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アルク英語教育実態レポート Vol.18 [2020 年 6 月] 高等学校における英語 4 技能指導の実態 4 技能向上に効果的な授業モデルと評価法

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アルク英語教育実態レポート Vol.18

[2020年 6月]

■■

■■

高等学校における英語 4 技能指導の実態 ― 4 技能向上に効果的な授業モデルと評価法 ―

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1

はじめに

株式会社アルクは 1969 年の創業以来、月刊誌『ENGLISH JOURNAL』、通信講座「1000 時間ヒ

アリングマラソン」、書籍「キクタン」シリーズなど、さまざまな英語学習教材を開発してきました。

近年は、「英語スピーキング能力測定試験 TSST(Telephone Standard Speaking Test)」「英語学習ア

ドバイザー資格認定制度 ESAC®(English Study Advisors’ Certificate)」を独自に開発し、学習成果

の検証や継続的学習支援のサービスも提供するようになりました。さらに私たちは、学習行動が成果

に結びつきやすくなることを目指し、教材・学習法の研究、学習者個人・企業・教育機関のニーズ調

査等を随時行い、その結果を公表しています。

また、私たちは高校の先生方を支援する活動として、『英語の先生応援マガジン』やウェブサイト、

セミナー等での情報発信を行っています。これまで、現場の先生方のさまざまな指導事例や評価方法

を紹介してきました。近年では、現場での指導・評価の実態について定量的に把握し、情報発信する

ことにも注力しています。その一環として、2019 年 10 月には、1,000 名以上の先生方にご協力いただ

き、中学校・高等学校における副教材の活用実態について調査し、そこから導き出された副教材活用

のアイデアとともにレポートにまとめ、公表いたしました1。

近年、先生方からの関心が特に高いのが、「いかに生徒の 4 技能をバランスよく伸ばすか」という課

題です。そこで今回は、高校の先生方に、2019 年度に行った授業・評価に関するアンケートを行い、

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は具体的にどのような取り組みを行っていたのかを中

心に分析いたしました。その結果として、こうした先生の取り組みにはいくつかの特徴が見られ、そ

れが 4 技能の向上に良い影響を及ぼしていると考えられることがわかりました。

4 技能向上に有効な指導・評価法の参考として、本レポートが少しでも先生方のお役に立てれば幸い

です。

1 「アルク英語教育実態レポート Vol.13 高等学校(中学校)での副教材活用の実態-単語力・文法力を向上させる指導法に着

目して-」(株式会社アルク、2019 年 10 月)

https://www.alc.co.jp/company/report/pdf/alc_report_20191021.pdf

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2

◆本レポートの概要◆

1. 生徒の4技能すべてが向上したと実感した2先生の「授業」には、下記のような特徴が見られる。

<コミュニケーション英語の授業の特徴>

① 先生が英語で発話し、オーラル・イントロダクションや説明を行っている。

② 定着活動において、英語を声に出す活動を中心に、さまざまな活動を行っている。

③ 表現活動において、やりとりや発表など、さまざまな活動を行っている。

④ 英語の「論理」について指導している。

⑤ 教科書の単元によって扱う時間や指導展開を変えている(メリハリをつけている)。

<その他授業の特徴>

⑥ 内容理解にかける時間が短く、表現活動に時間をかけている。

⑦ 生徒や先生が使う ICT ツールを導入し、有効に活用している。

2. 生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生の「テスト・評価」には、下記のような特徴が見

られる。

① コミュニケーション英語の定期考査において、自由英作文など「表現力を問う」問題の出題

割合が高い。

② 学習到達目標を「CAN-DO リスト」形式で設定し、評価に活用している。

③ 定期考査以外でも、「音読」「やり取り」「発表」「自由英作文」などのパフォーマンステスト・

評価を定期的に行っている。

3. 生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生が「自身のスキルアップのために行っている活動」

には、下記のような特徴が見られる。

① 自身の英語力向上に力を入れている。

② 授業準備において、ALT(外国語指導助手)とコミュニケーションを取ったり、指導に使う

英文を自作したりしている。

③ 生徒に授業の感想を聞く、自身の授業を録画・録音するなどして、振り返りを行っている。

授業中に「先生が英語で発話する」、「生徒がさまざまな表現活動を行う」など、4 技能を複合的に使

用するコミュニケーション活動を増やし、ペーパーテスト以外のパフォーマンステストを含めて適切

に評価することが生徒の 4 技能向上に寄与しそうだ。表現活動やパフォーマンステストには手間や時

間がかかるが、ICT ツールを導入したり、教科書の使い方を工夫したりすることで、授業・評価の効

率化や、授業中の活動の幅の広がりが期待される。それに加えて、先生が自身の指導力・英語力のス

キルアップを継続的に行うことも、4 技能向上につながる授業・評価を行う上で重要と考えられる。

2 先生が 2019 年度にメインで担当した学年の授業における平均的な学力の生徒を想定し、2019 年 4 月から 2020 年 1 月までの

生徒の英語力の変化を 4 技能別に先生の実感で評価してもらった。

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3

◆目次◆

はじめに .................................................................................................................................................. 1

本レポートの概要 .................................................................................................................................... 2

1 調査概要 ............................................................................................................................................. 4

1.1 調査目的 ...................................................................................................................................... 4

1.2 調査対象・方法・期間・回答件数 .............................................................................................. 4

1.3 調査項目 ...................................................................................................................................... 5

2 生徒の 4 技能向上の実態 ................................................................................................................... 7

2.1 調査回答者・勤務校の属性 ......................................................................................................... 7

2.2 生徒の各技能が向上したと実感した先生の割合 ........................................................................ 8

2.3 生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生の割合 .............................................................. 9

3 生徒の 4 技能が向上したと実感した先生の授業 ..............................................................................11

3.1 コミュニケーション英語の授業モデル ......................................................................................11

3.1.1 英語で理解モデル ............................................................................................................11

3.1.2 定着重視モデル ............................................................................................................... 13

3.1.3 表現重視モデル ............................................................................................................... 14

3.1.4 論理(ロジック)重視モデル ......................................................................................... 15

3.2 コミュニケーション英語の教科書単元の扱い ....................................................................... 16

3.3 その他の特徴 .......................................................................................................................... 18

4 生徒の 4 技能が向上したと実感した先生のテスト・評価 .............................................................. 24

4.1 コミュニケーション英語の評価方法 ....................................................................................... 24

4.2 CAN-DO リストの活用状況 ................................................................................................... 25

4.3 パフォーマンステストの実施状況 ......................................................................................... 26

5 生徒の 4 技能はどの先生でも伸ばせるか ...................................................................................... 30

5.1 生徒の 4 技能が向上したと実感した先生の勤務校の属性 ..................................................... 30

5.2 生徒の 4 技能が向上したと実感した先生のスキルアップ方法 .............................................. 31

おわりに ................................................................................................................................................ 34

付録 調査票 ......................................................................................................................................... 35

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4

1 調査概要

1.1 調査目的

社会の急速なグローバル化が進展し、日本においても人々が日常生活や仕事におけるさまざまな場

面で英語を使用する機会が増加することが予測される中、平成 30 年告示の「高等学校学習指導要領」

3においても、英語によるコミュニケーション能力の向上は課題とされている。4 技能を駆使した、い

わゆる「使える英語力」を育成するため、国はこれまでにさまざまな英語指導・評価に関する施策を

行ってきた。平成 21 年改訂の「高等学校学習指導要領」4では、「外国語を通じて、言語や文化に対

する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、情報や考えなどを

的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養う」ことが目標として掲げられ、4

技能指導の充実が図られてきた。近年では、2020 年度から小学校 3、4 年生で外国語活動が必修化さ

れ、5、6 年生で外国語が教科化された。また、2019 年 11 月に延期が発表されたものの、大学入試に

おける英語資格・検定試験(4 技能試験)の活用が検討された。

高校においては、4 技能を用いたコミュニケーション能力を育成するために、授業内で英語による言

語活動を活性化させることや、CAN-DO リスト形式の学習到達目標の設定とそれを評価するためのパ

フォーマンス評価の導入、ICT ツールの導入を含む教材の充実、教師の指導力・英語力向上等が求め

られてきた5。しかし、今日の高校の現場ではそれらがどの程度実現されているのか、またそれが英語

の 4 技能向上にどの程度寄与しているのか、不明な点もあるのが現状である。

本調査は、高校の英語授業における 4 技能の指導・評価の実態を定量的に把握した上で、生徒の 4

技能すべてが向上したと実感した先生は具体的にどのような指導・評価を行っているかを明らかにす

る。そこから得られた知見を元に、4 技能向上を目指した英語指導・評価改善のためのアイデアを提供

する。

1.2 調査対象・方法・期間・回答件数

1. 調査対象

株式会社アルクが主催するセミナーの参加者や、アルクが発行する情報誌『英語の先生応援マガ

ジン』の読者など、アルクと接点がある高校の英語教師。

2. 調査方法

アンケートはインターネット上にて実施。e メールおよびアルクが発行する月刊メールマガジン

『英語の先生応援メールマガジン』上にて、アンケート回答用の URL を示して回答を依頼した。

3 「高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 外国語編 英語編」 (文部科学省、2018 年 7 月)

https://www.mext.go.jp/content/1407073_09_1_2.pdf 4 「高等学校学習指導要領(平成 21 年改訂)解説 外国語編 英語編」 (文部科学省、2009 年 12 月)

