ミリ波帯4k・8k-fpuの開発 - nhk02 28 nhk技研 r&d/no.165/2017.9...

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02 28 NHK技研 R&D/No.165/2017.9 ミリ波帯4K・8K-FPUの開発 津持 純  松崎敬文  伊藤史人  鴨田浩和  今村浩一郎  濱住啓之 Development of Millimeter-wave Link for 8K Super Hi-Vision Program Contribution Jun TSUMOCHI, Yoshifumi MATSUSAKI, Fumito ITO, Hirokazu KAMODA, Koichiro IMAMURA and Hiroyuki HAMAZUMI 要 約 2016年8月からスーパーハイビジョン(4K・8K)の試験 放送が開始され,今後,4K・8Kの番組を一層充実させ ていくことが求められている。 現行のハイビジョン(2K) のニュース取材や中継番組制作における番組素材は, 可搬型無線伝送装置(FPU:Field Pick-up Unit)を 用いて放送局まで伝送されており,4K・8Kにおいても番 組素材を伝送できるFPUが必須となる。4K・8Kの番組 素材を伝送するためにはFPUの伝送容量の拡大が必要 となるため,今回,広い帯域幅が利用できるミリ波帯を 用いて,最大600Mbpsの信号を伝送できるミリ波帯4K・ 8K-FPUを開発した。 伝送実験により,開発したFPUの 伝送特性を検証するとともに,8K番組素材を無線伝送 できることを確認した。 ABSTRACT Since UHDTV test broadcasting started in 2016, increasing the number of UHDTV programs has been required. For current HDTV productions, portable wireless links are used for electronic news gathering and outside broadcasts. To meet the increasing needs of diverse UHDTV program production, a wireless link that is adapted to UHDTV has also been desired. In light of this, we have developed a millimeter-wave wireless link system that achieves 600-Mbps-class UHDTV program transmission using a dual polarized MIMO technology and a wideband signal processing technique for the MIMO-OFDM scheme. We confirmed that the millimeter-wave link was capable of UHDTV program transmission through laboratory and field experiments.

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Page 1: ミリ波帯4K・8K-FPUの開発 - NHK02 28 NHK技研 R&D/No.165/2017.9 ミリ波帯4K・8K-FPUの開発 津持 純 松崎敬文 伊藤史人 鴨田浩和 今村浩一郎 濱住啓之

02

28 NHK技研 R&D/No.165/2017.9

ミリ波帯4K・8K-FPUの開発津持 純  松崎敬文  伊藤史人  鴨田浩和  今村浩一郎  濱住啓之

Development of Millimeter-wave Link for 8K Super Hi-Vision Program Contribution

Jun TSUMOCHI, Yoshifumi MATSUSAKI, Fumito ITO, Hirokazu KAMODA, Koichiro IMAMURA and Hiroyuki HAMAZUMI

要 約

2016年8月からスーパーハイビジョン(4K・8K)の試験

放送が開始され,今後,4K・8Kの番組を一層充実させ

ていくことが求められている。現行のハイビジョン(2K)

のニュース取材や中継番組制作における番組素材は,

可搬型無線伝送装置(FPU:Field Pick-up Unit)を

用いて放送局まで伝送されており,4K・8Kにおいても番

組素材を伝送できるFPUが必須となる。4K・8Kの番組

素材を伝送するためにはFPUの伝送容量の拡大が必要

となるため,今回,広い帯域幅が利用できるミリ波帯を

用いて,最大600Mbpsの信号を伝送できるミリ波帯4K・

8K-FPUを開発した。伝送実験により,開発したFPUの

伝送特性を検証するとともに,8K番組素材を無線伝送

できることを確認した。

ABSTRACT

Since UHDTV test broadcasting started in 2016,

increasing the number of UHDTV programs has been

required. For current HDTV productions, portable

wireless links are used for electronic news gathering

and outside broadcasts. To meet the increasing

needs of diverse UHDTV program production, a

wireless link that is adapted to UHDTV has also

been desired. In light of this, we have developed a

millimeter-wave wireless link system that achieves

600-Mbps-class UHDTV program transmission using

a dual polarized MIMO technology and a wideband

signal processing technique for the MIMO-OFDM

scheme. We confirmed that the millimeter-wave

link was capable of UHDTV program transmission

through laboratory and field experiments.

