シンクロトロン光を利用した...
TRANSCRIPT
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13:30–14:45
シンクロトロン光を利用した粉末X線回折
井田隆 1,2 1 名古屋工業大学 先進セラミックス研究センター 2 科学技術交流財団 シンクロトロン光センター
平成 26 年度シンクロトロン光利用者研究会第 4 回 XRD グループ2015年3月5日(木) あいちシンクロトロン光センター 2F 会議室
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内容 はじめに シンクロトロン光とは 利用施設,シンクロトロン光(放射光)とは,AichiSR, 放射光利用の効果,装置
実験室回折計 Bragg-Brentano 型粉末回折計,畳み込み,逆畳み込み
AichiSR BL5S2 粉末回折ビームライン X線源の特徴,試料交換ロボット,温度制御,二種類の二次元検出器
シンクロトロン光粉末回折の新展開 さいゆうすいてい
背景,最尤推定構造解析
まとめ
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はじめに 研究の経歴
1984~1999超高圧下における有機電荷移動錯体の分光研究,金属と無機ナノ粒子集合体の磁性・分光特性・イオン伝導性(東大理・分子研・兵庫県立大)
1998~2001実験室粉末回折計の装置関数と畳み込みによる実測ピーク形状のモデル化
2000~ 軌道放射光粉末回折の方法論研究
2002~ 逆畳み込み計算による粉末回折装置収差の除去
2003 粉末回折ピーク形状分析による結晶粒径分布評価(< 0.2 μm)
2005~2010 検出器の数え落としの影響を受けた計数統計
2009~ 粉末回折強度の統計解析による結晶粒径分布評価(> 数 μm)
2011~ 粉末回折強度データ解析への最尤推定法の適用
-
SPring-8
高エネルギー加速器研究機構 KEK
PF
Linimo 陶磁資料館南駅
AichiSR
4
N
A04
D33
B09B
08B0
6 B05
B04B
03
A36 A
35A33
A34A32
A31
B01
B02
B10
B11
A30
B07
A23A22A12
A08
A05
A06
A03
A15A17A16 A14 A13
D29
D34
A24 A21 A18
A09A10
A02A01
D31D30
A29 A28
D28
D32
A11
A2A20
A25A26A27
A07
D21D
20 D19
D22
D27
D3
D01
D02
D03D04
D05D06
D07D08
D09
D10
D11
D12
D13D
14D
1561
DD17
D18
D23D
24D
25D
26
2D
D1
A
A1
A3
Long Beamlines
Medium-longBeamlines
Medium-longBeamlines
A19
BL04B2BL05SSBL07IS
BL08W
BL08B2
BL09XU
BL10XU
BL11XU
BL12
XU
BL12
B2
BL13
XU
BL14
B1
BL14
B2BL
15XU
BL16
XUBL
16B2
BL17
SU
3BB2
B1
B4C1 C2
0 20 40 60 80 100 m
BL19
LXU
BL19
B2
BL20
XU
BL20
B2
BL21
IN
BL22XUBL22B2
BL23SU BL24XU BL25SU BL26B1BL26B2
BL27SUBL28INBL28B2 BL29B2
BL29XU
BL31IS
BL32INBL32B2
BL33IN
BL33LEP
BL34IN
BL35XU
BL36
IN
BL37
XUBL
38B1B
L38B
2BL3
9XU
BL40
XUBL
40B2B
L41X
U
BL43IR
BL44XU
BL45XU BL44B2
BL46XU
BL47XU
BL48IN
BL01B1
BL02B1
BL02B2
BL03 INBL04 B1
B12
B13
B14
B15
B16
B17
B18
B19
B20
B21
B22
B23
B24
B25
B26
B27
B28
C01C02C03C04C05C06C07C08C09 C11C12C13
C14C15
西播磨 SPring-8 8 GeV 周長 1436 m (1997)
筑波 KEK-PF 2.5 GeV 周長 187 m (1982)
瀬戸瀬戸 AichiSR, 1.2 GeV 周長周長 72 m (2012)
岡崎 UV-SOR, 0.75 GeV 周長 53.2 m (1983)
シンクロトロン光利用施設
-
5
シンクロトロン光(放射光)とは
軌道放射光
電子軌道!