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/01/29/1282000_9.pdf 5 「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」(文部科学省、

2014 年 10 月)

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/houkoku/attach/1352464.htm

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URL への誘導 QR コードを記載したレターも別途郵送し、アルクの関係者が学校訪問をした際

には直接手渡して回答を促した。アンケート回答特典として、回答者全員にアルク主催「英語の

先生応援セミナー」の無料受講券と、本調査の結果速報を提供した。

3. 調査期間・回答者数

回答受付期間は 2020 年 1 月 10 日(金)~2 月 10 日(月)で、 1,238 人から回答を得た。氏名・

メールアドレスなどから、同一人物が重複して回答していると判別できたものについては削除し

た上で、2019 年度に高校で勤務をしていない回答者による回答を除いた有効回答者数は 1,224 人

であった。

※回答依頼件数は社外秘情報のため非公表

1.3 調査項目

■回答者およびその勤務校の属性に関する設問

・回答者の性別

・回答者の年代

・勤務校の運営

・勤務校の入学時の偏差値

・回答者が 2019 年度にメインで担当した学年

・担当学年の週あたりの英語の授業時間数

■生徒の英語力の変化に関する設問

・2019 年 4 月から現在までの生徒の英語力の変化(「リスニング」「リーディング」「スピーキング」「ラ

イティング」の各技能について、回答者の実感による評価で最も近いものを選択)

■コミュニケーション英語の授業に関する設問

・年間に扱う教科書の単元数

・教科書の単元の扱い方(複数選択式)

・教科書の難易度

・内容理解で取り入れていること(複数選択式)

・定着活動で取り入れていること(複数選択式)

・表現活動で取り入れていること(複数選択式)

・1 つの単元における「内容理解」「定着活動」「表現活動」の実施割合(記述式)

・授業中に先生が英語で発話する割合

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■授業に関するその他の設問

・1 年間の英語表現の授業における「問題演習・教師の解説」「定着活動」「表現活動」の実施割合(記

述式)

・「論理」(英文の構成についてのロジック)に関する指導をしているか

・授業中に生徒が使用する ICT ツールの導入状況

・授業中に先生が使用する ICT ツールの導入状況

・導入している ICT ツールとその活用方法(記述式)

■テスト・評価に関する設問

・コミュニケーション英語の定期考査における「内容理解」「定着」「表現」の配点の割合(記述式)

・学習到達目標を CAN-DO リスト形式で設定しているか

・CAN-DO リストの活用状況(複数選択式)

・定期考査以外に、学習内容の定着確認や表現を問うパフォーマンステストや評価を行う頻度

■先生のスキルアップに関する設問

・授業をより良くするために行っている工夫(複数選択式)

・指導力・英語力向上のために行っている工夫(複数選択式)

・授業準備の方法(複数選択式)

※「複数選択式」「記述式」の注意書きがあるものを除きすべて単一選択式

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7

男性

55.1%

女性

44.2%

性別(n=1,224)

2 生徒の 4 技能向上の実態

本章では、今回の調査に回答した英語教師(以下「先生」)1,224 人の属性およびその勤務校の属性

について概観した後に、先生が 2019 年度に担当した生徒の英語力の変化を「リスニング」「リーディ

ング」「スピーキング」「ライティング」の技能別に見ていく。なお、生徒の英語力の変化については、

先生が 2019 年度にメインで担当した学年の授業における平均的な学力の生徒を想定して、先生の実感

で回答してもらった。

2.1 調査回答者・勤務校の属性

性別・年代は以下の通り。性別は男性が女性よりやや多く(10.9 ポイント差)、年代は「40~49 歳」

が 32.7%で最多であった。

次ページのグラフに示す通り、勤務校の運営形態は「公立」が 59.0%で過半数を占める。「令和元年

度学校基本調査」6によれば、令和元年 5 月 1 日時点で、日本全国の高校 4,887 校のうち、「国立」が

15 校(0.3%)、「公立」が 3,550 校(72.6%)、「私立」が 1,322 校(27.1%)であり、本調査の回答者

は日本全国の学校の分布と比較すると私立校勤務の割合がやや高いと言える。

入学時の偏差値は、「50~54」が 23.0%で最多、次いで「45~49(21.3%)」、「40~44(18.0%)」

が多く、やや低めの学校に偏っている。

6 「令和元年度学校基本調査(確定値)の公表について」(文部科学省、2019 年 12 月)

https://www.mext.go.jp/content/20191220-mxt_chousa01-000003400_1.pdf

~29歳

11.4%

30~39

25.6% 40~49

32.7%

50~59

26.2%

60歳以

4.1%

年代(n=1,224)

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国立

1.6%

公立

59.0%

私立

39.3%

その他

0.1%

勤務校の運営(n=1,224)

7.8%

18.0%

21.3% 23.0%

14.1%

9.2%

4.6%

2.0%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

入学時の偏差値(n=1,224)

2019 年度にメインで担当した学年は、高校 1 年生、2 年生、3 年生がほぼ同じ割合であった。

1 人の生徒が受ける週あたりの英語の授業時間(コマ)数は「6 コマ」が 30.1%で突出しており、次

いで「5 コマ(16.5%)」、「生徒によって異なる(14.1%)」が多い。

2.2 生徒の各技能が向上したと実感した先生の割合

先生が 2019 年度にメインで担当した学年の授業における平均的な学力の生徒を想定し、2019 年 4

月から 2020 年 1 月までの英語 4 技能それぞれの変化についてどのように感じるかを「上がった」「や

や上がった」「どちらとも言えない」「やや下がった」「下がった」の 5 段階で技能別に問うた。その結

果を次ページのグラフに示す。

高校

1年生

34.0%

高校

2年生

32.9%

高校

3年生

33.1%

メインで担当した学年(n=1,224)

8.9% 9.8%

16.5%

30.1%

13.0% 7.6%

14.1%

0%5%

10%15%20%25%30%35%

英語の授業時間(コマ)数

(n=1,224)

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生徒の伸びを実感した割合が最も高かったのは「リーディング」(「上がった」、「やや上がった」を

合計して 70.9%)であった。「リスニング」(同 57.4%)、「ライティング」(同 54.3%)が続き、スピ

ーキングは「上がった」(6.7%)、「やや上がった」(31.2%)ともに 4 技能の中で最も少なく、合計し

て 37.9%であった。

この結果から、先生は生徒のリスニング・リーディングの「受信」の技能に比べて、スピーキング・

ライティングの「発信」の技能の伸びがやや小さいと感じていることが分かる。特にスピーキングに

おいては、「スピーキング力を伸ばす指導」や「スピーキング力が上がったかどうかの評価」が、十分

または効果的に行えていないなど、苦労されているのかもしれない。

2.3 生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生の割合

前項の「生徒の英語力の変化」を英語の 4 技能別に問うた設問で、「リスニング」「リーディング」

「スピーキング」「ライティング」すべてにおいて「上がった」または「やや上がった」と回答した先

生(以下、「生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生」とする)は 218 人で、全体の 17.8%で

あった。1 年間の授業で生徒の 4 技能すべてを向上させるのは容易ではないことがわかる。

7.2%

14.0%

6.7%

10.6%

50.2%

56.9%

31.2%

43.7%

41.3%

27.0%

58.9%

43.2%

1.1%

2.0%

2.7%

2.3%

0.2%

0.2%

0.5%

0.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

リスニング

リーディング

スピーキング

ライティング

生徒の英語力の変化(n=1,224)

上がった やや上がった どちらとも言えない やや下がった 下がった

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10

では、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した約 2 割の先生は、授業中の指導または評価におい

て、どのような取り組みをしていたのだろうか。次章では、2019 年度に生徒の 4 技能すべてが向上し

たと実感した先生の授業にはどのような特徴があったかに焦点を当て、4 技能向上に効果的な授業モデ

ルについて考察する。

生徒の4技能すべ

てが「上がった」ま

たは「やや上がっ

た」と実感した先生 17.8%

その他の先生 82.2%

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生の割合(n=1,224)

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11

3 生徒の 4 技能が向上したと実感した先生の授業

本章では、先生が 2019 年度に行った「授業」に関する設問に対して、生徒の 4 技能すべてが向上し

たと実感した先生の回答と、全体の回答を比較することで、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感し

