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1 外壁アスベストの除去に 粉塵を飛散させない バキューム吸引・パワーツール ケレンシステム Q & A 1Q:バキューム吸引・パワーツール ケレンシステムは概要どのようなものですか? A:外壁アスベスト除去工事で粉じん飛散を防止するための負圧を作り出すための隔離措置を必要としな 集じん装置付きディスクグラインダー工法です。 2. Q:なぜ隔離措置が不要になるのですか? A :外壁塗材のアスベストはその含有量が防火のためのアスベスト吹付材などに比べてはるかに低いのが実 情です。そのために適切な局所集じん機能を持ったシステムを採用することにより有害粉じんの飛散 を十分に抑えられるという検証実験に基づき環境省の以下の通達で隔離措置と同等と判断しうるとい う工法が挙げられています。 3. Q:隔離措置を必要としない工法にはどのようなものがありますか? A :環境省の通達(平成 29 5 30 日付 環水大大発第 1705301 号)で石綿則第 6 条のただし書きにより 粉じん飛散防止に関し隔離措置と同等の措置と判断しうる目安として ・集じん装置併用手工具ケレン工法 ・集じん装置付き高圧(or 超高圧)水洗工法 ・超音波ケレン工法(HEPA フィルター付き掃除機併用) ・剥離剤併用手工具ケレン工法 ・剥離剤併用高圧(or 超高圧)水洗工法 ・剥離剤併用超音波ケレン工法 集じん装置付きディスクグラインダー工法 が挙げられています。 4. Q:養生は不要になりますか? A:隔離ではありませんが養生は必要です。 国立研究開発法人建築研究所/ 日本建築仕上材工業会の建築物の改修・解体時における石綿含有建築用 仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針では 隔離養生ではないものの、周囲の汚れ防止の観点からプラスチックシート等による養生を行うとされて います。 5. Q: 粉じん飛散防止についてどのような注意をする必要がありますか? A:上記 4 の技術指針で粉じん飛散防止処置として 除去部での局所集じんを基本としており、隔離作業場を設けていないものの、作業中に作業衣に粉塵 が付着している可能性があることから、施工区画から外に出る際には洗身設備により作業衣に付着して いる可能性のある粉じんを除去する計画とする。この洗身設備には、高性能真空掃除機により吸い取る ことも含まれる。とされています。 6. Q:負圧集塵装置は必要ですか? A:必要ありません。上記 4 の技術指針の中の解説表 3.5 隔離(前室、集じん、排気装置)は不要とさ れています。

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外壁アスベストの除去に 粉塵を飛散させない

バキューム吸引・パワーツール ケレンシステム

Q & A 1. Q:バキューム吸引・パワーツール ケレンシステムは概要どのようなものですか?

A:外壁アスベスト除去工事で粉じん飛散を防止するための負圧を作り出すための隔離措置を必要としな い“集じん装置付きディスクグラインダー工法”です。

2. Q:なぜ隔離措置が不要になるのですか? A:外壁塗材のアスベストはその含有量が防火のためのアスベスト吹付材などに比べてはるかに低いのが実

情です。そのために適切な局所集じん機能を持ったシステムを採用することにより有害粉じんの飛散

を十分に抑えられるという検証実験に基づき環境省の以下の通達で隔離措置と同等と判断しうるとい

う工法が挙げられています。 3. Q:隔離措置を必要としない工法にはどのようなものがありますか?

A:環境省の通達(平成29年5月30日付 環水大大発第1705301号)で石綿則第6条のただし書きにより 粉じん飛散防止に関し隔離措置と同等の措置と判断しうる目安として ・集じん装置併用手工具ケレン工法

・集じん装置付き高圧(or 超高圧)水洗工法 ・超音波ケレン工法(HEPAフィルター付き掃除機併用)

・剥離剤併用手工具ケレン工法 ・剥離剤併用高圧(or 超高圧)水洗工法

・剥離剤併用超音波ケレン工法 ・集じん装置付きディスクグラインダー工法 が挙げられています。 4. Q:養生は不要になりますか?