"
相対論的な荷電粒子(電子や陽電子など)が磁場で曲げられるとき、その進行方向に放射される電磁波
特徴:白色,高輝度,高指向性
シンクロトロン軌道放射光軌道放射光ともよばれる
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実験ホール
線形加速器:50 MeV まで加速
ブースターシンクロトロン:1.2 GeV まで加速
蓄積リング:角丸多角形状に電子を周回させる
BL5S2 粉末回折実験ハッチ超伝導偏向磁石(4箇所)1.2 GeV でも X 線が使える
AichiSR
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7
加速電圧 V 電子の速度 v (m/s) 電子の速度 v /光速 c
40 kV 112,140,313 37.4% (実験室型X線)
200 kV 208,450,037 69.5% (透過電顕)
1.2 GV 299,792,431 99.999991% (AichiSR)
2.5 GV 299,792,452 99.999998% (KEK-PF)
8 GV 299,792,457 99.9999998% (SPring-8)
相対論的荷電粒子(電子)?
e = 1.60217657 ×10−19 C
c = 299,792,458 m s-1
m = 9.10938291×10−31 kg
v = c 1− 1
1+ eVmc2
⎛⎝⎜
⎞⎠⎟2 →eV≪mc2
2eVm
-
8
放射光利用の効果 X線吸収分光 XAFS(←白色性) ⇒ 特定元素の周囲の局所構造(触媒など)
小角X線散乱 SAXS(←高指向性) ⇒ 高分子,微粒子,多孔質,…
X線蛍光分析 XRF(←偏光,高輝度) ⇒ 微量元素分析,微小部分析
粉末回折 PXRD(←大強度,高輝度) ⇒ 微量試料,迅速測定,高分解能測定(?)
*実験室回折計に比べて高精度なデータが得られるというわけではない。 *実験も解析もラク。XRD に不慣れな人に向いている。 *温度制御実験では迅速測定が有効
-
放射光粉末回折測定装置
1
2
3
456
MC
VPx-ray
SSCAVP
ES AF
SC
○分解能 △バックグラウンド × 測定時間
IP camera (カメラ)
PILATUS(半導体検出器)
△分解能 × バックグラウンド ○測定時間
マルチアナライザー(高分解能)型
BL-4B2BL5S2
位置敏感検出器(迅速測定)型
x-ray
-
10
実験室系との比較
項目 実験室系 放射光 (高分解能型)放射光
(迅速測定型)
測定時間 3 h ~ 12h 5 ~ 12 h 5 ~ 20 min
試料の量 0.1 ~ 0.5 g0.1 ~ 0.5 g (*)
5 ~ 20 mg (**)1 ~ 10 mg
角度分解能 ~0.1º 0.01º~0.02º 0.01º~0.07º
バックグラウンド ○ △ ×
(*) 平板反射法, (**) キャピラリ透過法
-
実験室型粉末回折計
集中法光学系
ローランド円
ゴニオメータ円
-
実験室型粉末回折計
集中法光学系
ローランド円ゴニオメータ円
-
実験室型粉末回折計
集中法光学系
ローランド円ゴニオメータ円
検出器を角度 2" 回転させるとき,連動させて試料を角度 " 回転させる。Bragg 条件を満たす回折ビームは,ゴニオメータ円に沿って移動する検出器の直前で焦点を結ぶので,ここに細いスリット(受光スリット)を設置すれば,試料位置で回折条件を満たす散乱ビームのみを効果的に抽出できる。
-
XRD ピーク形状の特徴:
積分強度
ピーク位置
幅
非対称性
尖り具合
要因:
原子位置,占有率,熱振動,相組成,配向性
単位胞の寸法,結晶学的な対称性
結晶子の平均サイズ
結晶子のサイズ分布
構造欠陥,歪み,転位,積層不整
装置収差 決定的に重要!
