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フィンテック、 発展する市場環境: 日本市場への示唆

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Page 1: フィンテック、 発展する市場環境 - Accenture/media/accenture/jp-ja/...フィンテック企 業には大きく分けて 2種 類のタイプがあります。伝統的金融機関

フィンテック、発展する市場環境: 日本市場への示唆

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フィンテックはしばしばニュースの見出しを飾るだけの象徴的な存在でした。しかし、最近は次の段階に移行し、フィンテックが本質的な意味を持ち始めています。地域ごとのフィンテック投資の伸長と鈍化、投資金額の高額化、IPOの成功、弱小プレーヤーの淘汰は、フィンテックに対する実需の存在を想起させ、投資家により具体的な期待を与えています。

フィンテックに関連するスタートアップ企業の隆盛は、単に投資家だけにとっての好機ではありません。

Google、Apple、Facebook、Amazon、Alibaba(GAFAA)に代表される巨大テクノロジー企業は、金融関連ビジネスにおいても斬新な顧客体験を梃子に、関与を深めてきています。

銀行が、コスト削減や、顧客に対して利己主義・拝金主義な表情を見せれば見せるほど、テクノロジー企業やプラットフォーム企業が、より顧客が魅力的に感じるサービスを次々に打ち出すことで侵食してくるでしょう。

これらに対抗する意味でも、伝統的金融機関はフィンテック企業に対して、垂直的統合型ビジネスへの転換、プラットフォーム・サービス・プロバイダーとしての不足機能を埋めるイネーブラーとしての価値を求めるようになってきています。多くの企業がコスト削減による負のスパイラルに陥りつつある中で、成功者となるためには自社のビジネス・モデルの戦略的方向性を迅速にピボットしながら、魅惑的なビジョンを打ち出すことで優秀な人材を惹きつけ続ける努力が必要です。

日本においても、ベンチャーエコシステムを支える5つの要素が整いつつあり、活性化に向けて機は熟してきたといえます。ここからはフィンテックスタートアップ企業と金融機関が競争・協業を通じてイノベーションを継続的に生み出すことが求められます。市場参加者が成功体験を積み重ね、より活動を加速するインセンティブを生じさせることが重要となります。日本発のフィンテックやイノベーションがグローバル規模でスケールし、活躍していくことも必要でしょう。

エグゼクティブ・サマリーベンチャー投資家、プライベートエクイティ企業、事業会社、及びその他の多くのプレーヤーが、グローバルの金融テクノロジー(フィンテック)分野のスタートアップ企業に空前の金額を投じています。2010年から現在までに、約2,500社に対して合計500億ドル以上もの金額が投資され、お金にまつわる「ためる」「ふやす」「かりる」「うごかす」「つかう」「まもる」といった考え方が再定義されつつあります。日本における2015年のフィンテック投資は、前年度20%増の6,500万ドルとなりました。これから加速していくことが期待されます。

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2015年のグローバルにおけるフィンテック投資は、欧州とアジア・パシフィックの牽引により75%増大し、223億ドルに達しました。この大幅な投資額の伸長は、2015年に29%の成長にとどまったベンチャー投資全体を上回る勢いとなっており、フィンテックが金融サービス分野において引き続き注目を集めていることを意味しています(図1)。一方で、一部地域での成長鈍化や投資額の高額化など、フィンテックの市場が成熟に近づいている兆しも見受けられます。

フィンテック概観

その一方で、2015年にはPowaをはじめとする象徴的企業の終焉もありました。Powaはモバイル決済関連の製品・サービスを中核に、2015年には27億ドルの市場価値を持つ、英国で最も勢いのあるテクノロジースタートアップ企業の1つと見られていました2。ところが、投資家に宣言した野心的なプランを実現できなかったゆえに、1年も経たないうちに同社は破綻し、このセクターの市場評価に対して疑念を生じさせる結果となりました。

2015年はまた、PayPal、Square、WorldPay、First Data等の企業がIPOを通じて、多数の伝統的金融機関を上回る数十億ドルもの資金調達を行った面からも象徴的な年でした。これらの新たな株式公開企業に加え、企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」フィンテック企業は現在20社を数えます1。

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投資(百万ドル)

案件数(#)

30,000

25,000

20,000

15,000

10,000

5,000

0

1,200

1,000

800

600

400

200

02010

1,791

338

459

610

772871

1,108

2,537 3,1754,590

12,688

22,265

2011 2012 2013 2014 2015

その他欧州北米 アジア・パシフィック 案件数

出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析

図1:グローバルのフィンテック投資活動(2010年-2015年)

1 CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析 2 “Powa: The start-up that fell to earth”, BBC News, March 21, 2016. Factiva, Inc. All Rights Reserved.

