泉ガーデンタワー 天に向って輝くタワーglass-catalog.jp/pdf/spm4.pdf60 x30 t2.3 sop...
TRANSCRIPT
4
泉ガーデンタワー 天に向って輝くタワー
光のタワーを
古来より天空を目指す建築は、人々の絶えない“夢”であった。
太陽をおもいきり受け、時間の経緯を映しこみながら純粋に光り輝く透明
なタワー、21世紀の新しいタワーイメージをというのが我 の々このプロジェク
トにかける“夢”であった。
“ガラス建築”は開放を求める現代の社会を象徴し、IT革命によって拡が
るコミュニケーションの深まりの中でますます求められる五感を通じての
ダイレクトなコミュニケーションを支える建築のあり方としてまさに正当な市
民権を得ようとしているものの、一方では冷気や太陽光といった外部負荷
に弱く、また割れやすく危険、汚れやすく清掃も大変というような過去の
常識ともいえる評判になお不幸にもさらされている。そのような中で多くの
関係者の理解を重ね、また優秀な技術者の不断の協力と絶えない試行錯
誤を得てようやく完成したのがこのカーテンウォールである。内部に仕込ん
だボイドコアと呼ぶ巨大な煙突の効果によって超高層における自然換気を
効果的に実現し、また内部手すりに仕込まれたファンとロールスクリーンによっ
て生じるエアフロー効果によって外部負荷を抑えるなど、ミニマムのデザイ
ンの中に込められた多くの工夫の結晶がこのタワーの輝きを支えている。
櫻井潔(日建設計)
"21世紀の街づくりを目指して"
街のにおいを残して
敷地はアメリカ大使館からホテルオークラ、スウェーデン大使館につながる通
称尾根道とよばれる緑あふれた道路と、谷側の交通量の多い放射一号線・
首都高にはさまれた斜面地であった。尾根道沿いには由緒ある住友会館と
その庭園が都内でも有数の静かで起伏のある街並みを形成していた。何と
か緑あふれるこの街のすばらしい雰囲気を残せないか、自然と賑わいの調
和した魅力的な街づくりを実現できないかというのが、われわれの計画の端
緒であった。山側の旧住友会館の庭園をできる限りそのまま残し、能装束・絵
画等を展示する美術館を低層にまとめ、庭園とともに公開し、山側の容積を
新駅に隣接した谷側に移転することによって自然を残しながら同時に至便性
と賑わいの創造を目論むこととなった。さらにこの地域の特徴であった斜面を
埋めず元の敷地の起伏をそのまま残した形とし、地下鉄駅の改札口をその
最下層レベルに設けることを提案した。これによって、改札口には自然光が入
り視線が地上へと自然に連続することになり、わかりやすく安全で魅力的なア
プローチが用意されることになった。朝の出勤時にはちょうど太陽が斜面に差
し込んで、尾根道側の庭園の緑がお迎えをしてくれる。
さらにタワーは地上から5層分持ち上げ、地上部での視線の連続感を確保し、
道路の喧騒を避けた高速道路上部におちついたオフィスロビーを設けること
とし、その下にはレストランやホテルなどを配置し、この立地ならではの都市的
な賑わいを展開することとなった。タワー、レジデンス、美術館はボリュウムを分
割し上部をセットバックさせる形として圧迫感を抑え、シルエットが周辺街並み
に連続し調和するよう心がけた。
シャトルエレベーターシステムとフライイングアトリウム
超高層ビルではエレベーターの計画が平面計画を左右するが、このプロジェ
クトでは地下鉄新駅と7階、24階のエントランスを直接結ぶ75人乗りのシャトル
エレベーターを用意し、あたかも100m級のビルが縦積みされたかたちとして、
ローカルエレベーターをミニマムに抑えることとした。周辺の喧騒を避けて空
中に設けた7階、24階のフライイングアトリウムは街に向かって開放され、シー
スルーエレベーターからはすばらしい眺望を楽しむことができる。
ボイドコア
基準階はコア中央部に外部空間「ボイドコア」を設け、排気ルートとするととも
に将来のさまざまな変更に即応できるスペースを確保することとした。仮設エ
レベータ等を配置することもでき、すでにその有効性が話題になっている。こ
のボイドコアの四周にはプランとは無関係に理想的な形で耐震要素を敷設で
き、今回も制震トラスを効果的に配することができ、そのおかげでオフィス外周
