ビーム電流増強用ビームラインのインターロックシステム -...

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ビーム電流増強用ビームラインのインターロックシステム INTERLOCK SYSTEM OF BEAM LINE FOR BEAM CURRENT UPGRADE 川根祐輔 #, A) , 三浦昭彦 B) , 宮尾智章 C) , 平野耕一郎 B) , 杉村高志 C) ,加藤裕子 B) , 澤邊祐希 B) , 福田真平 B) , 大内伸夫 B) Yusuke Kawane #, A) , Akihiko Miura B) , Tomoaki Miyao C) , Koichiro Hirano B) , Takashi Sugimura C) , Yuko Kato B) , Yuki Sawabe B) , Shinpei Fukuta B) , Nobuo Ouchi B) A) Nihon Koshuha Co., Ltd. B) J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency C) J-PARC Center, High Energy Accelerator Research Organization Abstract In the J-PARC Linac, because an upgrading of a beam current up to 50mA using an RF-driven ion source and a new RFQ Linac cavity is in progress, we have developed the new frontend devices. In order to protect the scraper against 50 mA, we need to observe the temperature, to avoid the excess heat loading of the scraper surface, and to count the irradiated beam particles. We also monitor the beam transmission between the upstream and downstream of the chopper cavity to check the chopping errors using the beam current monitors. We fabricated the interlock system for the temperature, the irradiated particle number and the beam transmission. And we tested them in the test stand with actual beam. This paper describes the interlock system and their test results. 1. はじめに J-PARC リニアックでは、ピークビーム電流を 50mA へ増強するため、RF 駆動イオン源及び 50mA RFQ (RFQ III) の開発を進めており、2014 年度夏 に換装する予定である。J-PARC リニアック棟に設 置したテストスタンドにおいて当該イオン源及び RFQ の性能確認試験を実施した。一方、RFQ DTL 間のビーム輸送系 (MEBT1: Medium Energy Beam Transport) に関しては、50mA 用チョッパ空洞 及びスクレーパの開発を進めている [1][2] 。ビーム1 σ内の単位面積当たりの熱負荷は、数十 MW/m 2 度になるため、スクレーパの損傷が懸念される。そ こで、スクレーパ保護のため、スクレーパの温度の 上限の監視、照射するビームの粒子数の総量に対す るインターロックが必要となる。また、チョッパ空 洞の動作監視のため、チョッパ空洞前後のビーム透 過率を計測するモニタ及びインターロックを導入す る予定である。テストスタンドにおいてスクレーパ のビーム照射試験を実施するにあたり、これらのモ ニタ、インターロックシステムを構築し、動作確認 を行った。本稿では、ビーム電流増強用の新しい ビームライン用に構築したインターロックシステム について紹介し、テストスタンドにて使用した結果 について報告する。 2. RFQ テストスタンドのインターロック 新しいビームラインに使用するスクレーパの性能 を評価するため、RFQ テストスタンドにおいてスク レーパのビーム照射試験を実施した。ビーム照射試 験を実施するにあたり、下記 3 項目に対するモニタ、 インターロックシステムを構築した。 (1) スクレーパの温度の上限の監視(高温異常) (2) 照射するビームの粒子数の総量(ビーム照射量) (3) スクレーパ上流とスクレーパとの間のビーム透 過率 RFQ テストスタンドのビームラインとインターロッ クシステムの概略を Figure 1 に示す。以下、RFQ ストスタンドの各インターロックシステムについて 説明する。 2.1 スクレーパ温度に対するインターロック スクレーパ温度に対するインターロックシステム では、スクレーパ温度を監視し、危険温度に達する 前に、インターロック信号を発報する。インター ロックの系統図を Figure 2 に示す。6μs の応答速度 を有する高速放射温度計 (Hazama Sokki, High-speed pyrometer, IGA740-LO)を用いて、スクレーパ表面の 温度を測定する。スクレーパの表面温度は、照射す るビームパルスの立上りとともに上昇し、立下りと ともに低下する。放射温度計から出力される温度に Figure 1: Beam line of RFQ test stand. ___________________________________________________ # [email protected] Proceedings of the 11th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan August 9-11, 2014, Aomori, Japan PASJ2014-SUP099 - 1288 -

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ビーム電流増強用ビームラインのインターロックシステム

INTERLOCK SYSTEM OF BEAM LINE FOR BEAM CURRENT UPGRADE

川根祐輔#, A), 三浦昭彦 B), 宮尾智章 C) , 平野耕一郎 B), 杉村高志 C) ,加藤裕子 B), 澤邊祐希 B), 福田真平 B),

大内伸夫 B)

Yusuke Kawane #, A), Akihiko MiuraB), Tomoaki MiyaoC), Koichiro HiranoB), Takashi SugimuraC), Yuko KatoB),

Yuki SawabeB), Shinpei FukutaB), Nobuo OuchiB) A) Nihon Koshuha Co., Ltd.

