アーティクル ソース抵抗:dc-dcコンバータ回路の変換効率を...

22
Volume Thirty-Five アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を劣化させる要因 3 デザイン・ショーケース I-V曲線トレーサを制御するPCプリンタポート 9 全負荷接続状態で起動するスイッチモードコンバータ 11 2個の単3電池で動作するステップダウンレギュレータ 13 3速度のファンコントローラを制御する超小型温度監視IC 14 ニュープロダクト データコンバータ 1Gspsの高速変換、2.2GHz T/H内蔵の8ビットADC (MAX104) 15 10ピンμMAXパッケージに収められたシリアル、8ビット疑似差動ADC (MAX1106/1107) 15 0.0015%のINLを保証する3V電源動作、18ビットのシグマデルタADC (MAX1401/1403) 16 ディジタルトリミングされた1%精度のセンサシグナルコンディショナ (MAX1478) 16 10ppm/℃を保証したリファレンス内蔵の12ビット及び13ビットDAC (MAX5120~23、 MAX5130~33) 16 SOT23に収められた¥50の低価格ディジタルポテンショメータ (MAX5160/5161) 15 オペアンプ SOT23に収められた全機能内蔵型のハイサイド電流検出アンプ (MAX4173) 17 +2.7V単一電源動作、消費電流が僅か42μAの差動アンプ (MAX4198/4199) 17 1kΩ負荷で115dBのA VOL を維持するレイルトゥレイルオペアンプ (MAX4281/4282/4284) 17 GSM用パワーアンプのランプアップ/ダウンを制御するシングルチップIC (MAX4473) 18 スイッチ レイルトゥレイル信号を可能とする障害保護のアナログIC (MAX4506~09、 MAX4511/4512/4513) 18 クリックレス動作モードを備えたシリアル制御のオーディオ/ビデオスイッチ (MAX4562/4563) 18 74HC4066を置換える低価格、低電圧クワッドCMOSアナログスイッチ (MAX4610/4611/4612) 19 電源管理IC 衛星通信電話用の6出力電源IC (MAX886/888) 19 14V入力、1A出力の低ノイズPWMステップダウンDC-DCコンバータ (MAX1684/1685) 19 1nAのシャットダウンを備えたSOT23のスイッチトキャパシタ電圧インバータ (MAX1720/1721) 20 300mAの出力電流を保証するμMAXパッケージのLDOレギュレータ (MAX8860) 20 インタフェースIC 外付部品が全く不要な3V/5V、±15kV ESD保護のRS-232トランシーバ (MAX3233E/3235E) 20 P監視回路 業界初の超小型SC70パッケージの電圧監視IC (MAX6806/6807/6808) 21 光ファイバ通信IC 3.3Vの電源動作で消費電力を大幅に低減する2.5Gbps SiGe TIA (MAX3266/3267) 21 自動パワー制御機能を備えた622Mbps SDH/SONETレーザドライバ (MAX3668) 22 165mW、2.5Gbps、3.3V駆動のトランスインピーダンス/リミティングアンプ (MAX3866) 22 2.488Gbps動作のSDH/SONET 1:16デシリアライザ (MAX3880) 21 ワイヤレスIC 8dBmのIIP3、システムコストを削減するゼロIF衛星チューナIC (MAX2108) 22 A /D利得制御を特長とした900MHz、250mW、シリコンパワーアンプ (MAX2232/2233) 23 温度センサ SMBusインタフェースを備えたデュアルアラーム、リモート/ローカル温度センサ (MAX1619) 23 シングルワイヤ上に8個までマルチドロップ接続するSOTの温度センサ (MAX6575) 23 はマキシム社の登録商標です。 © 1999 Maxim Integrated Products.

Upload: others

Post on 02-Mar-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

Volume Thirty-Five

アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を劣化させる要因 3

デザイン・ショーケース I-V曲線トレーサを制御するPCプリンタポート 9

全負荷接続状態で起動するスイッチモードコンバータ 112個の単3電池で動作するステップダウンレギュレータ 133速度のファンコントローラを制御する超小型温度監視IC 14

ニュープロダクト データコンバータ• 1Gspsの高速変換、2.2GHz T/H内蔵の8ビットADC (MAX104) 15• 10ピンµMAXパッケージに収められたシリアル、8ビット疑似差動ADC (MAX1106/1107) 15• 0.0015%のINLを保証する3V電源動作、18ビットのシグマデルタADC (MAX1401/1403) 16• ディジタルトリミングされた1%精度のセンサシグナルコンディショナ (MAX1478) 16• 10ppm/を保証したリファレンス内蔵の12ビット及び13ビットDAC (MAX5120~23、

MAX5130~33) 16• SOT23に収められた¥50の低価格ディジタルポテンショメータ (MAX5160/5161) 15

オペアンプ• SOT23に収められた全機能内蔵型のハイサイド電流検出アンプ (MAX4173) 17• +2.7V単一電源動作、消費電流が僅か42µAの差動アンプ (MAX4198/4199) 17• 1kΩ負荷で115dBのAVOLを維持するレイルトゥレイルオペアンプ (MAX4281/4282/4284) 17• GSM用パワーアンプのランプアップ/ダウンを制御するシングルチップIC (MAX4473) 18

スイッチ• レイルトゥレイル信号を可能とする障害保護のアナログIC (MAX4506~09、

MAX4511/4512/4513) 18• クリックレス動作モードを備えたシリアル制御のオーディオ/ビデオスイッチ (MAX4562/4563) 18• 74HC4066を置換える低価格、低電圧クワッドCMOSアナログスイッチ (MAX4610/4611/4612) 19

電源管理IC• 衛星通信電話用の6出力電源IC (MAX886/888) 19• 14V入力、1A出力の低ノイズPWMステップダウンDC-DCコンバータ (MAX1684/1685) 19• 1nAのシャットダウンを備えたSOT23のスイッチトキャパシタ電圧インバータ (MAX1720/1721) 20• 300mAの出力電流を保証するµMAXパッケージのLDOレギュレータ (MAX8860) 20

インタフェースIC• 外付部品が全く不要な3V/5V、±15kV ESD保護のRS-232トランシーバ (MAX3233E/3235E) 20

µP監視回路• 業界初の超小型SC70パッケージの電圧監視IC (MAX6806/6807/6808) 21

光ファイバ通信IC• 3.3Vの電源動作で消費電力を大幅に低減する2.5Gbps SiGe TIA (MAX3266/3267) 21• 自動パワー制御機能を備えた622Mbps SDH/SONETレーザドライバ (MAX3668) 22• 165mW、2.5Gbps、3.3V駆動のトランスインピーダンス/リミティングアンプ (MAX3866) 22• 2.488Gbps動作のSDH/SONET 1:16デシリアライザ (MAX3880) 21

ワイヤレスIC• 8dBmのIIP3、システムコストを削減するゼロIF衛星チューナIC (MAX2108) 22• A/D利得制御を特長とした900MHz、250mW、シリコンパワーアンプ (MAX2232/2233) 23

温度センサ• SMBusインタフェースを備えたデュアルアラーム、リモート/ローカル温度センサ (MAX1619) 23• シングルワイヤ上に8個までマルチドロップ接続するSOTの温度センサ (MAX6575) 23

はマキシム社の登録商標です。 © 1999 Maxim Integrated Products.

Page 2: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を劣化させる要因DC-DCコンバータは、バッテリ駆動機器やその他の省エネのアプリケーションで非常に一般的に使用されています。リニアレギュレータと同様に、DC-DCコンバータは入力電圧をより低い電圧に安定化させることが可能です。しかし、リニアレギュレータとは異なり、DC-DCコンバータには入力電圧をブーストしたり、VIN-に反転する機能も備わっています。その特別な付加機能として、DC-DCコンバータは最適な条件下で95%以上の高い変換効率を達成します。しかし、この変換効率は電力消費部品によって制限され、その主要要因となるのが電源ソースの抵抗です。

ソース抵抗の損失が原因で、DC-DCコンバータ自体の損失を除いて10%以上も効率を悪化させる可能性があります。コンバータの入力電圧が十分であれば、その出力は正常であり、電源が浪費されていることを明確に示す兆候は見られないでしょう。幸いなことに、入力効率のテストは非常に簡単です(「ソース」のセクションを参照)。

ソース抵抗が大きいと、さほど顕著ではないですが他の問題を引きおこすことがあります。極端な場合には、コンバータの入力が双安定性になったり、又は最大負荷条件下で出力が低下する恐れがあります。双安定性とはコンバータがそれぞれ独自の効率を持った2つの安定した入力状態を意味します。この場合、コンバータの出力は正常ですが、システム効率に大きな影響が及ぶことになります(「双安定性を回避する方法」のセクションを参照)。

ソース抵抗を単に最小化することだけで、この問題を解決すべきなのでしょうか? 答えはNoです。その理由は、システム設計の際に要求される実際の制約とコスト/利点に関するトレードオフの問題を十分に検討することで、別の解決法が示唆されることになるからです。例えば、細心の注意を払って電源の入力電圧を選択すれば、ソース抵抗を低くする必要性を可能な限り低くすることができます。DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵抗を最小化するための負担は軽減されます。システム上の観点からは、3.3Vを2.5Vに変換する場合よりも5Vを2.5Vに変換する場合の方が大幅に効率が高くなります。個々のオプションについて評価することが必要です。この記事の目的は、評価タスクを簡略化するための解析及び直感的に理解できるツールを提供することです。

システムに関する考察

図1に示すように、全ての安定化電源分配システムはソース、レギュレータ(この場合はDC-DCコンバータ)及び負荷の3つの基本セクションに分けることができます。

ソースはバッテリ、あるいは安定化又は非安定化DC電源とすることができます。残念ながら、このソースにはDC電圧と負荷間に存在する全ての消費要素も含まれます。これには電圧ソース出力インピーダンス、配線抵抗値、そして接点、PCボードのランド、直列フィルタ、直列スイッチ及びホットスワップ回路などの抵抗値が挙げられます。これらの要素は、システム効率を大きく劣化させる可能性があります。

ソース効率の計算と測定は非常に簡単です。EFFSOURCEは、(レギュレータに供給される電力)/(VPSによって提供される電力)を100%で乗算して求められる値に等しくなります。

無負荷時にレギュレータの電流消費量が無視できるレベルと仮定すれば、レギュレータが全負荷時のVINとレギュレータが無負荷時のVINの比としてソース効率を測定することが可能です。

レギュレータ(DC-DCコンバータ)はコントローラICとその関連ディスクリート部品で構成されます。その特性は各メーカのデータシートに記載されています。DC-DCコンバータの変換効率(EFFDCDC)は、(コンバータによって供給される電力)/(コンバータに供給される電力)を100%で乗算して求められる値に等しくなります。

EFFI V

I VDCDC

OUT OUT

IN IN % =

( )( )( )( )

( ) [ ]100 2

EFFI V

I V

V

V

SOURCEIN IN

IN PS

IN

PS

%

%

=( )( )( )( )

( )

= ( ) [ ]

100

100 1

3

図1. 安定化電源分配システムは3つの基本セクションで構成されます。

DC-DCCONVERTER

LOAD

VPS VIN

RS

SOURCE POWER CONVERSION

LOAD

IIN IOUT RL

VOUT VL

Page 3: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

4

メーカによって規定されているように、この変換効率は入力電圧、出力電圧及び出力負荷電流の関数となります。負荷電流が2桁以上変化した場合であっても変換効率の変動が僅か数%に過ぎないということは何も珍しいことではありません。出力電圧が固定されているので、「出力電力範囲」が2桁以上超えた場合であっても変換効率の変動は僅か数%に過ぎないと断言することができます。

