シガノンcq1透明パッチ...

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日本標準商品分類番号 87799 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会の IF 記載要領 2008 を参考にして作成 禁煙補助薬 一般用医薬品 経皮吸収ニコチン製剤 シガノンCQ1透明パッチ シガノンCQ2透明パッチ 剤型 貼付剤 シガノンCQ透明パッチ 規格・含量 シガノンCQ1透明パッチ 1枚中 ニコチン 78mg 含有する シガノンCQ2透明パッチ 1枚中 ニコチン 36mg 含有する 製造販売承認年月日 発売年月日 製造販売承認年月日:2010 3 30 日:2010 12 製造販売元・ 発売元会社名 製造販売元:グラクソ・スミスクライン株式会社 元:大正製薬株式会社 問い合わせ窓口 シガノンCQお客様相談室 電話:03-5786-6654 受付時間:9:00 19:00 (土,日,祝日を除く) IF 2012 7 月(記載要領変更に伴う改訂)の添付文書(シガノンCQ透明パッチ)に基 づき作成した. 注:シガノンCQ透明パッチは一般用医薬品ですが,日本病院薬剤師会のIF記載要領2008を参 考に本資料を作成しました. この医薬品は、薬剤師から説明を受けて、「使用上の注意」をよく読んで、正しくお使いいた だきますよう、ご説明下さい。 第1類医薬品 2012 7 月作成

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Page 1: シガノンCQ1透明パッチ シガノンCQ2透明パッチciganon.jp/product/attention2/data/interview_form2.pdf2.製品の治療学的,製剤学的特性・・・・・・ 2

20○○年○月作成 日本標準商品分類番号 87799

医薬品インタビューフォーム

日本病院薬剤師会の IF 記載要領 2008 を参考にして作成

禁煙補助薬 一般用医薬品

経皮吸収ニコチン製剤

シガノンCQ1透明パッチ

シガノンCQ2透明パッチ

剤型 貼付剤

シガノンCQ透明パッチ

規格・含量 シガノンCQ1透明パッチ

1枚中 ニコチン 78mg 含有する

シガノンCQ2透明パッチ

1枚中 ニコチン 36mg 含有する

製造販売承認年月日

発売年月日

製造販売承認年月日:2010 年 3 月 30 日

発 売 年 月 日:2010 年 12 月

製造販売元・

発売元会社名

製造販売元:グラクソ・スミスクライン株式会社

発 売 元:大正製薬株式会社

問い合わせ窓口 シガノンCQお客様相談室 電話:03-5786-6654

受付時間:9:00 ~ 19:00 (土,日,祝日を除く)

本 IF は 2012 年 7 月(記載要領変更に伴う改訂)の添付文書(シガノンCQ透明パッチ)に基

づき作成した.

注:シガノンCQ透明パッチは一般用医薬品ですが,日本病院薬剤師会のIF記載要領2008を参

考に本資料を作成しました.

この医薬品は、薬剤師から説明を受けて、「使用上の注意」をよく読んで、正しくお使いいた

だきますよう、ご説明下さい。

第1類医薬品

2012 年 7 月作成

Page 2: シガノンCQ1透明パッチ シガノンCQ2透明パッチciganon.jp/product/attention2/data/interview_form2.pdf2.製品の治療学的,製剤学的特性・・・・・・ 2

目次

Ⅰ. 概要に関する項目 11.製剤中の有効成分の定量法 ・・・・・・・・ 6 1.開発の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 12.力価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 2.製品の治療学的,製剤学的特性・・・・・・ 2 13.混入する可能性のある夾雑物・・・・・・・・ 7

14.治療上注意が必要な容器に関する情報 7 Ⅱ. 名称に関する項目 15.刺激性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 1.販売名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 16.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 (1)和名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

■ (2)洋名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 Ⅴ. 治療に関する項目 ■ (3)名称の由来・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1.効能又は効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 2.一般名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 2.用法及び用量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 (1)和名(命名法)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3.臨床成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

■ (2)洋名(命名法)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (1)臨床データパッケージ・・・・・・・・・・・・ 9 (3)ステム(stem) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (2)臨床効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 3.構造式又は示性式・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (3)臨床薬理試験:忍容性試験・・・・・・・・ 10 4.分子式及び分子量・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (4)探索的試験:用量漸減試験・・・・・・・・・ 10 5.化学名(命名法)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 (5)検証的試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 6.慣用名,別名,略号,記号番号・・・・・・・・ 3 1)無作為化平行用量反応試験・・・・・・・ 11 7.CAS 登録番号・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 2)比較試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

3)安全性試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 Ⅲ. 有効成分に関する項目 4)患者・病態別試験・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 1.物理化学的性質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 5)その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 (1)外観・性状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 (6)治療的使用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 (2)溶解性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 1)使用成績調査・特定使用成績調査 (3)吸湿性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 (特別調査), 製造販売後臨床試験 (4)融点(分解点),沸点,凝固点・・・・・・・・ 4 (市販後臨床試験) ・・・・・・・・・・・・・・ 11 (5)酸塩基解離定数・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2)承認条件として実施予定の内容 (6)分配係数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 ■■■■ 又は実施した試験の概要・・・・・ 11 (7)その他の主な示性値・・・・・・・・・・・・・・ 4

■2.有効成分の各種条件下における安定性 4 Ⅵ. 薬効薬理に関する項目 ■3.有効成分の確認試験法・・・・・・・・・・・・・・ 4 1.薬理学的に関連ある化合物又は ■4.有効成分の定量法・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 ■■化合物群・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 ■2.薬理作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 Ⅳ. 製剤に関する項目 (1)作用部位・作用機序・・・・・・・・・・・・・・・ 12 1.剤形・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 (2)薬効を裏付ける試験成績・・・・・・・・・・ 12 (1)投与経路・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 (3)作用発現時間・持続時間・・・・・・・・・・ 12 (2)剤形の区別,規格及び性状・・・・・・・・・ 5 (3)製剤の物性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 Ⅶ. 薬物動態に関する項目 (4)識別コード・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 1.血中濃度の推移・測定法・・・・・・・・・・・・・ 12

2.製剤の組成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (1)治療上有効な血中濃度・・・・・・・・・・・・ 12 (1)有効成分(活性成分)の含量・・・・・・・・ 6 (2)最高血中濃度到達時間・・・・・・・・・・・・ 12 (2)添加物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (3)臨床試験で確認された血中濃度・・・・ 12 (3)添付溶解液の組成及び容量・・・・・・・・ 6 (4)中毒域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 (4)その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (5)食事・併用薬の影響・・・・・・・・・・・・・・ 15

3.用時溶解して使用する製剤の調整法・・ 6 (6)ポピュレーション解析により 4.懸濁液,乳剤の分散性に対する注意・・・ 6 判明した薬物体内動態変動要因・・・・ 15

■5.製剤の各種条件下における安定性・・・・ 6 2.薬物速度論的パラメータ・・・・・・・・・・・・ 15 ■6.溶解後の安定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (1)コンパートメントモデル・・・・・・・・・・ 15 ■7.他剤との配合変化(物理化学的変化)・・ 6 (2)吸収速度定数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 8.放出試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (3)バイオアベイラビリティ・・・・・・・・・・ 15 9.生物学的試験法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (4)消失速度定数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 10.製剤中の有効成分の確認試験法・・・・・・ 6 (5)クリアランス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

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(6)分布容積・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 14.適用上の注意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26 (7)血漿蛋白結合率・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 15.その他の注意・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

3.吸収・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 16.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 4.分布・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 (1)血液-脳関門通過性・・・・・・・・・・・・・・ 16 Ⅸ. 非臨床試験に関する項目 (2)血液-胎盤関門通過性・・・・・・・・・・・・ 16 1.薬理試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 (3)乳汁中への移行性・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 (1)薬効薬理試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 (4)髄液への移行性・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 (2)副次的薬理試験・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 (5)その他の組織への移行性・・・・・・・・・・ 17 (3)安全性薬理試験・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

5.代謝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 (4)その他の薬理試験・・・・・・・・・・・・・・・ 28 (1)代謝部位及び代謝経路・・・・・・・・・・・・ 17 2.毒性試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 (2)代謝に関する酵素(CYP450等) (1)単回投与毒性試験・・・・・・・・・・・・・・・ 28

の分子種・・・・・・・・・・ 18 (2)反復投与毒性試験・・・・・・・・・・・・・・・ 29 (3)初回通過効果の有無及びその割合・・ 18 (3)生殖発生毒性試験・・・・・・・・・・・・・・・ 30 (4)代謝物の活性の有無及び比率・・・・・・ 18 (4)その他の特殊毒性・・・・・・・・・・・・・・・ 31 (5)活性代謝物の速度論的パラメータ・・ 18

6.排泄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 Ⅹ. 管理的事項に関する項目 (1)排泄部位及び経路・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 1.規制区分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 (2)排泄率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 2.有効期間又は使用期限・・・・・・・・・・・・・ 31 (3)排泄速度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 3.貯法・保存条件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

7.透析等による除去率・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 4.薬剤取扱い上の注意点・・・・・・・・・・・・・・ 32 (1)薬局での取り扱いについて・・・・・・・ 32

Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に (2)薬剤交付時の注意(患者等に留意 関する項目 すべき必須事項等)・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

1.警告内容とその理由・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 5.承認条件等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 2.禁忌内容とその理由 6.包装・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 (してはいけないこと)・・・・・・・・・・・ 19 7.容器の材質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 3.効能・効果に関連する使用上の注意と 8.同一成分・同効薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

その理由・・・・・・・・・ 20 9.国際誕生年月日・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 4.用法・用量に関連する使用上の注意と 10.製造販売承認年月日及び承認番号・・・・ 32

その理由・・・・・・・・・ 20 11.薬価基準収載年月日・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 5.慎重投与内容とその理由 12.効能・効果追加,用法・用量変更

(相談すること)・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 追加等の年月日及びその内容・・・・・・・ 33 6.重要な基本的注意とその理由及び 13.再審査結果,再評価結果公表年月日

処置方法・・・・・・・・・・ 23 及びその内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 7.相互作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 14.再審査期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 (1)併用禁忌とその理由・・・・・・・・・・・・・・ 23 15.投薬期間制限医薬品に関する情報・・・・ 33 (2)併用注意とその理由・・・・・・・・・・・・・・ 23 16.各種コード・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

8.副作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 17.保険給付上の注意・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 (1)副作用の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 (2)重大な副作用と初期症状・・・・・・・・・・ 24 XI. 文献 (3)その他の副作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 1.引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 (4)項目別副作用発現頻度及び 2.その他の参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

■■■臨床検査値異常一覧・・・ 25 (5)基礎疾患,合併症,重症度及び手術 XⅡ. 参考資料 ■■の有無等背景別の副作用発現頻度・・ 25 1.主な外国での発売状況・・・・・・・・・・・・・・ 34 (6)薬物アレルギーに対する注意及び (1)外国における使用状況・・・・・・・・・・・・・ 34

■■■試験法・・・・・・・・・ 25 (2)主要国の用法・用量,効能・効果等・・・・ 35 9.高齢者への投与・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 2.海外における臨床支援情報・・・・・・・・・・ 35 10.妊婦,産婦,授乳婦等への投与・・・・・・・・ 25 11.小児等への投与・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 XⅢ. 備考 12.臨床検査結果に及ぼす影響・・・・・・・・・・ 25 その他の関連資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36 13.過量投与・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

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本資料中の各製剤名称とニコチン含量について:

シガノンCQ1 透明パッチ,シガノンCQ1,TP-0011・1.0 はパッチ 1 枚中にニコチン 78mg を含有している.

シガノンCQ2透明パッチ,シガノンCQ2,TP-0011・0.5 はパッチ 1 枚中にニコチン 36mg を含有している.

また,日本では販売していないが,シガノンCQ透明パッチ高用量製剤,シガノンCQ高用量製剤,TP-0011・1.5 はパッチ 1 枚中にニコチン 114mg を含有している.

