。さらに品質低下が進むと、

外葉の葉身から黄化や腐敗が発生したり、軟白部

のツヤがなくなる。

収穫・調整・出荷作業は、気温の状況を見なが

ら2~5日程度で済ませる。選別は規格別に太さに

より選別を行う。また選別機の利用により作業効

率が向上する。

結束は、手動型や小型の電動式、自動結束機に

より行う。

箱詰めは、人力で出荷規格に合わせて行う。

収穫後のほ場管理

収穫残さをほ場外に搬出し、プラウ等で土壌反

転耕を行う。

□貯蔵・囲いネギ降雪前の11月中旬に掘り取りを行い。排水良好

なハウス内で貯蔵する。10a当たり80坪程度の面

積に結束した束を並べ、軽く培土する。ハウス内

は適度な水分が必要であり、凍害のない条件では

土壌水分30%であれば根部への土寄せだけで貯蔵

できる。

露地での囲いネギは砂丘地で可能である。結束

した束を並べ、軽く培土した後にべたがけ用の不

織布を被覆する。

削り込み 定植15~20日後 に実施

埋め戻し 削り込み20日後 に平畝にする

第1回土寄せ 埋め戻し20日後 に実施

第2回土寄せ 第1回土寄せ20 日後に実施

第3回土寄せ 第2回土寄せ15 ~20日後に実施

葉鞘部と葉身部の 分岐点から10cm位 下まで土寄せ

分岐点まで 土寄せ

【土寄せの方法】

Page 31: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

245ネギ

ネ ギユリ科

ハウス軟白栽培

目標収量

700 ~ 800

(kg/100㎡)

冬 ど り

早春どり

●播種  ◎定植  □□収穫   軟白被覆

● ◎

栽培型 上 中 下

4月

上 中 下

5月

上 中 下

6月

上 中 下

7月

上 中 下

8月

上 中 下

9月

上 中 下

10月

上 中 下

11月

上 中 下

12月

上 中 下

1月

上 中 下

2月

上 中 下

3月

● ◎

栽培暦

作型の特徴ネギの作期が拡大できるとともに、端境期でも

高品質のネギが生産できる。特に冬期間の栽培が

可能である。

ネギの軟白に遮光フィルムを使い、株間を詰め

ることによって、ハウス内で集約的な栽培が可能

である。

ハウス栽培なので病気の発生が少なく、防除回

数を減らすことができる。

品種と特性冬どり、早春どり栽培

夏扇4号、夏扇2号、秀逸

(特性は夏どり、秋冬どり栽培を参照)

栽培方法

□育苗(裸苗一般育苗)育苗床

苗床面積はハウス本畑100㎡当たり30㎡(播き

床はベット幅100~120cm)。播種床は排水対策

を十分図るとともに堆肥等の有機物、土壌改良資

材の施用を行ない、深耕して膨軟な土壌にする。

耕起、施肥は播種7日前までに行なっておく。

苦土石灰は土壌pH6.0~6.5を目標に施用し、よ

うりんは土壌の性質に応じて加減する。

タマネギバエ、ネダニ防除のため、畝をつくる

時または播種直前に土壌施薬剤を土壌混和する。

播種

播種量:ハウス本畑100㎡当たり約12,000粒

播種方法はすじ播きで行う。畝に直角に条間10

~12cmに浅い溝を切ってすじ播きするか、畝に対

して平行に4~6条に、播種機やシードテープで播

く。覆土は2~3mmとし、播種後灌水し発芽まで

寒冷紗等で被覆して乾燥を防ぐ。

育苗管理

発芽後、密生部を間引き1.5~2.0cm程度にする。

追肥は葉色をみて行う。

病害虫防除を適切に行う。特に、べと病に注意

する。

定植時の苗の目標は、太さ5mm以上、草丈25~

30cm程度、葉数3枚程度とする。

※栽培方法として、チェーンポット育苗し、本畑

に溝を掘って直接定植する方法もある。

□本畑準備(ハウス床の準備)畑の選定

灌水施設のあるパイプハウス等とし、栽培が冬

季にわたる場合は施設の耐雪性や除排雪の便を考

える。

土壌改良

土壌pHは6.0~6.5を目標に土壌改良資材を施用

し改善に努める。ようりんは土壌の性質に応じて

加減する。

施肥

【施肥例】

苗床施肥例(kg/100㎡)