入力電圧が出力電圧の値に最も近づいているときに、DC-DCコンバータの変換効率は最高のレベルになります。但し、入力変動がデータシートの仕様を基準にして極端なものでなければ、コンバータの変換効率を75%から95%までの範囲の定数として一般的に近似することができます。

この説明では、DC-DCコンバータを2ポートのブラックボックスとして扱っています。DC-DCコンバータ設計の詳細事項について興味がある方は参考文献1~3を参照してください。

負荷には駆動対象となるデバイス及びこのデバイスと直列な全ての消費要素が含まれます。この要素としてPC配線パターンの抵抗、接点抵抗、ケーブル抵抗などが挙げられます。DC-DCコンバータの出力抵抗はメーカのデータシートに含まれているため、その値は特に除外されています。負荷効率(EFFLOAD)は、(負荷に供給される電力)/(DC-DCコンバータによって供給される電力)を100%で乗算して求められる値に等しくなります。

最適なシステム設計を進める上で重要な点は、DC-DCコンバータと負荷の間における相互作用を解析し、十分にこれを理解することです。そのために、私たちは最初に理想的なコンバータについて定義し、その後でソース効率を計算し、最後に代表的なDC-DCコンバータ(この場合、MAX1626ステップダウンレギュレータ)から測定したデータに基づいて私たちの仮定をテストで検証することにします。

理想的なDC-DCコンバータ

理想的なDC-DCコンバータは100%の変換効率を維持し、任意の入力及び出力電圧範囲で動作し、任意の電流を負荷に供給する能力を備えたものです。更にサイズが小型化されており、しかも無料で提供されるのであれば申し分ありません。しかしこの解析では、入力電力が出力電力と比例するように、コンバータの変換効率が一定であることを唯一の前提に置いています。

負荷がある一定の値である場合に、入力電流-電圧(I-V)特性曲線が双曲線になり、その全範囲で負の微分抵抗値特性を示すことをこの条件は意味しています(図2)。このプロットは、増加する入力電力の関数としてDC-DCコンバータのI-V特性曲線を表わしています。ダイナミック負荷をもつ実際のシステムの場合には、これらの特性曲線も同様にダイナミックなものになります。即ち、負荷の電流要求が大きくなることに応じて、電源の特性曲線は原点から更に離れて移動することになります。

出力ポートからではなく、入力ポートからレギュレータについて検討を加えることは、例外的な手法です。結局のところ、レギュレータは一定電圧(場合によっては一定電流)の出力を供給するように設計されます。その仕様には出力特性(出力電圧範囲、出力電流範囲、出力リップル、トランジェント応答性など)が主として記述されます。しかし、入力は奇妙な特性を示し、その動作範囲内で一定の電力負荷として作用します(参考文献4)。一定電力負荷は、他のタスクよりも特にバッテリテスタの回路設計に役立ちます。

ソース効率の計算

この時点で私たちは、ソースの消費電力及びその効率を計算する上で十分な情報を備えていることになります。ソース電圧(VPS)のオープン回路値は求められるので、DC-DCコンバータの入力電圧(VIN)のみを求めるだけで十分です。数式[5]から、IINの値を計算します。

(DC-DC特性) [6]

IP

V EFFIN

OUT DCDC

IN DCDC=

( )( ),

V IP

EFFIN IN

OUT DCDC

DCDC( )( ) = [ ] , 5

EFFI V

I V

V

V

LOADOUT LOAD

OUT OUT

LOAD

OUT

%

%

=( )( )( )( )

( )

= ( ) [ ]

100

100 4

PP

EFFIN DCDC

OUT DCDC

DCDC,

, = [ ]3

図2. これらの双曲線は、DC-DCコンバータの一定電力入力特性を表わします。

0VIN

INPUT CHARACTERISTICS OF A DC-DC CONVERTER

I IN

P2 > P1 > P0

INCREASINGPOWER

P2

P1

P0

Page 4: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

VPS、VIN及びRSの数値によってIINの値を求めることも可能です。

(抵抗負荷ライン特性) [7]

数式[6]及び[7]から数式を等式化して、VINの値を求めてください。

上記の関係を理解する上で数式[6]及び[7]をグラフでビジュアル化すると、非常に効果的です(図3)。

抵抗負荷ラインは数式[7]で求められる全ての解をプロットしたものになり、DC-DCのI-V特性曲線は数式[6]で求められる全ての解をプロットしたものとして表わされます。同時数式ペアの解を表わすこれらの特性曲線の交点が、DC-DCコンバータ入力の安定した電圧及び電流を定義します。DC-DCの特性曲線は一定の入力電力を表わしているので、(VIN+)(IIN+)=(VIN-)(IIN-)になります。(+及び-の接尾記号は数式[8]によって予測される2つの解に関連するもので、分子の±記号に相当します。)

最適な動作ポイントはVIN+/ IIN+にあり、この設定によって電源からの消費電流が最小限に抑えられ、IIN2RSの損失が可能な限り低減されます。これ以外の動作ポイントの場合には、VPSとVIN間に存在する消費部品によって消費電力が増加する結果になります。システム効率が大幅に低下します。しかし、RSを十分低い値に維持することによって、このような問題を回避できます。ソース効率[(VIN/VPS)・100%]は、数式[8]をVPSで単に除算するだけで求められます。

数式で迷うことは容易に起こることですが、この中には図3に示す負荷ライン解析プロットの値が存在します。例えば、直列抵抗値(RS)がゼロに等しいと仮定すれば、抵抗負荷ラインの傾きは無限になる点に注目してください。負荷ラインは、VPSを通る垂直線になります。このポイントでVIN+=VPSになり、効率が100%になります。RSの値が0Ωから増加するに従って、負荷ラインはVPSを通過し続けますが、その直線はますます左方向に傾き続けることになります。これと同時並行で、VIN+及び

VIN-はVPS/2に収束し、これが50%効率ポイントにもなります。負荷ラインがI-V特性曲線と1点で接するときに、数式[8]は1つだけの解をもつことになります。RSの値を大きくすると、数式は真の解をもたなくなり、DC-DCコンバータは正常に動作しなくなります。

DC-DCコンバータ ---- 理論と実際の比較

これらの理想的な入力特性曲線を実際のDC-DCコンバータのものとどのような方法で比較すれば良いのでしょうか?この質問を詳細に調査するために、標準のMAX1626評価キット(図4)を3.3Vの出力電圧及び6.6Ωの負荷抵抗を適用する条件で構成しました。入力のI-V特性曲線(図5)を測定しました。この測定で、いくつかの非理想的な特性が明確になりました。例えば、入力電圧が非常に低いときに、入力電流がゼロになる点に注目してください。内蔵されている低電圧ロックアウト機能(VLとして示す)によって、全ての入力電圧がVLよりも低くなったときにDC-DCコンバータの動作が確実にオフになることが保証されています。この機能が備わっていないと、スタートアップ時に大きな入力電流が電源から消費される可能性が高くなります。

EFF

V VR P

EFF

V

P R

EFF V

SOURCE

PS PSS OUT

DCDC

PS

OUT S

DCDC PS

=

±( )( )

( )

= ±( )( )

( )( ) [ ]

-

-

%

%

2

2

4

2100

1

2

1

4100 9

V

V VR P

EFFIN

PS PSS OUT

DCDC

=

±( )( )

[ ]-2 4

28

IV V

RIN

PS IN

S=

( )-

5

図3. このプロットは、DC-DCコンバータのI-V特性曲線上にソース抵抗の負荷ラインを重ね合わせたものです。

0

IIN+

VPS/RIIN-

0VIN

VIN+VPS

VIN-

LOAD-LINE ANALYSIS

I IN

RESISTORLOAD LINE

(SLOPE = -1/RS)

DC-DCI-V CURVE

図4. 図3のアイデアを適用して構成した標準のDC-DCコンバータ回路

MAX1626

3/5

CS

2x68mFLOW-ESR TANTALUM

220mFLOW-ESRTANTALUM

VOUT

L1 = SUMIDA CDRH125-220D1 = NIHON NSQ03A03U1 = MOTOROLA MMSF3P02HD

RSENSE = 0.04W

0.1mF

0.47mF

VIN

U1

D1

EXT

REF

GND

L122mH, 3A

OUTSHDN

V+

Page 5: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

VINがVLよりも高くなると、プリセットされた出力電圧(3.3V)にVOUTが初めて達するときに起こる最大値の方向に入力電流が上昇します。これに対応する入力電圧(VMIN)は、DC-DCコンバータがプリセット出力電圧を生成するために必要とされる最低電圧になります。VIN > VMINの場合に、90%効率の一定電力特性曲線はMAX1626の入力特性曲線と殆ど一致します。DC-DCコンバータの変換効率がその入力電圧の関数として少しでも変動すると、これが主要因となって理想からのバラツキが起こります。

双安定性を回避する方法

電源の回路設計者は、DC-DCコンバータが決して双安定性にならない点を保証することも必要です。負荷ラインがDC-DCコンバータの特性曲線とVMIN/IMAXのポイント又はそのポイントよりも下の部分で交差するシステムで双安定性が起こる可能性があります(図6)。

負荷ラインの傾きと位置に応じて、システムは双安定性になったり、場合によっては三安定性になる場合さえあります。VPSの値を小さくすると、VLとVMIN間のシングルポイントで負荷ラインを交差させることが可能になり、システムは安定化しますが、全く機能動作しない点に注意してください。従って一般的に、負荷ラインがDC-DCコンバータの特性曲線の尖点と接したり、尖点よりも下の部分に移動するようなことがあってはいけません。

図6では、負荷ライン抵抗(RS、-1/スロープの値をもつ)にRBISTABLEと呼ばれる上限があります。

ソース抵抗(RS)はRBISTABLE値よりも常に小さな値にしてください。このルールを順守しないと、DC-DCコンバータが大幅に劣化した変換効率で動作するか、又は完全にシャットダウンする危険性があります。

実際のケース

ソース効率とソース抵抗間の関係数式[9]で表わされている関連性を実際のシステムについてプロットすると、役立つ場合があります(図7)。以下に示す条件を仮定します。

VPS = 10V オープン回路の電源電圧

VMIN = 2V 正しい動作を保証する最小入力電圧

PIN = 50W DC-DCコンバータの入力電力(POUT/EFFDCDC)

RV V

I

where IP

EFF V

therefore

REFF V V V

P

BISTABLEPS MIN

MAX

MAXOUT

DCDC MIN

BISTABLEDCDC MIN PS MIN

OUT

,

=- [ ]

=( )

[ ]

=( ) -( ) [ ]

10

11

12

6

図6. 交差ポイントを詳細に観察すると、双安定性及び場合によっては三安定性さえ起こる可能性があることが判断されます。

IMAX

(I)

(V) VPSVL

LOAD LINE DENOTING BISTABILITY

VMIN

図7. ソース効率対ソース抵抗の特性を表わすこのプロットは、ある一定のRS値に対して複数の効率値があることを示しています。

0

20

40

80

60

100

0 0.25 RBISTABLE0.5

SOURCE EFFICIENCY AS A FUNCTION OF RS(PIN, DCDC = 50W, VPS = 10V, VMIN = 2V)

RS(W)

EFFI

CIEN

CY (%

)

EFF+

EFF-

図5. VMINよりも高い電圧範囲で、MAX1626の入力I-V特性は90%効率の理想的なデバイスが備えるI-V特性と殆ど一致します。

0

200

100

300

600

700

500

400

800

0 5VL VMIN10 15

MAX1626 INPUT CHARACTERISTICS(3.3V OUT, 0.5A LOAD)

VDC-DC (V)

I DC-

DC (m

A)