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Ⅰ. 概要に関する項目 シガノンCQ1透明パッチ,シガノンCQ2透明パッチを総称して「シ

ガノンCQ透明パッチ」と表現する. シガノンCQ1透明パッチはシガノンCQ1,シガノンCQ2透明パッ

チはシガノンCQ2の支持体を透明タイプに変更した貼付剤である. 1.開発の経緯

シガノンCQ透明パッチは,ニコチンを主成分とする貼付剤(パッチ)であり,一定量のニコチンを皮膚から継続的に供給し,禁煙時に出現するイライラ・集中困難・落ち着かないなどのニコチン離脱症状を緩和することにより,禁煙を成功に導くための一般用禁煙補助剤(ニコチン置換療法剤)である.ニコチン置換療法は,ニコチン離脱症状に対してニコチンを薬剤の形で供給し,その症状を緩和しながら,まず心理的依存から抜け出させ,次にニコチン供給量を徐々に減らして,ニコチン依存から離脱させていくことを主眼として確立された治療方法である.

シガノンCQ

シガノンCQ透明パッチの以前に,肌色の貼付剤であるシガノンCQ㊟

が 1980 年代に開発された.シガノンCQ㊟は 1991 年にアメリカで医療用医薬品として,1992 年にイギリス,ニュージーランドで一般用医薬品として販売が開始された.

2008 年 1 月現在では,アメリカ,イギリス,オーストラリア,ドイツ,カナダをはじめ,世界 19 カ国で一般用医薬品として承認・発売されている.(㊟:シガノンCQは日本における商品名で,アメリカでは NicoDerm

CQ,イギリスでは NiQuitin CQ の商品名で販売されている)

シガノンCQ 透明パッチ

パッチを貼っていることを他人に知られたくないとの消費者ニーズに応じるため,支持体を透明にした透明タイプのパッチ剤が開発され,2000

年にアメリカ,イギリスで一般用医薬品として販売が開始された.

2008 年 1 月現在では,アメリカ,イギリス,オーストラリア,フランスをはじめ,世界 15 カ国で一般用医薬品として承認・発売されている.

2.製品の治療学的, シガノンCQ透明パッチは,用法・用量に従い 2 種の含量違い製剤を有する.シガノンCQ透明パッチは真剣にたばこをやめたいと望む方の医薬品である.禁煙時のイライラ,集中困難,落ち着かないなどの症状を緩和し,禁煙をサポートする禁煙補助剤である.

・ 禁煙時のニコチン離脱症状を緩和し,禁煙を成功に導くことを補助する.

・ 貼付するだけでニコチンが供給されるため,日常生活の様々な場面において使用可能である.

・ 皮膚に貼付するだけの簡便な使用方法であり,一般の消費者にとっても理解しやすい.

・ 貼付可能部位が広く,身体的条件による使用制限が少ない.

・ 有害事象発現の初期段階で,使用者自身の判断でシガノンCQ透明パッチを除去することによりニコチン供給を中止でき,重篤な副作用に発展する恐れが小さい.

・ 使用を終了すべき時点が明確であり,シガノンCQ透明パッチの依存的使用に結びつく可能性が低い.

禁煙を成功させるためには,シガノンCQ透明パッチだけでなく,禁煙しようという強い意志が必要である.

製剤学的特性

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Ⅱ. 名称に関する項目 1.販売名 (1)和名 シガノンCQ1透明パッチ,シガノンCQ2透明パッチ

(2)洋名 該当しない

(3)名称の由来 『Ciga (Cigarette「紙巻たばこ」に由来する) 』と『non (無い) 』を合成して,喫煙しないという意味を表した.CQは『Committed (献身的な,専心して)

Quit (やめる)』を省略したものであり,1及び2の数字はステップ1及びステップ2を表している.また,支持体が透明であることより,『透明パッチ』と称した.

2.一般名 (1)和名(命名法) ニコチン(慣用名)

(2)洋名(命名法) Nicotine(慣用名)

(3)ステム 該当しない

3.構造式又は示性式

4.分子式及び分子量 C10H14N2:162.23

5.化学名(命名法) (S)-3-(1-methyl-2-pyrrolidinyl)pyridine (IUPAC)

6.慣用名,別名,略号, 治験番号(シガノンCQ):SBNTS-1,TP-0011 記号番号

7.CAS 登録番号

54-11-5

N

NCH

3

H

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Ⅲ. 有効成分に関する項目 1.物理化学的性質 (1)外観・性状 無色~淡黄色の液体である.

(2)溶解性 水,アセトニトリル,メタノール,エタノール(95)又は酢酸(100)に極めて溶けやすい.

(3)吸湿性 吸湿性である.

(4)融点(分解点), 沸点:247℃ 沸点,凝固点

(5)酸塩基解離定数 pKa1=7.84 pKa2=3.04 (15℃)

(6)分配係数 1-オクタノール/水 1.17

(7)その他の主な 旋光度(20 度,D 線):-132~143°(1g,エタノール(95),50mL,100mm) 示性値

2.有効成分の各種条 該当資料なし 件下における安定性

3.有効成分の 赤外吸収スペクトル測定法(液膜法) 確認試験法

4.有効成分の定量法 滴定法:電位差滴定法(0.1mol/L 過塩素酸で滴定)

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Ⅳ. 製剤に関する項目 1.剤形 (1)投与経路 経皮

(2)剤型の区別, 規格及び性状

成分・含量 1 枚中にニコチン 78mg を含有する.

シガノンCQ1 外観・性状

無色またはわずかに黄色を帯び,透明である.

透明パッチ 識別コード NCQ14

形状

短径 3.4 cm,長径 4.4 cm の四角形の平板であり,NCQ14 の印字がある.

成分・含量 1 枚中にニコチン 36mg を含有する.

シガノンC 2 外観・性状

無色またはわずかに黄色 帯び,透明である.

透明パッチ 識別コード NCQ7

形状

短径 2.5 cm,長径 2.8 cm の四角形の平板であり,NCQ7 の印字がある.

シガノンCQ透明パッチの構造 (以下はシガノン CQ1透明パッチ)

製剤上の解説:

シガノンCQ透明パッチは,支持体,薬物貯蔵層,放出制御膜,粘着層,ライナーからなり,ニコチンは薬物貯蔵層から放出制御膜を介して粘着層に移行し,放出される.

(3)製剤の物性 粘着力試験:引っ張り試験器を用いた試験

ライナー

支持体

薬物貯蔵層(有効成分を含む)

放出制御膜

粘着層

【断面図】

【平面図】

NCQ14

ライナー 製剤本体

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(4)識別コード シガノンCQ1透明パッチ:NCQ14

シガノンCQ2透明パッチ:NCQ7

2.製剤の組成 (1)有効成分 (活性成分)の含量

シガノンCQ1透明パッチ及びシガノンCQ2透明パッチはそれぞれ,1 枚中にニコチン 78mg 及び 36mg を含有する.

(2)添加物 シガノンCQ1透明パッチ及びシガノンCQ2透明パッチはそれぞれ添加物として,エチレン・酢酸ビニル共重合体,ポリイソブチレン及びポリエチレンを含有する.

(3)添付溶解液の 該当しない 組成及び容量

(4)その他 特になし

3.用時溶解して使用 該当しない する製剤の調整法

4.懸濁液,乳剤の 該当しない 分散性に対する注意

5.製剤の各種条件下における安定性

シガノンCQ1透明パッチ及びシガノンCQ2透明パッチの安定性試験結果は下表のとおり.両製剤ともに,ほとんど変化を認めず安定であった.

試験区分

保存条件 保存状態

製剤名 試験結果

加速試験

40℃・ 75%RH 6 箇月

製品形態

シガノンCQ1 透明パッチ

ほとんど変化を認めず安定であった.

シガノンCQ2 透明パッチ

ほとんど変化を認めず安定であった.

6.溶解後の安定 該当しない

7.他剤との配合変化 該当しない (物理化学的変化)

8.放出試験 米国薬局方(USP29),〈724〉Drug Release, Apparatus 7 の Transdermal system

holder-cylinder による放出試験

9.生物学的試験法 該当しない

10.製剤中の有効成分 薄層クロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー の確認試験法

11.製剤中の有効成分 液体クロマトグラフィー

の定量法

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12.力価 該当しない

13.混入する可能性の ミオスミン,コチニン,trans-ニコチン-N’-オキシド,cis-ニコチン-N’-オキ ある夾雑物 シド

14.治療上注意が必要 該当しない な容器に関する情報

15.刺激性 <シガノンCQでの成績>

健康成人男子 12 例にシガノンCQを 24 時間単回貼付し,日本人における皮膚刺激性(皮膚刺激指数)を検討した.皮膚刺激性は用量の増加に伴い増加が認められたが,いずれの被験者・用量においてもパッチ除去後 24

時間の皮膚刺激性が除去後 1 時間を上回ることはなかった 1).

皮膚刺激性 1)

被験者 シガノンCQ1 シガノンCQ2 番号 除去後 1 時間 除去後 24 時間 除去後 1 時間 除去後 24 時間 1 + - ± - 2 ± - - - 3 ± - ± - 4 + - ± - 5 ± - ± - 6 + - ± - 7 ± - - - 8 ± - + ± 9 ± - ± - 10 ± - ± - 1 ± ± ± ± 12 + - + - 皮膚刺激

指数* 66.7 50.0

* 皮膚刺激指数:シガノンCQ除去 1 時間後の判定 皮膚刺激性スコアの総和を被験者数で割った百分率

判定基準(スコア) +:紅斑(1.0), ±:軽い反応(0.5), -:反応なし(0) また,シガノンCQ1より広い面積のパッチ(TP-0011・1.5,単位面積あたりのニコチン放出量はシガノンCQ1,シガノンCQ2と同じ)を用いて皮膚光刺激性を検討したところ,光刺激性は認められなかった 1).

16.その他 特になし

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Ⅴ. 治療に関する項目 1.効能又は効果

禁煙時のイライラ・集中困難・落ち着かないなどの症状の緩和

シガノンCQ透明パッチの効能・効果は,既発売のシガノンCQと同一としたので,以下にシガノンCQの効能・効果の設定根拠を記載する.

シガノンCQの効能・効果の設定根拠

禁煙を困難にしている要因は,イライラ,欲求不満,怒り等のニコチン離脱症状である.

シガノンCQは,ニコチンを主成分とする貼付剤である.海外で行われた無作為割付二重盲検比較試験におけるシガノンCQ1の 6 週間の貼付の結果,シガノンCQ1の禁煙率はプラセボの禁煙率に比し有意に高い結果が得られた.シガノンCQは,禁煙時のニコチン離脱症状の緩和に対して有効であることが示され,海外では「禁煙に伴うニコチン渇望を含む離脱症状の緩和」を適応としている.

ニコチン置換療法

ニコチン置換療法は,禁煙時に出現するニコチンの離脱症状(イライラ,集中困難,落ち着かないなど)に対してニコチンを薬剤の形で体内に供給し,その症状を緩和しながら,まず心理的依存から抜け出させる.

次にニコチン供給量を徐々に減らして,ニコチン依存から離脱させていくことを主眼として確立された治療方法である.

シガノンCQ透明パッチを用いたニコチン置換療法は,1 日 1 回 1 枚を貼ることにより起きている間は禁煙対策ができる.

2.用法及び用量

胸、背中、腕のいずれかを選び、次の期間 1 日 1 回 1 枚を起床時に貼付

し、就寝前にはがす。なお、貼付部位は毎日変える。

シガノンCQ1透明パッチ シガノンCQ2透明パッチ

最初の6週間 次の2週間

ただし、シガノンCQ1透明パッチを6週間貼付後、禁煙時のイライ

ラなどの症状がなくなり、禁煙継続に自信がある場合は、シガノンCQ

2透明パッチを使用しなくてもよい。

シガノンCQ透明パッチの用法・用量は,既発売のシガノンCQと同一と

したので,以下にシガノンCQの用法・用量の設定根拠を記載する. シガノンCQの用法・用量の設定根拠

海外においては,シガノンCQ1よりもニコチン含有量が多い製剤を初期用量としているが,日本人における第Ⅰ相臨床試験結果を海外の試験結果と比較したところ,血漿中ニコチン濃度は外国人に比し高いことがわかった.日本人の平均体重が外国人と比較して軽いこと,日本人にはニコチンを代謝(解毒)する酵素の能力が低い人が外国人に比べ,多いことによると考えられた.

