アメリカの国語教科書における詩の創作指導 - 兵庫教育大学...

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147 アメリカの国語教科書における詩の創作指導 - h;3・、声ト・Jl中L>.:‥ - 111'..I. (昭和58年11月30日受理) はじめに ァメリカ合衆国の国語科教育についての理論書の記述をまとめると,詩の創作指導は次 のような特色のもとでおこなわれている。 o詩の創作にかかわる技法を発想法・取材法・表現技法などに分け,各学年の発達段階を 考えながら順次指導していく。 o指導にあたっては課題を与え,段階を踏んで高度なものへ導いていく。 O各技法ごとに指導するが,全体としてはそれぞれが関連しあったものになるよう工夫さ れている。 では,詩の創作について,実際にはどのような指導過程が考案され.どのような教材化 がなされているのであろうか。 それを探るために, 10数種の国語教科書(末尾に書名を掲げておいた)の詩の創作単元 について検討した。それらの中で最も詳L(1 S草の創作指導を扱っており,各学年の児童の 能力に応じた指導をおこなおうとしているE17もglish lsOurLanguageを本論において りあげることにする。 柔軟で,しかも体系的な指導過程のもとで,数多くの実例を示しながら,児童の実態に 応じた指導をおこなおうとする詩の創作指導の姿を具体的にとらえるための第1段階とし て,第3学年の詩の創作単元について考察する。 (第3学年をとりあげたのは,この学年 から本格的な詩の創作指導がなされるからである。) 教科書の本文を示しながら,そこにどのような工夫がなされ,どのようなねらいがある のかを考えていく。なお罫線で囲んだ部分が教科書の本文であり,それ以外は筆者の考察 によるものである。 1)単元の構成 「詩を楽しむ(ENJOYING POETRY)」の単元は、次の5つから構成 ている。 A.詩の朗読を聴く(LISTENING TO POETRY) B.詩におけるワ-ド・ピクチャー(WORD PICTURES IN POEM C.詩を作る(WRITING POEMS) D.詩の「群読」 (CHORAL SPEAKING) ♯兵庫教育大学第2部(言語系教育講座)

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147

アメリカの国語教科書における詩の創作指導

- h;3・、声ト・Jl中L>.:‥ -

111'..I.

(昭和58年11月30日受理)

はじめに

ァメリカ合衆国の国語科教育についての理論書の記述をまとめると,詩の創作指導は次

のような特色のもとでおこなわれている。

o詩の創作にかかわる技法を発想法・取材法・表現技法などに分け,各学年の発達段階を

考えながら順次指導していく。

o指導にあたっては課題を与え,段階を踏んで高度なものへ導いていく。

O各技法ごとに指導するが,全体としてはそれぞれが関連しあったものになるよう工夫さ

れている。

では,詩の創作について,実際にはどのような指導過程が考案され.どのような教材化

がなされているのであろうか。

それを探るために, 10数種の国語教科書(末尾に書名を掲げておいた)の詩の創作単元

について検討した。それらの中で最も詳L(1 S草の創作指導を扱っており,各学年の児童の

能力に応じた指導をおこなおうとしているE17もglish lsOurLanguageを本論においてはと

りあげることにする。

柔軟で,しかも体系的な指導過程のもとで,数多くの実例を示しながら,児童の実態に

応じた指導をおこなおうとする詩の創作指導の姿を具体的にとらえるための第1段階とし

て,第3学年の詩の創作単元について考察する。 (第3学年をとりあげたのは,この学年

から本格的な詩の創作指導がなされるからである。)

教科書の本文を示しながら,そこにどのような工夫がなされ,どのようなねらいがある

のかを考えていく。なお罫線で囲んだ部分が教科書の本文であり,それ以外は筆者の考察

によるものである。

1)単元の構成

「詩を楽しむ(ENJOYING POETRY)」の単元は、次の5つから構成され

ている。

A.詩の朗読を聴く(LISTENING TO POETRY)

B.詩におけるワ-ド・ピクチャー(WORD PICTURES IN POEMS)

C.詩を作る(WRITING POEMS)

D.詩の「群読」 (CHORAL SPEAKING)

♯兵庫教育大学第2部(言語系教育講座)

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E.詩のイントネーション(INTONATION IN POETRY)

Aは鑑賞を中心とする本単元の導入部である。 Bではワード・ピクチャー(イメージ)

を表現するいくつかの方法を指導する。 Cでは実際に詩を作らせる。 D ・ Eは詩の学習を

さらに深めるための音声表現の指導である。

2) A.詩の朗読を聴く(LISTENING TO POETRY)

次のゆかいな詩を先生が朗読するのを聴きましょう。

Some Cook!

Johnny made a custard

In the pepper pot.

Flavored it with mustard ,

Put in quite a lot

Of garlic fried in olive oil,

Brought the custard to a boil,

Ate it up and burned his tongue-

You shouldn t cook when

you re too young.

