安心して電波を利用するために - ministry of internal affairs …...1-1 電波―...

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安心して電波を利用するために 平成17年10月17日 総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課長 富永 昌彦 総務省

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Page 1: 安心して電波を利用するために - Ministry of Internal Affairs …...1-1 電波― 電磁波の種類 ― 電離放射線 X線・ガンマ線など。多量に浴びることに

安心して電波を利用するために

平成17年10月17日

総務省 総合通信基盤局 電波部 電波環境課長

富永 昌彦

総 務 省

Page 2: 安心して電波を利用するために - Ministry of Internal Affairs …...1-1 電波― 電磁波の種類 ― 電離放射線 X線・ガンマ線など。多量に浴びることに

1 電波利用の拡大と電波の安全性

2 電波が人体に与える影響について

3 電波が医用機器に与える影響について

4 電波の安全性に関する周知・広報

総 務 省

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1 電波利用の拡大と電波の安全性

1-1 電波

1-2 電波利用の現状

1-3 今後の電波利用と電波政策

1-4 電波利用の拡大と電波の安全性

総 務 省

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1-1 電波 ― 電磁波の種類 ―

電離放射線X線・ガンマ線など。多量に浴びることによって細胞の遺伝子が傷つけられ、がん等の原因となり得ることが知られている。

電 波電界と磁界が強さを変化させながら空間を伝わっていく。

周波数帯により携帯電話やTV放送など様々な用途に利用されている。

〔周波数〕300kHz 30MHz 3GHz 30GHz 3THz 10,000THz3kHz30Hz

〔電波の伝わり方〕〔伝送できる情報量〕

障害物の後ろに回り込みやすい情報量が少ない

直進性が強い情報量が多い

総 務 省

電 磁 波

〔波長〕1km 10m 10cm 1cm 0.1mm 30nm100km10,000km

光波(光)赤外線・可視光線・紫外線など。

静電界・静磁界波の性質を持たず、電界と磁界が独立して存在。

超低周波電磁界周波数が非常に低く、波長が非常に長い(地球の半径程度の規模)。高圧送電線からの電磁波(50Hz、60Hz)はこれに当たる。

0Hz

0Hz ~300Hz

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ミリ波(EHF)

光 波

電離放射線

1-2 電波利用の現状

ガンマ線

X線

サブミリ波

固定通信に使用

波長長い

周波数低い

電 波

○直進性が高いが、山や建物の陰に回り込んで伝わることもできる。伝送できる情報量はかなり大きい。<携帯電話 PHS TV放送 レーダー 無線LAN アマチュア無線 等>

○直進性が高いが、山や建物の陰に回り込んで伝わることができる。伝送できる情報量は大きい。<FM放送 TV放送 航空管制通信 等>

○電離層(F層)と地表との反射を繰り返し、地球の裏側まで到達することが可能。<船舶・航空無線 短波放送 アマチュア無線 等>

○直進性が非常に高く、伝送できる情報量は非常に大きい。<衛星通信・放送 固定マイクロ回線 レーダー 無線LAN 等>

○比較的遠距離まで到達可能で、短波に比べて伝わり方が安定している。<中波放送(AMラジオ)等>

超長波(VLF)

長 波(LF)

中 波(MF)

短波(HF)

超短波(VHF)

極超短波(UHF)

マイクロ波準ミリ波(SHF)

移動通信に使用

超低周波(ELF)

紫外線

可視光線

赤外線

〔波長〕

〔周波数〕

10km

30kHz

1km

300kHz

100m

3MHz

10m

30MHz

1m

300MHz

10cm

3GHz

1cm

30GHz

1mm

300GHz

0.1mm

3THz

30nm

10,000THz

100km

3kHz

1,000km

300Hz

10,000km

30Hz

波長短い

周波数高い

E:extremely S:super U:ultra V:very H:high M:medium L:low F:frequency

0Hz

総 務 省

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5年から10年後を視野にいれた電波政策の目指すべき中長期目標

◆世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境の構築によるユビキタスネットワーク社会実現への貢献

◆多様なネットワークによるナショナルセキュリティの確保

◆国際競争力のあるワイヤレスIT産業の育成

今後の電波政策の在り方今後の電波政策の在り方

Ⅳ 研究開発の推進Ⅳ 研究開発の推進

Ⅶ 安心で安全な電波利用環境整備

Ⅶ 安心で安全な電波利用環境整備

Ⅴ 無線端末の円滑な普及促進Ⅴ 無線端末の円滑な普及促進

ワイヤレスブロードバンド環境構築による

ユビキタスネットワーク社会の実現

Ⅱ 周波数の再配分・割当制度の整備

Ⅱ 周波数の再配分・割当制度の整備

Ⅵ 国際戦略の一層の強化Ⅵ 国際戦略の一層の強化

Ⅰ 抜本的な周波数割当ての見直し

Ⅰ 抜本的な周波数割当ての見直し

電波利用の基本的役割電波利用の基本的役割

◆快適で質の高い国民生活の実現

◆快適で質の高い国民生活の実現

◆産業経済活動の活性化

◆産業経済活動の活性化

◆安全で災害に強い社会・国土の形成

◆安全で災害に強い社会・国土の形成

◆地域の活性化◆地域の活性化

1-3 今後の電波利用と電波政策

Ⅲ 電波利用料制度の抜本的な見直し

Ⅲ 電波利用料制度の抜本的な見直し

総 務 省

◆ワイヤレスブロードバンド環境実現への期待

便利・安心・安全な国民生活、社会の実現に寄与するため、生活、ビジネス、医療・福祉、国民の安全確保など様々な電波利用が飛躍的に拡大

◆電波利用関連分野の市場規模の拡大

電波政策の中長期目標電波政策の中長期目標

電波利用の中長期展望電波利用の中長期展望

平成15年7月30日 情報通信審議会答申「電波政策ビジョン」より

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電波発射源 医用機器

1-4 電波利用の拡大と安全性

電波の安全性について的確な対応が必要

医用機器に与える影響人体に与える影響

総 務 省

電波利用の普及・高度化に伴い、電波が人体や医用機器に与える影響に対する懸念が増大

人体

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2 電波が人体に与える影響について

2-1 健康への影響に対する懸念への対応

2-2 電波防護のための指針の策定

2-3 電波防護指針の制度化

2-4 電波が人体に与える影響に関する研究の推進

2-5 電波の安全性に関する国際動向

総 務 省

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2-1 健康への影響に対する懸念への対応

携帯電話などの電波利用が爆発的に普及

WHO等を中心とした国際協調

電波防護指針の策定・制度化

電波が人体に与える影響に関する研究の推進

総 務 省

健康への影響に対する懸念が増大

より安心して安全に電波を利用できる環境の確保に向けた取組みの強化

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十分な安全率(約50倍)