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しかし、2016年に入り、中国における2つの10億ドル超の案件をはじめに合計53億ドルもの投資がなされ、信頼が回復に向かっていることが示されました。実際のところ、第1四半期の全投資額のうち50%以上はアジア・パシフィック地域のフィンテック企業によりなされています。第1四半期の前年同期比成長率は47%に到達し、このセクターがまた輝かしい一年を迎えることができることを示す兆候と言えるでしょう。

市場構造の変化Powaの破たん劇は、フィンテックに対する現在の市場評価が適正なのか、それとも単なるバブルなのかという疑念を呼び起こしました。2015年終盤は、こうした市場からの信頼の毀損によると思われる影響とあわせて、フィンテック市場に構造的な変化が起きているという明確な兆候が確認できます。

昨年末にはシリコンバレーやニューヨーク、ロンドンといったフィンテックの成熟した一部地域で成長鈍化が見うけられました。その一方で、オースティン、ストックホルム、ムンバイといったそれ以外の地域では、むしろ勢いを増しています。実際、2015年におけるアジア・パシフィック地域へのフィンテック投資は4倍

超の43億ドルに達しています。アジア・パシフィック地域いおいては、層の厚いテクノロジー・エコシステム、急速な経済成長、中産階級の増加等に下支えされ、デジタル化が著しく進展しています(右の「アジア・パシフィックの台頭」を参照)。さらには、InsTech、RiskTech、RegTechといった、フィンテックの後発分野への関心も高まっており、フィンテック分野への投資を加速させることに貢献しています。

フィンテックが成熟に向かっていることを示す別の兆候として、高額案件の増加があります。2015年は、オンライン融資マーケットプレースを提供するSoFiの10億ドル規模の資金調達をはじめ、5,000万ドル以上の大規模なフィンテック案件が94件ありました(図2)。

過去5年にわたって、フィンテック投資は主にリテール決済が中心でした。しかし、市場が成熟するにつれ多様化が進み、イノベーターたちは金融サービスのバリューチェーンに沿って様々な破壊と強化のチャンスを追い求めています(図3)。例えば、フィンテックによる大革新が予想される次の分野として保険業界が急浮上しており、InsTechを掲げる企業への投資はこの一年で3倍に膨らんでいます。(P8の「InsTechの出現」を参照)。

4

アジア・パシフィックの台頭アジア・パシフィックにおける2015年のフィンテック投資は、前年比4倍超の43億ドルに達しています。北米に次ぐフィンテック投資が活発な地域となり、2010年には僅か6%を占めるに過ぎなかったものが、今やグローバルの投資全体の19%を占めるに至っています。中国が域内最大の45%を占めており、インドも38%を占めつつ急伸しています。案件数から見ると、ムンバイ、バンガロール、東京、北京が同地域における主要なフィンテック・ハブとなっています。投資規模から見ると、78%が銀行、9%がウェルスマネジメントやアセットマネジメント、1%が保険向けとなっています。アジア・パシフィック地域で最も浸透しているフィンテック案件のセグメントは「決済」であり、全体の38%を占めています。

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図3 : 分野別グローバルのフィンテック投資活動(2010年-2015年)

60

50

40

30

20

10

00 100

2010-2015年の案件数

200 300 400 500 600 700 800 900 1,000

リテール融資

高成長セグメント

成熟セグメント債権

リテール投資

リスク&レギュレーション

アセットマネジメント

オペレーション

損害保険

生命保険

コーポレートファイナンス

投資リサーチ

口座管理 – 法人向け

トレーディング

SME融資&アセットファイナンス

口座管理 - リテール法人決済

リテール決済

その他

加盟店開拓

CAGR 10-15 %

注:

1. バブルの大きさは2010-2015年の投資額を示します。2. その他は会計ソリューション、Eコマース・ソリューションを含みます(ただし決済を除く)。

出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析

サイズ

凡例

= 200百万ドル

= 800百万ドル

= 2,000百万ドル

投資(百万ドル)

預金口座ウェルスマネジメント&アセットマネジメント証券取引決済保険バックオフィス・オペレーション融資その他

2010 2011 2012 2013 2014 2015

その他欧州北米 アジア・パシフィック

注:CBInsightsより金額を含めて報告されているもののみを対象に分析出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析

5

61

19

14

52

15

1 13

1

2

1

40

6

6

4 62

1 3

8

図2:5,000万ドル超のフィンテック投資案件数の推移(2010年-2015年) 94

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フィンテック企業には大きく分けて2種類のタイプがあります。伝統的金融機関に対して直接的に挑戦を挑む「競合型」と、既存の市場プレーヤーに対してポジショニング転換や強化のソリューションを提供する「共生型」です(図表4)。

