デザインリサーチに基づいた Wi – Fi ルーターの提案

デザインシステム論・演習 石上耕大

演習の目的

企業が競争相手に対して優位性を構築するためには、ユーザにとって意味ある差別化（価値づくり）をすることが必要といえる。市場には、同一製品にもかかわらず多種多様なバリエーションが存在しているが、それらは色・形を含め、その製品が保有するさまざまな属性を変化させることで、ユーザに「異なる価値」を提供していると考えられる。

本演習では、各グループが着目した「○○」を調査対象として、ユーザの視点からみた差別化に結びつく属性、評価用語などとの関係を抽出・把握するラダーリング・評価グリッド法、それらをもとに市場にある「○○」のありようを整理・把握するポジショニング分析・クラスター分析の考え方や方法を学ぶ。さらに、調査・分析の結果をもとに、デザイン提案を行う。

着目した Wi – Fi ルーターについて

大学生になると、調べものをする機会が増え、安定したインターネット環境が必要になるため、多くの人は自宅にWi – Fi 環境を構築する。また、インテリアスタイルに興味を持ち、自分の嗜好にあった見た目のものに対するニーズが高まると考えられる。そのため、大学生にとってより良いWi – Fi ルーターが作れるのではないかと考え、着目した。

目 的 ： ターゲットユーザーの Wi - Fi ルーターに対する評価構造を明らかにする手 法 ： 評価グリッド法被験者 ： 男子大学生 4 名

個人ネットワーク図

評価構造の把握

全体ネットワーク図

選定した評価用語

3 人が同じ意見

遊び心

キモかわ

生物的

機械的

上品

清潔感

統一感

安定感

シンプル

機械っぽくない

省スペース

ユニーク

目 的 ： ターゲットユーザーの評価構造の観点から見た、現行市場のありようを把握する手 法 ： Web アンケート調査・因子分析・クラスター分析被験者 ： 男子大学生 13 名