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29NHK技研 R&D/No.165/2017.9

1.はじめに

NHKは,次世代のテレビジョン放送サービスとして,高精細・高臨場感のコンテンツを提供できるスーパーハイビジョン(4K・8K)の研究・開発を進めてきた。2016年に,放送衛星による4K・8Kの試験放送が開始され,現在は2018年の実用放送開始に向けた準備に取り組んでいる。番組素材を放送局まで無線伝送する可搬型無線伝送装置(FPU:Field Pick-up Unit)についても,4K・8Kへの対応が求められており,伝送容量の拡大が必要とされている。

番組素材伝送に利用できる周波数帯の1つにミリ波帯の42GHz帯があり,現在,ハイビジョン(2K)のワイヤレスカメラ用の無線伝送装置(以下,2Kワイヤレスカメラと呼ぶ)で使用されている1)。著者らは,この2Kワイヤレスカメラをベースに伝送容量を拡大したミリ波帯4K・8K-FPUの開発を進めた。本稿では,開発したミリ波帯4K・8K-FPUの仕様について説明するとともに,伝送特性を検証するための評価実験と野外伝送実験の結果について報告する。

2.ミリ波帯4K・8K-FPUの概要

2. 1 伝送系統と伝送容量拡大の技術4K映像や8K映像(空間解像度7,680×4,320,フレーム周波

数59.94Hz)をH.265/HEVC(High Efficiency Video Coding)で符号化した場合,4K・8Kの番組素材伝送のビットレートは,パケット長204バイトのTS(Transport Stream)信号で108 〜 325Mbpsが適当と報告されている2)。ミリ波帯4K・8K-FPUの伝送容量としては,将来のフレーム周波数の高速化や,符号化処理の遅延時間を減らすためのビットレート増大などを見込んで,325Mbps以上の伝送を目指すこととした。

これまでに42GHz帯で実用化した2Kワイヤレスカメラの伝送系統を1図に示す。42GHz帯のチャンネル帯域幅は,62.5MHz,125MHz,500MHz,1GHzのいずれかとすることが電波法関連審査基準で規定されている。移動環境での利用を想定している2Kワイヤレスカメラでは,チャンネル帯域幅を62.5MHzとしており,これまでにその他のチャンネル帯域幅で実用化された例はなかった。2Kワイヤレスカメラの伝送容量は,2送信・2受信 のMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)-OFDM

(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式でサブキャリヤー変調方式を16QAM,符号化率を1/2とした場合,160Mbpsであった。

今回開発したミリ波帯4K・8K-FPUの伝送系統を2図

に示す。ミリ波帯4K・8K-FPUは送受信点間が見通しかつ静止環境での利用を想定しているため,高利得なパラボラアンテナを用いる設計とした。また,パラボラアンテナでは偏波共用アンテナが容易に実現できることか

カメラ映像

エンコーダー 42GHz帯送信機

2×2MIMO-OFDM変調器

送信アンテナ42GHz帯受信機1

42GHz帯受信機2

受信アンテナ

2×2MIMO-OFDM復調器

・チャンネル帯域幅 62.5MHzのOFDM信号を生成

・16QAM(符号化率1/2)の変調方式により160Mbpsを伝送

2本の送信アンテナは,同一周波数・同一偏波で異なる信号を伝送

デコーダー

カメラ映像

1図 2Kワイヤレスカメラの伝送系統

送信アンテナ(偏波共用アンテナ)

・チャンネル帯域幅 125MHzのOFDM信号を生成・32QAM(符号化率3/4)の変調方式により600Mbpsを伝送

偏波共用アンテナは,同一周波数の垂直偏波と水平偏波で異なる信号を伝送

受信アンテナ(偏波共用アンテナ)

4K・8K番組素材(カメラ映像など)

4K・8K番組素材

エンコーダー 42GHz帯送信機

MIMO-OFDM変調器

42GHz帯受信機

デコーダーMIMO-OFDM復調器

2図 42GHz帯4K・8K-FPUの伝送系統

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30 NHK技研 R&D/No.165/2017.9

ら,同一周波数で直交する垂直偏波と水平偏波を用いた偏波MIMO3)を採用した。偏波共用アンテナを用いると,アンテナの方向調整を偏波ごとに行う必要がない。さらに,FPUを設置した際に,送受信アンテナ間の偏波面のずれに起因する干渉が生じたとしても,MIMOによって干渉成分を除去できることから4),運用面でのメリットが期待できる。

偏波共用のパラボラアンテナは高利得である上に20dB以上の交差偏波識別度が得られ,偏波面の干渉も前述のとおりMIMOで除去できるため,所要C/N

(Carrier to Noise Ratio)が30dB以上の4096QAMを用いて伝送容量を拡大できることが報告されている2)。一方で,ミリ波帯4K・8K-FPUの送信機で使用するミリ波帯電力増幅器は歪みが大きく,送信信号のC/Nは約25dBに劣化する。装置化のマージンや伝搬路のマルチパスマージンを考慮すると,回線設計上の所要C/Nの理論値は15dB程度が限界と考えた。このため,ミリ波帯4K・8K-FPUの伝送パラメーターは,所要C/Nの理論値が15.5dBとなるサブキャリヤー変調32QAM,符号化率3/4までとした。これにより2Kワイヤレスカメラと比べて最大1.875倍の伝送容量拡大が可能となる。さらに,