John Ciardi

Grandpa Dropped His Glasses

たいしたコックだ!

ジョニーがカスタードを作った

コショーのぴんの中に

カラシで昧つけ

たっぷり入れた

オリーブ才由であげたニンニクを

そのカスタードを煮た

そいつをベロリとほおばったらロの中が火事になった

お料理なんてしない方がいいよ。

小さいときは。

Grandpa dropped his glasses once

In a pot dye,

And when he put them on again

He saw a purple sky.

Purple birds were rising up

From a purple hill,

Men were grinding purple cider

At a purple mill

Purple Adeline was playing

With a purple doll,

Little purple dragonflies

Were crawling up the wall.

And at the supper table

He got crazy as a loon

From eating purple apple dumplings

With a purple spoon

Leroy F. Jackson

おじいちゃんがめがねを落とした,ら

おじちゃんがめがねを落としキことがあったんだ。

染料のつぼの中に。

そしても一度それをかけたら

空がむらさき色に見えた。

むらさき色の鳥が飛びあがる

むらさき色の丘から。

むらさき色のリンゴをすりつぶす

むらさき色のしぼり器で。

むらさき色のアデラインが遊んでる

むらさき色の人形と。

むらさき色の小さなトンボが

壁にとまってる。

冒E=SE>

おじいちゃんはおかしくなっちゃった

むらさき色のリンゴを食べたら

むらさき色のスプーンでO

ァメリカの国語教科書における詩の創作指導1-19

ここではまず2竃の詩が与えられるo詩の学習の導入として教師の朗読を通して鑑賞指

導をおこなう。

この2若が"ゆかいな詩(funny poem)"であることに注目したい.児童が詩の世界へ入

りこみやすいようにゆかいで動きのある詩を持ってきたのである。児童はこれらの詩に

興味を持ち,その世界に飛びこんでいくであろうO

またこれらの作品は,鑑賞のための作品であるだけでなく,同時に詩の発想,ものの見

方についてのヒントを示すものとなっている。 「たいしたコックだ!」では自分で料理

したところ失敗してしまったという,児童たちが一度は体験したことがあるであろうこと

がらを扱っているoこういう日常的身辺的なことも詩にすることができるという一例で

ある。 「おじいちゃんがめがねを落としたら」では,色メガネをかけたことによって世界

が違って見えたということをうたっている。詩を作るときに最も必要となるものの見方を

変えるということを,この作品を通して教えようとしているのである。

3) B.詩におけるワード・ピクチャー(WORD PICTURS IN POEMS)

ここではワード・ピクチャーに関する指導をおこなう。ワード・ピクチャーとは,心の

中に映る像,すなわちイメージ像のことである。

心の中にあるワード・ピクチャーをどのようにして言葉によって表せばよいかというこ

とについて, 9つに分けて述べられている。

あなたのまわりにはいろいろな「絵」があります。町にもEEl舎にもo窓からも車からも

「絵」を見ることができます。そして,心の中にも「絵」はあります。詩のことばは,

あなたの心の中に「絵」を作ります。 (作品は2篇載せられているが, 1篇は省略)

Skipping Along Alone ひとりばっちのスキップ

Oh, how I love to skip aloneほんとに私はひとりでスキップするのが好きなのよo

Along the beach in moisty wehther;小雨の浜辺で

The whole world seems my very own,この世界全部が私のものみたい

Each fluted shell and glistening stone,ミゾのある員も輝く石も

Each wave that twirls a silver feather.銀の羽根をひるがえす波も

I skip along so brave and big私はひとりで胸をはって大きくスキップする

Behind the sand birds gray and tiny.小さな灰色の海辺の鳥をおいかけて

I love to see their quick feet jig,私は鳥たちの足がはやく動くのを見るのが好き

Each leaves a mark, neat as a twig,足あとが残る,小枝のようにくっきりと

Stamped in the sand so clear and shiny-判でおしたようにくっきりと輝いて

And fine and faint as drops of sprayしぶきのつぶのようにこまかくかすんだ

I hear their little voices calling,烏たちのかぼそい呼び声が聞こえる

"Sweet, sweet! Sweet, sweet ! 「かわいいおじょうさん!かわいいおじょうさん! 」

Ihear them say-鳥の声が聞こえる

I love to skip alone and play私はひとりでスキップをして遊ぶのが好き

Along the sand when mist is falling.霧がたちこめる砂浜で

Winifred Welles

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これはBにおける導入である。児童のまわりにあるさまざまな「絵」を見つけ出させる

ために, 「ひとりばっちのスキップ」という作品によってイメージ化の練習をおこなう。

①いくつかのピクチャー・ワード(More Picture Words)

目をとじて先生の朗読を聴きなさい。どんな「絵」が心の中に浮かびますか?どの

ことばがはっきりした「絵」を与えましたか?詩の第一連と第二連とでは浮かんでくる

「絵」がどのように違いますか?

City Rain

Ram in the city!

I love to see it fall

Slantwise where the building crowd

Red brick and all.