チッソ リンサン カリ 備考

基 肥

追 肥

1.2

0.5

1.6

0.1

1.2 堆肥 400 苦土石灰 20 ようりん 50.5

成分量(kg/100㎡)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

2.0

1.0

2.9

0.4

2.0

0.8

Page 32: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

246 ネギ

ハウス内土壌のECを測定し、EC0.3以下では標

準肥料とし、EC0.7以上では基肥無施用とする。

肥料は速効性と緩効性肥料を併用する。

定植準備

耕起は、定植7~10日前に土壌改良資材、基肥

を全面散布した後に行う。耕起後平らに整地し、1

畝おきに灌水チューブを設置する。定植の4~5日

前に全面灌水して床を湿らせ、定植用穴あきマル

チを張って地温を高めておく。

□定植植え付けは、条間30cm、株間3~4cmとし、植

え付け深さは5cm程度で手植えで行う。ハウス中

央部は約60cmの通路をとる。手植えは、適当な棒

などを用いて穴をあけ、苗を差し込んで植え付け

る。

苗が徒長し定植しにくい場合は、葉の先端を剪

葉する。この場合、定植前の苗床で追肥をして苗

の活性を高めておく。

□定植後の栽培管理水分管理

定植後ただちに灌水チューブで十分灌水し、活

着を促進する。

乾燥すると生育が停滞するので、土壌表面がい

つもわずかに湿り気を持っている程度に灌水する。

高温時の過剰な灌水は徒長と病害の発生を招くの

で注意する。

温度管理

生育適温は15~20℃である。露地栽培に比べて

密植でしかも土寄せをしないので、徒長・倒伏し

やすい。できる限りハウスの換気を行なって徒長

を防止する。

追肥

生育状況を観察しながら、液肥を200倍に薄め

て灌水チューブにより追肥する。一回の追肥量は、

100㎡当たりチッソ成分量で0.2~0.3kg程度とする。

倒伏防止対策

1mおきに支柱を立て、両側からヒモで挟んで倒

伏しないよう支持する。ヒモはネギの生長に合わ

せて3段程度適宜張る。ヒモの材質は伸縮性のない

ものが良い。

ネギの生長に合わせて早めに倒伏防止の作業を

行わないと、ハウス内への急な風により倒伏する

場合があるので注意する。

軟白

出荷目標とする太さ(葉鞘径15mm程度)と草

丈(80~90cm程度)を確保してから軟白処理を

始める。

軟白期間は40~50日(約350日度)必要とする

ので、収穫時期から逆算して軟白開始時期を決定する。

軟白用の資材は遮光率100%のシート状のもの

であればたいてい使用できるので、コストと取り

扱いの容易さで選択する。被覆資材幅は42~

43cmとし、設置する場合は地際部が少し空いてい

ても良い。被覆資材の上端部が開いて光が入る場

合は、洗濯バサミ等で抑える。

被覆開始2週間前に灌水を中止して、ネギを堅く

作っておくことが大切である。

遮光資材で被覆し葉鞘を軟白処理する

施肥量(kg/100㎡)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

有機配合肥料

液  肥

200~300

(13-10-12)

(0-20-0)

肥効調節型高度化成

20

6

10

6 (14-12-14)

(10-4-8) 10

条間30cm通路60cm

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

247ネギ

□収穫・調整葉鞘の軟白部の長さが出荷基準に達しているこ

とを確認して収穫を開始する。

□病害虫防除露地栽培同様に病害虫の発生に注意が必要であ

るが、雨が当たらないので発生は比較的少ない。

ハウス両サイドに寒冷紗を張って害虫の侵入を防

ぐ。

□生理障害葉先枯れ

土壌pHが低い場合や高温障害、水分不足に伴っ

て発生する。なお、ネダニ、べと病などの病害虫

によることもある。

葉折れ

チッソが効いて、地上部の生育が旺盛すぎ、根

からの水分供給が追いつかない場合に発生する。

また、日照不足も原因となる。

□収穫後のほ場管理収穫残さ及び資材をほ場外に搬出する。特にネ

ダニによる被害は深刻なので十分留意する。

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248 ネギ

収穫時期の分散を図るため、品種の組み合わせ

や、同一品種の組み合わせにあっては14日以上の

間隔で播種時期をずらす。

■チェーンポット育苗

□育苗準備育苗日数

育苗時期・気温により異なるが、夏どり作型で

はおおよそ60日前後、秋冬どり作型ではおおよそ

50日前後である。

育苗場所と必要面積

ハウス内で育苗する。育苗床面積は35~40㎡必要。

10a当り必要資材

育苗用培土は肥効の長いもの、保水性の良いも

のを選ぶ。

育苗培土に超微粒被覆肥料(マイクロロングト

ータル100日タイプ)を培土1L当たり2g添加す

ると育苗中の追肥が省略でき、定植後の初期生育

を促進する効果がある。

使用する場合は良く培土と混合すること。

ただし、市販のネギ専用培土を使用する場合は、

肥料の混合は不要である。

◎必要資材

・コーティング種子 約4万~5万粒

・チェーンポットCP-303(80冊)