2-2 電波防護のための指針の策定

人体に影響を及ぼさない電波の強さの指針

電波防護指針(平成2年策定、平成9年追加)

人体に影響を及ぼさない電波の強さの指針

電波防護指針(平成2年策定、平成9年追加)

これらの作用を及ぼす電波の強さ(しきい値)

2 熱作用人体に吸収された電波のエネルギー

が熱となり、全身の又は部分的な体温を上昇させる(100kHz程度以上)

1 刺激作用電波によって体内に生じた誘導電流

等より刺激を感じる(100kHz程度以下)

これまで50年以上の研究の蓄積

総 務 省

※ 電波防護指針の内容(例):周波数f〔MHz〕が300MHz-1.5GHzの場合、電界強度は1.585f〔v/m〕、磁界強度はf /237.8〔A/m〕、電力密度はf/1500〔mW/cm2〕。

※ わが国の電波防護指針は、国際ガイドラインと同等。

1-2

1-2

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2-3 電波防護指針の制度化

1 電波の強度に対する安全施設1 電波の強度に対する安全施設

電波の強さが基準値を超える場所に一般の人々が容易に出入りできないよう、安全施設の設置を義務付け。(平成11年10月)

2 人体頭部に吸収されるエネルギー量(比吸収率)の許容値2 人体頭部に吸収されるエネルギー量(比吸収率)の許容値

頭部横断面のSAR分布(上から見た図)

900MHz 1.5GHz

SARの値 高い 低い

安全施設

10

総 務 省

人体頭部で吸収される電力の比吸収率※

(SAR)の許容値(2W/kg)を強制規格として規定。(平成14年6月)

※ 比吸収率(SAR:Specific Absorption Rate)とは、生体が電磁界に

さらされることによって単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギ

ー量をいう。

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2-4 電波が人体に与える影響に関する研究の推進(1)

電波が人体に与える影響を科学的に解明するため、生体の安全性評価等に関する研究を推進

電波が人体に与える影響を科学的に解明するため、生体の安全性評価等に関する研究を推進

医学・工学の研究者等により構成される「生体電磁環境研究推進委員会」(委員長:上野照剛 東京大学教授)を平成9年度より開催し、動物実験等による生体の安全性評価等に関する研究を推進。

○研究の推進(平成17年度:16件)

・ 2GHz帯電磁波ばく露による生殖・発生・発達に対する影響を調べる

ための動物実験

・携帯電話使用と脳腫瘍等の発生との関連性についての疫学調査※

・電波による眼球への影響を調べるための動物実験 等※ 疫学調査とは、地域や集団内で収集した症例のデータを整理・分析し、これらを解析することにより、疾患や健康に関する事象の発生の原因等の関連性を

明らかにする調査。

○国際連携

・世界保健機関(WHO)等の国際機関との連携

・専門家会合を通じた諸外国(米国、欧州、韓国等)との連携・協力

2 主な活動

1 生体電磁環境研究推進委員会

11

総 務 省

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2-4 電波が人体に与える影響に関する研究の推進(2)

3 これまでの主な研究成果

※1 血液-脳関門(BBB:Blood Brain Barrier):

脳毛細血管と脳組織との間に存在し、脳内に毒性物質が侵入するのを防御している生体の構造の総称。

※2 脳微小循環動態:

脳内の微小血管における動的に変動する様々な循環指標。血管径、血流速度、白血球の挙動、BBBの機能等。

血液-脳関門※1に及ぼす影響に関する実験(H9、H10)

熱作用を及ぼさない強さの電波ばく露では影響なし

記憶機能に及ぼす影響に関する実験(迷路学習実験)(H11~13)

熱作用を生じない条件では影響なし

脳腫瘍の発生に及ぼす影響に関する実験(長期局所ばく露実験)(H12~14)

長期にわたる携帯電話の使用が脳腫瘍の発生に及ぼす影響は認められない

脳微小循環動態※2に及ぼす影響に関する実験(H12~14)

携帯電話の電波が脳微小循環動態に及ぼす影響は認められない

12

総 務 省

これらに加え、電波防護指針値を超えない強さの電波により、非熱効果を含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないこと等を内容とする中間報告をとりまとめ。(平成13年1月)

これらに加え、電波防護指針値を超えない強さの電波により、非熱効果を含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められないこと等を内容とする中間報告をとりまとめ。(平成13年1月)

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2-4 電波が人体に与える影響に関する研究の推進(3)

4 平成17年度以降の研究計画

13

総 務 省

1 疫学研究・ボランティア研究

(1) 疫学調査

(2) 携帯電話のヒト眼球運動への影響に関する研究

(3) 非熱的 RF 電磁界へのヒト感受性に関する研究

2 動物実験

(1) 生殖・発生・発達に対する2GHz帯電磁波ばく露の修飾作用

(2) パルス波・ミリ波による眼球への影響評価に関する研究

(3) 電波照射の脳微小循環動態に及ぼす影響の直視的評価と加齢性変化に関する研究

(4) 経胎盤的 N-ethyl-N-nitrosourea 誘発中枢神経系腫瘍発生に対する2GHz帯電磁波ばく露の

修飾作用

3 細胞実験

(1) 高周波電磁波ばく露による生物学的影響調査-内分泌撹乱様作用について-

(2) 高周波ばく露の細胞生物学的影響調査と機構解析(細胞実験)

(3) 生体ラジカル発生へのマイクロ波影響の実験調査

4 ドシメトリ(ばく露評価)

(1) 症例対照研究の解析を補完する携帯電話利用者のばく露評価

(2) 高周波ばく露の細胞生物学的影響調査と機構解析(物理的条件からの検索)

(3) 生物実験のためのばく露評価とばく露装置の開発

(4) 人体全身平均 SAR の特性評価

5 その他

(1) 新たな疫学的アプローチの必要性と実施可能性に関する予備的研究

(2) 国内外における電波の生体影響に関する研究の動向調査

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2-5 電波の安全性に関する国際動向(1)

◇ ICNIRPは、国際放射線防護学会によって設置された、

非電離放射線に関する国際的な独立専門組織であり、電波

や光の人体への安全性について科学的見地から検討し、勧

告を行うことを任務としている。

これまで、十分な安全率を考慮した電波防護に係る国際

ガイドラインを策定しており、多くの国がこれと同等のガ

イドラインを採用している。

我が国においても、このガイドラインと同等の電波防護指針を策定。

14

総 務 省

国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)(ICNIRP:International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection )

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国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の策定した国際ガイドラインは、(熱及び非熱効果の両方の)全ての科学的文献の注意深い解析に基づくものであり、RFエネルギーの危険性として確認された全てのものについて、十分な余裕を持って防護するものである。

2-5 電波の安全性に関する国際動向(2)

世界保健機関(WHO)世界保健機関(WHO)

