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生化学 89 巻第 3 号,pp. 4534572017ミトコンドリアの Ca 2取り込みに必須のタンパク質 EMRE の機能解析 山本 武範 1, 2 ,大園 瑞音 1, 2 ,渡辺 1, 2 ,山田 安希子 2 1. はじめに Ca 2は生体内のさまざまな場面で重要な役割を果たす シグナリングイオンである.その働きは筋収縮や受精に始 まり細胞死に至るまで多岐にわたり,“生と死をつかさど るイオン”ということができる.このため,Ca 2の細胞内 濃度は厳密に制御されている.真核細胞において最も重 要な Ca 2レギュレーターの一つはミトコンドリアである が,その Ca 2濃度調節に関わるメカニズムは最近までほ とんどわかっていなかった.ミトコンドリアによる細胞内 Ca 2濃度の調節機構の中核となるのはミトコンドリアへ Ca 2取り込みを行うカルシウムユニポーターによる単 輸送機構である.50 年以上にわたり不明であったカルシ ウムユニポーターを構成する分子群がここ 5 年ほどの間に 続々と同定された.これにより,カルシウムユニポーター はポア形成サブユニットとそれに結合する複数の調節サブ ユニットによって構成されることがわかってきた.関連分 子の同定により,この複合体がどのように Ca 2を取り込 んでいるのか,さらにはなぜその取り込み機構が細胞や多 くの器官の機能に重要なのか,といったより深い疑問に対 してアプローチが可能になった.本稿では,筆者らが最 近明らかにした知見を踏まえながら,カルシウムユニポー ターが Ca 2を取り込む分子機構を中心に最新の動向を紹 介する. 2. ミトコンドリアカルシウムユニポーター ミトコンドリアと Ca 2に関する研究は,1960 年代に複 数の研究グループが動物組織から高純度に精製したミト コンドリアが Ca 2を取り込み内部に保持する性質を持つ ことを報告したことに始まる 1.この Ca 2の取り込みは一 部の真菌を除く広い生物種のミトコンドリアで観察され, 進化の過程を通じたその重要性が認識されてきた.その 後,この取り込みはミトコンドリア内膜を介した膜電位を 駆動力として起こり,他の陰イオンや陽イオンとの交換 を必要としないことが示され,この輸送を担保する分子は “カルシウムユニポーター”と呼ばれるようになった 21A).カルシウムユニポーターはミトコンドリア外の Ca 2濃度が低いときには Ca 2取り込み活性を示さず,ミトコ ンドリア外 Ca 2濃度が高いと(>10 μM)と取り込み活性 を示す,というユニークな性質を持ち,このシグモイド型 Ca 2応答性から複数のタンパク質によって構成される と考えられていた.2004 年,ミトプラストに対する電気 生理学的解析によって,高い Ca 2選択性とコンダクタン スが確認されたことから 3,このカルシウムユニポーター はチャネル性の輸送様式を持つことが明らかにされたもの の,その分子実体は依然不明のままであった. 1 徳島大学先端酵素学研究所(〒7708503 徳島市蔵本町 318152 徳島大学大学院医歯薬研究科(〒7708503 徳島市蔵本町 31815The Function of EMRE in Mitochondrial Calcium Uptake System Takenori Yamamoto 1, 2 , Mizune Ozono 1, 2 , Akira Watanabe 1, 2 and Akiko Yamada 2 ( 1 Institute of Advanced Medical Sciences, Kuramo- tocho-3, Tokushima 7708503, Japan, 2 Graduate School of Biomedi- cal Sciences, Tokushima University, Kuramotocho-3, Tokushima 7708503, Japan) DOI: 10.14952/SEIKAGAKU.2017.890453 © 2017 公益社団法人日本生化学会 1 ミトコンドリアの Ca 2取り込み機構 A)ミトコンドリアのカルシウムユニポーターとその生理的役 割.(B)カルシウムユニポーターの構成分子. 453 みにれびゅう

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生化学 第 89巻第 3号,pp. 453‒457(2017)