・水稲育苗箱(80枚)

・底敷紙(エコパピーⅡ、ネトマール)(80枚)

・育苗用培土(1袋30L×13袋=390L程度)

・覆土用培土(1袋30L×3袋=90L程度)

・播種セット

□播種チェーンポット育苗では、水稲育苗箱に底敷紙

を敷き、ポットをセットする。

培土はポットに均一に入れ、ブラシ等で叩きな

がらやや固めに詰める。人力で培土を充填する場

合はポットの外側の土の量が少なくなりがちなの

で十分注意する。

その後、十分灌水する(播種後に灌水してもよ

い)。ポットに灌水してから播種する場合は1時間

位経過してから播き、その後十分灌水する。

種子をポットシーダや播種機、播種板等で1穴当

り2~2.5粒播く。

覆土はポットの区切りが見えない位、少し厚め

(約3mm位)に行う。覆土が浅いと浮き根になり

やすく、厚すぎると発芽不良を招く。

覆土後は鎮圧し、灌水する。灌水は種子の露出

や流出を防ぐため数回に分けて行う。不織布等で

ポットの上にベタガケした上から灌水すると覆土

が固まらない。

ポットの底面から水がしみ出る程度に灌水する。

灌水後は、床土の乾燥を防ぐため、不織布や新

聞紙等で覆い、発芽まで乾燥させないようにする。

□育苗管理育苗ベンチ

夏どり作型では、1~3月の低温期に播種するの

で、電熱温床(3.3㎡当たり500w)で育苗する。

底敷紙を使用していない場合は、根鉢形成をよく

するため、育苗ベンチに育苗箱を置く。育苗箱を

直接地べたに置くとトレイの底穴から根が出て、

定植の際、苗の根が絡み、植え傷みが大きくなる

ほか、移植の精度、能率が劣る。

温度管理

発芽まで20~25℃前後に保つ。

発芽したらすぐベタガケ資材を除去し、生育適

温15~20℃で管理する。高温では軟弱徒長になり、

低温では生育が遅延するので、ハウスやトンネル

の換気に十分留意する(ハウス、トンネル内は最

高25~30℃を目安に換気する)。

定植7~10日前頃から、ハウスの換気を十分行

ない外気に除々に馴らす。

10月上旬に播種する7月どり作型では、ハウス

内育苗とし、二重トンネルで保温する。低温時に

は暖太郎等のハウス栽培用保温器具を設置して、

保温に努める。

灌水

日照量の少ない時期の育苗であり、徒長と根腐

れ、病気を防ぐため過湿にならないように灌水に

は十分注意する。

灌水の目安として、チェーンポットでは2~3日

に1回。(初期は灌水回数を少なく)、天候と土壌の

乾き具合によって適宜行う。発芽後2~3週間目頃

育 苗ネギ共通技術

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

249ネギ

からは、灌水量を控え目としてがっちりとした苗

づくりに努める。

初期低温時の灌水は、地温と同程度の温湯を灌

水する。

灌水は原則として朝に行ない、夕方ポットの表

面が白く乾く程度の量とする。定植前日は十分に

灌水する。

追肥

播種後30日前後から、肥料切れの兆候が見られ

る場合は、葉色等をみて灌水を兼ねて液肥(くみ

あい液肥2号などを400~500倍液に薄める)を適

宜(10日おき程度)施す。

防除

定植2~3日前には病害虫の予防散布をする。

剪葉

定植時に草丈が20cm以上になると、植え付け作

業時に苗が倒伏し、作業効率が低下する。また、

移植が不十分になり、手直しが必要となる。

そのため、葉が伸びすぎた場合に、本葉1.5葉期

と定植5日前の2回程度、15~17cm程度の長さに

剪葉する。剪葉により茎が太くなり、定植時の倒

伏もなくなる。

定植前の管理

定植は草丈15~20cmまでに行う。定植2週間前

には日中のハウス内の温度を外気に合わせ、夜間

温度も徐々に順化する。定植の前日の夕方にはた

っぶり灌水し、乾燥ぎみになっている培土に十分

吸水させる。当日は4~5時間前に日常の管理程度

より若干多めに灌水する。移植時に水分不足だと、