B) J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency C) J-PARC Center, High Energy Accelerator Research Organization

Abstract In the J-PARC Linac, because an upgrading of a beam current up to 50mA using an RF-driven ion source and a new

RFQ Linac cavity is in progress, we have developed the new frontend devices. In order to protect the scraper against 50 mA, we need to observe the temperature, to avoid the excess heat loading of the scraper surface, and to count the irradiated beam particles. We also monitor the beam transmission between the upstream and downstream of the chopper cavity to check the chopping errors using the beam current monitors. We fabricated the interlock system for the temperature, the irradiated particle number and the beam transmission. And we tested them in the test stand with actual beam. This paper describes the interlock system and their test results.

1. はじめに J-PARC リニアックでは、ピークビーム電流を

50mA へ増強するため、RF 駆動イオン源及び 50mA用 RFQ (RFQ III) の開発を進めており、2014 年度夏に換装する予定である。J-PARC リニアック棟に設置したテストスタンドにおいて当該イオン源及びRFQ の性能確認試験を実施した。一方、RFQ とDTL 間のビーム輸送系 (MEBT1: Medium Energy Beam Transport) に関しては、50mA 用チョッパ空洞及びスクレーパの開発を進めている[1][2]。ビーム1σ内の単位面積当たりの熱負荷は、数十 MW/m2 程度になるため、スクレーパの損傷が懸念される。そこで、スクレーパ保護のため、スクレーパの温度の上限の監視、照射するビームの粒子数の総量に対するインターロックが必要となる。また、チョッパ空洞の動作監視のため、チョッパ空洞前後のビーム透過率を計測するモニタ及びインターロックを導入する予定である。テストスタンドにおいてスクレーパのビーム照射試験を実施するにあたり、これらのモニタ、インターロックシステムを構築し、動作確認を行った。本稿では、ビーム電流増強用の新しいビームライン用に構築したインターロックシステムについて紹介し、テストスタンドにて使用した結果について報告する。

2. RFQ テストスタンドのインターロック 新しいビームラインに使用するスクレーパの性能

を評価するため、RFQ テストスタンドにおいてスクレーパのビーム照射試験を実施した。ビーム照射試験を実施するにあたり、下記 3 項目に対するモニタ、

インターロックシステムを構築した。 (1) スクレーパの温度の上限の監視(高温異常) (2) 照射するビームの粒子数の総量(ビーム照射量) (3) スクレーパ上流とスクレーパとの間のビーム透

過率 RFQ テストスタンドのビームラインとインターロックシステムの概略を Figure 1 に示す。以下、RFQ テストスタンドの各インターロックシステムについて説明する。

2.1 スクレーパ温度に対するインターロック

スクレーパ温度に対するインターロックシステムでは、スクレーパ温度を監視し、危険温度に達する前に、インターロック信号を発報する。インターロックの系統図を Figure 2 に示す。6μs の応答速度を有する高速放射温度計 (Hazama Sokki, High-speed pyrometer, IGA740-LO)を用いて、スクレーパ表面の温度を測定する。スクレーパの表面温度は、照射するビームパルスの立上りとともに上昇し、立下りとともに低下する。放射温度計から出力される温度に

Figure 1: Beam line of RFQ test stand.