粉末回折ピーク形状の特徴とその要因
-
X線源(線焦点)
入射ビーム側ソーラースリット
発散スリット散乱スリット
試料 回折ビーム側ソーラースリット
受光スリット
ゴニオメーター軸
集中法型(Bragg-Brentano)粉末回折計
集中法型粉末回折計の装置関数を求める試み 1.X線源の分光特性 (特性X線のスペクトルに由来) 2.軸発散収差 (垂直方向へのビーム発散に由来) 3.平板試料収差 (水平方向へのビーム発散とローランド条件からのずれに由来) 4.試料透過性効果 (X線が試料の内部に侵入することによる) が系統誤差を与える主な要因として指摘されていた。 実測ピーク形状が個々の装置収差の多重の畳み込みで表現されるという発想
分光特性の装置関数,平板試料収差の装置関数,試料透過性の装置関数は解くのが簡単。ソーラースリットによる制限を受けた軸発散収差の装置関数は解かれていなかった...
実験室型粉末回折計の装置関数
-
軸発散収差の装置関数(ビームの軸方向へのずれの2次まで展開):
�
wA (x;ΦA ,2θ ) =
4ΦA2 −
(1+ ut 2 ) 3t + 1− u(1− t 2 )( )2 1+ t 1− u (1− t 2 )( )
+ 1− 1+ t2
2u
⎛
⎝ ⎜
⎞
⎠ ⎟ ln1+ 1− u(1− t 2 )
−u (1+ t)
⎡
⎣
⎢ ⎢
⎤
⎦
⎥ ⎥
for −ΦA2
t≤ x ≤ −ΦA
2 (1− t 2 )4 t
,
4ΦA2
−(1− u) 3 + t 1− u(1− t 2 )( )2 t + 1− u (1− t 2 )( )
+ ut + 2 −u(1− t 2 ) + ln 1+ 1− u (1− t2 )
−u (1+ t )
⎡
⎣
⎢ ⎢
+1+ t2
2u ln
(1− t) 1+ 1− u (1− t 2 )( )−u (1+ t )2
⎤
⎦
⎥ ⎥ for −
ΦA2 (1− t 2 )4t
< x < 0,
4ΦA2
−(1− u) 3 + t 1− u(1− t 2 )( )2 t + 1− u (1− t 2 )( )
+ 1+ 1+ t2
2u
⎛
⎝ ⎜
⎞
⎠ ⎟ ln1+ 1− u(1− t 2 )
u (1+ t)
⎡
⎣
⎢ ⎢
⎤
⎦
⎥ ⎥
for 0 ≤ x ≤ΦA2 t,
0 elsewhere
⎧
⎨
⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪
⎩
⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪ ⎪
ただし,
�
x はピーク位置からのずれ,
�
ΦAは軸発散の半値全幅,
�
2θは回折角,
�
t ≡ tanθ ,
�
u ≡ xΦ2t
軸発散収差の装置関数(実験室型回折計)
-
軸発散収差の装置関数の近似形式:
��
wA (x;!A ,2" ) #2
$%Aexp t & 1
t'�(�)�
*�+�,�x% A
'�
(�)�
*�
+�,�K0 t +
1t
'�(�)�
*�+�,�x% A
'�
(�)�
*�
+�,�
ただし,
��
!Aは軸発散の半値全幅,
��
2"は回折角,
��
t - tan" ,
��
% A -!A2
4 ln 2,
��
K0(x )は第2種変形ベッセル関数
分光特性の装置関数:
��
wX (x;2! ) ="
2tan!f "x2tan!#�$�%�
&�'�(�
ただし,
��
" はピーク波長,
��
f ()")は分光強度分布
平板試料収差の装置関数:
��
wF (x;!F ,2" ) =12# F
$ x# F
%�
&�'�
(�
)�*�$12
for $# F < x < 0,
0 elsewhere
+�
,�-�
.�-�
ただし,
��
!Fは面内発散の幅,
��
# F /!F2
2 tan"
試料透過性収差の装置関数:
��
wT (x;µ ,R,T ,2! ) =1" Texp x
" T
#�
$�%�
&�
'�(� for )xT < x < 0,
0 elsewhere
*�
+�,�
-�,�
ただし,
��
µ と
��
T は試料の線吸収係数と厚さ,
��
R はゴニオメータ半径,
��
" T .sin 2!2µR
,
��
xT .2T cos!