ボットの糊の剥がれが悪く、連結ポットの切断な

どがおきる。また培土が脱落し植え溝にしっかり苗が

落ち着かず浅植えとなり、植え付けが不十分になる。

■地床育苗

□育苗準備育苗床

苗床面積は本畑10a当たり150㎡

(播き床はベット幅100~120cm)。

土壌改良・施肥

播種床は、排水対策を十分図るとともに堆肥等

の有機物、土壌改良資材の施用を行ない、深耕し

て膨軟な土壌にする。施肥は播種7日前までに行な

っておく。耕起、砕土を良くする。

苦土石灰は土壌pH6.0~6.5を目標に、ようりん

は土壌の性質に応じて加減する。

ハウスで育苗する場合は、ハウス床土を分析し、

残存養分量が多い場合は施肥量を減ずる。

【施肥例】

病害虫防除

タマネギバエ防除のため、畝をつくる時か、播

種直前に土壌施薬剤を土壌混和する。

□播種播種量6~8dl。

条播きする。畝に直角に条間10~12cmに浅い

溝を切って播くか、畝に対して平行に4~6条に、

播種機やシーダーテープで播く。

覆土は2~3mmとし、覆土後灌水し、発芽まで

不織布等で被覆し乾燥を防ぐ。

秋播き作型では、ハウス地床育苗とし、適期に

播種を行う。播種期が早いと大苗になり、翌春抽

台する可能性が大きくなり、播種期が遅いと十分

な生育量が確保されず越冬中に枯死してしまう危

険性がある。低温時には暖太郎等のハウス栽培用

保温器具を設置して、保温に努める。

□育苗管理発芽後、密生部を間引き1.5cm程度にする。

追肥は葉色をみて行う。

除草は除草剤の使用や手取り除草を行う。

病害虫防除を適切に行う。特に、べと病に注

意する。

成分量 (㎏/100㎡)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

1.3

0.6

2.0 1.3

0.6

施肥量(kg/100㎡)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

緩効性高度化成

400

(15-15-15)

10~15

4~6

8.6

Page 36: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

250 ネギ

□病害虫防除薬剤散布は病害虫の発生密度が高くなる前に行

う。ネギは茎葉に薬剤が付着しにくいので、展着

剤は使用基準の範囲内で最も濃い濃度で加用する。

さび病

葉身に楕円形~紡錘形のオレンジ色の斑点を生

じる。被害の激しい葉は病斑に覆われ、やがて枯

死する。被害植物体に夏胞子や冬胞子の状態で越

年し、翌春、夏胞子を飛散して第一次伝染源にな

る。夏季の高温で病勢は一旦衰えるが、越夏し、

気温の低下に伴い夏胞子が飛散して第二次伝染源

となって発病する。

春季と秋季の低温(発病適温は15~20℃)と降

雨で多発する。特に冷夏の年は秋季に多発する傾

向がある。年により発病差が大きく、多肥および

肥料切れや排水不良条件で発病しやすい。

発病密度が高くなる前に治療剤による防除を実

施する。防除時期は稲刈り前後に行い、1回目は9

月上旬、2回目は9月下旬~10月上旬に行う。

べと病

病徴は、葉に楕円形または紡錘形の黄白色の病

斑を生じ、被害が進むと、萎れて枯れる。古い被

害葉は、病斑が黒いビロード状の雑菌に覆われる

ことがある。

気温が15~20℃で降雨が続くと発病が多くな

る。特に、6月~7月の梅雨期と、10月~11月の

降雨が多くなる時期に被害が目立つようになる。

水田転作畑や排水不良畑で発生しやすい。

梅雨前の防除を徹底する。また、一旦発病する

と被害の拡がりは早いので早期の防除に心がける。

秋季はさび病との同時防除とする。

黒斑病(葉枯病含む)

葉に淡黒色すす状のカビを同心輪紋状に形成す

る。発病適温は24~27℃で、8月から9月の高温

期に被害が多くなる。夏季の高温で草勢が衰える

と発生しやすい。梅雨明け後(7月下旬~8月上旬)