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日本人ではシガノンCQ1を初期用量とすることで,十分禁煙補助に有効であり,さらに安全性も考慮し,シガノンCQ1を初期用量とした.

また,就寝中には喫煙していないことを考慮し,「起床時に貼付し、就寝前にはがす」こととし,就寝中の有害事象の発生リスクを抑えた.

さらに,シガノンCQ1を 6 週間貼付後,禁煙時のイライラなどのニコチン離脱症状がなくなり,再喫煙のおそれがなく,禁煙継続に自信がある場合は,必ずしも漸減方法が必要でないため,その後の禁煙補助剤(シガノンCQ2)を使用しなくてもよいこととした.

3.臨床成績 (1)臨床データパッ

ケージ <シガノンCQでのデータパッケージ>

◎:評価資料 ○:参考資料

試験 区分

対象 有効性

安全性

薬物動態

目的・概要

日本

第 I 相臨床試験

健康成人男性喫煙者 (n=12)

◎ ◎ 安全性,忍容性,薬物動態

一般臨 試

験 成人喫煙者

(n=260) ○ ◎ 有効性,安全性

局所 安全性

健康喫煙者(n=230)

◎ 局所安全性

局所 安全性

健康喫煙者(n=10)

◎ 局所安全性

局所 安全性

健康喫煙者(n=27)

◎ 局所安全性

薬 物 動 態試験

健康男性喫煙者(n=20)

◎ ◎ 薬物動態

薬 物 動 態試験

健康男性喫煙者(n=27)

◎ ◎ 薬物動態

海外

薬 物 動 態試験

健康男性喫煙者(n=20)

◎ ◎ 薬物動態,喫煙との比較,バイオアバイラビリティ

薬 物 動 態試験

健康男性喫煙者 n=14)

◎ ◎ 薬物動態,喫煙との比較

薬 物 動 態試験

健康男性喫煙者(n=18)

◎ ◎ 薬物動態, ニコチンガムとの比較

薬 物 動 態試験

健康男性喫煙者(n=12)

◎ ◎ 薬物動態, 貼付部位の比較

主 要 臨 床試験

健康成人喫煙者(n=513)

◎ ◎ 有効性,安全性

主 要 臨 床試験

健康成人喫煙者(n=422)

◎ ◎ 有効性,安全性

主 要 臨 床試験

健康成人喫煙者(n=415)

◎ ◎ 有効性,安全性

主 要 臨 床試験

冠動脈疾患喫煙者(n=156)

○ ◎ 冠動脈疾患喫煙者における安全性・有効性

主 要 臨 床試験

冠動脈疾患喫煙者(n=55)

○ ◎ 冠動脈疾患喫煙者における安全性・有効性

OTC 使用実態試験

喫 煙 者(n=2367)

○ ◎ 一般用医薬品使用状況下の使用実態調査

OTC 使用実態試験

喫煙者(n=567) ○ ◎ 一般用医薬品使用状況下の有効性・安全性

医 療 用 の使 用 実 態調査

喫煙者(n=400) ○ 医療用医薬品としての市販後の使用実態調査

医療用 使用 実 態 調査

喫煙者(n=269) ○ 医療用医薬品としての市販後の使用実態調査

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(2)臨床効果

<シガノンCQでの成績>

海外にて実施された二重盲検比較試験 2 試験 3),4)にて,健康成人喫煙者を対象にシガノンCQ1,シガノンCQ2又はプラセボを 1 日 1 回 24 時間6 週間貼付した.禁煙率は下表の通りであり,シガノンCQ1群及びシガノンCQ2群はプラセボに比べ,有意に優れていた(試験 1:シガノンCQ1: p=0.001,シガノンCQ2:p=0.018.試験 2:シガノンCQ1:p<0.001).

ニコチン禁断症状に関しては,いずれの用量においても,プラセボに比較して有意に低下させた(p<0.01).

二重盲検試験における禁煙率 3),4)

試験 13) 試験 24)

薬剤名 評価対象例数 禁煙例数 (%) 評価対象例数 禁煙例数 (%)

シガノンCQ1 121 65 (54) 33 58 (44)

シガノンCQ2 121 58 (48) - -

プラセボ 124 41 (33) 130 28 (22)

(3)臨床薬理試験: 忍容性試験

<シガノンCQでの成績>

〈試験方法〉

日本人健康喫煙成人男子 12 例(22.9±1.93 歳)を対象に,第Ⅰ期に TP-0011・0.5(シガノンCQ2)を 1 枚 24 時間単回貼付し,6 日間の休薬後,安全性に問題がなければ,第Ⅱ期に TP-0011・1.0(シガノンCQ1)を 1 枚 24

時間単回貼付し,第Ⅲ期に TP-0011・1.5(ニコチンを 114mg 含有する製剤)及び対照薬(ニコチンを含有せず TP-0011・1.5 と外観上識別不能な製剤)を各 1 枚 24 時間単回貼付した 1)

.

〈試験結果〉

自覚症状として軽度かつ一過性の貼付部のそう痒感が TP-0011・0.5(シガノンCQ2)に 4例(33.3%),TP-0011・1.0(シガノンCQ1)に 9例(75.0%),TP-0011・1.5(ニコチンを 114mg 含有する製剤)に 12 例(100%)と用量依存的に認められた.その他,体重,血圧,脈拍数,体温,心電図,臨床検査値において臨床的に問題となる異常変動は認められなかった.

(4)探索的試験: 用量漸減試験

<シガノンCQでの成績>

前述(2)の健康成人喫煙者を対象とした臨床試験 3),4)における禁煙成功者を対象にシガノンCQの用量漸減法の臨床的有用性を検討した 5)

第Ⅰ期:先行試験 3),4)において,シガノンCQ1を貼付していた群(シガノンCQ1群)はシガノンCQ2を 4 週間貼付後プラセボを 2 週間貼付,シガノンCQ2を貼付していた群(シガノンCQ2群)又はプラセボを貼付していた群(プラセボ群)はプラセボを 6 週間貼付した.なお,各薬剤とも 1 日 1 回 24 時間貼付した.

第Ⅱ期:第Ⅰ期終了後,3 カ月間薬剤を貼付せずに禁煙状況を追跡調査した.

第Ⅰ期,第Ⅱ期の禁煙率は下表のとおりであり,シガノンCQ1とプラセボ間に差は認められなかった(第Ⅰ期:p=0.512,第Ⅱ期:p=0.184).

なお,用量漸減試験においてはシガノンCQ2とプラセボ間の比較は行っていない.

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-11-

評価時期別禁煙率 5)

第Ⅰ期 第Ⅱ期

群 評価対象例数 禁煙例数 (%) 評価対象例数 禁煙例数 (%)

シガノンCQ1 114 69 (61) 114 46 (40)

シガノンCQ2 55 37 (67) 55 28 (51)

プラセボ 61 40 (66) 61 31 (51)

(5)検証的試験 1)無作為化平行 該当資料なし

用量反応試験

2)比較試験 該当資料なし

3)安全性試験 該当資料なし

4)患者・病態別試験 該当資料なし

5)その他 <シガノンCQでの成績>

・日本人における安全性(参考)6) 日本人成人喫煙者を対照に,一般用医薬品として市販された状況を想定した非盲検非対照試験を実施した.本試験においては,最初に TP-0011・1.5

(ニコチンを 114mg 含有する製剤)を 6 週間貼付し,その後 2 週間ごとに TP-0011・1.0(シガノンCQ1),TP-0011・0.5(シガノンCQ2)と漸減し,計 10 週間貼付する用法・用量を用いたが,貼付する製剤が切り替わった際の副作用の状況について検討した.副作用発現率※は,TP-0011・1.0(シガノンCQ1)で 33.2%,TP-0011・0.5(シガノンCQ2)で 28.1%

であり,多く見られた症状は貼付部位の反応,異夢,睡眠障害であった.TP-0011・1.5(ニコチンを 114mg 含有する製剤)貼付時に発現した貼付部位の反応については TP-0011・0.5(シガノンCQ2)貼付時まで継続している症例が認められたが,その他の副作用に関しては,多くの症例で用量を切り替えることにより症状が回復した.

※用量切り替え前に発現していた症状が継続していた症例及び新たに発現した症例を集計

(6)治療的使用

1)使用成績調査・ X-5. 承認条件等の項参照 特定使用成績調査(特別調査), 製造販売後臨床

試験(市販後臨床試験)

2)承認条件として X-5. 承認条件等の項参照 実施予定の内容

■■■■又は実施した 試験の概要

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Ⅵ. 薬効薬理に関する項目 1.薬理学的に関連 ニコチン製剤 ■■ある化合物又は

化合物群

2.薬理作用 (1)作用部位・ 中枢神経系,体性神経系,自律神経系におけるニコチン受容体への作用

作用機序

(2)薬効を裏付ける ニコチンの効力を裏付ける薬理作用として,ニコチン離脱症状の改善作用を文献により考察した.

ニコチン離脱症状の改善作用

ニコチンをラットの皮下に持続的に注入した後に休薬すると,社会的相互行動時間の短縮及び咀嚼行動,眼瞼下垂,振戦等の離脱症状が認められ,これらの行動上の変化はニコチンを皮下投与することにより抑制された.また,ニコチン休薬時に認められる聴覚性驚愕反応の増強はニコチンを腹腔内投与することにより抑制された.これらのことから,ニコチン置換療法剤はニコチン離脱症状の改善に有効である可能性が示唆された.

試験項目 動物種 投与経路

用量(mg/kg)

試験成績 資料番号

ニコチン離脱症状の改善作用

社会相互行動

ラット 皮下 0.1 ニコチン休薬時に認められる社会的相互行動時間の短縮を抑制した.

7)

離脱症状 ラット 皮下 0.14

ニコチン休薬時に認められる歯闘,咀嚼,喘ぎ,苦悶,眼瞼下垂,振戦等の離脱症状を抑制した.

8)

聴覚性驚愕反応

ラット 腹腔内

0.4 ニコチン休薬時に認められる聴覚性驚愕反応の増大を抑制した.

9)

試験成績

(3)作用発現時間・ 該当資料なし 持続時間

Ⅶ. 薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・

測定法 (1)治療上有効な 該当資料なし

血中濃度

(2)最高血中濃度 5~8 時間 1) 到達時間

(3)臨床試験で確認 <シガノンCQでの成績>

(1)単回貼付 1)

喫煙習慣のある健康成人男性(日本人)12 例にシガノンCQ1(ニコチン 78 mg 含有),シガノンCQ2(ニコチン 36 mg 含有)を 24 時間単

された血中濃度

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回貼付時の血漿中ニコチン濃度は貼付 5~8 時間後に最高濃度(Cmax)に達した.各製剤貼付時の Cmax,AUC0-inf は用量依存的であった.シガノンCQ1貼付時の血漿中ニコチン濃度は日本人喫煙者の自由喫煙時の平均血漿中ニコチン濃度(27.62±13.09ng/mL)10)の約 2/3 以下の濃度で推移した.本剤除去後の血漿中ニコチン濃度の消失半減期(T1/2)は 5.8 時間であった.