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# [email protected]

Proceedings of the 11th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of JapanAugust 9-11, 2014, Aomori, Japan

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対応した電圧値が、設定した閾値より大きくなると、インターロック信号が発報する。また、ピークホールド回路により、パルスごとのピーク温度を検出し、数値データとしてアーカイブする。

2.2 ビーム照射量に対するインターロック

ビーム照射量に対するインターロックシステムでは、スクレーパに照射するビームの総量(粒子数)を監視し、スクレーパの性能評価のため、照射した粒子数をアーカイブする。インターロックの系統図を Figure 3 に示す。スクレーパで検出されたビーム電流の信号は、積分回路で積分されて、粒子数コンパレータに入力される。粒子数コンパレータでは、ビーム電流の積分値を粒子数に換算し、数値データとしてアーカイブする。また、粒子数の総量が、設定した閾値(上限となる粒子数)より大きくなると、インターロックが発報する。

2.3 ビーム透過率に対するインターロック

ビーム透過率に対するインターロックシステムでは、スクレーパ上流のビーム電流とスクレーパのビーム電流を比較し、スクレーパに照射されたビーム電流が大きく低下した場合(ビーム電流が喪失した場合)に、インターロック信号を発報する。インターロックの系統図を Figure 4 に示す。スクレーパ上流のビーム電流モニタ (SCT: Slow Current Transformer) 及びスクレーパで検出されたビーム電流の信号は、ビーム電流差分検出器へ入力される。ビーム電流差分検出器では、2 つの入力値の差を検出し、積分ゲート内で積分した値を出力する(ビーム電流差分積分値)。この値が、設定した閾値より大きくなると(スクレーパ電流の喪失量が大きくなると)、インターロック信号が発報する。また、ビーム電流差分積分値を数値データとしてアーカイブする。

3. インターロック系統の測定 Figure 1 に示すテストスタンドにインターロック

システムの機器を実装し、ビーム運転状態において測定を行った。以下に測定結果を示す。

3.1 スクレーパ温度系統の測定

Figure 2 に示す系統における、スクレーパ温度(バッファアンプ出力)及びピークホールド出力の測定波形を Figure 5, 6 に示す。Figure 5 において、スクレーパ温度(Ch1、Yellow)は、ビームゲート(Ch4、Green)内で急上昇し、ビームゲートの立下り後に徐々に低下しているのに対して、ピークホールド出力(Ch2、Blue)は、スクレーパ温度のピーク値を保持している。また、Figure 6 において、ゲート信号(25Hz、Ch3、Pink)の立上りのタイミングで、ピークホールド出力がリセットされていることが確認できた(ビーム条件 : 50mA, 200us, 12.5Hz)。

次に、ビーム条件(パルス幅、電流値)を変えたとき、測定電圧から換算したスクレーパ温度をFigure 7(a), 7(b)に示す。放射温度計の出力電圧を直接オシロスコープで測定した値を基準値とし、バッファアンプ、ピークホールド回路を通して、ADC で計測した値と比較すると、この系統において、スクレーパ温度は 2%以内で一致することを確認した。

Figure 2: Interlock system for surface temperature of scraper.

Figure 3: Interlock system for irradiated particle number.

Figure 4: Interlock system for beam transmission.

Figure 5: Waveform of temperature of scraper (400us/div).

バッファアンプ

IN OUT

オシロスコープ

Ch1

放射温度計

ピークホールド回路

SIG1IN

GATEIN

OUT50Ω

MPSモジュール

ADC

デジタイザ

温度計電圧スクレーパ温度

ゲート信号

インターロック信号

スクレーパ温度

OUT1

OUT2

Ch2

OUT3

OUTHi‐IMP

トリガ信号

数値データ

波形データ

ゲート信号

スクレーパ

バイアス

オシロスコープ

Ch1

Ch2

バッファアンプ

IN OUT

OUT1

OUT2

OUT3

SIGIN

GATE IN &TRIG OUT1

CT Value

MON Finished/Beam Gate

Beam Gate

Reference 25Hz

SIGOUT1

ゲート信号

粒子数積分回路 粒子数コンパレータ

ビーム照射量(粒子数カウンタ)

Reference25Hz

スクレーパビーム照射量(粒子数)

50V

インターロック信号

数値データ

ビーム電流差分検出器(透過率モニタ)

SCT1IN

SCT2IN

INTOUT1

INTOUT2

ピークホールド回路

SIG2IN

GATEIN

OUTHi‐IMP

MPSモジュール

ADC

スクレーパ

バイアス

オシロスコープ

Ch1

Ch2

バッファアンプ

IN OUT

OUT1

OUT2

OUT3

SCT プリアンプ バッファアンプ

IN OUT

OUT1

OUT2

OUT3

Aux

TRIG

デジタイザ

ビーム透過率

ビーム電流差分積分値

SCT電流

スクレーパ電流

トリガ信号

トリガ信号

50V

OUT50Ω

トリガ信号 ゲート信号

数値データ

インターロック信号

波形データ

Proceedings of the 11th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of JapanAugust 9-11, 2014, Aomori, Japan