た先生の授業にはどのような特徴があったかを明らかにする。

3.1 コミュニケーション英語の授業モデル

本項では、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生がコミュニケーション英語においてどの

ような授業を行っていたかを「内容理解」「定着活動」「表現活動」の観点から問い、その回答を分析

した結果を示す。生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生の授業においては、4 つの特徴が見

られた。これらを、分かりやすさの観点から「授業モデル」として示す。なお、回答者 1,224 名のう

ち、2019 年度に教科書の単元を用いてコミュニケーション英語の授業を担当していたのは 1,098 名

(89.7%)であった。そのうち、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は 191 名(17.4%)

であった。

3.1.1 英語で理解モデル

コミュニケーション英語教科書の単元学習(宿題含む)において、内容理解で取り入れているもの

を問う設問に対する回答を、次ページのグラフに示す。

全体では、「本文に使われている単語のインプット」(89.7%)、「Q&A や TF による内容理解」

(87.9%)をほとんどの先生が行っている。

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生の、各活動の実施割合を全体と比較すると、「オーラ

ル・イントロダクション(英語による教科書本文の口頭導入)」が 60.2%で 20.5 ポイント差、「本文内

容に関して教師が英語で説明(オーラルイントロダクションを除く)」が 41.4%で 18.4 ポイント差と、

この 2 項目で大きな差が見られた。この結果から、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、

自らが授業中に英語で発話し、内容理解活動を行っている割合が高いことが読み取れる。

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別の設問において、コミュニケーション英語の授業中、先生の発話はどの程度英語で行っているか

を問うたところ、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、授業における発話の「ほぼすべ

て」(12.6%)、「4 分の 3 程度」(27.2%)、「半分程度」(34.6%)を英語で行っており、全体と比較し

ていずれも割合が高い。

89.5%

67.5%

60.2%

80.1%

87.4%

50.3%

7.9%

40.3%

4.7%

58.1%

41.4%

8.9%

89.7%

69.9%

39.7%

74.7%

87.9%

34.7%

14.1%

45.7%

14.5%

59.7%

23.0%

4.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

本文に使われている単語のインプット

本文に使われている文法のインプット

オーラル・イントロダクション(英語による教科書本文の

口頭導入)

本文のリスニング

Q&AやTFによる内容理解

パラグラフ・チャート/ロジック・チャートによる内容理解

本文の全ての文を訳す活動

本文の一部の文を訳す活動

本文のすべての文を教師が解説

本文の一部の文を教師が解説

本文内容に関して教師が英語で説明(オーラル・イント

ロダクションを除く)

その他

コミュニケーション英語の内容理解で取り入れているもの

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=191) 全体(n=1,098)

12.6%

4.2%

27.2%

14.5%

34.6%

30.5%

18.3%

29.0%

7.3%

21.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

生徒の4技能すべてが向上したと実感した

先生(n=191)

全体(n=1,098)

授業中に先生が英語で発話する割合

ほぼすべて 4分の3程度 半分程度 4分の1程度 ほぼ日本語

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以上のデータから、授業中に先生が英語でオーラル・イントロダクションや説明を行い、生徒の内

容理解を支援することは、生徒の 4 技能の向上に有効であると言えそうだ。授業中に生徒が英語を聞

いて理解する機会が増えることに加え、生徒が先生の発話をリピートしたり、先生の質問に英語で答

えたりして英語でのコミュニケーションが活性化されることが4技能の向上に寄与すると推察される。

3.1.2 定着重視モデル

コミュニケーション英語教科書の単元学習(宿題含む)において、定着活動で取り入れているもの

を問う設問に対する回答は以下の通りであった。

全体では、「コーラス・リーディング(全員一斉での音読)」が 79.8%で最多であった。

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、全体と比較して「バズ・リーディング(個人で

の音読)」(8.0 ポイント差)、「オーバーラッピング/パラレル・リーディング」(10.7 ポイント差)、「リ

ード&ルックアップ」(9.3 ポイント差)、「シャドーイング」(13.5 ポイント差)、「バック・トランスレ

7.9%

31.4%

73.8%

72.8%

61.3%

41.9%

59.7%

41.4%

39.8%

50.3%

39.3%

4.2%

13.2%

31.9%

79.8%

64.8%

50.6%

32.6%

46.2%

39.0%

37.9%

37.7%

22.4%

2.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

本文の書き写し

ディクテーション

コーラス・リーディング(全員一斉での音読)

バズ・リーディング(個人での音読)

オーバーラッピング/パラレル・リーディング

リード&ルックアップ

シャドーイング

穴あき音読(空所のある英文を埋めながら音読)

サイト・トランスレーション(英→日変換音読)

バック・トランスレーション(日→英変換音読)

本文内容に関して、生徒同士が英語で会話して確認

その他

コミュニケーション英語の定着活動で取り入れているもの

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=191) 全体(n=1,098)

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ーション(日→英変換音読)」(12.6 ポイント差)、「本文内容に関して、生徒同士が英語で会話して確

認」(16.9 ポイント差)を多く行っており、他の活動についても全体と同程度の割合で取り入れている。

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、定着活動において生徒が英語を声に出す活動を多

く取り入れており、そのバリエーションが多岐に渡ることが読み取れる。

このことから、授業中にさまざまな形式で生徒が英語を声に出す定着活動を行うことは、生徒の 4

技能向上に有効であると言えそうだ。個人で行う音読と併せて、オーバーラッピング・シャドーイン

グ等、音声に合わせて声を出す活動によって英語らしい発音やリズムが身に付き、リスニング力やス

ピーキング力の向上に良い影響があるのかもしれない。また、バック・トランスレーションや、本文

内容に関して生徒が英語で会話することも、文構造の正しい理解が必要になるため定着に有効である

とともに、英文を自分で組み立てて再現したり表現したりすることが発信力の強化にも寄与すると推

察される。

3.1.3 表現重視モデル

コミュニケーション英語教科書の単元学習(宿題含む)において、表現活動で取り入れている活動

を問う設問に対する回答は以下の通りであった。

53.9%

66.0%

49.7%

37.2%

45.5%

14.7%

52.9%

4.7%

39.6%

46.9%

36.2%

21.2%

26.0%

5.3%

35.0%

8.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

リプロダクション(キーワードやイラストを見ながら、本

文または要約文を英語で再現して話す活動)

リテリング(キーワードやイラストを見ながら、本文の

内容を自分の言葉(英語)で表現する活動)

英語でのサマリー・ライティング

本文内容から発展した会話/ディスカッションなどの

やり取り

本文内容から発展したスピーチ/プレゼンテーション

などの発表

本文内容から発展したディベート

本文内容から発展した自由英作文

その他

コミュニケーション英語の表現活動で取り入れているもの

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=191) 全体(n=1,098)

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表現活動は、全体では、前に挙げた内容理解・定着活動と比べて各活動を行っている割合がやや低

い。表現活動は、本文の深い理解と定着が前提となる高度な活動のため、実施が難しい先生も多いこ

とが窺える。内容理解・定着活動と比べて活動自体に時間が掛かることや評価がしづらいことも実施

割合が低い一因だろう。特に、個人で行うのではなく相手とのコミュニケーションを図る「本文内容

から発展した会話/ディスカッションなどのやり取り」(全体の実施割合が 21.2%)、「本文内容から発

展したディベート」(同 5.3%)は取り組んでいる割合が低い。

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、表現活動では、「その他」を除く全ての項目につ

いて、全体と比較して実施割合が高かった。このことから、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感し

た先生は表現活動に重点を置き、さまざまな活動を実践していることが読み取れる。

このことから、授業中にさまざまな表現活動をすることは、生徒の 4 技能向上に有効であると言え

そうだ。表現活動は、内容理解や定着活動によって習得した知識を活用し、多くの場合、受信と発信

を同時に行う活動であるからだと推察される。

3.1.4 論理(ロジック)重視モデル

2018 年に改訂され、高校では 2022 年度の新入学生より順次実施されることが決定している新学習

指導要領7の下では、「話すこと」「書くこと」を中心とした発信力の強化を図るために、主にスピーチ、

プレゼンテーション、ディベート、ディスカッション、まとまりのある文章を書くことなどを扱う「論

理・表現」の科目が新設される。発信はもとより、情報を素早く正確に理解するためにも、論理的に

思考する力は重要であろう。

では、現行のカリキュラムにおいては、先生方は論理に関する指導をどの程度行っているのだろう

か。また、論理の指導を行うことは 4 技能の向上に寄与すると言えるのだろうか。「論理」に関して取

り入れている指導を問うた設問に対する回答は以下の通りであった。

7 「高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 外国語編 英語編」 (文部科学省、2018 年 7 月)

https://www.mext.go.jp/content/1407073_09_1_2.pdf

50.3%

83.2%

34.7%

68.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

パラグラフ・チャート/ロジック・チャートによる内容

理解

表現活動に必要な「論理」を教えている

「論理(ロジック)」に関して取り入れている指導

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=191) 全体(n=1,098)

