体を動かすTV

− 1 −

▼

高校講座・学習メモ

テレビ学習メモ

“アルティメット”ってどんなスポーツ !?

フライングディスク競技の一つとして人気を集める “アルティメット ”は、英語で「究極」という意味です。

まずは、準備運動から！

アルティメットは全身運動です。一般的な準備運動のほかに、キャッチ＆スローで使う手首や肘ひじ

、肩関節などのストレッチで筋肉や関節をほぐしておきましょう。また、ゲームでは、ダッシュや切り返しの動きが多くなるので、足首や膝

ひざ

、股関節のストレッチも忘れずに行ってください。

投げ方のコツ　～フォアハンド～

■フォアハンドのときのディスクの握り方⃝ディスクの表面に親指、裏面に人差し指と中指となるように、3本の指でつまむようにしてディスクを持ちます。そのとき、親指の付け根はディスクに密着させ、中指の腹をディ

スクのリム（へり）の内側につけ、人差し指は中指とそろえます。２本の指をそろえることで力が入りやすくなり、強い回転をかけやすくなります。薬指はディスクのリムに付けると、投げる瞬間のディスクの角度

このアルティメットは、「ダイ・ハード」や「マトリックス」などの映画プロデューサーとして知られるジョエル・シルバーが高校生のとき（1967年）に考案しました。最初のゲームは、アメリカ・ニュージャージー州のコロンビア高校で行われたといわれています。現在、世界フライングディスク連盟（IOC公認団体）には 62か国が加盟し、2024

年のオリンピック種目入りを目指しています。世界の競技人口は15万人にのぼり、この10年間で約4倍になっています。日本における競技者数は約4,000人（約200チームが登録されている）で、そのうち約 2,800 人が大学生です。ユース世代（小・中・高校生部門）を対象にした公式大会「全国ユースアルティメット選手権大会」も2014年度から開催されており、2016年の世界ジュニアアルティメット選手権大会（19歳以下）ポーランド開催も決まり、若い世代の活躍が期待されています。みなさんもぜひアルティメットの魅力を体感してみてください。

本田雅一日本フライングディスク協会副会長

アルティメット体育

− 2 −

▼

高校講座・学習メモ

体を動かすTV アルティメット

を固定しやすくなります。⃝ただし、手の小さい人やどうしてもディスクの握り方が安定しない人は……、人差し指と中指でV字を作りディスクの裏側を支えるような握り方で投げるとよいでしょう。このとき、

⃝手の向きは手のひらが投げる方向を向くようにし、手首を前後に振るとき常に親指が上で小指が下になるようにします。

⃝肘と手首の真ん中が支点になるように肘から先を前後に動かします。（肘をスナップの瞬間に急に止めるか、後ろに下げると手首のスナップを利かせやすくなる）

⃝スナップのときに中指でディスクのリムの内側を押す（弾く）イメージができれば、ディスクに強い回転をかけることができます。

＜ねらった位置に投げるコツ＞バックハンド同様に、ディスクの「①回転　②推進力　③角度　④方向」によってディスク

をコントロールします。　　　　　　　※バックハンドの投げ方は、“ディスクゴルフ ”の回を参考に！①中指の腹でしっかりとディスクのリムを押してディスクに回転をかける。②初心者のうちは肘から先の力で投げる。野球のボールを投げるときのように、腕を大きく振りまわさないようにする。

③ディスクの角度は、地面と平行かやや外側を下げるように投げ出す。④ストレート、カーブスロー、距離など目標に到達する方向を考えて投げるようにする。

中指の腹はディスクのリムの内側につけます。

■フォアハンドのときの投げ方のコツ＜構え方＞⃝足は肩幅程度に開きます。⃝体の向きは、最初は、投げる方向に対してやや斜めに立ちます（利き手側の足が後ろになる）。まっすぐに投げられるようになってきたら、体の向きは真正面に立つようにする。

⃝投げる前に、手首のスナップを使うための素振りをするとよいでしょう。

＜投げ方＞⃝肩から肘までは体にそって自然に下げます。⃝肘から手首までを体（腕）と直角にします。

− 3 −

▼

高校講座・学習メモ

体を動かすTV アルティメット

＜フォアハンドの注意点＞⃝ディスクがカーブしてしまうときは（右利きの人は左にカーブする傾向がある）、投げ出す際にディスクの外側（体から遠いほう）を下げて投げるとまっすぐに飛びます。

⃝体の軸、腕、手首の角度を変えることで、ディスクを投げ出す角度を調節してみてください。⃝テイクバックからディスクを投げ出すまで、ディスクの角度を保つようにすることが大切です。

