変形フィン型アンテナの形状検討ryuichi shimogama and koichi sakaguchi...

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変形フィン型アンテナの形状検討 日大生産工(学部) ○下釜 龍一 日大生産工 坂口 一 A Study on the Modified Fin-type Wide-Band Antenna Ryuichi SHIMOGAMA and Koichi SAKAGUCHI 3.結果および検討 1 に示すアンテナ寸での解析結果で 4.110.5GHz で整合が取れている。しか し、Γ型接地板を用いてはいるが最低動作 周数は 4.1GHz である。図 2 に天井部幅 c 変化によるリターンロス特性を示す。 c=3 より幅を広くすると最低動作周数は低く なり、 c が低域側に影響を与えることが分か る。これは c を広くすることにより天井部の エッジにってれる電経路が長くなっ たことが影響を与えている。紙面の都合上 結果は示さないが、天井部の中央部にも電 がれていることを確認している。図 3 に天井部長 a 変化によるリターンロス特性 を示す。図 1 に示すように y 軸の正方向に 天井部長aを長くした結果、給電より接地 1.はじめに 平板を用いたフィン型の広帯域なアンテ ナの研究が進められている [1][2] 。またアンテ ナ高が 10 ㎜を超えていることなどの理由か らアンテナ高を抑えたより小さな形状のア ンテナの研究も進められ、広帯域で動作す るものが報告されている [3] 。しかし広帯域な 特性を持つが最低動作周数は 4.4GHz あり、 UWB アンテナに求められる動作周 数範囲とはなっていない。本稿では変形フ ィン型アンテナの形状を検討し、最低動作 周数を含め動作周数範囲の改善を行 う。また携帯機器等への応用を視野に入れ、 接地板形状についても検討し、広帯域な特 性を維持しつつ接地板を含めた小形化を検 討した。 2.アンテナ構成および解析方 1 にアンテナ構成と座標を示す。本稿 では、Γ型に折り曲げた幅 W、長さ L、高 H の接地板上面に天井部 a×c を持つ形状 のアンテナ素子を h 部で接地し、アンテナ 素子幅 e の接地板と平行なギャップ部 f のア ンテナ素子端から i の位置にて給電を行う。 Γ型接地板(逆 L 接地板)にすることでア ンテナ素子だけではなく、接地板のエッジ 部分にも多少の電がれており、適切な 接地板寸のΓ型接地板を用いることで小 形かつ広帯域で整合が取れる。解析にはモ ーメントを用いた。 a=15 b=8 c=3 d=2 e=7 f=1 g=7 h=3 i=5 W=7 L=50 H=10〔mm〕 1 アンテナ構成 -日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)- 85 2-25