R
実測のピーク形状:
��
Pobs (x ) = P0 (x )* w1 (x)*!* wN (x)
ただし,
��
P0 (x )は本来のピーク形状,
��
w j (x)は装置関数,
��
f (x )* g(x) は
畳み込み
��
f (x )* g(x) ! f (x " y)g(y )dy"#
#
$
どのように計算するかが大問題
畳み込みピーク形状モデルの現実的な問題
-
求積法(数値積分)による 畳み込み計算:関数
��
f (x ) と
��
g(x ) が
��
x = 0 にピークを持つ関数のとき,畳み込み:
��
f (x )* g(x) ! f (x " y)g(y )dy"#
#
$
を数値積分で計算してもうまくいかない。
畳み込みを評価するための効率の良い計算法
被積分関数
��
f (x ! y )g(y ) は
��
y = 0 と
��
y = xでピークを持つ。
��
g(y ) が装置関数のとき,
��
y = 0 では特異性を持つことも多い。
関数
��
f (x ) と
��
g(x ) の原始関数の近似形
��
F(x ) ! f (x)dx" ,
��
G(x ) ! g(x)dx"がわかっているとき,これを利用できる。
変数変換:
��
! " F(x )#F(0)x
Gx F(x)#F (x # y )( )
F (x)#F (0)$�
%�&�
'�
(�)�
��
y : #* + *! : , + -
とする置換積分。厳密に
��
f (x )* g(x) = f (x # y)g(y)d!
F ' (x # y)G'x F(x)#F(x # y)( )
F(x)#F (0)$�
%�&�
'�
(�)�,
-
.
である。
被積分関数が1に近い滑らかな関数になるので,求積法により高精度に積分を評価できる。
畳み込みピーク形状の高効率計算アルゴリズム
-
* = ?図解:
0
peak
f(x)
x 0
singular
g(x)
x
0y
peak singular
f(x-y) g(y)
x
変数変換
-1
0
0xy
-1 0
f(x-y) g(y) dy/d!
!
粗い刻みの求積法でも良い結果が得られ,刻みを細かくすれば厳密解に近付く。原始関数の粗い近似を使っても効果があり,精密な近似を使うほど効果的。
畳み込みピーク形状の高効率計算アルゴリズム
-
その効果のほどは...(1)畳み込みにより表現されるあるピーク形状関数を3項の数値積分で評価した結果:
0.250.200.150.100.050.00
-10 -5 0 5 10x
!L = 1!F = 5 exact solution Howard (1982)
0.250.200.150.100.050.00
-10 -5 0 5 10x
!L = 1!F = 5 exact solution Howard (1982)
van Laar & Yelon (1984)
0.250.200.150.100.050.00
-10 -5 0 5 10x
!L = 1!F = 5 exact solution Howard (1982)
van Laar & Yelon (1984) Finger et al. (1994)
0.250.200.150.100.050.00
-10 -5 0 5 10x
!L = 1!F = 5 exact solution Howard (1982)
van Laar & Yelon (1984) Finger et al. (1994) Ida (1998)
たった3項の数値積分で,厳密解と見た目で区別がつかないくらい正確な結果が得られる。余計な波打ちが生じないので,Newton 法を応用した最適化計算の収束性も良好である。
畳み込みピーク形状の高効率計算アルゴリズム
-
その効果のほどは...(2)
1200080004000
0
21.521.02 Θ ( º )
0
8000
4000
00
µ-1 = 0.34 mm
µ-1 = 1.19 mm
LaB6/starch 100
2000
1000
0
88.488.087.62 Θ ( º )
01200
800
400
00
321
µ-1 = 1.19 mm
µ-1 = 0.34 mm
LaB6 をデンプンで希釈した試料;実測ピーク形状が計算ピーク形状とぴったり一致した。正しい積分強度と本来のピーク位置を求めるのにも有効であることがわかる。
畳み込みピーク形状の高効率計算アルゴリズム