競合型フィンテック企業は、収益性の低いセグメントお顧客に対してより上質な顧客体験を直接提供することで、一定の成功を収めています。例えばOn Deck Capital(オン・デック・キャピタル)は、中小企業に対してより迅速にローンを提供し、Squareは従来型の金融機関が手を差し伸べてこなかった小規模店舗(マイクロ・マーチャント)にカード決済サービスを提供しました。eToroはプロ向けの高度なトレーディング手法を一般投資家向けに格安料金で実現しています。

多くの金融機関は、更なる進化を遂げるためには、共生型フィンテック企業の活用がキモとなると十分理解しています。共生型フィンテック企業側からも――共生型企業としてスタートした企業だけでなく、競争に敗れて共生型企業へと転換した企業も含めて――既存の金融機関を潜在的パートナーと見なす傾向が出てきています。昨年、金融機関との共生を志向するフィンテック企業への投資は138%増加し、フィンテック企業向けの投資全体に占める割合で見ると、昨年の29%から44%へと上昇しています。一方、競合型フィンテック企業を志向する企業に向けた投資は23%の増加に留まっています(図表5)。即ち、競合型フィンテック企業への投資は着実に増えてはいるものの、投資する側、される側のいずれにおいても、共生型フィンテック企業への期待の方が明らかに拡大しているのです。

注:上記は各分野の取引件数の割合(%)を表しています。出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析

競合型フィンテック企業

商品

預金口座

決済

融資

ウェルスマネジメント&アセットマネジメント

証券

保険

バック・オフィス・オペレーション

取引の50%以上 取引の30-50% 取引の10-30% 取引の10%以下

オペレーション・コストの削減

リスク削減 新しいデジタル・ビジネス

共生型フィンテック企業

図表4:フィンテックのヒートマップ – 脅威と機会(2010年-2015年の取引数)

関係の損失 関連性の損失 収益の損失

取引の10-50% 取引の10%未満 いずれでもない取引の50%以上

競合から共生へ

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億ドル未満となっています。これらの数値は、銀行の同期間におけるテクノロジー投資500億ドルと比較すると大きく見劣りしています(図表7)。

500億ドルのうち、新たな形の金融テクノロジーに費やされた割合がどれくらいか、あるいは新しい知的財産の自社開発に投資された割合がどれくらいかを、正確に分析することは不可能です。様々な事例から判断する限り、銀行による投資の大半はレガシー技術の改善に向けられている考えられます。加えて銀行は、「チェンジ・ザ・バンク(Change the Bank)」に対して、依然として投資全体から一定割合を振り向けるなど概括的な方法により年間投資配分を決めています。その結果として、銀行員は、特徴的なサービスを提供する企業や競争力の高い企業のように新技術をスピーディーに採用にすることよりも、複数年にわたる既存プログラムを守ろうとする傾向にあります。また、社外投資への参画が相対的に少ないことは、「チェンジ・ザ・バンク」における社内投資の制約と相まって、銀行に深刻なリスクを招きかねません。顧客獲得競争に勝ち抜く能力や、銀行取引プラットフォームを抜本的に改善することを阻害する要因となります。

アクセンチュア及びニューヨーク市パートナーシップ基金は、複数の大手金融機関が協働して有望なフィンテックスタートアップ企業を発掘しメンタリング機会を提供することを目的とした「先進金融テクノロジーラボ(FinTech Innovation Lab )」を設置しています。このラボがフィンテック・エコシステムの拡大に大きく寄与している理由の1つがここにあります(補足記事3を参照)。現在、6年目に入った先進金融テクノロジーラボの活動は、ロンドン、ニューヨーク、香港、ダブリンの4拠点において、多くの成功を収め、90以上のスタートアップ企業を輩出しています。競合型投資と共生型投資の比率は、世界各地の市場環境の特性により大きくばらつきがあります。

例えば、ニューヨークでは過去5年間において共生へのシフトが特に顕著であり、共生型フィンテック企業への投資割合は、2010年の37%から2015年の83%にまで増大しています。英国では、規制環境が有利に働くこともあり競合型企業が多数存在し、フィンテック投資に占める割合も90%以上となっています。英国は特に競合型フィンテック企業を優遇することを表明しているわけではありませんが、金融行為監督機構(FCA)による「プロジェクト・イノベート」3等

のイニシアチブでは、競合型フィンテック企業の市場参入の障壁を下げるサポートをしています。興味深いことに、大きくみると、これらの投資傾向は地域毎に顕著な違いがあります。欧州では競合型企業へと投資がシフトしているのに対し、北米では共生型企業への投資が増大しています。アジア・パシフィック地域では増加割合は低いものの北米と同様の傾向となっています(図表6)。