部については柱をミニマムに抑えることが可能で、窓周り16mスパンという超
高層の眺望の利を生かした開放的な平面計画が可能となった。
呼吸する光の壁:外装カーテンウォールの計画
超高層オフィスの最大の贅沢は眺望であり開放感であるということで、外装は
床から天井上までの開口とし、サッシをミニマムに抑えた外リブガラススティフ
ナーのカーテンウォールとし、リブガラスの繊細な重なりが特徴のあるファサー
ドを印象付けている。カーテンウォールの室外側には家具等の衝突と恐怖感
の解消のため120φのアルミ製手摺が用意されているが、その中に軸流ファン
を仕込んで手前のロールスクリーンを下げることによって室内の空気を床部
から天井スリットに排気するエアーフローによって、外部負荷を抑えることとし
た。ミニマムに抑えた膳板部にはスリットが切ってあって、カーテンウォールスリッ
ト部からの自然換気を可能としている。清掃のためにはリブガラスと面ガラス
が同時に拭ける手動のスタビライザーをゴンドラに敷設して、メンテナンスの手
間と時間の削減を図る事となった。 櫻井潔(日建設計)
EXP.J
アーバンコリドールを見る 提供:日建設計・Photo by Kawasumi Photo Studio
泉ガーデン断面図 S.1:1500
泉ガーデンタワー基準平面図 S.1:1200
泉ガーデン配置図 S.1:2000
泉屋博古館分館
泉ガーデンタワー フライング アトリウム
エントランスロビー
アーバン コリドール
地下鉄改札口
シャトル エレベータ ロビー
尾根道 泉通り
都道放射1号線
EXP.J
フライング アトリウム 吹抜
吹抜
EVロビー 低層 ローカル
事務室
事務室
ボイドコア
1
N
タワーから見る日没
尾根道
泉屋博古館分館
泉通り
ホテル ヴィラフォンテーヌ 六本木
泉ガーデンタワー
アーバン コリドール
泉ガーデン ウィング
泉橋
泉ガーデンレジデンス
外装カーテンウォール。フライングアトリウム部(左側)と一般部(右側)
112.
5
FL
1300
140
900
160
100
耐火ボードt35 EP-12
2000(ガラス外面押エ)
CH
=27
00
巾木:ビニル巾木 H=75
720
1300
240145
400
445
支柱:スチール角パイプ 60x30xt2.3 SOP膳板:スチール t1.6 SOP
手摺(エアバリアファン)
ロールスクリーン:平織りウィンディー
4000
耐火ガスケット+シール
層間ふさぎ:ロックウール充填
ベースプレート:270x200xt12一次ファスナー・ブラケット
FL
無目:アルミ押出材
リブガラス:フロート合わせガラス
面ガラス:熱線吸収グリーン 倍強度ガラス
:アルミ押出形材 二次電解着色
リブ支持金物:ステンレス鋳物
「呼吸する光の壁」矩計図
「呼吸する光の壁」の為のカーテンウォール技術の助走
建築は完成する過程で、自動車や家電の様な試作・試走の繰返しシステム
は取らない。そこで、建築は最も単純な物理原則にもとずいた、しかも実績の
ある技術の「組合わせ」「組立て」から成立していると考えて見た。この技術
の組合わせ、組立てのポイントは、実は実績を携える者々の人間関係であろう。
したがって、この技術・人・ネットワークの構築と円滑な運用が建築完成の良
否を左右すると信じている。私は、この技術・人・ネットワークの中の一員として、
このプロジェクトの生命線を為す重要な二回の瞬間を体験した。
その一つは、「オールガラス建築」のプレゼンテーションが各関係者の賛同を
受けた時。二つ目は、指導官庁に粘り強く外壁耐火構造工法の相談を働き
掛け、「階高分一枚ガラス」で可能の了承を得た時である。これで、技術目標
である「呼吸する光の壁」を理想に近い形で成立する保証が出来た。
更に幸運な事に、この現場では、JVの関係者、カーテンウォール、ガラス、ステ
ンレス鋳物、手すり型ファン、ブラインド、シール等関係業界の先進の技術の方々
とは、以前、仕事を御一緒した経験があると言う人・ネットワークにも恵まれた。
技術的には、DPG構法類の広範囲な普及、リブガラス工法の耐風・耐震解
析の一般化、弾性接着剤の進歩と力学的解析法の確立等、近年急進展し
た構造的ガラス構法の豊富な実績に助けられた。振り返れば、この仕事は、
技術・人・ネットワークの皆々で担ぎ上げたお神興の櫓と言うよりは、むしろ、こ
の「呼吸する光の壁」を飛び立たせた技術・人から成る一本の直線になった
助走路がくっきりと浮かんで見えてならない。 横田暉生(横田外装研究室)
南側から高速道路沿いに見る 提供:日建設計・Photo by Kawasumi Photo Studio
20世紀の技術を総括し、21世紀に残る純粋な「ガ
ラスのタワーを建てたい」との設計者の想いに応え、
「できるだけ金属を廃し、ガラスだけで建物を構成
すること」がテーマのこの建物では、従来の工法
をラディカルに再考する必要があった。
既成概念の破壊
現在のオフィス建築のガラスカーテンウォールは、
ビジョン部(窓部)+スパンドレル部(腰部)で構成
されるのがパターンである。だが、今回の様に層
間区画のない巨大なアトリウムなどをもつ建物で、
すべての部位で同じシステムを繰り返しながら、
ガラスが空に消えてゆくようにするためには、フェ
イス(面)ガラスとリブガラスを各層毎に1枚だけに
し、上下でつなぐ必要があった。そのためには従
来のような無目をなくさなければならないことになる。
そこで、既成概念を破壊すべく、カーテンウォール、
層間区画、駆体の各要素に分解し、機能別に再
構成して、カーテンウォールの原型が提案された。
また、必要となる新たな要素(エアーバリアファン
や手すり)を最小限に追加することで、ペリメーター
の新たな形へと熟成がすすんだ。
各要素の再構築
本建物のように超高層で外部側にリブがある構
成で、さらに各層が無限に連続してつながる様に
表現する為には、標準化工法のみならず従来のフィ
ンボックスタイプによる支持方法とは異なる方法が
必要となる。そこで、従来のリブガラス工法を必要
要素に分解し、必要性能別に再構築した。そして、
1つのプロトタイプが様々な異なる場所に対応可
能となるよう考慮された。
変化するプロトタイプ
こうして完成したリブユニットは、その本質をいっ
さい変えず建物各部で様々に変わる用途に合わ
せて次 に々変容しつつ適応している。2層吹き抜
け部分では上下サッシであった部分はなくなり小
さなピースフレームに変わった。また室内からの眺
望を重視し後部構造も上部片持ち梁の鉄骨となっ
た。一方、フライングアトリウムでは後部構造がテン
ションロッドに変化し、住友会館ロビーではフェイス
ガラスが複層ガラスに変化する。屋上工作物で
は空調ファン用の給気スリットが登場しガラス上
下間にスリットが追加された。
見えない部分に凝縮された技術
ガラスが板ガラスらしくシンプルに構成されて見え
るためにはシンプルなガラスエッジが必要となる。
ガラスエッジは建物の形状が矩形の場合には直
線のみで構成されることが望ましい。シンプルなガ
ラスエッジを覆ってしまう金物や、ガラスがえぐられ
た痛 し々い曲線を見せず、また新たな要素をつけ
加えることもなく、ガラス自重や外力を支持し、一目
見ただけで力の流れが理解できるシンプルな構
造となることを追求した結果、現在のディテールが
生み出されたのである。
概念・技術の再構築
純粋な「ガラスのタワー」を実現するために
一般階から東方面を望む
サブストラクチャーとして外壁を支えるリブガラス
が外部に露出しているこの建物のカーテンウォー
ルを美しく見せるためには、通常の設計と異なり
数多くの検討事項を解決する必要があった。
1)設計風圧力
外部リブに与えられる風圧力はその重要検討事
項の一つであった。通常リブガラスはフェイスガラ
スが受けた風圧力をその強軸方向で耐えようと
する。今回のような外リブの場合、これにリブ面外
(弱軸)方向に働く風圧力がさらに加算される。こ
れら面外に働く風圧力はどの部位にどのように働
くか指針や設計手法が存在しないため、当社の
長年にわたる風洞実験実績と最新の風理論によっ
て算定された。さらに風洞実験も行い、リブの表
裏間の差圧測定解析を実施して理論を補正す
るとともに、フェイスガラスとリブガラス面外に同時
に風圧力を与え、安全性を確認した。
2)フェイスガラス
ガラス建築の場合、窓廻りの光や熱の性能は大
きな問題となる。そのため、コストや性能等を総合
的に勘案し、3度に及ぶ現場モックアップの結果、
開放感ある内観を最大限に発揮させ、日射遮蔽