ここで示した計算曲線の形状は可変ではなく,LaB6/デンプン混合比と粉末の充填率,装置関数から先験的 a priori な計算で予想したもの。
-
?ある画像にフィルターを畳込んだもの
Image created byconvolution with
a filter
The Birth of Venus(Uffizi musium)Botticelli (Sandro Filipepi, called il) (Florence 1445-1510):
逆畳み込み(デコンボリューション)deconvolution
畳み込み→逆畳み込み
-
実験室粉末回折データの逆畳み込み処理 (Ida, 2002)
-8000
-6000
-4000
-2000
0
2000
4000
21.621.220.8
-1000
-500
0
500
88.588.087.587.0
-1000
-500
0
500
143.0142.0141.0
511321100
-10000
-5000
0
5000
140120100806040202Θ (º)
100110
111 200 210 211220 300 310 311 222 320 321 400 410 411 331 420 421 332 422 500 510 511
LaB6 実験室粉末回折生データ
逆畳み込み処理後データ
-
AichiSR BL5S2 粉末回折 ビームライン
SPring-8 BL19B2 産業利用 ビームライン
発光源 超伝導偏向磁石 偏向磁石
光子エネルギー 5 ~ 23 keV 5 ~ 72 keV
光子数 1.4!1011 photons / s
@ 12 keV (1 ") ~109 photons / s (*)
分解能 (E / ΔE) 7,000 @ 12 keV ~10,000 (*)
ビームサイズ幅 0.35 mm 高さ 0.21 mm
幅 2.5 mm高さ 0.14 mm
(*) http://www.spring8.or.jp/wkg/BL19B2
BL5S2 ビームラインの 光源(1)特性
http://www.spring8.or.jp/wkg/BL19B2
-
BL5S2 ビームラインの 光源(2)入射ビームの断面強度プロファイル
-2
-1
0
1
2
Y (m
m)
-2 -1 0 1 2X (mm)
-2
-1
0
1
2
Y (m
m)
-2 -1 0 1 2X (mm)
-2
-1
0
1
2
Y (m
m)
Y (m
m)
Y
-2 -1 0 1 2X (mm)X (mm)X
-2
-1
0
1
2
Y (m
m)
Y (m
m)
Y
-2 -1 0 1 2X (mm)X (mm)X
AichiSR BL5S2 SPring-8 BL19B2
-
試料まわり(1)試料ステージ
キャピリ試料用5軸ステージ自動調整可能連続回転測定可能
巨大試料用汎用架台100 mm 程度の試料設置可能
!今後の課題:揺動機構, 位置合わせ機構の整備
陶磁器片設置例
-
試料まわり(2)キャピラリ試料交換/調整ロボット
AichiSR BL5S2 キャピラリ試料交換/調整ロボット動画(8倍速,2分)
-
試料まわり(3)高温/低温窒素ガス吹き付け装置
高温ガス吹き付けノズル室温 ~ 800 K
低温ガス吹き付けノズル140 K ~ 室温
-
X線検出器(1)湾曲 IP カメラ
IP フィルム
300
200
100
0Y
(mm
)150100500
X (mm)
7060
5040
3020
100
2! (º
)
10 mm 幅,12 mm ステップ 最大 15 試料の連続自動測定 12 試料の測定例
-
300
200
100
0Y
(mm
)
150100500X (mm)
7060
5040
3020
100
2Θ (º
)
X線検出器(1)湾曲 IP カメラ1500010000
50000
60402002θ (º)400003000020000100000
60402002θ (º)20000
100000
60402002θ (º)40000
200000
60402002θ (º)60000
4000020000
06040200
2θ (º)
解析ソフトウェア
フィルム取付角度補正機能
-
300
200
100
0Y
(mm
)
150100500X (mm)
7060
5040
3020
100
2! (º
)
X線検出器(1)湾曲 IP カメラ
解析ソフトウェア
任意スリット幅対応
390385380375
70605040302010
252015105
70605040302010
-
