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セファゾリンの供給低下について
資料2
セファゾリンの特徴・用途
•第1世代セファロスポリン
•静脈注射、または点滴で投与
• メチシリン感受性黄色ブドウ球菌感染症の治療、外科手術の創感染予防に使用
•先発品のほか、後発品5品目が流通
1
セファゾリン供給低下の経緯
2018年末頃 セファゾリン後発品メーカーの一つである日医工において、同社がセファゾリン原薬を輸入している海外企業における異物混入、原薬出発物質の製造停止等が重なり、セファゾリンの生産に支障が発生。
2019年2月 日医工から採用全医療機関に対し供給停止の案内を開始。
2019年3月 厚生労働省からセファゾリン代替薬リスト(参考資料2)を周知。
2019年6月 厚生労働省において、ウェブ上のアンケートを用いて、各医療機関からセファゾリン使用状況、代替薬の供給状況等を情報収集。厚生労働省において、各製薬メーカーより聞き取り調査。
※日医工においては、本年秋頃の生産再開、秋の終わりから年末の供給再開を予定。
2
セファゾリン及び主なセファゾリン代替薬の出荷状況・出荷予定
0.056
0.056
0.014
0.100
0.020
0.048
0.006
0.219
0.019
0.539
0.012
0.060
0.014
0.102
0.023
0.056
0.007
0.267
0.026
0.566
0.000 0.100 0.200 0.300 0.400 0.500 0.600
セファゾリン(日医工)
セファゾリン(日医工以外)
アンピシリン
アンピシリン・スルバクタム
セフォチアム
セフメタゾール
フロモキセフ
セフトリアキソン
クリンダマイシン(注射薬)
上記合計
年間出荷量(2018実績・2019予定)(DID*)
2018年
2019年
3厚生労働省による各メーカーからの聞き取り(2019年6月)結果に基づく*DID: defined daily dose per 1000 inhabitants per day
セファゾリン及び主なセファゾリン代替薬の出荷状況・出荷予定(各月までの累積)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月出荷実績・予定(D
ID)
セファゾリン2018年 2019年
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月出荷実績・予定(
DID)
代替薬2018年 2019年
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月出荷実績・予定(
DID)
セファゾリン+代替薬2018年 2019年
4厚生労働省による各メーカーからの聞き取り(2019年6月)結果に基づく*DID: defined daily dose per 1000 inhabitants per day
各医療機関における状況
•厚生労働省健康局結核感染症課において、6月3日~30日までの間、セファゾリンの供給状況等について医療機関が情報を登録できるウェブアンケートを設置。
•回答総数1,176医療機関。そのうち、セファゾリンを採用していなかったものを除いた1,071医療機関について回答を分析。
5
セファゾリンの採用先 医療機関数
日医工のみ 418
日医工以外も含む 653
病床規模 医療機関数
500床以上 215
300-499床 309
200-299床 176
100-199床 237
20-99床 111
1-19床 9
0床 9
無回答 5
各医療機関における状況• セファゾリンの使用状況(術前予防投与)(採用メーカー別)
Q.手術時の創感染予防を目的としたセファゾリンの投与(ガイドライン等でセファゾリンの使用が推奨されるものに限る)について、貴院の状況にもっとも当てはまるものをひとつだけ選択してください。
6
480
57
423
147
47
100
327
277
50
117
37
80
0 200 400 600 800 1000 1200
全体
日医工のみ採用
日医工以外採用
医療機関数
原則として全例にセファゾリンを使っている。
セファゾリンの供給に問題があるため、一部で使用を制限している。
セファゾリンの供給に問題があるため、原則としてセファゾリンを使っていない、または使えない。
セファゾリンの供給状況とは関係なく、手術時の創感染予防のためにセファゾリンの使用が推奨される症例を診療することがない。
厚生労働省におけるウェブアンケート(2019年6月)に基づく
各医療機関における状況• セファゾリンの使用状況(術前予防投与) (病床規模別)
Q.手術時の創感染予防を目的としたセファゾリンの投与(ガイドライン等でセファゾリンの使用が推奨されるものに限る)について、貴院の状況にもっとも当てはまるものをひとつだけ選択してください。
7
124
167
75 71
30
3 1
59% 56%47%
38% 37% 38%
20%
-100.0%
-80.0%
-60.0%
-40.0%
-20.0%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
0
50
100
150
200
250
300
500床 300-499床 200-299床 100-199床 20-99床 1-19床 0床
医療機関数 割合
セファゾリンの供給に問題があるため「一部で使用を制限している。 」「原則としてセファゾリンを使っていない、または使えない。」と答えた医療機関数、及び平素セファゾリンの術前予防投与を行う医療機関全体に対する割合
厚生労働省におけるウェブアンケート(2019年6月)に基づく
各医療機関における状況• セファゾリンの使用状況(術前予防投与) (都道府県別)
Q.手術時の創感染予防を目的としたセファゾリンの投与(ガイドライン等でセファゾリンの使用が推奨されるものに限る)について、貴院の状況にもっとも当てはまるものをひとつだけ選択してください。
8
-1
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
医療機関数 割合
セファゾリンの供給に問題があるため「一部で使用を制限している。 」「原則としてセファゾリンを使っていない、または使えない。」と答えた医療機関数、及び平素セファゾリンの術前予防投与を行う医療機関全体に対する割合