の防除を徹底する。ネギアザミウマによる食害痕

からの感染が多発の一因になるため、7月下旬にネ

ギアザミウマとの同時防除を行う。

近年、葉枯病との重複感染が多くみられる。病

徴が類似しており、見取りでの区別は難しい。防

除は黒斑病に準ずる。

病害虫防除・生理障害対策ネギ共通技術

さび病の発生消長

0

5

10

15

20

25

30

6月 7月 8月 9月 10月 11月

平 均 気 温

( ℃ )

平均気温 消長

発病適温

さび病 各地域の発病推移

0

10

20

30

40

50

7月 8月 9月 10月

発 病 株 率

% )

由利 山本 北鹿

べと病の発生消長

100

120

140

160

180

200

220

6月 7月 8月 9月 10月 11月

降 水 量

㎜ )

降水量 消長

べと病 各地域の発病推移

0

2

4

6

8

7月 8月 9月 10月

発 病 株 率

% )

由利 山本 北鹿

Page 37: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

251ネギ

小菌核腐敗病

本病は秋季の収穫間際に病徴が目立つようにな

る。秋季は土中の軟白部に発病するため、病徴に

気づくのは収穫時になってからがほとんどである。

軟白部表面に淡褐色の斑点を生じ、しだいに拡大

して病斑を中心に縦に亀裂が入る。時に亀裂部分

から内葉が突出する場合もある。病徴が進むと腐

敗残さ上に暗褐色~黒色の菌核を多数形成する。

出荷調整の皮むきで病斑部を落としても、出荷先

で腐敗する場合もある。

近年、春季の低温期に定植後の幼苗に発病する

場合が多い。葉先枯れ症状から始まり、病徴が進

むと枯死し、欠株となる。気温の上昇に伴い発生

は少なくなる。

抵抗力の弱い初期生育での発病が主となるため、

定植前の防除(灌注や浸漬処理:防除基準参照)

を徹底し、適期の定植(老化苗防止)を行う。

軟腐病

地際部の病斑は葉身の展開部に水浸状斑を生じ、

やがて内部が腐敗し、外葉から次々と軟化腐敗す

る。地下部の病徴は、茎盤基部の一部がやや褐変

し、地下部は生育不良となる。腐敗部は軟腐病特

有の悪臭を発する。

気温が30~35℃で多雨の時に発生しやすく、ほ

場が湛水状態になると激発する。

第一次伝染源は土壌中の細菌で、そこに感受性

の作物が栽培されると細菌は根圏などで増殖し、

傷口や自然開口部から侵入して感染が起こる。発

病株から細菌が溢出し、隣接株へ次々と伝染する。

窒素過多、傷口や害虫の食害痕は発病を助長す

る。

ほ場の排水を良くする。

高温時の多窒素施用、土寄せによる断根、過剰

の灌水を避ける。

発病株は速やかに除去し、ほ場外へ持ち出し処

分する。

害虫の防除を徹底する。

ネギハモグリバエ

成虫は葉の組織内に点々と産卵し、幼虫は葉内

に潜入し、移動しながら葉の内側から食害する。

そのため被害部は白いすじ状になる。幼虫は黄白

色のの小さなウジのような虫で体長4mmほどで体

の前後に気門がある。多発すると生育が遅延し、

品質低下を招く。本県では年に3~4世代発生する。

寄生密度が高くなる前に防除する。7月下旬以降は

寄生数が多くなるため茎葉散布剤による防除をネ

ギアザミウマとの同時防除で行う。

ネギアザミウマ(スリップス)

成虫および幼虫が葉の表層を吸汁して組織を傷

つけるため、葉の生育に伴いカスリ状に白くなり、

外観を損ねる。7月下旬~8月上旬に急増し被害が

目立つようになる。高温・少雨の年に多発する。

ネギアザミウマの被害痕から黒斑病等の病害が発

生しやすくなるため、防除を徹底する。

7月下旬の急増期にマイクロカプセル剤による茎

葉散布を行い、寄生密度の増加を防ぐ。

黒斑病(Alternaria porri) 葉枯病(Stemphylium)

黒斑病 各地域の発病推移

0

20

40

60

80

7月 8月 9月 10月

発 病 株 率

% )

由利 山本 北鹿

ネギハモグリバエの発生推移

0

20

40

60

80

7.2 7.6 8.4 9.2 9.6 10.4(月.半旬)

被 害 葉 率

% )