ミトコンドリアのCa2+取り込みに必須のタンパク質EMREの機能解析

山本 武範 1, 2,大園 瑞音 1, 2,渡辺 朗 1, 2,山田 安希子 2

1. はじめに

Ca2+は生体内のさまざまな場面で重要な役割を果たすシグナリングイオンである.その働きは筋収縮や受精に始まり細胞死に至るまで多岐にわたり,“生と死をつかさどるイオン”ということができる.このため,Ca2+の細胞内濃度は厳密に制御されている.真核細胞において最も重要なCa2+レギュレーターの一つはミトコンドリアであるが,そのCa2+濃度調節に関わるメカニズムは最近までほとんどわかっていなかった.ミトコンドリアによる細胞内Ca2+濃度の調節機構の中核となるのはミトコンドリアへのCa2+取り込みを行うカルシウムユニポーターによる単輸送機構である.50年以上にわたり不明であったカルシウムユニポーターを構成する分子群がここ5年ほどの間に続々と同定された.これにより,カルシウムユニポーターはポア形成サブユニットとそれに結合する複数の調節サブユニットによって構成されることがわかってきた.関連分子の同定により,この複合体がどのようにCa2+を取り込んでいるのか,さらにはなぜその取り込み機構が細胞や多くの器官の機能に重要なのか,といったより深い疑問に対してアプローチが可能になった.本稿では,筆者らが最近明らかにした知見を踏まえながら,カルシウムユニポーターがCa2+を取り込む分子機構を中心に最新の動向を紹介する.

2. ミトコンドリアカルシウムユニポーター

ミトコンドリアとCa2+に関する研究は,1960年代に複数の研究グループが動物組織から高純度に精製したミト

コンドリアがCa2+を取り込み内部に保持する性質を持つことを報告したことに始まる 1).このCa2+の取り込みは一部の真菌を除く広い生物種のミトコンドリアで観察され,進化の過程を通じたその重要性が認識されてきた.その後,この取り込みはミトコンドリア内膜を介した膜電位を駆動力として起こり,他の陰イオンや陽イオンとの交換を必要としないことが示され,この輸送を担保する分子は“カルシウムユニポーター”と呼ばれるようになった 2)(図1A).カルシウムユニポーターはミトコンドリア外のCa2+

濃度が低いときにはCa2+取り込み活性を示さず,ミトコンドリア外Ca2+濃度が高いと(>10 µM)と取り込み活性を示す,というユニークな性質を持ち,このシグモイド型のCa2+応答性から複数のタンパク質によって構成されると考えられていた.2004年,ミトプラストに対する電気生理学的解析によって,高いCa2+選択性とコンダクタンスが確認されたことから 3),このカルシウムユニポーターはチャネル性の輸送様式を持つことが明らかにされたものの,その分子実体は依然不明のままであった.

1 徳島大学先端酵素学研究所(〒770‒8503 徳島市蔵本町3‒18‒15)2 徳島大学大学院医歯薬研究科(〒770‒8503 徳島市蔵本町3‒18‒15)The Function of EMRE in Mitochondrial Calcium Uptake SystemTakenori Yamamoto1, 2, Mizune Ozono1, 2, Akira Watanabe1, 2 and Akiko Yamada2 (1 Institute of Advanced Medical Sciences, Kuramo-tocho-3, Tokushima 770‒8503, Japan, 2 Graduate School of Biomedi-cal Sciences, Tokushima University, Kuramotocho-3, Tokushima 770‒8503, Japan)DOI: 10.14952/SEIKAGAKU.2017.890453© 2017 公益社団法人日本生化学会

図1 ミトコンドリアのCa2+取り込み機構(A)ミトコンドリアのカルシウムユニポーターとその生理的役割.(B)カルシウムユニポーターの構成分子.

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カルシウムユニポーターの生理的役割に関しては古くから多くの報告がなされている.1980年代には,カルシウムユニポーターを介してミトコンドリアのマトリックス内に取り込まれたCa2+がマトリックス内に存在する3種類のデヒドロゲナーゼを活性化して代謝調節に関わることが報告された 4).その後,カルシウムユニポーターは細胞質のカルシウムウェーブ(Ca2+濃度上昇の伝播)に影響を与えることも明らかにされた 5).さらに,カルシウムユニポーターを介してミトコンドリア内に過剰なCa2+が取り込まれた場合には,ミトコンドリア内膜の物質透過性が上昇する現象(透過性遷移)が誘起され,これが細胞死の引き金を引くこともわかった 6).透過性遷移は虚血再灌流障害やウルリッヒ型筋ジストロフィー症をはじめとする疾患の原因とされ,カルシウムユニポーターはこれらの疾患の治療標的としても注目されている.

