東京メトロ銀座線リニューアルにおけるfmの活用...

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東京メトロ銀座線リニューアルにおける FM の活用と実践 お客様 沿線地域 社員 社会 幅広い層のニーズに対して直接的で実効性のある駅デザイン・斬新なアイデア 外部専門家の 知見を吸収 コンペを通して東京メトロのメッセージを社外に発信 駅づくりや取組み内容を多くの方に伝える 社内投票により ビジョンを共有 駅づくりに参加することで 駅や地域への愛着を育む トレンド 2016~2017 2015~2016 ビジネス 2015 銀座 2014 商業 2012~2013 下町 歴史とつながる まちとつながる 開業時のリベット柱、回転式改札の保存 地下と地上を繋げる一体的なデザイン まちでよく見られる材料の利用 季節をとりいれたインスタレーション 紋を意識したサイン まちの特徴をとりいれたデザイン 経営目標からFM目標の設定 ブランディング戦略とブリーフィング 「経営目標・コンセプト」 「FM目標の設置」 1.一般公募型「デザインコンペの開催」 2.価値向上に資する「駅デザインアイデアの抽出」 3.デザイン意図伝達の「デザインガイドラインの作成」 単に便利で美しいだけのデザインでなく、 銀座線の伝統をベースに、 乗車することでしか味わえない 「豊かな旅の経験」をお客様に提供する。 価値向上 価値伝達 街の活性化 需要創出 各施策(ハード・ソフト) 路線として統一的に 路線コンセプト 需要 UP イメージ UP 伝統 × 先端の融合 銀座線リニューアルコンセプト ・東京メトロでは、日本初・東洋初の地下鉄として 1927 年に開業した「東京メトロ銀座線」を対象と する「銀座線リニューアル計画」を、2011 年の経営計画のなかで策定しました。 ・「銀座線リニューアル計画」においては、「人が快適に移動するだけの地下鉄の機能を提供するだけで なく、路線としての魅力や価値を高め、それを伝えていくことで、新たな地下鉄のサービスを提供し、 継続的な需要を生み出す」という経営目標が打ち出されました。 ・そのため、駅舎の老朽化対応のための単なる改修工事を行うと言うことでは無く、FM の考え方を取 り込み、ファシリティを活用したブランディングの観点から駅リニューアルを実施することにしました。 ・経営目標の実現に向けた FM 目標を「単に便利で美しいだけのデザインでなく、銀座線の伝統をベースに、 乗車することでしか味わえない『豊かな旅の経験』をお客様に提供する」と設定、ブランディング戦 略を構築して、駅リニューアルを進めています。 FM目標とブランディング

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Page 1: 東京メトロ銀座線リニューアルにおけるFMの活用 …東京メトロ銀座線リニューアルにおけるFMの活用と実践 設計・工事 モニタリング・評価

東京メトロ銀座線リニューアルにおける FM の活用と実践

設計・工事

モニタリング・評価

お客様 沿線地域 社員社会

幅広い層のニーズに対して直接的で実効性のある駅デザイン・斬新なアイデア

外部専門家の知 見 を 吸 収

コンペを通して東京メトロのメッセージを社外に発信駅 づ く り や 取 組 み 内 容 を 多 く の 方 に 伝 え る

社内投票によりビジョンを共有

駅 づ く り に 参 加 す る こ と で駅 や 地 域 へ の 愛 着 を 育 む

トレンド

2016~2017 2015~2016

ビジネス

2015

銀座

2014

商業

2012~2013

下町

歴史とつながる 社会とつながる

まちとつながる 人とつながる開業時のリベット柱、回転式改札の保存 駅が様々な活動の場となる

地下と地上を繋げる一体的なデザイン 様々な活動が人と駅をつなげる

まちでよく見られる材料の利用 季節をとりいれたインスタレーション

紋を意識したサイン まちの特徴をとりいれたデザイン

経営目標からFM目標の設定 ブランディング戦略とブリーフィング「経営目標・コンセプト」

「FM目標の設置」

1.一般公募型「デザインコンペの開催」

2.価値向上に資する「駅デザインアイデアの抽出」

3.デザイン意図伝達の「デザインガイドラインの作成」単に便利で美しいだけのデザインでなく、

銀座線の伝統をベースに、乗車することでしか味わえない

「豊かな旅の経験」をお客様に提供する。

価値向上 価値伝達街の活性化

・需要創出

各施策(ハード・ソフト) 路線として統一的に

路線コンセプト

需要UP

イメージUP

伝統 × 先端の融合銀座線リニューアルコンセプト

・東京メトロでは、日本初・東洋初の地下鉄として 1927 年に開業した「東京メトロ銀座線」を対象とする「銀座線リニューアル計画」を、2011 年の経営計画のなかで策定しました。