WHOファクトシート193より

◇ WHOは、電波ばく露による健康への影響などを評価

し、環境保健基準の検証等を行うことを目的とする国際

電磁界プロジェクトを推進中。

我が国も研究を実施し、貢献。

15

総 務 省

(WHO:World Health Organization)

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2-5 電波の安全性に関する国際動向(3)

国際がん研究機関(IARC)国際がん研究機関(IARC)

◇ WHOの付属機関であるIARCは、電波による発が

んリスクの評価を実施するため、大規模な疫学調査※を

推進中。

我が国も調査を実施し、貢献。

・モノグラフは、発がん性の有無を様々な証拠をもとに分類したものであって、発がん性の強さなどを

評価したものではない。

・通信、放送等に用いられる電波については、現在検討中。

・送電線、家電製品等から生じる超低周波(ELF)については、磁界成分を「グループ2B」に分類。

この分類には、コーヒー、ピクルス、ガソリンエンジンの排気ガスなどがある。

(参考)IARCによる発がん性評価(モノグラフ)

※ 疫学調査とは、地域や集団内で収集した症例のデータを整理・分析し、これらを解析することにより、疾患や健康に関する事象の発生の原因等の関連性を明らかにする調査。

【 モノグラフの分類 】グループ1 : ヒトへの発がん性を示す十分な証拠がある場合グループ2A : ヒトへの発がん性を示す証拠は限定的であるが、動物への発がん性を示す十分な証拠がある場合グループ2B : ヒトへの発がん性を示す証拠が限定的であり、動物実験での発がん性に対して十分な証拠がない場合グループ3 : ヒトへの発がん性を示す証拠が不十分であり、動物実験での発がん性に対しても十分な証拠がない場合グループ4 : 発がん性がないことを示唆する証拠がある場合

16

総 務 省

(IARC:International Agency for Research on Cancer)

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3 電波が医用機器に与える影響について

3-1 医用機器に与える影響の例

3-2 医用機器への影響の防止に関する指針の策定

3-3 医用機器への影響の防止に関する指針の概要

3-4 各種電波利用機器による影響の防止に関する

指針の策定

3-5 各種電波利用機器による影響の防止に関する指針の概要

17

総 務 省

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携帯電話等

医療機関内で使用される医用機器

ペースメーカ等植込み型の医用機器

3-1 医用機器に与える影響の例

心臓に鼓動を促す電気信号(ペーシングパルス)へ

の干渉の発生

18

総 務 省

画面の乱れ等の発生

影響

影響

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「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」を策定(平成9年3月 不要電波問題対策協議会※)

「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」を策定(平成9年3月 不要電波問題対策協議会※)

電波による心臓ペースメーカ等への影響に対する懸念電波による心臓ペースメーカ等への影響に対する懸念

「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する調査」

(平成7~8年度 不要電波問題対策協議会※)

「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する調査」

(平成7~8年度 不要電波問題対策協議会※)

3-2 医用機器への影響の防止に関する指針の策定

携帯電話端末等の電波が

○ 心臓ペースメーカ (228機種)

○ 病院内の医用機器 (108機種)等

に与える影響について、調査を実施

※ 不要電波問題対策協議会:不要電波による障害を防止し、除去するための対策を協議することを目的として設立。学識経験者、関係省庁、関係業界団体等から構成。現電波環境協議会。

19

総 務 省

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○携帯電話を持ち込まない・手術室、集中治療室など

○携帯電話の電源を切る・検査室、診療室、病室など

○使用できる場所の特定・待合室など医療機関側で認めた区域

○PHSの使用条件・医療機関の許可を得たもののみ使用可・容易に識別できるよう表示

~医療機関内での携帯電話端末等の使用~

携帯電話

PHS

満員電車等の混雑する

場所では

電源を切るよう配慮

ペースメーカ装着部位

から

22cm以上離して使用

~植込み型ペースメーカ装着者への配慮~

22cm以上離す

「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」(平成9年3月)の概要

3-3 医用機器への影響の防止に関する指針の概要

20

総 務 省

「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」は、次のアドレス(電波環境協議会のHP)にて公表。

http://www2.ias.biglobe.ne.jp/emcc/others/keitai.html

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「各種電波利用機器の電波が植込み型医用機器へ及ぼす影響を防止するための指針」を取りまとめ、公表(平成17年8月)

http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/pdf/050811_2_1.pdf

総務省では、携帯電話端末を含む各種電波利用機器が植込み型医用機器へ及ぼす影響について継続的に調査を実施し、影響を防止するための指針を公表している。

3-4 各種電波利用機器による影響の防止に関する指針の策定

21

総 務 省

平成12年度(平成13年5月発表)・携帯電話端末及びPHS端末が植込み型医用機器へ及ぼす影響

平成13年度(平成14年7月発表)・携帯電話端末及びPHS端末が植込み型医用機器へ及ぼす影響

平成14年度(平成15年6月発表)・ワイヤレスカードシステム及び電子商品監視(EAS)機器が植込み型医用機器へ及ぼす影響

平成15年度(平成16年6月発表)・電子商品監視機器、無線LAN機器及びRFID(電子タグ)機器が植込み型医用機器へ及ぼす影響

平成16年度(平成17年8月発表)・携帯電話端末及びRFID機器が植込み型医用機器へ及ぼす影響

各種電波利用機器による影響調査

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総 務 省3-5 各種電波利用機器による影響の防止に関する指針の概要(1)

1 携帯電話端末及びPHS端末の電波が植込み型医用機器へ及ぼす影響

を防止するための指針

ア 植込み型医用機器の装着者は、携帯電話端末の使用及び携行に当たっては、携帯電話端末を植込み型医用機器の装着部位から22㎝程度以上離すこ

と。また、混雑した場所では付近で携帯電話端末が使用されている可能性があ

るため、十分に注意を払うこと。

イ 植込み型医用機器の装着者は、PHS端末の使用に当たっては、アの携帯電話端末と同様に取り扱うこと。(PHS端末を植込み型医用機器へ近づけた場合に全く影響を受けないわけではなく、また、PHS端末と携帯電話端末が外見上容易に区別がつきにくく、慎重に

取り扱うという意味で、携帯電話端末と同様に取り扱うことが望ましい。)

ウ 携帯電話端末及びPHS端末の所持者は、植込み型医

用機器の装着者と近接した状態となる可能性がある場所(例:満員電車等)では、その携帯電話端末等の電源を切るよう配慮することが望ましい。

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総 務 省3-5 各種電波利用機器による影響の防止に関する指針の概要(2)

2 ワイヤレスカード(非接触ICカード)システムの電波が植込み型医

用機器へ及ぼす影響を防止するための指針

ア 心臓ペースメーカ装着者は、ワイヤレスカードシステムのリーダライタ部(アンテナ部)から心臓ペースメーカの装着部位を12cm程度以上離すこと。

イ 除細動器装着者は、日常生活において特別にワイヤレスカードシステムを意識する必要はないが、除細動器装着部位をワイヤレスカードシステムのリーダライタ部(アンテナ部)に密着させることは避けるべきである。

ウ ワイヤレスカードシステムの製造業者等は、リーダライタ部(アンテナ部)を明確に認識できるよう表示等を工夫することが影響防止に有効である。また、断続磁界モードは、影響が大きくなるので、できる限り連続磁界モードを利用することが影響防止には有効である。

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総 務 省3-5 各種電波利用機器による影響の防止に関する指針の概要(3)

3 電子商品監視(EAS)機器の電波が植込み型医用機器へ及ぼす影響を

防止するための指針

ア 植込み型医用機器の装着者は、EAS機器が設置されている場所及びEASステッカが貼付されている場所では、立ち止まらず通路の中央をまっすぐに通過すること。

イ 植込み型医用機器の装着者は、EAS機器の周囲に留まらず、また、寄りかかったりしないこと。

ウ 植込み型医用機器の装着者は、体調に何らかの変化があると感じた場合は、担当医師に相談すること。

エ 植込み型医用機器に対するEAS機器の影響を軽減するため、更なる安全性の検討を関係団体で行っていくこと。

EASステッカ ※

※日本EAS機器協議会の許諾を得て使用しています。

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総 務 省3-5 各種電波利用機器による影響の防止に関する指針の概要(4)

4 RFID(電子タグ)機器の電波が植込み型医用機器へ及ぼす影響を防止する

ための指針

(1) ゲートタイプRFID機器ア 植込み型医用機器の装着者は、ゲートタイプRFID機器が設置されている場所及びRFIDステッカが貼付されている場所では、立ち止まらずに通路の中央を真っ直ぐに通過すること。

イ 植込み型医用機器の装着者は、ゲートタイプRFID機器の周囲に留まらず、また、寄りかかったりしないこと。

ウ 植込み型医用機器の装着者は、体調に何らかの変化があると感じられる場合は、担当医師に相談すること。

エ 植込み型医用機器に対するゲートタイプRFID機器の影響を軽減するため、更なる安全性の検討を関係団体で行っていくこと。

(2) ハンディタイプ、据置きタイプ及びモジュールタイプのRFID機器ア ハンディタイプRFID機器の操作者は、ハンディタイプRFID機器のアンテナ部を植込み型医用機器の装着部位より22㎝程度以内に近づけないこと。

イ 植込み型医用機器の装着者は、装着部位を据置きタイプ及びモジュールタイプのRFID機器のアンテナ部より22㎝程度以内に近づけないこと。

ウ 植込み型医用機器に対するハンディタイプ、据置きタイプ及びモジュールタイプのRFID機器の影響を軽減するため、更なる安全性の検討を関係団体で行っていくこと。

ゲートタイプRFID機器用RFIDステッカ ※

※ (社)日本自動認識システム協会の許諾を得て使用しています。

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26

総 務 省3-5 各種電波利用機器による影響の防止に関する指針の概要(5)

5 無線LAN機器の電波が植込み型医用機器へ及ぼす影響を防止するための対応

無線LAN機器によって影響を受けた植込み型医用機器は、1機種であったことから、厚生労働省の協力を得て、医療機関を通じ同機種の利用者全員に対して、試験結果に基づく注意喚起が行われている。

よって、現時点で特段の注意をされていない植込み型医用機器の装着者は、無線LAN機器に対しては特別の注意は必要としない。

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4 電波の安全性に関する周知・広報

全国各地で電波の安全性に関する講演会を開催。

【平成16年度実施状況】

5月(静岡)、6月(札幌、東京)、7月(仙台)、9月(那覇)

10月(京都、広島)、11月(金沢、松山、熊本)、12月(長野)

⇒ 平成17年度は、全国で20回程度の講演会を開催予定。

3.講演会の開催

電波の安全性に関して抱く漠然とした不安を

払拭するため、わかりやすいパンフレットを

作成し、各総合通信局、国民生活センター等

において配布。

1.パンフレットの作成・配布

2.ホームページによる周知・広報

総務省ホームページの下記アドレスにおいて、生体電磁環境に関する情報

提供を実施。

http://www.tele.soumu.go.jp/j/ele/body/comm/index.htm

27

総 務 省

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電波の安全性に関する

調査・研究電波の安全性に関する

調査・研究

電波の安全性に関する

国際的な連携・協力

電波の安全性に関する

国際的な連携・協力

より安心して安全に電波を利用できる環境を確保

電波の安全性に関する

指針の策定・制度化電波の安全性に関する

指針の策定・制度化

電波の安全性に関する

周知・広報

電波の安全性に関する

周知・広報

総 務 省

28

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電波の性質と安全性-生体防護と心臓ペースメーカ干渉について-

北海道大学大学院情報科学研究科野島俊雄

1.電波の「安全と安心」について

2.電波の基本的性質と生体作用

3.生体影響研究

(分かっていること,問題点など)

3.心臓ペースメーカ干渉問題

5.まとめ

平成17年10月17日

安全とは

・人への危害または損傷の危険性が,受容可能な水準に抑えられている状態:JIS・受容できないリスクがないこと:IEC/ISO

人,共同体,環境などに対する危害の発生する確率とそのひどさの程度の組み合わせ(大きさ)

リスクとは

受容できるリスクとは

リスクの大きさが,利便性や安全のコスト等を考慮して,受け入れてもよいと思われる程に低いこと

・絶対安全は存在しない(残留リスクの存在)電波利用の残留リスクは他のリスクと比較して極めて小さい(と推定される)

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1.生体影響;

・強い電波にはリスクがある(指針よりずっと高いレベル)

・弱い電波のリスクは確認されない,もしあったとしても他のリスクと比較して無視できると推定

電波ばく露のリスク(代表事例)

2.医療機器干渉;

・リスクは,医療・電波機器の組み合わせに依存

・心臓ペースメーカへのリスクは技術・運用で回避できる(リスクの大小は「場所」に依存)

3.携帯電話による航空機重要電子機器干渉;

・発生確率は多分ゼロだが,それを断言できない

・確認されないが「影響の程度が極めて大きいかも」

・離着陸時のリスク(確率×程度)は無視できず

安心とは

人が知識や経験を通じて予測している状況と大きく異なる状況にならないと信じていること

心配や不安のない心理状態

安心を実現するために

・安全がどういう構造で実現されているかが分かること

・最悪の場合にどんな危害が発生するかという情報が公開されていること

・安全というときの残留リスクについての合意や納得が得られていること,等

電子情報通信学会誌,平成17年5月,p.310~

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33

○電磁波は真空中を光速度で直進する○電磁波は真空中を光速度で直進する

電界

電界

磁界

磁界

絡み

合って

いる

絡み

合って

いる

生体に生体に電波が照射されると・・電波が照射されると・・ ・原子・分子レベルの影響・原子・分子レベルの影響・物理的ストレス・物理的ストレス・内部電磁界の形成・内部電磁界の形成・電圧・電流の誘起(発熱)・電圧・電流の誘起(発熱)・電荷の誘導・電荷の誘導

