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パラフィン系潜熱蓄熱材

「エコジュール® 」のご紹介と

電気自動車等への蓄熱技術の応用

株式会社ジャパンエナジー石油化学品部蓄熱グループ

第2回経営戦略講演会資料

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目次

Ⅰ．はじめに（CO2削減のための潜熱材の必要性）Ⅰ－１．はじめにⅠ－２．民生用のCO2削減の為には

Ⅱ． 潜熱蓄熱材「エコジュール」Ⅱ－１．蓄熱材の種類Ⅱ－２．エコジュールができるまでⅡ－３．パラフィンの蓄熱機能とはⅡ－４．エコジュールの特長Ⅱ－５．エコジュールの効果

Ⅲ． 「エコジュール」の適用用途Ⅲ－１． 「エコジュール」の主な適用用途Ⅲ－２．自動車分野で蓄熱可能な用途イメージⅢ－３．電気自動車の課題とエコジュール適用の可能性

・地球温暖化防止対策の強化の動き

京都議定書の第一約束期間（2008年～2012年）実施中

1990年比で温室効果ガス6％の削減約束に対し、2007年度は、基準年比13.7％増

(2008年度速報基準年比6.3％増)

2009年9月の国連気候変動サミットで鳩山首相が国際公約2020年までに1990年比で25％削減。

東京都も環境確保条例改正案を可決（2010年1月から施工）

2020年度までに2000年度比でＣＯ２平均排出量の25％削減。

省エネルギー、省ＣＯ２による地球温暖化対策が急務。

Ⅰ－１．はじめに

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エネルギー起源（CO２）排出量の内訳京都議定書

基準年〔シェア〕

2006年度

〔基準年比〕

2007年度

〔基準年比〕

前年度からの

増加率

2008年度

〔基準年比〕

合計1,059

〔92.6％〕

1,186

〔+12.0％〕

1,219

〔+15.1％〕→<-6.7％>→

1,138

〔+7.4％〕

産業部門

（工場等）

482

〔42.1％〕

460

〔-4.7％〕

468

〔-2.9％〕→<-10.4％>→

420

〔-13.0％〕

運輸部門

（自動車・船舶等）

217

〔19.0％〕

253

〔+16.5％〕

246

〔+13.1％〕→<-4.1％>→

236

〔+8.5％〕

業務その他部門

（商業・サービス・

事業所等）

164

〔14.4％〕

230

〔+40.0％〕

242

〔+47.2％〕→<-4.0％>→

232

〔+41.3％〕

家庭部門127

〔11.1％〕

166

〔+30.1％〕

180

〔+41.2％〕→<-4.6％>→

172

〔+34.7％〕

エネルギー転換部門

（発電所等）

67.9

〔5.9％〕

77.1

〔+13.6％〕

83.0

〔+22.2％〕→<-5.5％>→

78.4

〔+15.5％〕

（単位：百万t-CO2）

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民生（業務、家庭）部門の用途内訳

2004年データ

業務部門 家庭部門

動力

その他

空調

照明、ｺﾝｾﾝﾄ

動力、照明他

空調

暖房

給湯

３９％

２５％

２８％

業務用は空調、家庭用は暖房、給湯用に熱ｴﾈﾙｷﾞｰが消費されている

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Ⅰ－２．民生用のCO2削減の為には

課題:自然エネルギーは質的レベルが低い＝安定的に安定したエネルギーとして使用する事ができない

・ 電気

・ 化石燃料(石油、天然ガス、石炭等）

質的エネルギ｜レベル

・ 太陽熱

・ 風力

・ 地中熱（地下水等）

冷暖房用途に

使用するのが効率的

低

高

空調、給湯、暖房のエネルギーの供給には質的レベルの高い電気や化石燃料（天然ガス、石油など）が使用されているが、快適環境に必要な温度帯は、10-40℃程度である為、質的レベルの低い自然エネルギーを活用することが必要。

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①自然エネルギーの活用

・自然ｴﾈﾙｷﾞｰやﾋｰﾄﾎﾟﾝﾌﾟから発生する熱は、要求する時間帯、必要量と必ずしも一致しない。

・この為、理論効率は良くても実質的には、必要以上にｴﾈﾙｷﾞのﾛｽが生じている。ここに蓄熱を組合せる事により、ﾍﾞｽﾄの組合せが出来、ｴﾈﾙｷﾞｰの無駄を最小にすることが出来る