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すでに全体の 34.7%の先生がパラグラフ・チャート/ロジック・チャートによる内容理解を行って

おり、68.2%の先生が表現活動に必要な「論理」の指導を行っている。また、生徒の 4 技能すべてが

向上したと実感した先生の授業では、全体と比較して「論理」を意識した指導をしている割合がさら

に高い(それぞれ約 15 ポイント差)ことがわかった。この結果から、論理的な理解力・発信力を身に

つけさせることは、生徒の 4 技能向上に有効であると言えそうだ。授業においては、単語・文法・発

音等の些細な誤りを許容しつつ、自分の考えを論理的に伝えることを重視した表現活動を行うことで、

生徒の英文理解のスピードが速まったり、より的確に、説得力のある内容を伝えられるようになった

りする(=発信の質が高まる)効果も期待される。

3.2 コミュニケーション英語の教科書単元の扱い

前項で、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、主に定着活動と表現活動において多岐

に渡る活動を行っており、論理に関する指導も行っている割合が高いことを述べた。しかし、1 つの単

元の学習に充てられる時間には限りがあるので、すべての単元においてこれらの活動を組み込もうと

すれば、時間数の関係で省略せざるを得ない単元が発生し、教科書の素材を全て使い切ることが難し

くなることが考えられる。

本項では、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生のコミュニケーション英語の教科書単元

の扱い方を分析し、限られた時間数の中で 4 技能向上に有効な授業を実践するためにどのような工夫

をしているのかを明らかにする。

コミュニケーション英語教科書の全単元(Lesson や Unit)のうち年間で扱う数および教科書の単元

の扱い方について問うた結果は以下の通りとなった。

49.7%

35.1%

12.0%

3.1%

38.3%

36.3%

21.3%

4.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

ほぼすべて

4分の3程度

半分程度

4分の1程度

年間で扱う単元教科書の単元数

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=191) 全体(n=1,098)

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年間で教科書の単元を「ほぼすべて」扱う先生は全体の 38.3%と半数に満たないことがわかった。

一方で、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は「ほぼすべて」が 49.7%と半数近くを占め、

全体との差は 11.4 ポイントと、より多くの単元を扱っている傾向がある。前項で示した通り、生徒の

4 技能すべてが向上したと実感した先生は、授業内でさまざまなアクティビティを行うため、教科書で

扱う単元の数を限っているのではないかと仮説を立てていたが、実際には、全体と比べて多くの単元

を扱っていることが判明した。

教科書の単元の扱い方では、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は「どれもほぼ同じ扱

いをしている」の割合が全体と比べて低く(29.8%、全体と 12.5 ポイント差)、「扱っている単元によ

って時間数を変えることがある」(57.6%、全体と 9.9 ポイント差)、「扱っている単元によって指導展

開を変えることがある」(61.8%、全体と 14.0 ポイント差)の項目で全体より割合が高かった。

以上の結果から、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、教科書の単元によって扱う時

間数や指導展開を変え、その結果として年間でより多くの単元を扱うことができていると読み取れる。

指導時間および指導展開の変更の例としては、「概要理解→詳細理解→音読」など数時間で終わらせる

単元と、「概要理解→詳細理解→語彙・表現の定着活動→さまざまな音読活動→ディベート・ディスカ

ッション」など、十分な時間をかける単元の軽重をつけることが考えられる。

本章でここまでに見た結果をまとめると、内容理解・定着活動・表現活動・論理指導において英語

を使って幅広い活動を行うことが 4 技能向上に有効であり、それを実践するためには授業にメリハリ

29.8%

57.6%

61.8%

20.9%

1.6%

0.0%

42.3%

44.4%

47.8%

19.6%

1.3%

0.5%

0% 20% 40% 60% 80%

扱っている単元は、どれも【ほぼ同じ扱い】をしている

扱っている単元によって【時間数を変える】ことがある

扱っている単元によって【指導展開を変える】ことがある

扱う【単元の順番を変える】ことがある

同じ単元を、【間を空けて2周以上】扱うことがある

その他

教科書の単元の扱い方

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=191) 全体(n=1,098)

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をつけることが重要であると言えそうだ。教科書のより多くの単元を扱うことで、より多くの言語材

料に触れることができ、理解や発信の幅が広がる可能性もある。

3.3 その他の特徴

1. コミュニケーション英語の授業における理解・定着・表現活動の実施割合

前項で、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、授業内で定着活動や表現活動を重視し、

多岐に渡るアクティビティを行っている割合が高いことが分かった。では、生徒の 4 技能すべてが向

上したと実感した先生は、コミュニケーション英語の授業における「内容理解」「定着活動」「表現活

動」をどのような時間配分で行っているのだろうか。

コミュニケーション英語で教科書の 1 単元を扱う学習全体を 10 とした場合、内容理解・定着活動・

表現活動それぞれにかける時間の割合(単元によって異なる場合はその平均)を問い、生徒の 4 技能

すべてが向上したと実感した先生の回答と全体の回答をそれぞれ平均し比較した結果は以下の通りで

あった。

全体では、内容理解(5.0) > 定着活動(3.2) > 表現活動(1.8)の順に時間をかけており、授

業時間の半分を内容理解に使っている。一方で生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生に着目

すると、内容理解にかける時間がやや少なく(4.3)、定着活動にかける時間は同程度(3.4)であり、

表現活動にやや多くの時間を割いている(2.3)。

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、さまざまな定着・表現活動を行う傾向があった

が、単元の扱いにメリハリをつけることに加えて、内容理解の時間を短縮し、その時間を表現活動に

充てているとも言えそうだ。発信につながる活動の種類が豊富なことに加えて、時間的にも受発信の

4.3

3.4

2.3

5.0

3.2

1.8

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

内容理解

定着活動

表現活動

コミュニケーション英語の授業における各活動の実施割合(平均)

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=191) 全体(n=1098)

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活動をバランスよく行っていることが、相互に影響し合って 4 技能向上につながっているのかもしれ

ない。

2. 英語表現の授業における理解・定着・表現活動の実施割合

次に、英語表現の授業で教科書の単元を扱う学習全体を 10 とした場合、理解・定着・表現活動それ

ぞれにかける時間の割合(単元によって異なる場合はその平均)を問い、生徒の 4 技能すべてが向上

したと実感した先生の回答と全体の回答をそれぞれ平均し比較した結果を以下に示す。

なお、2019 年度に英語表現の授業を担当していたのは調査対象者全体の 68.5%にあたる 839 人で、

そのうち 19.0%にあたる 159 人が生徒の 4 技能すべてが「上がった」または「やや上がった」と回答

した。

全体では、問題演習・解説(5.3) > 定着活動(2.6) > 表現活動(2.1)の順に時間をかけ、授

業時間の 5 割強を問題演習・解説に充てている。前項のコミュニケーション英語と同様に、生徒の 4

技能すべてが向上したと実感した先生は全体と比較して問題演習・解説といった「理解」を中心とし

た活動にかける時間の割合が低く、表現活動にかける時間の割合が高い。

英語表現の授業に関しては、詳細を問うていないので推測するしかないが、コミュニケーション英

語と同様に、表現活動のバリエーションが多く、それが影響して表現活動の時間の割合が高くなって

いる可能性も考えられる。

本項までに見てきたデータを総合すると、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、少な

くともコミュニケーション英語においてはさまざまな定着・表現活動を実施し、かつ、コミュニケー

ション英語、英語表現双方の授業において表現活動の時間が長い。質と量の両面において、受信だけ

でなく発信力も鍛える授業を展開しており、それが 4 技能向上につながっていると言えそうだ。

4.5

2.8

2.7

5.3

2.6

2.1

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

問題演習・解説

定着活動

表現活動

英語表現の授業における各活動の実施割合(平均)

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=159) 全体(n=839)

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3. 授業における生徒および先生の ICT ツール活用実態

授業に ICT ツールを導入する利点は多く、文部科学省の方針でも学校での ICT ツールの活用が推奨

されてきた8。ICT ツールは、前の項目で 4 技能向上に有効であると推察された、授業中に行う活動の

幅を広げることや、授業を効率化して表現活動の時間を確保することにも一役買うであろう。また、4

技能向上に直接影響するものではないが、学習管理システム (Learning Management System: LMS)