性能が高いが反射の少ない、熱線吸収板ガラス
のグリーン色が採用された。さらにフェイスガラス
に倍強度ガラスや強化合わせガラスを使用する
ことで大寸法ガラスの軽量化を行うとともに、熱割
れを起こす可能性を最小にした。これによりエメ
ラルドグリーンのガラスフルな建物の外観が構成
されこととなった。また、建物に隣接する道路側か
らの騒音対策のため、合わせガラス等の防音ガラ
スが部分的に使用されている。
3)リブガラス
リブガラスには面外面内に同時に力がかかる。ま
た支持部には数tの反力が発生するため反力点
のディテールや部材および強度の選定には注意
が必要であった。特にリブガラスは安全面から合
わせガラスが使われているため、2枚のガラスに
同時に均一に力を伝達する必要がある。そのた
め反力点の部材の硬度をガラス接触面と支持部
材面で段階的に変え、力の伝達が偏らないように
した。また、リブは層間変位時にはシールの影響
でS字に変形する。この変位による応力集中を小
さくするためにはリブ面外方向で柔らかい支持部
材が必要となる。しかしリブ面外方向には風圧力
がかかるため柔らかくしすぎては使用できない。
このことからリブ面外支持に必要となる部位には
硬く、層間変位による応力集中をのがす部位に
は柔らかい部材が必要となった。これを同一部材
で実現するため、数度にわたってコンピュータシミュ
レーションを繰り返し、支持部材の断面形状を必
要部位で変化させた。さらに、この支持材は汚れ
防止のため雨水をリブガラスから離れる方向に
導くよう工夫されている。
魅せるカーテンウォール
一般階から芝浦方面を望む(夜景)
4)リブシールとシーリング材
メンテナンスの難しい超高層建築では、シールの
破損はできるだけ避けられねばならず、また万一
起こったとしても影響を最小限に留めないといけ
ない。そこで、本建築では、リブ部のシールは構造
上働くSSGシール、面ガラスの突き合わせ部は防
水上働くウエザーシールとして機能を明確に分離
し、リブ部のシールはさらに2本に分けることでそ
れぞれ2面接着とし応力集中を最小とした。これ
により、片方が切れたとしても、もう片方はその影
響で切れることがなくなり、ウエザーシールと面ガ
ラスを通じて隣のSSGシールとつながっているこ
とで片方のシールの破断により面ガラスが破損し
なくなった。
外装シールには、層間変位と風圧力により、剪断・
引張り・圧縮変形というシーリング材にとって相反
する性能が必要とされる。したがって初期変形に
たいしてはモジュラスが高く、終局の変形量に対
しては大きく伸びる、硬くて切れにくいシールが要
求される。そのため、リブガラスを支えるシーリング
材は、この建物専用にアルコールタイプのシリコーン
系シーリング材を開発し、使用した。また、経年変化
による耐久性の検証として、3600の試験用ピースを
作成し、屋外に暴露して経年変化を確認している。
ロールブラインド
窓部に標準使用されてるロールブラインドは各面
とも違った種類の特殊な編み方の生地が使用され、
各面での照度を調整するとともに、日射を遮蔽し
つつも、閉めているときも外部が透視できるようになっ
ている。このことで、このカーテンウォールの特長で
ある眺望を最大限に生かすことができている。
エアバリアファン
窓廻りに設置された騒音の少ない軸流ファンは、ロー
ルブラインドと併用し窓部に簡易エアフロー機能
をもたらしている。発生する風は冬季窓部の結露
防止に役立つとともに、自然換気装置と併用して
換気を促進する機能も持つ。またこのファンを支
える部材は窓部の手すり機能ももち、高層窓部近
くの不安感を押さえるとともに、大地震時などの什
器の衝突防止等の効果も持っている。
基準階サッシ
本建築のような外部リブガラスでは支持金物がサッ
シを貫通するため、水密性や断熱性の弱点にな
りやすい。またリブ面外にかかる風圧力が繰り返
し荷重として金物に伝達されるため通常より厳し
い条件となる。度重なる検討の結果、支持金物は
自由な形状と強度がとれる鋳物製ファスナーとされ、
ガスケットブリッジ方式のダブルシールによって漏
水対策が施された。またガラスの汚れ対策のた
め外部サッシ周りをガスケットとし汚れを最小限に
すると共に、上下サッシには水切りを設けて汚れ