発電所３５％

電気３５％

熱

１５８％

ヒートポンプ

給湯用４０－６０℃

空調用５－１０℃

蓄熱

自然ｴﾈﾙｷﾞｰ回収

（太陽熱、冷風、地中熱等）

自然ｴﾈﾙｷﾞｰを主体に蓄熱を利用し補完的にﾋｰﾄﾎﾟﾝﾌﾟを用いることで、需要と供給のｱﾝﾊﾞﾗﾝｽを解消する。

６５％

天然ガス他１００％

COP=4.5

（1次ｴﾈﾙｷﾞｰ換算）

8

1日の電力消費量

0

10

20

30

40

50

60

0 4 8 12 16 20 24

時

電力

　（百

万ｋ

W)

Δ：3000万ｋW

上記値の5％の150万kW削減で原子力発電の1～2基分に相当する

・冷房需要増加、OA機器の普及⇒ 日中の電力需要増加

・昼夜間の電力供給格差平準化- 省エネルギー、CO2 抑制

⇒ 蓄熱、蓄冷

② 夜間電力の利用＜蓄熱、蓄冷＞

・原子力発電の安定（一定）運転をする為に昼夜間の電力供給格差が拡がる

・CO2排出量削減の為に原子力発電比率が高くなる

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・Liバッテリー：２０-２５kw/台

・昼夜間の電力供給格差平準化- 省エネルギー、CO2 抑制

③ 夜間電力の利用＜蓄電＞

・電気自動車１０万台のバッテリーが夜間充電にフル活用された場合２００万ｋｗの蓄電に相当する。

・フル活用すると昼間電気自動車として使用できなくなる為、実用化時は、もっと少なくなると思われる。

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Ⅱ－１．蓄熱材の種類

種類 蓄熱

原理蓄熱物質

顕熱蓄熱固体 金属（溶融塩等）

液体 水、ブライン等

潜熱蓄熱有機系 パラフィン、脂肪酸他

無機系 水和塩（芒硝、酢酸ﾅﾄﾘｳﾑ等）

化学反応吸収剤系 臭化ﾘﾁｳﾑ、ｱﾝﾓﾆｱ等

吸着剤系 ｾﾞｵﾗｲﾄ､ｼﾘｶｹﾞﾙ等

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Ⅱ－２． 「エコジュール® 」ができるまで

TSパラフィンは、灯油留分からパラフィン分を取り出し、高度に精製した後、

蓄熱量を高めたパラフィン系潜熱蓄熱材のことを言います。

常圧蒸留装置

LPG

ナフサ

灯油

軽油

重油

ﾉﾙﾏﾙﾊﾟﾗﾌｨﾝ

ｶﾞｿﾘﾝ

TSﾊﾟﾗﾌｨﾝ 「エコジュール® 」

原油

「エコジュール® 」は、TSパラフィンを、非危険物かつ取り扱いやすい製品としたパラフィン系潜熱蓄熱材のことを言います。

エコジュールは

パラフィン系潜熱蓄熱材の製品呼称です。

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Ⅱ－３．パラフィンの蓄熱機能とは…パラフィンの相変化（凝固-融解）を利用。

凝固 融解

氷より高い任意の温度で相変化を繰り返す

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Ⅱ－４． 「エコジュール® 」の特長

５．用途に応じて、固体タイプ（ゲル状） 、液体タイプ（スラリー状）等に対応できます。

＜主な特長は以下の通りです＞

１．生活領域（3～30℃）の任意の温度で蓄熱できます。

３．非危険物です。（木材と同じ指定可燃物となります。）

２．狭い動作温度域で高い蓄熱量を有します。

４．安定した性能を長期間保持することが出来ます。

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50℃40℃20℃10℃-20℃ 0℃-10℃ 30℃

「エコジュール® 」

生活温度領域(3℃～30℃)に適用

塩化ｱﾝﾓﾆｳﾑ水溶液

氷塩化ｶﾘｳﾑ水溶液

塩化ﾅﾄﾘｳﾑ水溶液

酢酸ﾅﾄﾘｳﾑ化合物

塩化ｶﾙｼｳﾑ水溶液

ワックス

１．生活温度領域(3～30℃)に最適

生活温度領域で潜熱蓄熱量の高い有望な蓄熱材

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代表的なエコジュールの相変化温度と潜熱蓄熱量

（kcal/kg）（kJ/kg）

38 ～ 43160 ～ 1806

40 ～ 45

26 ～ 31

38 ～ 43

26 ～ 31

170 ～ 19028

110 ～ 13022

160 ～ 18018

110 ～ 13010

相変化温度（℃）潜熱蓄熱量

＊上記値は主要製品の代表値です。

＊上記の他、ご希望の温度帯域に合わせた製品の提供も可能です。

炭素数相変化温度

(℃）潜熱量（kJ/kg) [kcal/kg]