や e ポートフォリオなどのツールを活用すれば、生徒ひとりひとりの進捗を把握し、適切なフィード

バックを行えて、生徒の英語力を効果的に伸ばせるといった利点もありそうだ。

では、現在高校の授業で ICT ツールはどの程度活用されているのだろうか。「生徒が使う ICT ツー

ル」「先生が使う ICT ツール」について、導入状況を選択式で問うた設問に対する回答は以下の通りで

あった。

なお、この調査結果は 2020 年 2 月上旬時点のものであり、2020 年 3 月から新型コロナウイルス感

染拡大の影響で全国的に休校となって以降、ICT ツールの導入状況は大きく変化していると推察され

ることに留意が必要である。

生徒が使う ICT ツールを「導入しており有効に活用している」と回答したのは全体の 15.7%にとど

まり、多くの学校では ICT ツールを導入していない、または導入しているが有効に活用できていない

現状が浮かび上がってきた。前者に関しては予算の問題で導入できないケースや、後者においては具

体的な使い方が検討されないまま導入されているケースなどが考えられる。また、例えば課題を配信

できるツールなどを導入していても、生徒が自分のデバイスやインターネット環境を持っていないな

ど、インフラが未整備で活用できていない場合もあるだろう。

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、26.1%が ICT ツールを「導入しており有効に活

用している」と回答し、全体よりも 10.4 ポイント高い。このことから、生徒が使う ICT ツールを導

入し、有効に活用したことが 4 技能の向上に寄与した可能性があると言えそうだ。この次の質問で、

「何という ICT ツールをどのように活用しているか」を任意の自由記述で問うた結果(詳細は後述)

8 「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」(文部科学省、

2014 年 10 月)

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/houkoku/attach/1352464.htm

26.1%

22.0%

51.8%

15.7%

23.2%

61.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

導入しており有効に活用している

導入しているが有効に活用できていない

導入していない

生徒が使うICTツール

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=218) 全体(n=1,224)

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から、ICT ツールを導入することによって、音声を利用した定着活動がしやすくなる、プレゼンテー

ションツールとして使える、自分の発話を録音・録画することができ表現活動の幅が広がる、資料や

板書の配布・投影を効率化することで時間を有効に使えるなど、前項までに挙げた 4 技能向上に有効

な授業に役立っていることが推察される。

ただし、自由記述欄の回答は「PC、スマホ」「インターネット」など広義のツールから、詳細な「LMS、

e ポートフォリオ、アプリの名称」を答えたものまでばらつきがあった。また、選択式の設問では「(ICT

ツールを)導入していない」と回答したにも関わらず、自由記述欄には「プロジェクターを使ってレ

ッスンに関する画像を見る」などの具体例を記述している回答者も複数見られた。このことから、こ

の設問から回答者が想定した「ICT ツール」は人によって異なると見られ、上記の選択式設問の集計

結果は実態を正しく反映していない可能性もある。

先生が使う ICT ツールについては、全体の 30.6%が「導入しており有効に活用している」と回答し、

前の生徒が使う ICT ツールについての設問の解答と比較すると 14.9 ポイント高い。

こちらの設問についても、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、39.4%が ICT ツール

を「導入しており有効に活用している」と回答し、全体よりも 8.8 ポイント高い。生徒が使う ICT ツ

ールに関する設問と同様、回答者各々が想定した「ICT ツール」にばらつきがあったために回答の正

確性に疑問は残るものの、先生が使う ICT ツールを導入し、有効に活用したことが 4 技能の向上に寄

与した可能性がある。

また、今回の調査では「生徒が使う ICT ツール」と「先生が使う ICT ツール」の設問を分けて問う

たが、自由記述を分析したところ、「LMS」「e ポートフォリオ」などをはじめとする多くの ICT ツー

ルが先生と生徒の間で双方向に利用されていることが判明した。

39.4%

21.6%

39.0%

30.6%

27.6%

41.8%

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45%

導入しており有効に活用している

導入しているが有効に活用できていない

導入していない

先生が使うICTツール

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=218) 全体(n=1,224)

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自由記述欄に見られた、ICT ツールを有効に活用できている具体例の中から、代表的なものをピッ

クアップし、下記に示す。音声や動画の再生といった、英語授業ならではの活用だけでなく、板書の

スライド投影による時間短縮、LMS や e ポートフォリオによる先生と生徒の双方向のコミュニケーシ

ョンの活性化などさまざまな形で ICT ツールが活用されており、先生方が試行錯誤しながら ICT ツー

ルの導入を進めている様子が浮かび上がってきた。

<ICT ツール活用の具体例>

■インターネットを使った調べ学習

・デスクトップのパソコンや生徒のスマホで、表現やレッスンのコンテンツなどを調べさせている。

・スピーチを作る時のリサーチ。

■LMS を利用した教材配信・課題提出・情報共有等

・教師が LMS 上で資料・教材を配信し、保管。教材は教員間で共有。

・生徒が LMS 上で課題を提出し、教師がフィードバック。成績管理にも活用。

・授業課題・試験範囲・授業準備に関する連絡など、授業に関わる連絡はほぼすべて LMS 上で配信。

・小テストやアンケートの実施。

■e ポートフォリオによる学習の記録・振り返り

・学校行事やテストの振り返り、部活動の記録などを生徒が入力している。生徒の学習の進捗管理に

も活用。

■板書・画像・動画等の投影

・プロジェクターやパワーポイント、電子黒板を用いて、板書を省力化している。レッスンに関する

動画を視聴することもある。

・生徒の作文等をクラス内に共有し、解説を行う。

・生徒にプレゼンテーションの資料を作成させる。

■活動を録音・録画する

・タブレットを使って英語での会話を録音録画し、聞き直して会話を書き起こす。

・iPad のカメラ機能を中心に、発音の矯正等に使っている。

・生徒のパフォーマンスを動画で撮影し、フィードバックとクラス内共有に活用している。

■音声の再生

・音声スピード調節アプリでリスニングや音読の練習。

・デジタル教科書を用いて、本文の音声を再生する。

■その他

・アプリを用いて、語彙の定着活動を実施。

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・e ラーニングで授業外の自己学習をさせる。

・英作文添削ツールを活用。

・オンライン英会話を利用している。

<生徒や先生が利用している ICT ツール(自由記述欄への回答件数が多い順。()内は件数)>

Classi(153)/タブレット(iPad を含む)(98)/PowerPoint(58)/PC(Chromebook を含む)

(48)/プロジェクターとスクリーン(44)/ロイロノート(41)/電子黒板(39)/デジタル教科

書(35)/スタディサプリ(33)/Google Classroom(25)/JAPAN e-Portfolio(18)/ベネッセ

の e ポートフォリオ(18)/携帯電話・スマートフォン(12)/Quizlet(9)/タブレット PC(9)

/e ポートフォリオ(8)/English Central(7)/G Suite for Education(6)/Keynote(5)/ス

マートレクチャーコレクション(5)/MetaMoJi ClassRoom(4)/Google フォーム(4)/マナビ

ジョン(4)/Feelnote(4)/プレゼンテーションソフト(4)/ハイスクールオンライン(3)/Kahoot!

(3)/オンライン英会話(3)/Edmodo(3)/Teams(3)/TED Talks(3)/CYBER CAMPUS

(3)/YouTube(3)/Google のアプリ(2)/スピーカー(2)/書画カメラ(2)/schoolTakt(2)

/compass(2)/Write & Improve(2)/SKY MENU(2)/Google Drive(2)/e ラーニング(2)

/IC レコーダー(2)/電子辞書(2)/ALC NetAcademy NEXT(2)/生徒カルテ(2)/進研模

試デジタルサービス(2)/クラスルーム(2)/賢者(2)/Prezi(2)/その他( 53)

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4 生徒の 4 技能が向上したと実感した先生のテスト・評価

前章では、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、授業内でさまざまな定着活動や表現

活動を行っていることが判明したが、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、テストや評

価をどのように行っているのだろうか。「4 技能を使って具体的に何ができるようになるか」といった

CAN-DO リスト形式での目標設定や、その達成度を測る評価を積極的に行うことで、活動のねらいが

明らかになり、生徒への指導が適切に行え、生徒自身の動機づけも喚起されるというように、テスト

や評価の仕方も 4 技能向上に影響しているのではないだろうか。本章では、生徒の 4 技能すべてが向

上したと実感した先生のテスト・評価における特徴を明らかにし、4 技能向上につながる要素を考察す

る。

4.1 コミュニケーション英語の評価方法

前章で、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、全体と比べてコミュニケーション英語

の授業における内容理解の時間が短い一方、表現活動に時間をかけている傾向があることが判明した。

では、定期考査における評価についてはどうだろうか。定期考査における出題全体を 10 とした場合の、

「概要把握・和訳や知識を問う問題」、「英文の定着度を問う問題」、「表現を求める問題」の割合を問

い、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生の回答と全体の回答をそれぞれ平均し比較した結

果は以下の通りであった。

定期考査において、全体では「概要把握・和訳や知識を問う問題」と「英文の定着度を問う問題」

が中心に出題され、表現を求める問題の出題が少ないことがわかる。

3.8

4.1

2.1

4.4

4.1

1.5

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

概要把握・和訳や知識を問う問題

英文の定着度を問う問題(穴埋め、並べ替え、英訳な

ど)

表現を求める問題(要約・自由英作文など)

定期考査における各分野の出題の割合(平均)