Streets of shiny wetness

Where the taxis go,

With people and umbrellas all

Bobbing to and fro.

Raiu in the city!

I love to hear it drip

When I am cozy in my room

Snug as any ship,

with toys spread on the table,

With a picture book on two,

And the rain like a rumbling tune that sings

Through everything I do.

Rachel Field

蘭Slill

雨の町!

雨の降るのをながめるのが好き

ビルが立ちならぶ中ななめに落ちていく

赤レンガのも他のビルもみんなぬらして

ぬれて光る道

タクシーが行きかい

人とカサがあふれ

あちこち-と動きまわる。

雨の町!

雨音を聞くのが好き

部屋でくつろいでいるとき

船のようにゆったりと,

テーブルの上におもちゃをひろげて

-,二冊の絵本とともに,

雨はにぎやかな調子でうたう

私が何をしていても

教師の朗読を聴きながらのイメージ化の練習であるが, 「詩の第一連と第二連とでは浮

かんでくる絵がどのように違いますか」という質問が加えられている0 「雨の町」では,

第一連には窓から見える町の様子が,第二連には部屋の中の様子が描かれている。詩にお

いては,ひとつの絵(イメ-ジ)だけでなく,いくつかの絵を表現してもよいという実例

を示しているのである。そういう複数のイメージは,この詩のように視点を変えることに

よって得ることができ,またそれらを表現するときは,行間をあげて「連」を作る方法が

とられることを教えようとしている。そういう意味において,_詩の発想と表現技法両方に

わたっての指導となっている。

アメリカの国語教科書における詩の創作指導 151

(り音を表すことば(Sound Words)

詩のことばの中には,音を聞こえさせるものがあります。次の詩では,あなたはどんな

音を聞きましたか?

The Goblin 鬼

A goblin lives in our house, in ourhouse,一匹の鬼が私たちの家に住んでいる,

m our house,

A goblin lives in our house all the

year round.

He bumps

And he jumps

And he thumps

And he stumps.

He knocks

And he rocks

And he rattles at the locks.

私たちの家に,私たちの家にだよ。

年がら年じゅう鬼が私たちの家に住んでいる。

どすんとぶつかり

ピョンととびあがり

どんどんいわせる。

ゆさゆさゆさぶり

コンコンとびらをたたき

ガチャリとカギをかけ

カギをガチャガチャいわせる

A goblin lives in our house, in ourhouse,一匹の鬼が私たちの家に住んでいる,

in our house,私たちの家に,私たちの家にだよ,

A goblin lives in our house all the年がら年じゅう鬼が私たちの家に住んでいる。year round.

Rose Fyleman

㊥音を表すことばの練習(Practic Using Sound Words)

(a)他にもこんな音を表すことばがあります。声に出して読んでどらんなさい。どんな

感じがしますか?

chug whistle tapping roarボンボンビュービューコツコツガオ-

bang rumble howling chirpズドンゴロゴロウオーチュンチュン

buzz splash ringing tinkleブ-ンピチャンリンリンチリリン

zoom rustle whisper rattleグーンガサガサヒソヒソガタがタ

(d)次のものの音を表すことばを考えてみましょう。

thunder bells woodpecker雷給きつつき

wind fire foghorn風火霧笛

airplane train雨飛行機汽車

waves baby horse's hoofs波赤ちゃん馬のひづめ

(C)次の場所で聞こえる音を表すことばを考えてみましょう。

on a farm in the schoolroom農場教室

in a large city at a zoo or circus大都市動物園かサーカス

in a boat in the woodsポートの上森の中

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詩の表現技法の中でも,児童が最も多用する,すなわち最もイメージを表しやすいもの

である「音を表すことば」について指導する。

まず「鬼」という作品の鑑賞を通して,音を表すことばを用いるとイメージを生き生き

と表現できるということに気づかせる。

っづいて③では音を表すことばの練習を3つの課題を通しておこなう。 (a)では,まず音

を表すことばを示し,声に出して読ませて,どんな感じのする昔であるかを考えさせる。

(ち)では事物の名称を示し,それら昔を表すことばを引き出させる。 (C)では,場所を指定し,

その場所で聞こえるであろう音を言わせる。しだいにより複雑な課題になっている。特に

(C)では,与えられた場所のイメージを心の中に描き,そこから音を表すことばを引き出し

てこなければならない。単に音を表すことばと事物とを結びっける練習で終らず,イメー

ジ(ピクチャー)を生き生きと表現することにかかわる課題になるよう工夫されているの

である。

④詩における感情(Feeling in Poem)

次の詩の朗読を聞いて,どんなふうに感じましたか?この詩に出てくる子どもはどんなふうに

感じていますか?

この詩の, 「絵」を与えることば(picture word)と音を表すことばが,あなたに静かな感じ

を与えるもとになっていることに注意しましょう。

Night Was Creeping

The Ningt was creeping on the ground!

