グリコーゲン代謝 - 熊本大学...2019/06/06 · 2....
TRANSCRIPT
グリコーゲン代謝
令和1年6月6日病態生化学分野(生化学2)教授
山縣 和也
本日の学習の目標
グリコーゲンの分解経路について理解する
グリコーゲンの合成経路について理解する
ホルモンによるグリコーゲン調節経路について理解する
グルコース
乳酸
グルコース6リン酸
ピルビン酸
グリコーゲン タンパク質
アミノ酸 脂肪酸
アセチルCoA
トリアシルグリセロール
ケト酸
ATP
ピルビン酸脱水素酵素
エネルギー代謝経路
グリコーゲン代謝
解糖系
クエン酸回路電子伝達系
脂質代謝
アミノ酸代謝
β酸化糖新生
血糖値(mg/dL)
Time of Day
0
100
200
300
400
0600 1000 1400 1800 2200 0200 0600
糖尿病食事しなくても血糖は一定に保たれている
脳や赤血球はグルコースをエネルギー源にしている。
脳でグルコースは使用される。食事しないのに何故血糖は維持される?
肝臓のグリコーゲンを利用
肝臓のグリコーゲン
(1)最初は筋肉内のATPを使用(1秒程度)
(2)次にクレアチンリン酸からATPを作って利用(3秒程度)
(3)筋肉のグリコーゲンを分解し、解糖系でATPを産生する(電子伝達系でATPを作るのは間に合わない)
どうやって100m走るエネルギーを獲得するのか?
クレアチンはアミノ酸から合成される有機酸(1-メチルグアニジノ酢酸)。筋肉中に存在する。
筋肉のグリコーゲン
肝臓と筋肉にグリコーゲンが蓄えれらている
全身の血糖維持 筋肉のエネルギー
エネルギー源として利用
糖質の種類
単糖類トリオース(三炭糖)テトロース(四炭糖)ペントース(五炭糖)ヘキソース(六炭糖) グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトースヘプソース(七炭糖)
二糖類 2個の単糖が縮合したものマルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)、スクロース(ショ糖)など
オリゴ糖類3-10個の単糖が結合したもの。ヒトではほとんど分解されない
多糖類単糖が11個以上縮合したもの。デンプンやグリコーゲンなど
マルトース:デンプンの基本構成単位。二分子のグルコースからなる
① ④
⑥
動物は吸収した糖をグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯蔵する。
グリコーゲン
グリコーゲン代謝の概要
HK/GK
G6Pase
グリコーゲンの分解
(n残基) (n-1残基)
ビタミンB6:主としてアミノ酸代謝に関与する酵素の触媒型補酵素の一部
(アミノ基転移反応,脱炭酸反応,置換反応,etc)
ビタミンB6
N
CH2OH
CH2OH
H3C
HO
N
CH2OH
CH O
H3C
HO
N
CH2OH
CH2NH2
H3C
HO
N
CH2O P O-
O
O-
H3C
HO
CH O
N
CH2NH2
H3C
HO CH2O P O-
O
O-補酵素型
ピリドキシンPyridoxin
ピリドキサールPyridoxal
ピリドキサミンPyridoxamine
ピリドキサールリン酸Pyridoxal phosphate
ピリドキサミンリン酸Pyridoxamine phosphate
脱分枝酵素
脱分枝酵素α1 6グルコシダーゼ活性
グルコース
ホスホリラーゼ4個手前でストップ
グルコース6リン酸+H20 グルコース+Pi
グルコース6ホスファターゼ
肝臓
筋肉
グルコース6ホスファターゼは存在しない。G6Pは筋肉においてATP産生のために使用される。
肝臓は脳など他の組織のためにグルコースを放出する。
グリコーゲンの合成
G:グリコゲニングリコーゲン合成のプライマータンパク質
分解と合成の調節
膵島(内分泌細胞)
膵島
b-cell
insulin
a-cell
glucagon
外分泌
膵臓
血糖を下げる唯一のホルモン
血糖を上げるホルモン
グリコーゲン
グルコース
グルコース6P
グルコース1P
UDPグルコース
グリコーゲン合成酵素(glycogen synthase)
グリコーゲンホスホリラーゼ
インスリン活性化
グルカゴン・アドレナリン活性化
ホルモンによるグリコーゲンの合成と分解
肝 筋肉
cAMP(サイクリックAMP)
CH2
HO OH
N
N
N
N
NH2
O
O P
O
O
O
P
O
O O-
- P
O
O
O- -
ATP
CH2
O OH
N
N
N
N
NH2
O
O
PO
O
-
アデニル酸シクラーゼAdenylate cyclase
O P
O
O
O-
- P
O
O
O-
-
グルカゴンやアドレナリンによってcAMPが産生
cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化
cAMPがグリコーゲンの分解を調節する
活性型ホスホリラーゼがグリコーゲンを分解する
(肝臓の場合はグルカゴン)
活性型ホスホリラーゼがグリコーゲンを分解する
カルシウムによるホスホリラーゼの活性化
筋肉の収縮
GSK3不活性型(リン酸化)グリコーゲン合成酵素
GSKは普段合成酵素を抑制している
グリコーゲン合成
インスリンによるグリコーゲン合成酵素の制御
リン酸化酵素
GSK3
GSKは普段合成酵素を抑制できなくなる
不活化
活性型(脱リン酸化)グリコーゲン合成酵素
Akt
PI 3K
PDK1
IRS
インスリン受容体
P
グリコーゲン合成
インスリンによるグリコーゲン合成酵素の制御
PP1
(プロテインホスファターゼ)PP1
(プロテインホスファターゼ)
インスリンによって活性化
肝臓ではグルコースもホスホリラーゼを制御する(アロステリック調節)
グルコース
活性型
不活性型
a
グルコースがあるときにグリコーゲンを分解するのは無駄
グリコーゲン病(糖原病)1型:von Gierke病
肝臓にグリコーゲンが蓄積し、肥大する食間に強い低血糖をおこすグルカゴンの投与で低血糖は改善しない
フォン・ギールケ病
グリコーゲン病(糖原病)3型:Cori病
肝臓の肥大低血糖グリコーゲンの外側の部分だけが使用可能
グリコーゲン病(糖原病)5型:McArdle病
筋肉のホスホリラーゼが欠損激しい運動ができない
1. 絶食時では筋肉のグリコーゲン分解によりグルコースが産生がされる 「 」2. グリコーゲン合成は肝臓と筋肉でおきる 「 」3. グリコーゲン分解反応は合成反応の逆経路である 「 」4. グリコーゲンのα1-4結合はホスホリラーゼによって切断される 「 」5. グルコース6ホスファターゼは肝臓に存在している 「 」6. グリコゲニンはグリコーゲン合成のためのタンパク質性プライマーである 「 」7. グリコーゲン合成にGDPグルコースが使われる 「 」8. グリコーゲン合成酵素はインスリンで阻害される 「 」9. グリコーゲンホスホリラーゼはグルカゴンで阻害される 「 」10. 筋でホスホリラーゼを活性化するのはアドレナリン(エピネフリン)である 「 」11. 肝でホスホリラーゼを活性化するのはアドレナリン(エピネフリン)である 「 」12. 筋肉のグリコーゲンホスホリラーゼはカルシウムで抑制される 「 」13. 肝のグリコーゲンホスホリラーゼはグルコースで活性化される 「 」
理解の確認のために