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=191) 全体(n=1,098)

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生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、「表現を求める問題」を 2 割程度出題しており、

全体と比較してやや割合が高い。授業内に多くの表現活動を取り入れているゆえに、テストでも自ず

と表現活動を評価する割合が増えている可能性も高いが、授業内で表現活動を行うだけでなく、定期

考査でも表現力を問う問題を課すことは、生徒の 4 技能向上に有効である可能性もありそうだ。

4.2 CAN-DO リストの活用状況

学習到達目標を CAN-DO リスト形式で設定しているかを問うた設問に対する回答は以下の通りで

あった。

全体では 49.6%と半数近くの先生が学習到達目標を CAN-DO リスト形式で設定している一方、生

徒の生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は 58.7%が CAN-DO 形式の目標を設定している

(全体との差は 9.1 ポイント)。

上記の設問で「学習到達目標を CAN-DO リスト形式で設定している」と回答した回答者に、CAN-DO

リストの活用方法について問うた設問に対する回答を次のページに示す。

58.7%

49.6%

41.3%

50.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生

(n=218)

全体(n=1,224)

学習到達目標をCAN-DOリスト形式で設定しているか

設定している 設定していない

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生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、「CAN-DO リストと授業内容を関連付けている」

(54.7%、全体と 12.9 ポイント差)、「CAN-DO リストに基づいて評価している」(28.1%、全体と 4.5

ポイント差)、「CAN-DO リストの達成状況を把握している」(44.5%、全体と 12.2 ポイント差)のす

べての項目で全体と比較して活用度が高い。

上記のデータから、学習到達目標を CAN-DO リスト形式で設定し、さらにそれを授業内容と関連付

けたり、評価に活用したりすることが、生徒の 4 技能向上に有効であると言えそうだ。

ただし、すべての先生が CAN-DO リストを適切に活用できているわけではなく、特に「CAN-DO

リストに基づいた評価」については学習到達目標を CAN-DO リスト形式で設定している先生のうち

23.6%しか行っていない。CAN-DO リストで目標として設定した内容と授業で評価している内容に乖

離があるといった状況が想定され、CAN-DO リストの使い方については確立できていない学校も多い

のではないかと推察される。

4.3 パフォーマンステストの実施状況

本章の冒頭で、コミュニケーション英語の定期考査における各分野の出題割合を分析し、生徒の 4

技能すべてが向上したと実感した先生は「表現を求める問題」の割合を高くしていることが判明した。

では、コミュニケーション英語に限らず英語授業全般において、定期考査以外で、パフォーマンステ

ストはどのくらいの頻度で実施されているのだろうか。また、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感

した先生の特徴は見られるのだろうか。「音読」「インタビュー/会話/ディベートなどのやり取り」「ス

ピーチ/プレゼンテーションなどの発表」「自由英作文」の 4 項目についてテスト・評価の実施頻度を

問うた結果を順に見ていく。

54.7%

28.1%

44.5%

18.0%

41.8%

23.6%

32.3%

27.3%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

「CAN-DOリスト」と授業内容を関連付けている

「CAN-DOリスト」に基づいて評価している

「CAN-DOリスト」の達成状況を把握している

あてはまるものはない

CAN-DOリストの活用方法

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=128) 全体(n=607)

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「音読」については、全体の 56.6%が少なくとも年に 1 回以上のパフォーマンステストを行ってい

る。第 3 章で取り上げた通り、「授業の定着活動で取り入れている活動」では、全体の 79.8%が「コー

ラス・リーディング(全員一斉での音読)」、全体の 64.8%が「バズ・リーディング(個人での音読)」

をしていると回答していたことと比較すると、授業内で音読活動をしていても、パフォーマンステス

トはしていない、という先生が一定数いるようだ。

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、全体と比べて少なくとも年に 1 回以上、音読の

パフォーマンステストを行っている割合が高い(67.0%、全体と 10.4 ポイント差)。その内訳を見る

と、「3 カ月に 1 回以上」の項目で全体との差が最大となっており(6.4 ポイント差)、3 カ月に 1 回と

いう比較的高い頻度で行っている先生も多いことが分かる。

「インタビュー/会話/ディベートなどのやり取り」については、全体の 50.3%が少なくとも年に

1 回以上パフォーマンステストを行っている。今回質問した「音読」「やり取り」「発表」「自由英作文」

の中では実施の割合が最も低い。先生と生徒、または生徒同士がペアやグループを作って実施する「や

6.4%

7.0%

13.8%

12.4%

25.2%

18.8%

21.6%

18.4%

33.0%

43.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生

(n=218)

全体(n=1,224)

【音読】に関するパフォーマンステストや評価

週に1回以上 月に1回以上 3か月に1回以上 年に1回以上 行わない

4.1%

1.8%

13.3%

7.9%

28.0%

19.4%

23.9%

21.2%

30.7%

49.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生

(n=218)

全体(n=1,224)

【インタビュー/会話/ディベートなどのやり取り】に関する

パフォーマンステストや評価

週に1回以上 月に1回以上 3か月に1回以上 年に1回以上 行わない

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り取り」のパフォーマンステストは手間や時間がかかるため、実施しづらいという事情があるのかも

しれない。

この項目においても、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は全体と比べて少なくとも年

に 1 回以上、パフォーマンステストを行っている割合が高い(69.3%、全体と 18.6 ポイント差)。そ

の内訳を見ると「3 カ月に 1 回以上」の項目で全体との差が最大となっており(8.6 ポイント差)、3

カ月に 1 回という比較的高い頻度で行っている先生も多いことが分かる。

「スピーチ/プレゼンテーションなどの発表」に関するパフォーマンステストは、全体の 62.7%の

学校が少なくとも年に 1 回以上実施している。「発表」は「やり取り(全体の 50.3%が実施)」と比べ

ると生徒が個人で準備を進めることもでき、パフォーマンステストも短時間でできることから、実施

の負担が少ないのかもしれない。

この項目においても、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は全体と比べて少なくとも年

に 1 回以上、パフォーマンステストを行っている割合が高い(83.0%、全体と 20.3 ポイント差)。そ

の内訳は「3 カ月に 1 回以上」の項目で全体との差が最大となっており(9.3 ポイント差)、3 カ月に 1

回という比較的高い頻度で行っている先生も多いことが分かる。

3.7%

1.6%

17.9%

10.8%

32.6%

23.3%

28.9%

27.0%

17.0%

37.3%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生

(n=218)

全体(n=1,224)

【スピーチ/プレゼンテーションなどの発表】に関する

パフォーマンステストや評価

週に1回以上 月に1回以上 3か月に1回以上 年に1回以上 行わない

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「自由英作文」については、全体の 78.1%が少なくとも年に 1 回以上パフォーマンステストを行っ

ており、今回質問した「音読」「やり取り」「発表」「自由英作文」の 4 項目の中で最も実施の割合が高

い。4.1「コミュニケーション英語の評価方法」でも取り上げた通り、自由英作文をさせる問題は定期

考査でも出題されていると見られるが、定期考査を除いても、普段からパフォーマンステストを行う

学校が多いようだ。

この項目においても、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は全体と比べて少なくとも年

に 1 回以上、パフォーマンステストを行っている割合が高い(89.0%、全体と 10.9 ポイント差)。そ

の内訳は「月に 1 回以上」の項目で全体との差が最大となっており(9.5 ポイント差)、月に 1 回とい

う比較的高い頻度で行っている先生も多いことが分かる。「自由英作文」は全体でも多くの先生が定期

考査以外でのパフォーマンステストを行っているものの、生徒の 4 技能すべてが上がった先生はより

実施頻度が高いと言えるかもしれない。

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、授業で多くの表現活動を行うゆえに、パフォー

マンステストで評価する機会が多いともとれるが、定期考査以外でもさまざまなパフォーマンステス

トを行うことが生徒の 4 技能向上に有効である可能性も捨てきれない。

18.8%

10.3%

36.2%

26.7%

26.6%

26.4%

7.3%

14.7%

11.0%

21.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生

(n=218)

全体(n=1,224)

【自由英作文】の提出とその評価

週に1回以上 月に1回以上 3か月に1回以上 年に1回以上 行わない

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5 生徒の 4 技能はどの先生でも伸ばせるか

5.1 生徒の 4 技能が向上したと実感した先生の勤務校の属性

前章までに、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生の授業と評価における特徴を挙げた。

その中で、「定着活動や表現活動において多岐に渡るアクティビティを行っている」「内容理解の時間

を短縮し、表現活動に多くの時間を充てている」「定期考査以外にもパフォーマンステストを行ってい

る」等、4 技能向上に有効であると言えそうな点に触れた。

ただし、これらの点については、「入学時の偏差値が高い進学校であるがゆえに、より高度な活動が

できる」、「週あたりの英語の授業時間数が多いから、表現活動・テストに時間を割ける」など、属性

が影響している可能性も考えられる。その点を検証するため、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感

