グローバル技術経営戦略とグロ バル技術経営戦略とインドの可能性

東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻教授

元橋 一之元橋 之http://www.mo.t.u-tokyo.ac.jp/

中国：工場なのか市場なのか？

中国：工場なのか市場なのか？

輸出（旧来モデル）デル）

地産地消 アウトソーシング

インドに向けた技術経営戦略インドに向けた技術経営戦略

技術／

日本で開発・インドマ ケ ト ／

コスト

マーケット

インド

ト

現地製品 現地開発 オフシ ア開発現地製品・現地開発（Local for local)

オフショア開発(Local for global)

インド

グローバル戦略における距離の存在(CAGE by P. Ghemawat)

• Cultural Distance:言語、倫理、宗教

• Administrative Distance:地域貿易ブロック 政治Administrative Distance:地域貿易ブロック、政治面での対立、通貨、旧植民地

• Geographic Distance：物理的距離 陸部での隣• Geographic Distance：物理的距離、陸部での隣接、タイムゾーン

人当たり 生産フ ク• Economic Distance：一人当たりGDP、生産ファクターコスト・質

Ad t ti A ti A bitAdaptation, Aggregation, Arbitrageの組み合わせによるValue Creation

AAA:グローバル化による企業価値向上方法

d カル ケ トの製品 サ ビAdaptation：ローカルマーケットの製品・サービスを適合化：マクドナルドの地域製品、現地規格に合わせた家電製品規格に合わせた家電製品．．．

Aggregation：地域ごと、製品カテゴリごとなどにgg g 域 、製品 リ対外戦略を統合化：トヨタの地域戦略、デルの地域別生産拠点の地域別生産拠点

Arbitrage：地域ごとの違い（CAGE)から価値を生み出す：ユニクロ Tax‐heaven インドへのみ出す：ユニクロ、Tax‐heaven、インドへのBPO

AAAのマッピングAAAのマッピング

技術／

Adaptation or／コスト

Aggregation

インド

ト

Adaptation + Aggregation +Adaptation +Arbitrage

Aggregation +Arbitrage

インド

新興国における研究開発の実態新興国 おけ 研究開発 実態(日米欧企業の中国特許における在中国発明者特許割合）

1.6%

1.8%

2.0%

1.2%

1.4%

1.6%

0.8%

1.0%

0.2%

0.4%

0.6%

0.0%

0.2%

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

欧州企業 日本企業 米国企業

グローバルR&D：日本企業の特徴Spillover to Local players

Home to host Knowledge flow

Home CountryHeadquarter

R&D Center in China

Interlinked with

Local Innovation System

(Firms, Universities, Headquarter Interlinked with Local Players

PRIs etc. in China)

KnowledgeHost to home gAcquisitionKnowledge flow

Intra-firm knowledge flow Global open innovation part>>Why?

1. Difference in industry?2. HQ centered int’l mgt. style

1. Yes, but not relevant2.  Genchi‐ka underway

3 1 Mgt of IP > Mgt of IA3.Intellectual asset mgt. style

3‐1. Mgt. of IP ‐> Mgt. of IA 3‐2. Protection ‐> Open

組織マネジメントとＩＲグリッド組織マネジメントとＩＲグリッド

（Bartlett and Ghoshal，1989）

グローバルR&Dに関するマネジメントイシューグロ バルR&Dに関するマネジメントイシュ

• 企業内のコントロールと企業外とのネットワークのバランス• 意思決定権限のコントロールと自律性

プ• 現地におけるオープンイノベーションのマネジメント（意図せざる技術流出の管理）

欧米企業によるインド研究開発センタ欧米企業によるインド研究開発センター

• GE: John F. Welch Technology Center: Portable ECG (Electrocardiogram), CT imaging technology, self‐destructive car bumper

• Intel: IIDC (Intel India Development Center): x86Intel: IIDC (Intel India Development Center): x86 Zeon microprocessor: first 6 core chip

IBM R h I di f ft l• IBM Research India: from new software language to remote hosting service applications

• AstraZeneca’s R&D unit in India: new drug discovery, focusing on tropical diseasey g p

日本企業の事例日本企業の事例

立製作所 バ ガ タ （ 年）• 日立製作所：バンガロールにR&Dセンター（2011年）

• エーザイ・ナレッジセンター・インド：AP州ビシャカパトナム（バイザッグ）、工場＋製剤プロセス研究(2010年）

• デンソー：インド・テクニカルセンター（開発拠点）：ハリヤナ州グルガオン（2012年）リヤナ州グルガオン（2012年）

• スズキ（マルチスズキ）：ハリヤナ州ロータックに開発拠点のための土地収用（二輪工場を建設）発拠点のための土地収用（二輪工場を建設）

• ルノー・日産開発拠点、チェンナイ（後述）

新興国における研究開発の進化系：距離の活用

マ ケットGlocalization

Global本国

マーケットニーズ

Reverse Innovation

Local for Local

Global SourcingLocal現地現地

Arbitrage（現地R&D人材、ローカル研究資源）

GEメディカルのリバースイノベーションGEメディカルのリバースイノベーション

新興 グ• 新興国マーケティング（Local for Local)– 50％の機能の商品を15％のコストで開発機能 商品を 開発

– 超音波診断装置：中国（1500ドル）

心電図装置：インド（1000ドル）– 心電図装置：インド（1000ドル）

• 米国をはじめ先進国でも販売（新たな市場の• 米国をはじめ先進国でも販売（新たな市場の創出）

Givindarajan and Trimble, Reverse Innovation

現地発のイノベーション

まとめまとめ

インド 「遠い国 欧米の世界 日本は無理？• インド：「遠い国」、欧米の世界、日本は無理？

• 距離を「負債」から「資産」に（arbitrage)距離を 負債」から 資産」に（arbitrage)

• 「安い」だけでなく「イノベーションのネタ」（イノベ ションにおける多様性の確保）ベーションにおける多様性の確保）

• オープンイノベーションのための知識マネジメオ イ シ 知識 ネジント（自前主義、日本企業のチャレンジ）

参考文献参考文献

元橋一之、「研究開発のグローバル化に関する新たな潮流： 新興国の台頭と日本企業の対新 な潮流 新興国 台頭 本企業 対応」、組織科学、46(2)、pp.4‐14

元橋 之 『グロ バル経営戦略』 東大出版元橋一之、『グローバル経営戦略』、東大出版会、3月末刊行予定（競争優位を築く技術経営戦略 チ ズキのケ タデ 他）営戦略、マルチスズキのケーススタディ、他）