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YSM-SPIP2011
タンパク質の変性状態をタンパク質の変性状態を生み出す生み出すタンパク質の変性状態をタンパク質の変性状態を生み出す生み出す競合効果競合効果松下勝義1 2 菊池誠1 3 4松下勝義1,2, 菊池誠1,3,4
1大阪大学CMC, 2蛋白研,3理,4生命機能
タンパク質とはなんぞや?
生物 体 構造物を作る材料生物の体の構造物を作る材料
酵素(化学反応触媒, 阻害)情報伝達(情報タンパク質, ホルモン)
物質輸送
etc …
生命はタンパク質の存在様式である生命はタンパク質の存在様式である
Friedrich Engels
生命 ~ タンパク質 提供: Wikipedia
目次
究 背景研究の背景
タンパク質の機能と構造
天然変性
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性
競合仮説と連続的な誤った折りたたみ遷移
Wako-Saito-Munoz-Eaton模型による解析
結合折りたたみの解析
研究の背景研究の背景
タンパク質構造と機能タンパク質構造と機能
タンパク質の機能と構造タ ク質 機能 構造機能鍵穴と鍵模型
鍵穴と鍵模型 酵素 応鍵穴と鍵模型(酵素反応)
構造が合う
構造が合わない
タンパク質の機能タンパク質の機能 = = 構造構造
酵素機能の選択性
タンパク質の機能タンパク質の機能 = = 構造構造
Fischer Ber. Dt. Chem. Ges. 27: 2985–93 (1894)
タンパク質の機能と構造タ ク質 機能 構造構造(1) アミノ酸配列と一次構造
酸
提供: Wikipedia
アミノ酸
縮合反応
タンパク質はアミノ酸残基の一次元配列(一次構造)
タンパク質の機能と構造タ ク質 機能 構造構造(2)折りたたみの駆動力:疎水性
中性側鎖 疎水性提供: Wikipedia
中性側鎖 = 疎水性提供: Wikipedia
極性がない水 水素結合を切断 ピ を する水の水素結合を切断しエントロピーをロスする
疎水性の部分を水から遠ざけたい
折りたたみ折りたたみ折りたたみ折りたたみ
タンパク質の機能と構造タ ク質 機能 構造構造(3)二、三次構造
クαヘリックス 分極を消し、主鎖上の親水性をなくす。
βヘアピン
疎水性の側鎖をタンパク質内部に集める。
提供: Wikipedia疎水性の側鎖をタン ク質内部に集める。
立体構造(二次構造、三次構造)
タンパク質の機能と構造タ ク質 機能 構造安定性(1)ANFINSENの熱力学仮説
Anfinsen’s DogmaRNaseA (リボヌクレアーゼ)
ジスルフィド(S S)結合4個で構造が安定化ジスルフィド(S-S)結合4個で構造が安定化
(Haber and Anfinsen J. Bio. Chem. 237, 1839 (1962))尿素で結合を切ることができる
提供: Wikipedia
尿素で結合を切った後、酵素で尿素を分解
RNaseARNaseAの機能が回復!の機能が回復!
構造(機能) はアミノ酸残基配列からのみ決定され熱力学的に安定である熱力学的に安定である。
タンパク質の機能と構造タ ク質 機能 構造安定性(2)FOLDING FUNNEL
ネ ギ 地エネルギー地形 (Leopold et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 8721 1992)Anfinsen’s ドグマを満たすために:
漏斗状(Funnel)構造
ギ自由エネルギー地形
変性(Denatured)状態と天然(Native)状態の二状態遷移(1次転移)
ある温度Tfで比熱がピークを取る折りたたみ転移
統計物理学的現象
タンパク質の機能と構造タ ク質 機能 構造安定性(3)整合性原理と最小競合原理
整合性原理整合性原理
(Go, Annu. Rev. Biophys. Bioeng. 12 183 1983)Levinthal パラドックス (Levinthal 1969)Levinthal パラドックス (Levinthal 1969)
Conformation entropy ~ N (残基数)→ W (状態数) = exp N ~ 1048 (N ~ 100) : 折りたたみに天文学的時間
局所構造が全体構造と無矛盾局所構造が全体構造と無矛盾
→ W ~ 1→ Go 模型 (格子タンパク質模型, 分子動力学模型)
最小競合原理(Bryngelson and Wolynes Proc Natl Acad Sci USA 84 7524 (1987))(Bryngelson and Wolynes, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84 7524 (1987))ランダムヘテロポリマー
→ タンパク質は安定構造が一意にデザインされていてグラスではない
タンパク質は競合が無いようにデザインされているタンパク質は競合が無いようにデザインされている
研究の背景研究の背景
天然変性天然変性
天然変性天然変性天然変性領域の性質(1) :結合折りたたみ
然変性 領域天然変性(Intrinsic disorder)領域
天然の環境下では構造が無い部分
機能が無い→ 機能が無い
生物情報科学的解析