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  • 変形フィン型アンテナの形状検討

    日大生産工(学部) ○下釜 龍一

    日大生産工 坂口 浩一

    A Study on the Modified Fin-type Wide-Band Antenna

    Ryuichi SHIMOGAMA and Koichi SAKAGUCHI

    3.結果および検討

    図 1 に示すアンテナ寸法での解析結果で

    は 4.1~10.5GHz で整合が取れている。しか

    し、Γ型接地板を用いてはいるが最低動作

    周波数は 4.1GHz である。図 2 に天井部幅 c

    変化によるリターンロス特性を示す。c=3 ㎜

    より幅を広くすると最低動作周波数は低く

    なり、c が低域側に影響を与えることが分か

    る。これは c を広くすることにより天井部の

    エッジに沿って流れる電流経路が長くなっ

    たことが影響を与えている。紙面の都合上

    結果は示さないが、天井部の中央部にも電

    流が流れていることを確認している。図 3

    に天井部長 a 変化によるリターンロス特性

    を示す。図 1 に示すように y 軸の正方向に

    天井部長aを長くした結果、給電より接地

    1.はじめに

    平板を用いたフィン型の広帯域なアンテ

    ナの研究が進められている[1][2]。またアンテ

    ナ高が10㎜を超えていることなどの理由か

    らアンテナ高を抑えたより小さな形状のア

    ンテナの研究も進められ、広帯域で動作す

    るものが報告されている[3]。しかし広帯域な

    特性を持つが最低動作周波数は 4.4GHz で

    あり、UWB アンテナに求められる動作周波

    数範囲とはなっていない。本稿では変形フ

    ィン型アンテナの形状を検討し、最低動作

    周波数を含め動作周波数範囲の改善を行

    う。また携帯機器等への応用を視野に入れ、

    接地板形状についても検討し、広帯域な特

    性を維持しつつ接地板を含めた小形化を検

    討した。

    2.アンテナ構成および解析方法

    図 1 にアンテナ構成と座標を示す。本稿

    では、Γ型に折り曲げた幅 W、長さ L、高

    さHの接地板上面に天井部a×cを持つ形状

    のアンテナ素子を h 部で接地し、アンテナ

    素子幅 eの接地板と平行なギャップ部 fのア

    ンテナ素子端から i の位置にて給電を行う。

    Γ型接地板(逆 L 接地板)にすることでア

    ンテナ素子だけではなく、接地板のエッジ

    部分にも多少の電流が流れており、適切な

    接地板寸法のΓ型接地板を用いることで小

    形かつ広帯域で整合が取れる。解析にはモ

    ーメント法を用いた。

    a=15 b=8 c=3 d=2 e=7 f=1 g=7 h=3 i=5 W=7 L=50 H=10〔mm〕

    図 1 アンテナ構成

    -日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)-

    ― 85 ―

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  • 素子に流れる電流の経路長が長くなり、最

    低動作周波数が低域に移動した。しかし、

    a=17㎜以上にしたところ最低動作周波数は

    より低域に移動するが4~6GHz帯のリター

    ンロス特性が悪くなり整合が取れなくなっ

    た。これは、a を長くしたためにエッジ以外

    へ流れる電流が多くなったのが原因と考

    え、現在検討中である。図 4 に接地素子位

    置 g 変化のリターンロス特性を示す。給電

    から接地された素子部 h までの電流経路長

    の影響により g の位置を適切に決めること

    で最低動作周波数が低域に移動し、本稿の

    場合では g=0 が良い。図 5 に接地素子位置

    g=0 の時の放射特性を示す。周波数変化によ

    る放射への影響が少ないことが確認され

    た。また xy 面での利得変化は少なく、ほぼ

    無指向性の放射特性が得られているため水

    平面でのアンテナ使用が適切である。また g

    の位置は利得に変化は与えないことを確認

    している。

    4.まとめ

    Γ型接地板を含めた変形フィン型アンテ

    ナを提案し、広帯域で動作することを確認

    した。なお、今回の形状では a=15、c=3、

    g=0[㎜]とすることで、リターンロス-10dB

    以下の帯域、3.8~11GHz が得られている。

    今後は今回の結果を基に形状の検討を行

    い、広帯域を保ちながら、さらに最低動作

    周波数の改善を行いっていく。

    参考文献

    [1]坂口:“フィン型広帯域アンテナ”,2006

    年電子情報通信学会ソサイエティ大会,

    BS-1-10

    [2]宮崎,坂口:“有限地板上フィン型広帯域ア

    ンテナ”,2007 年電子情報通信学会ソサイエ

    ティ大会,B-1-97

    [3]宮崎,坂口,松原:“変形フィン型アンテナ”,

    2009 年電子情報通信学会総合大会,B-1-177

    図 2 リターンロス特性(天井部幅 c変化)

    図 3 リターンロス特性(天井部長 a 変化)

    図4 リターンロス特性(接地素子位置g変化)

    図 5 放射特性(xy 面、Eθ成分)

    4 6 8 10-40

    -30

    -20

    -10

    0

    周波数[GHz]

    リターンロス[dB]

    天井部幅 c=1 c=2 c=3 c=4 c=5[㎜]

    4 6 8 10-40

    -30

    -20

    -10

    0

    周波数[GHz]

    リターンロス[dB]

    接地素子位置 g=7 g=0 g=2 g=4 g=6[㎜]

    4 6 8 10-40

    -30

    -20

    -10

    0

    周波数[GHz]

    リターンロス[dB]

    天井部長 a=15 a=17 a=21 a=25[㎜]

    θ=0°180°

    10[dBi]

    -10

    -20

    0

    90°

    -30

    270°

    36911[GHz]

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