She crept and did not make a sound,

Until she reached the tree; And then

She covered it, and stole again

Along the grass beside the wall!

-I heard the rustling of her shawl

As she threw blackness everywhere

Along the sky, the ground, the air,

And in the room where I was hid!

But, no matter what she did

To everything that was without,

She could not put my candle out!

So I stared at the Night! And she

Stared back solemnly at me!

夜はしのび足で

夜は地をはっている!

かの女はしのび足で音も立てない,

木にたどりつくまで:そして

それをおおい,さらにすすむ

壁のそばの草のところを!

-私はかの女のショールがサラサラいう昔を聞いた

かの女はあらゆるところへ闇を投げかける

空へ,地面へ,まわりへ,

私が隠れていた部屋の中にも!

いくらかの女が闇を投げかけようとも

闇をもたないものすべてへ,

かの女は私のローソクを消せはしない!

だから私は夜を見つめる!そして

かの女は私を重々しく見つめかえす!

James Stephens

㊥詩に表された感情を比べてみよう(Comparing in poem)

あなたが大きな店の中で迷子になったとしましょう。次の詩はそんな時のあなたの感

情をよく表していますか?

「迷子になった時」と「夜はしのび足で」を聴いて,同じような感じがしましたか。

この二つの詩に表された感情はどうちがいますか?

When I Was Lost

ァメ・)カの国語教科書における詩の創作指導

迷子になったとき

Underneath my belt

My stomach was a stone.

Sinking was the way I felt.

And hollow.

And Alone.

Dorothy Aldis

ベルトの下で

胃が石みたいになった。

ぼくは心細さを感じた。

空腹。

孤独。

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①~@がおもに詩における動作や情景の描写にかかわる指導であったのに対して,この

④では詩における感情の表現に注目させる。詩作品の中には,動作や情景を描写しながら

も,その実,心の動きを表現しているものもあることに気づかせようとしているのであ

oe

「夜はしのび足で」では,夜の情景を描写しているが,そこには闇をぶきみに感じてい

る作者の不安感が投影されている。一方, ⑤の「迷子になったとき」では「ぼくは心細さを

感じた」と,作者の不安が直裁に表現されている。この2つを比較することにより,詩に

おける感情表現の2つの方法(「描写による間接的方法」と「直裁的方法」)を児童は学ぶこと

ができる。

⑥直喰(Similes in poem)

目をとじて次の詩の朗読を聴き,心に浮んでくる美しい「絵」を見てE:らんなさい。

やぶがどんなようだと比暁を使っていますか?

First Snow

Snow makers whiteness where it falls.

The bushes look like popcorn-balls.

The places where I always play ,

Look like somewhere else today.

Marie Louise Allen

⑦直櫨の練習(Practice Making Similes)

次の詩を読んでみましょう。

Soft Things

I love soft things

So very much!

Soft things to feel,

Soft things to touch.

A cushioned chair,

初雪

雪は降ったところを真白にする。

やぶはまるでボブコーンみたいだ.

ぼくがいつも遊ぶ場所が

今日はちがう場所みたいだ。

やわらかいもの

私はやわらかいものが好き

とっても!

やわらかいものは気持ちがいい

やわらかいものはさわってみたくなる。

クッションのいいイス,

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A furry muff,

A baby s cheek,

A powder puff ;

A bedtime kiss,

A gentle breeze>

My poppy s ear-

I love all these!

Vivian G. Gouled

毛のフサフサしたマフ,

赤ちゃんのほっペ,

化粧用のパフ,

おやすみなさいのキス,

そよ風,

小犬の耳-

ぼくはみんな大好き!

この詩の中のことばをかりて, 「~と同じくらいやわらかい(as soft as)」を使って直喰表現

を作ってみましょう。

My kitten is as soft as a furry muff.小猫は毛のフサフサしたマフと同じくらいやわ

らかい。

My muff is as soft as a kitten.マフは小猫と同じくらいやわらかい。

他のやわらかいものを見つけて下さい。そのことばと下のことばで, 「~と同じくらいやわらか

い」を使って直喰表現を作ってみましょうo

kitten sheep falling snow小猫ひつじ舞い落ちる雪

rose petal silk green mossバラの花びら絹緑のコケ

ここでは直橡について指導する。この教科書では,隠境を扱うのは第4学年においてで

ある。 「~のよう(looklike-)」ということばが添えられ,比境であることが明示さ

れる直嘘の方が,児童にとっては使いやすい技法である。直境を隠境より先に教えるのは,

児童の発達段階を考慮した適切な指導であろう。

⑥の「初雪」では「ボブコーンみたい」という直喰表現が使われている。一方, ⑦の

「やわらかいもの」には直喰表現は見当らない、そのかわり,この作品ではやわらかいも

のを具体的に挙げていく"ものづくし''の手法が使われている。そして,この詩に挙げら

れたものを用いて,直喰表現を作れという課題が与えられる。 「やわらかいもの」は,直

喰表現を作り出すための取材法のヒントともなっているのである。

また, 「初雪」の「ボブコーンみたい」は視覚をもとにした直喰表現であり, 「やわら

かいもの」の"ものづくし"は触覚によってやわらかいと認められたものを挙げているこ

とに注意したい。ともすれば視覚的なものにかたよりかちな直喰表現について,他の感覚

をも働かせるべきであることを示していると思われる。

⑧動作を表すことば(Action Words)