日本人にシガノンCQ単回貼付時の血漿中ニコチン濃度推移

日本人にシガノンCQ1及びシガノンCQ2単回 24時間貼付時の 血漿中ニコチン及びコチニン濃度から求めた薬物動態パラメータ

AUC0-inf Cmax Tmax T1/2

(ng・h/mL) (ng/mL) (h) (h)

ニコチン

シガノンCQ1 453.2±292.4 19.06 ±9.95 7.7 ± 4.9 5.8 ± 2.8

シガノンCQ 204.2±94. 9.38 ±3.34 5.7 ± 6.5 5.8 ± 2.8

コチニン

シガノンCQ1 3552.5±1533.5 83.43±41.77 26.4±1.4 33.7±24.7

シガノンCQ2 1238.5±867.5 37.25±24.05 21.3±10.9 33.7±24.7

平均値±標準偏差(n=12)

(2)反復貼付(日本人での反復貼付時の実測データなし)

日本人(単回貼付 12 例)及び外国人(単回,反復貼付 20 例)の薬物動態試験成績を用いた母集団薬物動態解析結果に基づき反復貼付時の血漿中ニコチン濃度を予測した 11).その結果,日本人にシガノンCQ1(ニコチン 78mg 含有)を反復貼付時の Cmaxはニコチンからコチニンへの代謝能が正常な人(EM:Extensive Metabolizer)及び代謝能が低い人(PM:Poor Metabolizer)を含む集団で 26.37 ng/mL と推定され,日本人の自由喫煙時の最高血漿中ニコチン濃度の平均値 30.50±15.76 ng/mL

10)を下回っていた.

0

5

10

15

20

25

30

35

40

0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51

時間(h) 平均値±標準偏差

血漿

中ニ

コチ

ン濃

度 

(ng/

mL)

シガノンCQ1

シガノンCQ2

貼付

除去

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日本人にシガノンCQ1を反復貼付した時の血漿中ニコチン濃度の

シミュレーション(EM+PM) 実線は 95%信頼区間,太線は中央値,○は EM,●は PM の濃度実測値を示す.

日本人にシガノンCQを反復貼付時の血漿中ニコチン濃度から求めた

薬物動態パラメータ(予測値)

《シガノンCQとシガノンCQ透明パッチの生物学的同等性》

シガノンCQ高用量製剤(ニコチンを 114mg 含有する製剤)貼付時のニコチン放出量及び速度は in vitro と in vivo において良好に相関(in vitro –

in vivo 相関, r2=0.9889)することが確認されている.そこで,シガノン

CQ透明パッチ高用量製剤(支持体が透明のニコチンを 114mg 含有する製剤)とシガノンCQにおいて得られたニコチン放出速度を用いて血漿中ニコチン濃度-時間曲線をシミュレートし,薬物動態パラメータ Cmax

及び AUC を算出した.その結果,シガノンCQに対するシガノンCQ透明パッチの Cmax及び AUC の比は 90~95%であったことより,両製剤は生物学的に同等であると推察された 12).

シミュレートされた血漿中ニコチン濃度より算出された Cmaxと AUC の値

シガノンCQ 透明パッチ

シガノ CQ シガノンCQ透明パッチ/ シガノンCQ(%)

初回貼付 Cmax (ng/mL)

14.1

14.9

95

定常状態 Cmax (ng/mL)

16.4

17.7

93

AUC0-24(ng・h/mL) 216 241 90

シガノンCQ透明パッチ高用量製剤,シガノンCQ高用量製剤ともにニコチンを 114mg 含有する製剤の値

<参考:外国人データ>

シガノンCQ1を反復貼付した場合の血漿中ニコチン濃度は,2 日目以

0

10

20

30

40

50

60

0 24 48 72 96 120 144 168 192 216

時間(h)

血漿

中ニ

コチ

ン濃

度(n

g/m

L)

用量 Cmax Cmin AUC0-24 Cavg Tmax

(ng/mL) (ng/mL) (ng・h/mL) (ng/mL) (hr)

シガノンCQ1 20.67 6.05 327.8 13.66 4.5

日本 単回 シガノンCQ2 10.34 3.02 163.9 6.83 4.5

シガノンCQ1 26.37 8.51 409.3 17.05 4.0

反復 シガノンCQ2 13.19 4.26 204.6 8.53 4.0

海外試験20例および日本試験12例(EM+PM)を対象とした解析 (平均値)

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降上昇せず,2 日目には定常状態に達していると考えられた 13). <参考:外国人データ>

腎機能低下者における薬物動態 14)

腎機能低下者及び健康被験者にニコチンを 0.028mg/kg の用量で静脈内投与時の血漿中ニコチン濃度の消失速度は健康被験者に比べ軽度の腎機能低下者では同程度であったが,中等度(GFR,18~36 mL/min/1.73m

2)及び重度(GFR,1~10 mL/min/1.73m

2)では遅延した.また,GFR とニコチンの CL,CLR及び CLNR,AUC0-inf,T1/2及び MRT との間に相関関係が認められ,これらの結果からニコチンの体内からの消失は腎機能低下に伴い遅延することが示唆された.

注) GFR: 糸球体ろ過率

CL: クリアランス CLR: 腎クリアランス CLNR: 腎外クリアランス MRT: 平均滞留時間

腎機能低下者(外国人)にニコチンを 0.028 mg/kgの用量で静脈内投与時の 血漿中ニコチン濃度から求めた薬物動態パラメータ

パラメータ 健康被験者

(n=9)

腎機能低下者

軽度 (n=4) 中等度 (n=5) 重度 (n=6)

CL (mL/min) 1367 374 1476 364 951 2 6 665 305

CLR (mL/m n

) 64 40 30 32 31 9 4 2

CLNR (mL/min) 1303 349 1446 362 920 211 661 305

AUC0-inf (ng・h/mL) 23.5 6.8 24.5 4.9 32.1 7.7 64.3 43.9

T1/2 (h) 2.58 1.00 2.56 0.61 5.34 2.12 7.01 1.46

MRT (h) 3.33 1.2 3.32 0.82 6.15 1. 0 8.52 3.23

平均値±標準偏差 (4)中毒域 該当資料なし

(5)食事・併用薬の 影響

1)食事の影響 該当資料なし 2)併用薬の影響 「Ⅷ-5.(2)他の薬を使用している人」の項参照

(6)ポピュレーション解析により判明した薬物体内動態変動要因

該当資料なし

2.薬物速度論的 パラメータ

(1)コンパート

メントモデル 該当資料なし

(2)吸収速度定数 該当資料なし

(3)バイオアベイラ 該当資料なし ビリティ

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(4)消失速度定数 <シガノンCQでの成績>

喫煙習慣のある健康成人男性(日本人)12 例にシガノンCQ1(ニコチン78mg 含有),シガノンCQ2(ニコチン 36mg 含有)を 24 時間単回貼付後,パッチを除去した時の消失速度定数はニコチンで約 0.14(1/h),コチニンで約 0.03(1/h)であった 1).

(5)クリアランス <シガノンCQでの成績>

喫煙習慣のある健康成人男性(日本人)12 例にシガノンCQ1及びシガノンCQ2を貼付した時のニコチンの見かけのクリアランスは,各々81.76

L/h 及び 68.10L/h であった 1).

(6)分布容積 該当資料なし

(7)血漿蛋白結合率 <in vitro>

<参考:外国人データ>

4.9 % (ヒト血漿)15)

3.吸収 吸収部位:皮膚

吸収率:該当資料なし

<参考:外国人データ>

シガノンCQ高用量製剤(ニコチンを 114mg 含有する製剤)において,24 時間貼付時のニコチン吸収量は製剤からの放出量の約 68%であった 16).

4.分布 (1)血液- 該当資料なし

脳関門通過性 <ラットのデータ>17)

ラットに 14C-ニコチンを 21 日間持続皮下投与(0.8mg/kg/日)した時の脳/血中濃度比は下表のとおりであった.

14C-ニコチン持続投与時の脳/血中濃度比 ニコチン コチニン ノルニコチン

脳 5.2 1.1 2.1

血液 1 1 1

平均値(n=3 ~ 5)

(2)血液- 胎盤関門通過性

該当資料なし <参考:外国人データ> 喫煙習慣を有する母親の羊水,胎盤,臍帯静脈血清でニコチン及びコチ

ニンが検出された 18).

母親の喫煙による羊水,胎盤,出産時の臍帯静脈血清中の ニコチン及びコチニン濃度

試 料 症

例 期間

濃度範囲(ng/mL) 母体血清中濃度に対する比

ニコチン コチニン ニコチン コチニン

羊 水 29 妊娠 16~24 週 1.5~23 5~188 1.5 0.27 * 0.72 0.15 *

胎 盤 3 妊娠 10 週 2~10 40~100 1.5 0.6

胎 盤 17 出産時 3.3~28 10~131 2.6 1.3 * 0.74 0.21 *

臍帯静脈血清 27 出産時 0.5~25 15~233 1.12 0.30 * 1.05 0.27 *

* 平均 ± 標準偏差

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(3)乳汁中への移行性 該当資料なし <参考:外国人データ>

喫煙習慣を有する母親の授乳児の血清及び尿中でニコチン及びコチニンが検出された 18).授乳中の喫煙者 23 例(5~40 本/日)の最終喫煙後 0.25

~4 時間における乳汁中ニコチン濃度は血清中濃度の約 3 倍,乳汁中コチニン濃度は血清中濃度の約 0.8 倍であった.乳汁中ニコチンの消失半減期は 97 分であり,血清中ニコチンの半減期 81 分よりわずかに長かった 19).

母親の喫煙による母乳,授乳児血清・尿中のニコチン及びコチニン濃度

試 料 症

例 期間

濃度範囲(ng/mL) 母体血清中濃度

に対する比

ニコチン コチニン ニコチン コチニン

母 乳 23 出産後 1 週~

3 ヵ月 2~62 12~222 2.9 1.1 * 0.8 0.2 *

授乳児血清 8 生後 3~6 日 <0.2~1.6 5~30 0.06 0.15

授乳児尿 12 生後 3~6 日 0.5~6.0 10~8 0.002 ** 0.03 **

* 平均 ± 標準偏差 ** 母体尿に対する比

(4)髄液への移行性 該当資料なし

(5)その他の組織へ 該当資料なし の移行性 <参考:アカゲザルのデータ>

アカゲザルに 3H-ニコチン 100 µg/kg を静脈内投与した時,放射能は速や

か,且つ広範に組織に分布した.投与 5 分後のニコチン濃度は副腎,腎臓,中枢神経系で高かった.投与 30 分後には腎臓,副腎,膵臓,脾臓,唾液線で高い濃度が確認された.20)

サルに 3H-ニコチン 100 g/kgを静脈内投与後の組織内ニコチン濃度

動 アカゲサル 投与後時間 5 分後 30 分後 例数 (n) 4~7 3 大脳灰白質 310 28 (3) 151 18 (43) 大脳白質 101 13 (6) 79 11 (48) 脊髄 114 11 (4) 77 6 (46) 延髄 143 14 (2) 80 10 (63) 橋 141 14 (9) 78 7 (56) 小脳 221 23 (6) 113 11 (46) 視床 218 21 (1 97 9 (55) 視床下部 182 15 (3) 89 9 (50) 下垂体 342 69 (7) 119 14 (36) 副腎皮質 556 140 (1) 209 20 (46) 副腎髄質 1163 137 (10) 429 21 (28) 唾液腺 156 20 (12) 148 28 (45) 肺 245 48 (12) 133 3 (60) 胃粘膜層 159 17 (10 89 23 (45 胃筋層 60 6 (19) 42 5 (113) 腸粘膜層 199 13 (4) 175 9 (40) 腸筋層 138 23 (18) 88 9 (63) 腎臓 550 59 (1) 301 55 (28) 心臓 84 6 (23) 47 6 (118) 脾臓 300 31 (9) 185 15 (35) 膵臓 247 38 (2) 187 10 (39) 骨格筋 80 1 (2) 74 8 (66 大網 35 6 (0) 27 2 (77) 脂肪組織 38 8 (3) 24 2 (116) 肝臓 37 4 (480) 22 3 (772) 血清 56 5 (50) 23 4 (276) ニコチン濃度 ng/g 組織 平均値±標準誤差 括弧内はニコチン濃度に対するニコチン以外の放射能の割合(%)

5.代謝 (1)代謝部位及び ニコチンはその 80~90%が体内で速やかに代謝され,主な代謝部位は肝臓

である.ニコチンの主代謝物はコチニン及びニコチン-1’-N-オキシドであり,更に広範な代謝を受ける.一部腎臓及び肺でも代謝される 21).

