CONTENTS 2017 2/25

表紙から花粉症シーズン到来、さまざまなアレルギー疾患の増加に根本的な対策が待ったなしだ！アフロ

1 年目で 8 割弱が効果を実感！ 根治目指す舌下免疫療法

これってアレルギー？ Q&Aで丸ごと解説

増え続ける患者数 治療と予防の最前線

30【第1特集】

34 花粉症PART 1

48

64

大人のアレルギー

子どものアレルギー

PART 2

PART 3

37 免疫反応を抑制！ 花粉米 高まる期待

51 アレルギー法でどう変わる？ 国民病対策に国も本腰

70 注射薬をつねに持ち歩く アナフィラキシーと戦う71 食物経口負荷試験を実施する病院一覧

6年ぶりに新薬も登場 鼻炎治療薬との賢い付き合い方

花粉対策最先端 マスク、メガネ、コート…

原因不明の体調不良／グルテンフリー／抗生物質／血液検査でわかる？…

38

効果の多くは思い込みか 花粉症の民間療法42

花粉症の人は要注意！ 突然発症する食物アレルギー

〝 なるべく早く 〞へ大転換 食物アレルギーの新常識クラスに 1 人はアレルギー 学校給食の試行錯誤

誤った使用法が蔓延 誤解だらけのステロイド

52

6668

72

発症のピークは40～50代 放置すると怖いぜんそく実はアレルギーではない 7割が原因不明のじんましん

5462

44

41 スギ花粉は根絶できるか 林野政策の本気度

43 INTERVIEW│渡辺賢治●慶応大学漢方医学センター教授「アレルギーは漢方の得意分野」

INTERVIEW│坂口志文●大阪大学特任教授　　　　　 「ゆくゆくはTreg細胞を使った薬で自己免疫疾患を治したい」

46

花粉症・アレルギーに克つ

完治も夢ではない

「免疫療法は 今後さらに 発展していく」

岡本美孝千葉大学教授

34

「免疫機能の 抑制で アレルギーは治る」

坂口志文大阪大学特任教授

46

■ 舌下免疫療法の治療効果を実感（→P35）

■ 子どものアナフィラキシー罹患率（→P65）

2/25号_1特_アレルギーP5-7-2_花粉症最前線

とても効いた22.4%

効いた47.9%

やや効いた22.4%

効かなかった 3.1%

92.7%

わからない 3.6% 無回答 0.5%

2/25号_1特_アレルギーP29-30-2_総論

0

0.2

0.4

0.6（%）

高等学校中学校小学校

2007年4倍に上昇

2013年

図表作成：小堺賢吾

本誌の記事は「日経テレコン」「G-Search」「ELNET」「FACTIVA」等のデータベースに収録されており、フリーキーワードで検索、購入できます。

PR5

1257

115

ビジネスアスペクト　ブロードバンドセキュリティ／「インターネット分離」がマルウェア対策の事実上の決定版へ

BRIDGE　大阪大学　インタラクティブ物質科学・カデットプログラムビジネスコア　茨城県／茨城県は、新しい働き方を全力で応援しますBUSINESS WAVE collect　サンライズ・アカウンティング・インターナショナル