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また、試験的にインターロックの閾値を変更して、インターロックの動作確認を行い、インターロック信号が正常に発報することを確認した。

3.2 ビーム照射量系統の測定

Figure 3 に示す系統において、粒子数を計測する粒子数カウンタの校正を行った。スクレーパで検出したビーム電流の信号を直接オシロスコープにつなぎ、その電流値とパルス幅から求められる粒子数(これを基準値とする)と、積分回路を通して、粒子数コンパレータで計測される粒子数とを比較して

校正を行った結果、この系統において、粒子数は0.5%以内で一致することを確認した。パルス幅を変えたときの、1 パルスあたりの粒子数を Figure 8 に示す。

3.3 ビーム透過率系統の測定

Figure 4 に示す系統における、スクレーパ上流のSCT 電流(Ch1、Yellow)、スクレーパ電流(Ch2、Blue)及びビーム電流差分検出器の差分出力(Ch3、Pink)の測定波形を Figure 9 に示す。ビームモニタのタイミングのずれを除くと、SCT 電流とスクレーパ電流との差分が正しく検出されていることが分かる。この状態を定常運転の標準とし、試験的にスクレーパ電流の信号を喪失させると(ビーム電流差分検出器への入力を切り離すと)、差分出力が大きくなり、システムとしての健全性が確認できた。

また、同様にスクレーパ電流の信号を喪失させたとき、インターロックの動作確認を行い、インターロック信号が正常に発報することを確認した。

4. MEBT1 のインターロック MEBT1 のビームラインを Figure 10 に示す。以下、

MEBT1 に設置予定の各インターロックシステムにおける、RFQ テストスタンドとの相違点や課題について説明する。

Figure 6: Waveform of temperature of scraper (20ms/div).

Figure 7(a): Temperature of scraper (50mA, 5Hz).

Figure 7(b): Temperature of scraper (500us, 5Hz).

Figure 8: Particle number of scraper (30mA, 1Hz).

Figure 9: Waveform of beam transmission.

‐14%

‐12%

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‐8%

‐6%

‐4%

‐2%

0%

2%

0

200

400

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800

1000

1200

1400

1600

300 400 500 500 500 400 300 200 100

誤差

[%]

測定

温度

[℃]

パルス幅 [us]

スクレーパ温度 (50mA, 5Hz)

温度

(ADC)

温度

(オシロ)

誤差

‐14%

‐12%

‐10%

‐8%

‐6%

‐4%

‐2%

0%

2%

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

10 15 20 25 30 35 40 45 50 45 40 35 30 25 20

誤差

[%]

測定

温度

[℃]

電流 [mA]

スクレーパ温度 (500us, 5Hz)

温度

(ADC)

温度

(オシロ)

誤差

‐5.0%

‐4.0%

‐3.0%

‐2.0%

‐1.0%

0.0%

0

1

2

3

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100 300 500

誤差

[%]

粒子

数(×10^13)

パルス幅 [us]

スクレーパ粒子数(30mA, 1Hz)

粒子数

(カウンタ)

粒子数

(オシロ)

誤差

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4.1 スクレーパ温度に対するインターロック

新しいビームラインでは、Figure 10 に示すように、対向した 2 台のスクレーパ(タンデムスクレーパ)となるので、スクレーパに対するインターロックシステムは 2 系統必要になる。スクレーパ温度に対するインターロックの系統図を Figure 11 に示す。

これまで、テストスタンドにてスクレーパのビーム照射試験を実施してきたが、今後、MEBT1 のビームラインにて長時間のビーム運転を実施するにあたり、ビームによるスクレーパの損傷の様子を継続的に監視するとともに、本システムを使用してスクレーパ温度の監視を行う予定である。

4.2 ビーム照射量に対するインターロック

ビーム照射量に対するインターロックシステムも、スクレーパ温度と同様に 2 系統必要になる。インターロックの系統図を Figure 12 に示す。

テストスタンドにおけるスクレーパのビーム照射試験では、スクレーパ損傷に至る粒子数のデータが十分に蓄積されておらず、現時点では、インターロックの閾値として適切な値が設定できない。MEBT1 のビームラインでの長時間のビーム運転において、スクレーパに照射される粒子数の蓄積データは、ビームによるスクレーパの損傷やスクレーパの寿命の調査のための重要なデータとなる。そのため、本システムを使用してスクレーパに照射される粒子数の計測、蓄積を行う予定である。