が付きにくくしている。さらに落雪にたいしては、
無目中間に斜めのカバーを施して雪がたまりにく
い構造となっている。その他、側雷、結露、自然換
気等様 な々性能が検討され一本の無目と支持金
物の中に様 な々機能が凝縮されている。
一般カーテンウォール部を正面から見る 提供:日建設計・Photo by Kawasumi Photo Studio 一般カーテンウォール部
一般階カーテンウォール内観(エアバリアファン)
4022.5
FL 50
214
997
205
30
180 25420
760
2
66.5
37.5
153.5
10103010
SUS化粧ボルト
7537.5 450
163.5
66.5
5510
16
13(10)50
24(30)
82
13(10)
16
リブガラス出巾=385 15
ガラスシ-ル
フェイスガラス:倍強度ガラス (10~12ミリ熱線吸収グリーンペーン) または、強化ガラス (10~12ミリ熱線吸収グリーンペーン)
10
(13)
@1600
155
外 部
24
16816
10
370
17.5
75
φ40
8φ24
17.5
8
140
@1600
リブガラスフェイスプレ-ト :SUS鋳物
16
82 50
30(24)
(13)
10
16
24 8
155
12.512.5
リブガラス固定用化粧ボルト :SUS-M16
50
10 30
37.5
75
10
37.5
リブガラス間 パッド材
155
リブガラス出巾=385
パンチング孔 :3.2x30(@8)
233032175
90
通リ芯マデ 2030
240
膳板L=1595
1855
5
換気口フェイスプレ-ト
L=1554
340
15
膳板L=1595
305
5
3
換気口フェイスプレ-ト
L=1554
手摺り支柱
SSGシ-ル
215
FL
385
214
997
30
180
390
25420
100
315
112.5
FL±0
35 13 25 114
46
68 242310
210100
260
100200
400
760
23303
FL~3003
38
30
465
427
475
ガラス取合 シ-ル
エキスパンション ゴム 128 250
75
1300
40
17
640
20
700
55
255
75 50
バリアファン アルミ押出形材
リブガラス出巾=385 15
660
60720
カーテンウォール床部分断面図 S.1:20
リブガラス取り付け部平断面詳細図 S.1:10
リブガラス取り付け部縦断面詳細図 S.1:10
リブガラス取り付け部立面詳細図 S.1:10
SSGシ-ル
リブガラス:合わせガラス(12~15ミリ フロート透明+12~15ミリフロート透明) または、強化合わせガラス(15ミリ強化透明+15ミリ強化透明)
一般階リブガラス取付詳細
フライングアトリウム外装(夜景、北西面)
空飛ぶアトリウムと名付けられたこの空間は、地上
高さ約50mの7Fレベルから始まる基準階と高層
の中層部とを一気に結ぶシャトルエレベーターを
囲むように構成された巨大な吹き抜け空間である。
この空間を3フロアー分12m間隔で通称メガネ梁
と呼ばれる梁で支え、その間をテンションロッドで3
分割しサブストラクチャーが構成されている。この
建物のような縦方向に連続して80mも張られたテ
ンションロッドは国内、国外でも希である。しかもそ
の外皮にリブガラス工法を採用し極限まで透明で
明るく開放感に満ちたアトリウムを構成したものは
特に珍しい。また床面にできるだけ余裕をもたせ
るため、最下層と最上層のテンションロッドを縦材
が1本おきに通る構造としている。
フライングアトリウムのカーテンウォール実現の最
大の課題はフェイスガラス面外方向への地震対
応であった。カーテンウォールを支えるテンションロッド
は長さ4mが3段あるため、ガラス面外方向に層間
変位を受けると束材先端の部分が数十㎜上下に
移動してしまう。これに対しメガネ梁部分は移動
しないためガラスが地震時に上下動し破損脱落
する危険が生ずる。これを解決するため、ロッド先
端部に吊りロッドを設け、ガラス自重を支えるととも
に、束材にピンを設け地震時にここから回転させ
る事で上下移動を最小限としこの問題を解決した。