MAX1626

IDEAL POWERCURVE WITH 90%EFFICIENCY

ここで

その結果、

Page 6: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

数式[12]を使用して、RBISTABLE値を0.320Ωとして求めることができます。その後で数式[9]のプロットを確認すると、RS値の増加に応じてソース効率が低下していることが表示されており、RS=RBISTABLEのときに20%の効率が損失しています。注:この結果を一般法則化することはできません。各アプリケーション毎に計算を実施することが必要です。RSの1つの成分は全ての電源で見られる有限の出力抵抗値であり、この値は負荷レギュレーションによって求められ、一般的に以下のように定義されています。

負荷レギュレーション=

電源出力抵抗値=

従って、

電源出力抵抗値=

例えば、負荷レギュレーションが1%の5V/10A電源の出力抵抗値は僅か5.0mΩとなり、10A負荷の場合に大きな値にはなりません。

一般的なアプリケーションでのソース効率に関する留意事例

どの程度の値のソース抵抗(RS)を許容可能であるか、そしてこのパラメータがシステムの効率に対してどのように影響を及ぼすかを知っておくことが役に立ちます。既に説明したように、RSはRBISTABLEよりも常に小さな値にすることが必要ですが、どの程度まで小さくすべきなのでしょうか? この質問に答えるためには、数式[9]を使用してEFFSOURCEの値が95%、90%及び85%のときのRS値を求めてください。RS95は、ある一定の入力及び出力条件下で95%のソース効率を実現するRS値です。一般的なDC-DCコンバータシステムを使用した下記の4つのアプリケーション例について考察してみましょう。

例1のアプリケーションでは、2Aの負荷電流で5Vから3.3Vの電圧出力を生成します。95%のソース効率を達成するためには、5VソースとDC-DCコンバータ入力間の抵抗値を162mΩよりも十分に低い値に維持するように注意してください。偶然の一致で、RS90=RBISTABLEになっている点に注目してください。このRS90の値は、ソース効率が90%と同じように容易に10%になる可能性があることも意味しています。(ソース効率に対して)システム効率はソース効率、DC-DCコンバータの変換効率及び負荷効率の積である点に注意してください。

%

Load regulation V

INO LOAD

FULL LOAD

-

-

( )( )

[ ]100

15

V V

INO LOAD FULL LOAD

FULL LOAD

- - -

-

( ) [ ]14

10013

%

V V

VNO LOAD FULL LOAD

NO LOAD

- - -

-

( ) [ ]

7

例1. MAX797又はMAX1653 DC-DCコンバータを使用するアプリケーション (IOUT=2A)

例2. MAX797又はMAX1653 DC-DCコンバータを使用するアプリケーション (IOUT=20A)

例3. 別途用意した+5V電源でMAX1710 DC-DCコンバータを使用するアプリケーション(VPS=4.5V)

例4. 別途用意した+5V電源でMAX1710 DC-DCコンバータを使用するアプリケーション(VPS=15V)

2A

IOUT

4.5V

VMIN

3.3V

VOUT

5V

VPS

0.307Ω

RBISTABLE

0.162Ω

RS95

6.6W

POUT

90%

EFFDCDC

0.307Ω

RS90

0.435Ω

RS85

20A

IOUT

0.031Ω

RBISTABLE

4.5V

VMIN

3.3V

VOUT

0.016Ω

RS95

66W

POUT

90%

EFFDCDC

5V

VPS

0.031Ω

RS90

0.043Ω

RS85

5A

IOUT

0.575Ω

RBISTABLE

2.5V

VMIN

1.6V

VOUT

0.111Ω

RS95

8W

POUT

92%

EFFDCDC

4.5V

VPS

0.210Ω

RS90

0.297Ω

RS85

5A

IOUT

3.359Ω

RBISTABLE

2.5V

VMIN

1.6V

VOUT

1.149Ω

RS95

8W

POUT

86%

EFFDCDC

15V

VPS

2.177Ω

RS90

3.084Ω

RS85

[ ]15

Page 7: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

例2のアプリケーションは例1と同様ですが、その相違点として出力電流能力が異なります(20A対2A)。95%のソース効率を確保する上で要求される直列抵抗値仕様が1/10に低減されている点に注目してください(16mΩ対162mΩ)。この低い抵抗値を達成するためには、56グラムの銅PCパターン配線を使用してください。

例3のアプリケーションでは、4.5V(即ち、5V-10%)のソース電圧から5Aの出力電流で1.6Vの電圧出力を生成します。RS95に対する111mΩのシステム仕様は適合可能ですが、決して容易ではありません。

例4のアプリケーションは例3と同様ですが、その相違点として電源電圧が高くなっています(VPS=15Vではなく4.5V)。入力電圧と出力電圧間の差が大幅に増加すると、DC-DCコンバータだけの変換効率が低下することになりますが、システム全体の効率は改善されるという有効なトレードオフの関係に留意してください。大きなRS95値(1Ω以上)は容易に適合可能なので、RSが問題になる

ことはありません。例えば、システムに入力フィルタと長い入力ラインを用意すると、ライン幅とコネクタの抵抗値に細心の注意を払わなくても95%以上のソース効率を維持することが可能です。

最後に

DC-DCコンバータの仕様について検討する際に、電源電圧を可能な限り出力電圧に近い値に設定して変換効率を最大限に高めたいという誘惑にかられてしまいます。しかし、この方法によって信号配線、コネクタ及び配線パターンレイアウトなどの要素に不必要な制約が加わることになるので、設計コストが増加する可能性があります。システム効率に悪影響が及ぶ場合もあります。この記事で紹介した解析ツールは、このような電源システムのトレードオフに関する問題をより直感的で明確に把握する上で役立ちます。

8

(1) Robert W. Erickson著、Fundamentals of Power

Electronics (電源エレクトロニクスの基本)、

Chapman and Hall発行、1997年

(2) Ron Lenk著、Practical Design of Power Supplies(電源設計の実際)、IEEE Press & McGraw Hill発行、1998年

(3) Irving M. Gottlieb著、Power Supplies, SwitchingRegulators, Inverters and Converters (電源、スイッチングレギュレータ、インバータ及びコンバータ)、第2版、TAB Books、1994年

(4) John Wettroth著、Controller Provides ConstantPower Load (一定の電源負荷を供給するコントローラ)、EDN 1997年3月14日発行号

参考文献

Page 8: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

9

図1に示す回路をPCのプリンタポートに接続すると、能動部品又は集積回路の電流-電圧(I-V)特性を確認することが可能です。簡単なBASICプログラム*でポートを駆動し、I-V特性をモニタ上にグラフとして表示します。その結果として、この手法はIC不良解析用の非常に効果的な診断ツールとなります。

12ビットディジタルアナログコンバータ(DAC)のIC4を±2.048Vのバイポーラ出力用に構成します。

オペアンプIC6Aはこの信号を+2V/Vの利得で乗算し、オペアンプIC7はこの電圧信号を被測定デバイス(DUT)を通過する電流に変換します。この電流はRSENSEとして選択する抵抗の値に応じて、±40µAから±40mAまでの範囲になります。DUTと選択範囲をどのように組み合せる場合でも、利用可能な最大電流はIC6Aの出力(最大値±4.096V)をRSENSEで除算した値に殆ど等しくなります。

DESIGN SHOWCASE

I-V曲線トレーサを制御する

PCプリンタポート

図1. 12ビットのシリアルデータDAC(IC4)及びADC(IC3)を使用して、PCのプリンタポートを通したこのI-V曲線トレーサの制御を可能にするインタフェースを構成する回路

* 「I-V曲線トレーサ」という名称のプログラムを英国マキシム社のTerry Millwardが作成しました。マキシム社のWebサイト(http://www.maxim-ic.com/othersoftware.htm)でこのプログラムを入手することができます。

VIN

GND VSET SHDN

SENSE

VOUT2

VIN

-15V

25-WAY D-TYPE

+5V+5V

1k

+15V

+15V

0V

-15V

+5V

33mF

5

4

15PC

0V

PLI

6

18–25

-5V

22mF

22mF

GND VSET

VOUT2

SENSE

SHDNVOUT1

+15V

±4.096

±2.048V

PROBES TO DUT-15V

+5V

22k

22k

-5V

1/2MAX478

IC6A

1/2MAX478

IC6B

1/2MAX492

IC5A

1/2MAX492

IC5B

+15V

FORCE

SENSE

22k

11k

3.3k

11k

22k

22k

4.096V2.048V

22k

-15V

10k1k100W RSENSE100k

+5V

MAX663

IC1

MAX664

IC2

VIN

REF

SCLK

VDD

GND

SHDN

CS

DOUT MAX189

IC3

MAX531

IC4

CLR

DOUT

VDD

AGND DGND VSS

RFB

VOUT

REFIN

REFOUT

BIPOFF

SCLK

DIN

CSIC7

HA-5221

[次ページに続く]

Page 9: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

10

DUTを通過する電流によってバイポーラ電圧が生成され、これは差動アンプIC6Bによって検出されます。スイッチ位置の変動に応じて起こるオフセット誤差を回避するために、このアンプの反転入力信号は反転入力からではなく、IC7の低インピーダンス非反転入力から取込まれています。この方法の問題点として、IC7の固定入力オフセット誤差が加わることになります。

この差動アンプの利得及びこれに供給されるオフセットによって、12ビットアナログディジタルコンバータ(ADC)であるIC3のユニポーラ入力電圧範囲とコンパチブルな最大出力スイング(0V~+4.096V)が確保されます。IC3には3.3kΩ入力抵抗が接続されているので、過電圧が印加された場合に入力電流が制限されます。IC7ではその電流ソース機能に対応す

る十分なコンプライアンス電圧を供給するために、±15Vの電源電圧範囲が必要になります。IC1及びIC2は他の全てのICに電源を供給するために、これらの電源電圧を±5Vに安定化します。

動作時に、DACはソフトウェアによる駆動によって電流ランプを生成し、ADCがDUTを通過するこの生成電圧を測定します。以下の2つの例(図2)で示すように、この電圧信号波形は640 x 480の解像度でPCモニタ上に表示されます。12ビットのコンバータ分解能はこのディスプレイ解像度に対して高過ぎるのですが、12ビット分解能によって解像度のもっと高いモニタを使用する余裕度が確保されることになり、ソフトウェアの「ズーム」機能を利用して応答性を詳細にチェックすることも可能になります。

図2. 図1の回路から生成された出力の例:(a) ショットキダイオードを使用した場合、(b) もっと複雑な構成のアナログICを使用した場合。

-4V

0V

F1 TERMINATES

+4V

(a) (b)

-IMAX 0mA +IMAX

-4V

0V

F1 TERMINATES

+4V

-IMAX 0mA +IMAX

Page 10: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

11

図1に示す接続回路のブーストコンバータは2セル又は3セルバッテリで動作し、5V安定化出力から500mAの高い出力電流を供給します。しかし、スタートアップ時あるいは瞬断状態の後で、出力及び負荷は出力電圧が安定化状態に達するまで接続断の状態に維持されます。

IC1のV+端子(ピン2)からチップ内部に帰還信号と同様に電源が供給されます。この「ブートストラップ動作」(このモードでは、チップはそれ自身の出力を電源として動作)は、重負荷によってスタートアップが完全に妨げられない限り、最低+1.8Vまでの入力電圧からのスタートアップを可能にします。

正しい動作を維持するためには、スイッチングMOSFETのオン抵抗を低く抑える上で十分なゲート駆動電圧が必要になりますが、スタートアップ時にこの駆動電圧はバッテリ電圧に制限されます。その結果、MOSFETのオン抵抗が高くなり、これが原因でコンバータの出力が規定レベルまで増加する動作

が妨げられる可能性が高くなります。これとは反対に、VOUTが許容誤差範囲内に入った後で初めて出力と負荷を接続すると、MOSFETは最小限に抑えられたオン抵抗で完全にターンオンすることができます。

