光ファイバを用いた低コスト・ 超高感度屈折率センサの開発 …...1...
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光ファイバを用いた低コスト・超高感度屈折率センサの開発
岡山大学 大学院 自然科学研究科
教授 深野 秀樹
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従来技術とその問題点
既に実用化されているものには、光の全反射時の臨界角を利用したアッベ屈折計がある。
・多くの場合,サンプリングが必要
・高精度化のためには,精密な光学系が必要
等の課題がある。
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光ファイバセンサの特徴
・耐環境性・危険物質の測定可能性・非電磁誘導性・高感度・取り扱いやすい
利点
光通信の普及による高性能光ファイバおよび光デバイスの低コスト化の進展
低コスト
マルチモード干渉 (MMI)光ファイバ屈折率センサ
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マルチモード干渉構造
☆グースヘンシェンシフトにより,干渉条件が変化
ncore
nsur
グースヘンシェンシフト
☆マルチモード光間の位相によって光の強め合い,弱め合い(干渉)
同位相
反転位相
スペクトルピーク
スペクトルディップ
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干渉波長とセンサ部長の関係
MMI 理論
センサ部長 : L
corenmdL0
2d :コア径ncore :コア屈折率m :次数
0 :干渉波長
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特性評価系
光源
センサ部
光スペクトラムアナライザ
空気または測定媒体
光ファイバ
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干渉波長のセンサ部長依存性
800 1000 1200 1400 16000
20
40
60
80
100
120
Interference wavelength : (nm)Se
nsin
g pa
rt le
ngth
: L
(mm
)
m = 1m = 2m = 3m = 4
m = 6m = 5
m = 7D C B A
F
-8 0
-7 5
-7 0
-6 5
-6 0
8 0 0 1 0 0 0 1 2 0 0 1 4 0 0 1 6 0 0
Out
put p
ower
(dB
m)
W a v e le ng th (n m )
DC
B A
L = 104 mm
理論曲線(実線)は実験値とよく一致
干渉波長 0をL と m で,設計可能.
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入力ファイバによるスペクトル特性変化
コア径の細いファイバ:回折が強く起こる入力端
細径コア
太コア径
強い回折
弱い回折
高次モード光 :大
高次モード光 :小
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出力ファイバによるスペクトル特性変化
出力端 コア径の細いファイバ:干渉光の選択性良細径コア
太コア径
強い選択性
弱い選択性
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3種類の入出力ファイバを比較
Step index single mode fiber (SISMF8.2) Graded index multimode fiber (GIMMF50) Step index multimode fiber (SIMMF105)
8.2 μm50 μm105 μm
コア径
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3種類の入力ファイバを比較入力ファイバを変化入力ファイバを変化
出力ファイバ = GIMMF50
-80
-70
-60
860 880 900 920 940
Out
put p
ower
(dBm
)
Wavelength (nm)
SISMF8.2
GIMMF50
SIMMF105
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3種類の出力ファイバを比較
-75
-70
-65
-60
860 880 900 920 940
Out
put p
ower
(dB
m)
Wavelength (nm)
SISMF8.2 GIMMF50
SIMMF105
出力ファイバを変化出力ファイバを変化
入力ファイバ = GIMMF50
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入出力ファイバとしてSISMF8.2 と GIMMF50を用いた場合の
透過スペクトルの比較
細いコア径の入出力ファイバを用いることによりシャープな干渉信号が得られる。
-90
-80
-70
800 1000 1200 1400 1600Out
put p
ower
(dB
m)
Wavelength (nm)
SISMF8.2
GIMMF50
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屈折率測定への応用
SISMF8.2 ‒ ( 53 mm MMF ) ‒ SISMF8.2
水とエタノールの混合溶液測定
-50
-40
-30
-20
1525 1530 1535 1540Out
put p
ower
(dBm
)
Wavelength (nm)
エタノール割合(屈折率)
0(1.333)
0.2(1.346)
0.4(1.356)
0.6(1.361)
0.8(1.363)
17.1 dB
入射光波長を1535 nmに固定:光強度変化からの見積⇒屈折率分解能:1.8×10-5
一般的な屈折率計より約10倍高感度
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エタノール濃度と屈折率の関係水とエタノールの混合溶液測定
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屈折率測定の応用先産業応用
飲料の糖度測定 調味液の濃度測定
お茶などの濃度測定 海水の塩分測定
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屈折率測定の応用先産業応用
油脂の屈折率測定
バイオエタノールの濃度測定
水溶性切削油の濃度測定
洗浄液の濃度測定
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屈折率測定の応用先バイオ、医療応用
血液や体液中のタンパク質(抗原)検出
がん細胞が作る特定のタンパク質
Y Y Y Yファイバ
抗体
アレルギー抗原
Y Y Y Yファイバ
抗体
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新技術の特徴・従来技術との比較
• 従来技術の問題点であった高精度化を、シンプルな構造で実現することに成功した。
• 従来は検出部が比較的大きいため、サンプリング測定するか,組込み装置にした場合は大きなものとなっていたが、検出部は直径0.1mm程度の光ファイバのため、超小型化することが可能となる。
• 本技術の構造は、極めてシンプルのため、製造コストが大きく削減されることが期待される。
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想定される用途
• 本技術の特徴を生かすためには、産業界における飲料、調味料、油脂やバイオエタノールなどの各種液体製造工程に適用することで製造の安定化のメリットが大きいと考えられる。
• 電気を検出部に使用せず,微弱光のみの遠隔操作で測定可能なため、上記以外に、危険物の検出への応用も期待される。
• また、達成された分解能に着目すると、バイオや医療といった分野に展開することも可能と思われる。
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実用化に向けた課題
• 現在、屈折率測定分解能について10-5程度が可能なところまで開発済み。しかし、測定媒体の温度は別に計測する必要がある。
• 今後、光ファイバによって測定媒体の温度を測定する技術を開発し、温度と屈折率の同時測定を行う技術開発を行っていく。
• バイオ産業や医療への応用に向けて、屈折率測定分解能を10-6程度まで向上できるよう技術検討中。
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企業への期待
• 未解決の温度測定と分解能向上については、考案、検討中の技術により克服できると考えている。そのための研究資金の支援を希望。
• 装置化の技術を持つ、企業との共同研究を希望。• また、バイオや医療分野におけるセンサ開発を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :屈折率の検出方法及び光ファイバセンサシステム
• 出願番号 :特願2011-126942• 出願人 :岡山大学• 発明者 :深野秀樹,鶴田健二,田上周路
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お問い合わせ先
岡山大学
知財マネージャー 今井 俊夫
TEL 086-251 - 8417
FAX 086-251 - 8961
e-mail [email protected]