CONTENTS 2017 2/25

9 ｜経 済 を 見 る 眼 ｜働きすぎる教員と日本の未来／苅谷剛彦

11 ｜こ の 人 に 聞 く ｜多田野宏一 ● タダノ社長｜｢トランプ特需｣に即対応29 ｜ 少 数 異 見 ｜増える外国人居住者 移民に関する意識の裏表

経済を見る眼苅谷剛彦

グローバルアイローラ・タイソン ほか

9 9811

この人に聞くタダノ社長多田野宏一

106

ブックス＆トレンズ　『批判する／批判されるジャーナリズム』 大石 裕

74 ｜ゴ ル フ ざ ん ま い｜2019年ビジョンは変革、そして成果へ／小林浩美

92 ｜ ニ ュ ー ス 戦 記｜日米会談成功でも安心できない理由／星 浩

94 ｜ 知 の 技 法 ｜日米ゴルフ外交に潜む大きな問題／佐藤 優

96 ｜ 中 国 動 態 ｜中国経済を攪乱するトランプ政権の為替発言／梶谷 懐

98 ｜グ ロ ー バ ル ア イ｜保護主義台頭の貿易環境／ローラ・タイソン ほか

100 ｜フ ォ ー カ ス 政 治｜異例の「厚遇」際立つ日米首脳会談の２つの成果／歳川隆雄

102 ｜マ ク ロ ウ ォ ッ チ｜注目のシムズ理論 安倍政権に悪魔の誘惑103 ｜ 歴 史 の 論 理 ｜「徳治」が生き残る韓国の歴史的習癖／岡本隆司

104 ｜非 常 時 の 組 織 論｜プロ意識で防ぐ士気低下の泥沼化／伊藤祐靖

105 ｜サラリーマン弾丸紀行｜下克上でファーストクラスの旅／橋賀秀紀

106 ｜ブックス&トレンズ｜『批判する／批判されるジャーナリズム』を書いた大石裕氏に聞く

113 ｜Readers & Editors｜読者の手紙、編集部から114 ｜生涯現役の人生学｜シルバー大学で話すこと／童門冬二

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2017年2月26日応募締め切り

4232今号のキーワード

ニュース最前線

18

24 ユーザー4.5億人超存在感増す「アリペイ」

22

金融庁が経営に物言い三井住友信託に激震

23

＂春節明け＂商戦がカギコマツが中国で反攻

26 月末金曜日は早め退社苦肉の策で消費喚起？

人 物 ル ポ

76

黒田東彦はいかにサプライズ戦術と大胆さを学び、リフレ派の論客になったのか。「官僚黒田」から「総裁黒田」への変容をたどる連載第2回。

日銀総裁黒田東彦知将の誤算中編

ひ と 烈 風 録

医療暗黒大国に風穴 レセプト開示の立役者

86

医療被害者の立場からレセプト（診療報酬明細書）の開示を求めてきた。その闘いは挫折続きだ。だが粘り強い主張が日本の医療を変えてきた。

勝村久司「医療情報の公開・開示を求める市民の会」世話人

過重労働により健康を害したり命を落としたりするケースが後を絶たないのはなぜか。労働行政の現場に立つ当事者が語る。

深層リポート

80

匿名座談会 労基署監督官の告発

過重労働がはびこる真因

原発事業で存続危機東芝「解体」が始まった

2月14日、会見する東芝の綱川智社長（右）。淡々とした表情が印象的だった

共通の体内メカニズムがある。本来

は毒など外敵を駆逐するはずの免疫

が、スギ花粉や牛乳、卵など特定の

アレルゲンに過剰反応し、健康な体

の組織まで痛めつけてしまうのだ

（32㌻上図）。

　要因は多岐にわたる。大気汚染や

喫煙などの外部要因、遺伝や免疫機

能の発達度といった内部要因が絡み

合い、さまざまな疾患を引き起こす

（32㌻左中表）。

　アレルギーの仕組みは完全には解

明されておらず、完治は難しいとさ

れてきた。多くの花粉症患者は花粉

飛散の時期になると、マスクの着用

や、鼻水などの症状を抑え込む抗ヒ

スタミン薬などによる対症療法でし

のぐのが一般的だった。

　しかしスギ花粉症の完治を目指す

薬が、2014年から保険適用とな

った。これは「舌下免疫療法」と呼

ばれ、花粉エキスを含む液剤を用い

る。毎日、舌の裏に1滴垂らすこと

で根治を目指す治療法で、最低でも

2〜3年は続けないと効果が定着し

ない。2割の人には効果が表れない

が、それでも利用者は静かに増えて

いる。舌下免疫療法は花粉飛散時期

を避けて始める必要があるため、来

シーズンに向けて検討するといいだ

完治への曙光となるか

免疫療法への期待

日本は例年並みだが、西日本

はかなりきつくなりそう

──。気象庁や気象予報会社の今シ

ーズンの花粉飛散予想だ。

　ウェザーニューズによると、花粉

飛散傾向は都内近郊はじめ東日本が

おおむね前年並みから2〜3倍だ

が、西日本は前年比4〜7倍以上と

多い（33㌻右下図）。現在はスギ花

粉が多く、4月以降はヒノキ花粉が

飛散のピークを迎える。

　花粉症を含むアレルギー性鼻炎の

患者は増加している。医療機関の診

察を受けていない、あるいは自分が

アレルギー疾患だと気付いていない

場合も多い。ダニなどハウスダスト

がアレルゲン（アレルギーの原因）

である通年性アレルギー性鼻炎を合

わせると、日本人のおよそ2人に1

人が花粉症にかかっていると推定さ

れる（リウマチ・アレルギー対策委

員会の報告書、33㌻上図）。

　会社を長期間休むケースは少ない

だろうが、診察のための通院や薬局

への来店で勤務時間が削られる。勤

務中も目がかゆい、鼻水が止まらな

いなどで仕事に支障の出ることがあ

る。労働時間や生産性の損失から、

国内のアレルギー性鼻炎患者による

経済損失が年間約4・4兆円に上る

との試算もある（33㌻左下表）。

　

花粉症に加え、アトピー性皮膚

炎、食物アレルギーなどの疾患には

東アフロ

特集／花粉症・アレルギーに克つ 第1特集

花粉症・アレルギーに克つ 完治も夢ではない

日本人の２人に１人はアレルギー疾患。抜本的な治療法をどう確立すべきか。ステロイド、アナフィラキシーから民間療法まで、玉石混淆の情報の見極めも重要だ。本誌：山川清弘、前田佳子、中原美絵子デザイン：新藤真実進行管理：宮澤由美イラスト：浜畠かのう