由利 山本

Page 38: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

252 ネギ

タマネギバエ

幼虫が地際部から茎内に食入し、根茎部を食害

する。被害株の茎内には白~黄色のウジが寄生し

ており、株は簡単に抜けやすく、やがて枯死する。

育苗時や幼苗定植で発生しやすい。

土中で蛹で越冬し、成虫は5月下旬、7月下旬、

10月の3回の発生ピークがみられるが、成虫は2ヶ

月程度生存し、この間に200~300粒産卵する。

幼虫は茎の下端発根部から食入し、2~3週間加

害し、その後土中で蛹化する。

未熟堆肥や鶏糞、魚かすなどの有機物の臭に誘

引されて産卵が多くなるので、これらの有機物の

施用を控える。

植え傷みや定植時の病害の発生による腐敗臭に

誘引されるので注意する。

ネギコガ

4月頃から幼虫が葉肉内に潜入し、葉の内側から

食害する。食害部ははじめ小白点や不規則な条状

の斑紋ができ、食害が進むと白斑が透明になる。

幼虫は成長すると葉に円い孔を開け、表面に出て

繭を作りその中で蛹化する。

成虫で越冬し、年数回発生する。産卵は葉上に

行い、葉肉を食害し、葉上で蛹となる。蛹は網状

のまゆをかぶる。

ネダニ

1mm前後の洋梨型のダニがネギの地下部に寄生

食害し、株が腐敗する。初夏と初秋に多く、連作

により発生が多くなる。

4月頃から10月頃まで10世代を繰り返す。気温

が20~25℃が繁殖に好条件で、初夏あるいは初秋

に多く増殖し、盛夏にはやや減少する。

連作すると発生被害が多くなるので、ネギ類の

他、いも類、球根類との連作を避ける。

□生理障害葉先枯れ

培土後の高温・乾燥による根傷みや分施量が多

いと発生しやすい。高温・乾燥が続くときは、灌

水の効果が高い。また、追肥時の肥料焼けを防ぐ

ため、窒素で10a当たり3kgを限度とし多肥を避

けるとともに、施肥4~5日後に培土を行い、肥料

による根傷みを防ぐ。

葉身の波打ち症状

多肥条件で発生しやすくなる。対策として、追

肥の適正施肥を心がけ、多肥栽培を避ける。また、

速効性肥料を減らし、有機質肥料などの緩効性肥

料を使用することで発生を減らすことができる。

ネ ギ ア ザ ミウ マ の 発生推 移

0

20

40

60

80

100

7.2 7.6 8.4 9.2 9.6 10.4(月.半旬)

被 害 葉 率

% )

由利

山本

Page 39: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

253タマネギ

タマネギユリ科

露地栽培

目標収量

5,000 (kg/10a)

秋播き

●播種  ◎定植  □□収穫  

● ◎

栽培型 上 中 下

8月

上 中

(慣行)

(セル成型育苗)

9月

上 中 下

10月

上 中 下

11月

上 中 下

12月

上 中 下

1月

上 中 下

2月

上 中 下

3月

上 中 下

4月

上 中 下

5月

上 中 下

6月

上 中 下

7月

● ◎

栽培暦

20kg、堆肥100kgを全面散布する。黒ぼく土壌で

はリンサン肥料を多く施用する。肥料はチッソ、

リンサン、カリとも成分で1.6kg位を播種7日前

まで全面に施し、土とよく混和する。

有機質肥料を施用する場合は、播種までの期間

を長くする。

苗床は畝幅120cm、高さ10cm程度とし、排水

の悪い畑では高畝とし、明渠を設置する。

播種量

苗床50㎡当たり6~7dl準備する。

播種方法

播種適期は8月下旬。

苗床面を平らにし、6cm間隔の浅い溝をつけ条

播きする。シーダーテープや播種機の利用により

省力化が図られる。

覆土は種子がかくれる程度(10mm前後)に薄

く、ムラなく行い、軽く鎮圧する。

覆土後、乾燥及び打ち雨を防ぐため敷きわらか、

くん炭をかけ十分に灌水する。

敷きわらは、発芽後に曇天あるいは夕方に取り

除き、苗が日焼けしないようにする。

作型の特徴土壌はあまり選ばないが、低湿地、強酸性土、

やせ地などでは収量が低い。早だしには適湿の砂

壌土、貯蔵用には粘質土壌が適する。

セル成形苗を利用した機械移植や機械収穫など

機械化一貫体系が確立しており、大規模栽培が可

能である。近年は貯蔵以外に生食、切り玉などの

用途が拡大している。

品種と特性もみじ3号(晩生種)

長期吊り貯蔵及び冷蔵貯蔵用品種である。草姿

は立性で葉色濃く、軟腐病、根腐れ、葉枯れ症に

強い。甲高球に良く揃い、首締まり良く、貯蔵性

が良い。表皮はよく密着し、光沢がある。

泉州中甲黄(中晩生種)