IC2のNチャネルMOSFETの定格値はそれぞれ3.5A、12Vに規定され、オン抵抗は「完全なオン状態」で0.05Ωに低減されています。デバイス#2(左側)がスイッチングトランジスタ、そしてデバイス#1がハイサイド負荷スイッチになっています。負荷スイッチのゲート駆動電圧は、L1の一番下にあるスイッチングノードによって駆動されるチャージポンプ(C4及びデュアルダイオードD2)から供給されます。スタートアップ時に、C4の充電を防止するリセット信号(ピン2のロー出力)がµP監視IC(IC3)から出力されます。

しかし、IC3のピン3上の電圧が増加して4.65Vを超えると、ピン2の信号がハイになり、スイッチングノードがローになると、常に右側のダイオードを

図1. 全負荷状態でのスタートアップを確実に保証するために、この安定化ブーストコンバータに接続された追加回路によって、出力電圧が安定化レベルに達するまで負荷が接続断の状態に維持されます。

MAX608

IC1

MAX809L

IC3

V+2

1 4

C3150mF

(LOW-ESR)L1, 22mHCDR125(SUMIDA)

2V TO 5.2V

3 1

5, 6 7, 8 C447pF

R310M

R210M

R10.075W

C5330mF(LOW-

ESR)

2

85

3 4 6 7AGND GNDSHDNFB

EXT

D1NSQ03A02(NIHON)

D2BAV99

5V AT250mA

23

1

CSC1100nF

C2100nF

REF

VCC RESET

GND

IC2RF1K49090(HARRIS) G1G2

S2

D2 D1

S1

DESIGN SHOWCASE

全負荷接続状態で起動する

スイッチモードコンバータ

[次ページに続く]

Page 11: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

12

通してC4の充電がイネーブルになります。スイッチングノードがハイの状態に戻ると、常にC4電圧が出力電圧に追加され、MOSFETゲート(G1)電圧が約9.5Vにブーストされます。この電圧レベルは、ゲート-ソース間コンデンサの充電によって維持されます。従って、スタートアップ時にチャージポンプ出力は約4.5Vまでランプアップし、IC3のRESET出力がハイになると9.5Vに上昇します。その後で初めてハイサイドスイッチがターンオンし、負荷が接続されることになります。

IC3の240msパワーアップ遅延が極端に長い場合には、IC3の代わりに別のµP監視IC(MAX821)を使用することで、最大遅延を1ms、40ms又は200msの中から選択することが可能です。このブーストコンバータ回路はパルス周波数変調(PFM)モードを特長としているため、コンバータ(そしてチャージポンプ)が定期的にスイッチング動作を維持する上で約

5µAの最小負荷が必要になります。実際に、最小負荷はショットキ整流器(D1)の逆リーク電流によって供給されますが、D1の代わりに低リーク電流の非ショットキ整流器を使用する場合には(あるいは負荷を保証したいだけの場合には)、R3の値を1MΩに下げてください。

図1に示す回路は80%を超える変換効率を提供すると同時に、2.0Vの入力電圧時に250mA、そして2.7Vの入力電圧時に500mAの出力電流を供給します。Harris社のMOSFETは2.0V(最大値)のVGS(TH)性能を備えていますが、これをVGS(TH)のもっと低いスイッチ(Temic社のSi6946DQなど)に置換えると、最低1.8Vまでのバッテリ電圧から起動するように回路を変更することができます。(但し、Temic社のデバイスはRDS(ON)値がより高くなっています。)

Page 12: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

13

入力電圧と出力電圧の両方が低い場合にDC-DC変換を達成するには、特に困難を伴います。+1V以下の入力電圧で動作するステップアップICは入手可能ですが、+2V近くの入力電圧を許容するステップダウンICは存在しません。従って、携帯型機器の低電圧CPUコア用に高効率電源を供給するアプリケーションで、2セルの単3電池を電源として使用する場合に問題が起こる可能性があります。このバッテリ出力は、バッテリの放電に応じて1.8Vまで降下する場合があります。

図1に示す上側のスイッチモードDC-DCコンバータ(IC1)は、+3.4Vから+1.8Vまでの電圧範囲で変化する2個の単3電池入力から1.5V時に600mAを超える出力電流を生成します。このステップダウンコントローラに供給される3.3V電源電圧は、高電流の同期整流型ブーストコントローラ(IC3)から入力されます。IC3はこれ以外に外部ロジック及びCPUのI/Oブロックに電源を供給するために用意されています。IC1は3.3Vによってバイアスされますが、1.5V出力用の電源はバッテリから直接入力されます。

IC1を正しく動作させる上で3.3Vの電源電圧が低過ぎる場合には、Q2、D2及びSOT23パッケージのリセット IC ( I C 2 )によってスイッチングパワーMOSFET(Q1)をオフ状態に強制設定します。これらの部品を使用しなければ、パワーアップ時の状態(バッテリ電圧は存在するが、3.3V電源が瞬時的に失われ、Q1ゲートがローに引込まれる)が原因となって、1.5V出力がバッテリ電圧にオーバシュートする可能性があります。

この回路に使用している超小型サイズの部品、つまり3ピンSOT23パッケージのパワーMOSFET(Q1)及び5mm径の表面実装インダクタを考慮すると、1.5V出力のステップダウン変換効率(約85%)は極めて良好です。3.3V出力の場合には、IC3に内蔵されている同期整流器の動作によって90%以上の高いブースト変換効率が達成されます。

図1. ステップダウンコントローラ(IC1)は3.3Vブーストコントローラ(IC3)から電源の供給を受け、最低1.8Vまでの入力電圧から1.5V出力を生成します。3.3V電源電圧がその最小許容値よりも低下した場合、IC2及びQ2によってQ1をターンオフすることで回路の動作がシャットダウンされます。

1

2

5

6

8

3

13

21

3

5 4

4

L1 100mH

SUMIDA CD54-101

7

16

11

14

C50.1mF

R510W

R6101k

R761.9k

C60.1mF

C4100mF

OUTPUT3.3V200mA

62

153.3VON

3

C70.1mF 4 1 8 10 5 12 7

EXT OUT

NC

FB

C2100mF

OUTPUT1.5V600mA

C30.1mF

R3300k

R4470k

D3MBR0520

L210mH

SUMIDA CD54-100

C1100mF

INPUT2 AA CELLS

D11N5817

R120k

R2130k

D2MBR0520

Q2BSS84

ON1.5V

Q1NDS8434A

V+

CSGNDREFSHDN

MAX1627

IC1

MAX6311

IC2RESET GND

RSTIN2VCCRSTIN1

LX POUT

CLK/SEL

ONA

LBNONB

OUTREF

GND PGND FB

MAX1706

IC3

DESIGN SHOWCASE

2個の単3電池で動作する

ステップダウンレギュレータ

Page 13: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

14

スイッチモードDC-DCコントローラを2個の低価格温度監視ICと組み合せて使用すると、3速度のファンコントローラ回路(図1)が構成されます。この回路は数多くのアプリケーションで役立ち、コンピュータ、温度コントローラ及びアラームシステムでノイズ及び消費電力を大幅に低減します。

IC3のピン接続変更で選択可能なシャットダウン機能とその出力電圧能力によって、このアイデアが実現可能になっています。その入力( 3/5及びSHDN)に加えられるロジックレベル、そして正しい値の帰還抵抗(R2及びR3)によって、出力電圧レベル(1回に1つだけのレベル設定が可能)を0V、8V及び12Vに設定します。一般的に、下限電圧(VOUT1、この場合8Vに等しい)はR2 /R3分圧抵抗器によって決定し、上限電圧(VOUT2、この場合12Vに等しい)はVOUT1と内部比の積によって決定します。

VOUT1 = 3.3[(R2+R3)/R3]

VOUT2 = VOUT1(5/3.3)

温度監視IC(IC1及びIC2)は、工場からの出荷時にプログラム設定済みの内部スレッショルドを周囲温度が超えるとローに引込まれるオープンドレイン出力( TOVER )を備えています。この温度監視ICはそれぞれ小型サイズの5ピンSOT23パッケージに収めら

れており、スレッショルドは+35~+115までの温度範囲になっています。温度がIC2のスレッショルド(ここでは+45)を超えると、このデバイスはそのSHDN端子をローに引込むことによりIC3をターンオンさせます。IC3の3/5入力はローの状態に維持され、温度が+65に上昇するまでOUTピンから3.3Vを供給します(ファンには8Vが出力される)。そのときにIC1の出力はローに引込まれ、これによりQ2がターンオフし、R6によってIC3の3/5入力がハイに引込まれて、ファンに12Vの出力電圧が印加されます。Q2は信号の反転及び3/5入力のロジックハイスレッショルド(V+ - 0.5V)への適合のために必要です。

IC3は100%のデューティサイクルを生成する能力を備えているので、このアプリケーションで非常に低いドロップアウト電圧(1Aの負荷時で約150mV)を達成しています。変換効率は出力電圧と無関係ですが、出力電流に応じて変動し、10mAから1Aまでの範囲の電流変動に対して85%~96%までの範囲になります。平均的な変換効率は90%です。ファンの制御に必要のない低い温度のときには(+45以下)、スイッチングレギュレータがシャットダウンし、消費電流は約100µAに低減されます。

図1. スイッチモードDC-DCコントローラ(IC3)は温度監視デバイスのIC1及びIC2によって制御され、0V、8V又は12Vの出力電圧をファンに供給します。

CS

C30.1mF

V+

R10.04W

R4100k

R5100k

1

4 5

4 5

5V

12V

2 3

GND

EXT

OUTREF

SHDN

3/52 7

6

D1MOTOROLAMBRS340T3

C20.47mF

C1100mF

C4220mF

12VFAN

R214k

R310k

1

5

8

3

4

Q22N3904

Q1IRF7416

L122mH

R6100k

MAX1626

IC3

1 2 3

VCC

GND GND HYST

TOVER

MAX6501UKP065

IC1

MAX6501UKP045

IC2VCC

GND GND HYST

TOVER

DESIGN SHOWCASE

3速度のファンコントローラを制御する

超小型温度監視IC

Page 14: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

SOT23パッケージ、¥50のディジタルポテンショメータ

MAX5160/MAX5161リニアテーパ型ディジタルポテンショメータは、それぞれ固定抵抗の両端接点と32タップのワイパ接点を備えています。小型で低価格(¥50)なため、機械式ポテンショメータの代替品として最適です。(機械式ポテンショメータは時間が経つに従い、汚れ、信頼性が失われますが、ディジタルポテンショメータ高価であったため、機械式ポテンショメータの代替品として使用できませんでした。) MAX5160/MAX5161は、携帯型機器に使用されるLCDバイアス電源を調整する優れた手段を提供します。

MAX5161は、3x3mmの6ピンSOT23パッケージに収められ、8ピンSOPパッケージの同様のデバイスと比較し、回路基板占有面積が70%も少なくなっています。MAX5161の比率温度係数は低く(5ppm/)、温度変化に対して安定な利得が要求されるプログラマブルゲインアンプ構成回路に使用できます。

MAX5160は3線ディジタル制御を備え、省スペースの8ピンµMAXパッケージに、MAX5161は2線ディジタル制御を備え、6ピンSOT23パッケージに収められています。どちらのデバイスも50kΩ、100kΩ及び200kΩの3つの抵抗値オプションがそれぞれ用意されています。価格については、¥50(50,000個以上購入時の単価)からとなっています。

15

NEW PRODUCTS1Gspsの高速変換、2.2GHz T/H内蔵の8ビットADC

MAX104は、1Gspsのディジタイジングレート性能を備えた8ビットのモノリシック、バイポーラアナログディジタルコンバータ(ADC)です。MAX104は広帯域幅、優れた直線性及び高ダイナミック性能が要求される高速通信、計測そしてデータアクイジションの各アプリケーションに最適です。