3. カルシウムユニポーターの分子機構

カルシウムユニポーターの生理的な役割に関する研究が進展する一方で,カルシウムユニポーター自体がCa2+を取り込む分子機構の理解は長らく停滞していた.状況が進展する契機となったのは,ミトコンドリアを構成するタンパク質のデータベースMitoCarta(2008年)の公開であった.MitoCartaを元に,2010年V. Mootha博士らは,ミトコンドリアのCa2+取り込み能を持たない酵母とCa2+取り込み能を持つトリパノソーマの間でミトコンドリアを構成するタンパク質群を比較することにより,mitochondrial calci-um uptake 1(MICU1)を同定した 7).このMICU1の同定を皮切りに,mitochondrial calcium uniporter(MCU)8, 9),またそれらのパラログである,MICU210), MICU310), MCUb11),さらに,2012年にはmitochondrial calcium uniporter regulator 1(MCUR1)12),2013年には essential MCU regulatory ele-ment(EMRE)といった関連分子が次々と同定された 13).これらの中で中枢神経系選択的に存在するMICU3以外のすべてのサブユニットは全身に存在している.現在,カルシウムユニポーターは6~7種のサブユニットで構成された複合体チャネルとして機能していると考えられている(図1B).これまでの解析により,2回膜貫通型タンパク質であるMCUがオリゴマー化してチャネル孔を形成し,他のサブユニットがそのチャネル孔の開閉を調節していると考えられているが,個々のサブユニットの機能に関してはいまだ不明な点が多く残されている.現在見つかっている分子がサブユニットのすべてであるかは不明であるが,これらの分子群には生体内に存在する既知のカルシウムイオンチャネルとの構造的な類似性が認められない.このことから,カルシウムユニポーターは新規のカルシウムイオンチャネルであると考えられ,その構造機能相関に興味が持

たれる.

4. Ca2+取り込みに必須なサブユニットの最小単位

これまでに発見された七つのサブユニットの中で,Ca2+

取り込みに必須なサブユニットはどれであろうか? これまでに,MCUがチャネル孔を構成するという漠然とした認識はあったものの,MCUが単独でCa2+取り込みを行うのか,という疑問は残されたままだった.そこでまず,我々はこの疑問に解答を得ることを試みた.これまで,カルシウムユニポーターの分子機構の研究は特定のサブユニットを欠損させた動物細胞を使って進められてきた.しかし,このアプローチを使って,「Ca2+取り込みにはMCUだけで十分か?」という疑問に答えるには複数の遺伝子の欠損が必要となる上,欠損させた遺伝子の機能が他のサブユニットによって代替される可能性も否定できない.このような弱点を回避するため,我々は酵母に注目した.ミトコンドリアへのCa2+取り込み機能はヒトから真菌まで広く保存されているが,興味深いことに酵母Saccharomyces cerevisiae(以下,酵母)では欠損している.実際,酵母のゲノム上にはカルシウムユニポーターのサブユニット群のオルソログは認められない.この特性を利用し,酵母に哺乳類のカルシウムユニポーターのサブユニットを発現させることにより,特定のサブユニットだけを持つミトコンドリアの調製が可能である.この方法は内在するサブユニットに由来する二次的な影響を受けず,個々のサブユニットの機能を選択的にミトコンドリア上で解析できるという利点を持つ.このような考えのもと,我々は酵母にマウスのカルシウムユニポーターのサブユニットを単独またはさまざまな二つの組合せで発現させ,ミトコンドリアにCa2+取り込み活性が認められるかを調べた.その結果,MCUをはじめ

図2 ミトコンドリアへのCa2+取り込みに必須の因子マウスのカルシウムユニポーターのサブユニットを単独または二つ同時に発現させた酵母からミトコンドリアを単離し,Ca2+

取り込み活性を測定した.野生型酵母のミトコンドリアにカルシウムイオノフォア(ETH129)を添加した際に観察されるCa2+取り込み活性を1.0として相対活性を示した.丸印は発現させた遺伝子を示す.

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とする各サブユニットはいずれも単独ではCa2+取り込み活性を示さなかったが,MCUとEMREを共発現させた場合にのみ顕著なCa2+取り込み活性を示すことが明らかになった(図2).このことは,既知の七つのサブユニットの中で,MCUとEMREの二つがCa2+取り込みを行う最小単位であることを示している 14).

5. ミトコンドリアCa2+取り込みにおけるEMREの役割

MCUとEMREがCa2+取り込みに必須であることがわかったので,次にそれぞれの分子の役割について解析を進めることにした.これまでの知見から,MCUはチャネル孔を形成することが示唆されている.しかしながら,EMREはノックアウトした場合にCa2+取り込み機能が消失することがわかっていたのみで具体的な役割は不明であった.そこで我々は,EMREに焦点をあて,酵母発現系を使ってその構造と機能を調べた 14).

