リアクトルを必要としない昇圧機能を有する...
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東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科
准教授 星 伸一
非常勤講師 千葉 明修士1年 城戸 悠士朗
リアクトルを必要としない昇圧機能を有するスイッチトリラクタンスモータ駆動回路
4大学合同新技術説明会
平成23年2月25日
講演者の主な研究内容
• パワーエレクトロニクス技術をベースに研究を実施
• 研究テーマ例:– 電力変換回路とその制御
• ソフトスイッチングインバータ• 新方式インバータ• 非接触給電 など
– モータ制御• 永久磁石同期電動機• 巻線形誘導電動機• 各種電動機
– モータ• スイッチトリラクタンスモータ関連
– 燃料電池電気自動車関連• 水素生成システム
低公害車の普及
地球環境保護のため低公害車の普及拡大が求められている。
モータにより駆動力を得る自動車
•ハイブリッド自動車プリウス、インサイトなど
•電気自動車iMiEV、LEAFなど•燃料電池自動車FCX CLARITYなど
モータの主流はIPMSM(埋込永久磁石同期電動機)
永久磁石同期電動機とレアアース問題
埋込永久磁石同期電動機
⇓
永久磁石に希土類(レアアース)を使用
資源輸出国の偏在⇒価格の高騰・戦略物資(資源外交)問題
解決策:脱・省レアアースモータの開発NEDOの支援を受けスイッチドリラクタンスモータ(SRM)の研究開発を実施
SRMの構造と特徴
• 固定子巻線に電流を流すことで、回転子凸極が引き寄せられる力(リラクタンストルク)が発生する。
• 電流を流す巻線を回転子角度に応じて切り替えていくことにより、回転する。
• 磁石は用いていない。⇒堅牢⇒リサイクルが容易⇒レアアース使用量0
研究プロジェクト全体の目的
研究目的:
レアアースを使用しない脱レアアースモータの開発
研究目標:
プリウス2003年モデルに搭載されている駆動用IPMモータと等しい大きさ、出力、効率を実現。直径269 mm、軸長156 mm(コイルエンドを含む)の寸法で軸出力50 kW、運転効率同等(負荷点により85-95%)を実現)
研究プロジェクトの実施体制
委託
連携
①高速スイッチドリラクタンスモータの研究開発
②フェライト磁石を用いた 3次元モータの研究開発③負荷試験装置の開発
連携項目•50kW実サイズの負荷試験装置を北大設置して共同利用•HEV用モータの電流実効値、電流密度などのデータの共有•50kWモータの取付、機械設計、冷却方法、試験方法共有
高速スイッチドリラクタンスモータの研究開発
技術課題
①制限されたサイズ内での高出力化設計
②効率向上
③ドライバ、振動、音などの問題点
低コスト・小サイズで、バッテリー電圧よりも高い電圧をモータ巻線に印加電圧できるSR専用電力変換回路(ドライバ)の開発
ハイブリッド自動車の構成例
エンジン
燃料
タンク
モータ
電力変換回路
蓄電池
(バッテリ)
発電機
動力分割機構
• バッテリ電圧は余り高くしたくない。
• 高速回転時のモータの印加電圧を高くしたい。
昇圧コンバータ+
インバータ
昇圧用リアクトル
変換器の重量・体積の増加
従来の標準的なSRM駆動回路
昇圧回路を負荷した従来回路
昇圧回路 従来回路
E
リアクトルが必要(重量やサイズの増加)
新技術の概要
• リアクトルを追加することなしに昇圧機能を実現した、レアアースを使用しないモータであるスイッチトリラクタンスモータ用の新たな駆動回路とその制御方法の提案
• バッテリへの回生機能
従来技術・競合技術との比較
• 既存の技術– SRMの巻線に流れる電流の立ち上がり、立下り速度を改善する回路
– トルクリプルを低減する回路
–電源への回生ができないなどの問題あり
提案回路の構成
提案回路のシミュレーションによる有効性の検証
回路解析ソフトと電磁界解析ソフトを用いた連成解析
モータモデル:出力50kW固定子18極、回転子12極
モータ回転数:1200rpm電源電圧:200Vキャパシタ電圧指令値:400V励磁開始角:‐15°終了角:‐3°(対向時を0°)
提案回路使用による効果(出力トルクの向上)In
duct
ance
[mH
]
0
100
200
Cur
rent
[A]
0100200300
5 6 7 8 9 10
Torq
ue[N
m]
Time[ms]
6.503
0.969
150
50
従来回路 提案回路
提案回路では・出力(トルク)を2.5倍に向上できた
出力トルク56.7Nm出力トルク56.7Nm
出力トルク205Nm出力トルク205Nm
シミュレーション
キャパシタ電圧の制御キャパシタ電圧の制御
新技術の特徴
• レアアースを用いないスイッチトリラクタンスモータ(SRM)用の新たな駆動回路の提案
• SRMの巻線を利用して、リアクトルを新たに加えずに昇圧機能を実現する回路
• バッテリへもエネルギー回生が可能
想定される用途
電源への電力回生が求められるモータドライブシステム
例:
•ハイブリッド自動車用SRMの駆動回路•電気自動車用SRMの駆動回路•クレーンやフォークリフトなどに用いられるSRMの駆動回路
実用化に向けた課題
1. トルク脈動・振動・音
2. 駆動効率を向上させる制御法の検討
試作SRMを搭載した実車実験による検討
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称駆動回路
• 出願番号特願2010-185597(出願日:平成22年8月20日)
• 出願人学校法人東京理科大学
• 発明者星 伸一千葉 明城戸 悠士朗
産学連携について可能な産学連携形態とその内容
•共同研究•受託研究員受入•受託研究•技術相談
※共同研究や受託研究については、人員配置の関係上、年度開始前にご相談いただいた方がスムーズに研究を開始できます。
お問い合わせ先東京理科大学
科学技術交流センター
(承認TLO)
コーディネーター 末永雅英
TEL 03-5225-1089
FAX 03-5225-1265
e‐mail: