ミクロ経済モデル (秋学期 2単位) 塩村 尊 - kansai u · 2015-03-19 ·...

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─ 150 ─ 関西大学総合情報学部 授業計画 2015 〈S〉 ミクロ経済モデル (秋学期 2単位) 塩村 尊 ■授業概要 この講義はミクロ経済学における消費者行動に焦 点を当て、伝統的な消費決定理論から不確実性下の 意思決定理論、および近年のゲーム論的アプローチ に基づく経済分析の解説を行う。 ■到達目標 伝統的な消費理論の基礎を理解し、かつ基本的な 不確実性下の意思決定問題と行列ゲームの解を自ら 探し出せるようになることを第1の目標としている。 第2に、いくつかのゲーム理論的観点に立つ経済分 析例を理解することが目標である。 ■授業計画 伝統的な消費理論は同質的な消費者が市場の取引 に関して完全な情報を持つという前提の下、自己の 効用を最大化すると想定していた。しかしながら現 実の市場取引はしばしば不確実性を伴う。一方、消 費者は消費計画を立てる際に他の経済主体、あるい は集団から影響を受ける。このような意思決定プロ セスの有力な分析装置は古典的最適化手法ではなく、 ゲーム理論や社会心理学、あるいは複雑系科学等、 従来の経済理論の枠組を超えたモデルである。この 講義では伝統的消費理論から近年における意思決定 理論の潮流に沿って、以下の内容を講義する。 第1章 ミクロ経済学とは 1.1 経済学とは 1.2 ミクロ経済学とマクロ経済学 1.3 経済の全体像 1.4 ミクロ経済学の課題と方法 第2章 伝統的消費理論 2.1 消費者行動 2.2 予算制約式 2.3 効用関数と無差別曲線 2.4 最適消費計画 2.5 需要関数 第3章 不確実性下の意思決定 3.1 不確実性下の合理性基準 3.2 ゲーム的状況 3.3 外部効果と不完備情報 3.4 進化ゲーム 第4章 社会的ジレンマ 4.1 無限ゲーム 4.2 社会的ジレンマ状況 4.3 貿易の利益 4.4 社会的ジレンマからの脱出策と限界 ■授業時間外学習 資料のポイントとチェック項目に注意してノート を整理することを心がけ、授業内容の理解に努める よう復習をすること。提出は義務づけないが、第3 章に関しては解答付きの練習問題も準備する。 ■成績評価の方法 定期試験(筆記試験)の成績で評価する。 定期試験100% ■成績評価の基準 定期試験の成績を基に、学部で定められた基準に より成績を評価する。 ■教科書 ■参考書 『ミクロ経済学入門 第2版』(岩波書店)西村和雄  1995 『進化的意思決定』(朝倉書店)石原英樹、金井雅之  2002 『入門ゲーム理論 戦略的思考の科学』 (日本評論社) 佐々木宏夫 2003 『つきあい方の科学』(ミネルヴァ書房)R. アクセ ルロッド 著、松田裕之 訳 1998 ■備考 高校2年生程度の数学知識を期待するが、経済学 に関する知識は不要である。 CEAS に各章で用いる図表等をアップロードする。 Microeconomic Models

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Page 1: ミクロ経済モデル (秋学期 2単位) 塩村 尊 - Kansai U · 2015-03-19 · 意思決定理論、および近年のゲーム論的アプローチ に基づく経済分析の解説を行う。

─ 150 ─

関西大学総合情報学部 授業計画 2015

〈S〉ミクロ経済モデル (秋学期 2単位) 塩村 尊

■授業概要 この講義はミクロ経済学における消費者行動に焦点を当て、伝統的な消費決定理論から不確実性下の意思決定理論、および近年のゲーム論的アプローチに基づく経済分析の解説を行う。

■到達目標 伝統的な消費理論の基礎を理解し、かつ基本的な不確実性下の意思決定問題と行列ゲームの解を自ら探し出せるようになることを第1の目標としている。第2に、いくつかのゲーム理論的観点に立つ経済分析例を理解することが目標である。

■授業計画 伝統的な消費理論は同質的な消費者が市場の取引に関して完全な情報を持つという前提の下、自己の効用を最大化すると想定していた。しかしながら現実の市場取引はしばしば不確実性を伴う。一方、消費者は消費計画を立てる際に他の経済主体、あるいは集団から影響を受ける。このような意思決定プロセスの有力な分析装置は古典的最適化手法ではなく、ゲーム理論や社会心理学、あるいは複雑系科学等、従来の経済理論の枠組を超えたモデルである。この講義では伝統的消費理論から近年における意思決定理論の潮流に沿って、以下の内容を講義する。

第1章 ミクロ経済学とは1.1 経済学とは1.2 ミクロ経済学とマクロ経済学1.3 経済の全体像1.4 ミクロ経済学の課題と方法

第2章 伝統的消費理論2.1 消費者行動2.2 予算制約式2.3 効用関数と無差別曲線2.4 最適消費計画2.5 需要関数

第3章 不確実性下の意思決定3.1 不確実性下の合理性基準3.2 ゲーム的状況3.3 外部効果と不完備情報3.4 進化ゲーム

第4章 社会的ジレンマ

4.1 無限ゲーム4.2 社会的ジレンマ状況4.3 貿易の利益4.4 社会的ジレンマからの脱出策と限界

■授業時間外学習 資料のポイントとチェック項目に注意してノートを整理することを心がけ、授業内容の理解に努めるよう復習をすること。提出は義務づけないが、第3章に関しては解答付きの練習問題も準備する。

■成績評価の方法 定期試験(筆記試験)の成績で評価する。 定期試験100%

■成績評価の基準 定期試験の成績を基に、学部で定められた基準により成績を評価する。

■教科書

■参考書『ミクロ経済学入門 第2版』(岩波書店)西村和雄 1995

『進化的意思決定』(朝倉書店)石原英樹、金井雅之 2002

『入門ゲーム理論 戦略的思考の科学』(日本評論社)佐々木宏夫 2003

『つきあい方の科学』(ミネルヴァ書房)R. アクセルロッド 著、松田裕之 訳 1998

■備考 高校2年生程度の数学知識を期待するが、経済学に関する知識は不要である。 CEAS に各章で用いる図表等をアップロードする。

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