金額的には、依然として競合型の企業が占める割合が大きいですが、伝統的金融機関によるフィンテック活用が有益であると市場で認識されるにつれ、金融機関による競合型フィンテック企業の買収や大規模投資が加速しています。例えば、2016年の業務開始を予定しているアトム銀行(英国のネット専用銀行)は29.5%の株式と引き換えにBBVA4から6,800万ドルの投資を獲得しています。

ただし、フィンテック企業が銀行業界のニーズを満たしたとしても、銀行側はこうした企業に対してそれに見合うだけの十分な投資を行っているかというと疑問が残ります。昨年のフィンテック投資件数に占める銀行の割合は10%にも及ばず、総額で50

3https://innovate.fca.org.uk/4“UK Mobile-Only Atom Bank Picks Up $128M Led By BBVA, Owner Of Simple In The U.S.”, Techcrunch.com, November 24, 2015. Factiva, Inc. All Rights Reserved.

図表5:2014年から2015年におけるフィンテックへの共生型投資と競合型投資の割合 (金額:百万ドル)

29%

71%

2014

共生型

2014年-2015年の変化

+138%

+23%競合型

44%

56%

2015

11,642

18,150

注:総額では「その他」を除外しています。出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析

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InsTechの出現フィンテックは銀行や証券に比較的普及していますが、保険では依然として黎明期にあります。保険分野をターゲットとするテクノロジー企業が獲得した資金は、2014年は8億ドル未満でしたが、2015年はその3倍を超える約26億ドルに上っています。大半の保険会社が、いまだに大数の法則に依拠したビジネス・モデルに囚われており、ウェアラブル・デバイスやスマート製品、コネクテッド・カーといったデジタル技術により益々脅かされるようになっています。その一方で、これらの技術は保険会社にとっても、新たに豊富なデータ・ソースを提供するものでもあり、アンダーライティングや顧客体験の強化、コスト削減に新たな可能性をもたらすもののはずです。例えばOscar Health Insurance partners(オスカー・ヘルス・インシュアランス)は、ウェアラブル・デバイス・メーカーのMisfitと提携し、生体データに連動する健康保険を提供しています。また、Censioは、自動車保険会社向けに運転データを自動的に監視、計測するソフトウェアを開発し、米国を拠点とする保険会社のProgressiveがこれを採用しています。

図7:タイプ別のグローバル銀行IT投資(2015年)

銀行による新規IT支出500億ドル以下

出典:1. IT Spending in Banking, A Global Perspective, Celent, February 20152. Digital Disruption: How FinTech is forcing Banking to a tipping point, Citi, March 20163. CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析

図6:2010年-2015年におけるフィンテックへの共生型投資と競合型投資の割合 (単位:百万ドル)

注:合計からは「その他」のセグメントを除外しています。出典:CB Insightsデータに基づきアクセンチュア分析

共生型

欧州 北米 アジア・パシフィック

2,897 1,118 11,387 43 3,78192

16%7%

84%93%

2010 2015

60%

40%

40%

60%

2010 2015

14%

38%

86%

62%

2010 2015

フィンテック投資220億ドル以下

銀行によるフィンテック投資50億ドル以下

InsTech

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競合型

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複雑化する戦いの場銀行も今では、フィンテック企業が脅威よりも新たな機会をもたらしてくれることを認識しています。それでもフィンテック企業との連携には、様々な課題が潜んでいます。

トも一切かけさせません。こうしたサービスと銀行サービスを比較した時に感じるギャップが、業種が違うにもかかわらず銀行への不満につながる可能性があるのです。

GAFAAは、消費者への浸透度を武器に、特定のニーズに的を絞った金融サービスの提供を開始しています。例えばAmazonは自社の「マーケット・プレイス」において小口の運転資金を貸し出す「アマゾン・レンディング」を提供しています。このサービスは与信判断を適切に行うため、取引データと対象企業に対するレビュー情報を活用します。「グーグル・ウォレット」は、電子メールによるオンライン購買サービスを提供し、AppleはiPhone6やiPad Air2のような新たなタッチ認証デバイスと統合した決済サービスを提供しています。また、Facebookも無料で使える「フレンド・ツー・フレンド」という決済サービスを始めています。このようなデジタル金融エコシステムの進化の速さを見れば、GAFAAに学び協働する事は、銀行にとって急務と言えるでしょう。