MAX104は他のGHz帯域サンプリング動作の8ビットADCとは異なり、500MHzの入力(ナイキスト)周波数時に47dBのSINAD及び52dBのSFDR性能を完全に達成しています。この両方のパラメータについて、MAX104は2倍のナイキスト(即ち、1GHz)入力周波数帯域まで1dB以内で同じ性能レベルを維持します。

MAX104は最新の画期的な回路設計とマキシム社独自開発の27GHz GST-2バイ

ポーラプロセス技術の採用によって、この高性能を達成しています。このデバイスに内蔵された完全差動入力のトラック/ホールド(T/H)回路にはショットキダイオードとレーザトリミング抵抗が採用されており、±0.25LSB以下(標準値)の積分非直線性(INL)及び微分非直線性(DNL)、2.2GHzのフルパワー帯域幅、そして0.5ps以下のアパーチャジッタ性能が達成されています。MAX104の性能は独自のデコーディング回路内蔵方式によって更に改善されているので、1/1016の非常に低い準安定状態クロックサイクル発生率が保証され、エラーが1LSBを超えることが全くありません。

このような高周波数動作で優れた性能を維持するには、適切なパッケージングも極めて重要です。MAX104には寄生容量の影響を最小限に抑えるためにサイズが25 x 25 x1.4mmで192接点のESBGATM(エンハンスドスーパーボール・グリッドアレイ)パッケージが使用されており、これによってインピー

ダンスの制御された信号経路が提供されるとともに、殆どのアプリケーションでヒートシンクを用意する必要が全くありません。

ディジタルインタフェースを容易にするために、MAX104は選択可能な8対16出力デマルチプレクサの内蔵を特長としており、これによって1Gspsデータが500メガワード/秒に低速化されて、2つのパラレル差動8ビットの低電圧(PECL)出力にポートされます。データはオフセットバイナリフォーマットで出力され、出力クロック及びオーバレンジビットが含まれています。このデバイスは±5V電源で動作し、3Vから5Vまでの出力インタフェースをサポートします。

MAX104は民生用温度範囲(0~+70)で仕様が規定されており、価格については¥48,720(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。MAX104を実装済みの評価用キット(単価:¥79,560)を用意しています。

ESBGAはAmkor/Anam社の商標です。

10ピンµMAXパッケージに収められたシリアル、8ビット疑似差動ADC

8ビットADCのMAX1106/MAX1107はトラック/ホールド、電圧リファレンス、クロック及びシリアルインタフェースを内蔵しています。これらのデバイスは業界で最も小型の疑似差動8ビットADCで、8ピンSOPパッケージの半分のサイズの10ピンµMAXパッケージに収められています。この2つのデバイスは小型、低電力動作、優れたダイナミック性能及び使いやすさを特長とし、バッテリ電源動作のポータブル機器アプリケーションに最適です。

MAX1106は+2.7Vから+5.5Vまでの電源電圧範囲で動作し、MAX1107は+4.5Vから+5.5Vまでの電源電圧範囲で動作します。これらのデバイスの消費電流は、最大変換

レート(50ksps)による動作時で僅か130µAに低減されています。フルスケールアナログ入力電圧範囲は、内部リファレンス電圧(MAX1106では2.048V、そしてMAX1107では4.096V)、あるいは1VからVDDまでの範囲の外部供給リファレンス電圧によって決定されます。

MAX1106/MAX1107の各デバイスを使用しないときには、ソフトウェア制御によるパワーダウン機能によって消費電流を僅か0.5µAに低減することが可能です。4線シリアルインタフェースは、外部ロジックを追加せずにSPITM、QSPITM及びMICROWIRETMの各デバイスに直接的に接続されます。価格については、¥190(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

SPI及びQSPIはMotorola, Inc.の商標です。MICROWIREはNational Semiconductor Corp.の商標です。

CLK

8-BIT ADCT/HIN+

IN-

REFERENCE

POWER-DOWN

MAX1106

Page 15: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

16

NEW PRODUCTS

10ppm/リファレンスを保証12ビット及び13ビットDAC

シリアル入力/電圧出力、12ビット及び13ビットDACのMAX5120/MAX5130ファミリデバイスは、レイルトゥレイル®出力アンプと高精度バンドギャップ電圧リファレンスの内蔵しています。これらのデバイスは電圧リファレンス内蔵の同様のDAC製品とは異なり、拡張工業用温度範囲(-40~+85)で10ppm/よりも低い温度係数が保証されています。更にこれらは13ビットの単調増加性とともに、±1LSB(最大値)のDNL及び±1/2LSBのINLも保証されています。

これらの低電力DACファミリデバイスは+3V又は+5Vの単一電源で動作し、その消費電流は500µA(動作時)あるいは3µA(パワーダウン時)に低減されています。更にパワーアップリセット機能が用意されているので、パワーアップ時にゼロスケール又はミッドスケールどちらかの初期出力状態をユーザ選択することが可能で、これにより出力グリッチの発生が抑えられます。内蔵されたアンプはユーザがアクセス可能な出力及び反転入力構成になっているので、幅広い範囲のフォース/センスアプリケーションで特定の利得設定、

リモートセンシングを行なうことが可能で、しかも高い出力駆動能力を備えています。バッファ出力は、5kΩ¦¦100pF負荷又は4~20mA電流負荷を駆動します。

これらデバイスにはSPITM、QSPITM及びMICROWIRETMシリアルデータ標準規格とコンパチブルなシリアルインタフェースが備わっています。この製品シリーズは省スペースの16ピンQSOPパッケージで提供され、8つのデバイスが用意されています。12ビットのMAX5120/MAX5121及び13ビットのMAX5130/MAX5131が電圧出力バージョンです。12ビットのMAX5122/MAX5123及び13ビットのMAX5132/MAX5133がフォース/センスバージョンです。価格については、¥470(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

レイルトゥレイルは日本モトローラの登録商標です。

0.0015%のINL保証3V、18ビットのシグマデルタADC

18ビットADCのMAX1401/MAX1403は、480spsの変換レート時に16ビット性能(0.0015%のINL)を保証します。この2つのデバイスは4800spsまでの高い変換レートで他の同等デバイスよりも10倍高速に粗測定を実行する場合でも、12ビット精度(0.024%のINL)を維持することが可能です。この高レベルの精度は圧力トランスデューサ、工業用プロセス制御及び広いダイナミックレンジが要求されるその他のアプリケーションに最適です。

MAX1401/MAX1403は、+3Vアナログ及び+3Vディジタル両方の電源で動作します。この各デバイスの動作消費電力は低く(1.5mW)、しかもシャットダウン動作モード時には更に50µW以下まで低減されます。MAX1403はセンサ励起用としてマッチングされた200µAの電流ソースを供給し、MAX1401ではマルチプレクサ出力とADC入力に直接アクセスしてシグナルコンディ

ショニング回路を追加挿入することができます。

これらのデバイスにはスイッチングネットワーク、プログラマブルゲインアンプ(PGA)、内部発振器を備えた2つのバッファ、ディジタルフィルタ、変調器、システムオフセット補正用のディジタルアナログコンバータ(DAC)、そして双方向シリアルインタフェースが集積化されているので、回路基板の実装スペースと設計時間が大幅に節減されます。選択されたフルスケール範囲の117%までのシステムオフセットが、内蔵のオフセット補正用DACを通して補正されます。アナログ入力を5つの完全差動入力チャネルとして構成するか、あるいは5つの疑似差動入力チャネル及び2つの差動入力チャネルとして構成することができます。その他の特長として、ユーザ設定が可能な自動チャネルスキャニング機能、連続データ出力モード及びコンバートオンコマンドモードが挙げられます。

MAX1401/MAX1403は28ピンSSOPパッケージで提供され、価格については¥1,100(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

MAX5130

LOGIC

CS

SCLK

DIN

DOUTTO OTHER DEVICES

+2.5VREF

VOUT

VOS

POR

13 13-BITDAC

X2+1.25V BANDGAPREFERENCE

MIC

ROPR

OCES

SOR

ディジタルトリミングされた1%精度のセンサシグナルコンディショナ

MAX1478*は、ピエゾ抵抗センサのキャリブレーション及び補償用に最適な高度集積化のアナログ信号プロセッサです。外付部品を必要としないこのデバイスは、センサ励起用のプログラマブル電流ソース(0.1mA~2.0mA)、3ビットPGA、128ビットの内部EEPROM及び4個の12ビットDACを内蔵しています。精度は、センサの繰返し誤差の±1%以内に維持されています。MAX1478はシリコンピエゾ抵抗センサのオフセット、オフセット温度係数、フルスパン出力(FSO)、FSO温度係数(FSOTC)及びFSO非直線性を補償します。

DACを通して入信号オフセットとスパンを調整することによって、MAX1478は1次の温度誤差を補償し、量子化ノイズを除去します。MAX1478の内蔵機能によって、従来から実施されている以下の3つのセンサ製造操作を1つの自動化プロセスに統合化することが可能です。

プリテスト:ホストコンピュータがセンサデータを取込みます。

キャリブレーションと補償:ホストコンピュータがキャリブレーション及び補償係数をMAX1478の内部EEPROMにダウンロードします。

最終テスト:テスト用ソケットからMAX1478を取出さない状態で、ホストコンピュータがキャリブレーション及び補償の結果を検証します。

MAX1478はピエゾ抵抗センサとともに使用するように最適化されていますが、部品を外付すると、加速度センサ、ストレインゲージ及びその他の抵抗センサとともに動作させることが可能です。カスタム仕様対応として、マキシム社では90以上の特定センサ機能ブロックで構成される専用のセルライブラリを用意しています。詳細については、弊社までお問い合わせください。

MAX1478はダイ及び16ピンSSOPパッケージで提供されます。

* MAX1478は開発中です。

Page 16: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

17

NEW PRODUCTS

1kΩ負荷で115dBのAVOLを維持するレイルトゥレイルオペアンプ

MAX4281/MAX4282/MAX4284は、利得帯域幅積が2MHzのシングル/デュアル/クワッドのレイルトゥレイル®オペアンプです。殆どのレイルトゥレイルオペアンプと異なり、これらのデバイスには1kΩ負荷を正と負の電源範囲の160mV以内まで駆動する能力を備えた独自の出力構造が採用されており、115dBのオープンループ利得が劣化することはありません。これらのユニティゲイン安定性オペアンプは+2.5V~+5.5Vまでの電圧範囲の単一電源で動作し、広い出力スイングが要求される汎用の低電圧アプリケーションに最適です。これらは、工場出荷時に調整済みの内部利得ネットワークを備えたGainAmpTM

アンプ製品ファミリのオープンループバージョンです。

MAX4281/MAX4282/MAX4284の消費電流が僅か300µAで、470pFまでの容量性負荷に対して安定動作を維持します。20kHzにて1Vp-p出力スイングの動作時に、104dBの全高調波歪み性能を達成します。デュアル及びクワッドバージョンは、100kHz時に90dBのクロストーク性能を備えています。

MAX4281は省スペースの5ピンSOT23及び8ピンSOPパッケージで提供されています。MAX4282は8ピンµMAX及びSOP、そしてMAX4284は14ピンSOP及び16ピンQSOPパッケージで提供されています。価格については、¥80(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。GainAmpはマキシム社の商標です。