周波数周波数

○空間の電磁エネルギーの流れ○空間の電磁エネルギーの流れ

大きなエネルギー吸収は影響の原因

反射・吸収・通過する

電波は放射線と違い電波は放射線と違い原子・分子レベル原子・分子レベルでで影響影響しないハズしないハズ

周波数 1Hz 1kHz 1MHz 1GHz 1TeraHz 1PetaHz 1ExaHz

103 106 109 1012 1015 1018 10211

10eV=2.4×1015 Hz

紫外線可視光 X線マイクロ波中波、短波

電波(RF電磁界)

300~300GHz or 3000GHz

ELF

Non-Ionizing Radiation(非電離放射)

Ionizing Radiation(電離放射)

すべて電磁波

電磁界(電磁場)

IF RF超低周波

WHOの

定義

いわゆる放射線(電離放射線)の持つような重篤な影響はないハズ

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44

電波利用と生体防護の歴史

1888年:ヘルツの電磁波発生1890年代:マルコーニの無線通信発明/テスラの電波送電塔

1990年:電波防護指針(旧電通技審答申)

1840年代:米国での,電信線が疫病をもたらすとの不安(理解できないものに対する大衆の不安と恐れ)

1930年代:レーダー開発と熱作用,はげ・不妊等のうわさ米国海軍研究所の調査(1940年代:臨床的には問題なし)

1920年代~:ジアテルミ温熱療法の開始(最初はおでき治療)

1940年代:殺人光線の研究(熱作用いき値)1950年代:レーダー従事者への影響(米国海軍)1953年:米国シュワンの世界最初の安全基準提案(10mW/cm)2

)

1966年:米国ANSI基準:科学的に立証された熱作用を根拠1958年:ソ連の基準:研究報告された全ての生体作用を考慮

1800

1900

1950

2000

1990

1996~2007年?:WHO-EMFプロジェクト2000年~:基地局曝露,子供影響等から予防原理の主張2001年:固定無線局の電磁界強度規制(日本)2002年:頭部側頭部でのSAR規制(日本)

携帯電話(公衆利

用)

レーダ等(職業的利用)

ユビキタス

1990年:米国で携帯電話による脳腫瘍訴訟問題

電波の基本的性質と生体影響研究の必要性

• 電波は電界と磁界から成り,光のように直進する

• 問題となるような特別な周波数はほぼない(体の大きさによって吸収に違いがある)

• 同じ電磁波の仲間だが,放射線とは性質が全く異なり通常の強さなら問題ないはず

☆強いと,熱による影響などがある・・具体的な影響と強さの関係を究明することが必要

☆誰もが利用する電波では,ほんの僅かの影響も問題・・研究(実験調査)の重要性

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電波は吸収され、体内電流・電磁界を形成

神経刺激(ない)

発熱

組織/細胞/DNA/生理機能への影響

(急性,晩発性,遺伝)直接的,複合的, 間接的

全身/局部

温度上昇

基地局からの遠方界照射

(全身、長期、微弱)

携帯電話の近傍界照射

(局所、短時間、強)

生体防護で検討すべきこと生体防護で検討すべきこと

体内に入った電波が問題

(エネルギー,強さ?)

植込み型電子機器

生体作用の大きな分類生体作用の大きな分類

・熱作用(・熱作用(Thermal effectThermal effect))生体/組織の温度上昇による作用全身加熱、局所加熱

・非熱作用(・非熱作用(NonNon--thermal effectthermal effect))発熱が無視できる微弱ばく露の作用・・何かあるかも知れない.in vitroでは確認・・人間の健康?

・無熱作用(・無熱作用(AthermalAthermal effecteffect))発熱はあるが生体の冷却機能が温度上昇を阻止する場合の作用

・電流刺激作用(数・電流刺激作用(数MHzMHz以下)以下)

過敏症(Hyper sensitivity)?・間接作用・間接作用

☆健康悪影響のない状況を確保して・・・安心

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防護基準を決めるために

ばく露量ばく露量

リスク制御値リスク制御値

安全率

制限値制限値??

健康リスク健康リスク

ゼロゼロ

発生発生

不確かさ不確かさ

自然界レベル自然界レベル 悪影響確認レベル(いき値)防護指針値1-10GHz:10-9mW/cm2

晴天時可視光:100mW/cm2

1mW/cm2~50mW/cm2

作用毎に作用毎に異なる特性?異なる特性?

☆熱的影響が支配的☆熱的影響が支配的☆他は仮にあってもリスクは小☆他は仮にあってもリスクは小

指針値を少々超えても問題はない

深部体温上昇 行動異常 4W/kg, 6 分間

その際に, 局所体温上昇 組織への影響 20倍, 6 分間

マイクロ波ヒヤリング 200M~3GHz, 1μ~1mS幅,50~20K個のパルス

250mW/cm2(ピーク値)

磁気閃光

数十Hz, 104A/m

白内障

150mW/cm2

(2.45GHz),100分

熱感

60mW/cm2(3GHz)

神経・筋刺激

0.35・10-4f A/cm2

レットゴー電流 感電のレベル

電流火傷 200mA

角膜損傷

10mW/cm2,パルス

(2.45GHz),240分

Caイオン流出(雛の脳細胞)

0.1~1mW/cm2,6~

16Hz AM

(147, 240, 450MHz)

脳腫瘍 携帯電話

一時的記憶喪失 携帯電話

血圧低下 携帯電話

はげ ミリ波

メラトニン 基地局

睡眠妨害 基地局白血病

基地局

胎児への影響 携帯電話

生殖器腫瘍 レーダガン

体内マイクロ波への影響

BBB影響 携帯電話

薬物との複合作用 懸念の主張があるが

信頼できる多くの実験では影響が確認されない

子供への影響

科学的裏づけのある熱的作用などは

いき値が確認されている

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e.g. 脳腫瘍の発生率・・・6人/10万人「あってもわずかの影響」どうやって確認?