また、このアトリウムは西日対策として熱感知式の
特大ロールブラインドを採用し、西日による日射の
進入を防いでいる。
フライングアトリウム 空中庭園をつくる
フライングアトリウム内部テンション構造詳細(7F)
吊りロッド 縦ロッド
φ101.6×4.2
横ロッド
14002000
600
15385
横ロッド 吊りロッド
縦ロッド 縦ロッド
横ロッド
横ロッド
縦ロッド
フライングアトリウム カーテンウォール詳細図
X
X'
X-X'断面図
Y
Y'
Y-Y'断面図
B部詳細 S.1:50
縦断面詳細図
平面詳細図
150
FL
4000
55 FL
4000
FL55
4000
150
FL
4000
4000
1200
040
0039
4540
0081
5040
0020
5
7FL100
4000
8FL55
4000
9FL150
全体矩形図 S.1.200
1400600
A部
B部
リブガラス: 強化合わせガラス (15ミリ強化透明+ 15ミリ強化透明)
フェイスガラス: 強化ガラス (12ミリ強化熱線吸収 グリーンペーン飛散防止 フィルム貼)
φ609.6×32
φ216.3×6
14002000
600470130
吊りロッド 縦ロッド φ17
15
吊りロッド 縦ロッド φ216.3×16
385
A部詳細 S.1:50
平面詳細図
縦断面詳細図
ピン
オモリ
低層部 光の饗宴を支えるガラス
低層部は大板ガラスを使用した大空間と上下空
間を接続するエスカレーターやエレベーターの外
部ガラス及び低層カーテンウォールその他で構成
されている。
元々の地形を生かした泉ガーデンでは、高層部に
いたるアプローチが特に重要となる。そのアプロー
チに設置された数多くのエスカレーターやエレベー
ターは、どこからもその動線が認識しやすいよう3
方をガラスで囲われた。
エスカレーター
エスカレータの支持門柱は垂直に立っており、高
層部と同様に縦にのびゆきつつ次第に重なる門
柱のリズムが移動する人々の目を奪う。またガラス
との接合部をEPG工法とPFG工法として金物を
最小化し、ガラスを段ズレで支持してガラス面から
金物が突起せず汚れにくい形状としている。また
金物のディテールを工夫し、あたかも調整なしで
門柱に溶接されているように見せている。
ガラスは世界最大級の4mを超える特注ストライプ
のセラミックスプリント強化合わせガラスで、アクセ
ントをつけるとともに天板の汚れを目立たなくさせ
ている。熱負荷の大きい西面に位置する都道側
エスカレーターでは、熱線吸収強化ガラス(グリー
ン)を用い、室内側にセラミックプリントと同じピッチ
のストライプ印刷されたフィルムをずらして貼ること
で日射遮蔽効果を高め、すだれの様なシースルー
効果をももたせている。
エスカレーター内観 提供:日建設計・Photo by Nacása & Partners Inc.
北面エスカレーターとフライングアトリウム外装
アーバンコリドールとサンクンガーデン
エスカレーターガラス詳細
エレベーター
ボイドコアシステムという新たなコアシステムにより
実現したエレベーターのプランニングと4周外壁
の大スパンの柱はこの建物の大きな特徴となって
いる。この特色あるエレベーターシャフトは大部分
がガラスで囲まれ、明るく縦に伸びる導線が一目
でわかる設計となっている。
地下鉄に直結しステーションアトリウムと呼ばれ、
駅から高層部へのメインアプローチとなっているシャ
トルエレベーターホールは、東西面を高さ11.5mの
フロート板ガラスと25㎜厚の通しリブサスペンドス
クリーンと、7mのガラススクリーン及び10連の強
化ガラススライドドアで構成し、南北面のシャトルエ
レベータ内壁を4mを越えるDPG大ガラススクリー
ン3段と当社開発の熱感知式ガラスルーバーで構
成している。この熱感知ルーバーは形状記憶合
金を使用したバネにより冷房時と暖房時でルーバー
の角度が自動的に変わり、電気装置なしに自動で
動くことができる。4基配置されたシャトルエレベー
ターは国内有数の75人乗り大型エレベーターで、
全方位シースルーのガラスのかごで構成されている。
同様に低層および高層ローカルエレベーターと住
友会館に直結する会館エレベータもシースルー
エレベーターとし、開放的な空間を楽しめる。特に