+2.7V単一電源、消費電流が僅か42µAの差動アンプ

MAX4198/MAX4199は高精度な利得設定抵抗を内蔵し、レイルトゥレイル®出力を備えた単一電源動作のマイクロパワー差動アンプです。+5V単一電源のみで動作する他の差動アンプと異なり、これらのアンプは+2.7Vから+7.5Vまでの電圧範囲の単一電源で動作し、消費電流は僅か42µAに低減されています。各デバイスは高精度のポータブル計測機器及び低電力装置に最適です。バッテリの寿命期間を更に拡張するために、消費電流を6.5µAに低減する低電力シャットダウン動作モードを特長としています。この2つのアンプは110dBの電源変動除去比を特長と

SOT23パッケージに収められた全機能内蔵型ハイサイド電流検出アンプ

MAX4173は、サイズが僅か3 x 3mm2の

小型6ピンSOT23パッケージに収められた

ハイサイド電流検出アンプです。回路の

グランドプレーンに干渉して悪影響を及ぼ

す他の電流検出技術とは異なり、この小型

デバイスでは電源と負荷の間に1個のハイ

サイド電流検出抵抗を利用します。この外

部抵抗によって、ユーザは測定電流のフル

スケール範囲を選択することができます。

工場出荷時に設定済みの利得として、次に示す3つの利得が選択可能です。

+20V/V (MAX4173T)

+50V/V (MAX4173F)

+100V/V (MAX4173H)

MAX4173は+3Vから+28Vまでの幅広い電源電圧範囲を特長としています。その独自の回路構造によって、電源電圧と無関係に0Vから+28Vまでの範囲の入力同相電圧が可能です。グランド検出入力は直線性を維持します。更に、入力同相電圧がグランドに近づくときに、このデバイスは出力の位相反転を防止します。この特長は、パワーアップ又はパワーダウン時にトランジェントが発生しているとき、そして入力に障害が起こっている状態のときに役立ちます。

し、更に1kHz時で0.001%の全高調波歪み性能を備えています。

MAX4198はユニティゲイン用に内部トリミングされており、175kHzの-3dB帯域幅、0.01%精度、0.0003%の非直線性、そして90dBの同相除去比性能を達成しています。MAX4199は+10V/Vの利得用に内部トリミングされており、45kHzの-3dB帯域幅、0.01%精度、0.0003%の非直線性、そして110dBの同相除去比性能を達成しています。

MAX4198/MAX4199は8ピンSOPパッケージ及び省スペースの8ピンµMAXパッケージ(業界標準のMSOPパッケージと同じサイズ)で提供されます。価格については、¥160(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

SINGLE 2.7V SUPPLY,RAIL-TO-RAIL OUTPUT

5V (VCC)

OUTPUTVOLTAGE1V/div

0V (VEE)

MAX4198MAX4199

VCC

VOUT

ILOAD

MAX4173

MAX4173は0.5%のフルスケール精度を達成しています。このデバイスは1.7MHzの帯域幅特性(AV=+20V/V時)を備えているので、閉ループの電流制御アプリケーションに有効です。

MAX4173は6ピンSOT23パッケージ及び8ピンSOPパッケージで提供されます。価格については、¥100(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

8-PIN µMAX

3.0m m x 5.0mm

4473

Page 17: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

18

NEW PRODUCTS

クリックレス動作のシリアル制御、オーディオ/ビデオスイッチ

MAX4562/MAX4563アナログスイッチは、シリアルデータインタフェースによって制御されます。30Ω(最大値)のオン抵抗及び5Ω以下のオン抵抗マッチングを特長とし、アナログ信号範囲で5Ω以下のオン抵抗平坦性が保証されているため。マルチメディアアプリケーションに最適です。どちらのデバイスも選択可能なソフトスイッチングを備え、オーディオアプリケーションにおいて「クリックレス」動作モードを提供します。クロストーク及びオフアイソレーションはオーディオの場合に20kHz時で-85dB、ビデオの場合に10MHz時で-55dBです。オーディオの全高調波歪みは0.007%です。

MAX4562/MAX4563はそれぞれ2個のノーマリオープンSPDTスイッチと2個のノーマリオープンSPSTスイッチを備え、ビデオアプリケーションにおいてTスイッチとして構成することが可能です。MAX4562は2線、I2Cコンパチブルシリアルインタフェースを特長とし、MAX4563は3線のSPITM/QSPITM/ MICROWIRETM

コンパチブルシリアルインタフェースを特長としています。どちらのデバイスも+2.7V~+5.5V範囲において単一電源で動作します。

MAX4562/MAX4563は16ピンQSOPパッケージで提供され、価格については¥250(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

I2CはPhilips Corp.の商標です。

レイルトゥレイル信号対応障害保護のアナログIC

正常な電源範囲から外れたトランジェントからスイッチを保護するように設計された新しい回路構成によって、障害保護機能を備えた各種のデバイスを開発しています。この新しい製品ファミリはクワッド単極/単投(SPST)スイッチ(MAX4511/MAX4512/MAX4513)、シングル8チャネル及びデュアル4チャネルマルチプレクサ(MAX4508/MAX4509)、そして3線/8線インライン信号プロテクタ(MAX4506/MAX4507)で構成されています。この全てのデバイスは、全電源電圧範囲でレイルトゥレイル®信号を扱う能力を特長としています。

これらのデバイスは電源オフ時に±40Vの入力保護、そしてパワーアップ又はパワーダウン時に±36Vまでの過電圧保護性能を備えています。これらのデバイスの端子は障害が発生している状態の期間中にオープン回路になるので、信号源に流れ込むリーク電流は僅

か数ナノアンペアに過ぎません。障害が発生している状態の期間中に明確な出力を確実に保証するために、スイッチの出力はほぼ電源電圧にクランプされ、極性の正しい10mAまでの高い負荷電流が供給されます。

その他の特長として、低いオン抵抗(最大値100Ω)及び6Ω(最大値)以下のオン抵抗マッチング性能が挙げられます。入力オフリーク電流は+25時で0.5nA、そして+85時で10nAです。これらのデバイスは全て+9Vから+36Vまでの電圧範囲の単一電源あるいは±4.5Vから±18Vまでの電圧範囲のデュアル電源で動作します。ディジタル入力スレッショルド(+0.8V及び+2.4V)の設定によって、TTL及びCMOSロジックとのコンパチビリティが保証されています。

これらのデバイスは8ピンDIP/SOP、16ピンDIP/ナローSOP/SSOP、18ピンDIP/SOP及び20ピンSSOPの各パッケージで提供されます。価格については、¥180(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

GSM PAのランプアップ/ダウンを制御するシングルチップIC

MAX4473は、GSM及びその他のTDMA方式携帯電話用パワーアンプ(PA)によって要求されるパワーランプアップ及びランプダウン制御を実行するPA制御用ICです。MAX4473は3 x 5mmの小型8ピンµMAXパッケージに収められており、しかもこのデバイス1個で3個のディスクリートオペアンプ及び数多くの受動部品との置換えが可能なので、各種のRFノイズ及び安定性に関する設計上の問題が実質的に排除され、携帯電話回路のレイアウトと設計が簡略化されます。MAX4473は厳しいGSM帯域幅及びスルーレート仕様に適合し、1.5µsのイネーブル/ディセーブル時間と低消費電流(1.2mA)が保証されています。従って、ダイナミック応答性を損なうことな

く消費電力が低減されます。3個の利得設定抵抗を外付すると、最大限の多機能性が確保されます。

GSM及びその他のTDMA方式の携帯電話は送信時に信号パルスがオンになり、その後でオフに切替えられます。これらの標準的な信号バーストは、200Hz周波数で1/8のデューティサイクルを持ちます。このようなRFシステムを設計する際に重要視される主要課題はGSM仕様に適合した制御方式でパワーをランプアップ及びランプダウンし、不要なRFスプラッタ又は放射を発生させないことです。現在これらの回路を構成するには、安定性を維持するとともにノイズの問題を解決するために、数個のオペアンプと数多くの受動部品が必要です。MAX4473は必要な全てのアンプをシングルチップ上に集積化しており、その性能は特にGSMアプリケーション用に最適化されているので、このようなシステムの回路設計負担が大幅に軽減されます。

環境耐性の優れたレイルトゥレイル®出力は500Ω又は300pF負荷(あるいはこの両方の並列負荷)を駆動する能力を備えており、パワーアンプの低インピーダンス利得制御入力を駆動するように設計されています。幅広い同相電圧範囲における高精度なパワー制御を可能にし、更に出力の位相反転を防止するために、内部エラーアンプの入力も同様にレイルトゥレイルになっています。MAX4473のその他の特長としてレイルトゥレイルの制御入力バッファ、そして+2.7V~+6.5Vまでの幅広い電源電圧範囲が挙げられます。シャットダウンモード時に、出力はアクティブにプルダウンされ、消費電流は1µA以下に低減されます。

MAX4473は8ピンSOP及び省スペースの8ピンµMAXパッケージ(業界標準のMSOPパッケージと同じサイズ)で提供されます。価格については、¥100(50,000個以上購入時の単価)からとなっています。

MAX4508

MAX4509

MAX4512

MAX4507

4506

4511

4513

Page 18: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

19

NEW PRODUCTS

衛星通信電話用の6出力電源IC

MAX886*/MAX888は、衛星通信電話及びパーソナル移動体無線などのワイヤレスハンドセット用に開発された高効率の6出力電源ICです。これらの高度に集積化された電源管理システムは500mAのステップダウンDC-DCコンバータ、+5Vの安定化チャージポンプ、パワーオンリセット回路、スタートアップタイマ及び4個の低ドロップアウト電圧(LDO)低ノイズリニアレギュレータをそれぞれ内蔵しています。I2CTM/SMBusTMコンパチブルのシリアルインタフェースによって、メインコンバータとLDOの出力電圧を設定します。

MAX886はそのメイン出力電圧を2.5V~3.8Vまでの範囲内でプログラム設定することが可能で、2個のリチウムイオンバッテリを電源として動作するシステム用に設計されています。MAX888はそのメイン出力電圧

74HC4066を置換え低価格、低電圧クワッドCMOSアナログスイッチ

MAX4610/MAX4611/MAX4612クワッドSPSTアナログスイッチは、業界標準の74HC4066アナログスイッチとピンコンパチブルで置換えが可能な低価格デバイスです。オン抵抗(最大値65Ω)は4Ω(最大値)以下にマッチングされ、オン抵抗平坦性は規定信号範囲内で15Ω(最大値)以下に維持されています。この各スイッチはV+からグランドまでの範囲内の入力電圧を受け付け、オフリーク電流の最大値はTA=+25時で1nA、そしてTA=+85時で6nAです。

MAX4610には4個のノーマリオープン(NO)スイッチが備わっており、74HC4066との置換えが可能です。MAX4611には4個のノーマリクローズ(NC)スイッチ、そしてMAX4612にはNOスイッチとNCスイッチがそれぞれ2個ずつ備わっています。これらのデバイスは全て+2Vから+12Vまでの電圧範囲の単一電源で動作し、全てのディジタル入力に+0.8V及び+2.4Vのロジックスレッショルドが設定されているので、+5V電源動作時にTTL/CMOSロジックとのコンパチビリティが保証されます。ESD保護は、3015.7法で2kV以上です。

MAX4610/MAX4611/MAX4612は14ピンDIP、ナローSOP及びTSSOPの各パッケージで提供されています。価格については、¥70(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

を1.5V~3.0Vまでの範囲内でプログラム設定することが可能で、1個のリチウムイオンバッテリだけを電源として動作するシステム用に設計されています。

メインDC-DCコンバータは94%までの変換効率を備えており、500mAまでの出力電流を供給します。ディジタル信号処理セクションへの電源供給に200mA LDOが使用されます。Rx /Tx IFセクションへの電源供給と絶縁に2個の100mA LDOが使用され、更に+5V又は+3VSIMカードへの電源供給に20mA LDOが使用されます。安定化チャージポンプは、LCDディスプレイに+5V電源を供給します。