GAFAAの衝撃顧客はデジタル化の進展により高度化が進んだ顧客サービスを当たり前と捉えるようになってきています。これはGoogle、Apple、Facebook、Amazon、Alibaba(GAFAA)といった企業の顧客に顕著な傾向です。これらの企業は顧客体験の評価尺度を根本から変えつつあります。お金に纏わるデータのもつ価値に気づき、これを入手するために銀行類似のサービスを増やしています。逆に、従来型の銀行にとっては、GAFAAほど深く顧客理解ができるだけの情報が集まらず、不利な状況に陥ることを意味しています。

銀行がここで抱えている問題は、Fjordが「liquid expectation5」と名付けたものです。これは、顧客があるセクターの企業から受けるサービスの質を、他のセクターにおける体験と比較して判断することです。例えば、Googleは一度ログインすれば多様なデバイス・製品(アプリストアにはじまり、地図、検索まで)で、完全に統合されたシームレスな顧客体験を提供し、手間もコス

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5https://livingservices.fjordnet.com/media-files/2015/09/living-services.pdf

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10 10

プラットフォームの勃興 銀行ビジネスにおける環境変化は、顧客接点のみにとどまる話ではなく、銀行のコア業務処理の領域も同様です。従来、銀行は殆どの業務を自行で処理してきました。しかし、自らの選択したかレギュレーションによる圧力かはともかくとして、業務処理にかかるコストが増加するにつれて、変化が現われ始めています。

欧州委員会は2009年、国家補助規制の適用拡大の一環として、RBSに決済処理を担う子会社であるRBS Worldpayの売却を命じました6。今年には英国の規制当局が競争促進策として、英国の決済インフラを担うVocaLinkの株式をロイズ、バークレー、HSBC、RBSに強制的に売却させ、英国の決済システムを開放しました 7。決済サービス指令(PSD2)が展開される2018年までには、英国の決済市場は大きく変化している可能があります。以前はこうしたバック・オフィス機能は、収益源とはなり得ず、単なる業務処理機能と位置付けられていました。しかし事業売却を通じて、独立した収益重視の新たなビジネスが生み出され、銀行に脅威をもたらす存在となる可能性があります。

一方、投資銀行業務ではMarkitのような企業が、複数の銀行からのデータを蓄積し、付加価値を生まないものの業務上必要なプロセス(例、顧客本人確認)を効率化することで、大幅に業界のサービス品質を向

上させることを目指しています。これによって、現状のように各銀行がサービス提供に必要なデータを個別に所有、管理するモデルの必要性自体を否定しようとしています。テクノロジープレーヤーは、銀行以上に効率的な新たなプラットフォーム・サービスを提供できる可能性があるからです。

テクノロジー企業がユーティリティプレーヤーとして、金融サービスに必要とされる規模とケイパビリティを獲得した暁には、銀行間の狭間で隙間を埋める存在から、銀行の真の競合へと立場を変えてくることでしょう。自らがプラットフォームとなることに固執する銀行は、最適なサービスを効率的に組み合わせて活用する競合企業に対して厳しい競争を迫られることが予想されます。

予想される着地点

アクセンチュアは次の3つを最も可能性が高いシナリオと見ています。

・顧客との関係を従来通り維持しながら、フィンテックを積極的に採用することで、抜本的な生産性向上を実現する。これにより顧客に対して安価な取引手数料として還元する。

・直接的な顧客接点を減らす一方で、高付加価値、オープン・安全・レジリエンスを確保したエンド・ツー・エンドの新た なプラットフォームの提供に転換する。

・より敏捷性の高いテクノロジー企業・データ分析企業の優れたプラットフォームに顧客接点を任せる一方で、プラットフォーム間の複雑なつながりを担保する決済などのコア機能に特化し、安定的な存在としての立ち位置を獲得する。

銀行の全事業が同じシナリオをたどるとは限りません。例えばリテール金融における力学は、コーポレート・バンキングにおける力学とは違いがあり、また証券とは尚更異なります。

銀行は顧客にリーチし、良好な関係を築き、満足させるノウハウをGAFAAから学ぶことが求められています。これらの企業と協力関係を築くことによって、膨大な顧客データへのアクセスが可能になり、新しい商品やサービスの開発を加速することができます。もし銀行が競争優位を確保できない領域で他社に後れを取ったとしても、高い価値を有する領域に注力して収益力を高めることが可能です。

6“RBS to sell WorldPay to Advent”, Domain-B, August 7, 2010. Factiva, Inc. All Rights Reserved. 7“UK regulator urges banks to sell stakes in VocaLink to increase payments competition”, Banking Service Payments, February 26, 2016. Factiva, Inc. All Rights Reserved.