A:隔離ではありませんが養生は必要です。 国立研究開発法人建築研究所/日本建築仕上材工業会の“建築物の改修・解体時における石綿含有建築用

仕上塗材からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針”では “隔離養生ではないものの、周囲の汚れ防止の観点からプラスチックシート等による養生を行う”とされて います。

5. Q: 粉じん飛散防止についてどのような注意をする必要がありますか?

A:上記4の技術指針で“粉じん飛散防止処置”として “除去部での局所集じんを基本としており、隔離作業場を設けていないものの、作業中に作業衣に粉塵 が付着している可能性があることから、施工区画から外に出る際には洗身設備により作業衣に付着して いる可能性のある粉じんを除去する計画とする。この洗身設備には、高性能真空掃除機により吸い取る ことも含まれる。”とされています。

6. Q:負圧集塵装置は必要ですか?

A:必要ありません。上記4の技術指針の中の解説表 3.5で“隔離(前室、集じん、排気装置)は不要”とさ れています。

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7. Q:バキューム吸引・パワーツールケレンシステムはどのような構成になりますか? A:塗材を除去する以下のパワーツールと HEPA フィルター付バキューム吸引回収装置及びその間をつな

ぐ長さ10 m/内径38 mmの真空ホースからなります。 ・平面・出隅用:ロトピーン(シュラウドに囲まれた研削用の歯が縦回転します) 特に厚膜を効果的に除去できます ・平面用:集じんカバー付き電動ディスクグラインダー(研削用のディスクが横回転します) ・入隅用:集じんカバー付き電動ディスクグラインダー(研削用のディスクが横回転します) ・奥まった狭隘部、目地部用:ニードルスケーラー(シュラウドに囲まれた直径 3mm のニードル19本

が往復運動します) 8. Q:バキューム吸引・パワーツールケレンシステムでは水は使用しませんか?

A:水は一切使用しません。そのために水処理も全く必要ありません。 9. Q:無機系の塗材でも除去できますか?

A:有機、無機を問わず除去できます。

10. Q:NETIS 登録はしていますか? A:鉛やPCBなどの有害物質を含んだ鋼製橋梁などの再塗装時の塗料のかき落としのための工法として

KT-150120-Aで登録されています。 11. Q:バキュームによる捕集率はどれぐらいですか?

A:NETIS 登録のための試験データでかき落とし塗料の 95.6 ~ 97 % です。

12. Q:バキューム吸引・パワーツールケレンシステムの処理速度は? A:ツール3台同時使用システムで約40 m2/日 です。これは3人一班での処理速度になります。6人二班

の場合は80 m2/日になります。 13. Q:レンタルはありますか?

A:弊社でレンタルしております。 14. Q:施工費用はどれぐらいですか?

A:1,000m2 で約¥8,000/m2、500 m2 で約¥10,000/m2、100 m2 で約¥12,000/m2 です。 *仮設足場、養生、産業廃棄物処理費用等は含まれておりません。

15. Q:システムを駆動するための圧縮空気、電気はどれぐらい必要ですか・ A:ツール3台同時使用システム1セットで約50HPの空気圧縮機、100VAC 75A の発電機が必要です。

16. Q:ツールやバキューム吸引回収装置は手で運べますか

A:手で運べます。最も重いバキューム吸引回収装置の重量は回収前で12.2 Kgです。 17. Q:廃棄物はどのように分類されますか?

A:上記4の技術指針で“除去物は特管産廃・養生材は産廃”とされています。

ティー・アイ・トレーディング株式会社

〒143-0016 東京都大田区大森北 2-9-14 二島ビル 2F Tel: 03-5763-8177 Fax: 03-5763-1052 http://www.t-i-tading.co.jp 2019年6月