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サンプル一覧

マーケットの把握

30 個のサンプル

アンケート調査結果

サンプル番号

遊び心 キモかわ 生物的 機械的 上品 清潔感 統一感 安定感 シンプル機械っぽく

ない省スペース ユニーク

1 3.231 2.846 2.615 3.923 3.385 3.846 3.385 3.231 3.846 2.462 4.231 3.077

2 2.769 2.385 2.385 3.769 4.154 3.769 3.615 3.769 4.154 2.692 3.462 3.077

3 2.462 2.385 2.231 3.000 4.385 4.385 4.231 4.462 4.538 2.923 3.462 3.077

4 2.231 2.154 2.000 3.769 3.538 3.846 4.077 3.308 4.308 2.462 3.923 2.385

5 3.615 2.846 3.154 3.000 3.846 4.231 4.000 3.462 3.923 2.923 3.692 3.692

6 3.615 3.308 3.308 3.538 2.615 3.154 2.923 3.000 2.769 2.769 2.769 3.692

7 3.846 3.000 3.231 3.538 3.154 3.154 2.692 2.538 2.462 2.538 2.462 3.692

8 2.692 2.154 2.000 3.538 3.615 4.154 3.769 4.000 4.000 2.462 3.308 2.077

9 4.231 2.769 2.615 2.462 3.769 4.154 4.231 2.231 4.077 3.385 3.462 4.077

10 3.692 2.692 2.769 3.462 4.000 4.231 4.308 4.385 3.923 3.154 2.846 3.615

11 3.538 3.000 3.769 3.385 2.231 2.923 2.692 3.615 2.692 2.231 1.923 3.769

12 2.385 1.923 2.000 3.538 3.385 3.923 3.846 3.154 3.846 2.615 4.077 2.385

13 3.385 2.846 2.769 3.769 3.000 4.000 3.462 3.615 3.462 2.769 2.615 3.462

14 2.154 1.923 2.077 3.385 3.846 4.538 4.231 4.462 4.308 2.308 3.769 2.231

15 3.462 2.538 2.615 4.077 3.385 3.769 4.231 4.462 3.615 2.615 3.000 4.000

16 2.692 2.308 3.077 3.846 3.308 3.846 3.692 3.615 3.692 2.154 3.231 2.769

17 3.769 3.231 3.692 3.923 2.462 3.308 3.000 3.231 2.231 2.385 2.692 3.462

18 3.538 3.462 3.769 4.000 2.692 2.769 3.308 3.846 3.000 2.615 2.308 3.462

19 2.462 2.538 2.077 3.385 3.308 3.385 3.692 3.846 4.000 2.615 3.462 2.154

20 3.923 3.538 3.923 3.769 2.231 2.385 2.615 2.923 2.385 2.154 2.692 3.538

21 3.769 3.692 3.769 3.923 2.154 2.769 2.846 4.077 2.846 2.462 2.231 3.769

22 3.462 3.231 3.000 3.231 3.077 3.615 3.538 3.462 3.692 3.231 3.692 3.615

23 2.462 2.615 2.769 3.231 3.615 4.077 4.000 4.000 4.154 3.308 3.308 2.769

24 3.231 2.462 2.692 3.231 3.462 3.769 3.308 3.154 3.308 2.846 3.385 3.538

25 3.615 3.308 3.308 3.846 2.923 3.077 2.923 3.538 2.308 2.000 2.308 3.615

26 4.231 3.000 3.000 3.000 3.000 3.154 3.385 4.231 3.077 2.769 2.231 4.231

27 2.769 2.231 2.538 2.692 3.385 4.308 3.538 4.154 4.077 2.538 3.538 3.154

28 3.000 2.154 2.538 3.846 2.923 3.769 3.385 3.077 3.538 2.385 3.692 3.308

29 3.231 2.769 3.231 2.231 3.615 4.077 4.154 4.538 4.308 3.385 3.154 3.769

30 3.462 2.923 3.308 3.846 2.692 3.462 3.231 3.846 3.308 2.000 2.308 3.615

バリマックス回転後の結果

因子負荷量 因子 1 因子 2 共通性

遊び心 0.917 0.053 0.843キモかわ 0.874 -0.223 0.815ユニーク 0.868 0.225 0.803生物的 0.857 -0.301 0.826清潔感 -0.650 0.640 0.831シンプル -0.714 0.631 0.909省スペース -0.715 0.343 0.628

機械っぽくない 0.080 0.845 0.721統一感 -0.567 0.697 0.807上品 -0.599 0.671 0.810機械的 -0.015 -0.699 0.488

因子分析結果

1 28 16 22 24 13 30 15 26 5 10 9 29 2 3 23 27 4 12 14 8 19 6 17 7 25 11 18 21 20

クラスター分析結果

破線の高さで分類

因子１ ： 装飾感因子因子２ ： 機能感因子

ポジショニング＋クラスター

このエリアに注目

シンプルで機械らしくないWi – Fi ルーター

全体ネットワーク図を作成する際、好ましいルーターの評価用語として、シンプル・機械っぽくない、をあげる人が多かった。

[装飾感因子の軸]シンプルなルーターは、突起物がなく凹凸が少ない。

[機能感因子の軸]機械らしくないルーターは、薄く長い直方体からかけ離れた形状である。

以上の２点を意識して、提案物を考えた。

最もシンプルと評価された製品

※https://www.elecom.co.jp/products/WRC-1900GST2A-W.html

最終提案

シンプルで

機械らしくない

Wi - Fi ルーター

[シンプル]アンテナや表面の凹凸を排除し、電源・LANポート・INTERNETポートのみを配置。電源ランプ・SSID・暗号化キーなどの表示はすべて裏面に配置し、見た目のシンプルさを追求。

[機械らしくない]従来の Wi – Fi ルーターとは一線を画す、立方体の形状を採用。機械らしさを感じさせない新鮮な見た目。