変調信号のチャンネル帯域幅を2Kワイヤレスカメラの2倍となる125MHzに拡大し,これら2つの方法を組み合わせることで最大600Mbpsの伝送を可能とした。

2. 2 ミリ波帯4K・8K-FPUの仕様本節では,ミリ波帯4K・8K-FPUの仕様について説明

する。前述の伝送容量拡大技術を導入して開発したミリ波帯4K・8K-FPUの送受信系統を3図に示す。ミリ波帯4K・8K-FPUは,チャンネル帯域幅62.5MHzと125MHzのいずれにも対応できるMIMO-OFDM変復調器と送受信機で構成され,前述のとおり,アンテナには偏波共用パラボラアンテナを用いる。開発したミリ波帯4K・8K-FPUの外観を4図,伝送パラメーターと伝送容量をそれぞれ1表と2表に示す。以下,3図の送受信系統の主要なブロックについて,信号の流れに沿って説明する。

①データフレーム同期ミリ波帯4K・8K-FPUの入力インターフェースは,ハ

イビジョンのFPUで一般的に利用されているDVB-ASI(Digital Video Broadcasting - Asynchronous Serial Interface)形式のTSとした。ただし,DVB-ASIはビッ

系統間振り分け

OFDMフレーム構成

IFFT GI付加

直交変調

CPTMCCAC

誤り訂正符号化

誤り訂正符号化

データフレーム同期

送信系統 #1 IF#1

送信系統 #2

TS#1

インターリーブ

インターリーブ

QAMマッピング

QAMマッピング

OFDMフレーム構成

IFFT GI付加

直交変調

IF#2

TS#2

MIMO-OFDM変調器

周波数変換

周波数変換

電力増幅器

電力増幅器

OMTRF信号

送信機水平偏波用

垂直偏波用

送信チャンネル選択

(a) 送信側系統

(b) 受信側系統

Ⓐ:ビットエラーレート評価ポイント

RF信号

低雑音増幅器

低雑音増幅器

周波数変換

周波数変換

AGC

AGC

受信機

OMT 受信チャンネル選択

水平偏波用

垂直偏波用

IF#2

IF#1 直交

復調GI除去

GI除去

シンボル同期

シンボル同期

直交復調

受信系統 #1

受信系統 #2

FFT

FFT

伝搬路推定

MIMO検出

デインターリーブ

デインターリーブ

系統間逆

振り分け

誤り訂正復号

誤り訂正復号

TSパケット再構成

MIMO-OFDM復調器

TS#1

TS#2

3図 ミリ波帯4K・8K-FPUの送受信系統

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トレートの上限が213Mbpsに制限されることから,4K・8Kの映像符号化装置が高レートのTSを2系統のDVB-ASIに分割して出力することを想定し,ミリ波帯4K・8K-FPUの入力は,2系統までのTS入力に対応できるように設計した。TSの入力数は,TSの同期ワードを検出することにより判定することができる。

3図の「データフレーム同期」においては,TS入力数が1本の場合,8個のTSパケットを単位としたデータフレームを構成し,データフレームの先頭となるTS

パケットの同期ワードをビット反転してデータフレームの同期ワードに作り変える。また,TS入力数が2本の場合は,2本のTSのビットレートが同一であることを前提に,2系統のTSパケットを交互に1パケットずつ並べてデータフレームを構成する。各データフレームについて,8個のTSパケットで構成されることや同期ワードの作り方は,TS入力数が1本の場合と同様である。

データフレームを「データフレーム同期」のブロックから出力する際には,1データフレームごとに出力先を切り替えて2系統のデータフレームを出力する。2系統のデータフレームを出力する理由は,次項で述べるように,誤り訂正符号化を2つの回路で並列に処理するためである。

②誤り訂正符号化ミリ波帯4K・8K-FPUの誤り訂正符号化は,外符号を

RS(Reed-Solomon)(204, 188)符号,内符号を畳み込み符号とした。畳み込み符号化はビット単位での処理となり,実装に用いたFPGA(Field Programmable Gate

42GHz帯送信機 42GHz帯受信機

偏波共用パラボラアンテナ

MIMO-OFDM変調器 MIMO-OFDM復調器

4図 開発したミリ波帯4K・8K-FPUの外観

1表  ミリ波帯4K・8K-FPUの伝送パラメーター

項目 仕様

チャンネル帯域幅 (MHz) 62.5 125

FFTポイント数 1,024 2,048

占有周波数帯幅 (MHz) 54.4 109.2

キャリヤー間隔 (kHz) 63.5

キャリヤー数

総数 857 1,721

データ 672 1,344

CP※1 108 216

TMCC※2 10 16

AC※3 66 144

サブキャリヤー変調方式 QPSK, 16QAM, 32QAM

FFTサンプリングクロック (MHz) 65 130

シンボル数/OFDMフレーム 408

有効シンボル長 (μs) 15.75

ガードインターバル長 (μs) 0.98

シンボル長 (μs) 16.74

OFDMフレーム長 (ms) 6.83

内符号 畳み込み符号(符号化率R=1/2, 2/3, 3/4)