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環水大大発第 1705301 号

平成 29 年5月 30 日

都 道 府 県

各 大気環境主管部局長 殿

大気汚染防止法政令市

環境省水・大気環境局大気環境課長

石綿含有仕上塗材の除去等作業における石綿飛散防止対策について

大気環境行政の推進については、日頃より御尽力いただいているところである。 さて、建築物等の内外装仕上げに用いられる建築用仕上塗材(以下「仕上塗材」とい

う。)には、石綿を含有するものがあり、これらの石綿含有仕上塗材は建築物等への使用

時には石綿の飛散の可能性は小さい。一方、建築物等の解体・改造・補修工事において石

綿含有仕上塗材を除去・補修(以下「除去等」という。)する際には、破断せずに除去等

を行うことが困難であるため、除去等の工法によっては、石綿が飛散する可能性が指摘さ

れている。このため、除去等の工法に応じた適切な飛散防止措置を講ずる必要がある。

ついては、下記事項に留意の上、除去等の工法に応じた適切な石綿飛散防止措置が講じ

られるよう、事業者等への周知及び指導を図られたい。

なお、本通知は地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 245 条の4第1項の規定に基づ

く技術的な助言であることを申し添える。

1 石綿含有仕上塗材について、吹付け工法により施工されたことが明らかな場合には、

大気汚染防止法施行令第3条の3第1号の「吹付け石綿」に該当するものとして取扱

う。このため、これら石綿含有仕上塗材に係る建築物等の解体・改造・補修に際して

は、特定粉じん排出等作業の実施の届出、作業基準の遵守等が必要となる。

また、吹付け工法により施工されたかどうかが明らかでない場合も、石綿含有仕上塗

材を「吹付け石綿」とみなして、特定粉じん排出等作業の実施の届出及び作業基準の遵

守が行われることが望ましい。特に、鉄骨造・鉄筋コンクリート造等の規模の大きい建

築物等で、除去作業を行う場合には、周辺環境への石綿飛散のおそれが比較的高いと考

えられることから、届出及び作業基準の遵守について適切に指導されたい。

なお、吹付け以外の工法(ローラー塗り等)で施工されたことが明らかな場合は、特

定粉じん排出等作業の実施の届出は不要であるが、適切な飛散防止措置が講じられるこ

とが望ましい。

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石綿規則第6条ただし書きにより粉じん飛散防止に関し隔離措置と同等の措置と判断しうる目安としての工法の関連個所を抜粋
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4.大気汚染防止法上の運用及び留意事項について

上述のとおり、厚生労働省の「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル〔2.10版〕」におい

て、石綿則第6条ただし書きにより粉じん飛散防止に関し隔離措置と同等の措置と判断しうる

目安として、以下の工法が挙げられている。

・ 集じん装置併用手工具ケレン工法

・ 集じん装置付き高圧水洗工法(15MPa 以下、30~50MPa 程度)

・ 集じん装置付き超高圧水洗工法(100MPa 以上)

・ 超音波ケレン工法(HEPA フィルター付き掃除機併用)

・ 剥離剤併用手工具ケレン工法

・ 剥離剤併用高圧水洗工法(30~50MPa 程度)

・ 剥離剤併用超高圧水洗工法(100MPa 以上)

・ 剥離剤併用超音波ケレン工法

・ 集じん装置付きディスクグラインダーケレン工法

これらの工法については、大気汚染防止法上の運用においても、施行規則別表第7第一の

項下欄柱書の「同等以上の効果を有する措置」と判断しうる目安とすることができる。ま

た、隔離措置と同等以上の効果を有する措置と判断できる新しい処理工法が今後開発される

可能性もある。

これらの工法を「同等以上の効果を有する措置」として、適切に実施し、粉じん飛散を防

止するためには、装置の使用方法、剥離剤の適用の可否等に精通していることが必要とな

る。また、施工区画を明確に定め、水滴飛沫などによる汚れを防止するためにプラスチック

シート等による養生を行うことが必要である。

集じん装置付きの工法では、入隅部等(窓、柱型、軒先部分など)の除去ができないた

め、補助的に他の工法を併用する場合があるが、その場合には、全体又は部分的な隔離養生

の必要性も含め、飛散防止対策を十分に検討しなければならない。また、集じん装置の排気

での石綿除去を十分に検討する必要がある。

剥離剤を使用する工法では、ジクロロメタン等の有害性の高い化学物質を使用しないよ

う、剥離剤の選択にも十分留意する必要がある。

水を使って除去する工事の場合には、未処理の廃水が流出・地下浸透しないようすべて回

収しなければならない。現在、石綿に関する排水基準はないが、回収した廃水は、凝集沈殿

後に上澄み水をろ過処理する等により、適切に処理した上で放流する必要がある。

なお、工法の種類や施工方法から判断して「同等以上の効果を有する措置」とは認められ

ない場合には、大気汚染防止法施行規則別表第7第一の項下欄イ~チの事項を遵守して隔離

措置を講じた上で行うことが必要となる。ただし、仕上塗材は外壁仕上げとして使用される

ことが多く、その場合、建築物外部での隔離措置を講ずることとなるため、風の影響等に十

分に配慮する必要がある。

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建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材

からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針

平成28年 4月28日

国立研究開発法人建築研究所

日本建築仕上材工業会

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隔離工法としない場合(例:集塵装置付きディスクグラインダー ケレン工法を採用した場合)の関連個所を抜粋
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大塚刷毛製造㈱提供 ㈱インテックカネキ提供 多賀電気㈱提供 山一化学工業㈱提供

(a)ケレン用手工具の例 (b)超音波ケレン機の例 (c)剥離剤の例

スーパー工業㈱提供 ㈱アシレ提供 ㈱スギノマシーン提供

(d)高圧水洗機の例 (e)高圧水洗車の例 (f)集じん装置付き超高圧水洗機の例

㈱スギノマシーン提供 ㈱ナカヤ提供 サンワ・リノテック㈱提供

(g)集じん装置付き超高圧 (h)集じんカバー付きディスク (i)HEPA フィルター掃除 水洗機の例 グラインダーの例 機の例(先端のブラシ

を外して使用)