この2つのデバイスは375kHz、535kHz、670kHz又は925kHzの固定周波数にプログラム設定可能な低ノイズのPWMモードで動作します。この各デバイスを外部クロックに同期させることも可能です。消費電流は、全てのデバイスがオンの状態であっても250µAに低減されています。1個だけのオン/オフプッシュ

14V入力で1A出力、低ノイズPWMステップダウンDC-DCコンバータ

MAX1684/MAX1685は携帯電話、通信用携帯情報端末(PDA)及びハンディ端末での使用を目的として設計された高効率のステップダウンスイッチングレギュレータです。この各デバイスは2セルのリチウムイオン(Li-Ion)バッテリによる駆動時に、1Aの保証された出力電流を供給します。事前に設定済みの3.3V出力を1.25VからVINまでの電圧範囲の任意出力電圧に外部調整することも可能です。この2つのICデバイスは入力電圧範囲が広いので(+2.7V~+14V)、バッテリと同様にACアダプタ電源による動作も可能です。

これらのデバイスにはオン抵抗の低いパワースイッチと同期整流器が内蔵されているので、96%までの高い変換効率が達成されています。この各コンバータには通常動作、固定周波数、低電力及びシャットダウンの4つの動作モードが用意されています。通常動作モード(150µAの自己消費電流)のときには、全負荷時に高い変換効率が維持されます。固定周波数のパルス幅変調(PWM)動作モードは優れたノイズ特性を提供します。低電力動作モード(25µAの自己消費電流)を選択すると、スタンバイ時あるいは全負荷機能を必要としないときに電力が節減されます。シャットダウン動作モード(2µAの自己消費電流)に設定すると、ICの動作がターンオフします。

MAX1684は最大の変換効率を達成するために、300kHzのスイッチング周波数で動作します。MAX1685は600kHzのスイッチング周波数で動作し、サイズのより小さな外部部品の使用が可能です。この2つのデバイスを外部クロックに同期させることができます。その他の特長として、低ドロップアウト電圧アプリケーションに対応した100%のデューティサイクル、1%精度の電圧リファレンス、そして3V/5mAの補助出力などが挙げられます。

より低い入力電圧(最大+5.5Vまで)動作が必要とされるアプリケーションの場合には、より小さな10ピンµMAXパッケージのMAX1692をご検討ください。

MAX1684/MAX1685は省スペースの16ピンQSOPパッケージに収められており、価格については¥400(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。ユーザの開発設計時間の短縮化を目的として、評価用キットを用意しています。

INPUT2.7V TO 14V

+

OUTPUT3.3V AT 1A

+

MAX1685

LXIN

OUT

CVH

STBY

PWM/SYNC

CVL REF GND CC

SHDN

ボタンによってシャットダウン制御が実行され、そのときに消費電流は僅か5µAに低減されます。これらのICデバイスはサーマルシャットダウン機能及びヒステリシス付きのローバッテリ検出器の内蔵も特長としています。

ユーザの開発設計時間の短縮化を目的として、推奨の外付部品が実装されたアセンブリ済みの評価用システム(MAX886EVSYS及びMAX888EVSYS)を用意しています。これらの評価用システムには、PCのパラレルポートを通してプログラマブル機能を制御することができるように、Windowsソフトウェアが搭載されたI2C/SMBusコンパチブルのインタフェースボードも備わっています。MAX886ECJとMAX888ECJはサイズが僅か9 x 9mmの省スペース32ピンTQFPパッケージで提供され、価格については¥580(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

* 開発中。入手可能性については、お問い合わせください。SMBusはIntel Corp.の商標です。

Page 19: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

20

NEW PRODUCTS1nAのシャットダウンを備えたSOT23スイッチドキャパシタ電圧インバータ

MAX1720/MAX1721チャージポンプ電圧インバータは、+1.5Vから+5.5Vまでの範囲の入力電圧を許容する超小型サイズのモノリシックCMOSデバイスです。この各デバイスは高い変換効率(99.9%まで)、小型外付部品、そして消費電力を1nAに低減するロジック制御のシャットダウン動作モードを特長としているので、バッテリ駆動及びボードレベルの電圧コンバータの回路設計に最適です。MAX1720/MAX1721の標準的なアプリケーションで、この各チップは+3.3Vのロジック電源から-3.3Vのアナログ電源電圧を生成します。

MAX1720は12kHzのスイッチング周波数で動作して50µAの消費電流を維持し、MAX1721は125kHzのスイッチング周波数で動作します。この両方のデバイスには、発振器制御回路と4個のパワーMOSFETスイッチがそれぞれ内蔵されています。更に、25mAの連続出力電流を供給する能力を備えています。

シャットダウン動作モードを全く必要としないアプリケーションの場合には、MAX1720/MAX1721とピンコンパチブル

で5ピンSOT23パッケージに収められた電圧インバータであるMAX828/MAX829及びMAX870/MAX871をご検討ください。50mAまでの電流出力を供給し、小型µMAXパッケージに収められたMAX860/MAX861はより高い電源電圧を供給することができます。同様にµMAXパッケージに収められているMAX868は、-2VINまでの安定化出力を生成します。

MAX1720/MAX1721は6ピンSOT23パッケージで提供され、価格については¥160(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

300mAの出力電流を保証するµMAXパッケージのLDOレギュレータ

MAX8860は、+3.3Vの入力電源から1.8V~3.0Vの電源を生成するときに300mAまでの出力電流を保証する低ドロップアウト電圧(LDO)のリニアレギュレータです。携帯電話及びその他のワイヤレス通信システムでは、DSP、ベースバンドアナログ及びシンセサイザ/VCO回路部への電源供給として、このような性能が必要とされます。MAX8860は非常に小型サイズのµMAXパッケージに収められています。このパッケージは高さが1.1mm以下と薄型で、回路基板占有面積は8ピンSOPパッケージの僅か半分です。

このデバイスのPチャネルMOSFET出力は、300mAまでの全ての負荷に対して低い消費電流(165µA)と低いドロップアウト電圧(200mA時で105mV)を維持します。(PNP出力を備えたリニアレギュレータの場合には、その消費電流が全負荷時で数mAレベルに達する可能性があります。) 更に電力を節減するためにロジック制御のシャットダウン動作モードが用意されており、このモード時には消費電流が1µA以下まで低減されます。

ドロップアウトや電流過負荷又はサーマルシャットダウンによってデバイスの出力が安定化状態にならないときに、障害の発生を示すFAULT信号が出力されます。負荷電流に応じて変動するドロップアウト電圧を内部FAULTスレッショルドがトラッキングするので、簡単な構成のバッテリ電圧低下検出コンパレータを使用する方式よりも数100mV低い端子電圧動作が可能になり、これによってバッテリの寿命期間が拡張されます。その他の特長として、バッテリの逆挿入保護及び60µVRMSの非常に低いノイズ性能が挙げられます。MAX8860EUAは小型8ピンµMAXパッケージで提供され、価格については¥110(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

0

100

50

150

200

0 10050 150 200 250 300

300mA

CONTINUOUS LOAD CURRENT (mA)

LOWEST DROPOUT AND HIGHEST OUTPUT CURRENT

DROP

OUT

VOLT

AGE

(mV)

NEARESTCOMPETITOR

LOWER DROPOUTVOLTAGE

HIGHER CONTINUOUSOUTPUT CURRENT

MAX8860

100

90

80

70

60

50

40

300.50 1.0

LOAD CURRENT (mA)PO

WER

EFF

ICIE

NCY

(%)

1.5 2.0 2.5

10% MOREEFFICIENCY

MAX1721

HIGHEST EFFICIENCY & SMALLEST CAPACITORS

COMPETITOR

VIN = +5VC1 = 1mF

外付部品が不要な3V/5V、±15kV ESD保護のRS-232トランシーバ

MAX3233E/MAX3235Eは、強化された静電気放電(ESD)保護性能を備えた完全なR S - 2 3 2デュアルトランシーバです。MAX3233E/MAX3235Eは+3.3V/+5V電源動作のEIA/TIA-232及びV.28/V.24規格適合の通信インタフェースで、自動シャットダウン/ウェイクアップ機能、高速データレート特性及び強化されたESD保護性能を兼ね備えています。全てのトランスミッタ出力及びレシーバ入力はIEC 1000-4-2エアギャップ放電法で±15kV、IEC1000-4-2接触放電法で±8kV、そしてヒューマンモデルで±15kVの各ESD電圧に対して保護されています。

これらのデバイスにはデュアルチャージポンプが内蔵されているので、コンデンサを外付する必要が全くありません。各デバイス

には独自の低ドロップアウト電圧トランスミッタ段がそれぞれ用意されているので、+3.0V~+3.6V(MAX3233E)あるいは+4.5V~+5.5V(MAX3235E)の電源電圧範囲で真のRS-232性能の達成が可能です。これらのデバイスは両方ともマキシム社の画期的なAutoShutdown PlusTM機能の採用によって1µAの消費電流を達成しており、250kbpsデータレートでのデータ伝送動作が保証されています。

MAX3233E/MAX3235Eには民生用温度範囲(0~+70)と拡張工業用温度範囲(-40~+85)のものが用意されており、20ピンSOP及びDIPパッケージで提供されています。価格については、¥440(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。

AutoShutdown Plusはマキシム社の商標です。

Page 20: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

21

NEW PRODUCTS3.3Vで消費電力を大幅削減2.5GbpsSiGe TIA

MAX3267(2.5Gbps)及びMAX3266(1.25Gbps)はSiGeプロセス技術を採用して開発されたトランスインピーダンスアンプ(TIA)で、低電力(3.3V、86mW)そして低価格で高性能を達成するニーズに正確に対応します。この2つのデバイスは、光ファイバ通信マーケット向けに開発された業界初のSiGeトランスインピーダンスアンプです。これらの高利得アンプはギガビットイーサネット及び光ファイバチャネルのレシーバ用アプリケーションに使用されて、光検出器の出力電流を有用な出力電圧に変換します。

MAX3266/MAX3267の3.3V電源動作時の消費電力は僅か86mWに低減されており、これは他社の同等ICデバイスが消費する電力の僅か1/5から1/10に相当します。2.5GbpsのMAX3267は1900MHzの帯域幅、485nAの入力換算ノイズ及び1900Ωのトランスインピーダンス性能を備えています。その標準的な光ダイナミックレンジは850nmの短波構成の場合で-21dBm~0dBm、そして1300nmの長波構成の場合で-24dBm~-3dBmとなっています。

1.25GbpsのMAX3266は920MHzの帯域幅、200nAの入力換算ノイズ及び2800Ωのトランスインピーダンス性能を備えています。その標準的な光ダイナミックレンジは短波構

成の場合で-24dBm~0dBm、そして長波構成の場合で-27dBm~-3dBmとなっています。この各デバイスの広いダイナミックレンジによって、ギガビットイーサネット仕様よりも3dB~6dB高い設計マージンが確保されます。その成果として、光レシーバアセンブリの製造歩留りが改善されます。

この各TIAのダイのサイズは僅か50 x30milで、しかも補償用コンデンサと光ダイオードフィルタ抵抗が内蔵された省スペース構造になっているので、TOスタイルヘッダにアセンブリすることが可能です。MAX3266/MAX3267は容易に性能をアップグレードできるように全く同じピン配置構成になっており、ダイ又は8ピンSOPパッケージで提供されています。価格については、¥490(10万個以上購入時の単価)からとなっています。ユーザの開発設計サイクルを短縮化する目的で、アセンブリ済みの評価用キット(MAX3266EVK I T及びMAX3267EVKIT)を用意しています。