代謝経路

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ニコチンの推定代謝経路21)

(2)代謝に関する酵 ニコチンからコチニンへの代謝には主として CYP2A6 が,N’-オキシドの生成にはフラビン含有モノオキシゲナーゼが関与している 22) 23) 24). 素(CYP450等)の

分子種

(3)初回通過効果の 該当資料なし 有無及びその割合

(4)代謝物の活性の ラット摘出全脳より調整した脳膜標品を用いてニコチン受容体結合に及ぼすニコチンの主代謝物コチニンの影響を検討した.ニコチン結合に対するコチニンの Ki 値は>1 mmol/L,ニコチンの Ki 値は 0.60 nmol/L であり,コチニンはニコチン受容体に対してほとんど結合親和性を示さないことが示唆された 25).

有無及び比率

(5)活性代謝物の速 「VII-1.(3)」通常用量での血中濃度」の項参照 度論的パラメータ

6.排泄 (1) 排泄部位及び

経路 体内に吸収されたニコチンの一部は未変化体として,腎臓内の糸球体濾過及び尿細管分泌により,尿中に排泄される 26) 27).

OH

N

NH

H

O

N

NCH

3

H

OHH

N+

NCH

3

H

NH

NCH

3

HCHO

O

NCH

3

ONHN

NCH

3

OH

O

N

COOH

N

NCH

3

H

N

NH

H

N

NCH

3

H

O NH

NCH

3

HCOOH

N

N+

CH3

H

O

O

N

NCH

3

H

O

OH

COOH

N

O

N+

NCH

3

H

O

N

NCH

3

H

γ-メチルアミノ-γ-(3-ピリジル)酪酸

γ-メチルアミノ-γ-(3-ピリジル)ブチルアルデヒド

ニコチン ノルニコチン

ニコチン-1'-N-オキシド(trans-,cis-)

3-(2,3-ジヒドロ-1-メチル-2-ピロリル)ピリジン

5'-ヒドロキシニコチン

デメチルコチニン

ニコチン-Δ1(5')-イミニウムイオン

コチニンコチニン-1-N-オキシド

trans-3'-ヒドロキシコチニン5'-ヒドロキシコチニン N-メチル-γ-オキソ-γ-

(3-ピリジル)ブチルアミド

γ-オキソ-γ-(3-ピリジル)酪酸3-ピリジル酢酸

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(2)排泄率

<シガノンCQでの成績>

シガノンCQ24 時間単回貼付時のニコチン及びコチニンの 48 時間累積尿中排泄率 1)

測定薬物 シガノンCQ1 シガノンCQ2

ニコチン 8.00±4.53

(2.0~16.7) 10.69±6.70 (3.3~22.8)

コチニン 9.01±3.89

(1.6~14.1) 19.91±13.36 (2.9~55.1)

ニコチン+コチニン 17.01±4.41 (9.7~26.2)

30.59±12.40 (20.0~65.0)

括弧内は範囲 平均値±標準偏差(n=12)

(3)排泄速度 該当資料なし

7.透析等による除去率 該当資料なし

Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目 1.警告内容とその理由 該当しない

2.禁忌内容とその理由

してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなります)

1.次の人は使用しないでください

(1)本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人。

(2)非喫煙者(たばこを吸ったことのない人及び現在たばこを吸っていない人)。

(3)現在、他のニコチン製剤を使用している人。

(4)妊婦、授乳婦又は妊娠していると思われる人。

(5)重い心臓病を有する人。

1)3ヵ月以内に心筋梗塞の発作を起こした人。

2)重い狭心症と医師に診断された人。

3)重い不整脈と医師に診断された人。

(6)急性期脳血管障害(脳梗塞、脳出血等)と医師に診断された人。

(7)肝・腎機能障害にて医療機関で医師の治療を受けている人。

(8)うつ病の既往のある人。

(解説)

1.次の人は使用しないでください

(1) 本剤又は本剤の成分によってアレルギー症状を起こしたことのある人は,再び症状が発現することがあるため記載した.

(2) 本剤は禁煙を目的とした製品であるため,喫煙者以外の人が使用すると,嘔吐,下痢,めまい,虚脱感,心拍数の増加(心臓の鼓動が速くなる)等の症状があらわれることがあるので,使用を制限した.

(3) ニコチンの過剰摂取により中毒症状を引き起こすことがあるため記載した.

(4) ニコチンは動物実験で催奇形性が報告され,また,胎児の健康に悪影響を及ぼすことが知られていること,更に,ニコチンは母乳に移行することから,使用しないこととした.

(5) ニコチンはカテコラミンの分泌を増加させ,血管収縮,心悸亢進を

(してはいけない こと)

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もたらすので,心筋梗塞,狭心症,不整脈の症状を悪化させることがあるため記載した.

(6) ニコチンの交感神経刺激作用により,脳梗塞や脳出血などの急性期脳血管障害の症状に対して影響を与えることが考えられるため記載した.

(7) ニコチンの代謝が遅れ,副作用が起こることがあるため記載した.

(8) 禁煙に伴う精神的負担でうつ病の既往のある人は,うつ病が再発することがある.また,うつ病の引き金はさまざまなものが考えられ,心理的なストレスも誘因になるため,禁煙を始めることが心理的なストレスになり,もの悲しい,絶望的になる,劣等感に悩む,悲観的になる,家に閉じこもるなどの症状があらわれるため記載した.

2.次の部位には使用しないでください

(1)目の周囲、粘膜(例えば、口腔、鼻腔、膣等)等。

(2)やけど、吹出物、切り傷、炎症等皮膚に異常のある部位。

3.本剤を使用中又は使用直後はたばこを吸ったり,ニコチンガムをかんだりしないでください

4.1回に 2枚以上貼らないでください

5.本剤は次の状態のときに使用しないでください

サウナ使用時、激しい運動時

(解説)

2.次の部位には使用しないでください

(1) 刺激が起きたり,有効成分の吸収が促進され,副作用があらわれやすくなるため記載した.

(2) 傷等のある場所に貼付すると,傷等が悪化したり,また,有効成分の吸収が促進され,副作用があらわれやすくなるため記載した.

3.体内に過剰なニコチンが摂取され,副作用があらわれやすくなるため記載した.

4.体内に過剰なニコチンが摂取され,副作用があらわれやすくなるため記載した.

5.皮膚温が高くなるとニコチンの吸収が促進され,副作用があらわれやすくなるため記載した.

3.効能・効果に関連す 「V. 治療に関する項目」を参照すること

る使用上の注意と その理由

4.用法・用量に関連する使用上の注意と

その理由

[注意]

(1)定められた用法・用量を厳守してください。

(2)貼りかえるごとに貼る場所をかえ、一度貼った場所には1週間以上貼らないでください。

(3)このパッチは傷つけたり、切って使用しないでください。

(4)1枚のパッチは起床時に貼付し、就寝前に必ずはがしてください。そして、翌朝起床時等に新しいパッチを貼付してください。

(5)貼りはじめには軽いかゆみ、ヒリヒリ感、又はピリピリ感があらわれることがありますが、通常1時間以内に消失します。はがした後、貼っていた場所が多少赤くなることがありますが、通常1日経てば赤みは消えます。

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(6)ニコチンが付着した手で目や鼻を触ると、痛みや赤み等が生じたり、更に重大な問題が発生することがありますので、貼るときやはがすときにパッチ及び粘着面のフィルムに触ったら必ず手を洗ってください。

この際石けんを使用するとニコチンの吸収が促進されることがあるため、石けんは使用しないでください。

(7)パッチは適切な貼り方をしていれば皮膚にしっかりと貼り付き、パッチを貼っている間でも、短時間の入浴、水泳、シャワーが可能ですが、場合によってははがれることがあります。

(8)長時間入浴するときは、入浴前にパッチをはがしてください。

(9)パッチを貼っている途中ではがれたら、別の清潔で、乾燥した、体毛の少ない部位に、新しいパッチを貼ってください。

(10)以下の治療等を受けるときは、前もってパッチをはがしてください。電気的除細動(DC 細動除去等)、ジアテルミー(高周波療法)、MRI(核磁気共鳴画像法)

(解説)

(1) 用法・用量を厳守することを目的とし設定した.

(2) 接触性皮膚炎の発現を最小限に防ぐため記載した.

(3) パッチの損傷により,パッチの有効性及び安全性が保証できなくなるので,注意を喚起するために記載した.

(4) ニコチンを代謝(解毒)する酵素の能力が低い人(PM)の副作用の発現及び不眠等の発現を防ぐための処置を示した.

シガノンCQ透明パッチは支持体が透明で目立たないので,はがし忘れを防ぐために,強調して表現し,「必ず」はがすよう注意喚起させる記載とした.

(5) 一過性の発疹,そう痒,灼熱感,ピリピリ感等が起こりうる場合があるが,これらのほとんどは軽微であり,パッチをはがすことで速やかに回復する.使用者が不安を抱かぬように,使用前に情報を提供する目的で記載した.

(6) パッチ使用でニコチンが手に付着し,その手で目や鼻を触ると,痛みや赤み等が生じることがある旨を事前に使用者に伝えるために記載した.

また,手を洗う際に,石けんを使用すると皮膚表面がアルカリ性になり,ニコチンの吸収が促進されることがあるので使用しないよう注意を喚起するため設定した.

(7) 24 時間たつ前にパッチがはがれる場合がある旨を事前に使用者に注意喚起するために記載した.

(8) 長時間の入浴により,少量のニコチンが浴槽内に溶け出すことが考えられるので,事前に使用者に注意喚起するために記載した.

(9) はがれてしまった製剤は粘着力が落ちていると考えられるため記載した.

(10) シガノンCQ透明パッチの支持体にはアルミニウム箔を使用していないが,AED などの電気的治療の際,電極をパッチの上から直接装着すると,通電が遮断され,皮膚へのやけどを引き起こす可能性がある.また,MRI(核磁気共鳴画像法)は電極パッドを使用しない検査法であるが,パッチを貼付して検査を受けたときの安全性が確認されていない.

よって,シガノンCQ透明パッチを貼っている場合には,これらの治療や検査を行う前にパッチをはがすよう注意喚起させる記載とした.

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5.慎重投与内容と

相談すること

1.次の人は使用前に医師又は薬剤師に相談してください

(1)医師の治療を受けている人。

(2)他の薬を使用している人。

(3)高齢者又は 20 歳未満の人。

(4)薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある人。

(5)絆創膏等にかぶれやすい人。

(6)医師から次の診断を受けた人。

心臓疾患〔心筋梗塞、狭心症、不整脈等〕、脳血管障害〔脳梗塞、脳出血等〕、末梢血管障害〔バージャー病等〕、高血圧、甲状腺機能亢進、褐色細胞腫、糖尿病〔インスリン製剤を使用している人〕、消化性潰瘍、肝・腎機能障害、全身性皮膚疾患〔アトピー性皮膚炎、湿疹性皮膚炎等〕、てんかん、神経筋接合部疾患〔重症筋無力症、イートン・ランバート症候群〕

(7)発熱している人

(解説)

(1) 医師の治療を受けている人はなんらかの投薬や処置を受けており,薬物相互作用を起こすことが考えられるため記載した.

(2) 喫煙中は肝薬物代謝酵素が誘導され,薬物の代謝が促進している.禁煙すると代謝が低下し,薬剤の作用が増強することがある.

以下の薬剤を服用している場合は,必要に応じて投薬量を削減するなど注意する必要がある.

フェナセチン,カフェイン,テオフィリン,イミプラミン,

ペンタゾシン,フロセミド,プロプラノロール

また,ニコチンは血中コルチゾール,カテコラミンの量を増加させるので,以下の薬物との併用により,薬剤の作用が増強又は減弱することがある.

●アドレナリン遮断薬の作用を減弱させることがあるので,必要に応じて,アドレナリン遮断薬を増強するなど注意が必要である.

●アドレナリン作動薬の作用を増強させることがあるので,必要に応じて,アドレナリン作動薬を減量するなど注意が必要である.

(3) 高齢者は一般的に生理機能が低下しているためニコチンが体内に蓄積されやすく,用法・用量の厳守を目的とした指導が必要と判断されるため,また,20 歳未満は医師又は薬剤師に相談することで,ニコチン置換療法によらない禁煙方法等,適切な対処が受けられると考えるため記載した.