解説写真 3.1 処理工法に用いる機器・工具類の例

皮すき スクレーパ

洗浄車

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締結し、委託契約書および処理業者の許可証を添付することも必要である。

(6) その他

「5. 処理作業共通事項」に基づき、施工体制図(安全管理体制、石綿作業主任者の選任など)や作業

員の教育、掲示などについても処理計画に含めることが必要である。

解説表 3.5 石綿含有仕上塗材の改修・解体工事における石綿則・大防法・廃掃法の規制

石綿則 条項

大防法 条項

解体・改修 (既存塗膜除去)

解体・改修 (既存塗膜除去)

石綿則第 6 条但し書き

改修(塗膜洗浄) 石綿関連作業に

該当せず 事前調査 3 条 18 条の 17 要 要 要 作業計画 4 条 ― 要 要 ― 届 出 5 条他 18 条の 要 要 ― 事前調査結果 掲示 3 条 18 条の 17 要 要 要

その他掲示 15条他 ― 要 要 ― 隔 離 (前室・集じん・排気装置)

6 条 18 条の 18則 16 条の 4 要 不要 ―

立入禁止 15 条 ― 要 要 ― 湿潤化 13 条 ― 要 要(工法による) ― 石綿作業主任者 19 条 ― 要 要 ― 石綿特別教育 27 条 ― 要 要 ―

保護具 14 条 ― 電動ファン付 防じんマスク または電動ファン付 ―

保護衣等 14 条 ― 保護衣 (使い捨て)

専用の作業衣 または保護衣 ―

作業記録 35 条 ― 40 年保存 40 年保存 ―

廃棄物 廃掃法 全て特管産廃 除去物は特管産廃・ 養生材は産廃

除去物無・ 養生材は産廃

備 考(解説表 3.2~3.4 の工法区分) Ⅰ Ⅱ Ⅲ

………石綿障害予防規則(抜粋)………………………………………………………………………………… (吹付けられた石綿等の除去等に係る措置) 第六条 事業者は、次のいずれかの作業に労働者を従事させるときは、次項に定める措置を講じなければならない。た

だし、当該措置と同等以上の効果を有する措置を講じたときは、この限りではない。 一 ~三 略 2 事業者が講じる前項本文の措置は、次の各号に掲げるものとする。 一 前項各号に掲げる作業を行う作業場所(以下この項において「石綿等の除去等を行う作業場所」という。)を、それ

以外の作業を行う作業場所から隔離すること。 二 石綿等の除去等を行う作業場所にろ過集じん方式の集じん・排気装置を使用すること。 三 石綿等の除去等を行う作業場所を負圧に保つこと。 四 石綿等の除去等を行う作業場所の出入口に前室、洗身室及び更衣室を設置すること。これらの室の設置に当たって

は、石綿等の除去等を行う作業場所から労働者が退出するときに、前室、洗身室及び更衣室をこれらの順に通過する ように互いに連接させること。を設置すること。

五~七 略 ………………………………………………………………………………………………………………………… ………大気汚染防止法施行規則(抜粋)………………………………………………………………………… 別表第 7(第十六条の四(作業基準)関係) 一 令第三条の四第一号に掲げる作業(次項又は三の項に掲げるものを除く。)

次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用されている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等

以上の効果を有する措置を講ずること。 イ 特定建築材料の除去を行う場所(以下「作業場」という。)を他の場所から隔離し、作業場の出入口に前室を設置す

ること。 ロ~チ 略 …………………………………………………………………………………………………………………………

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度(石綿粉じんを含む)を測定し粉じんが除去されていることを確認する。そのためには、デジタル