(Dunker et al Pac Symp Biocompt 3 473 (1998))(Dunker et al. Pac. Symp. Biocompt. 3, 473 (1998))
unfolded-folded状態遷移を伴ったTarget分子との結合で分子認識
結合折りたたみ (Coupled folding and binding)相手との親和性を高める
複数の相手と相互作用複数の相手と相互作用
(Kawaguchi et al. J. Biochem. 122, 55 (1997))
タンパク質相互作用ネ トワ ク制御→ タンパク質相互作用ネットワーク制御
天然変性天然変性天然変性領域の性質(2) :結合折りたたみの観測
pKid-Kix (Wright and Dyson, J. Mol. Bio. 293, 321 (1999)) pKidは単体では天然変性
Ki と結合し二つの h li を作るKixと結合し二つのα-helixを作る
NRSF (Nomura et al, J. Mol. Bio. 354, 903 (2005))NRSF (Nomura et al, J. Mol. Bio. 354, 903 (2005))NRSFは単体では天然変性
Sin3と結合し一つのα-helixを作る
天然変性天然変性結合折りたたみと疎水性:研究の動機
結合折りたたみ結合折りたたみ疎水性により駆動される
(Sugase et al Nature 447 1021 (2007))(Sugase et al. Nature 447, 1021 (2007))疎水性は折りたたみを駆動する
しかししかし….
結合部位は天然変性である結合部位は天然変性である
天然変性と疎水性を整合的に説明できるか?
この状況を説明する理論的枠組みを作りたい。
既存 折りたたみ 理論と 統合既存の折りたたみの理論との統合
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性競合誘起天然変性
競合仮説と連続的な誤 た折りたたみ遷移競合仮説と連続的な誤った折りたたみ遷移
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性競合仮説
然変性状態 全原 シ シ天然変性状態の全原子MDシミュレーション(Higo)NRSF単体ではhairpin様の構造を多く採る。
h i i 状構造はそれほど安定ではないhairpin状構造はそれほど安定ではない。
α-helix構造も取る場合がある。
競合仮説
Hairpin状構造とα-helix構造を作る残基間結合が共存している?
競合仮説誤った折りたたみ状態(hairpin)
VS
競合が起きて安定な構造を採れない → 天然変性
折りたたんだ状態(α-helix)
整合性原理の破れ
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性連続的な誤った折りたたみ遷移
競合 た模型競合の入った模型
Dual-Go模型:二つの安定構造を持つ
(T k i d Kik hi Bi h J 93 3820 (2007))(Takagi and Kikuchi, Biophys. J. 93, 3820 (2007))天然変性を示さない 競合だけでは不十分
推測:“折りたたんでいない状態”から“誤った折りたたみ状態”への非協力的(連続遷移)
誤った折りたたみ状態への遷移が協力的(不連続転移的)明確な残基間結合 ××
誤 た折りたたみ状態へのグラス転移誤った折りたたみ状態へのグラス転移
状態がクエンチ ××
推測 誤 た折りたたみ状態 の転移は非協力性(連続的)推測: 誤った折りたたみ状態への転移は非協力性(連続的)変性状態は折りたたんでいない状態と誤った状態の中間状態
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性競合誘起天然変性
W k S it M E t 模型による解析Wako-Saito-Munoz-Eaton模型による解析
整合性原理とそれに基づく模型
G 模型Go模型
天然状態での残基間接触→ 引力的相互作用
Folding Funnelを再現→ タンパク質の折りたたみを説明
Wako-Saito-Munoz-Eaton 模型
Zimm-Bragg模型
Ising 0 ( f ld d) 1 (f ld d)Ising, mi =0 (unfolded) , 1 (folded)Go的相互作用
エネルギー
エントロピエントロピー
新たにフラストレーションを入れる必要がある。
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性競合WAKO-SAITO-MUNOZ-EATON模型
誤 た結合誤った結合
接触自由度 c = { 0, 1 }折りたたんでいない状態と誤った状態を区別折りたたんでいない状態と誤った状態を区別
誤った折りたたみ状態からの影響
エネルギー結合によるエネルギー利得
競合によるエネルギー損失
エントロピー 結合によるエントロピー損失
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性
NRSFを模型化
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性NRSFの競合WAKO-SAITO-MUNOZ-EATON模型
NRSFを模型化
