エネルギーをどう考えるか‚¨ネルギーをどう考えるか...•化石燃料への転換と地域資源の放棄...
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エネルギーをどう考えるか
駒宮博男
持続可能性の概念から振り返る
• 1972 「成長の限界」(ローマクラブ)「Small is Beautiful」(シューマッハー)
• 1992 「限界を超えて」(ローマクラブ)国連環境開発会議(「地球サミット」)気候変動枠組み条約生物多様性条約
• 2004 「人類の選択」(ローマクラブ)
1972年はどういう時代だったか
• 日本は高度成長真っ盛り・1973年第1次オイルショック、大学進学・高度成長を実感していた
• 当時のコンピューター事情・本郷にスーパー?コンピューターメディアはパンチカード!!
・物理実験の計算は電卓で!生協で鎖付きの電卓を使って!!
• そういう時代に、システム・ダイナミクスという手法を使い、シミュレーションを行なった
「成長の限界」は何を言っているか
• SF小説的な戯言?• シューマッハーの異論• 1992年の再シミュレーション結果• 世界的な環境問題への注目・日本の環境政策⇒70年代はトップクラス公害問題がスタートライン
・経済成長と環境破壊• 「人類の選択」とその後・決断が早い程、傷は小さい!・しかし、人類は決断できない!!なぜか??⇒駒宮仮説)タイムスパン問題
「成長の限界」が示すシミュレーション
出典: 隅田勲サイト
基本モデル=「成り行き」モデル
早期に対策を施したモデル2000年に対策を開始したモデル
気候変動枠組条約とは何か• IPCCとはどういう組織か
Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
• 温暖化は本当か?IPCC第3次報告⇒90%の確率で人為IPCC第4次報告⇒95%の確率で人為IPCC第5次報告⇒しのもの言うんじゃない!
• 温暖化の真偽に関する議論⇒予防の原則の重要性
• COP、京都議定書、鳩山宣言・・・
• そして、今回のCOP21は・・・・・・ようやく、ある程度画期的な内容?(目標値:+1.5°C)・少々遅すぎた感はあるが、専門家の意見が通った?⇒ 今後の各国の動きに注目、と同時に、大資本ではなく、地域で出来る自然エネルギー普及が鍵か?
何てこった!!!
出典:blogimg.goo.ne.jp
出典:lh3.googleusrecontent.com
どの国がCO2を排出しているか
http://www.wwf.or.jp/より
温暖化に寄与した?国々を見える化
http://www.gizmodo.jp/より
国民一人当たりはどうか・・・
http://www.garbagenews.net/より
温室効果ガスとは
• 温室効果ガス・CO2,N2O,CH4,代替フロン3種
• 全てをCO2に換算・例えば・・・・・ガソリン1Lを燃やすと約2,375gCO2が発生燃費を10km/L、名古屋⇒旭を50kmとすると、⇒23.8kgCO2を発生!!⇒この23.8kgのCO2は誰が吸収するの??
・例えば・・・・・電気を1kWh使うと、約500gCO2が発生平均的電気利用を12kWh/dayとすれば
(電気料金:8,640円/月)⇒ 6kg/day ⇒ 180kg/month ⇒ 2.16t/year⇒この2.16tのCO2を誰が吸収するの??
(電気だけで、これだけCO2を出している)
(参考)商品ごとにCO2排出量を考える
• LCA(Life Cycle Assessment)とは・全ての過程をCO2でカウントする
• 各種マイレージ・フードマイレージ(北海道から空輸>上海から船便)
・ウッドマイレージ
• プラ段(PP)と紙段ボールのLCA実例・2,000回使用可能 < 1回使用の生物資源(石油採掘〜廃棄) (伐採〜廃棄)
• 車とエネルギー・前進(1/3)<熱の放散(2/3)??
※ 澁澤マイレージ >> 中川マイレージ ??
アスペルガーっぽい人向け
• 石油のCO2排出量を論理的に計算する方法
(CH2)n の分子量は14×nN(CH2)n+MO2 ⇒ NnCO2+LHO2
14g 44g
• 例えばガソリンの場合、比重は約0.75なので、ガソリン1Lを燃やすと・・・・・
⇒ 44/14(kg)×0.75≒2.375(kgCO2)
国別・国民一人当たり温室効果ガス排出量
http://daily-ondanka.es-inc.jp/より
ここから、エネルギーの話!