黄大タマネギの代表種で、全国的に広く栽培さ

れている最も栽培が容易な中晩生種である。球重

350g内外の中甲高となり、葉は濃緑色で細長く

やや立性である。

O・P黄(中生種)

甲高の豊円球で、貯蔵力に優れた中生種である。

分球やトウ立ちの心配が少なく、12月までの吊り

貯蔵が可能で、品質は上々である。

栽培方法

□慣行育苗苗床準備

酸性に弱いのでpH6.5前後の肥沃な土壌を選ぶ。

本畑10aに要する苗床面積は50㎡程度である。

耕起前に100㎡当たり炭カル30kg、ようりん

播種溝 6㎝

90㎝

120㎝

育苗床

Page 40: ハウス栽培 - maff.go.jp...216 ナバナ類 病害虫対策 9月から11月にかけては、アオムシ、コナガ、 アブラムシが発生するので注意する。 本畑準備

254 タマネギ

育苗管理

乾燥に弱いので、時々灌水する。

発芽後混み合ってきたら、早めに間引きし充実

した苗を育成する。株間は最終1~1.5cm位を目安

とする。

追肥は発芽後20日目頃から10㎡当たり尿素500

倍液50L程度を2回程度施す。

病害虫対策

有機質の投入により、タマネギバエの発生が多

くなるので苗床準備時に薬剤により予防する。ま

た、苗立枯病の発生が多い苗畑は土壌消毒を実施

する。

□セル成型育苗必要資材

10a当たりセルトレイ448穴(14×32)60枚、タ

マネギ専用培土5袋、コーティング種子27,000粒。

播種作業

セルトレイ供給→土詰め→播種→覆土が一連作

業で行える専用の播種プラントでは、1時間で約

300枚程度の播種が可能である。

苗床は耕起・均平にした後、十分灌水し、土を

落ち着かせてから根切りネットを敷く。

トレイを並べ踏圧し、苗床にトレイを密着させ

る。その後十分灌水し、トレイ上の水分がなくな

ったら、シルバーポリトウなどで被覆する。

温度・灌水管理

発芽には7~10日程度要し、覆土が乾いた場合は

軽く湿る程度に灌水する。

発芽適温は18~20℃であり、ハウス内の温度が

上がり過ぎないように通風・換気する。

約90%程度発芽したら、シルバーポリトウなど

を取り除き、灌水する。

第1葉が展開するまでは、覆土が白く乾かない程

度の灌水にとどめ、その後は乾いたら灌水する。

昼夜ともハウスは全開し、通風をはかり苗の徒

長を抑える。

定植時の根崩れを防ぐため、定植の前日に凝固

剤と浸透剤をトレイに散布する。

草丈が20cm以上では、移植機械が利用できない

ので剪葉する。

□定植本畑準備

土壌はあまり選ばないが、低湿地や強酸性土壌

では収量が上がらない。乾燥をきらい、砂壌土か

ら壌土が最も適し、やや粘質の土壌では玉のしま

りが良く貯蔵に向く。

土壌改良

石灰や苦土が極端に不足すると要素欠乏をおこ

すので、pH6.5位に矯正する。

リンサンが不足すると根の発達が悪く、越冬率

が低下するので、リンサン資材は必ず施用する。

施肥

窒素肥料の多用は遅効きや活着不良、生育遅延、

軟腐病等の多発や貯蔵性の低下など、マイナス面

が多いため避ける。生育期間が長いので、緩効性

肥料や有機質肥料を主体に施す。

【施肥例】

植え付け

越冬前に十分に根を伸ばし、株の充実を図るこ

とが重要である。健苗の確保とセル成型育苗は10

月上中旬までの、慣行育苗は10月中下旬までの適

期定植を遵守する。

定植苗は草丈25~30cm、本葉3~4枚、茎の太

さ6~8mm、太さ4~5g(100本重500g)を目標

とする。小苗では収量が低く、大苗過ぎるとトウ

立ちが多くなる。(育苗日数は60日前後)

3cm程度のやや深植えとし、越冬率を高める。

セル成形育苗は、土量が少ないので育苗日数を

40日程度とし老化苗にならないように注意する。

栽植密度

畝幅75cm、株間15cmの3条植え、または畝幅

150cm(ベット幅100cm、通路50cm)、株間

15cmの5条植え。植え付け本数は10a当たり

22,000~27,000本となる。

地下水位の高いところは高畝に、砂質のところ

成分量(kg/10a)