次の詩では多くの動作を表すことばが使われている。どんな動作のように聞こえますか?ネコ

の他の動作についての動作を表すことばを考えてみましょう。

-行目のfurと三行目のpurrとは音がにていますね。こういうことばを「韻を踏んだこと

ば(rhyming words)」といいます。この詩の他の「韻を踏んだことば」をさがしてみよ

ァメリカの国語教科書における詩の創作指導

つ。

A Kitten

He's nothing much but fur

And two round eyes of blue,

He has a giant purr

And a midget mew.

He darts and pats the air,

He startsand cocks his ear,

When there is nothing there

For him to see and hear.

He runs around in rings,

But why we cannot tell;

With sideways leaps he springs

At things invisible-

Then half-way through a leap

His started eyeballs close,

And he drops off to sleep

With one paw on his nose.

Eleanor Farjeon

子猫

フサフサした毛と

ふたつのまあるい青い眼だけなんだ。

大きくのどを鳴らし

そして小さくニヤンと鳴く。

空気にとびかかりそしてたたく

おどろいて耳をピンと立てる

何も見えなくても

聞こえなくても。

グルグルかけまわる,

なぜなのかは言えないけど,

槙っとびにとびあがる

眼に見えないものにむかって

とびはねてたかと思うと

見ひらいていたまぶたをとじる,

そして眠りに落ちる

鼻に片足をそえて。

⑨文を作る練習(Practice : Writing Sentences)

次の1 -10の下線を引いたことばを行の初めに置き,そのあとに4つの動作を表すことばを

置いて,次の例のような句を4つ作りなさい。それらを比べ,どの「音」や「絵」がよいかを

決めなさい。そして,もっともよいものを中心のことばにし,他のことばを加えて文を作りな

さい。中心のことばには下線を引きなさい。

<例>

Bumblebees buzz. Bumblebees hum.

Bumblebees drone. Bumblebees murmur.

The big bntblebees drone lazily in the garden.

マル-ナバチブンプンマルハナバチプ-ン

マルハナ/ヾチウ-ンマル-ナバチザワザワ

大きなマルハ ナバチがプンブンとのんびり庭をと 13

1. bumblebees + buzz, drone, hum, murmur

2. horses + clop-clop, clatter, clump, plod

3. stars + shine, glitter, sparkle, gleam

155

"*lozr>oooOio1

grasshopper + leaps, springs, jumps, bounds

bac聖sizzles, sputters, crackles, hissestrees + rustle, sway, bend, stir

motor + purrs, hums, thumps, knocks

door + creaks, grates, squeaks, rattles

puppy十whines, wails, whimpers, cries

thunder + crashes, booms, thuds, rumbles

+ブンブン,プ-ン,ウ-ン,ザワザワ1.マルハナノヾチ

2.局+パカバカ,ガタゴト,ドシンドシン,コツコツ

3.屋+キラリ,ピカピカ,ヰラキラ.チラチラ

4.バッタ+ポーン,ピョンピョン,ビョーン,ポ-ンポーン

5.ベーコン+ジュージュー,パチパチ,ジュンジュン,シュ-シュー

6.木+カサカサ,グラグラ,グニヤダニヤ,サラサラ

7.モータ-+ゴロゴロ,ブンブン,ガタガタ,コンコン

8.ドT +ヰI-辛-一. +'一一ギ- +-蝣シ半シ.ガタガs?

9・王墓+キュンキ-ン,クンクン,ヰヤンキャン,ウォンウォン

10.冒+ガラガラ,ドーン,ドシン,ゴロゴロ

ここでは,音を表すことばと同様に,詩において多用される動作を表すことばを扱う。

まず「子猫」という作品を通して,動作を表すことばについて考えさせる。ここでは

「韻を踏んだことば」について簡単に触れている。この学年においては,脚韻についての

べているのはこの部分だけである。この教科書において本格的に脚韻を扱うのは第六学年

である。これは脚韻が児童にとって最も難しい技法のひとつであるからであろう。その脚

韻についてここで触れているのは,この動作を表すことばが脚韻を踏む際によく使用され

るためである。

⑨では,あるものの動作を表す4つのことばを与え,どれがイメージに合うかを選択さ

せ,そのことばを使って短い文を作らせる。ことばの選択だけで終らず,短い文を作らせ

ることによって,児童は心の中に絵(イメージ)を括かねばならなくなる。単なる技法の

練習ではなく,イメージをどう表現するかということに重点を置いた指導になるように工

夫されていることがわかる。

4) C.詩を作る(WR汀ING POEM)

いよいよ詩の実作に入る、まずは次のような詩が示される。

次の詩は子供が作った詩です。あなたに「絵」を見せたり,音を聞かせたりするために,ど

んなことばを使っていますか?

