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ロバスト 設計 最適化 optiSLang®によるRDO RDOは製品パフォーマンスの限界を探ります。これにはリスクが伴う 可能性があります。Dynardoが提供するコンサルティングサービスおよび ソフトウェアは、入力パラメータ数を制限することなく、リスクの定量化、 最適化可能性の識別、および安全マージンの調整を支援します。それにより、 影響を与える可能性のあるすべての不確実性や許容範囲を考慮しながら、 製品要件を安全に満たすことができます。 2

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Page 1: ロバスト 設計 最適化 - Ansys...ロバスト 設計 最適化 optiSLang®によるRDO RDOは製品パフォーマンスの限界を探ります。これにはリスクが伴う

ロバスト 設計 最適化

optiSLang®によるRDO

RDOは製品パフォーマンスの限界を探ります。これにはリスクが伴う 可能性があります。Dynardoが提供するコンサルティングサービスおよび ソフトウェアは、入力パラメータ数を制限することなく、リスクの定量化、 最適化可能性の識別、および安全マージンの調整を支援します。それにより、影響を与える可能性のあるすべての不確実性や許容範囲を考慮しながら、製品要件を安全に満たすことができます。

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RDOジャーナル//2012年1月 3

仮想製品開発におけるCAEベースの ロバスト設計最適化CAEベースの最適化および確率論的解析は、資源効率的な製品開発の改善、製品パフォーマンスの向上、および信頼性とロバスト性の品質要件の確保を実現するためのキーテクノロジーです。

開発の短期化や技術革新の導入に加え、製品の最適化要件を実現するために、仮想製品開発への要求がこれまで以上に高まっています。設計の構築(コンピュータ支援設計 CAD)と、シミュレーション法による機能性の計算または検知(コンピュータ支援エンジニアリング - CAE)を区別する必要があります。CAEベースの最適化および確率論的解析は、信頼性とロバスト性の品質要件を実現しながら、製品パフォーマンスを向上するためのキーテクノロジーです。それと同時に、最適化結果とロバスト性評価を確かなものにするために、ロバスト設計最適化(RDO)の効率的な戦略が必要です。

バリアント研究、パラメトリック、およびプロセス 自動化DOE技法の手動生成バリアント研究、トポロジー、および設計最適化からパラメータの複合領域最適化まで、CAEベースの最適化戦略は、20年間にわたって製品開発および生産プロセスに徐々に統合されてきました。個々の領域および製品要件の最適化を行うためのスタンドアロンソリューションに加えて、現在はCADとCAEのパラメトリック計算を組み合わせることを可能にするパラメトリックモデリング環境を利用す

る傾向があります。そのため、一部の領域および製品要件は相互に関連し合います。複数領域のインテリジェントなバリアント計算と、CADとCAEの制約を考慮したシミュレーションにより、製品を自動的に最適化できます。前提条件として、現在のRDOプロセスには、一貫性のあるパラメータ化とシミュレーションプロセスの統合および自動化が必要です。これは、検討すべきパラメータの増加につながります。数百個にも及ぶ大量のパラメータを使用するタスクが普通になり、最適化すべきパラメータと検討すべき散乱の存在が目立つようになりました。

最適化とロバスト性は矛盾するか?重量の減量やパフォーマンスの最適化など、最適化の目的はたいていの場合、製品のロバスト性や信頼性と矛盾します。しかし、これは今に始まったことではありません。エンジニアは当然、最適化と信頼性のバランスを常に考えてきました。中世における大聖堂の作業場にそれがよく表れています。ロマネスク時代の窓は、開口部が狭く半円状のアーチ型をしていました。静的観点で見れば、この窓は非常に安全でした。しかし後に、建物の正面部分がより洗練されたものになってゆ

タイトルストーリー // RDO手法

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応用分野

消費財産業

機械およびプロセス工学

エネルギー産業

土木工学および地盤力学

自動車産業

航空宇宙産業

生物工学

感度解析最重要入力変数の識別

多目的および複合領域最適化生産に最適な設計の選択

ロバスト性評価と信頼性解析製品品質の定量化

ロバスト設計最適化製品品質の最適化

RDO手法

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RDOジャーナル//2012年1月 5

RDO手法

最適予測のメタモデル(MOP)の3D可視化

ノイズ付き目的関数で制約最適化問題を解決する進化的アルゴリズム

くと、ロバスト性の観点から見て弧状の窓は危険性が高くなりました。建築家が実現可能な静的構造に関する既知の限界を少しずつ超えてゆくと、多くの教会が未完成のままになったり、単純に倒壊してしまいました。これらの経験から組積構造物の設計ルールが生まれ、その一部は現在でも一般的です。最高に洗練された教会を建造するために、このような安全マージンが確立されてきました。これには、下層土の不確実性、教会構造物の幾何公差、または材料の散乱を考慮した十分な安全マージンが含まれています。CAEベースの最適化は、多くの面において、さまざまな設計変数を比較するこれらのエンジニアリングの作業方法に従って実行されます。

仮想製品開発へのRDOの統合における課題当然のことながら、最適化タスクの定義(設計要件の目的関数および制約への変換)、変動空間(設計空間のパラメータ化)、および最適化戦略(最適化手法)は最適化の可能性に大きく影響します。CAEベースの確率論的最適化手法を導入するには、これまでの「決定論的」な計算プロセスを大幅に拡張する必要があります。そこで課題となるのが、入力散乱の定義、確率論的解析方法、変動の推定、およびロバスト性と信頼性の評価のための相関測度のバランスを維持することです。