1) EMREの構造機能解析まず,EMREがミトコンドリアでのMCUのタンパク質安定性に寄与する可能性について検討した.その結果,MCUを単独で発現させた場合とEMREと共発現させた場合とで,ミトコンドリアでのMCUの存在量は変化しなかった.したがって,EMREはMCUのタンパク質安定性に寄与する因子ではないと考えられた.一般に,イオンチャネルに存在するいくつかの酸性アミノ酸が,基質となる陽イオンの集積や結合に寄与する.そこで,種間でよく保存されたEMREの酸性アミノ酸について変異体を構築し,Ca2+取り込みに及ぼす影響を調べた.その結果,いずれの変異体を発現させたミトコンドリアも野生型EMREと同等のCa2+取り込み活性を示した.このことは,EMREは直接Ca2+と結合してCa2+取り込みに寄与するのではないことを示唆している.一方で,酸性アミノ酸以外についても,さまざまな変異体を構築して解析を行ったところ,Pro60の変異体(P60A)とSer85-Asn90を欠損した変異体(∆85-90)では,Ca2+取り込みがまったく観察されなくなることがわかった(図3A).

図3 EMREの構造機能解析(A)マウスEMREについてさまざまな変異体を構築し,MCUとともに酵母に発現させた.これら酵母から単離したミトコンドリアへのCa2+取り込み活性を測定した.(B)二つのEMRE変異体(∆85-90とP60A)について,FLAGタグを付加したMCUとの相互作用を,FLAG抗体を使った免疫沈降法により調べた.IP:免疫沈降画分.(C)ミトコンドリアのCa2+取り込みの分子機構モデル.MCUオリゴマーにより形成されたチャネル孔はEMREがないと“閉じた”状態である(左図).EMREはC末端を膜間領域側に配向して内膜に存在し,内膜の両側でMCUと相互作用することにより,MCUが形成するチャネル孔を“開いた”状態に固定する(右図).

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2) EMREとMCUの相互作用の重要性P60Aや∆85-90ではなぜ機能が消失したのであろう

か? EMREはMCUと相互作用するタンパク質として同定されたので,機能を失ったEMRE変異体とMCUとの相互作用に影響がないか免疫沈降法により調べた.その結果,P60Aと∆85-90はいずれもMCUと相互作用しないことが明らかになった.この結果から,ミトコンドリアへのCa2+の取り込みにはEMREとMCUの相互作用が必須であり,その相互作用にはEMREのマトリックス側に位置するPro60と細胞質側に位置するSer85-Asn90が関与することがわかった(図3B).以上の筆者らの解析から,EMREは,1)それ単独では

Ca2+の取り込み活性を持たない,2) MCUの局在やタンパク質安定性に関わる因子ではない,3) Ca2+の集積やイオン種の選択機能に関与しない,4) MCUとの相互作用がCa2+取り込みに必須である,ことを明らかにすることができた.また,変異体解析の結果から,EMREとMCUは内膜を介した両側で相互作用していることが示唆される.この両者の密接な相互作用様式から,MCUがチャネル孔を形成することを前提とするならば,EMREはMCUが形成するチャネル孔を“開孔状態に固定する構造因子”として機能していると考えられる(図3C).

6. おわりに

昨年早くも,NMRと電子顕微鏡を使って,MCUの膜貫通ドメインの立体構造が解明され,MCUが五量体でチャネル孔を形成していることが明らかにされた 15).しかし,明らかになった構造はチャネル孔が狭い“閉じた”状態の構造であった.この結果は,このMCUの立体構造がEMRE非存在下で得られたことを考えると納得できる.逆に,我々が本稿で提唱するように,EMRE存在下であればチャネルが“開いた”構造となるのか,また,その構造の中ではEMREが開孔状態を固定するように存在するのか,という点が興味深い.また,EMREには他の調節サブユニットがMCUに結合する際の“足場”としての機能も示唆されており,現在我々も詳しい解析を行っている.EMREはマルチな機能を持つのかもしれない.ミトコンドリアカルシウムユニポーターの分子機構は構

造の一部が解き明かされたばかりであり,Ca2+取り込みの構造機能相関もさることながら,冒頭で述べたCa2+を取り込む閾値を規定するメカニズム,組織間でCa2+取り込み活性を変えているメカニズム,疾患との関わりなど,興味深い課題が山積している.今後も,ミトコンドリアの

Ca2+取り込みの分子機構に関する理解を深めていきたい.

