使える!!インドの会計・財務の豆知識岩瀬携帯 +81-90-6669-3586 mobile (japan)...

1
ー 29 ー インド進出アドバイス歴5年以上の希少な 日本人公認会計士を筆頭に実務に基づいた スピーディーなサービスをご提供。進出後 の監査・税務なども日本語にてしっかりと サポート致します。東京・大阪の日本オフ ィスにおいてもお気軽にご相談も承ります。 <代表者経歴> 岩瀬雄一 公認会計士(日本)税理士(日本) 2000 年に大手監査法人東京事務所に入所。製造業を中心に、USGAAP、IFRS、日本会計基準の 会計監査業務を手掛ける。'07 年 10 月よりインド事務所に赴任し '10 年 11 月に日本に帰任 2011 年 9 月に Fair Consulting India 開業。複雑なインドの税務や手続きの多い会社等の設立は 豊富な実務経験と、インド専門家のネットワークが不可欠です。 ●現法・駐在員事務所・支店設立 ●会社法・税務監査●法人税申告・納税代行 ●個人所得税申告・納税代行 ●移転価格税制対応●各種間接税対応 ●記帳代行●各種ガバナンス対応 ● M&A アドバイザリー インドで活躍中!!公認会計士岩瀬先生が教える 使える!!インドの会計・財務の豆知識 第11回目 会計上における長期外国通貨に関する為替差損益の処理について インド企業省より 2011 年 12 月 29 日付で為替差損益に関する会計基準(AS11)の修正に関する通達が 公表されております。これは長期外国通貨に関する為替差損益の処理に関するもので、これと同様の通達が 2009 年 3 月 31 日等にも公表されていますがよりシンプルな形で公表されています。これはリーマンショッ ク等の影響でルピー安になった 2008 年度に大きな為替差損を抱えた企業を会計上救済する措置に続くものと なっており、2011 年度もルピー安となっている背景から発表されているものと考えられます。会計理論上、 当該改正は全く論理的なものではありませんが、政府からの通達が発表されている以上、会計基準として取り 扱うことに問題はありません。そこで、今回はここに示されている長期外国通貨に関する為替差損益の処理方 法について以下に解説を行います。 2011 年 4 月 1 日以降に開始する事業年度において会社は従来の会計基準における為替差損益の処理の方法 に加えて、①長期性(12カ月以上)の為替差損益を機械装置といった資本財の減価償却を通じて費用化する方法、 若しくは②長期性の貨幣性資産を「Foreign Currency Monetary Item Translation Difference Account」と いう勘定科目を新たに設けて、かつ、償却する方法を選択することが可能となっております。 ①の方法は、例えば資金を借入れて資本財を購入する場合、若しくは購入済みの場合、借入金に関する為替 差損益を購入した機械装置等の取得原価に算入して減価償却を行う方法のことを指します。そもそもインド会 計基準上、機械装置等の資本財が当初の見積もった使用期間・売却予定期間が長期にわたる資産であり、かつ、 当該資産の取得、建設、製造との因果関係がある借入金に係る利息等の費用は当該資産の取得原価を構成する と考えられるため、減価償却を通じ費用化することが認められております。これと同様のコンセプトにより長 期性の借入金に関する為替差損益が機械装置等の資本財の購入と関連性を有する場合、機械装置等の資本財の 取得原価に算入し、減価償却を通じて費用化させることが借入金とその使途である機械装置等の購入の因果関 係をより明確にできると考えていると思われます。 従来の方式は為替差損益をその期の為替差損益とし、機械装置等を取得日のレートで換算した金額をもとに減 価償却を行う方式となっております。 実務上、現在のような超ルピー安の状況においては通常の処理を行うと当期において多額の為替差損を計上 することになり、企業には大きな負担となりうることから当該為替差損を各期間に按分することにより各期間 の損益計算を平準化し、特定の期間に損失が負担させられることを防止し、企業経営の安定を図るとの趣旨か ら当該処理方法が容認さえていると思われます。 ②の方法は、長期外国通貨に関する為替差損益を外貨為替差損益として財務諸表上「Foreign Currency Monetary Item Translation Difference Account」という勘定科目で計上し、各期間に定期的に収益化・費用 化していく方法です。これも当該為替差損益を各期間通じて収益化・費用化することによる期間損益計算の平 準化を意図しております。すなわち、返済時等の会計期間だけに費用化すると企業の費用負担が大きくなり過 ぎるという考え方となっております。 Fair Consulting India Pvt.Ltd. B36-37, First Floor, IDC, Mehrauli-Gurgaon Road, Opposite Sector 14,Gurgaon-122001, Tel: +91-124-474-8217 Fax: +91-124-474-8218 岩瀬携帯 +81-90-6669-3586 Mobile (Japan) +91-99711-83945 Mobile (India) mail: [email protected] Fair Consulting Group 東京オフィス 〒104-0045東京都中央区築地4-1-12 ビュロー銀座1102号室 大阪オフィス 〒530-0001大阪市北区梅田2丁目5番25号ハービスOSAKAオフィスタワー12F 上海オフィス・香港オフィス・ハノイオフィス・シンガポールオフィス