302017.2.25 週刊東洋経済31 週刊東洋経済 2017.2.25

過 重労働が

匿名座談会

は びこる真因本誌：中島順

一郎、緒方欽一

過重労働により健康を害し

たり命を落としたりするケ

ースが

後を絶たないのはなぜか。労

働行政の現場に立つ当事者

が語る。

らの監督指導や助言が重要となって

くるわけです。今回の事案では社員

が亡くなる3カ月前の2015年8

月ごろにも、監督官が臨検監督（

３）で立

ち入り、是正勧告をしていた。この

機会を生かせなかった。それが何よ

り悔しい。

監督官Ｃ　

対応が後手後手という

か。人数をかけて臨検に入ったのは

後になってからです。事前にもっと

多くの人数でできなかったのかとは

感じます。その意味で、マスコミの

取り上げ方は厚生労働省や労働局に

少し好意的だったように思えます。

　

──なぜ、後手に回ってしまった

のでしょうか。

監督官Ａ　監督官の数が少ないんで

す。実際に日常的に監督指導を行っ

ているのは、全国でおそらく200

0人くらいしかいないのでは。普段

から大掛かりな臨検をすることなど

は困難なのです。

　

──厚労省が公表している「労働

基準監督年報」では４０００人近く

の監督官がいることになっています

が。

監督官Ｃ　それは労働基準監督官の

資格を持っている人の数です。そこ

には厚労省本省や、都道府県単位で

置かれている労働局にいる監督官も

含まれています。ですが、この人たち

は基本的に臨検をしていない。一

災認定されています。そのときの教

訓が後に生かされていなかった。事

案も今回とよく似ています。①入社

してそれほど経っていない若い方だ

った、②徹夜勤務など長時間労働が

あったがその管理がずさんだった、

③日常的なパワハラがあった││こ

となどです。

　厳しく言えば、組織の自浄能力を

発揮できていなかったということに

なるでしょう。こういう場合は外部

からの働きかけ、具体的には行政か

全に働ける職場環境を守るた

め、労働基準法などに基づい

て企業を監督・指導するのが労働基

準監督官

（１）だ。電通で起きた新入社員

の過労自殺事件をきっかけに、過重

労働（

２）大

国ニッポンをどう変えるかに

国民の関心が集まっている。現場の

監督官たちは現状をどう見ているの

か。現役の3人が匿名を条件に語っ

てくれた。

　

──監督官の一人として、電通事

件をどのようにとらえましたか。

監督官Ａ　若い人が自ら命を絶った

ということは慙ざ

ん

愧き

の念に堪えませ

ん。本当に悔やまれてならない。心

ある監督官はみんな思っています

よ、悔しいと。

監督官Ｂ　電通は1991年にも過

労自殺の痛ましい出来事があり、労

安

労基 署監督官の告発

深層リポート

電通事件の対応は

後手に回っていた

写真：毎日新聞社 /アフロ

2016年11月、電通本社に家宅捜索に入る東京労働局と三田労働基準監督署の職員。労働基準監督官への関心も高まった

802017.2.25 週刊東洋経済

労基署監督官の告発

81 週刊東洋経済 2017.2.25

86週刊東洋経済2017.2.25

ひと烈風録

87 週刊東洋経済 2017.2.25

「心にスイッチが入ると、どうしても感情移入してしまう。真剣になると涙もろくなるので、最近は一生懸命にならないコツを覚えてきた」と笑う

ずかだ。深夜にパソコンと向かい合

い資料を読みふけるから、朝に弱い。

　起こしてくれるのが妻の理り

栄え︵55︶

だ。服装には無頓着な勝村に代わっ

て、スーツから靴下まですべて理栄

が用意する。ネクタイも首にかけて

締めるだけでいいように、いつでも

わっかを作ってから渡す。

　東大阪市で生まれた勝村は、マン

990年に医療事故で長女を

亡くして以来、その死を無駄

にしないために闘ってきた。医療の

世界は想像以上に固く閉ざされてい

た。風穴を開けようとしてははね返

され、また挑むの繰り返しだった。

　最後までこだわったのが﹁レセプ

ト︵診療明細書︶の開示﹂だ。周囲

があきれるほど愚直に、そして執拗

入れた患者の権利であることは、あ

まり知られていない。

　険け

わ

しく、そして長い道のりだった。

　京都府木津川市に住む勝村久司

︵55︶は、大阪府立牧野高校の理科の

教員だ。バドミントン部の顧問も務

める。平日だけでなく、週末も試合

や練習に明け暮れるから、医療にか

かわる市民運動に費やせる時間はわ

に説いてきた。

　医療事故の被害者でありながら、

医療政策の要ともいうべき厚生労働

省の中央社会保険医療協議会︵中医

協︶の委員を6年務めた。

　そこで医療の砦を崩した。

　今では病院で支払いのときに誰も

が当たり前のように明細書をもらえ

るが、それは15年に及ぶ闘いで手に

１「医療情報の公開・開示を求める市民の会」世話人、高校教員

勝村久司

かつむら・ひさし

医療暗黒大国に風穴

レセプト開示の立役者

医療被害者の立場からレセプト（診療明細書）の開示を求めてきた。

その闘いは挫折続きだ。だが粘り強い主張が日本の医療を変えてきた。

第 回37

ノンフィクション作家

辰濃哲郎

写真

ヒラオカスタジオ