※リンサンは土壌改良資材由来も含む。

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

8

15

28※

8

15

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

高度化成

高度化成

2,000

200

100 必須

50

(16-16-16)

(15-0-15) 100

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

255

は平畝にする。

□定植後の管理追肥

4月中旬から根の生育が盛んになり、この時期に

チッソ、カリ、水分が不足すると肥大が劣る。

追肥の時期は、1回目は消雪直後とし4月中旬ま

でに終了する。2回目は5月上旬、3回目は5月下旬

とし、遅くても5月末までには追肥を終える。1回

当たりの施肥量はチッソ、カリ成分で10a当たり4

~5kg程度とする。

中耕培土

越冬後、霜柱で浮き上がった苗は、速やかに土

中に挿し込み根付けさせる。

5月中~下旬の球肥大期に除草を兼ねた中耕・培

土は、球の色沢をよくし、品質を向上させる効果

がある。

除草

雑草の多いほ場は、除草剤の散布を行う。

□収穫・調整収穫方法

完全に倒伏するまで肥大するので、あまり早穫

りしない。収穫の目安は7月上旬、茎葉が倒れ、葉

の色が変わってきたら晴天の日を選び掘り取る。

貯蔵用は茎葉が倒伏して、緑色を残す程度が適

期である。

乾燥方法

収穫した球は茎葉を付けたまま、風通しの良い

日陰に吊り下げて貯蔵する。

コンテナ貯蔵する場合は、晴天の日に収穫し、

十分地干しを行い、良く乾燥させる。この予乾

(キュアリング)は茎葉部及び球表面を乾燥させて、

病原菌の侵入を防止するとともに、外皮の着色を

促す。

コンテナは、通風が良く直射日光の当たらない

場所に置き乾燥させる。20~30日程度風乾し、品

温が充分下がってから、選別、出荷するか貯蔵庫

に保管する。

□病害虫防除べと病・疫病

春先の気温が15℃位で雨が多いと発生し、葉が

倒れやすく、色あせて枯死する。特に4月中旬~5

月中旬に曇雨天が続いた年に多発するので、薬剤

による防除を行う。土壌中の被害残さから伝染す

るので、連作ほ場では発病が多くなる。被害株は

早めに抜き取る。

さび病

葉はオレンジ色や黄褐色のふくれ上がった斑点

を生ずる。春・秋の低温で降雨が多い場合に発病

が増加する。排水不良地で多発しやすい。

発病が多くなってからの防除は、効果が劣るの

で初期防除に努める。

黒斑病

葉及び花梗部の一部分に楕円形又は紡すい形の

病斑を生じ、初め淡褐色、後にやや暗紫色を呈し、

3cm前後の病斑となり、やがて同心輪紋があらわ

れる。輪紋上にはすすのようなカビをつくる。病

斑の上下は長く帯状に淡褐色に変わる。

風ずれやスリップスによる食害痕が多いと発病

しやすく、連作で発生が多くなる。肥切れや多湿

条件下での発生も多くなるのでほ場の排水対策も

実施する。

薬剤には展着剤を加え、畝の両面から丁寧に散

布する。

灰色腐敗病

葉身や花梗に発生する。葉の表面に灰白色不整

形のくぼんだ小斑点を生ずる。収穫直前や収穫後

の球の首の部分に発生が多い。貯蔵中、輸送中の

腐敗につながる。害虫の食害痕やべと病等の病害

に犯された部分などから菌が侵入するので、これ

らの防除を徹底する。収穫時や収穫後よく乾いて

いることが大切である。

タマネギバエ

幼虫が地際の部分から茎内に食い入り、根茎部

の食害するため、葉は萎縮したり枯れたりする。

被害葉は引っ張ると簡単に抜け、被害部は腐敗し、

食用にならない。

苗床や定植する前の防除が重要である。

ネギアザミウマ(スリップス)

幼虫・成虫が葉に寄生し、葉の表面をなめたり、

吸汁して葉の組織を傷つける。被害部には小さい

黄白点があらわれ、品質を低下させる。

ネギハモグリバエ

葉内を幼虫が食い進むため、外から見ると線状

や不整形の白斑が見られる。概して高温時には発

生が少ない。

ネダニ

根部や地下部に寄生する。食害を受けるとその

部分が軟腐する。初夏や初秋に多く、土壌別では

砂地や砂壌土に多い。

タマネギ