外符号 RS(204,188)

MIMO対応CPキャリヤー乗算係数※4 水平(1, 1), 垂直(1, -1)

※1 Continual Pilot※2 Transmission Multiplexing Configuration and Control※3 Auxiliary Channel※4 括弧内の数字は,(偶数シンボルの係数,奇数シンボルの係数)

2表 ミリ波帯4K・8K-FPUの伝送容量 (MIMO-OFDMで伝送した場合)

サブキャリヤー変調 符号化率

伝送容量(Mbps)

チャンネル帯域幅62.5MHz

チャンネル帯域幅125MHz

QPSK

1 / 2 80.294 160.588

2 / 3 107.059 214.118

3 / 4 120.441 240.882

16QAM

1 / 2 160.588 321.176

2 / 3 214.118 428.236

3 / 4 240.882 481.764

32QAM

1 / 2 200.735 401.470

2 / 3 267.647 535.294

3 / 4 301.103 602.206

報告 02

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Array)デバイスの畳み込み符号化回路の駆動速度が約400Mbpsであったため,2つの誤り訂正符号化回路で2つのデータフレームの符号化を並列に処理することとした。このように誤り訂正符号化の処理を並列化することで,情報ビット(TS)に誤り訂正符号のパリティービットを加えた総ビットレートの上限を800Mbpsに拡大できる。

③系統間振り分け誤り訂正符号化したデータを水平偏波用と垂直偏波用

の2つの送信系統に振り分ける。振り分けの際には,一方の誤り訂正符号化された出力データを送信系統1→送信系統2→送信系統1→…とビット単位で振り分け,もう一方の誤り訂正符号化された出力データは送信系統2→送信系統1→送信系統2→…と互いにデータを入れ替えながら振り分ける。このようにデータを異なる偏波の系統間で振り分け,偏波間インターリーブを行うことで,偏波MIMOにおいて一方の偏波の受信状態が劣化した場合においても,誤り訂正能力を改善することができる。

④インターリーブインターリーブはバースト誤りを分散させることで誤

り訂正の性能を向上させる技術である。ミリ波帯4K・8K-FPUでは,ビットインターリーブ,周波数インターリーブ,時間インターリーブの順に3つの方法でデータの順番を並べ替える。

ビットインターリーブは,多値変調の場合に,OFDMのキャリヤー単位での誤りがバースト誤りとなることを防ぐために,ビット単位でデータの並べ替えを行う。例えば,QPSKの場合,キャリヤー当たり2ビットのデータについて2ビット目のみに一定の遅延を与えることでデータを分散させる。

周波数インターリーブは,マルチパス波の混入によって生じる周波数選択性フェージングへの耐性を高めるために,1つのOFDMフレーム内のキャリヤーの順番がランダムになるように入れ替えることで,周波数選択性フェージングによるバースト誤りを分散させることができる。

時間インターリーブは,OFDMシンボル長より長い時間の範囲でデータを並べ替える。OFDMシンボルをまたいでデータを並べ替えることで,フラットフェージングのような瞬時的な受信レベルの低下によるバースト誤りに対する耐性を高めることができる。

⑤QAMマッピング・OFDMフレーム構成インターリーブで並べ替えられたデータ系列の先頭か

ら順番に,QPSKでは2ビットずつ,16QAMでは4ビットずつ,32QAMでは5ビットずつのデータを,OFDMのデータキャリヤーにマッピングする。さらに,所定の キ ャ リ ヤ ー にTMCC(Transmission Multiplexing Configuration and Control),CP(Continual Pilot),AC(Auxiliary Channel)を割り当ててOFDMフレームを構成する。TMCCは,OFDMフレームの同期をとるための同期信号や,サブキャリヤーの変調方式,TSの入力数などを受信側に伝えるための信号である。また,ACはユーザーが付加的な情報を伝送するときに用いる信号である。CPは,受信側で既知のパイロット信号であり,伝搬路応答の推定に用いる。さらに,水平偏波と垂直偏波で直交するCPの系列とすることで(1表参照),受信側でMIMO検出を行うことができる。

⑥IFFT・GI付加・直交変調OFDMフレームをシンボル単位で逆高速フーリエ変

換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)し,I軸・Q軸(実軸・虚軸)の時間領域の信号に変換する。さらに,所定の長さのガードインターバル(GI:Guard Interval)をOFDMシンボルの先頭に付加した後,I軸・Q軸の時間信号を直交変調して得た中心周波数400MHzのIF(Intermediate Frequency)信号を送信機(高周波部)へ伝送する。