(4) 薬などでアレルギーの経験がある人は,本剤でもアレルギーを起こすことがあるため記載した.

(5) 貼付剤のため,皮膚の弱い人はかぶれを引き起こすことがあるため記載した.

(6) ニコチンはカテコラミンの分泌を増加させて,血管収縮,心悸亢進をもたらすので,心臓疾患を悪化させることがあるため.また,ニコチンの交感神経刺激作用により,脳血管障害(脳梗塞,脳出血等),末梢血管障害(バージャー病等),高血圧,甲状腺機能亢進,褐色細胞腫の症状に対し,影響を与えることがあるため.糖尿病でインスリン製剤を使用している人は,禁煙によりインスリンの作用が強くあらわれることがあるため.消化性潰瘍の場合はニコチンによる作用により治癒が遅くなることがあるため.肝臓病ではニコチンの代謝が遅れ,腎

その理由 (相談すること)

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臓病では排泄が遅延することがあるため.接触性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎を含む過敏症反応も報告されていることより,全身性皮膚疾患の症状を悪化させることがあるため.てんかん,神経筋接合部疾患〔重症筋無力症,イートン・ランバート症候群〕は類似品で報告された疾患のため,記載した.

(7) 皮膚温が高くなるとニコチンの吸収が促進され,副作用があらわれやすくなるので,発熱している人は注意が必要なため記載した.

6.重要な基本的注意 該当しない とその理由及び

処置方法

7.相互作用 (1)併用禁忌と

他のニコチン製剤

(解説)

参照

2.禁忌内容とその理由(してはいけないこと)

その理由

(2)併用注意と その理由

参照

5.慎重投与内容とその理由(相談すること)

8.副作用 (1)副作用の概要 <シガノンCQでの成績>

シガノンCQ1を用いた国内臨床試験 6)(n=260)でみられた副作用は,貼付部位反応では,そう痒感が最も多く,ほとんどが軽度であり,中止した症例はなかった.その他は異夢,睡眠障害等が見られ,これらの症状は,休薬・減量することで回復している.

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(2)重大な副作用と

相談すること

2.使用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに使用を中止し、この説明書を持って医師又は薬剤師に相談してください

関係部位 症 状

皮膚 発疹・発赤、はれ、全身性の皮膚反応(じんましん、全身の発疹等)

循環器 頻脈(脈が速くなる)、心拍数の増加(心臓の鼓動が速くなる)、心拍異常(心臓の鼓動のみだれ)、動悸、胸痛、血圧が高くなる

消化器 吐き気、嘔吐、上腹部痛、下痢、食欲不振、消化不良、口内炎、味覚異常

呼吸器 息苦しさ、のどのはれ、せき

精神神経系 睡眠障害(異常な夢、不眠等)、頭痛、めまい、眠気、易刺激性、神経過敏、ふるえ

その他 関節痛、筋肉痛、寒気、発熱、手足の痛み、全身の痛み、無力感、疲労、倦怠感、過敏症、多汗、貼付した腕が重く感じる

(解説)

ニコチンには皮膚刺激性があり,接触性皮膚炎を起こすことがある.

万一,「皮膚の発疹・発赤、はれ」の症状が起こった場合,通常,貼付剤除去後 24 時間以内に消失あるいは軽減する一過性のものであり,毎日貼付部位を変えることにより,継続使用が可能と考えられる.

しかし,症状が重症の場合やしばらく経過しても症状が消失しない場合は,使用を中止し,シガノンCQ透明パッチの説明書を持って,医師の診察を受けることをすすめること.

また,他の症状が起こった場合は本剤によるアレルギー症状であるか,本剤の薬理作用が強くあらわれたものであると考えられ,このような場合,同じ薬を続けて使用すると症状がさらに悪化することがある.

シガノンCQ透明パッチを直ちにはがし,使用を中止するように指導すること.

症状が激しいときや症状が治らないときは,シガノンCQ透明パッチの説明書を持って,医師の診察を受けるようすすめること.

まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けてください。

症状の名称 症 状

アナフィラキシー様症状

使用後すぐに、皮膚のかゆみ、じんましん、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、息苦しさ等があらわれる

(解説)

本剤及び海外製品で,まれに,これらの症状が起こることがあるので,手当が必要である.

初期症状 (相談すること)

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(3)その他の副作用

相談すること

3.使用後、次の症状があらわれることがありますので、このような症状の持続又は増強が見られた場合には、使用を中止し、この説明書を持って医師又は薬剤師に相談してください

関係部位 症状

皮膚 かゆみ、刺激感

消化器 便秘

その他 口のかわき

(解説)

海外の製造販売後調査及び本剤の類似品において,これらの症状が報告されているため記載した.

相談すること

4. 本剤を1週間使用しても、喫煙本数が減らないなど禁煙できない場合 は使用を中止し、この説明書を持って医師又は薬剤師に相談してください

(解説)

喫煙本数の減少やイライラなどの症状の改善がない場合には,漫然と使用せず,医師による禁煙治療が必要な場合がある.

(相談すること)

(4)項目別副作用 発現頻度及び臨床 該当しない ■検査値異常一覧

(5)基礎疾患,合併症, 該当しない

重症度及び手術の ■■有無等背景別の

副作用発現頻度 (6)薬物アレルギー 参照

に対する注意及び 2.禁忌内容とその理由(してはいけないこと) ■■■試験法

9.高齢者への投与 参照

5.慎重投与内容とその理由(相談すること)

10.妊婦,産婦,授乳婦 参照 等への投与 2.禁忌内容とその理由(してはいけないこと)

11.小児等への投与 該当しない 12.臨床検査結果に 該当しない

及ぼす影響

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13.過量投与 参照 8.副作用,(3)その他の副作用(相談すること)

相談すること

5.次のような場合には、下記に示す症状が生じる可能性があります

(1)日本ではニコチンを代謝(解毒)する酵素の能力が低い人が多く(約10 人に 1 人 )存在することが知られており、これらの人が本剤を使用した場合。

(2)喫煙本数が少ない人、小柄な人、高齢者等が使用した場合。

(3)誤って定められた用量を超えて使用した場合。

(4)小児が誤用した場合。

これらの場合に、次のような症状があらわれたときは、速やかに本剤をはがし、石けんを使わずに触れたところを水で洗い、直ちに医師又は薬剤師に相談してください

蒼白(顔色が青白くなる)、冷や汗、吐き気、だ液の増加、嘔吐、腹痛、 下痢、頭痛、めまい、聴覚・視覚障害、ふるえ、精神錯乱及び虚脱感

(解説)

急性ニコチン中毒の可能性があるので,これらの症状があらわれた場合の初期的な対処方法を記載し,消費者の安全性確保を重視するよう心がけ記載した.

14.適用上の注意

シガノンCQ透明パッチを販売する際のお願い

(1)はじめてご使用の方には、「シガノンCQ1透明パッチ」(細別:7枚入り)の商品をおすすめください。

(2)たばこ依存度テストにより、ご使用者の依存度を把握し、依存度別のアドバイスをお願いいたします。

(3)ご使用者の適性確認(禁忌・アレルギー体質・既往歴など)、使用目的の確認をお願いいたします。

(4)初期使用量(パッチサイズ)の確認、使用期間、貼付場所など用法・用量のご説明をお願いいたします。

(5)使い方及び使用手順のご理解と徹底をお願いいたします。

(6)使用前に製品に同梱されている説明書で、用法・用量、使用方法などを確認し、適正使用するようご指導をお願いいたします。

(7)陳列はカウンターケース内、バック棚での陳列とし、直接お客様の手が届く場所へは置かないようご協力をお願いいたします。

(解説)

適正使用を確保するために記載した.

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15.その他の注意

相談すること

6.用法・用量に定める期間(8週間)が終わったら、本剤の使用をやめてください。まだ、本剤が必要だと感じる場合は、医師又は薬剤師に相談してください

(解説)

長期に連用するとニコチン依存がパッチに引き継がれ,離脱する(パッチ

をやめる)ことが困難になることがあるため記載した.

相談すること

その他の注意

使用前及び使用済みのパッチとも、小児にとって、相当な量のニコチンを含有しています。よって、本剤を小児が誤飲した場合、重度の急性ニコチン中毒症状を生じ、死に至るおそれがあります。

小児が誤飲した場合は、直ちに次のように対処し、速やかに医師の治療を受けてください

・口腔内に残っていて容易に取り出せるときには除去してください。

・飲み込んでいたら、無理に吐かせないでください。また、吐かせようとして水あるいは牛乳等を飲ませないでください。

・誤飲したときの状況を把握してください。:時刻、枚数、未使用パッチか使用済みパッチかの区別、症状(蒼白、冷や汗、吐き気、だ液の増加、嘔吐等)等

(解説)

シガノンCQ1透明パッチ,シガノンCQ2透明パッチの使用済みパッチには,それぞれニコチンが約 56mg,約 26mg 残存しているので,小児が誤飲したとき,速やかな対処が必要なため,初期的な対処と医師への受診を喚起した.

16.その他 特になし

Ⅸ. 非臨床試験に関する項目 1.薬理試験 (1)薬効薬理試験 「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」参照

(2)副次的薬理試験 「Ⅶ.薬物動態に関する項目」5.-(4)代謝物の活性の有無及び比率の項参照.

(3)安全性薬理試験 シガノンCQ及びシガノンCQ透明パッチでの試験は実施していない.

ニコチンの一般薬理作用として,中枢神経・体性神経系,呼吸・循環器系,消化器系及び血液系に及ぼす影響を文献により考察した.

中枢神経・体性神経系に及ぼす影響では,ニコチンは自発運動量を低下させ,

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行動上及び脳波上に痙攣を誘発させた.協調運動を抑制し,神経・筋接合部でのシナプス伝達を抑制した.また,体温を低下させ,鎮痛作用を示した.呼吸・循環器系に及ぼす影響では,ニコチンは投与直後に無呼吸,徐脈を伴う血圧下降を誘発し,続いて呼吸数・呼吸深度の亢進を伴う血圧上昇,更に続いて無呼吸及び頻脈を誘発した.消化器系に及ぼす影響では,ニコチンは胃運動を抑制し,胃酸分泌を低下させた.また,膵液の分泌量及び HCO3

- 分泌量を低下させ,結腸の弛緩作用を示した.血液系に及ぼす影響では,ニコチンは血小板の ADP 凝集を亢進し,コラーゲン凝集を抑制した.