ロバスト性および信頼性の評価基盤として、結果変動について信頼できる推定を得るには、関連するすべての入力散乱を適切な方法で考慮する必要があります。これは、RDO戦略を実施する上での1つの問題点です。発生し得るすべての影響要因について詳細な知識を得ることと、すべての入力散乱について適切なパラメータを特定することは、確率論的解析においてほとんど克服不可能な障害であると考えられています。しかし、完璧な知識が得られるのを待っていては、おそらく開

発に進むことができません。したがって実際的なアプローチとしては、可能性のあるすべての関連する散乱入力変数について控えめに想定することから始めます。重要な散乱入力変数については、散乱入力変数の定義の知識と離散化を徐々に増やすことができます。確率論的解析を導入する際のもう1つの障害は、標準偏差または確率は推定はできても(確定的に)、計算することはできないという事実です。したがって、ユーザーが得る結果は推定であり、実際の計算結果ではありません。製品特性の評価に利用できるような信頼できる確固たる推定を得るには、通常は複数の確率的計算を行う必要があります。基本的に、RDOプロセス内でロバスト性および信頼性の確固たる推定を得るために確率論的解析を導入するには、数百または数千の非常に大量なノード(確率論的解析のサンプル)が必要であることを受け入れなければなりません。単一の設計評価でも大容量のCPU容量を必要とするため、これはハードウェアにとって大きな問題であることが明らかです。また場合によっては、設計の並列計算を実行するためのライセンスについても問題が生じるかもしれません。したがって、ロバスト設計最適化の手法を選択する際の課題は、ソルバー呼び出し数と、ロバスト性および信頼性についての信用性のバラン

スを維持することです。すべてのRDO手法において、実際の設計ノード数を最小限に減らすことは、ロバスト性の推定に

とって意味のあることです。ロバスト設計最適化の実行後、推定される最適でロバスト性のある設計を、適切な信頼性解析方法で最終的に評価する必要があります。

確率論的解析のサンプルノードの数が大量であるため、RDOアルゴリズムでは主にメタモデル(応答曲面モデル)を使用して値の変動を推定します。ロバスト性評価と信頼性解

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ロバスト設計最適化の工程図

RDO手法

析におけるメタモデルの有用性については、文献においても議論されています。適切なメタモデルを生成する労力の大きさは、重要な散乱入力変数の数、結果空間の非線形性、およびロバスト設計の確率水準に大きく影響されます。いかなる場合も、メタモデルによって生成されたロバスト設計を証明する実際の設計ノードを使用して、最終的な信頼性解析を行う必要があります。

仮想製品開発におけるロバスト設計最適化(RDO)の統合状況重要な第一歩は、不確実性と散乱の影響に関する最も重要な結果値について信頼できるロバスト性評価を実行することです。すべての重要な結果値に影響を与える可能性のある

不確実性と許容範囲の感度解析を行うことで、変動と変数重要度の最初の推定が行えます。散乱変数を結果値の変動に

とって重要な変数だけに減らし、変動値の推定の信頼性を証明するには、通常は反復的な方法が必要です。

次のステップとしては、決定論的最適化を実行する際に考慮すべき安全マージンを推定します。あらかじめ設定された安全マージンを使用して最適化設計を生成した後に、ロバスト性または信頼性を証明する確率論的解析を行います。安全マージンが不十分だった場合、最適化とロバスト性のステップを繰り返す必要があります。必要な安全マージンが最適化空間においてほぼ一定である場合、この手順(反復RDO)は効果的です。ロバスト設計を証明するための安全マージンが最適化空間の各領域で大きく変化する場合、最適化空間の各設計の変数を特定する必要があるかもしれません。これらの変動値を使用して、ロバスト設計最適化の制約および目的関数を設定します。その後、最適化の手法と確率論的解析を自動化して組み合わせることができます(自動RDO)。通常は、反復RDOと比較すると、自動RDOの労力は解析過程において著しく増加します。

DynardoのoptiSLang最適化および確率論的解析の最も効率的な方法が統合されたDynardoのソフトウェアoptiSLangは、RDOタスクのソリューションを提供します。予測の係数(CoP:Coefficient of Prognosis)の開発と最適予測のメタモデル(MOP:Metamodel of Optimal Prognosis)の自動識別により、最重要パラメータの自動検出、最良のメタモデルの自動検出、およびMOPの予測品質の検証を行う優れたアルゴリズムを提供します。複数のユーザーが仮想製品開発におけるRDOの実行を成功させています。これについては、DynardoのRDOカン

ファレンス「Weimar Optimization and Stochastic Days」でも確認されています。製品開発の一部としてより多くのRDOアプ

リケーションを実装するために、また、最適化や確率論的解析についての専門知識がないユーザーにもこの方法を提供するために、当社は「ベストプラクティス」と言えるモジュール式システムを開発しています。新バージョンのoptiSLang inside ANSYS WorkbenchおよびoptiSLang v4.0では、必要なユーザー入力が最小限に抑えられ、変数削減のための自動初期設定と最良のメタモデルの自動生成が実装されました。

アプリケーション障害の最小化仮想製品開発にRDOメソッドをうまく統合するには、ユーザーに高い要求を課すことになります。市販のソフトウェアソリューションでは、簡単かつ安全にRDOモジュールを使用することで、アプリケーション障害の各部を最小限に減らすことができます。しかし、選択した確率論的解析方法の入力散乱についての想定と、推定された変数の信頼性のバランスがとれていないと、RDO計算の結果を利用できません。したがって、CAEベースのRDO手法を仮想製品開発に少しずつ導入し、重要な出力変数の信頼できる変動評価の基本になるものと

して、信頼できるロバスト性評価の検証を行うことをお勧めします。計測と経験に基づく変動値の調整と、散乱についての想定の検証は、常に見直して検証と微調整を継続的に行う必要があります。

著者 // J. Will(Dynardo GmbH)

ロバスト性評価の工程図