14 6 230 [55]

15 10 170 [40]

16 18 230 [55]

17 22 170 [40]

18 28 250 [60]

〔参考値〕原料であるTSパラフィンの潜熱量

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２．狭い動作温度域で高い潜熱量6℃程度の範囲で230kJ/kg

TS6

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

220

240

-5 0 5 10 15 20 25 30 35

温度 ℃

融解

潜熱

ｋJ/ｋg

-260

-240

-220

-200

-180

-160

-140

-120

-100

-80

-60

-40

-20

0

凝固

潜熱

ｋJ/ｋg

融解潜熱

凝固潜熱DSC温度走査条件 ： ±0.5℃／min 融解：4℃凝固：2℃ 潜熱230kJ/kg

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素材となるTSパラフィンは一部危険物第４類第３石油類等に該当しますが、

ゲル、ﾏｲｸﾛｶﾌﾟｾﾙ等のPCM 「エコジュール® 」とすることで、非危険物扱いとなります。

名称 適用法規 消防法

TSパラフィン 危険物第４類第３石油類等 ２０００L以上は許可が必要

「エコジュール® 」 非危険物(可燃性固体類） ３０００ｋｇ以上は届出が必要

可燃性固体類は、木材、かんなくず、合成樹脂類等と同様一定数量以上になると指定可燃物となり消防への届出が必要になります。

＊TSパラフィンの一部（20℃で固体）は非危険物扱いとなります。

３．非危険物

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４．長期に安定した性能

素材となるパラフィンはラテン語で「親和力 (affinity) を持たない」を意味し、

化学的に安定なため、酸や塩基に対しても不活性で、長期に安定性を保持します。

H｜

H－C－R｜H

R:CnH2n+1 n=整数パラフィンの構造式

H-C 結合解離ｴﾈﾙｷﾞｰ ：430kJ/molC-C 結合解離ｴﾈﾙｷﾞｰ ：420kJ/mol

H-OC（O）R（ｶﾙﾎﾞﾝ酸） : 50kJ/molH-OCH2R（ｱﾙｺｰﾙ） ：140kJ/mol

結合エネルギーが高いので、化学的に分解されにくい。

<参考> (結合解離ｴﾈﾙｷﾞｰ）

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５．用途に応じた取り扱い易い形状

固体タイプのゲル状、液体タイプのスラリー状で製品のご提供が出来ます。

マイクロカプセル

床吹出し（ｹﾞﾙ状）

ゲルパック(ｹﾞﾙ状) （ｽﾗﾘｰ状）（粉末状）

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Ⅱ－５． 「エコジュール® 」の効果

・自然エネルギーの活用 ⇒ 省エネ、CO2削減・輻射熱、輻射冷熱 ⇒ 快適生活・ヒートポンプとの融合 ⇒ エネルギーの有効活用

・移動時の熱の保持 ⇒ 鮮度維持・熱の変化の緩衝 ⇒ 性能維持

太陽熱

大気熱（ﾋｰﾄﾎﾟﾝﾌﾟ）

輻射熱

性能維持

鮮度維持

冷風、地中熱

保冷材

ｷｬﾆｽﾀｰ

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Ⅲ．１ 「エコジュール® 」の主な適用用途

水蓄熱槽空調用として

循環式蓄熱槽型

空調用として

マイクロカプセルスラリー

床設置型空調用として

ｶﾞｿﾘﾝ蒸気の大気放出抑制用、

ｱｲﾄﾞﾘﾝｸﾞｽﾄｯﾌﾟ時の空調用として

医薬品、生花等の移送用蓄熱材として

固定式蓄熱空調用

循環式蓄熱空調用

住宅、躯体蓄熱空調用

その他車空調用日用品用

住宅空調用として

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Ⅲ－２．自動車用の適用用途

潜熱蓄熱材「エコジュール® 」の商品群

固定式蓄熱空調用

住宅、躯体蓄熱空調用 ガソリン蒸気の大気

放出抑制用、

アイドリングストップ時の空調用として

循環式蓄熱空調用

車空調用