X線検出器(1)湾曲 IP カメラAichiSR BL5S2 SPring-8 BL19B2
カメラ半径 286.5 mm 286.5 mm
カメラスリット幅 10 ~ 30 mm 可変 10 mm 固定
強度積算幅 9 mm~ 29 mm 可変 2.5 mm 固定
像角度/歪み補正 可能 対応しない
強度積算方向 デバイ環状 直線状
軸発散収差 無視しうる 無視できない
統計誤差推定 可能 対応しない
-
AichiSR BL5S2 SPring-8 BL19B2
カメラ半径 286.5 mm 286.5 mm
カメラスリット幅 10 ~ 30 mm 可変 10 mm 固定
強度積算幅 9 mm~ 29 mm 可変 2.5 mm 固定
像角度/歪み補正 可能 対応しない
強度積算方向 デバイ環状 直線状
軸発散収差補正 不要 必要
統計誤差推定 可能 対応しない
X線検出器(1)湾曲 IP カメラ
操作が容易,確実
精密な解析の容易なきれいなデータ
信頼性が高い
明るさ 4~12 倍
-
実験と解析 PILATUS 強度データのマッピング
積算強度
積算ピクセル数
6000000
4000000
2000000
0
Sum
of I
nten
sitie
s
2826242θ (º)
300
200
100
0
Num
ber o
f pix
els
2826242θ (º)
150100
500
Y (p
ixel
)
4003002001000X (pixel)
PILATUS100K, BL5S2@AichiSR
487×195 pixel2, 0.172 mm/pixelX線波長 λ = 1.00058 Å
カメラ中心距離 R = 284.19 mm
(カメラ中心位置での分解能 0.035º)
カメラ中心角度 2Θ = 25.4º
試料 Quartz (
-
X線検出器(2)ピクセル型平面半導体検出器 PILATUS
PILATUS
-
X線検出器(2)ピクセル型平面半導体検出器 PILATUS
解析ソフトウェア
不良ピクセル排除
検出器設置角度誤差推定
検出器距離推定
カメラ長/斜入射補正
偏光補正(整備予定)
デバイ環に沿った強度積算
ステップ走査データ自動処理150
150
0
0Y (pixel)
400
400
300
300
200
200
100
100
00X
(pix
el)
150
150
0
0Y (pixel)
400
400
300
300
200
200
100
100
00X
(pix
el)
40000
20000
036343230282624
2! (º)
110 102111 200 201
112
003202103
2Θ: 25.4º 2Θ: 31.8º
石英粉末試料,回折画像とピクセ
ル平均粉末回折強度図形。画像中
赤点は不良ピクセル位置
-
X線検出器(2)ピクセル型平面半導体検出器 PILATUS
2Θ: 25.4º 2Θ: 31.8º
150
150
0
0Y (pixel)
400
400
300
300
200
200
100
100
00X
(pix
el)
150
150
0
0Y (pixel)
400
400
300
300
200
200
100
100
00X
(pix
el)
2Θ: 25.4º 2Θ: 31.8º
40000
20000
036343230282624
2! (º)
110 102111 200 201
112
003202103
10000
029.329.229.129.0
2! (º)
2! = 25.4º 2! = 31.8º 201
解析ソフトウェア
不良ピクセル排除
検出器設置角度誤差推定
検出器距離推定
カメラ長/斜入射補正
偏光補正(整備予定)
デバイ環に沿った強度積算
ステップ走査データ自動処理
-
新展開 背景 測定誤差とデータ解析
粉末回折測定の系統誤差 → 概ね解決されてきた。 粉末回折測定の統計誤差 → 大強度,高分解能,微量試料測定ほど誤差評価が困難
最小二乗法の粉末回折データ解析への応用 [Rietveld, 1969]: 放射光粉末回折データでは構造パラメータの誤差が過小評価される傾向 さいゆう 最尤推定法の粉末回折データ解析への応用 [Ida & Izumi, 2011]: 統計誤差モデルが未知パラメータを含んでも 観測されたデータから統計モデルを最適化できる。 構造パラメータの誤差を正しく推定しうる。
誤差モデルが正しくなければ無意味かもしれない。
二次元検出器を使えば観測強度の統計的な変動を実測しうる。 → 最小二乗法でも最尤構造推定が可能?
