ソフトウェア開発データ白書と 定量データの活用方法 ·...

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Information-technology Promotion Agency, Japan Software Engineering Center Software Engineering Center Copyright© 2010 Information-technology Promotion Agency, Japan. All rights reserved. ET WEST 2010ブース内セミナー IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 SEC ソフトウェア・エンジニアリング・センター 2010年6月17日~18日 ソフトウェア開発データ白書と 定量データの活用方法 SEC研究員 小椋

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Page 1: ソフトウェア開発データ白書と 定量データの活用方法 · ②計画:工数比率の分析結果とデータの見方 ・比率が高い工程には「それだけ多くの作業工数がかかる」。

Information-technology Promotion Agency, Japan

SoftwareEngineeringCenter

Software Engineering CenterCopyright© 2010 Information-technology Promotion Agency, Japan. All rights reserved.

ET WEST 2010ブース内セミナー

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

SEC ソフトウェア・エンジニアリング・センター

2010年6月17日~18日

ソフトウェア開発データ白書と定量データの活用方法

SEC研究員 小椋 隆

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SECSoftware Engineeringfor Mo・No・Zu・Ku・Ri

1Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

はじめに

③:管理・コントロール①:見積り ④:評価②:計画

定量的プロジェクトマネジメント

適用場面に応じた定量データの活用例を紹介

基本設計 詳細設計 製作 結合テスト 総合テスト要件定義

定量データ活用関連の SECセミナーのアンケート結果

組織的な定量データ活用は 53%

ばらつきが大きい・・・ 現場の感覚と異なる・・・

広い範囲から収集した定量データをどう活用すればよいのか?

そこで!

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2Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

内容

1.ソフトウェア開発データ白書2009

2.データ白書の活用例

①見積り

②計画

③コントロール

④評価

3.実践的活用をサポートするツール

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3Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

SECの取り組みとデータ白書の目的

メーカー系,ユーザ系,独立系の複数のベンダからデータを収集メーカー系,ユーザ系,独立系の複数のベンダからデータを収集

「ソフトウェア開発データ白書」として公開(2009年度は22企業,2327プロジェクトのデータ)

・モノサシとしての精度を高めていく精度を高めていく

・新たなモノサシや課題抽出の切り口を提案する切り口を提案する

■定量的アプローチによる科学的マネジメントの普及拡大

2009年9月出版

20092009

1774942 1418 2056

2005 2006 20082007

2327

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4Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

【参考】データ提供状況

■データ提供企業一覧 (22社:50音順 2009年3月31日現在)

TIS株式会社東芝情報システム株式会社日本ユニシス株式会社株式会社 野村総合研究所パナソニック株式会社株式会社 日立システムアンドサービス株式会社 日立製作所日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社富士通株式会社三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社リコーソフトウエア株式会社

・NECソフト株式会社・NTTソフトウェア株式会社・株式会社 NTTデータ・沖ソフトウェア株式会社・沖電気工業株式会社・キヤノンIT ソリューションズ株式会社・株式会社 構造計画研究所・株式会社 CSKシステムズ・新日鉄ソリューションズ株式会社・住友電工情報システム株式会社・大同生命保険株式会社

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5Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

データ白書2009の構成

1章 背景と本書の目的

2章 収集データについて

3章 分析について

4章 収集データのプロファイル

5章 プロジェクトの主要要素の統計

6章 工数,工期,規模の関係の分析(生産性も含む)

7章 信頼性の分析

8章 工程別の分析

9章 予実分析,生産性クロス分析 付録A~G

データ項目の定義や収集データ年別プロファイル 等々

1章 背景と本書の目的

2章 収集データについて

3章 分析について

4章 収集データのプロファイル

5章 プロジェクトの主要要素の統計

6章 工数,工期,規模の関係の分析(生産性も含む)

7章 信頼性の分析

8章 工程別の分析

9章 予実分析,生産性クロス分析 付録A~G

データ項目の定義や収集データ年別プロファイル 等々

代表的なプロジェクトタイプ(プロファイル)

開発種別

アーキテクチャ 業 種

開発言語

開発ライフサイクルモデル プラットフォーム

代表的な要素

生産性

信頼性

工 期

規 模 工 数

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6Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

内容

1.ソフトウェア開発データ白書2009

2.データ白書の活用例

①見積り

②計画

③コントロール

④評価

3.実践的活用をサポートするツール

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7Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

①見積り:工数,工期の見積り

規模と工数や工数と工期との間に定式性や特性を見出し,

適正な範囲を目安にできるようにする

傾向や相関が見えれば・・・

見積や計画の妥当性確認

⇒ ±50%の信頼幅の利用

工数,工期短縮の限界認識

⇒ 信頼幅95%の下限値の利用

工数

規模-50%

+50%

妥当性の目安

工数

規模-50%

+50%

妥当性の目安

工期(月数)

工数

-95%

+95%

工期短縮限界

工期(月数)

工数

-95%

+95%

工期短縮限界

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8Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

1

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1,000

10,000

100,000

1,000,000

10,000,000

1 10 100 1,000 10,000 100,000

FP実績値(調整前)

実績工

数(開

発5工

程)[人

時]

Copyright IPA SEC

N=262

①見積り:規模と工数の分析結果とデータの見方

データの関係性

新規開発,IFPUGグループ

データ白書2009

P129,図表6-4-11

・FP規模と工数には正の「相関」が認められる。

例) 工数 = A × (FP規模)**B B=1.19 (Aは係数)

(B = 1.19 の場合,FP規模が2倍になると,工数は約2.28倍)

FP規模と工数 (新規開発,IFPUGグループ) 対数表示

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000

FP実績値(調整前)

実績

工数

(開発5工程

)[人

時]

y(50%)

y(-50%)

Copyright IPA SEC

N=262

データ白書2009

P128,図表6-4-9

FP規模と工数 (新規開発,IFPUGグループ) 信頼幅50%付き

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9Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

①見積り:規模と工数のデータの使い方(事例)

利用イメージ・事例

例) 新規開発,IFPUGグループ

4,000FPの規模の工数は?

50%の信頼幅から読み取ると⇒

約40,000人時から110,000人時(約250人月~690人月)の範囲。これを,妥当性の目安とする。

留意点

規模が大きくなると規模の増加率以上に工数が増大する

⇒ 一般的に規模が大きくなると関係者も多くなり,間接的な工数が増加する。

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000

FP実績値(調整前)

実績

工数

(開発

5工

程)[人

時]

y(50%)

y(-50%)

Copyright IPA SEC

N=262

データ白書2009

P128,図表6-4-9

FP規模と工数 (新規開発,IFPUGグループ) 信頼幅50%付き

40,000

110,000

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10Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

開発5工程の工数と工期 (新規開発) 信頼幅50%、95%付き

Copyright IPA SEC0

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20

25

30

35

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000

実績工数(開発5工程) [人時]

実績月

数(開

発5工

程)[月

]

y(50%) y(-50%)

y(95%) y(-95%)

Copyright IPA SEC

N=430

①見積り:工数と工期の分析結果とデータの見方

・工期(月数)は工数の3乗根に概ね比例

例) 工期 = A × (工数)* * 0.31 (Aは係数)

信頼幅95%の下限値より下にはプロジェクトがほとんどない。

⇒ 工数に対する工期の実現可能性を考える目安

データの関係性

新規開発(開発5工程)

データ白書2009

P118,図表6-3-2

※工数に対する工期の回帰の50%,95%信頼幅付き

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11Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

①見積り:工数と工期のデータの使い方(事例)

利用イメージ・事例

Copyright IPA SEC

0

5

10

15

20

25

30

35

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000

実績工数(開発5工程) [人時]

実績

月数

(開発

5工

程)[月

]

y(50%) y(-50%)

y(95%) y(-95%)

Copyright IPA SEC

N=430

12~13

開発5工程の工数と工期 (新規開発) 信頼幅50%,95%付き

(60,000,5.0)

例) 新規開発,開発5工程

工数が約60,000人時

(約375人月)の工期は?

・工期(月数)の中央値は

12~13ヶ月

・信頼幅95%の下限値は

約5ヶ月

工期短縮には限界がある。

12ヶ月から工期短縮を目指しても,5ヶ月以下にするのは難しい。

また,50%の下限値は約9ヶ月であり,目標の目安の一つ。

留意点

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内容

1.ソフトウェア開発データ白書2009

2.データ白書の活用例

①見積り

②計画

③コントロール

④評価

3.実践的活用をサポートするツール

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②計画:要員山積みの計画

工程別の工数,工期比率の関係を見出し,詳細な見積や計画,評価などに利用できるようにする

工数比率や工期比率がモデル化できれば・・・

・開発プロジェクトの要員山積みの妥当性確認に利用

① 開発すべきシステムの構築に必要な総工数,全体工期を算出

② 工数比率によって,各工程に必要な工数を算出

③ 工期比率によって,各工程に必要な期間を算出

④ 上記②と③から,各工程に必要な要員数を算出

基本設計 詳細設計 製作 結合テスト 総合テスト

工数

工期

要員数

合計

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②計画:工数比率の分析結果とデータの見方

・比率が高い工程には「それだけ多くの作業工数がかかる」。

・プロジェクト全体の工数の35%弱を製作工程が占めている。

工数比率 ・・・各開発工程を実施するのに必要な作業工数の比率

工程 N 最小 P25 中央 P75 最大 平均 標準偏差基本設計 428 0.001 0.095 0.147 0.205 0.589 0.161 0.096詳細設計 428 0.016 0.114 0.166 0.220 0.613 0.174 0.086製作 428 0.018 0.272 0.349 0.449 0.847 0.370 0.148結合テスト 428 0.002 0.106 0.155 0.211 0.938 0.167 0.096総合テスト(ベンダ確認) 428 0.000 0.061 0.117 0.175 0.564 0.128 0.087