生体作用研究の困難性生体作用研究の困難性

(1) in vitro(細胞研究)

・温度,薬品など他の要因の除去・周波数,変調,出力等への依存性・組織,細胞の違い,人間との相関・既存の手法(薬品等)の適用性と完全性

(2) in vivo(動物研究)

・ストレス,温度など他の要因の除去・周波数,変調,出力等への依存性・人間との相関・試験個体数

(3) 疫学 ・適用性の評価、交絡因子の除去

・ボランティア実験 ・プラシーボ等の除去

安全性(何もないこと)の完全な証明は不可能

○作用を起こすメカニズムの明確化

DNA is normal DNA is damaged (Exposed to X-rays)

An example of Comet Assay result-Positive control using X-ray irradiation-

((Kyoto UniversityKyoto University))

NucleusDamaged DNA is

observed

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弱い電波で影響があったとする最近の研究報告から

• DNA損傷

• BBB影響

• 血流影響

• アレルギーとの関連性

• 安寧への影響

• 幾つかの疫学事例

○検討が不十分で結論に問題あり

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11 22

脳毛細血管縦断面図

BBB

神経膠細胞

神経細胞

内皮細胞

脳実質

細胞間隙透過

細胞内透過

BBB透過性と電波ばく露の研究

• 1979 Prestonら 2.45GHz 影響なし• 1982 Gruenauら 2.8GHz 影響なし• 1982 Wardら 2.45GHz 影響なし• 1994 Salfordら 915MHz 影響あり• 1997 Fritzeら 900MHz 影響あり• 1998 Tsurita, Nagawaら 1.5GHz 影響なし• 2001 Aubineauら 900MHz 影響なし• 2003 Salfordら 915MHz 影響あり• 2003 Masudaら 1.5GHz 影響なし• 2002~3 Shiraiら 1.5GHz 影響なし• 2005 ARIB

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1010

安心できる電波利用のために

• 信頼できる研究結果から得られた防護指針に沿って電波を発射する・・・法律による規制

1.無線端末は,使用する人についてSAR規

格を満足するような端末と出力で利用する

2.無線基地局は,電波が照射される環境について電磁界強度(電力束密度)が規格値を超えないように設置して運用する

生体作用いき値生体作用いき値

全身平均全身平均SARSAR;;4W/kg4W/kg

例え ば安全係数1 0 倍

基礎指針基礎指針

全身平均全身平均SARSAR;;0.4W/kg0.4W/kg 局所局所SARSAR;;10W/kg10W/kg

管理指針管理指針

電磁界強度指針電磁界強度指針//補助指針補助指針

局所吸収指針局所吸収指針

2W/kg2W/kg(条件(条件GG))E, H, SE, H, S

全身曝露(環境)に対する指針

局所曝露(携帯電話等)に対する指針

我が国の電波防護指針の構成我が国の電波防護指針の構成

十分な十分な安全率安全率をとってをとって規定規定

5050倍倍

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1111

・不均一分布・組織に依存(均一組織を仮定できる)・距離に依存(近いほど大,ホットスポットはない)・出力に依存・周波数に依存(高周波ほど狭い範囲に集中)

局所吸収電力(SAR)

10k 100k 1M 10M 100M 1G 10G 100G

周波数 [Hz]

10k

1k

100

10

1

0.1

電界

強度

[V/m]

電波防護基準値

○ 日本の電波法

(またはARIB標準規格STD-38)

○ スイスの基準値

・4 V/m at 900MHz携帯電話基地局

・6 V/m at 1.8GHz携帯電話基地局

○ PDC基地局から主ビーム上50m地点の計算例

利得:18 dbiアンテナ入力電力:16W

1/101/10

1/1001/100

○ザルツブルグ会議での提案

○ パリ憲章

・2 V/m 900MHzと1.8GHz基地局電波の集計(24時間

実効ばく露平均)

基地局は電磁界強度で規制

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1212

ポケットベル送信アンテナ

携帯・自動車電話アンテナ

32m

電波防護基準値27.5V/mを越える領域

電波防護基準値47.6V/mを越える領域

0.25m

アンテナ入力電力:1kW アンテナ利得:10dBi

アンテナ入力電力:16W アンテナ利得:17dBi

基地局の電波防護基準適合領域の具体例

ま と め

• 電波を安心して利用できるようにするため,多くの,様々な研究調査が行われてきた

• 防護指針を満たす電波利用が健康悪影響を及ぼすという科学的な証拠は確認されない

• 影響の恐れを確認したとする報告には,検討が不十分な点があり信憑性に問題がある

• 安全は防護指針を守ることで実現される

• それでも不安だから,指針をさらに低くすべき,という考えに科学的根拠は見受けられない

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1313

携帯電話電波による植込み型心臓ペースメーカへの影響

• 接近した電子機器間では影響が起きやすい

• ペースメーカ影響を生ずるメカニズムは?

• 影響を明確化するための実験調査の方法と結果は?

• 影響を受けないようにするための対策は?(ガイドラインの有効性)

• 電車の中などの特殊な環境での影響は?

近傍界領域(アンテナから数cm以内)

遠方界領域

携帯電話電波の強さは距離に反比例

電磁界は距離に反比例.距離の増加とともに急激に小さくなる

電磁界が大きく,また他の回路と電磁的に結合しやすい

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ペースメーカ影響を生ずるメカニズムは?

・電子回路内に電波が侵入して,その回路のトランジスタ等で電波の変化が検出されることが一番の原因

・その結果,その電子回路の信号と同じ周波数の妨害電圧や電流が生じて,動作に影響することがある

オーディオなどのトランジスタ回路

電波強度

50~100V/m

PDC 携帯電話の電波例 検出された妨害電圧5msec/div

5msec/div

1mV/div

PDC 電波のEMIによる低周波妨害の発生

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植え込み形心臓ペースメーカ植え込み形心臓ペースメーカ

本体 リード線コネクタ

携帯電話電波がコネクタ部分から浸入して本体内部の電子回路に影響

コネクタ部分のみが関係(他周波数では異なる)

影響を明確化するための実験調査の方法と結果は?

・旧不要電波問題対策協議会ではペースメーカ協議会に参加する

12社の関係するほぼ全機種である、309機種(除細動器を含む)

について実験調査を実施(平成12年段階)

・擬似人体を使った高精度な試験法であり,現実の電波照射の状

況よりも厳しい条件で影響の推定ができる

・欧米での装着者実験でも同様の結果が得られている

・その後も,新たなペースメーカについて継続されると共に,総務

省委託の実験調査が電波産業会で行われている(~平成16年)

・ほぼ全てのペースメーカのデータが取得されている

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1616

PDC 携帯電話

心臓ペースメーカ電波影響の試験装置と試験方法の概要

ペースメーカ

擬似人体(胴体)

・ペースメーカの動作は

最も影響を受け易い条件

に設定

・携帯電話の出力は最大

・最も影響を与えやすい

位置や角度に設定

・故意に電波を脈拍の

周期で断続・・・実際より

長い時間連続して照射

心臓ペースメーカ影響が生じた距離の実験結果例(標準ダイポールアンテナ使用*)

アンテナ基部とペースメーカとの距離 [cm]

0

10

20

30

40

50

0 10 20 30 40 50

Number of pacemakers tested:68(PDC、PHS), 43(W-CDMA)+13[defibrillator]

800MHz band PDC (0.8W)1.5GHz band PDC (0.8W)

1.9GHz PHS (0.08W)

2GHz W-CDMA (0. 25W)