折りたたんだ状態 Sin3上の結合状態 α-helixi番目残基とi+4番目残基が相互作用
誤った状態 hairpin状態
非協力性をもつ結合をデザイン
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性
現れる状況
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性NRSFの競合WAKO-SAITO-MUNOZ-EATON模型(2)
現れる状況
折りたたんだ状態 誤った折りたたみ状態変性状態
天然状態(結合) 変性状態
α−helix(天然状態) Hairpin(変性状態)
天然変性状態
Nativeness : 天然状態への折りたたみの秩序変数
折りたたんでいない状態(変性状態)
F t ti t t f ti Frustrating contact fraction: 誤った結合による接触割合
比熱C, 感受率χα , χu
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性結果(1): 熱力学的特性
熱力学量 と 誤 た結合 結合定数 依存性熱力学量のTとη(誤った結合の結合定数)への依存性。
η : 弱結合 η : 強結合η : 中間
中間的な結合で
が成 なΤ0でCα, Cuが成長しない
→ 折りたたんでも誤ってもいない中間状態
Τ0がΤfであり、疎水性が天然構造への折りたたみを誘起できない
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性結果(2): 自由エネルギー地形
折りたたんだ 折りたたん な 誤 た折りたたみ 中間状態折りたたんだ、折りたたんでいない、誤った折りたたみ、中間状態の自由エネルギー地形
折りたたんでいない 中間状態折りたたんでいない 中間状態
誤った折りたたみ 折りたたんだ
中間状態は広い低自由エネルギー領域を持つ → 天然変性
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性結果(3): 非協力性の効果I
状態遷移 様状態遷移の様子
協力的続転(不連続転移)
非協力的(連続転移)
非協力性(連続転移)をデザイン非協力性(連続転移)をデザイン
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性結果(4): 非協力性の効果II
相図 協力的非協力的相図 協力的非協力的
非協力性(連続転移)が中間状態をより現れやすくする
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性競合誘起天然変性
結合折りたたみの解析結合折りたたみの解析
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性TARGETとの結合(1):模型
Targetとの結合の効果Targetとの結合の効果
結合自由度 b = { 0 1 }結合自由度 b = { 0, 1 }非結合状態と結合状態を区別
Targetとの結合の効果
h
秩序変数, Bindness Cb : Targetと結合している残基の割合
エネルギー h = ε
.
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性TARGETとの結合(1):熱力学的特性の変化
熱力学量のTへの依存性熱力学量のTへの依存性。
Targetを導入
TbがT0以上に現れ、Tuが存在しない → Targetが誤り結合を修正
T が上昇しT 以上になる 結合誘起の結合折りたたみTfが上昇しT0以上になる→ 結合誘起の結合折りたたみ
天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性天然変性のシナリオ: 競合誘起天然変性TARGETとの結合(2):自由エネルギー地形
自由エネルギ自由エネルギー
Cα-Cu 空間
結合折りたたみ状態天然変性
Cα-Cb 空間
結合していない天然変性(中間)状態と結合した折りたたんだ状態結合していない天然変性(中間)状態と結合した折りたたんだ状態の間の1次転移
まとめまとめ
総括と結論
総括(競合誘起の天然変性の探索)総括(競合誘起の天然変性の探索)Wako-Saito-Munoz-Eaton + 競合する結合 模型構築競合誘起の天然変性の確認天然変性は折りたたまない状態と誤った状態の間の連続転移に伴う中間状態単純化された結合折りたた 再現単純化された結合折りたたみの再現Go型の模型の拡張して折りたたみ転移と天然変性の統合
結論結論競合誘起の天然変性は存在する
課題より現実的な模型は作成可能か?
Go的な残基1to1相互作用を超える扱いTargetの自由度並進、回転エントロピーの効果分子動力学的取り扱い
速度論的正当性ヘテロポリマーの一般論との関係他の結合誘起現象との関係
天然変性天然変性結合折りたたみの描像:BINDING AND FOLDING FUNNEL
自由 ネ ギ 地 結合と折りたた 統自由エネルギー地形 : 結合と折りたたみの統一
(Papoian and Wolynes Biopolymers. 68, 333 (2003))F f bi d Q d ti QFree energy of bindness Qb and nativeness Qf
自由エネルギー