謝辞本研究は徳島大学先端酵素学研究所蛋白質発現分野で行われた.また,農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業,文部科学省科学研究費補助金基盤研究C,興和生命科学振興財団にご支援いただいた.ここに感謝の意を表する.

文 献

1) Deluca, H.F. & Engstrom, G.W. (1961) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 47, 1744‒1750.

2) Gunter, T.E. & Pfeiffer, D.R. (1990) Am. J. Physiol., 258, C755‒C786.

3) Kirichok, Y., Krapivinsky, G., & Clapham, D.E. (2004) Nature, 427, 360‒364.

4) Denton, R.M. & McCormack, J.G. (1980) Biochem. Soc. Trans., 8, 266‒268.

5) Jouaville, L.S., Ichas, F., Holmuhamedov, E.L., Camacho, P., & Lechleiter, J.D. (1995) Nature, 377, 438‒441.

6) Duchen, M.R. (2000) J. Physiol., 529, 57‒68. 7) Perocchi, F., Gohil, V.M., Girgis, H.S., Bao, X.R., McCombs,

J.E., Palmer, A.E., & Mootha, V.K. (2010) Nature, 467, 291‒296. 8) Baughman, J.M., Perocchi, F., Girgis, H.S., Plovanich, M.,

Belcher-Timme, C.A., Sancak, Y., Bao, X.R., Strittmatter, L., Goldberger, O., Bogorad, R.L., Koteliansky, V., & Mootha, V.K. (2011) Nature, 476, 341‒345.

9) De Stefani, D., Raffaello, A., Teardo, E., Szabò, I., & Rizzuto, R. (2011) Nature, 476, 336‒340.

10) Plovanich, M., Bogorad, R.L., Sancak, Y., Kamer, K.J., Stritt-matter, L., Li, A.A., Girgis, H.S., Kuchimanchi, S., De Groot, J., Speciner, L., Taneja, N., Oshea, J., Koteliansky, V., & Mootha, V.K. (2013) PLoS One, 8, e55785.

11) Raffaello, A., De Stefani, D., Sabbadin, D., Teardo, E., Merli, G., Picard, A., Checchetto, V., Moro, S., Szabò, I., & Rizzuto, R. (2013) EMBO J., 32, 2362‒2376.

12) Mallilankaraman, K., Cárdenas, C., Doonan, P.J., Chandramoor-thy, H.C., Irrinki, K.M., Golenár, T., Csordás, G., Madireddi, P., Yang, J., Müller, M., Miller, R., Kolesar, J.E., Molgó, J., Kaufman, B., Hajnóczky, G., Foskett, J.K., & Madesh, M. (2012) Nat. Cell Biol., 14, 1336‒1343.

13) Sancak, Y., Markhard, A.L., Kitami, T., Kovács-Bogdán, E., Kamer, K.J., Udeshi, N.D., Carr, S.A., Chaudhuri, D., Clapham, D.E., Li, A.A., Calvo, S.E., Goldberger, O., & Mootha, V.K. (2013) Science, 342, 1379‒1382.

14) Yamamoto, T., Yamagoshi, R., Harada, K., Kawano, M., Minami, N., Ido, Y., Kuwahara, K., Fujita, A., Ozono, M., Watanabe, A., Yamada, A., Terada, H., & Shinohara, Y. (2016) Biochim. Bio-phys. Acta, 1857, 831‒839.

15) Oxenoid, K., Dong, Y., Cao, C., Cui, T., Sancak, Y., Markhard, A.L., Grabarek, Z., Kong, L., Liu, Z., Ouyang, B., Cong, Y., Mootha, V.K., & Chou, J.J. (2016) Nature, 533, 269‒273.

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生化学 第 89巻第 3号(2017)

著者寸描●山本 武範(やまもと たけのり)

徳島大学先端酵素学研究所講師.博士(薬学).■略歴 2002年徳島大学薬学部卒業.07年同大学院薬科学教育部博士後期課程修了.07年より同大学ゲノム機能研究センター特任助教.08年疾患ゲノム研究センター助教.13年より疾患プロテオゲノム研究センター講師.16年より現職.

■研究テーマと抱負 主にエネルギー変換の場として知られるミトコンドリアが,実際には細胞の機能や運命をどのように制御しているのかを明らかにしていきたい.■趣味 旅行,剣道,スキューバダイビング.