エネルギーとは何か
• 物理的説明・位置エネルギー+運動エネルギー・熱力学第1法則
エネルギーは保存される・熱力学第2法則
エントロピーは増大する
• 文明的説明・一昔前までは、熱エネルギーのみ光は、蝋燭か菜種油
・電気エネルギー需給の急増⇒エネルギー利用=贅沢さの指標
出典: 隅田勲サイト
人類とエネルギーの歴史
エネルギー消費量 = 贅沢の指標
日本のエネルギー革命(薪炭から石油へ)
富山では60年初頭から里山消滅富山では60年初頭から里山消滅
GDPと国民一人当たり消費エネルギー
http://home.hiroshima-u.ac.jp/より
エネルギーを考えるスタンス
国家として・・・・地域として・・・・
地域にとってエネルギーとは何か
• エネルギー天下国家論
• エネルギー地域再生論
• 地域の自然エネルギー賦存量・再生可能エネルギーの種類
風水光、地熱、バイオマス・・・・
• 「原発神話の崩壊」⇒「自然エネルギー神話」
• 名大高野さんの研究成果・豊根村(人口1,500人、戸数500で5億円)
「エネルギー永続地域」
• 倉阪さん(千葉大)の研究成果自治体ごとの自然エネルギー賦存量を算出自治体ごとのエネルギー消費から自給率計算
VS 消滅可能性都市
• 結論的には・・・・・⇒郡部優位(宝の持ち腐れ!!)⇒エネルギー問題は都市+産業の問題??
熱、電気を概観する
熱に関して考える
• 熱は人間にとってエネルギーの基本・暖房と煮炊きは古代から
• 電気を熱に転換する愚?・エネルギー形態を変えるとロスが出る!
• 化石燃料への転換と地域資源の放棄⇒ 地域産業構造の崩壊(特に薪炭生産の激減)
• 技術的には・・・・・太陽熱+木質バイオマス+その他バイオマスでOK特に太陽熱は効率大(熱を熱に)
• コジェネの可能性は大きい?・木質バイオ発電は、発生熱量の1/3しか電気にならない⇒ 熱利用を前提とした発電が有効
電気に関して考える
• 電気の基本属性・貯めにくい・送電ロス
• 人は好き勝手に電気を使う⇒需給バランス・需要の山と谷・自然エネルギー:不安定(特に太陽と風は)
• どうしたらいいか・需給バランス調整・不必要に使わない!(「人は100Wで・・・」)
• 原発は必要か?・基本的には要不要ではなく、危険!!・グリッド(送電網)を公有化し、廃炉へ投資
最大電力の推移(中部電力HPより)
(私が生まれた1954年に比べ、約30倍!)
右肩上がりの社会右肩上がりの社会 定常型社会定常型社会
産業革命以降の世界のエネルギー消費の推移
(北陸電力HPより)
FITと電気料金について・・・・
FIT(固定価格買取制度)を考える• FIT=feed in tarif
= 料金に上乗せ(賦課金)⇒利用者全員で負担!!=結局、金持ちがより金持ちになるシステム
経産省資料
自然エネルギーの初期投資を考える
• 太陽光(FIT:27円〜35円/kWh)・設備利用率 : 15%以上でないと不採算・kW単価 : 30〜50万円⇒ 400,000(yen/kW)/(8760(h/y)×15%×20(y)) = 15.2(円/kWh)
• 小水力(FIT:24円〜34円/kWh)・設備利用率 : 75〜90%・kW単価 : 100〜200万円⇒ 1,500,000(yen/kW)/(8760(h/y)×80%×50(y)) = 4.28(円/kWh)
• 家庭用電力価格は?・大体、24円/kWh
(参考)電気料金の推移(電灯:家庭用、電力:事業所)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/より
(参考)電気料金のからくり
• 基本的構造・電気料金=基本料金+使用電力料± 燃料費調整額+再生可能エネルギー促進賦課金
• 家庭用電気料金(電灯)・基本料金は契約アンペアで決定(あまり差は無い)・使えば使うほど高くなる!!
• 事業所向け電気料金(電力)・基本料金過去1年間の最大電力消費量(30分)で決定⇒ 従って、使用電力料金単価は安いが、総合すると??
もう少し詳しく・・・・http://www.alldenka.jp/から
この辺りが家庭の平均使用量
贅沢な利用者には、より高い料金贅沢な利用者には、より高い料金
水力について、ちょっと考える
日本の水力発電は恵那が発祥の地
• 矢作川水系の水力発電の歴史・大正末期から昭和初期の発電開発幅1m、高さ1.5m、4kmの隧道はザラ出力は1,000kW〜10,000kW
⇒ 改めて、発想の大胆さ、豊かさに感服!