⑦高周波部・アンテナ送信機(高周波部)の機能は,IF信号を所定のチャ

ンネルのRF(Radio Frequency)信号に周波数変換した後,電力増幅器で規定の送信電力に増幅することである。この機能を水平偏波用と垂直偏波用にそれぞれ搭載し,OMT(Ortho-Mode Transducer)*1で偏波共用してパラボラアンテナから送信する。

ミリ波帯はマイクロ波帯に比べて降雨減衰が大きいため,長距離伝送を行うためには送信電力を大きくすることが望まれる。現行の関連法規では42GHz帯における最大送信電力は1W(MIMOの場合は全ての送信電力の和)と規定されているが,本FPUでは,ミリ波帯の固体デバイスを用いた電力増幅器の性能やOFDM信号のバックオフを考慮して,1送信(片偏波)当たりの送信電力を250mW(両偏波の和で500mW)とした。

*1 垂直偏波および水平偏波で導波管内を伝搬する信号を合成または分離する導波管部品。

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報告 02

33NHK技研 R&D/No.165/2017.9

パラボラアンテナは,水平および垂直偏波のいずれにも対応できるように円形導波管のインターフェースを有する構造とし,直径30cmでアンテナ利得が40dBi*2 の偏波共用パラボラアンテナを用いた。

受信機の高周波部では,受信信号をOMTで偏波分離した後,水平偏波と垂直偏波のそれぞれの信号について周波数変換を行い,AGC(Automatic Gain Control)で所定のレベルに調整したIF信号を出力する。

⑧受信信号処理受信信号の復調手順は,基本的には送信側と逆の手順

となる。受信したCPから伝搬路応答を推定し,MIMO検出を行うことで,伝搬中に混入した交差偏波の干渉成分を除去し,水平偏波と垂直偏波の送信シンボルの推定値を得る。FPUは見通し環境で交差偏波識別度の低下があまりない環境で伝送することを想定しているため,MIMO検出には演算量の少ないゼロフォーシング方式4)*3 を採用した。MIMO検出後の受信シンボルのデマッピングにおいては,軟判定値として対数尤度比

(LLR:Log-Likelihood Ratio)*4 を算出し,ビタビ復号を用いて内符号の復号を行う。そして,誤り訂正復号後に,TMCCで伝送したTS入力数を基にTS信号を出力する。

3.MIMO-OFDM変復調器の評価実験

ミリ波帯4K・8K-FPUのMIMO-OFDM変復調器の伝送特性を確認するために,IF信号を用いて評価実験を行った。評価実験の系統を5図に示す。実験系統は,MIMO-OFDM変調器と復調器をケーブルで直結し,変復調器間においてノイズソース(広い帯域でフラットなスペクトラムを生成する信号源)で発生させた雑音信号を加えた。雑音信号のレベルを可変減衰器で調整することで,MIMO-OFDM復調器に入力する信号のC/Nを変

化させた。

①復調信号のコンスタレーションMIMO-OFDM変復調器の復調動作を確認するために,

復調器の「MIMO検出」ブロック直後のコンスタレーションを確認した。受信信号のコンスタレーションを6

図に示す。ここで,可変減衰器の減衰量は受信信号のC/Nが最大となるように設定した。

6図より,受信信号について,データキャリヤーの変調方式に応じたコンスタレーションが復元できていることが確認できた。ただし,この実験系統では,水平偏波用と垂直偏波用のIF信号がそれぞれ独立に復調器に入力されているため,実質的なMIMO分離の効果までは検証していない。なお,6図のコンスタレーションにおいて,I軸上にはCP信号,Q軸上にはTMCC信号,原点にはNull信号(レート調整のためのダミーデータなど)も表示されている。

②ビットエラーレートMIMO-OFDM変復調器において復調器の入力信号の

C/Nを変化させたときのビットエラーレート(BER:Bit Error Rate)を測定した。データ信号として,変調器で発生させたPN信号(擬似ランダム信号)を伝送し,復調器で,復調後のデータ信号と既知のデータ信号とを比較してBERを測定した。

7図に誤り訂正前のBERを示す。7図のBERは,3図のⒶのポイントでPN信号を比較して求めた。7図の横軸は受信信号のC/N,点線は計算機シミュレーションの結果である。計算機シミュレーションでは,実験系統に合わせて,復調器の2系統の入力信号は互いに無相