影響を受けたペースメーカの割合

影響受けた数全数

[%]×100

*:同じ入力で最も強く電波を発射出来るような理想的アンテナ

実際の携帯電話では影響は弱くなる

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1717

実験結果のポイント

• 携帯電話を接触する程に接近させても影響を受けないペースメーカが多くあった・・・PDC携帯電話では約75 %,

WCDMAでは約95%の機種で影響は全く確認されな

かった• 影響を受ける最大距離は約15cmと評価された• 電波発射が停止すれば,影響は解消• WCDMA(2GHz帯)の影響はあっても携帯電話直近領域

のみ• 実際の携帯電話使用時では通常出力が低く,断続もな

いので影響は実験結果より大幅に緩和される(殆ど影響しない)

影響を受けないようにするための対策は?(ガイドラインの有効性)

• 実験で確認された,影響を受ける最大距離の15cmに安全係数 を掛けた22cmを安全距離とすれば,電波の影響を受けずに安全に携帯電話を利用できる

• 欧米では6インチ(15cm)の安全距離が推奨されている

• すべてのペースメーカに対する有効性が実験的に検証されている

2

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1818

HighHigh--levellevel

電車内などの金属で囲まれた環境電車内などの金属で囲まれた環境

HighHigh--levellevel HighHigh--levellevel

HighHigh--levellevel

閉空間内の電波伝搬閉空間内の電波伝搬反射と重ね合せによるレベル上昇反射と重ね合せによるレベル上昇

HighHigh--levellevelHighHigh--levellevel

列車内1次元電界強度分布

測定結果及び解析結果との比較

周波数:800 MHz

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

Top View

Side ViewTx antenna

0 500 1000 1500-30

-20

-10

0

10

Length (cm)

Amplitude (dB)

FDTDExp.

1m1m33領域内の最大値領域内の最大値1m1m

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1919

22cm15cm

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

-60 -55 -50 -45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0

Ratio (%)

Relative Field (dB)

2 cm fromAntenna

ヒストグラム (周波数:2GHz)乗客数:20名 (立ち客:10名、座り客:10名)送信機:10台 (立ち客が利用)

ま と め

• 携帯電話電波によるペースメーカへの具体的障害発生例は世界的に全く報告されていない

• ほぼすべてのペースメーカ機種について実験調査が実施されている

• 22cmの安全距離をとれば携帯電話を安全に利用できる(ペースメーカ協議会が策定した我が国のガイドライン)

• 欧米では6インチ(15cm)が安全距離

• 満員電車内で仮に複数の携帯電話が使用されたとしても安全距離が成立することを計算で評価

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2020

おわりに

・電波が見えない,理解できないといったことから,未知の作用があると思いがち・信頼できる研究によって電波利用の安全と安心は実現される・世界的な標準規格の制定が望まれる

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電波の健康への影響電波の健康への影響

佐々木 一之

金沢医科大学 総合医学研究所

環境原性視覚病態研究部門

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白白 内内 障障

正常眼 白内障眼

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環環 境境 とと 白白 内内 障障

生活環境の中での白内障生活環境の中での白内障誘発因子誘発因子

1. 自然環境下での太陽紫外線

2. 労働環境下での赤外線、レントゲン線

3. 大気汚染の影響

4. 環境温度の影響

5. 特殊環境下での電波の影響

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電波の眼への影響電波の眼への影響

安全基準を超える電波の曝露

<特殊環境下>

(労働災害、予期せぬ事故)

眼部組織には何が起こるか?

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電磁波による健康への影響電磁波による健康への影響

“送電線配置と小児ガン”(疫学研究)(N Wertheimer &E Leeper (米国)1979年)

小児がん患児の家の周囲の電線配置から想定される電流量(高い)出生後同一場所に住んでいた小児 (顕著)他因子の影響は否定的

“極低周波磁場は小児白血病の発現に関係があるかもしれない”『発ガンの可能性あり』(国際癌研究機関:IARC)”

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電波の利用状況電波の利用状況3 THz (3000 GHz)

遠赤外線

赤外線

可視光

X線

γ線電波

1GHz10GHz 60GHz,76GHz

94GHz5.2GHz

・携帯電話・PHS

・ETC・室内無線LAN ・レーダ

・将来の室内無線LAN・衝突防止レーダ

・電子レンジ・室内無線LAN

2.4GHz20-100kHz

数百MHz

・テレビ

電磁波

電波

・雲レーダ

・IHクッキングヒーター

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最近の国際学会、最近の国際学会、WHOWHO情報から情報から

〈2005 Bioelectromagnetic Society Meeting〉

“生活環境と電磁界:過去、現在、将来”

通信を含めた電波に関係する急速な技術の

発展の中で我々は安全とされている電波の

曝露にさらされている

被曝量よっては有害(健康傷害)となる

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< 2005 Bioelectromagnetic Society Meeting -1 >

#1. 今後の疫学研究“携帯電話基地局由来電波の健康への影響は?”(欧米の共同研究)

疫学研究の必要性と難しさ

WHO report :

電磁波過敏症:現状は診断基準はない

.

#2. 携帯電話は脳腫瘍発症の原因となるか?(デンマーク)

症例 対照研究神経膠腫、252 症例、髄膜腫 175症例

20歳から69歳

携帯電話は二つの腫瘍のリスクにはならない

最近の国際学会、最近の国際学会、WHOWHO情報から情報から

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< 2005 Bioelectromagnetic Society Meeting -2 >

#3. 携帯電話の長時間使用は脳腫瘍発症の危険因子となるか?(スウェーデン)

症例・対照 研究370万人が研究対象

対象腫瘍 : 神経膠腫 371 と 髄膜腫 273対照例 : 674

携帯電話長期ユーザーを含めて携帯電話使用が神経膠腫、髄膜腫発現のリスクを高め

る仮説を支持する結果は得られなかった

#4. 病理診断された聴神経腫瘍または神経膠腫例と電話使用の関係症例・対照研究

(スウェーデン)

アナログ電話使用は は聴神経腫瘍 の危険因子となり得る

最近の国際学会、最近の国際学会、WHOWHO情報から情報から

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< 2005 Bioelectromagnetic Society Meeting -3 >

#5. Short wave EMF の“睡眠の質とメラトニン分泌への影響”(ドイツ)

電磁波(short wave):眠りの悪い人には分泌への影響はあるが、よい人にはない

#6. ミリ波曝露による眼組織急性傷害(実験的研究)小島、 幡、 佐々木 他 (金沢医科大学)