・「銀座線リニューアル計画」においては、「人が快適に移動するだけの地下鉄の機能を提供するだけでなく、路線としての魅力や価値を高め、それを伝えていくことで、新たな地下鉄のサービスを提供し、継続的な需要を生み出す」という経営目標が打ち出されました。

・そのため、駅舎の老朽化対応のための単なる改修工事を行うと言うことでは無く、FM の考え方を取り込み、ファシリティを活用したブランディングの観点から駅リニューアルを実施することにしました。

・経営目標の実現に向けた FM 目標を「単に便利で美しいだけのデザインでなく、銀座線の伝統をベースに、乗車することでしか味わえない『豊かな旅の経験』をお客様に提供する」と設定、ブランディング戦略を構築して、駅リニューアルを進めています。

FM目標とブランディング

Page 2: 東京メトロ銀座線リニューアルにおけるFMの活用 …東京メトロ銀座線リニューアルにおけるFMの活用と実践 設計・工事 モニタリング・評価

東京メトロ銀座線リニューアルにおける FM の活用と実践

三越前

京橋

日本橋

上野 稲荷町

田原町

浅草

神田

末広町

上野広小路

銀座

新橋

虎ノ門

溜池山王

赤坂見附青山一丁目

外苑前

表参道渋谷

下町エリア

トレンドエリア

ビジネスエリア銀座エリア

商業エリア

ビジネスエリア︵応募数

234点︶ 応募ポスター 最優秀賞作品(駅デザイン部門)

最優秀賞作品(幻のホーム活用アイデア部門)

最優秀賞作品応募ポスター

下町エリア︵応募数96点︶

最優秀賞作品応募ポスター

商業エリア︵応募数

112点︶

最優秀賞作品応募ポスター

銀座駅︵応募数

182点︶

トレンドエリア︵応募数74点︶ 応募ポスター 最優秀賞作品

一般公募型デザインコンペの開催・ブランディング戦略のもと「幅広い層のニーズに対し、直接的で実効性のある駅デザインや斬新な

アイデアを収集する」ことを目的に、「一般公募型のアイデアコンペ」を開催しました。

・銀座線の 19 駅を 5 つのエリアにわけ、浅草から下町エリア、商業エリア、銀座エリア、ビジネスエリア、トレンドエリアの順で、2012 年からエリアごとにコンペを開催し、8 歳の小学生から、82 歳のご高齢の方、また海外からもご応募頂き、総数 698 作品の応募を頂きました。

Page 3: 東京メトロ銀座線リニューアルにおけるFMの活用 …東京メトロ銀座線リニューアルにおけるFMの活用と実践 設計・工事 モニタリング・評価

東京メトロ銀座線リニューアルにおける FM の活用と実践

神田駅

「昭和のオフィス街」ステーションデザインコンセプト

13 末広町駅

「でんきの街」ステーションデザインコンセプト

14 上野広小路駅

「上品な横丁」ステーションデザインコンセプト

15 上野駅

「美術館のある街」ステーションデザインコンセプト

16 稲荷町駅

「佇む街なみ」ステーションデザインコンセプト

17 田原町駅

「道具の街」ステーションデザインコンセプト

18 浅草駅

「祭りの街」ステーションデザインコンセプト

19

リニューアル前の上野駅ホーム

デザインコンペ最優秀作品

実施設計時パースデザインガイドライン

銀座線リニューアルサイトの開設

下町エリア 工事着手のポスター

デザインガイドライン、そして下町エリアの開業 プロジェクト管理段階におけるコミュニケーションとモニタリング・2019 年の現在において、下町エリア以外のエリアで改修工事が進められていますが、下町エ

リアが開業したことから、プロジェクト管理段階における取組みに着手しています。

・ブランディング戦略に基づき、ステークホルダーの方々とさまざまな形式のコミュニケーション活動に取組んでいます。工事着手をお知らせするポスターに工夫を凝らすとともに、工事の完成形や進捗状況をお伝えするための銀座線リニューアルのウェブサイトを開設しました。

・また、多くのステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、顧客満足度に関するモニタリングを行い、施設の評価及び改善に取り組んでいます。

リニューアル後

・一般公募のコンペでは多くの駅デザインアイデアを頂きました。「これらのアイデアを地下空間のなかでどのように実現するか」、また「実際の設計・工事に移行して行く段階で、デザイン意図をどのように伝達していくか」、「維持管理・運営段階においても各駅のコンセプトやデザインをどのように共有・維持するか」、これらの課題解決として「デザインガイドライン」を作成することにしました。

・デザインガイドラインには、銀座線リニューアル計画の全体コンセプト「伝統 × 先端の融合」を受け、路線コンセプト、5 つのエリアのコンセプト、各駅のコンセプトが整理されるとともに、デザインの考え方や方針について示しています。

・このデザインガイドラインに基づき設計を行い、下町エリアから順次改修工事に着手し、2017 年 12 月には下町エリアの 7 駅をリニューアル開業しました。