超小型SC70パッケージの電圧監視IC

MAX6806/MAX6807/MAX6808は、超小型サイズのSC70パッケージに収められた業界初の電圧監視デバイスです。(この新しいパッケージは僅か2.0 x 2.1mmで、SOTパッケージの約1/2のサイズに相当します。) これらのデバイスは事前に設定しておいた値よりも電源電圧が低くなると常にRESET出力をアサートし、その状態をマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラに通知します。4ピンのSOT143パッケージには、外部ソースからシステムRESETをイネーブルするマニュアルリセット出力が用意されています。これらのデバイスは外付部品が全く必要ないので、システムコストが節減されるとともに、信頼性が向上します。

これらの±2%精度デバイスには、安定したスイッチング動作を保証するヒステリシスが組込まれています。MAX6806はアクティブローのプッシュ/プルRESET出力、MAX6807はアクティブハイのプッシュ/プルRESET出力、そしてMAX6808はアクティブローのオープンドレインRESET出力をそれぞれ特長としています。これらのデバイスには全て、2.6V又は4.6Vのリセットスレッショルド付きバージョンが用意されています。MAX6808には2.3Vバージョンも用意されています。

パッケージは3ピンSC70、3ピンSOT23及び4ピンSOT143(マニュアルリセット出力付き)が用意されています。価格については、3ピンデバイスが¥110、そして4ピンデバイスが¥120からとなっています(いずれも2,500個以上購入時の単価)。

MAX6806MAX6807MAX6808

VCC

VCC VCC

GND GND

mP

(RESET)/RESET RESETINPUT

( ) ARE FOR MAX6807

MAX3267

50 mils

30 mils

2.488Gbps動作のSDH/SONET 1:16デシリアライザ

クロックリカバリ機能を備えた1:16デシリアライザのMAX3880は、SDH/SONETアプリケーションで2.488Gbpsのシリアルデータを155Mbpsの16ビット幅パラレルデータに変換します。+3.3Vの単一電源で動作するこのデバイスは高速シリアルデータを受け付けて、低電圧差動信号(LVDS)フォーマットのパラレルクロック及びデータ出力を供給します。動作消費電力は920mWです。

MAX3880には2.488Gbpsアプリケーション用として低電力のクロックリカバリ及びデータリタイミング機能が内蔵されており、更にシステムのループバック診断テスト用に1つの2.488Gbpsシリアル入力も追加されています。このデバイスに完全に集積化された位相ロックループによって、シリアルのNRZデータ入力から同期クロック信号が復帰

されます。この復帰されたクロックによって、データ信号のリタイミングが実行されます。ジッタ性能は全てのSDH/SONET仕様を上回っています。更にMAX3880には、TTLコンパチブルのロスオブロック(LOL)モニタ出力及びデータの再アライメントと再フレーミングを可能にするLVDS同期入力も備わっています。

MAX3880は64ピンTQFP EP(露出パドル)パッケージで提供されています。

Page 21: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

22

NEW PRODUCTS

8dBmのIIP3、システムコストを削減ゼロIF衛星チューナIC

MAX2108は、Lバンド信号をベースバンドI/Qチャネルに直接ダウンコンバートするゼロIFのディジタル衛星放送TVチューナICです。IFローカル発振器、IFミキサ及びSAWフィルタを使用する必要が全くないので、従来から利用されているスーパーヘテロダイン方式と比較すると、システムコストが大幅に削減されます。

最小の利得設定時に8dBmのIIP3性能が達成されているので、ピンダイオード減衰器及びアンプを使用する必要なしに、マッチングネットワークを通してRF入力を75ΩケーブルのFコネクタに直接接続することが可能です。

MAX2108には自動利得制御機能付の低ノイズアンプ、I/Qダウンコンバータミキサ、90°の位相シフタ及びベースバンドバッファ

低電力165mW、2.5Gbps、3.3V駆動、トランスインピーダンス/リミティングアンプ

MAX3866はトランスインピーダンスアンプとリミティングアンプを集積化しているので、SDH/SONETアプリケーションでこれを使用すれば1個分のICを節減できます。このデバイスは2.488Gbpsのデータレートで動作し、その消費電力は+3.3V電源動作時で僅か165mWです。これは、同等性能を備えたディスクリート部品設計回路の消費電力の1/2以下です。MAX3866は-22dBmよりも優れた入力感度性能を達成しています。更に、入力感度が-22dBmよりも小さいか、あるいはこれに等しい条件のときに、10-10ビットのエラーレートも達成します。

自動パワー制御機能を備えた622MbpsSDH/SONETレーザドライバ

MAX3668は622Mbpsまでの伝送速度に対応したSDH/SONETアプリケーション用の完全なレーザドライバです。このデバイスは+3.3V~+5Vまでの電圧範囲の単一電源で動作し、その消費電流は3.3V電源動作時で僅か38mAに抑えられています。このデバイスは差動PECL入力を受け付けて、バイアス電流と変調電流を供給し、その動作温度範囲は-40から+85まで拡張されています。MAX3668はANSI、ITU及びBel lcoreSONET/SDHの各規格に適合しています。

自動パワー制御(APC)の内部帰還動作によって、全温度範囲及びその有効寿命期間にわたって一定の平均的な光パワーレベルが維持されます。変調電流は5mA~75mAまでの範囲内でプログラム設定することが可能で、バイアス電流を1mAから80mAまでの範囲内でプログラム設定することもできます。MAX3668には更にENABLE制御機能、そしてAPCループが平均的な光パワーレベルを維持することができなくなったときを表示するFAIL出力も用意されています。

MAX3668はダイ及び5mm平方サイズのTQFPパッケージで提供されています。

MAX3866では少なくとも1.4dBmのオーバドライブ能力が保証されています。この広い入力範囲と-22dBmの入力感度の組み合わせ性能によって、このデバイスは長距離及び短距離伝送アプリケーションの両方に適しています。MAX3866は広いアナログ入力帯域幅(1.8GHz)を備えているので、2.488Gbpsアプリケーション用に性能が最適化され、ノイズが増加することがありません。TTLプログラマブルのロスオブパワー(LOP)インジケータがライン性能をモニタし、LOPヒステリシス(3dB)の設定によって誤ったトリガ発生が防止されます。

MAX3866はダイの形状で提供され、その性能は-40~+120までの接合部温度範囲で保証されています。

+3.3V

PHOTODIODE

MAX3866

LIMITINGPOSTAMP

PREAMP

LOSS OF POWER

2 1 08P L

L

I

Q

SATELLITE TUNER

RF IN

BASEBANDOUT

も内蔵されています。MAX2108は民生用温度範囲(0~+70)で仕様が規定されており、24ピンQSOPパッケージで提供されて

います。価格については、¥490(10,000個以上購入時の単価)からとなっています。

Page 22: アーティクル ソース抵抗:DC-DCコンバータ回路の変換効率を ...DC-DCコンバータの入力電圧を高くすると、 入力電流に関する必要条件は制限されますが、ソース抵

23

NEW PRODUCTS

SMBusインタフェースを備えたデュアルアラーム、リモート/ローカル温度センサ

MAX1619はリモートデュアルアラーム出力を備えた業界初のリモート温度センサで、その出力の1つを使用してシステム介入なしにCPUファンの制御を起動することが可能です。MAX1619は内蔵のCPUサーマルダイオードを通してダイ温度を直接的に測定する高精度なディジタルサーモメータで(3のリモート精度、2のローカル精度)、従来から利用されているサーミスタ又は熱電対との置換えが可能です。これにより、CPUをサーマルエンベロープの極限範囲内で可能な限り高速なクロックレートまで動作させることができます。過大温度を表示するリモート出力は、サーモスタットとして作用する非ラッチのオープンドレイン出力です。この出力はファンを直接的に制御して熱の蓄積を発散し、効率性を改善すると同時に、発生する可能性のある破壊的なサーマル負荷からノートブックコンピュータを保護する能力を備えています。

2線シリアルインタフェースは、アラームスレッショルドのプログラム設定及び温度データの読出しに使用される標準的なSMBusTMの書込みバイト、読出しバイト、送信バイト及び受信バイトを受け付けます。ユーザが変換レートをプログラム設定するか、又はシングルショットモードで動作するようにプログラム設定することによって、自動的及び自律的な温度測定を実行することができます。

MAX1619は省スペースの16ピンQSOPパッケージで提供され、その仕様は軍用温度範囲(-55~+125)で保証されています。価格については、¥370(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。ユーザの開発設計時間の短縮化を目的として、推奨の外付部品が実装されたアセンブリ済みボードの評価用キット(MAX1619EVKIT)を用意しています。

シングルワイヤ上に8個までのマルチドロップ接続するSOT温度センサ

MAX6575L /H温度センサは、1本の制御ラインを使用して1個のマイクロプロセッサを8個までのセンサとインタフェースさせることが可能な独自のシングルワイヤディジタルインタフェースを特長としています。外部トリガ信号パルスのエッジが立下ってから各デバイスによってリポートされる遅延信号のエッジが立下るまでの時間遅延を測定することによって、温度センシングが実行されます。信号のオーバラップを回避するために、同じI /Oライン上にある異なるセンサはそれぞれ異なるタイムアウトマルチプライヤを使用します。

MAX6575L/Hは+25時で±3の最大精度(標準値±0.8)、そして+125時で

±5の最大精度を特長としています。MAX6575L /Hは+2.7Vから+5.5Vまでの電圧範囲の電源で動作し、150µAの低消費電流を特長としているので、携帯型のバッテリ駆動装置での使用に最適です。

このデバイスには2つの異なるバージョンが用意されており、MAX6575Lバージョンは50ms以下の4つの遅延範囲を提供し、MAX6575Hバージョンは50msよりも長い4つの遅延範囲を提供します。各チップに用意されている2本の時間遅延選択用ピンを使用することによって、これらの遅延を選択することが可能です。

MAX6575LZUT/MAX6575HZUTは、自動車用温度範囲(-40~+125)での動作が保証された省スペースの6ピンSOT23パッケージに収められています。価格については、¥100(2,500個以上購入時の単価)からとなっています。

A/D利得制御を特長とした900MHz、250mW、シリコンパワーアンプ

MAX2232/MAX2233はアナログ及びディジタル(A/D)利得制御を特長とした900MHz、250mW、低電圧動作のシリコンパワーアンプ(PA)です。MAX2232は連続的に調整可能な24dB範囲の利得を備えています。MAX2233では、内蔵された2ビットのプログラマブル利得制御DACを通して2つの利得を10dBステップで個別に設定することができます。この両方のデバイスは+3.6Vの単一電源動作で915MHz時に250mW(+24dBm)の出力パワーを供給する能力を備えており、そのパワー付加効率(PAE)は44%です。

MAX2232/MAX2233はオートランピング出力機能も特長としています。ターンオン及びターンオフの期間中に、RF出力が1本の外付コンデンサによって制御されて徐々にランプアップ及びランプダウンするので、不要な出力トランジェントノイズとスペクトルスプラッタが最小限に抑えられます。低電力シャットダウン動作モードによって消費電流が0.2µAに低減されるので、TDMAシステムの「アイドルスロット」期間中に電力が節減されます。更にサーマルシャットダウン機能によって、過度の温度状態からPAが保護されます。

これらのPAは、低価格の868MHz /900MHz ISMバンドアプリケーション用に設計されています。この各デバイスは+2.7Vから+5.5Vまでの電圧範囲の単一電源で動作するので、GaAs MESFET製品を使用する場合に必要となる負のバイアス及び電源シーケンス回路が全く不要です。これらのデバイスは、省スペースでサーマル性能が強化された16ピンパワーQSOPパッケージで提供されています。価格については、¥330(1,000個以上購入時の単価)からとなっています。ユーザの開発設計時間の短縮化を目的として、完全にアセンブリ済みの評価用キット(MAX2232EVKIT/MAX2233EVKIT)を用意しています。