した先生の勤務校と全体の属性を比較し、検証した。その結果は以下の通りであった。

4.6%

12.8%

19.7%

22.5%

19.7%

11.0%

6.4%

3.2%

7.8%

18.0%

21.3% 23.0%

14.1%

9.2%

4.6%

2.0%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70以上

勤務校の入学時の偏差値

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=218) 全体(n=1,224)

39.4% 34.9%

25.7%

34.0% 32.9% 33.1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

高校1年生 高校2年生 高校3年生

メインで担当した学年

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=218) 全体(n=1,224)

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生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生については、勤務校の入学時の偏差値は「55~59」

がやや多い、担当学年では「高校 1 年生・2 年生」がやや多い、週あたりの英語の授業時間数では「7

コマ以上」がやや多い、といった差は見られるものの、全体としてそれほど顕著な差は見られない。

入学時の偏差値や担当学年、週あたりの英語の授業時間数の影響はゼロではないかもしれないが、

工夫次第でどの先生も 4 技能を伸ばす授業・評価を行うことは可能であると言えそうだ。

5.2 生徒の 4 技能が向上したと実感した先生のスキルアップ方法

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、自身のスキルアップや授業準備においてどのよ

うな取り組みをしていたのだろうか。「授業をよりよくするために行っている工夫」、「自身の指導力・

英語力向上のために行っている工夫」、「授業準備の工夫」の各項目について問うた結果は以下の通り。

2.8%

9.2%

18.3%

29.8%

16.5%

9.6% 13.8%

8.9% 9.8%

16.5%

30.1%

13.0% 7.6%

14.1%

0%5%

10%15%20%25%30%35%

週あたりの英語の授業時間(コマ)数

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=218) 全体(n=1,224)

61.9%

69.7%

46.8%

19.7%

45.9%

4.6%

51.6%

64.6%

41.3%

8.8%

40.2%

6.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

生徒に話しかけて、授業の感想を聞く

生徒に授業内容に関するアンケートをとる

ご自身の授業を振り返ってメモやノートをつける

ご自身の授業を録画・録音して見直す

ご自身の授業を他の先生に見てもらい、意見をもらう

あてはまるものはない

先生が授業をよりよくするために行っている工夫

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=218) 全体(n=1,224)

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「授業をよりよくするために行っている工夫」に関しては、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感

した先生に限らず多くの先生が、さまざまな取り組みをしていることがわかった。その中で、生徒の 4

技能すべてが向上したと実感した先生は、「生徒に話しかけて、授業の感想を聞く」(全体と 10.3 ポイ

ント差)、「自身の授業を録画・録音して見直す」(全体と 10.9 ポイント差)で全体と比べてやや差が

見られた。

「自身の指導力・英語力向上のために行っている工夫」に関しても、生徒の 4 技能すべてが向上し

たと実感した先生に限らず、全体の 98.8%の先生が何らかの取り組みを行っていた。

中でも、生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は、全体と比較すると「英語力向上」に関

する項目でややポイントが高い傾向がある。授業モデルの項目で、「生徒の 4 技能すべてが向上したと

実感した先生は、内容理解に関して授業中に英語で説明やオーラル・イントロダクションを行ってい

る」割合が高いことに言及したが、これらの授業を行うために普段から英語力を磨く必要があるのか

もしれない。

85.3%

85.8%

75.2%

71.6%

69.7%

22.5%

12.4%

37.2%

0.9%

79.9%

80.6%

65.2%

60.9%

54.7%

12.8%

7.9%

35.0%

1.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

指導力向上のための【セミナー・研究会・学会に参加】す

指導力向上のための【書籍を読む】(書籍の一部を読

む、流し読みするなども含む)

指導力向上のために【他の先生に相談したり、意見を聞

いたり】する

英語力向上のために【英字新聞や英語の雑誌・本を読

む】

英語力向上のために【英語で書かれたWeb サイト(動画

サイト)を閲覧】する

英語力向上のために【英語でSNSへの投稿やメール・

チャット】をする

英語力向上のために【オンライン英会話を受講】する

英語力向上のために【セミナー・勉強会・英会話教室に

参加】する

あてはまるものはない

先生が自身の指導力・英語力向上のために行っている工夫

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=218) 全体(n=1,224)

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「授業準備の工夫」においても、4 技能が上がった先生に限らず多くの先生がさまざまな取り組みを

行っている。生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生は「ALT と英語でコミュニケーションを

取る」(全体と 11.7 ポイント差)、「指導に使う英文を自作する」(全体と 12.5 ポイント差)で、全体

との差が大きい。どちらも時間を要する作業ではあるが、先生自身が ALT と協力しながら、より生徒

の状況に関連性が高い会話や英文を作ることで授業中のコミュニケーションの活性化につながり、4

技能の向上に寄与するのかもしれない。

73.4%

29.8%

76.6%

49.5%

72.5%

65.1%

0.5%

61.7%

24.6%

72.9%

37.0%

68.7%

63.9%

0.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

ALTと英語でコミュニケーションを取る

指導案(略案含む)を作る

教材の英文音声を聞いたり音読したりする

指導に使う英文を自作する

補助教材として使える英文素材を探す

教材のTeacher's Manualや他の先生が作ったプリントで

活用できるものを探す

あてはまるものはない

授業準備の工夫

生徒の4技能すべてが向上したと実感した先生(n=218) 全体(n=1,224)

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おわりに

1 年間指導をして生徒の 4 技能すべてが上がった(「上がった」または「やや上がった」)と感じて

いらっしゃる先生は全体の 2 割に満たず、4 技能(特にスピーキング)の指導・評価に関しては先生

方がそれぞれに試行錯誤されているものの、依然として課題があることが浮かび上がってきました。

その一方、今回の調査では、生徒の 4技能すべてが向上したと実感した先生は、授業中に「先生が

英語で発話する」、「さまざまな定着・表現活動を行う」など、4 技能を複合的に使用するコミュニケー

ション活動を実施していること、また、CAN-DO リスト形式の学習目標に基づき、定期的にパフォー

マンステストや評価を行っていることがわかりました。それを可能にするために、教科書の単元の扱

い方を工夫する、目的に合わせて ICT ツールを効果的に活用する、先生自身もスキルアップを続ける

などの取り組みが鍵となっているようです。

しかし、これらの取り組みに関しては、具体的な方法がまだ確立・共有されていない現状があると

思われます。例えば ICT ツールに関する設問に対しては、「とりあえず導入したものの、活用法がわか

らない」というような回答が複数見られました。今回の調査で浮かび上がった課題に対し、アルクで

は引き続き研究を続けるとともに、各種媒体やセミナーを通じて全国の先生方に情報を届け、スキル

アップの機会を提供していきたいと考えています。

生徒の 4 技能すべてが向上したと実感した先生の取り組みの全てをすぐに実践するのは容易なこと

ではありませんが、本レポートから 1 つでも 4 技能向上のための指導・評価につながるアイデアを見

つけていただければ幸いです。

今回の調査では、年度末のご多忙の時期に、1,224 名の先生方に回答のご協力を賜りましたこと、深

く御礼申し上げます。

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◆付録 調査票◆

Q1 先生が今年度の授業を担当されている高校(または中等教育学校)の運営を、以下から 1 つお選びくだ

さい。

1. 国立

2. 公立

3. 私立

4. その他(株式会社による運営など)

5. 今年度、高校(または中等教育学校の後期課程)では授業を担当していない

Q2 勤務校の入学時の偏差値として最も近いものを、以下から 1 つお選びください。

1. ~39

2. 40~44

3. 45~49

4. 50~54

5. 55~59

6. 60~64

7. 65~69

8. 70 以上

Q3 2019 年度に先生がメインで担当されている学年を、以下から 1 つお選びください。※複数の学年を担

当されている場合でも 1 つの学年をお選びいただき、これ以降の設問はその学年についてお答えください。

1. 高校 1 年生

2. 高校 2 年生

3. 高校 3 年生

Q4 2019 年度に先生がメインで担当されている学年では、1 人の生徒が受ける英語の授業時間は、週あた

り何コマ(1 コマ=50 分前後とする)でしたか。

1. 3 コマ以下

2. 4 コマ

3. 5 コマ

4. 6 コマ

5. 7 コマ

6. 8 コマ以上

7. 生徒によって異なる

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Q5 2019 年度に先生がメインで担当されている学年の生徒の 2019 年 4 月から現在までの英語力の変化に

ついて、どのようにお感じになりますか。4 技能それぞれについて最もあてはまるものを 1 つお選びください。※

平均的な学力の生徒さんを想定してお答えください(「上がった」「やや上がった」「どちらとも言えない」「やや

下がった」「下がった」の 5 択から単一選択式)。

1. リスニング

2. リーディング

3. スピーキング

4. ライティング

Q6 ここからは、2019 年度のコミュニケーション英語(専門学科の場合は「総合英語」)の授業についてお

伺いします。検定教科書の単元(Lesson や Unit)のうち、どのくらいを年間で扱う予定ですか。

1. ほぼすべて

2. 4 分の 3 程度

3. 半分程度

4. 4 分の 1 程度

5. ほとんど扱わない

6. この科目を担当していない

Q7 コミュニケーション英語教科書の単元(Lesson や Unit)の扱い方として、あてはまるものをすべてお

選びください。

1. 扱っている単元は、どれも【ほぼ同じ扱い】をしている

2. 扱っている単元によって【時間数を変える】ことがある

3. 扱っている単元によって【指導展開を変える】ことがある 4.