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銀行の新たな反応当社のレポート「フィンテックと銀行の将来像(The Future of Fintech and Banking8)」において、デジタル革命がもたらす機会を刈り取りするために銀行が取るべき3つのアクションを特定しました。

• 開放性の追求

• コラボレーション

• 投資

中心に近づくことが求められ、事業戦略に顧客中心の発想を組み込無必要があります。新技術には新たなスキルが要求されるため、行員がそのようなスキルセットを習得できるよう、組織の各レベルで投資が必要です。

・長期: 銀行は、自らの顧客を対象としたサービス・エコシステムを立ち上げるために、味方となる企業を広げることを検討する必要があります。自社のビジネス・モデルを徹底的に見直し、顧客との関係性の強化や長期目線での収益プールへのアクセスするため、短期間の収益を犠牲にすることも覚悟することが求められます。また、イノベーションによりリスクの高い投資を実施することも必要ですが、通常の「ラン・ザ・バク」や「チェンジ・ザ・バンク」プロジェクトや投資のように長期間での成果創出を想定すべきでないことは明らかです。過去の投資評価基準を利用することは銀行業務の最適化に役立ちはしても、ビジネス・モデルに真の挑戦や変革をもたらすことはないのです。

昨年一年間において、アクセンチュアは、うまくいっている金融機関は常にこれらのアクションを志向していることを見てきました。同時に、銀行がデジタル世界の勝者となるためには、先端的で変化のスピードに乗っていくための戦略も重要です。業界が目まぐるしく変化する中、どのような戦略も独断的であってはならず、変化に応じて柔軟に未来を描きながら行動できるようなポジションを取らなければなりません。最近見られる短期・中期・長期の戦略を次に示します。

・短期: 銀行は、容易に採用できるテクノロジーを活用し、ビジネス・モデルを改善する戦術を検討し始めています。デジタル・ディスラプションが銀行経営者の間でアジェンダとして取り上げられることが増えていることが示すように、こうした業界構造変化への対応は必須事項です。

・中期: 銀行は複数年にわたるテクノロジー調査、投資、採用を行うプログラムを立ち上げること通じて利益を獲得します。また、銀行は顧客のデジタル・ライフの

投資

コラボレーション

開放性の追求

8https://www.accenture.com/jp-ja/insight-future-fintech-banking.aspx

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先進金融テク ノロジーラボ

先進金融テクノロジーラボ(FinTech Innovation Lab)は、金融サービス分野で先端技術を開発している起業家やスタートアップ企業を対象に毎年開催されるメンターシップ・プログラムです。世界有数の金融サービス企業からシニア・エグゼクティブを招き、一緒に最も有望な金融技術イノベーションを特定したり、熱意ある少数の起業家へのメンタリングを行いながら、3カ月間にわたって各々の方針の見直しやテストを実施します。先進金融テクノロジーラボは、2010年、アクセンチュアとニューヨーク市パートナーシップ基金によりニューヨークにおいて設立されました。アクセンチュアは、2012年にはロンドンで、2014年には香港とアイルランドで同プログラムを立ち上げており、世界各国から50社以上の金融機関が参加しています。

現在、既存の大手銀行で展開されている実行アプローチや投資戦略が示唆しているのは、全てではないにしてもその多くが、自行や市場にもたらされる可能性の高い成果について、明確な「見解」を描けていないということです。

また、自行の運命を切り開く能力に関しても確信を抱けていません。当社は、戦略的な視野の欠如こそが既存の大手企業の未来にとって最大の脅威であると感じています。

経営者が強い意志、投資、イノベーション主導の変革を発表したとしても、現場のアクションと合致していなければ、混乱をきたすことになります。そうした状況では、イノベーションを推進する能力のある優秀な行員は銀行をもはや魅力的な職場と思わなくなるリスクがあります。結果シナリオの分析や実行リスクの管理を行うと悲観的な気分に陥ることもあります。しかし当社の見解では、既存の大手銀行はまだ自身の運命を変え、意思決定するだけの強い立場

にあります。現在の破壊的イノベーションの波は、より安全で透明性が高く、効率に優れ反応のよいサービスを、消費者、企業、市場参加者のいずれにもここ5年以内に提供することが見込まれます。

フィンテック・スタートアップ企業は、大半の領域では銀行にとって脅威とはなってはいません。むしろ、そうした企業の新技術の評価、適合、採用を推進できる銀行こそが、新たな業界構造の中で優位なポジションを速やかに築くことができると考えています。

12

(FinTech Innovation Lab)

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日本のフィンテック投資日本における2015年のフィンテック投資は6,500万ドルとなり、2014年の5,400万ドルから20%の増加となりました。グローバル全体の223億ドル、フィンテック先進国である米国(122億ドル)や英国(9.7億ドル)と比較すると、引き続き僅かな額となっています。また、2015年度に約4倍に投資額が増加したアジア・パシフィック地域の中でも、中国の455%、インド1,115%、豪州1,200%と軒並み投資が活性化する中で、日本は依然として加速期に入る前の状況といえるでしょう。