*2 dBiは,等方性アンテナを基準とするアンテナ利得の単位。

*3 受信信号に伝送路行列の逆行列を乗算して送信信号を復元するMIMOの信号検出手法。

*4 受信ビットが0である確率と1である確率の比を対数で表した数値。

MIMO-OFDM変調器

MIMO-OFDM復調器

水平偏波用のIF信号

垂直偏波用のIF信号

コンスタレーション

BERノイズソース BPF 可変

減衰器

可変減衰器BPFノイズソース

5図 MIMO-OFDM変復調器の評価実験系統

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関(偏波間の干渉はない)として計算した。7図より, MIMO-OFDM変復調器で測定したBERは計算機シミュレーションとほぼ一致しており,装置化による劣化は小さいと言える。

MIMO-OFDM変復調器の所要C/Nを3表に,各符号化率における所要C/Nと伝送容量の関係を8図に示す。ただし,3表と8図の所要C/Nは,RS復号後に擬似エラーフリー(ビタビ復号後のBERが1×10−4)となるC/Nの値である。

4.伝送実験

4. 1 送受信機の伝送特性開発したミリ波帯4K・8K-FPUについて,ミリ波帯の

送受信機(高周波部)を含めたシステムのBER特性を

測定した。BER特性の測定系統を9図に示す。送信機と受信機を導波管で接続し,受信電力をミリ波帯の可変減衰器で調整しながらBERを測定した。送信電力は1偏波当たり250mWとした。

10図に,サブキャリヤー変調方式を32QAM,符号化率を1/2,2/3,3/4とした場合における1偏波当たりの受信電力に対する誤り訂正前とビタビ復号後のBER特

データキャリヤー変調方式

QPSK

コンスタレーション#1

コンスタレーション#2

16QAM 32QAM

6図 受信コンスタレーション

100

10-1

10-2

10-3

10-4

10-5

10-6

10-7

10-8

10-9

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30

BER

C/N (dB)

32QAM simulation16QAM simulation

simulation32QAM #132QAM #216QAM #116QAM #2

#1#2

QPSK

QPSKQPSK

7図 誤り訂正前のBER

3表 MIMO-OFDM変復調器の所要C/N

変調方式

符号化率

1 / 2 2 / 3 3 / 4

QPSK 4.7 dB 6.7 dB 8.0 dB

16QAM 10.0 dB 12.8 dB 14.4 dB

32QAM 13.1 dB 15.9 dB 17.6 dB

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報告 02

35NHK技研 R&D/No.165/2017.9

性の測定結果を示す。始めに,誤り訂正前のBER特性に着目すると,受信

電力が大きい場合にエラーフロア*5が発生しているが,この原因は送信機の電力増幅器の歪みである。OFDM信号はPAPR(Peak to Average Power Ratio)が大きいため,電力増幅器の入出力特性の非線形領域で歪みが発生する。現状ではミリ波帯の固体デバイスを用いた電力増幅器の高出力化は難しく,電力増幅器の線形領域だけで動作させることは困難なことから,広帯域信号の歪

みを低減する技術の検討は,今後の課題の1つである。次に,ビタビ復号後のBER特性に着目する。受信機

の熱雑音電力は,占有周波数帯幅を109.2MHz,雑音指数を5dBとして計算すると−88.5dBmとなる。4表に,10図から読み取った所要受信電力*6,受信機熱雑音電

700

600

500

400

300

200

100

020 4 6 8 10 12 14 16 18 20

所要C/N(dB)

変復調器間の伝送容量(Mbps)

32QAM

16QAM

QPSK

( )内は符号化率

(1/2)(2/3)

(3/4)

(1/2)

(2/3)(3/4)

(1/2)

(2/3)

(3/4)

8図 各符号化率における所要C/Nと伝送容量の関係

送信機

可変減衰器

受信機MIMO-OFDM変調器 OMT OMT

可変減衰器

RF信号(水平偏波)

RF信号(垂直偏波)

RF信号(2偏波)

水平偏波用IF信号

RF信号(2偏波)

垂直偏波用IF信号

水平偏波用IF信号

垂直偏波用IF信号

MIMO-OFDM復調器

9図 BER特性の測定系統

100

10-1

10-2

10-3

10-4

10-5

10-6

10-7

10-8

10-9

-85 -80 -75 -70 -65 -60 -55 -50

BER

受信電力(dBm)

誤り訂正前

ビタビ復号後(符号化率3/4)

ビタビ復号後(符号化率2/3)

ビタビ復号後(符号化率1/2)

10図 42GHz帯送受信機の250mW出力時におけるBER特性(変調方式32QAM)

*5 非線形歪みなどの影響で,受信電力を大きくしてもBERがある値以下に下がらない現象。

*6 RS復号後に擬似エラーフリー(ビタビ復号後のBERが1×10-4)となる受信電力。

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36 NHK技研 R&D/No.165/2017.9

力(−88.5dBm)と所要受信電力から算出した所要C/N,および3表のMIMO-OFDM変復調器の所要C/Nからの増加量(所要C/N劣化量)を示す。送受信機による所要C/Nの増加は,前述の電力増幅器の歪みが主な原因である。電力増幅器の歪みによる等価的な雑音の影響は所要C/Nが高いほど大きくなるため,符号化率が高いほど所要C/N劣化量は大きくなっている。