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車のエネルギーバランス

エンジン燃焼エネルギー

廃熱

排気熱損失（30%）

冷却熱損失（30%）

補機駆動損失摩擦損失

エンジン本体損失

走行（20%）

（100%）軸出力

（２0%）

産業技術総合研究所 FED・EVサロン資料より抜粋

エンジン系 伝達系 走行

ｴﾝｼﾞﾝﾛｽ

ｱｲﾄﾞﾙﾛｽ

ｱｸｾ

ｻﾘｰ合計 風損

路面抵抗

制動 合計

都市内走行時 62.4 17.2 2.2 81.8 5.6 2.6 4.2 5.8 12.6

高速道路 69.3 3.6 1.5 74.4 5.4 10.9 7.1 2.2 20.2

走行中のガソリン車のエネルギー損失

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Ⅲ－２．自動車分野で蓄熱可能な用途イメージ

①キャニスター（ガソリン、HV対応)

②車空調（ガソリン、HV、EV対応）

③蓄熱ボード（ガソリン、HV、EV対応)

20℃程度の蓄熱材スラリーをボードに練りこみ、冬場の太陽熱で蓄熱。ガラスの防曇効果を高める

④蓄熱シート、内張り （ガソリン、HV、EV対応）

20℃程度の蓄熱材スラリーをルーフの内面に装着し、冬場の太陽熱もしくは車内暖房で蓄熱。

⑤蓄熱ルーフ（ガソリン、HV、EV対応）

20℃程度の蓄熱材スラリーをシートの内面に装着し冬場の太陽熱もしくは車内暖房で蓄熱。

トヨタ.カーラインナップより一部抜粋

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① キャニスター用途

トヨタ新型プリウス（北米仕様車）

「エコジュール®」は、自動車部品「キャニスター」に使用され、トヨタ自動車株

式会社が生産する北米仕様の新型プリウスに搭載されています。（2009年10月プレスリリース：

日経，朝日，読売，毎日，産経，日刊工，ロイター，ダウ・ジョーンズなど）

キャニスター（愛三工業製）

キャニスターとは、活性炭を用いて燃料タンク内で発生するガソリン蒸気の大気放出を抑制する環境対策用の自動車部品です。「エコジュール®」は、その活性炭の温度を一定に保持する部分に使用され、キャニスターの性能向上に大きく貢献しています。

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② 車空調用ガソリン車、ハイブリッドカー、電気自動車等は、アイドリングストップ時にバッテリーを使用して、冷却や暖房に用いているが、低速運転だけでは充電できなくなる可能性がある。

そこで、運転時に蓄熱材に蓄熱し、アイドリングストップ時に送風だけで冷却や暖房を維持することで、バッテリーの放電を減らし、快適な運転を続けることが出来る。

株式会社ｹｰﾋﾞﾝHP他より抜粋

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アイドリングストップのイメージ

三菱自動車HP 車の技術より抜粋

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Ⅲ－３．電気自動車の課題とエコジュール適用の可能性

課題 解決策 課題エコジュールの

適用可能性

コスト高 高密度ﾊﾞｯﾃﾘ リチウム・イオン電池 ？？

充電速度遅い

急速充電

160ｋｍの最大走行距離の充電は、200Vで約7時間。100Vで約14時間。30分程で8割程度まで充電（800万円/基、回収年が長い）

？？

充電時の温度管理による充電効率ｱｯﾌﾟ？

ﾊﾞｯﾃﾘｰ残量

ｶｰﾅﾋﾞ活用残量とｶｰﾅﾋﾞの組合せによる充電施設案内

??

暖房

（２ｋW）夜間充電 夜間充電時に加熱蓄熱

◎？さんさんコンソ

情報

冷房

（１ｋW)ﾋｰﾄﾎﾟﾝﾌﾟ

ｴｱｺﾝ

運転時にﾋｰﾄﾎﾟﾝﾌﾟで冷熱を為ｱｲﾄﾞﾘﾝｸﾞｽﾄｯﾌﾟ時に送風で蓄冷

◎？さんさんコンソ

情報

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① 電気自動車の暖房装置

（さんさんコンソHPより抜粋）

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ご清聴、

ありがとうございました。