(新規開発)

データ白書2009

P239,図表8-1-8

データの関係性・留意点

データ白書2009

P239,図表8-1-9

要件定義工程も含めた工程別の実績工数の比率の基本統計量(新規開発) (単位:比率)工程 N 最小 P25 中央 P75 最大 平均 標準偏差

要件定義 232 0.001 0.046 0.082 0.133 0.672 0.101 0.085開発5工程 232 0.328 0.867 0.918 0.954 0.999 0.899 0.085

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15Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

工程 N 最小 P25 中央 P75 最大 平均 標準偏差基本設計 115 0.016 0.155 0.230 0.302 0.522 0.234 0.107詳細設計 115 0.026 0.143 0.189 0.248 0.645 0.201 0.093製作 115 0.047 0.209 0.260 0.350 0.902 0.280 0.118結合テスト 115 0.016 0.091 0.143 0.185 0.386 0.146 0.068総合テスト(ベンダ確認) 115 0.014 0.074 0.121 0.184 0.571 0.140 0.091

工期比率 ・・・各開発工程を実施するのに必要とされる期間

・比率が高い工程には「それだけ長い作業期間を要する」。

・プロジェクト期間全体の約30%(1/5~1/3)を製作工程が占める。

・必ずしも比率が高い工程に多くの要員が必要ということではない。

(新規開発)

データ白書2009

P236,図表8-1-2

データの関係性・留意点

②計画:工期比率の分析結果とデータの見方

(単位:比率)工程 N 最小 P25 中央 P75 最大 平均 標準偏差

要件定義 70 0.032 0.098 0.143 0.232 0.466 0.173 0.102開発5工程 70 0.534 0.768 0.857 0.902 0.968 0.827 0.102

データ白書2009

P237,図表8-1-3

要件定義工程も含めた工程別の実績月数の比率の基本統計量(新規開発)

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16Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

内容

1.ソフトウェア開発データ白書2009

2.データ白書の活用例

①見積り

②計画

③コントロール

④評価

3.実践的活用をサポートするツール

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17Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

③コントロール:差異発生時の今後の見通しについて

・当初不明確であった情報や条件などが明確になる。

⇒ さらに精度の高い残作業の見積りを行う。

・再度測定した規模,これまでに掛かった期間,

消化した工数,実績からみた生産性などが明確になる。

⇒ 今後の実現性を検証する。

予実差異を吸収して計画通りに完了させるため,何らかの手を打つかどうかを判断し,適切に対応する

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18Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

基本設計工程が終わった段階で,後工程を見通す際の注意点

③コントロール:工期比率のデータの使い方(事例)

利用イメージ・事例: 基本設計までの工期から全工期を予測すると?

データ白書2009

P236,図表8-1-1

工程別の工期比率の箱ひげ図読み方:

基本設計工程は全工期の概ね15-30%を占める。

中央値: 23.0%

使い方:

基本設計工程にかかった工期から,それ以降の

工期は約2.3~5.6倍かかると予測できる。

中央値で見ると: 約3.3倍

計画値で全工程6ヶ月半のプロジェクトの場合:

基本設計1.5ヶ月の予定が2ヶ月かかった。 ⇒ 2週間遅れ,計画上残り4ヶ月半。

基本設計以降の工期は,(2*3.3=6.6)から,あと約6ヶ月半はかかる可能性。

!基本設計が2週間遅れただけと安易に考えていると,実質2ヶ月も遅れるリスクを見落とすことになる。

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19Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

内容

1.ソフトウェア開発データ白書2009

2.データ白書の活用例

①見積り

②計画

③コントロール

④評価

3.実践的活用をサポートするツール

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20Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

0.0

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0.7

0.8

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 11,000 12,000 13,000

FP実績値(調整前)

FP生産

性(FP/開発

5工程

工数)

a:レベル6、レベル7

b:レベル5

c:レベル4

d:レベル3

Copyright IPA SEC

N=109

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2,500,000 3,000,000 3,500,000 4,000,000

実効SLOC実績値

SLOC生産

性(SLOC/開発

5工程

工数

)

a:レベル6、レベル7

b:レベル5

c:レベル4

d:レベル3

Copyright IPA SEC

N=79

④評価:規模とPMスキルの関係に見る留意点

データの関係性 データ白書2009

P275,図表9-2-6

PMスキル別のFP規模とFP生産性(新規開発) PMスキル別のSLOC規模とSLOC生産性(新規開発)