最近の国際学会、最近の国際学会、WHOWHO情報から情報から

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子供の電波感受性

・子供たちは様々な電磁界に曝される機会が増えている

・子供の電波に対する感受性は大人と違う

・子供の脳組織の電波の伝導性は大人より大きい

・成人より長い期間電磁界に曝される

最近の国際学会、最近の国際学会、WHOWHO情報から情報から

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国際共同症例対照研究国際共同症例対照研究

・WHO国際がん研究機関がコーディネーター・共通の調査基準を作り、各国*はそれを元に個別の調査

法により研究を進める

参 加 国

・ オーストラリア ・ ノルウエイ

・ ニュージーランド ・ ドイツ

・ カナダ ・ イタリア

・ デンマーク ・ イギリス

・ フィンランド ・ フランス

・ スウェーデン ・ イスラエル

・ 日本

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都市環境と脳腫瘍の症例対照研究

(都市における生活環境と健康の疫学調査)

(東京女子医大 山口教授研究班)

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・平成12年12月よりに東京都内の医療機関で本調査を開始

・対象地域は東京都23区

・症例は、年間10症例以上が期待できる医療機関に協力依頼

・住民対照は、住民基本台帳からの抽出に基づく

(東京女子医大 山口教授研究班)

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• 平成13年4月より対象患者の居住地域を、東京都全体、神奈川県、埼玉県、千葉県に拡張

• 平成13年6月より対照選定方法を、住民基本台帳からの抽出から電話による方法に変更

• 年齢範囲 を30~59歳から30~64歳に変更

(東京女子医大 山口教授研究班)

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携帯電話使用および曝露に関する調査事項携帯電話使用および曝露に関する調査事項

• 使用履歴

– 携帯電話の使用開始時期・終了時期

– メーカーと機種

• 使用パターン(各機種について)

– 平均通話数(定期的に使用し始めた最初の6ヶ月間)

– 平均通話時間(定期的に使用し始めた最初の6ヶ月間)

– 使用パターンの変化の有無と内容

• 使用時のアンテナの伸縮の状況

• ハンズフリー装置の使用の有無とその割合

• 移動中の使用の割合

• 都市/郊外での使用の割合

• 携帯電話以外のRFの曝露の可能性(職業曝露など)

(東京女子医大 山口教授研究班)

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携帯電話使用と聴神経腫の調査携帯電話使用と聴神経腫の調査

INTERPHONE Study より

北欧4カ国と英国2ヶ所の分析結果

British Journal of Cancer : 2005年8月

症例数 678 症例

対 照 3,553 例

結 果

使用期間、(蓄積)通話回数と腫瘍発生リスクとの間

には関連性は見当たらない

長期間使用では ?

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眼の構造眼の構造

まぶた(眼瞼) しろめ(結膜、強膜)

茶目(虹彩) 角膜 網膜

視神経

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生体防護指針

一般環境、3-300 GHzでの曝露に対し、

6分間の曝露平均で以下の条件を満たすこと

表皮における入射電力密度 〈 10 mW/cm2〉

眼における入射電力密度 〈 2 mW/cm2〉

(日本、カナダのみの指針)

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電波曝露による白内障発生:最初の報告電波曝露による白内障発生:最初の報告

Experimental lenticular opacities produced by microwave irradiations.A.W. Richardson, T.D. Duane, H. M. HinesArchives of Physical Medicine, 29:765-769, 1948

12.25 cmのマイクロ波を白色家兎に眼前5 cm

の距離から100 Wの強度で15分間曝露することにより、白内障が誘発される

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白内障発症閾値の報告白内障発症閾値の報告

Effect of 2450-MHz radiation on the rabbit eye

A. W. Guy, J.C. Lin, P. O. Kramar, A. F. EmeryIEEE Transactions on microwave theory and techniques, vol. MTT-18, pp. 78-87, 1970

2450-MHzを白色家兎に曝露して白内障を誘発する閾値は150 mW/cm2 (SAR: 138 W/kg), 100分曝露で、水晶体の温度が41℃以上になることが条件であると報告

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曝露方法(1)曝露方法(1)

4 cm

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水晶体所見を含む前眼部形態変化の定量評価装置水晶体所見を含む前眼部形態変化の定量評価装置

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2.452.45 GHz 150mW/cmGHz 150mW/cm22180180分分曝露曝露((麻酔下麻酔下))

僚眼曝露眼

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2.452.45 GHz 150mW/cmGHz 150mW/cm22180180分分曝露曝露((無麻酔下無麻酔下))

僚眼曝露眼

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麻酔の有無と白内障発症麻酔の有無と白内障発症

曝露眼

麻酔下に300 mW 120分曝露

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MWMW曝露による眼内の温度変化の測定曝露による眼内の温度変化の測定

温度測定部位

①眼窩内球後②硝子体③前房③’後房④水晶体⑤角膜

③④

①⑤③’

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血液循環が温度上昇に及ぼす影響血液循環が温度上昇に及ぼす影響

35

40

45

50

0 20 40 60 80 100 120 140

時間(分)

麻酔無(前房)

麻酔無(硝子体)

麻酔有(前房)

麻酔有(硝子体)

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これまでに報告されているミリ波の実験これまでに報告されているミリ波の実験

• 0~11J/cm2

•麻酔+

•2 W/cm2で

35GHz:1.5~5.0s

94GHz:2.0~4.0s

•~8W/cm2で1.0s

• 10 mW/cm2

• 8 hr(単回)

• 4 hr×5 days

• 50 mW以下

•15~80 min(単回曝露)

•麻酔+

•テープで開瞼

曝露条件

角膜上皮傷害の閾値

•35GHz: 7.5 J/cm2

•94GHz: 5 J/cm2

角膜内皮に異常なし

サル35, 94 GHzPW

Chalfin(2002)

傷害なし

*家兎で曝露24時間後に角膜内皮の異常が認められた(外傷?)

家兎

サル

60 GHzCW

Kues(1999)

•107GHz: 直後に強い角膜実質障害.しかし翌日には消失 (?)

•35GHz: 持続的な実質傷害.翌日にも強い上皮傷害を伴った実質傷害あり

家兎35, 107 GHzCW

Rosenthal(1977)

結果動物波長域

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角膜表面温度角膜表面温度曝露前

3 W/cm3 W/cm22 1.5 W/cm1.5 W/cm22

• 角膜温度は曝露後急激に上昇し曝露後約1分で定常状態に達した.

• 最高到達温度3 W/cm2: 54.2±0.9℃1.5W/cm2: 46.0±0.8℃

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60 GHz 3 W/cm60 GHz 3 W/cm22曝露群曝露群

曝露前 直後 3日後1日後

#231縮瞳毛様充血 ブドウ膜炎血管怒張上皮傷害 角膜炎角膜混濁

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3 W/cm3 W/cm22曝露曝露

僚眼(非曝露眼)

全例で曝露直後に虹彩血管の怒張を認めた

#225曝露眼

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眼への影響

過剰な曝露がない限り、人眼への影響

(白内障 他)はない.(J.A.Elder 2003)

白内障誘発には

水晶体近辺の温度が≧41℃に

安全基準値を大幅に上回る曝露量