Snow 雪

Slowly, softly the snow drifts down,ゆっくりと,やさしく雪が舞い降りる,

Quiet as sleep,ねむるようにしずかに,

アメリカの国語教科書における詩の創作指導

Quiet as night,

The snow comes drifting down.

Leaves in Fall

Listen Listen!

The leaves are rustling

As they fall.

Are they whispering,

Whispering secrets

As they fall?

The Thunder

When the thunder rolls

And mutters,

It sounds like many houses

Falling down.

Sliver Rain

Ram looks like long silver needles

And they have golden tips

When the sun shines.

夜のようにしずかに,

雪は舞い降りてくる。

舞い落ちる木の葉

聴いてどらん!聴いてどらん!

木の糞がカサカサと音を立てている

舞い落ちながら

木の葉はささやいているの

ひみつのことばを

舞い落ちながら?

蝣-1蝣LU

富がドンドン

がラガラ落ちるときは,

たくさんの家が

倒れるような音がする。

銀の雨

雨は長い銀の針のよう

そして金の頭を持つ

陽に輝くとき。

157

詩の各行の最初の単語の最初はどんな文字で書かれていますか? -詩の各行の最初の単語の

最初は大文字で書きましょう。

創作にとりかかる前にこれらの詩を読ませる。これまで与えられた作品がほとんど大人

の作品であったのに対して,これらは全て児童の(おそらく学習者と同じ第3学年の)作

品である。大人の作品を鑑賞用として,また表現技法の手本として示すのはよいが,同じ

ような作品を作れと児童に要求するのは無理なことである。ここで児童の作品を示すこと

により,どの程度のものを作ればよいのかがはっきりする。

またこれらの作品には,これまで学習してきた音を表すことば,動作を表すことば,直

境などが使われており,表現技法の復習ともなっている。

そして,実際に詩を作るときに問題となる表記のことに触れ,注意をうながしている。

①あるインディアンの少年の作った時(An Indian Boy's Poem)

次の詩はナバホ・インディアンの少年が書いた詩です。学校について彼はどう感じてい

ますか?なぜ彼はホームシックになったのでしょう。 「メサ(mesa)」というのは,いた

だきが平たい丘のことです。

158

If

lf I were a pony,

A spotted pinto pony,

A good racing pony,

I would run away from school.

I d gallop on the mesa

And Id eat on the mesa,

And ld sleep on the mesa,

And I d never think of school.

もし

もしぼくが子馬なら,

まだら模様のある子馬なら,

足の速い子馬なら,

学校をぬけ出してやる。

ぼくは丘にかけあがる

丘の上で草を食べ,

丘の上で眠る,

学校のことなんて思い出しもしない

次にもうー篇,児童の作品が示される。 1行目に「もしぼくが~なら(If I were-)」

というフレーズが使われていることに注目したい。この「もしぼくが~なら」は,児童が

最も得意とする発想である。何を書いたらよいのかわからない児童でら,こういう発想の

しかたを教えてやりさえすれば,喜んで書き始めることが多い。児童にとって最も使いや

すい発想法のひとつを具体例を通して示しているのである。

㊥詩の題(Titles of Poems)

1. Ona Windy Day

2. ARainy Day

1.風の強い日

2.両の日

3. Playing in the Rain

4. In a Snowstorm

3,両の中での遊び

4.ふぶき

⑨詩の題を書く練習(Practice: Writinn Titles of poem)

次の詩の題を正しく書きなおしましょう。

1. adayatthefarm

2. keeping a secret

3. an old apple tree

4. a day in spring

5. the horses of sea

6. watching my shadow

7. the wind and the moon

the song of bluebird

詩を書くときに,多くの児童はまず題を決めることからとりかかる。小学校低学年の場

合,詩の題がそのまま詩の内容を示しているものが多い。題が決まれば,詩に表現しよう

とするイメージもおのずと明瞭になる。そういう意味で重要な"詩の第1行"としての題

に焦点をあてているのである。

注意点や課題は表記について述べているが,表記上の注意を与えるとともに,具体的な

題をいくつか示すことにより題を見つけ出すヒントを与えようとしている。

④あなた自身の詩(Your Own Poem)

あなたも詩を書いてみましょう。

ここに詩を作るきっかけになりそうなことばがあります。この中から選ぶか,自分がみつけるか

ァメリカの国語教科書における詩の創作指導 159

して,あなたが見たり,聞いたり,感じたりしていることについて詩を書きましょうo )