厚生労働省におけるウェブアンケート(2019年6月)に基づく
各医療機関における状況• セファゾリンの使用状況(治療) (採用メーカー別)
Q.感染症の治療を目的としたセファゾリンの投与(ガイドライン等でセファゾリンの使用が推奨されるものに限る)について、貴院の状況にもっとも当てはまるものをひとつだけ選択してください。
9
525
70
455
237
125
112
254
212
42
55
11
44
0 200 400 600 800 1000 1200
全体
日医工のみ採用
日医工以外採用
医療機関数
原則として全例にセファゾリンを使っている。
セファゾリンの供給に問題があるため、一部で使用を制限している。
セファゾリンの供給に問題があるため、原則としてセファゾリンを使っていない、または使えない。
セファゾリンの供給状況とは関係なく、感染症の治療のためにセファゾリンの使用が推奨される症例を診療することがない。
厚生労働省におけるウェブアンケート(2019年6月)に基づく
各医療機関における状況• セファゾリンの使用状況(治療) (病床規模別)
10
115
156
7893
42
3 1
54% 51% 46% 44% 42% 38%
14%
-100.0%
-80.0%
-60.0%
-40.0%
-20.0%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
0
50
100
150
200
250
300
500床 300-499床 200-299床 100-199床 20-99床 1-19床 0床
医療機関数 割合
セファゾリンの供給に問題があるため「一部で使用を制限している。 」「原則としてセファゾリンを使っていない、または使えない。」と答えた医療機関数、及び平素セファゾリンの術前予防投与を行う医療機関全体に対する割合
厚生労働省におけるウェブアンケート(2019年6月)に基づく
Q.感染症の治療を目的としたセファゾリンの投与(ガイドライン等でセファゾリンの使用が推奨されるものに限る)について、貴院の状況にもっとも当てはまるものをひとつだけ選択してください。
-1
-0.8
-0.6
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0
10
20
30
40
50
60
70
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90
100
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
医療機関数 割合
セファゾリンの供給に問題があるため「一部で使用を制限している。 」「原則としてセファゾリンを使っていない、または使えない。」と答えた医療機関数、及び平素セファゾリンの術前予防投与を行う医療機関全体に対する割合
各医療機関における状況• セファゾリンの使用状況(治療)(都道府県別)
Q.感染症の治療を目的としたセファゾリンの投与(ガイドライン等でセファゾリンの使用が推奨されるものに限る)について、貴院の状況にもっとも当てはまるものをひとつだけ選択してください。
11
厚生労働省におけるウェブアンケート(2019年6月)に基づく
各医療機関における状況• セファゾリンの供給低下による影響
手術延期等なし, 470
手術延期等あり, 4
術前投与
受入不能等なし, 485
受入不能等あり, 6
治療
手術延期等あり: 代替薬の使用等も考慮した上で、手術の延期や、手術が必要な患者さんを受け入れられないことがあった。
手術延期等なし: 代替薬の使用、予防投薬を行わない等により、手術自体は実施できている。
受入不能等あり: 代替薬の使用等も考慮した上で、治療が必要な患者さんを受け入れられないことや、治療が可能な病院に転院してもらうことがあった。
受入不能等なし: 代替薬の使用等により、治療自体は実施できている。
12厚生労働省におけるウェブアンケート(2019年6月)に基づく
各医療機関における状況•代替薬の充足状況
0 50 100 150 200 250 300
0品目
1品目
2品目
3品目
4品目
5品目
6品目
医療機関数
供給が滞っている品目数(6品目中)
全体
手術・治療とも
原則セファゾリンを使用
手術・治療のどちらか
または両方で代替薬使用
供給が滞っているという意見の多い上位6品目(アンピシリン、アンピシリン・スルバクタム、セフォチアム、セフメタゾール、セフトリアキソン、クリンダマイシン(注射薬))のうち、供給が滞っている品目数別の医療機関数
13厚生労働省におけるウェブアンケート(2019年6月)に基づく
状況のまとめ
• 日医工におけるセファゾリンの供給停止のため、セファゾリンの供給量が低下。日医工によるセファゾリンの供給再開は本年秋の終わりから年末頃の見込み。
• 各メーカーからの聞き取りによれば、日医工におけるセファゾリン供給停止を加味しても、今年のセファゾリン及び代替薬の出荷総量は昨年を上回るペースである。
• ただし、医療機関によってセファゾリン及び代替薬の入手しやすさに差がある※こと、利用できる代替薬が特定の品目に偏っていること等から、各症例において最適な抗菌薬が使用できないケースが一定程度生じていると考えられる。
※製薬企業が出荷調整を行う場合、各医療機関への販売量実績を基準に調整されることが多く、そのため、これまで抗菌薬使用の適正化を積極的に進めてきた医療機関ほど、今回のように出荷調整が行われる局面では抗菌薬を手に入れにくくなっている可能性もある。
14
論点(案)
• 現時点でセファゾリンを使用できない、または使用に制限のある医療機関が一定割合存在することを受け、セファゾリンの供給再開までの間、手術や治療が実施できない医療機関の発生防止を目的として、医療機関の理解・自発的協力、メーカー・卸の協力のもと、セファゾリン及び代替薬について、互いに融通するよう呼びかけることについて、どのように考えるか。
• 抗菌薬の開発、生産、流通等は感染症対策に大きな影響を及ぼす要素であることから、今後、臨床・公衆衛生上の重要性や生産・流通の安定性等を踏まえ、複数の抗菌薬(または開発中の抗菌薬候補)を選び、継続的、積極的に情報収集していくことについてどのように考えるか。
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