• 福沢桃介(大正末期から昭和初期)・木曽川水系・矢作川水系(上矢作飯田洞発電所付近には、桃介の像有り)
大正末期〜昭和初期の水力発電開発
導水路:総延長5,056.5m、主要導水路 幅3.26m×高4.00m、延長4,643.7m
写真は、水力ドットコムより
昭和10年、長大なトンネルを堀り、今でも稼働!(1935年) 認可最大出力:9400kW 常時出力:2500kW
有効落差:42.95m
国土地理院サイトより
平均出力6,000kW、売電価格24円/kWhとすると、年間売上12.4億円!!
0
1000
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6000
JAPAN GERMANY
~1,000kW 1,000kW~
Number of installation point
Comparison of Hydropower Plants in Japan & Germany
系統電力は、小水力発電はしない!
ヨーロッパと日本、何が違うか?
(エネルギーの「中央集権」は止められるか)
再生可能エネルギーでエネルギーを住民の手に取り戻す!
(飯田市:条例で「地域環境権」設定)
ヨーロッパとのガバナンスの違い
• ドイツ等を語る上での不可欠要素・旧西ドイツの首都「ボン」をgoogle earthで探してみると・・・・(殆ど探せない程小さな都市)・ヨーロッパと日本の根本的違いは・・・・特にドイツは地方自治が徹底している
・その上での、エネルギー、環境対策
• 昨今の「独立」騒動は何を意味しているか?・スコットランド、カタルーニャ・・・・・・
• 日本の状況・基本は未だに強い中央主権⇦ アメリカがコントロールを容易にするため???・地域は(特に戦後は)「思考停止状態」・しかし、「潜在的自治力」はある。⇒ 如何にして「覚醒」させるかが最大の問題
現実的に考える今後のエネルギー(ちょっとだけ、天下国家論を)
希望的人口変動予想
現実的なエネルギーシナリオまずは、あるべき人口減少の形態を考える。続いて、その状況の上でのエネルギーシナリオを示す。
●崩壊した原発神話をどう考えるか?⇒ 新たな燃料棒注入は禁止し、全て使い切る(かなり危険だが)⇒ グリッドは全て自治体が買い取り、送電は公共事業に⇒ 電力会社は、送電網売却益で全て廃炉する
●新たな「自然エネルギ神話」をどう考えるか⇒ 当面のエネルギーの中心は恐らくガス⇒ 人口減少の進行に従い、数十年後に自然エネルギー中心に
究極の選択は・・・(佐伯啓思の問い?脅迫?)
あなたは、どちらを選択するか?
①現在の豊かな生活(エネルギー使い放題)を続けながら、省エネ・再生可能エネ推進・原発推進せざるを得ない(徐々に廃炉?)・経済優先=「安全」は二の次
②これ以上物質的豊かさを求めない・生活を根本的に修正する・持続的原理に従う
もう一つの視点=物質循環
• エネルギーは循環しない!・エネルギーは劣化と発散の一途をたどるのみ
(熱力学第2法則)・地球上では太陽+地熱だけがエネルギーの源
• エネルギー生産消費の中で物質は循環しているか?(本当に再生可能か?)・化石燃料はNG(石油の生産:5,000年〜1億年)⇒年間、埋蔵量の1/5,000〜1/10,000は使用可能
・水力、風力はOK・原子力はNG・木質バイオマスはやり方次第でOK・太陽光は??(金属とシリコンの分離技術無し!)
持続可能社会の要素とは・・・・
• 物質循環・完全な物質循環を目指す循環サイクルを考える・生物が介在しないと循環しない?
• 智の継承・地域発の智の集積が破壊された経緯生物多様性条約(第8条-j項、第10条-c項)・「智」は大学のものか???
最後に・・・・
• 技術論に走りがちなエネルギー問題⇒ 男性は興味有り?
女性はあまり興味無し??
• しかし、最終的な課題は・・・・⇒ 如何にして「贅沢」を止めるか
私や澁澤さんの場合は・・・・・⇒ 如何にして移動距離を減らすか
ちなみに澁澤さんは体内に可能な限り”C”を溜め込み、地球温暖化防止を推進しているようです!ご立派!!
私の話はこの位にします。
続いて、
石戸谷さんの話をお聞き下さい!