粉じん計またはパーティクルカウンターではなく、位相差顕微鏡を使用した計数法(PCM 法)による

測定または繊維状粒子のみを計測できるリアルタイムモニターにより測定する必要がある。その際、

除去前の当該部分の総繊維濃度、または周辺大気の総繊維濃度を参考にする。

7.隔離工法としない場合の措置

(1) 養生

粉じん飛散が生じない(極めて少ない)工法のため、隔離養生を必要としない場合である。この場

合でも、関係者以外の立ち入り禁止措置を講じる必要から、施工区画を明確に定めることが必要であ

る。隔離養生ではないものの、周囲の汚れ防止の観点からプラスチックシート等による養生を行う。

(2) 粉じん飛散防止措置

除去部での局所集じんを基本としており、隔離作業場を設けていないものの、作業中に作業衣に粉

じんが付着している可能性があることから、施工区画から外に出る際には洗身設備により作業衣に付

着している可能性のある粉じんを除去する計画とする。この洗身設備には、高性能真空掃除機により

吸い取ることも含まれる。

また、集じん装置付きの工具を用いた処理工法を選定し作業場の隔離を不要とする場合であっても、

入隅部などの除去に補助的に併用する工法についても同様に粉じん飛散防止措置を講じることが必要

となる。例えば、局所集じん装置を別に備えたり、場合によっては、部分隔離も考えられる。これら

の措置を講じることが困難な場合には、作業場の隔離を実施することも必要となる。

(3) 呼吸用保護具・保護衣等

①石綿取扱い作業に該当することから、使い捨ての防じんマスクではなく取替式の防じんマスクを使

用する。また、フィルターは粒子捕集効率 99.9%以上となる RL3 又は RS3 以上を用いなければな

らない。

②作業中に衣服に付着した粉じんを再飛散させないため、作業衣は専用のものとし、通勤着とは別の

ものとする。

(1) 養生

施工区画を設定し、水滴飛沫などによる汚れを防止するために、プラスチックシートなどで養生

を行う。

(2) 粉じん飛散防止措置

前室は不要であるが、施工区画の境界上にエアシャワー付き洗身設備などを設け、作業終了時

に(施工区画を出る際)作業衣に付着した粉じんを除去することが望ましい。

(3) 呼吸用保護具・保護衣等

①取替式の防じんマスク(フィルターは RL3 または RS3 以上を使用)を使用させる。

②専用の作業衣を使用し、作業終了時には洗身設備などで付着した粉じんを除去する。

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8.廃水処理

(1) 排水基準に石綿の規制はない。石綿を含む水を排水する場合は、ろ過処理その他の措置を講じるこ

と。

(2) 飲料水中の石綿濃度について、WHO(世界保健機関:World Health Organization)や国内では、経口

摂取による毒性はきわめて小さく水道水中の石綿の存在量は問題になるレベルにないとされているが、

石綿を含む廃水にも配慮することが望ましい。

廃水処理の事例については、巻末の付録の付 5.および付 6.を併せて参照されたい。

(3) 沈殿した泥分は、吸水材、セメントなどで固化させたうえ、プラスチック袋で 2 重梱包した後、特

別管理産業廃棄物「廃石綿等」として処分する。

9.廃棄物処理

(1) 石綿含有吹付け材(レベル 1)、石綿含有保温材・断熱材・耐火被覆材(吹付けを除く)(レベル 2)

の除去したもの、およびこれらの除去作業で使用された隔離養生シート、集じん・排気装置や呼吸用

保護具のフィルターなどは、特別管理産業廃棄物「廃石綿等」とされ、その処分は、「溶融処理」「無

害化処理」「管理型埋立処分」のいずれかで行わなければならない。

なお、管理型埋立処分の場合は、決められた場所に埋め立て、それを記録する。

(2) 前項の考え方から、隔離作業場を設ける場合には、吹付け材相当として、使用した「隔離シート」

等も特別管理産業廃棄物「廃石綿等」として取り扱う。また、廃水処理後の沈殿物についても同様で

ある。

(3) 一方、隔離養生を必要としない処理工法では、除去した「仕上塗材等」は特別管理産業廃棄物「廃

石綿等」であるが、養生シートなどは石綿粉じん飛散が少ないことから、産業廃棄物として取り扱う

ことが可能である。なお、交換したマスクのフィルターは除去材とともに特別管理産業廃棄物として

処理することが望ましい。

(1) 高圧水洗工法等水を使用して除去する工法の場合、廃水は、流出や地面に浸透することのないよ

うに回収する。

(2) 回収した廃水は、凝集剤などを用いて泥分を沈殿させる。

(3) 最終的に余剰となった廃水は、凝集剤などを用いて泥分を沈殿させ、上澄み水はろ過後下水道等

に放流する。沈殿物は、吸収剤などを用いて吸着させるか、セメントにより固化して、「廃石綿等」

として廃棄物処理する。

(1) 除去した仕上塗材等は、特別管理産業廃棄物「廃石綿等」として取り扱い、「溶融処理」、環境大

臣認定の「無害化処理」または管理型埋立処分する。管理型埋立処分する場合には、薬剤などによ

る安定化またはコンクリートによる固形化を行ったうえ、耐水性材料で 2 重梱包する。

(2) 隔離工法において養生などに使用したプラスチックシート、保護衣、集じん・排気装置や呼吸用

保護具のフィルターなど石綿粉じんの付着のおそれがあるものは、特別管理産業廃棄物「廃石綿等」

として取り扱う。

(3) 隔離養生としない場合の養生シートなどは、産業廃棄物「廃プラスチック類」として処分する。

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