試験項目 動物種

(例数)

投与 経路

用量 (mg/kg)

試験成績

資料 番号

1.中枢神経・体性神経系 自発運動量

(Photocell 法) ラット (6)

皮下 0.4, 0.8, 1.6 用量依存的な運動量減少 28)

痙攣作用 マウス (18~40)

腹腔内

2.0, 2.5, 3.0, 3.5,

4.0, 5.0, 6.0, 7.0

間代性痙攣発現率の上昇(ED50

値=3.13 mg/kg, C3H マウス) 29)

自発脳波 (慢性電極植込み法)

ウサギ (総数65)

静脈内

1.0~2.0 1.0 mg/kg で持続的な脱同期波の出現,1.5 mg/kg 以上で発作波出現,大発作発現

30)

協調運動 (Rotarod 法)

マウス (7~14)

腹腔内

1.0, 1.5, 2.0, 2.5

1.5 mg/kg 以上で回転棒上での滞在時間の短縮

31)

神経・筋接合部 (坐骨神経電気刺激誘発脛骨筋,腓腹筋,ヒラメ筋収縮)

麻酔ネコ

動脈内

0.05, 0.25, 1.0

0.25 mg/kg 以上で坐骨神経電気刺激によって誘発される脛骨筋,腓腹筋,ヒラメ筋収縮を抑制

32)

体温 (直腸温)

ラット (6)

皮下 0.4, 0.8, 1.6 用量依存的な体温低下 28)

疼痛 (Tail-flick 法)

ラット (6)

皮下 - 鎮痛作用(ED50 値=0.7 mg/kg) 33)

2.呼吸・循環器系

呼吸・血圧・心拍数

麻酔イヌ(総数 50)

静脈内

0.3~0.5

投与直後の無呼吸,徐脈を伴う血圧下降,その後の呼吸数・呼吸深度の亢進を伴う血圧上昇,更に続いて無呼吸及び頻脈を伴う血圧上昇

34)

3.消化器系

胃運動 麻酔ラット(5~8)

静脈内

6.1, 12.2, 24.4, 48.7 (g/kg)

12.2 g/kg 以上で胃運動抑制 35)

胃液分泌 (ペンタガストリン誘発)

ネコ(総数10)

静脈内持続注入

0.1, 0.2, 0.4 (mg/kg-hr)

0.4 mg/kg-hr でペンタガストリン誘発胃酸分泌の抑制

36)

膵液分泌 麻酔ウサギ(6)

静脈内持続注入

0.1, 0.2, 0.4 (mg/kg-hr)

0.1 mg/kg-hr 以上で膵液分泌量,HCO3

- 分泌量,HCO3- 濃度の低下

37)

摘出結腸 (オキソトレモリン誘発収縮)

ラット(4)

in vitro

3×10-7, 10-6, 3×10-6, 10-5,

3×10-5

(mol/L)

弛緩作用(IC50値=2.7×10-6 mol/L) 38)

4.血液系 血小板凝集

(ADP,コラーゲン凝集)

ヒト血小板

in vitro

10-5, 10-4, 10-3, 10-2

(mol/L)

10-3 mol/L 以上で ADP 凝集の亢進,コラーゲン凝集の抑制

39)

(4)その他の 薬理試験

該当資料なし

2.毒性試験 (1)単回投与

毒性試験

製剤 <シガノンCQでの成績>

イヌに TP-0011(22)(ニコチン含量:118mg)を 5 枚,製剤重量として雄 418

~454 mg/kg,雌 438~452 mg/kg を単回経口投与した結果,主に投与後 3 時間までに嘔吐が高頻度に観察されたが,死亡は認められなかった.概略の致死量は雄で 418 mg/kg 以上,雌で 438 mg/kg 以上と推定された 40).

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経口

イ ヌ ♂>418,♀>438

ニコチン マウス,ラット,ウサギ,イヌにおいて,経口,静脈内,腹腔内,皮下投与による急性毒性試験が報告されている.LD50 値及び最小致死量を下表に示す.ウサギの 50 mg/kg 経皮投与で痙攣,呼吸不全がみられ 41),イヌの 3

mg/kg 皮下投与では嘔吐,流涎,流涙,頻呼吸,立毛,振戦,虚脱等が認められた 42).

ニコチンの LD50値 動物種 投与経路 LD50(mg/kg) 資料番号 マウス 経口 24 43)

皮下 16 43) 静脈内 7.1 44) 腹腔内 10.3 43)

ラット 経口 188 43) 皮下 雄:48,雌:36.5 43) 静脈内 2.8 43) 腹腔内 30 43)

ウサギ 静脈内 9.4 44) 腹腔内 14 43) 経皮 50 41)

イヌ 経口 10~12(最小致死量) 43) 静脈内 5 44)

(2)反復投与 毒性試験

製剤 <シガノンCQでの成績>

TP-0011(15)(ニコチン投与量:平均 33.53 mg/日)をウサギに 24 時間貼付で 90 日間反復経皮投与した結果,一般状態観察,体重,眼科学的検査,血液学的検査,血液化学的検査,尿検査,器官重量,剖検,病理組織学的検査において変化は認められなかった.貼付部位に「中等度」の皮膚刺激性を認めたが,7 日及び 28 日間皮膚累積刺激性試験の結果と同程度であり,投与期間の延長による皮膚刺激の増強は認められなかった

45).

投与

期間

投与

経路

投与量

(mg/kg/日)

無毒性量

(mg/kg)

特記すべき

異常所見

ウサギ 90 日 経皮 11.18 - 中等度の皮膚

刺激性

ニコチン マウス,ラット,ウサギ,イヌ及びサル等の種々の動物に対するニコチ

ンの反復投与時(6 週間~2 年間)の影響について,TP-0011(15)に含有されるニコチンの全量(ニコチン含量:84mg)が吸収されたと仮定される量(体重 50 kg 換算で 1.68 mg/kg/日)より高い用量を用いた研究報告 46)~53)によると,主たる変化として,体重増加抑制(ラット,リスザル),副腎重量増加(マウス,ラット),血中コレステロール値の変動(ラット,イヌ,サル)及び血圧に対する影響(ラット)がみられたが,高血圧の増悪作用並びに動脈硬化に結びつく脂質変動及び組織変化は認められなかった.

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動物種 文献番号

投与 期間

投与 経路

投与量 (mg/kg/日)

特記すべき異常所見

マウス 46)

6 週 皮下 1mg/kg×5

回/日 副腎重量↑

ラット 47)

6, 12 週 皮下 5, 15, 50 mg/

日 高用量で膵消化酵素↑, 膵腺房細胞変性

イ ヌ 52)

6 週 筋肉内 0.175 (4 週)+

0.35 (2 週) 血清コレステロール↑

ラット (SHR)

50) 29 週 経口 2.28

体重↓,副腎重量↑, 肝重量↓,収縮期血圧↓, 血漿コレステロール↓

ラット 48)

1 年 皮下 1~2mg/kg2回/日(最大 5)

体重↓

ウサギ 51)

20 ヵ月 経口 1.14mg/kg×

2/日

肝で中性脂肪↓ 血清・肝・大動脈で

遊離脂肪酸↑, 大動脈でカルシウム↑

リスザル53)

2 年 経口 6 体重↓, 血中 LDL↑・VLDL↓

(3)生殖発生 毒性試験

ニコチン (1)雄性生殖能に及ぼす影響

雄ラットに 10 mg/kg/日を 45 日間 1 日 2 回分割皮下投与したとき,精巣,精嚢及び前立腺重量の減少と精子形成阻害が認められた 54).

(2)妊娠初期投与による胚及び出生児に及ぼす影響

ラットの妊娠初期(妊娠 0~5 日)に 5 mg/kg を 1 日 2 回皮下投与(10

mg/kg/日)したとき,胚の発育・着床遅延及び分娩開始時間の遅延がみられた 55).

(3)胚・胎児発生に及ぼす影響

器官形成期にあたるマウスの妊娠 6~17 日 56),ラットの妊娠 6~20 日57)及びウサギの妊娠 7 日~21 日 58)に,ニコチンの 2.5~50 mg/kg/日(マウス)又は 1.0~6.0mg/kg/日(ラット及びウサギ)を持続皮下投与した結果,それぞれ 25,2.5 及び 6.0 mg/kg/日以上で母動物の体重増加抑制及び摂餌量減少がみられ,マウス(50 mg/kg/日)及びラット(6.0 mg/kg/日)胎児では,母動物の体重増加抑制に起因すると考えられる骨格変異(未骨化等)が認められた.また,マウス胎児では,体重減少も観察された.ウサギ胎児においては,最高用量の 6.0 mg/kg/日まで投与の影響は認められなかった.

以上より,マウス,ラット及びウサギ胎児に対する無毒性量は,それぞれ 25 mg/kg(マウス)及び 6.0 mg/kg(ラット及びウサギ)と推察された.

なお,マウスにニコチンの 25 mg/kg/日を妊娠 5~15 日に皮下投与したとき胎児致死作用が,妊娠 9~11 日に皮下投与したとき四肢奇形が認められたとの報告がある 59).

(4)出生児に及ぼす影響

雌ラットの交配 1 週間前から分娩時まで皮下投与(1.5 及び 3.0 mg/kg/

日)したとき,3.0 mg/kg/日で出生児に正向反射反応時間及び体温調節に要する時間短縮,筋力及び学習能の低下が認められ 60),ラットの妊娠 14

日~分娩後 12 日に皮下投与(0.1 及び 1.0 mg/kg/日)したとき,1.0 mg/kg/

日で同腹児数の減少及び死亡胎児数の増加がみられ,授乳期間中の 0.1

mg/kg 投与では,出生児の発育阻害が認められた 61).

また,ラットの妊娠 1~21 日又は妊娠 1 日~分娩後 21 日(妊娠 21 日~分娩後 48 時間は休薬)に 6.0 mg/kg/日を皮下投与したときに,オペラント行動で出生児の学習能力の低下が認められた 62).

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(4)その他の 特殊毒性

依存性 (ニコチン) アカゲザル 63)及びラット 64)の自己投与試験において,ニコチンに弱い

強化効果が認められた.

遺伝毒性 (ニコチン) 細菌を用いる復帰突然変異試験 65) 66)及び培養ヒト白血球を用いる染色

体異常試験 67)において,遺伝毒性を示唆する結果はみられなかった.細菌を用いる DNA 修復試験(E. coli polA

+/polA-試験)66)にて 10µg/disc で

DNA 損傷性が認められ,チャイニーズハムスター細胞を用いる染色体異常及び姉妹染色分体交換試験 65) 68)にて,48 時間曝露により,各 375µg/mL,150µg/mL 以上で,染色体異常誘発頻度及び姉妹染色分体交換誘発頻度の増加が認められた.また,マウス骨髄細胞を用いる染色体異常試験 67)において,異数性と転座の誘発が認められたが,ニコチンを長期連投したマウスの発がん性試験では,イニシエーション作用もプロモーション作用もみられなかった.

がん原性 (ニコチン) マウスに 3.3~87.4 mg/匹のニコチンを生涯(最長 140 週間)にわたり

経口投与した結果,がん原性は認められなかった 69).また,ベンゾピレンを用いたマウス皮膚腫瘍モデルにて,イニシエーション及びプロモーション作用を示さず 70),ウレタンによる肺腺腫誘発モデル 71)及び紫外線誘発発がんモデル 72)において発がん補助作用は認められなかった.

皮膚刺激性

(製剤) <シガノンCQでの成績>

TP-0011(10)(ニコチン 8mg/kg/日~4.2mg/kg/日)はウサギの皮膚一次刺激性試験 73)で「軽度」,ウサギの 7 日及び 28 日間皮膚累積刺激性試験 73) 74)

において,「中等度」の皮膚刺激性を示した.

皮膚感作性 (製剤) <シガノンCQでの成績>

TP-0011(15) (ニコチン 12 mg/kg/日)はモルモットにおいて皮膚感作性を認めなかった 75).

Ⅹ. 管理的事項に関する項目 1.規制区分 一般用医薬品(第一類医薬品)

原薬は毒薬に指定されているが,ニコチンとして 1 枚中 78mg 以下を含有する外用剤は毒・劇薬を除外されている.

2.有効期間又は 使用期限: 2 年(外箱に表示の使用期限内に使用すること) 使用期限

3.貯法・保存条件 [保管及び取り扱い

上の注意]

1. 直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください.

2. 小児の手の届かない所に保管し,触れたり口に含んだりしないよう注意してください.

3. 他の容器に入れかえないでください.(誤用の原因になったり品質が変わることがあります.)

また,一度開封したアルミ袋や破れたアルミ袋にパッチを保管しないでください.

4. 使用期限を過ぎた製品は使用しないでください.

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4.薬剤取扱い上の

注意点 (1)薬局での取扱に

ついて 一般用医薬品(第一類医薬品)

陳列はカウンターケース内,バック棚での陳列とし,直接お客様の手が届く場所へは置かないようご協力をお願いいたします.

(2)薬剤交付時の注意(患者等に留意すべき必須事項等)

(1)はじめてご使用の方には,「シガノンCQ1透明パッチ」(細別:7枚入り)の商品をおすすめください.

(2)たばこ依存度テストにより,ご使用者の依存度を把握し,依存度別のアドバイスをお願いいたします.

(3)ご使用者の適性確認(禁忌・アレルギー体質・既往歴など),使用目的の確認をお願いいたします.

(4)初期使用量(パッチサイズ)の確認,使用期間,貼付場所など用法・用量のご説明をお願いいたします.