扱う【単元の順番を変える】ことがある

5. 同じ単元を、【間を空けて2周以上】扱うことがある

6. その他[ ]

Q8 コミュニケーション英語教科書の難易度はどの程度のものを採用されていますか。平均的な生徒の英語

力と比較してお答えください。

1. 難易度が高いもの

2. 難易度がやや高いもの

3. 難易度が同程度のもの

4. 難易度がやや低いもの

5. 難易度が低いもの

Q9 コミュニケーション英語教科書の単元学習(宿題含む)において、内容理解で取り入れているものを、

すべてお選びください。

1. 本文に使われている単語のインプット

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2. 本文に使われている文法のインプット

3. オーラル・イントロダクション(英語による教科書本文の口頭導入)

4. 本文のリスニング

5. Q&AやTFによる内容理解

6. パラグラフ・チャート/ロジック・チャートによる内容理解

7. 本文の全ての文を訳す活動

8. 本文の一部の文を訳す活動

9. 本文のすべての文を教師が解説

10. 本文の一部の文を教師が解説

11. 本文内容に関して教師が英語で説明(オーラル・イントロダクションを除く) 12.

その他[ ]

Q10 コミュニケーション英語教科書の単元学習(宿題含む)において、定着活動で取り入れているものを、

すべてお選びください。

1. 本文の書き写し

2. ディクテーション

3. コーラス・リーディング(全員一斉での音読)

4. バズ・リーディング(個人での音読)

5. オーバーラッピング/パラレル・リーディング

6. リード&ルックアップ

7. シャドーイング

8. 穴あき音読(空所のある英文を埋めながら音読)

9. サイト・トランスレーション(英→日変換音読)

10. バック・トランスレーション(日→英変換音読)

11. 本文内容に関して、生徒同士が英語で会話して確認

12. その他[ ]

Q11 コミュニケーション英語教科書の単元学習(宿題含む)において、表現活動で取り入れているものを、

すべてお選びください。

1. リプロダクション(キーワードやイラストを見ながら、本文または要約文を英語で再現して

話す活動)

2. リテリング(キーワードやイラストを見ながら、本文の内容を自分の言葉(英語)で表現す

る活動)

3. 英語でのサマリー・ライティング

4. 本文内容から発展した会話/ディスカッションなどのやり取り

5. 本文内容から発展したスピーチ/プレゼンテーションなどの発表

6. 本文内容から発展したディベート

7. 本文内容から発展した自由英作文

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8. その他[ ]

Q12 コミュニケーション英語教科書 1 つの単元を扱う学習全体を 10 とした場合、以下のそれぞれにかける

時間の割合をお答えください。※合計が 10 になるように数字を入力してください。単元によって異なる場合は、

平均をお答えください。

1. 内容理解【 】

2. 定着活動【 】

3. 表現活動【 】

Q13 コミュニケーション英語の授業中、先生の発話はどの程度英語で行っていますか。 1. ほぼす

べて

2. 4 分の 3 程度

3. 半分程度

4. 4 分の 1 程度

5. ほぼ日本語

Q14 定期試験におけるコミュニケーション英語教科書の内容に関する問題について、配点の割合をお答えく

ださい。※合計が 10 になるように数字を入力してください。試験によって異なる場合は、平均をお答えください。

1. 概要把握・和訳や知識を問う問題【 】

2. 英文の定着度を問う問題(穴埋め、並べ替え、英訳など)【 】

3. 表現を求める問題(要約・自由英作文など)【 】

Q15 2019 年度に英語表現の授業を受け持たれていますか。

1. はい

2. いいえ

Q16 2019 年度の英語表現の授業についてお伺いします。1 年間の授業全体を 10 とした場合、以下のそれぞ

れにかける時間の割合をお答えください。※合計が 10 になるように数字を入力してください。単元によって異な

る場合は、平均をお答えください。

1. 問題演習・教師の解説【 】

2. 定着活動(音読トレーニングなど)【 】

3. 表現活動【 】

Q17 ここからは、科目に関わらず 2019 年度に担当されていた英語の授業全般についてお伺いします。表現

活動に必要な「論理」(英文の構成についてのロジック)について教えていますか。

1. はい

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2. いいえ

Q18 学習到達目標を CAN-DO リスト形式で設定していますか。

1. はい

2. いいえ

Q19 CAN-DO リストの活用に関して、当てはまるものをすべてお選び下さい。

1. CAN-DO リストと授業内容を関連付けている

2. CAN-DO リストに基づいて評価している

3. CAN-DO リストの達成状況を把握している

4. あてはまるものはない

Q20 定期考査以外での、学習内容の定着確認や表現を問うパフォーマンステストや評価をどの程度行ってい

ますか(「週に 1 回以上」「月に 1 回以上」「3 カ月に 1 回以上」「年に 1 回以上」「行わない」の 5 択から単一選択

式)。

1. 音読に関するパフォーマンステストや評価

2. インタビュー/会話/ディベートなどのやり取りに関するパフォーマンステストや評価

3. スピーチ/プレゼンテーションなどの発表に関するパフォーマンステストや評価

4. 自由英作文の提出とその評価

Q21 ICT ツールの導入状況について、当てはまるものを選んで下さい。※「先生が使う ICT ツール」には

LMS(Learning Management System;生徒の学習状況を管理・評価できるシステム)や e ポートフォリオ(Web

上に生徒の学習や諸活動に関するデータを蓄積するシステム)を含みます(「導入しており有効に活用している」

「導入しているが有効に活用できていない」「導入していない」の 3 択から単一選択式)。

1. 生徒が使う ICT ツール

2. 先生が使う ICT ツール

Q22 生徒は何という ICT ツールをどのように活用していますか。(導入しており有効に活用している場合の

みご回答ください)

1. 【 】

Q23 先生は何という ICT ツール(LMS・e ポートフォリオを含む)をどのように活用していますか。(導入

しており有効に活用している場合のみご回答ください)

1. 【 】

Q24 何という e ポートフォリオをどのように活用していますか

1. 【 】

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Q25 ご自身の授業をより良くするために、どのような工夫をされていますか。2019 年度に 2 回以上、行わ

れたことのあるものを以下から全てお選び下さい。

1. 生徒に話しかけて、授業の感想を聞く

2. 生徒に授業内容に関するアンケートをとる

3. ご自身の授業を振り返ってメモやノートをつける

4. ご自身の授業を録画・録音して見直す

5. ご自身の授業を他の先生に見てもらい、意見をもらう

6. あてはまるものはない

Q26 ご自身の指導力・英語力向上のためにどのような工夫をされていますか。2019 年度に 2 回以上、行わ

れたことのあるものを以下から全てお選び下さい。

1. 指導力向上のための【セミナー・研究会・学会に参加】する

2. 指導力向上のための【書籍を読む】(書籍の一部を読む、流し読みするなども含む)

3. 指導力向上のために【他の先生に相談したり、意見を聞いたり】する

4. 英語力向上のために【英字新聞や英語の雑誌・本を読む】

5. 英語力向上のために【英語で書かれた Web サイト(動画サイト)を閲覧】する

6. 英語力向上のために【英語で SNS への投稿やメール・チャット】をする

7. 英語力向上のために【オンライン英会話を受講】する

8. 英語力向上のために【セミナー・勉強会・英会話教室に参加】する

9. あてはまるものはない

Q27 授業準備の方法として、月に 1 回以上行っていることを以下から全てお選び下さい。

1. ALT と英語でコミュニケーションを取る

2. 指導案(略案含む)を作る

3. 教材の英文音声を聞いたり音読したりする

4. 指導に使う英文を自作する

5. 補助教材として使える英文素材を探す

6. 教材の Teacher's Manual や他の先生が作ったプリントで活用できるものを探す

7. あてはまるものはない

Q28 最後に、あなたご自身についてお伺いします。性別をお知らせください。

1. 男性

2. 女性

3. その他/答えたくない

Q29 あなたの年代を教えてください。

1. ~24 歳

2. 25~29 歳

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3. 30~34 歳

4. 35~39 歳

5. 40~44 歳

6. 45~49 歳

7. 50~54 歳

8. 55~59 歳

9. 60~64 歳

10. 65 歳~

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