脚韻について気をくぼる必要はありません。生き生きとした「絵」を作り出すことばを使い

ましょう。

詩のおもしろいアイディアが浮かんだら,すぐに書きましょう。それが心の中から消えてし

まわないうちに,紙に書くことが大切です。

A playful puppy

A mother cat

A cowboy

A let plane

A rainbow

A snowstorm

Noises in the cityじゃれる子犬街の騒音

Sounds in the country母猫田舎の音

A inarching bandカウポ-イマーチングバンド

Dandelionsジット機タンポポ

Skyscrapers虹高層ビル

Noisy sparrowsふぶきやかましいスズメ

さまざまな段階を経た上で,いよいよ創作にとりかからせる。ここでも多くの題の例が

与えられる。

「脚韻について気をくぼる必要はありません。生き生きとした絵を作り出すことばを使

いましょう。詩のおもしろいアイディアが浮かんだから,すぐ書きましょう。それが心の

中から消えてしまわないうちに,紙に書くことが大切です。」という注意が添えられてい

る。児童にとって最も難しい技法のひとつである脚韻について気を配る必要はないという

注意は,第3学年ということを考えれば当然である。 「生き生きとした絵を作り出すこと

ばを使え」 「アイディアが浮かんだら書け」という注意から,技法をこねまわして詩を書

くのではなく,それぞれの絵(イメージ)を素直に生き生きと表現することを重視してい

ることがうかがえる。

5) D.詩の「群読」 (CHORAL SPEAKING)

詩を集団で,役割をきめて「群読」してみよう。

「群読」の詩の例

The Wind 風

First Child: I heard the wind blow.児童l :私は風の昔を聞いた。

Second Child: I saw the wind blow.児童2 :私は風を見た。

Class: It whistled.全員:サヤサヤ,

It whirred,ヒュ-ヒュー

It whirled.クルクル。

First Child: The branches crackled,児童1 :木の枝が音をたてる。

Second Child: The green leaves shook,児童2 :緑の菓っぱがふるえる。

Class: And twisted,全員:グルグル,

And trembled,ブルブル,

160

And curled.

First Child: The wind blew loud.

Second Child: The wind blew long.

Class: It rumbled,

It thundered,

It roared.

First Child: The great trees swayed.

Second Child: The sky grew black,

Class: And it rained,

And it stormed,

And it poured.

Ilo Orleans

ダニヤグニヤ。

児童1 :風は音をたてて吹く。

児童2 :風は長く吹く。

全員:ゴロコロ

ガラガラ,

ゴウゴウ。

児童l :大きな木がゆれる。

児童2 :空が黒くなる。

全員:雨が降る,

あらしになる,

土砂降りになる。

詩の学習のまとめ,応用として,詩の群読をおこなう。詩をいくつかに分け,個人また

は小集団で声を出して読むところと全員で読むところを決めるOクラス全員が参加する朗

読である。パ-ト分けや声の調子の変化などの演出によって,詩の生み出すイメージが微

妙に変わってくる。音声表現を通して詩の世界に入りこんだ児童は,改めて詩の表現につ

いて考えることであろう。 (群読のための作品は3篇載せられてあるが,他の2篇は省略

した。)

この後, Eとして「詩のイントネーション(INTONATION IN POETRY)」

があり,声の高低・強弱に注意しようという注意が与えられるが,本論では省略した。

まとめ

これまで述べてきた第3学年における詩の創作単元の構成をまとめると次のようになる。

アメI)力の国語教科書における詩の創作指導 161

単 元 内 の 構 成 内 容 ね ら い

A . 詩の朗読を聴く 朗読による詩的世界への 詩的発想 .表現の例示

詩的表現の分析的指導

連の使い方の例示

聴覚表現の例示

聴覚表現の練習

感情表現の例示

比職を使った詩の例示

視覚的直暁の例示

行動描写の練習

発想 .表現 。表記の実

( L IST E N IN G T O P O E T R Y ) 導入

B . 詩におけるワー ド. ピクチャー ワード. ピクチャーの活

(W O R D P IC T U R E S IN P O E T R Y ) 用

1. ピクチャー .ワード

(M ore' P ic ture W ord )

2. 昔を表す ことば

イメージ化の練習

音を表すことばを使 った

( S o u n d W ord s ) 詩の例

3. 音を表すことばの練習 昔を表す ことばを使う練

(U sing S o un d W ord s ) 習

4. 詩における感情

(F ee lir唱 in Fb em s )

5- 詩に表された感情を比べてみよう

(C om p a rir唱 in Poem s )

6l 直喰

(S im iles in Fb e m s )

7. 直職の練習

(M ak ing S im iles )

8一動作を表すことば

感情を表 した詩の例

詩の感情表現の比較

直職を使った詩の例

E直喰表現の練習

動作を表すことばを使 つ

(A ction W o rds ) た詩 .n jlij

9. 文を作 る練習

(W ritii唱 S en te nce s )

C . 詩を作る

動作を表すことばの練習

詩の実作, 表記上の注意

児童の詩の例

詩の題の表記について考

(W R IT IN G P O E M S ) 際の活用

1. インディアンの少年の詩

(A n In d ia n B o y 's Iもem )