Upload: others

Post on 31-May-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

ー 29 ー

インド進出アドバイス歴5年以上の希少な日本人公認会計士を筆頭に実務に基づいたスピーディーなサービスをご提供。進出後の監査・税務なども日本語にてしっかりとサポート致します。東京・大阪の日本オフィスにおいてもお気軽にご相談も承ります。

<代表者経歴> 岩瀬雄一   公認会計士(日本)税理士(日本)2000 年に大手監査法人東京事務所に入所。製造業を中心に、USGAAP、IFRS、日本会計基準の会計監査業務を手掛ける。'07 年 10 月よりインド事務所に赴任し '10 年 11 月に日本に帰任2011 年 9 月に Fair Consulting India 開業。複雑なインドの税務や手続きの多い会社等の設立は豊富な実務経験と、インド専門家のネットワークが不可欠です。

●現法・駐在員事務所・支店設立●会社法・税務監査●法人税申告・納税代行●個人所得税申告・納税代行●移転価格税制対応●各種間接税対応●記帳代行●各種ガバナンス対応● M&A アドバイザリー

 インドで活躍中!!公認会計士岩瀬先生が教える

使える!!インドの会計・財務の豆知識第11回目 会計上における長期外国通貨に関する為替差損益の処理について

 インド企業省より 2011 年 12 月 29 日付で為替差損益に関する会計基準(AS11)の修正に関する通達が公表されております。これは長期外国通貨に関する為替差損益の処理に関するもので、これと同様の通達が2009 年 3 月 31 日等にも公表されていますがよりシンプルな形で公表されています。これはリーマンショック等の影響でルピー安になった 2008 年度に大きな為替差損を抱えた企業を会計上救済する措置に続くものとなっており、2011 年度もルピー安となっている背景から発表されているものと考えられます。会計理論上、当該改正は全く論理的なものではありませんが、政府からの通達が発表されている以上、会計基準として取り扱うことに問題はありません。そこで、今回はここに示されている長期外国通貨に関する為替差損益の処理方法について以下に解説を行います。

 2011 年 4 月 1 日以降に開始する事業年度において会社は従来の会計基準における為替差損益の処理の方法に加えて、①長期性(12カ月以上)の為替差損益を機械装置といった資本財の減価償却を通じて費用化する方法、若しくは②長期性の貨幣性資産を「Foreign Currency Monetary Item Translation Diff erence Account」という勘定科目を新たに設けて、かつ、償却する方法を選択することが可能となっております。 ①の方法は、例えば資金を借入れて資本財を購入する場合、若しくは購入済みの場合、借入金に関する為替差損益を購入した機械装置等の取得原価に算入して減価償却を行う方法のことを指します。そもそもインド会計基準上、機械装置等の資本財が当初の見積もった使用期間・売却予定期間が長期にわたる資産であり、かつ、当該資産の取得、建設、製造との因果関係がある借入金に係る利息等の費用は当該資産の取得原価を構成すると考えられるため、減価償却を通じ費用化することが認められております。これと同様のコンセプトにより長期性の借入金に関する為替差損益が機械装置等の資本財の購入と関連性を有する場合、機械装置等の資本財の取得原価に算入し、減価償却を通じて費用化させることが借入金とその使途である機械装置等の購入の因果関係をより明確にできると考えていると思われます。従来の方式は為替差損益をその期の為替差損益とし、機械装置等を取得日のレートで換算した金額をもとに減価償却を行う方式となっております。 実務上、現在のような超ルピー安の状況においては通常の処理を行うと当期において多額の為替差損を計上することになり、企業には大きな負担となりうることから当該為替差損を各期間に按分することにより各期間の損益計算を平準化し、特定の期間に損失が負担させられることを防止し、企業経営の安定を図るとの趣旨から当該処理方法が容認さえていると思われます。 ②の方法は、長期外国通貨に関する為替差損益を外貨為替差損益として財務諸表上「Foreign Currency Monetary Item Translation Diff erence Account」という勘定科目で計上し、各期間に定期的に収益化・費用化していく方法です。これも当該為替差損益を各期間通じて収益化・費用化することによる期間損益計算の平準化を意図しております。すなわち、返済時等の会計期間だけに費用化すると企業の費用負担が大きくなり過ぎるという考え方となっております。

Fair Consulting India Pvt.Ltd.B36-37, First Floor, IDC, Mehrauli-Gurgaon Road, Opposite Sector 14,Gurgaon-122001, Tel: +91-124-474-8217 Fax: +91-124-474-8218岩瀬携帯 +81-90-6669-3586 Mobile (Japan)     +91-99711-83945 Mobile (India) mail: [email protected] Fair Consulting Group東京オフィス 〒104-0045東京都中央区築地4-1-12 ビュロー銀座1102号室大阪オフィス 〒530-0001大阪市北区梅田2丁目5番25号ハービスOSAKAオフィスタワー12F上海オフィス・香港オフィス・ハノイオフィス・シンガポールオフィス