人工ゼオライト2 人工ゼオライトの特徴 ① ナノメーターサイズの多孔質...
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加圧型ニーダーを用いた人工ゼオライト製造パイロットプラントの開発
○森山 亮、武田 詔平、片山 優久雄((財)エネルギー総合工学研究所)
塩田 耕司、福田 智也、杉原 広晃、谷 雄一(五洋建設株式会社)
人工ゼオライト
石炭灰
ペーパースラッジ(PS)灰
高灰処理コスト
処理
ゼオライト化
水処理
空気浄化
植生
石炭灰やPS灰のような産
業廃棄物をアルカリ溶液に懸濁し、加熱して合成する
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人工ゼオライトの特徴
① ナノメーターサイズの多孔質 (分子ふるい)② イオン交換能③ 吸着性能
アルカリ金属
SEM写真
石炭灰② 1,000倍 石炭灰② 1,000倍
ゼオライト
実験条件; NaOH濃度 3.5 N固液比 1.10 ml/g圧力 0.2 MPa-G
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従来法との比較
利点 ①反応時間が短い②反応後の工程不要③材料費が安い
ゼオライトの能力および価格
CEC[cmol/kg] 400~600 50~170 180~400 ほとんど無い
吸湿能力[%] 50 20~40 20~50 小さい
吸油能力 1~2倍 0.5~0.7倍 1.3~1.5倍 小さい
価格 80-20万円/kg 40-120円/kg ???
フライアッシュ項目 合成ゼオライト 天然ゼオライト 人工ゼオライト
安価で品質安定性が高い人工ゼオライト製造プロセスの開発
CEC:陽イオン交換容量
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試料
SiO2 Al2O3 CaO
% % %
石炭灰① 63 31.7 1.5 1.99
石炭灰② 50.7 39.5 4.3 1.28
石炭灰③ 45 42.6 5.3 1.06
石炭灰④ 32.5 25.4 26.7 1.28
製紙灰① 38.4 25.3 19.1 1.52
製紙灰② 31.3 32.6 19.3 0.96
灰の種類
成 分
SiO2/Al2O3
高Si/Al比→ゼオライトを製造しやすい高Ca含有率→CaがSiと結合してゼオライト生成を阻害する
小型実験装置
容積:5L(1kg/1バッチ)圧力:最大1.0MPa-G
Σ(シグマ)型の攪拌羽根
オイルヒーターによる加熱水蒸気抜き出しライン
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パイロットプラント
ニーダー
熱媒加熱器冷却塔
苛性タンク大
苛性タンク小
投入
排出
容積:約600L(130kg/1バッチ)圧力:最大0.4MPa-G
シールボックス本体
内圧+2 kPa
シールボックスの圧力により軸部への試料の混入を防止
熱処理条件
0 100 200 300 400 5000
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200脱圧過程
圧力保持過程昇温過程
温度 脱水量
実験時間 [min]
温度
[℃
]
0
20
40
60
80
100
脱水
割合
[%]
0 50 100 150 200 2500
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200脱圧過程
圧力保持過程昇温過程
温度 脱水量
実験時間 [min]
温度
[℃
]
0
20
40
60
80
100
脱水
割合
[%]
小型実験装置 パイロットプラント
小型装置; 昇温:約2時間、 保持:約2時間パイロットプラント; 昇温:約2時間、 保持:約2.5時間
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実験条件
NaOH濃度 : 1.5~3.5N(規定)固 液 比 : 0.7~1.23ml/g 圧 力 : 0.1~0.7MPa-G
小型装置で最適な運転条件を調査
パイロットプラントを運転
実験前後
実験前(スラリー状態) 実験後(乾燥状態)
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灰の種類
CECSiO2 Al2O3 CaO cmol/kg
% % %
石炭灰① 63 31.7 1.5 1.99 180
石炭灰② 50.7 39.5 4.3 1.28 140
石炭灰③ 45 42.6 5.3 1.06 72
石炭灰④ 32.5 25.4 26.7 1.28 66
製紙灰① 38.4 25.3 19.1 1.52 49
製紙灰② 31.3 32.6 19.3 0.96 30
灰の種類
成 分
SiO2/Al2O3
Si/Al比が高く、Ca含有率が低い試料ほどCECが高くなる
→従来の報告と矛盾しない
0.0 0.2 0.4 0.6 0.80
40
80
120
160
200
CEC
[cm
ol/
kg]
圧力 [MPa-G]
石炭灰① 石炭灰②
圧力の影響
NaOH濃度 : 3.5N固 液 比 : 1.10ml/g
灰の種類によって高圧(高温)の方がCECが高くなる
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NaOH添加量の影響
圧 力 : 0.4MPa-G 試 料 : 石炭灰①
0.6 0.8 1.0 1.20
40
80
120
160
200
CEC
[cm
ol/
kg]
固液比 [ml/g]
CEC
0 1 2 30
40
80
120
160
200
CEC
[cm
ol/
kg]
NaOH濃度 [N]
CEC
NaOH濃度:3.5N 固液比:1.10ml/g
NaOHの添加量が多いほどCECが高くなる最適条件:固液比0.88~1.10ml/g、濃度3.5N
フラスコ実験
パイロットプラントとの比較
試験結果
固液比 溶液濃度 圧力 CEC
[ml/g] [N] [MPa-G] [cmol/kg]
実証機 0.38 200
小型機 0.4 180
フラスコ 8.00 3.5 0 220
実証機 0.88 3.0 0.38 140
小型機 1.10 3.5 0.4 140
フラスコ 8.00 3.5 0 180
170
対象灰
製造条件
製造機械
石炭灰①1.10 3.5
石炭灰②
<参考>天然ゼオライト
温 度 : 約100℃保持時間 : 24時間
従来法と同等の性能→安価に人工ゼオライトを製造可能
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X線回折結果
0
500
1000
1500
GM
M
MQ
Q
MMM
M
MQ
Q
(a) 石炭灰①
0
500
1000
G
G G
G
MM
M
強度
(b) 小型装置
10 20 30 40 50 600
500
1000
2θ [deg]
G
GG
G
G
MMMM
M Q
Q
(c) パイロットプラント
元の石炭灰には石英(Q)とムライト(M)の存在を確
認
両処理(装置)ともゼオライトの生成を確認
GIS (NaP1) 型のゼオライ
ト
パイロットプラントの方がピーク強度が大きい→高いCECに対応
X線回折結果
0
500
1000
1500
QMMM
MM
M
Q
0
1000
2000
3000
A
A
A
(c) パイロットプラント
(b) 小型装置(0.7 MPa)
(a) 石炭灰②
強度
10 20 30 40 50 600
500
1000
Q
MMMG
G
GG
G
2θ [deg]
0.4MPa-Gではパイロット
プラントと小型装置のピークはほぼ同等
0.7MPa-GになるとAnalcimeが生成→低いCECの要因
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まとめ
高温高圧型のニーダーを用い、効率良く人工ゼオライトを作成することに成功した 従来の方法に比べて固液比が低い条件でも高いCECを持つゼオライトを製造することが可能となった
実験条件範囲内で以下のことを明らかにした
① Si/Al比が高く、Ca含有量が少ない灰からはCECが高い人工ゼオライトが得られる
② 灰の種類によって圧力が高いほどCECが高くなる③ NaOH投入量が高いほうがCECが高くなる④ 生成したゼオライトはGIS (NaP1)型である
謝辞
本発表は、環境省から受託した「加圧・加熱型スラリー反応法を用いた人工ゼオライト製造システムの開発」の研究成果の一部をまとめたものである。関係各位のご支援・ご協力に感謝します。