フィンテック先進国及び急進国の環境からみた日本市場への示唆日本のフィンテック投資額をフィンテック投資の先進国や急進国と比べると、経済的規模(国民総生産((GDP))や金融IT支出)に比して矮小化されているように見受けられます。リスクマネー供給や起業率の相対的な低さに象徴されるように、起業文化が浸透していないこと、言語や経済成熟度・金融市場特性など社会ニーズの差異から日本発祥のスタートアップがグローバル規模でスケールするためにはいくつかのハードルがあることなど、理由を探せば様々なものが見つかるでしょう。

その一方で、必ずしも経済規模や母国語が障壁にならずこれを乗り越えている国々が多数あることも事実です。

たとえば、フィンランド(6,500万ドル)やシンガポール(6,900万ドル)は経済規模や言語の問題をおいて、すでに日本と同等程度の投資規模となっています。必ずしもこういった問題が事の本質ではないことの証左でもありましょう。

フィンテック投資と金融イノベーションが活性化する条件フィンテック投資およびフィンテック投資を梃子にした金融イノベーションを促進するにはフィンテック・エコシステムの活性化が求められます。すなわち、フィンテック企業のみならず、フィンテックの隆盛に主体的に参加し、その恩恵を受けることができる5つのプレーヤーが積極的な姿勢をとり、相互に連携することで相乗効果を生むことが重要となります。

「金融機関」:自らのイノベーションを目的とした、フィンテックの活用や投資の活性化

「起業家」:起業家の増加・集積による、起業家コミュニティーの活性化および情報・知見の蓄積

「投資家」:投資成功体験を通じたリスクマネー供給の増加、起業家の育成・経営指南

「政府・行政による支援」:規制緩和、起業支援等の環境整備・活性化に向けた政策の実施

「アクセラレータ」:スタートアップの育成、事業化のサポートを生業とするプレーヤー増加、関連プレーヤーの集積するハブの形成

この5つの条件でみると、フィンテックの先進国や急進国は、これらをすでに具備していることが分かります。日本についても、2014年後半からフィンテックに関する議論が活性化した結果として、すでに3つの要素を充足し、環境整備は進みつつあると言えます。

・国内の金融機関においても、海外の先進行にも見られるような、イノベーション創出と自行の体質転換を企図した専門組織の立上げ、枠組み設計、人材の確保が進んでいます。

・政府・官庁は、フィンテックに対して積極的な姿勢を明確に打ち出しています。金融サービスの在り方や他業種との関係性、またこれらに対する規制や促進策等の議論を行っています。例えば、金融庁9、経済産業省10、日本銀行11が各々で分担しながらフィンテックに関する理解の深堀りや、相談・助言窓口の設置や、金融機関とフィンテック企業の双方にとってイノベーションを促進するための規制緩和12等が顕著な例と言えます。

9 http://www.fsa.go.jp/news/27/sonota/20151214-2.html10 http://www.meti.go.jp/press/2015/10/20151006001/20151006001.html11 https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/rel160401a.htm/12 http://www.fsa.go.jp/common/diet/190/01/youkou.pdf13 http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/fintech/pdf/sanko_data.pdf

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図8:FinTech投資と金融イノベーションが活性化する条件

・金融機関によるFinTechの活用

・FinTechへの出資

・起業家の増加・集積・コミュニティー活性

化・情報・知見蓄積

・リスクマネー供給・起業家の育成・指南 ・規制緩和

・起業サポート

・事業化のサポート、促進

・アクセラレータとしては、フィンテック関連の業界団体の立ち上げ、ファシリティやマッチング機会・メンタリングプログラムを提供するプレーヤーの発生や、グローバルの有名アクセラレータの日本市場への関与といった動きがあります。

・一方で、起業家や投資家(リスクマネー供給)の点では、フィンテック先進国、及び急進国と比較し相対的に発展途上の状態を継続しているように見受けられます。

今後に向けてすでに見てきたとおり、日本のフィンテック市場は、活性化に向けた環境が整い、機は熟してきたといえます。ここからは、フィンテックおよび金融イノベーションの主役といえる、フィンテックスタートアップ企業と金融機関が日本においても競争・協業を通じてイノベーションを継続的に生み出すことが求められます。この過程において、市場参加者が成功体験を積み重ね、より活動を加速するインセンティブを生じさ