データ白書2009

P278,図表9-2-9

規模と生産性をPMスキル別に層別して示している。

⇒ 規模の小さいプロジェクトは生産性のばらつきが大きく,PMスキルの分布もばらついている。規模の大きいプロジェクトは生産性が低い傾向と同時に,PMスキルが高い傾向が見られる。

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21Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

c: 中位,

d: 低い

a: 極めて高い,

b: 高い

要求レベル

30.00

20.00

10.00

0.00

SLOC

[SLOC/人時]

c: 中位,

d: 低い

a: 極めて高い,

b: 高い

要求レベル

0.80

0.70

0.60

0.50

0.40

0.30

0.20

0.10

0.00

FP

[FP/人時]

c: 中位,

d: 低い

a: 極めて高い,

b: 高い

要求レベル

0.80

0.70

0.60

0.50

0.40

0.30

0.20

0.10

0.00

FP

[FP/人時]

c: 中位,

d: 低い

a: 極めて高い,

b: 高い

要求レベル

30.00

20.00

10.00

0.00

SLOC

[SLOC/人時]

④評価:信頼性要求のレベルと生産性に見る留意点

データの関係性

データ白書2009

P158,図表6-5-51

要求レベル(信頼性)別FP生産性箱ひげ図

(新規開発,IFPUGグループ)

データ白書2009

P147,図表6-5-26

要求レベル(信頼性)別FP生産性箱ひげ図

(改良開発,IFPUGグループ)

要求レベル(信頼性)別SLOC生産性箱ひげ図

(新規開発,主開発言語グループ)

データ白書2009

P184,図表6-7-22

要求レベル(信頼性)別SLOC生産性箱ひげ図

(改良開発,主開発言語グループ)

データ白書2009

P194,図表6-7-44

信頼性要求レベルが高い方が生産性は低い傾向がある

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SECSoftware Engineeringfor Mo・No・Zu・Ku・Ri

22Software Engineering CenterET WEST2010ワークショップ 2010年6月17日~18日 Copyright© 2010 IPA, All rights reserved.

内容

1.ソフトウェア開発データ白書2009

2.データ白書の活用例

①見積り

②計画

③コントロール

④評価

3.実践的活用をサポートするツール

SECが提供する2つのツールのご紹介

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プロジェクト診断支援ツール(Web)

Web上でソフトウェア開発データ白書の統計情報を活用し,ソフトウェア開発におけるQCDの見える化を支援するツール

2007年12月25日よりSECのWebサイトで無償公開,稼働中!

データ白書に掲載されている様々な図表が参照可能

他社データとのベンチマーキングが可能※ 入力したデータはログオフ時にすべて破棄され,サーバ等には一切残らない

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スタンドアロン型プロジェクト診断支援ツール

自社データを容易な画面入力で蓄積可能

自社データを利用して白書と同じ分析図表が簡単に作成可能

スタンドアロンで動作するため,手軽かつ気楽に扱える

プロジェクト診断支援ツール(Web)へのデータアップロードが可能

デスクトップ上で自社のプロジェクト情報を活用して

QCDの見える化を支援するツール

2009年9月 リリース (SECのWebサイトから無償ダウンロード可)

0.0120.0820.1020.090.0810.0720.06110実績工数総合テスト(比率)

0.0210.1030.1290.1220.1060.0810.07810実績工数結合テスト(比率)

0.0750.6210.7240.6950.6150.5550.5110実績工数製作(比率)

0.0230.1060.1430.1250.1040.0830.07910実績工数詳細設計(比率)

0.0230.0880.1220.1070.0890.0690.05610実績工数基本設計(比率)

標準偏差平均最大P75中央P25最小N

0.0120.0820.1020.090.0810.0720.06110実績工数総合テスト(比率)

0.0210.1030.1290.1220.1060.0810.07810実績工数結合テスト(比率)

0.0750.6210.7240.6950.6150.5550.5110実績工数製作(比率)

0.0230.1060.1430.1250.1040.0830.07910実績工数詳細設計(比率)

0.0230.0880.1220.1070.0890.0690.05610実績工数基本設計(比率)

標準偏差平均最大P75中央P25最小N

規模-工数(FP)

0

5000

10000

15000

20000

25000

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

FP実績値

実績工数

[人時]

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より良いソフトウェア開発と業界の発展のために

プロジェクトのデータ収集をしましょう!

定量データのご提供,随時募集中です!

ご清聴ありがとうございました

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) http://www.ipa.go.jp/

SEC(ソフトウェア・エンジニアリング・センター) http://sec.ipa.go.jp/

・データ白書はデータの宝庫ではあるが,

全ての答えがそこにある訳ではない・見積や計画策定について,過去の事例を参考に,

まずは自分で行うことが重要

・自分の見積や計画の妥当性を確認するために,データ白書を紐解く

最後に