会館エレベーターは日本初のかごそのものが外
部に完全露出したエレベータで、鉄骨やカーテンウォー
ルなどの障害物は何もなく外の景色を直裁に楽
しむことができる。なお、高所恐怖症の人のために、
スイッチOFFで瞬時に不透明になる瞬間調光ガ
ラス・ウムを用いた複層ガラスも窓に使用された。
賀井 伸一郎(日本板硝子/建築硝子部)
熱感知ルーバーのあるエントランスホール アーバンコルドールから、ステーションアトリウムを望む
建築概要
名称 泉ガーデン
所在地 東京都港区六本木一丁目
面積 敷地面積:23,868.51㎡
泉ガーデンタワー:建築面積=8,995.11㎡、延床面積=157,364.99㎡
泉ガーデンレジデンス:建築面積=1,675.20㎡、延床面積=44,097.26㎡
泉屋博古館分館:建築面積=863.46㎡、延床面積=1,363.11㎡
構造 泉ガーデンタワー:S造・SRC造・一部RC造
階数 泉ガーデンタワー:地下2階、地上45階
寸法 最高高:HGL+201,000m、階高:4,000mm(基準階事務室)
総合監修 住友不動産
設計 日建設計
監理 日建設計
施工 建築:清水建設/鴻池組・浅沼組・鹿島建設・竹中工務店・住友建設特定建設工事共同企業体
GLASS DATA 泉ガーデンタワー
タワー
リブガラス 合わせガラス(12~15ミリフロート透明+12~15ミリフロート透明)
強化合わせガラス(15ミリ強化透明+15ミリ強化透明)
フェイスガラス 倍強度ガラス(10~12ミリ熱線吸収グリーンペーン)
強化ガラス(10~12ミリ熱線吸収グリーンペーン)
強化合わせガラス(6~8ミリ熱線吸収グリーンペーン+10~12ミリ強化透明)
セラミックスプリント強化合わせガラス(12ミリ熱線吸収グリーンペーン+8ミリ強化透明)
倍強度強化複層ガラス(12ミリ倍強度熱線吸収グリーンペーン+12ミリ中空層+8ミリ強化透明)
フライングアトリウム
リブガラス 強化合わせガラス(15ミリ強化透明+15ミリ強化透明)
フェイスガラス 強化ガラス(12ミリ強化熱線吸収グリーンペーン飛散防止フィルム貼)
強化合わせガラス(12ミリ熱線吸収グリーンペーン+8ミリ強化透明)
低層棟
セラミックスプリント強化合わせガラス(12ミリ強化透明+8ミリセラミックスプリント強化)
フロート板ガラス(8~25ミリフロート透明)
強化ガラス(10~19ミリ強化透明)
強化合わせガラス(12ミリフロート透明+8ミリ強化透明)
熱線吸収板ガラス(10ミリ熱線吸収グリーンペーン)
耐熱強化ガラス(8ミリパイロクリア熱線吸収グリーンペーン)
ガラス構法・技術担当
プロジェクト担当 日本板硝子株式会社 建築硝子部 賀井伸一郎
タワー設計 日本板硝子株式会社 建築硝子部 賀井伸一郎
フライングアトリウム設計 日本板硝子ディー・アンド・ジー・システム株式会社 大野剛
日本板硝子株式会社 建築硝子部 鵜沢康久
低層棟設計 日本板硝子ディー・アンド・ジー・システム株式会社 大野剛 ・ 堅正元一
日本板硝子株式会社 建築硝子部 榎本貴伸
6,050㎡
2,850㎡
29,000㎡
3,900㎡
2,500㎡
220㎡
540㎡
480㎡
2,320㎡
250㎡
850㎡
3,500㎡
2,500㎡
1,200㎡
500㎡
200㎡
日本板硝子株式会社
札幌/011-377-2860
仙台/022-359-8665
東京/03-5443-0132
名古屋/052-962-7089
大阪/06-6222-7534
広島/082-263-3571
福岡/092-451-5594
SPACE MODULATOR REPORT 4 発行日 2004年1月(04・01/03)
発行所 日本板硝子株式会社
SPACE MODULATOR 編集部
湯川哲比古
E-mail: [email protected]
URL:http://www.nsg.co.jp/spm/index.html
企画編集 AZ環境計画研究所
山崎泰孝・大工原潤
制作 小島良平デザイン事務所
小島良平・小島良太
編集協力 株式会社日建設計
櫻井潔・村田修
横田外装研究室
横田暉生
写真撮影 青木司(特記をのぞく)
印刷 大日本印刷株式会社
協力 住友不動産株式会社
禁無断転載