-
実験と解析 PILATUS 強度データのマッピング
積算強度
積算ピクセル数
6000000
4000000
2000000
0
Sum
of I
nten
sitie
s
2826242θ (º)
300
200
100
0
Num
ber o
f pix
els
2826242θ (º)
150100
500
Y (p
ixel
)
4003002001000X (pixel)
PILATUS100K, BL5S2@AichiSR
487×195 pixel2, 0.172 mm/pixelX線波長 λ = 1.00058 Å
カメラ中心距離 R = 284.19 mm
(カメラ中心位置での分解能 0.035º)
カメラ中心角度 2Θ = 25.4º
試料 Quartz (
-
実験と解析 ピクセル平均強度の標準偏差の算出
平均強度
平均強度の標準偏差
25000
20000
15000
10000
5000
0
Aver
age
inte
nsity
26.025.825.625.425.225.02θ (º)
300
200
100
0
Stan
dard
dev
iatio
n
26.025.825.625.425.225.02θ (º)
-
実験と解析 ピクセル平均強度の標準偏差の算出
平均強度
平均強度の標準偏差
25000
20000
15000
10000
5000
0
Aver
age
inte
nsity
26.025.825.625.425.225.02θ (º)
300
200
100
0
Stan
dard
dev
iatio
n
26.025.825.625.425.225.02θ (º)
微分の絶対値
400000
300000
200000
100000
026.025.825.625.425.225.0
2θ (º)
ΔIΔ2θ
Δ2θ ~ 0.001º 程度の誤差が伝播した値に相当する。ピクセルサイズは 0.035º 相当だが,平均化処理により実効的な誤差が抑えられているとみなせる。
-
実験と解析 誤差の逆数の重みつきをつけた最小二乗法によるフィッティング
RIETAN-FP (Izumi & Momma, 2007)
プロファイル:対称擬 Voigt 関数
ピークシフト:定数シフトピーク幅:Caglioti et al. (1958)バックグラウンド:11 次多項式石英, trigonal, P3121 (S.G. #152) 原子散乱因子:中性原子分散補正:Cromer & Liberman (1981)等方性原子変位因子
誤差 実験値 平均強度平方根RwP (%) 0.86 2.81
RP (%) 2.93 1.88
RB (%) 3.61 3.14
S 2.98 1.08
a (Å) 4.9307(4) 4.93026(9)
c (Å) 5.4236(2) 5.42342(6)
40000
20000
0Intensity
363432302826242θ (º)
← 有効数字少なめ
-
まとめ シンクロトロン光を使った粉末X線回折測定は不慣れなユーザーに向いている。
二次元X線検出器を用いた強度マッピングにより ほぼ左右対称なピーク形状が得られる。 平均観測強度の誤差を推定できる。
最小二乗法に基づく「リートベルト解析」は多くの場合最尤構造推定(さいゆうこうぞうすいてい;最ももっともらしい構造の推定)にはなっていないが,二次元粉末回折図形データの統計処理により算出された誤差を用いれば,リートベルト解析でも最尤構造推定が可能になる。
導出される格子寸法の有効数字が異常に多くなる状況を回避しうる。
-
補足(1)湾曲 IP カメラ全画面回折像測定
300
300
200
200
100
100
0
0 Y (mm)10
050
0-5
0X
(mm
)
10000
5000
0706050403020100
2! (º)
Sericite
明るさ 80 倍
AichiSR BL5S2
SPring-8 BL19B2
corridorupward
0.35 mm0.21 mm
upward corridor
2.5 mm0.14 mm