4.3 ビーム透過率に対するインターロック

新しいビームラインでは、チョッパ空洞の動作監視のため、チョッパ空洞前後のビーム透過率を計測

するインターロックを導入する予定である。インターロックの系統図を Figure 13 に示す。

ただし、ビームパラメータの変化に伴うインターロックの閾値の決め方などの課題がある。そのため、ビームロス量の時間的変化を継続的に監視するシステムとして使用する予定である。

5. まとめ RFQ テストスタンドにおける、スクレーパのビー

ム照射試験において、スクレーパ温度、ビーム照射量及びビーム透過率に対するモニタ、インターロックシステムを構築した。各系統の計測が正しく行われていること、インターロックが正常に動作することを確認し、これらのインターロックシステムを使用した結果、ビーム照射試験を長時間安全に実施することができた。また、ビーム電流増強用の新しいビームラインのためのインターロックシステムについて紹介した。今回開発したこれらのシステムは、今後のリニアックのビーム運転において、試験的な運用を開始し、データの蓄積や安全な運転指標を得るために使用していく予定である。

参考文献 [1] K. Hirano, et al., “J-PARC リニアックチョッパシステム

の開発”, Proceedings of the 10th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan, Nagoya, Aug. 3-5, 2013.

[2] T. Sugimura, et al., “J-PARC LINAC 3MeV ビームスクレーパーの開発” , Proceedings of the 10th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan, Nagoya, Aug. 3-5, 2013.

Figure 10: Beam line of MEBT1 (SCT: Slow Current Transformer, beam current monitor).

Figure 11: Interlock system for surface temperature of scraper.

Figure 12: Interlock system for irradiated particle number.

Figure 13: Interlock system for beam transmission.

バッファアンプ

IN OUT

オシロスコープ

スクレーパ1放射温度計

ピークホールド回路

SIGIN

GATEIN

OUT50Ω

MPSモジュール

ADC

デジタイザOUT1

OUT2

OUT3

OUTHi‐IMP

ゲート信号

ゲート信号

バッファアンプ

IN OUT

スクレーパ2放射温度計

SIGIN

GATEIN

OUT50Ω

MPSモジュール

ADC

デジタイザOUT1

OUT2

OUT3

OUTHi‐IMP

ゲート信号

ピークホールド回路

ゲート信号

温度計電圧スクレーパ1温度

インターロック信号

スクレーパ1温度

数値データ

波形データ

温度計電圧スクレーパ2温度

インターロック信号

スクレーパ2温度

数値データ

波形データゲート信号

オシロスコープ

バッファアンプ

IN OUT

OUT1

OUT2

OUT3

スクレーパ1

バイアス

50V

バッファアンプ

IN OUT

OUT1

OUT2

OUT3

スクレーパ2

バイアス

50V

SIGIN

GATE IN &TRIG OUT1

CT Value

MON Finished/Beam Gate

Beam Gate

Reference 25Hz

INT DIFOUT1

ゲート信号

粒子数コンパレータ

ビーム照射量(粒子数カウンタ)

25Hz

SIGIN

GATE IN &TRIG OUT1

CT Value

MON Finished/Beam Gate

Beam Gate

Reference 25Hz

SIGOUT1

ゲート信号

粒子数積分回路粒子数コンパレータ

ビーム照射量(粒子数カウンタ)

25Hz

スクレーパ2ビーム照射量(粒子数)

数値データ

スクレーパ1ビーム照射量(粒子数)

数値データ

インターロック信号

インターロック信号

粒子数積分回路

ビーム電流差分検出器(透過率モニタ)

SCT1IN

SCT2IN

INTOUT1

INTOUT2

ピークホールド回路

SIGIN

GATEIN

OUTHi‐IMP

MPSモジュール

ADCSCT1 プリアンプ バッファアンプ

IN OUT

OUT1

OUT2

OUT3

TRIG

ビーム透過率

OUT50Ω

トリガ信号 ゲート信号

SCT1電流

トリガ信号

デジタイザ

SCT2電流

SCT2 プリアンプ バッファアンプ

IN OUT

OUT1

OUT2

OUT3

ビーム電流差分積分値

数値データ

インターロック信号

波形データ

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