(5)使い方及び使用手順のご理解と徹底をお願いいたします.

(6)使用前に製品に同梱されている説明書で,用法・用量,使用方法などを確認し,適正使用するようご指導をお願いいたします.

5.承認条件等 シガノンCQ透明パッチ:シガノンCQに承認条件として課された調査期間(3 年)の残余期間,安全性に関する製造販売後調査を行うこと.

6.包装 シガノンCQ1透明パッチ(分包品) 7 枚,14 枚

シガノンCQ2透明パッチ(分包品) 7 枚

7.容器の材質 内袋:アルミニウム袋

8.同一成分・同効薬 【ガム剤】

・一般用医薬品

ニコレット,ニコレット・ミント,ニコレットクールミント,ニコレットフルーティミント,ニコチネルミント,ニコチネルフルーツ

【貼付剤】

・一般用医薬品

シガノンCQ1,シガノンCQ2

ニコレットパッチ 1,ニコレットパッチ 2,ニコレットパッチ 3

ニコチネルパッチ 20,ニコチネルパッチ 10

・医療用医薬品 ニコチネル TTS 30,ニコチネル TTS 20,ニコチネル TTS 10

9.国際誕生年月日 1991 年 8 月 15 日

10.製造販売承認年月日及び承認番号

シガノンCQ1透明パッチ:

製造販売承認年月日: 2010 年 3 月 30 日

承認番号: 22200APX00259000

シガノンCQ2透明パッチ

製造販売承認年月日: 2010 年 3 月 30 日

承認番号: 22200APX00260000

11.薬価基準収載 年月日

該当しない

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12.効能・効果追加,用法・用量変更追加等の年月日

及びその内容

該当しない

13.再審査結果,再評価 結果公表年月日及び

該当しない

その内容

14.再審査期間 該当しない

15.投薬期間制限医薬品に関する情報

長期投与の可否:定められた用法・用量の期間を超えて使用しない.

16.各種コード 該当しない

17.保険給付上の注意 該当しない

XⅠ. 文献 1.引用文献 1) 社内資料

2) Mwenifumbo, JC et al. Pharamcogenomics 8(10), 1385-1402(2007) 3) 社内資料 4) 社内資料 5) 社内資料 6) 社内資料 7) Cheeta, S et al. Psychopharmacology 155, 78-85(2001) 8) Malin, DH et al. Pharmacol. Biochem. Behav. 43, 779-784

(1992) 9) Helton, DR et al. Psychopharmacology 113,205-210 (1993) 10) 浦江明憲ほか 臨床医薬 10(suppl 3),63-82(1994) 11) 社内資料 12) 社内資料 13) Gupta, SK et al. J Clin. Pharmacol. 33,169-174 (1993) 14) Molander, L et al. Clin. Pharmacol. Ther. 68, 250-260 (2000) 15) Benowitz, NL et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 221, 368-372 (1982) 16) Gupta, SK et al. Br J.clin. Pharmacol. 36, 221-227 (1993) 17) Ghosheh, OA et al. Drug Metab. and Disp.,29, 645-651, 2001 18) Luck, W et al New Engl. J. Med, 311,672 (1984) 19) Luck, W et al Br. J. clin. Pharmac., 18, 9-15 (1984) 20) 中嶋敏勝 日薬理誌, 68, 29-41(1972) 21) 黒河内 寛 JJSHP, 26, 553-558(1990) 22) Williams, DE et al. Drug Metab. and Disp.,18, 418-428 (1990) 23) Nakajima, M et al. Drug Metab. and Disp., 24, 1212-1217 (1996) 24) Nakajima, M et al. Drug Metabolism Reviews 34, 865-877(2002) 25) Anderson, DJ et al. Eur. J. Pharmacol. 253, 261-267,1994 26) Fishman, SS Arch. Int. Pharmacodyn. 145 123-136 (1963) 27) Hansson, E et al. J. Pharmacol. Exp.Ther. 137,91-102 (1962) 28) Collins, AC et al. Psychopharmacology 96, 7-14 (1988) 29) Miner, LL et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 231,545-554 (1984) 30) Silvestrini, B Arch. Int. Pharmacodyn. Ther.116, 71-85

(1958) 31) Marks, MJ et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 226,291-302 (1983) 32) Paton, WDM et al. Br. J. Pharmac. Chemother. 32, 360-380 (1968) 33) Tripathi, HL et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 221,91-96 (1982) 34) Domaye, A Jpn. J. Pharmacol. 5, 1-10 (1955) 35) Nagata, M et al. Jpn. J. Pharmacol. 52, 397-403 (1990) 36) Konturek, SJ et al. Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 138, 674-677

(1971)

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37) Solomon, TE et al. Gastroenterology 67, 276-283 (1974) 38) Romano, C J. Pharmacol. Exp. Ther. 217, 828-833 (1981) 39) Pfueller, SL et al. Haemostasis 18, 163-169 (1988) 40) 社内資料 41) Lehman, AJ Assn. of F. and D. Officials of U.S., Quarterly

Bull., 16 , 3-9 (1952) 42) Smith, ER et al. Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 130,667-671,1969 43) Larson, PS et al. Tobacco, p439-445 (1961) 44) Larson, PS et al. J. Pharmacol. Exp. Ther., 95, 506-508 (1949) 45) 社内資料 46) Bhagat, B et al. Psychopharmacologia, 21, 287-293 (1971) 47) Lau, PP et al. Toxicol. Applied Pharmcol.,104, 457-465

(1990) 48) Thienes, CH Annals NY Acad. Sci., 90, 239-248 (1960) 49) Wenzel, DG et al. J. Pharmacol. Exp. Ther., 145, 315-316 (1964) 50) Weltman, AS et al. Fed. Proc., 33(3), 359 (1974) 51) Schievelbein, H et al. Z.klin.Chem.klin. Biochem.,8,190-196(1970) 52) Kershbaum, A et al. Am. Hr. J., 69, 206-210 (1965) 53) Cluette-Brown, J et al. Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 182, 409-413

(1986) 54) Patra, PB et al. Andrologia., 11, 273-278 (1979) 55) Hammer, RE et al. Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 162, 333-336

(1979) 56) 社内資料 57) 社内資料 58) 社内資料 59) Nishimura, H et al. Science, 127,877-878,1958 60) Peters, MA et al. Arch. Int. Pharmacodyn., 257, 155-167 (1982) 61) Hamosh, M et al. Biol. Neonate, 35, 290-297 (1979) 62) Martin, JC et al. Developmental Psychobiology,4,133-147

(1971) 63) Yanagida, T et al. Psychopharmacology Bull., 19, 409-412 (1983) 64) Cox, BM et al. Br. J. Pharmacol., 83, 49-55 (1984) 65) Doolittle, DJ et al. Mutat. Res., 344, 95-102 (1995) 66) Riebe, M et al. Mutat. Res., 101, 39-43 (1982) 67) Bishun NP, et al. Acta.biol.Acad.Sci. hung.,23,175-180 (1972) 68) Trivedi, AH et al. Cancer Letters, 54, 89-94 (1990) 69) Toth, B Anticancer Res., 2, 71-74 (1982) 70) Bock, FG Cold Spring Harbor Laboratory,

p129-139(1980) 71) Freedlander, BL et al. Proc. Am. Assoc. Cancer Res., 2(1), 109 (1956) 72) Freedlander, BL et al. Proc. Am. Assoc. Cancer Res., 2(1), 109 (1956) 73) 社内資料 74) 社内資料 75) 社内資料

2.その他の参考文献 特になし

XⅡ. 参考資料 1.主な外国での

発売状況 (1)外国における

使用状況

主な国における発売日 (2008 年 1 月現在)

国 名 シガノンCQ 透明パッチ

シガノンCQ

米 国 2000. 前期 1996. 8

カナダ - 1998. 中期

英 国 2000. 後期 1998. 後期

オーストラリア 2001. 中期 1993. 後期

ベルギー 2002. 12 1998.11

メキシコ - 1999. 中期

デンマーク - 1999. 後期

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ブラジル - 1999. 後期

アイルランド 2002. 11 2000. 後期

ルクセンブルグ - 2000.12

ドイツ 2007.7 2000.12

コスタリカ - 2001. 中期

ポーランド 2003. 10 2002. 後期

イスラエル 2008. 1 2002. 2

ハンガリー - 2003. 8

イタリア - 2004. 9

チェコ - 2006. 後期

エストニア 2006.11 2006.11

コロンビア - 2007. 8

フランス 2001. 12 -

オランダ 2003. 8 -

マルタ 2004. 6 -

スウェーデン 2004. 10 -

スペイン 2005. 2 -

ポルトガル 2005. 6 -

(2)主要国の用法・用量,効能・効果等

本邦における効能又は効果,用法及び用量は以下のとおりである.

効能又は効果:

禁煙時のイライラ・集中困難・落ち着かないなどの症状の緩和

用法及び用量:

胸、背中、腕のいずれかを選び、次の期間 1 日 1 回 1 枚を起床時に貼付し、就寝前にはがす。なお、貼付場所は毎日変える。

シガノンCQ1透明パッチ シガノンCQ2透明パッチ

最初の 6 週間 次の 2 週間

ただし、シガノンCQ1透明パッチを 6 週間貼付後、禁煙時のイライラなどの症状がなくなり、禁煙継続に自信がある場合は、シガノンCQ2透明パッチを使用しなくてもよい。

国名 米国 英国

販売名 ニコダーム CQ クリア

(ClearNicoDerm® CQ®) ニクイチン CQ クリア

(NiQuitin CQTM clear)

効能 禁煙に伴うニコチン渇望を含む離脱症状の緩和 喫煙の衝動や,禁煙の際の不快な症状を和らげます.

1 日 10 本を超える喫煙者は,10 週間のスケジュー

ルに従うこと.

高齢者を含む成人で:

1 日 10 本を超える喫煙者:

ステップ 1,ニクイチン CQ クリア 21 6 週

間から始めて,その後ステップ 2,ニクイ

チン CQ クリア 14 を 2 週間,その後ステ

ップ 3,ニクイチン CQ クリア 7 を 2 週間

続ける.

1 日 10 本以下の喫煙者:

ステップ 2,ニクイチン CQ クリア 14 6 週間

から始めて,その後ステップ 3,ニクイチン

CQ クリア 7 を 2 週間続ける.

ステップ 1 ステップ 2 ステップ 3

用法・

用量

1 日 1 パッチ

ニコダーム

CQ21 クリア

使用

1 日 1 パッチ

ニコダーム

CQ14 クリア

使用

1 日 1 パッチ

ニコダーム

CQ7 クリア

使用

第 1~6 週 第 7~8 週 第 9~10 週

1 日 10 本以下の喫煙者は,ステップ 1(ニコダーム

CQ21 クリア)を使用しないこと.ステップ 2(ニ

コダーム CQ14 クリア)を 6 週間,ステップ 3(ニ

コダーム CQ7 クリア)を 2 週間使用して完了です.

2.海外における臨床支援情報

妊婦に対する海外情報 :FDA(米国)

FDA Pregnancy Category ニコチンパッチとして Category D

Category D: 使用・市販後の調査、あるいは人間を用いた研究によってヒト胎児のリスクを示唆する明らかなエビデンスがあるが,潜在的な利益によって,潜在的なリスクがあるにもかかわらず妊婦への使用が正当化されることがありうる.

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本邦では,「使用上の注意 してはいけないこと」の項に 「1.次の人は使用しないでください (4)妊婦、授乳婦又は妊娠していると思われる人。(胎児や乳児への影響が考えられるので,使用しないでください。)」と記載している.

XⅢ. 備考 その他の関連資料 製品解説書

店頭指導用資材

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製造販売元:グラクソ・スミスクライン株式会社

〒151-8566 東京都渋谷区千駄ヶ谷4丁目6番15号 GSK ビル

発 売 元:大正製薬株式会社 〒170-8633 東京都豊島区高田3丁目24番1号 [資料請求先・問い合わせ先] シガノンCQお客様相談室 TEL:03-5786-6654 受付時間:9:00~19:00(土、日、祝日を除く)