4. 2 野外伝送実験ミリ波帯4K・8K-FPUによる8K素材伝送の実現性を

確認するために,野外伝送実験を行った。野外伝送実験の諸元および回線設計を,それぞれ5表と6表に示す。

送信点はNHK放送センター(渋谷区),受信点はNHK技研(世田谷区)とし,約8kmの伝送距離で実験を行った。実験系統を11図に示す。8K信号の伝送を確認するために, H.265/HEVCエンコーダーで213Mbpsにエンコードした8K素材信号をあらかじめTS再生装置に収録した。このTS再生装置から出力したTSをMIMO-

OFDM変調器に入力して2系統のOFDM信号を生成し,水平および垂直偏波で伝送した。ここで,TSのビットレートは213Mbpsであるが,FPUでの伝送レートを600Mbpsとするために,ダミーのTSパケットをMIMO-OFDM変調器で挿入してレートを調整した。受信した信号は,MIMO-OFDM復調器で復調し,H.265/HEVCデコーダーで8K信号を復元した。

野外伝送実験における受信点の様子を12図に,伝送した8K信号を復調した様子を13図に示す。また,受信した8K信号をモニターに表示したところ,映像の乱れやブロックノイズはなく,正常に8K信号の再生ができることを確認した。

受 信 電 力 は, 水 平 偏 波 が −44dBm, 垂 直 偏 波 が−45dBmであった。これは6表の受信電力と比較して少し低く,アンテナの方向調整の誤差等によるものと推察されるが,おおむね計算どおりの受信電力が得られた。さらにBERを測定したところ,誤り訂正前でBER= 1×10−4であり,誤り訂正後はエラーフリーとなった。6表に示すように伝送マージンが十分大きいにもかかわらず誤り訂正前のBERの値が大きかった原因は,電力増幅器の歪みの影響と考えられる。

次に,ミリ波帯4K・8K-FPUによる8K信号の伝送距離について考察する。6表の伝送マージン29.3dBを自由空間伝搬損失と大気吸収損失に割り当てると50km程度

5表 野外伝送実験の諸元

項目 パラメーター

送信電力 1偏波当たり250mW (24dBm)※ 水平・垂直偏波の合計は500mW (27dBm)

中心周波数 41.0625 GHz

占有周波数帯幅 109.2 MHz

伝送方式 偏波MIMO-OFDM

データキャリヤー数 1,344

FFTポイント数 2,048

有効シンボル長 15.75μs

ガードインターバル長 0.98μs

キャリヤー変調方式 32QAM

誤り訂正符号 内符号:畳み込み符号(符号化率3/4)外符号:RS(204,188)

アンテナ 偏波共用パラボラアンテナ(パラボラ径Φ= 0.3m, 40dBi)

送信点 東京都渋谷区 NHK放送センター

受信点 東京都世田谷区 NHK放送技術研究所

6表 野外伝送実験の回線設計

送信電力 1偏波当たり250mW (24dBm) ※ 水平・垂直偏波の合計は

500mW (27dBm)

中心周波数 41.0625 GHz

送信アンテナ利得 40.0 dBi

送信給電線損失 0.5 dB

実効放射電力 63.5 dBm

伝送距離 8.0 km

自由空間伝搬損失 143.0 dB

降雨減衰 0.0 dB

大気(酸素+水蒸気)による吸収損失 1.6 dB

受信アンテナ利得 40.0 dBi

受信給電線損失 0.5 dB

受信電力 -41.6 dBm

雑音帯域幅 109.2 dB

雑音指数 5.0 dB

受信機熱雑音 -88.5 dBm

変復調機の所要C/N 17.6 dB

伝送マージン 29.3 dB

4表 各符号化率における送受信機の所要C/N劣化量 (変調方式32QAM)

  符号化率

1 / 2 2 / 3 3 / 4

所要受信電力 -75.2 dBm -71.5 dBm -68.8 dBm

所要C/N 13.3 dB 17.0 dB 19.7 dB

変復調機の所要C/N 13.1 dB 15.9 dB 17.6 dB

所要C/N劣化量 0.2 dB 1.1 dB 2.1 dB

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報告 02

37NHK技研 R&D/No.165/2017.9

の伝送距離が見込める。一方で,降雨時においては,降雨強度に応じた減衰が生じるため,伝送距離が短くなる。一般的に強雨と呼ばれる20mm/hの降雨強度を想定した場合,ITU-R(International Telecommunication Union - Radiocommunication Sector)勧告5)より42GHz帯では5.8dB/kmの降雨減衰が生じることから,降雨時の伝送距離は5km程度になると考えられる。