せること、またこれを梃子に起業家・投資家が飛躍的に増加することが重要となります。その意味では、日本発のフィンテックやイノベーションがグローバル規模でスケールし、活躍していくことも必要でしょう。

日本市場における今後のフィンテック隆盛と、イノベーション促進により、消費者・企業にとって新たな付加価値をもった個性的な金融サービスが生まれることが期待されます。

金融機関 政府・行政による支援

起業家 投資家 アクセラレータ

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図9:FinTech先進国との比較 - 経済規模/起業環境

出典:〔GDP〕総務省統計局 世界の統計2016「3-1 世界の国内総生産」(2016)〔開業率・廃業率〕 アメリカ/イギリス/日本:経済産業省 FinTech研究会「FinTechに関する参考データ集」(2016) ドイツ:中小企業白書「第2章起業・創業」(2014) フィンランド:Statistics Finland‘s PX-Web databases シンガポール:Statistics Singapore「Formation Of Business Entities」(2016)

FinTech先進国

FinTech投資額

開業率・

廃業率

経済規模GDP

2014年

FinTech急伸国

日本アメリカ イギリス ドイツ フィンランド シンガポール

YoY:+21%YoY:+53%

対アメリカ:8.0%YoY:+843%

対アメリカ:6.3%YoY:+1,891%対アメリカ:0.5%

YoY:+663%対アメリカ:0.6%

YoY:+20%対アメリカ:0.5%

12,212百万ドル

17,348十億ドル

974百万ドル

2,989十億ドル

9.3%10.3%

14.1%9.7%

8.5%8.1%

8.5%7.7%

31.7%21.0%

4.8%4.0%

770百万ドル

3,868十億ドル

65百万ドル

272十億ドル

69百万ドル

308十億ドル

65百万ドル

4,605十億ドル

YoY(%) : 前年比成長率

図10:FinTech先進国との比較 - 金融IT支出

出典: Gartner “Forecast: Enterprise IT Spending by Vertical Industry Market, Worldwide, 2014-2020, 1Q16 Update” 27 April 2016 ガートナーのリサーチを基にアクセンチュアにて図表を作成 エンドユーザ支出額ベース 市場セグメント:IT Services 銀行:Banking 証券:Securities 保険:Health Insurance (payer), Insurance (other than health)

FinTech先進国

FinTech投資額

金融IT支出

2014年*

FinTech急伸国

日本アメリカ イギリス ドイツ フィンランド シンガポール

YoY:+21%YoY:+53%

対アメリカ:8.0%YoY:+843%

対アメリカ:6.3%YoY:+1,891%対アメリカ:0.5%

YoY:+663%対アメリカ:0.6%

YoY:+20%対アメリカ:0.5%

12,212百万ドル

101十億ドル

974百万ドル

24十億ドル

770百万ドル

11十億ドル

65百万ドル

1十億ドル

69百万ドル

2十億ドル

65百万ドル

27十億ドル

YoY(%) : 前年比成長率

銀行

証券

保険

49,640百万ドル 11,098百万ドル 5,471百万ドル 541百万ドル 1,400百万ドル 15,955百万ドル

25,791百万ドル 6,168百万ドル 2,466百万ドル 186百万ドル 235百万ドル 4,926百万ドル

26,332百万ドル 7,048百万ドル 2,957百万ドル 348百万ドル 508百万ドル 6,066百万ドル

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アクセンチュアについてアクセンチュアは「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業です。世界最大の規模を誇るデリバリーネットワークに裏打ちされた、40を超す業界とあらゆる業務に対応可能な豊富な経験と専門スキルなどの強みを生かし、ビジネスとテクノロジーを融合させて、お客様のハイパフォーマンス実現と、持続可能な価値創出を支援しています。世界120カ国以上のお客様にサービスを提供するおよそ37

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調査手法について本レポートは、ベンチャー企業の財務データ収集、分析を国際的に行うCB Insightが提供する投資データを利用しています。この分析は、ベンチャー・キャピタルと未公開企業、様々な企業と企業のベンチャー・キャピタル部門、ヘッジファンド、アクセラレーター、政府系ファンド等の国際的な財務活動を対象としています。上述の投資数値からは、フィンテック企業による世界各国でのエグジット活動(M&AとIPOを含む)や、地域別のトラッキング基準を除外しています(分析はこれらの活動に基づいて実施)。本調査ではフィンテック企業を、銀行業務や企業財務、資本市場、財務データ分析、決済、個人向け財務管理等に関する技術を提供する企業と定義しています。投資先企業のリストは新企業が随時データベースに追加されるため、常に変動します。一企業に対する資金調達情報は、初期調達を含めて公知情報となった時点でデータベースに反映されます。

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著者ジュリアン・スカン

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