2. 詩の題

発想 .表現の例示

題の重要性

題への焦点化

自由詩の創作

詩の学習の応用

詩の学習の応用

(T itle s of P o e m s ) えさせる

3一詩の題を書く練習

(W ritin g T it les of Poe m s )

4. あなた自身の詩

詩の題を正 しく書く練習

脚韻にとらわれないで、

(Y o u r O w n P oe m s ) 自由に詩を書かせる

D e 詩の 「群読」

(C月O R A L S P E A K IN G )

E . 詩のイントネーション

(IN T O N A T IO N IN F℃E T R Y )

音声による表現

音声による表現 F

¥62

5つの節はそれぞれ, Aは鑑賞の指導(導入), Bは詩の技法の指導, Cは創作の指導,

D, Eは音声表現の指導(応用)という内容である。創作をさせるまでに,鑑賞,表現技

法と段階を踏み,創作のあとにも音声表現という応用の学習を置いている。創作させるこ

とが中心となってはいるが,それだけがこの単元の目的ではない。創作を核にして「詩を

楽しむ(ENJOYING POETRY)」ことを教えることが,この単元のねらいであ

る。

Eでは,詩の技法について,発想法,表現技法など,さまざまな面から指導している。

児童の能力を考慮した9つの課題を通して,段階を踏んで指導がなされるわけであるが,

それらは全体としては共通の基盤を持ったものとなっている。自分のイメージをどうすれ

ば生き生きとうまく表現することができるか,という問題がその基盤である。技法を覚え

させることが目的ではなく,自分のイメージを表現するためには,どの技法を使うのが一

番いいかを考えさせることに重点が置かれているのである。

数多くの作品が児童に与えられるが,それらは単なる技法の見本というだけではなく,

児童にとって入りこみやすい世界を持つものが選ばれ,豊かな詩的発想へ導くものともなっ

ている。

児童の詩の世界を大切に育てていこうという基本姿勢のもとで,このように柔軟で,

しかも互いにつながり合った指導過程が実践されているのである。

言語,制度,文化の相違はあるが,詩の創作指導のあり方について学ぶべき点は多い

と思われる。I

(注)

(1)一口に教科書といっても,アメリカにおいては,非常に多くの教科書が出版されている。例え

ばWillcox & Flollett社の教科書カタログ(1983年版)には,およそ百社の国語科教科書出

版社が紹介されている。各社とも数種の教科書を出しているので,総数では二百種以上を数える

であろう。

今回,詩の創作指導について検討した教科書は以下のものである。

English ls Our Language, D. C. Heath and Company, 1968,

The Language Arts丹ogram, Scott, Foresman and Company, 1965,

The Harper & Row Basic Reading Program, Harper & Row, Publishers,

Inc.1966,

Language for地aning, Houghton Mifflin Company, 1968,

The Bookmark Reading Programs, Harcourt Brace Jovanovich,Inc. 1970,

The Houghton Mfflin Readers, Houghton Mifflin Company, 1971 ,

Our Language Today, American Book Company, 1971,

Concepb in Communication, Holt, Rinehart, and Wination.Inc. 1974,

The McGraw-Hill Language Arts Program, McGraw-Hill, 1974,

Houghton棚in Reading Series, Houghton Mifflin Company, 1976,The Good English Program, Laidlaw Brothers, 1979,

アメリカの国語教科再における詩の創作指導 163

<参考文献>

L. B. Mirnelees,Teaching Composition and Literature, 1952,

M. L. Flower, Teaching Language, Composition, and Literature, 1965,

P. S. Anderson, Language Skill in Elementary Education, 1979,

P- C. Burns and B. L. Broman, The LanguageArts in Childhood Education, 1979,

C. J. Fisher and C. A. Terry, Children's language and the Language Arts, 1982,

付記1.本論は第64回全国大学国語教育学会(1983年,東京)においての口頭発表の一部

を補綴したものである。

付記2.詩に大意訳をつけるにあたり,本学の高谷隆一助手から多くの助言をいただいた。

深く感謝申し上げる。

付記3・アメリカの詩の創作指導において,どのような指導の流れが構想され,どのよう

な詩を児童に作らせているかについては, 「アメリカにおける児童詩の創作指導」

(「言語表現研究」第2号,兵庫教育大学言語表現学会, 1983年)にまとめた。

164

TEACHING CHILDREN TO WRITE POEM IN THE U. S. A.

WITH SPECIAL REFERENCE TO THE THIRD GRADERS'TEXTBOOK

YUJI HORIE

It is said that there are some characteristic features of the teaching children to

write poem in U. S. A. as follows.

a) Children are taught various separate techniques which are ordered ones to more

advanced ones.

b) Children are given some subjects which are suitable for their age when they

learn techniques of writing poems.

d Childrem become good poem witers through writing poem about those subjects by

?ree.

The aim of this paper is to analize textbooks used in teaching poem writing in

the U. S. A. in order to confirm those chractenstic features.