5.まとめ

4K・8Kで制作されたニュースやスポーツ中継などの番組素材を無線伝送するために,伝送容量を最大600Mbpsまで拡大したミリ波帯4K・8K-FPUを開発し,

野外伝送実験により8K番組素材を伝送距離8kmで無線伝送できることを実証した。開発したミリ波帯4K・8K-FPUは,回線計算から晴天時では約50km,20mm/hの降雨時で5km程度の距離を伝送できる見通しである。

今後は,長期の伝送実験や,降雨時の伝送特性についての検証,安定運用に向けた改修を進め,ミリ波帯4K・8K-FPUの4K・8K番組制作への活用に向けた取り組みを進めていく。

本稿は,映像情報メディア学会技術報告に掲載された以下の報告

を元に加筆・修正したものである。

津持,伊藤,松崎,鴨田,中川,濱住:“42GHz帯FPUにおける広

帯域MIMO-OFDM変復調器の開発,”映像情報メディア学会技術報

告,Vol.40,No.23,BCT2016-64,pp.47-50(2016)

送信機MIMO-OFDM変調器

MIMO-OFDM復調器受信機

NHK放送センター(渋谷区) NHK放送技術研究所(世田谷区)

ミリ波帯4K・8K FPU ミリ波帯4K・8K FPU8K

ディスプレー

H.265/HEVCデコーダー

8K信号8km

水平/垂直偏波

TS再生装置

TSTS

受信電力 BER

IF#1IF#2

IF#1IF#2

11図 野外伝送実験の伝送系統

12図 野外伝送実験における受信点の様子

受信コンスタレーション

受信信号スペクトラム

MIMO-OFDM復調器

13図 伝送した8K信号を復調した様子

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38 NHK技研 R&D/No.165/2017.9

1) 中川:“ミリ波モバイルカメラ,”NHK技研 R&D,No.128,pp.26-33(2011)

2) 情報通信審議会 情報通信技術分科会 放送システム委員会報告:“「放送システムに関する技術的条件」(諮問第2023号)のうち「放送事業用無線局の高度化のための技術的条件」のうち「超高精細度テレビジョン放送のためのマイクロ波帯を使用する放送事業用無線局(FPU)の技術的条件」,”

http://www.soumu.go.jp/main_content/000477015.pdf(2017)

3) 村山:“次世代地上放送に向けた大容量伝送方式,”NHK技研R&D,No.136,pp.8-15(2012)

4) 大鐘:“わかりやすいMIMOシステム技術,”オーム社(2008)

5) Rec. ITU-R P.838-3,“Specific Attenuation Model for Rain for Use in Prediction Methods”(2005)

参考文献

津つ

持もち

純じゅん

2004年入局。大阪放送局を経て,2008年から放送技術研究所において,ミリ波帯を用いた無線素材伝送技術等の研究・開発に従事。現在,放送技術研究所研究企画部に所属。

伊い

藤とう

史ふみ

人と

2005年入局。熊本放送局,技術局送信部を経て,2013年から放送技術研究所において,番組中継用無線伝送技術の研究に従事。現在,放送技術研究所伝送システム研究部に所属。

今いま

村むら

浩こう

一いち

郎ろう

1994年入局。長崎放送局を経て,1997年から放送技術研究所において,地上デジタル放送の信号補償器の研究に従事。名古屋放送局,技術局を経て,2016年から放送技術研究所において,ミリ波帯番組素材伝送技術の研究に従事。現在,放送技術研究所伝送システム研究部上級研究員。

濱はま

住ずみ

啓ひろ

之ゆき

1982年入局。津放送局を経て,1987年から放送技術研究所において,デジタル無線伝送および地上デジタル放送の送受信技術の研究に従事。技術局を経て,2004年から放送技術研究所において,地上デジタル放送の放送ネットワーク, 番組素材無線伝送の研究開発に従事。現在,放送技術研究所伝送システム研究部上級研究員。博士(工学)。

鴨かも

田だ

浩ひろ

和かず

1997年入局。長野放送局を経て,2001年から放送技術研究所において,マイクロ波・ミリ波帯のアンテナ・デバイスおよび無線素材伝送技術等の研究開発に従事。2012年から2015年まで国際電気通信基礎技術研究所に出向。現在,放送技術研究所伝送システム研究部上級研究員。博士(工学)。

松まつ

崎さき

敬よし

文ふみ

2006年入局。佐賀放送局を経て,2011年から放送技術研究所において,衛星放送,ミリ波帯を用いた無線素材伝送技術,およびミリ波帯ワイヤレスカメラの研究・開発に従事。現在,放送技術研究所伝送システム研究部に所属。