ディフェンスのかわし方のコツ　～ピボット＆フェイク～

投げるときにディフェンスをかわすためには、ピボットとフェイクを使いましょう。　ピボット……右足を大きく踏み込んで体の遠くから投げる動作をすることでディフェンス

を左右に動かす（このとき、軸足は動かすことができない）。　フェイク……投げる動作の高さの変化（高いところや地面すれすれの低いところ）や速さ

のタイミングを変えてフェイク（相手の裏をかくように）し、ディフェンスの体勢を崩す。

キャッチのコツ

＜手の形＞⃝体の正面でキャッチするようにします。⃝両手で上下から挟んでキャッチをします（キャッチする直前に、上下の手で三角形を作るイメージで！）。

＜走りこんでキャッチするとき＞⃝ディスクのスピード、高さ、角度から、落下地点を予測して先回りして走るようにしましょう。⃝カーブスローのときにはディスクを追いかけるのではなく、ディスクの軌道とは反対側に少し膨らみながら落ちてくるディスクに対して正面に入り込むように走るのがコツです。

上手なディフェンスのコツ

　マーカー（スローワーのディフェンス）は……　腰を少し下げサイドステップでスローワー（ディスクを投げるプレーヤー）のピボットに対応する。　フェイクにつられないように体の重心を真ん中に保つようにする。

① ② ③

− 4 −

▼

高校講座・学習メモ

体を動かすTV アルティメット

　ディフェンス（レシーバーのディフェンス）は……スローワーとレシーバー（自分のマークしている選手）の両方を見ることができる位置に

ポジショニングする。相手がどこにパスを投げたいかを予想して、最も狙っているところに投げさせないような

ポジショニングをとる。

チームプレーをするうえでのコツ

■オフェンスのとき　　ポジション（選手の役割）を決めよう！

「QB（クォーターバック）」……最初にパスを投げる選手でオフェンスの司令塔。

「ハンドラー」……QB同様にパス技術に優れ、ゲームのリズムを作れる選手。

「ミドル」……縦の動きでパスをつなぎ、ロングパスをエンドゾーンでキャッチしたり、高さや競り合いに強い選手。

⃝ポジションを決めることで、QBからハンドラー、ミドルへとパスをつなぐ流れを作ることができます。ポジションを決めていないと、何人もが同じタイミングで同じ方向にパスをもらいに行ったり、ゴールに走ったりすることになってしまうので注意しましょう。⃝パスをもらう順番ではない選手は、ディスクの近くに立ち止まらずに自分をマークしているディフェンスを引き連れながらスペースを作るようにします。これは、レシーバーがマークを振り切ってもほかの選手がそのスペースにいると、ほかのディフェンスにパスカットされてしまうからです。

■ディフェンスのとき　　声を出して動きを知らせよう！⃝例えば、マーカーがスローワーのバックハンド側をカバーしているか、あるいはフォアハンド側をカバーしているかを仲間に知らせましょう。この声によって、レシーバーのディフェンス選手の立ち位置が決まってきます。

⃝パスを通されたとき、レシーバーに振り切られたときなども声をかけ合いましょう。複数の選手が連携することで相手の動きを止めることができます。

− 5 −

▼

高校講座・学習メモ

体を動かすTV アルティメット

ルール

アルティメットは、自己審判制（セルフジャッジ）で試合を行います。常に、フェアでクリーンなプレーを心がけてください。

＜基本ルール＞▶1チームは5〜 7人。ワールドゲームズでは13点先取したチームの勝利。ただし、自分たちで得点や時間を決めて行ってもよい。

▶身体接触は禁止。▶得点が入る度にコートチェンジをする（ディスクは風向きに影響を受けやすいので）。▶ディフェンスチームのスローオフで試合開始。▶オフェンスチームはディスクをパスしながらエンドゾーンを目指す。▶相手側に攻撃権が移る（攻守交代）ときは、パスを落とす、ディフェンス選手にインターセプトされる（奪われる）、もしくはフィールド外にディスクが出てしまった場合。

＜オフェンス＞▶エンドゾーンでキャッチすると得点（1点）。▶ディスクを持って歩いてはいけない（トラベル）。▶ディスクを持ったら10秒以内にパスする（ストールアウト）。

＜ディフェンス＞▶各ターン開始時にスローオフを投げる。▶ディスクを持っているオフェンス選手に対して10秒数える（ストールカウント）。▶ディスクを持っているオフェンス選手に対して 2人以上でディフェンスをしてはいけない（ダブルチーム）。

⃝日本フライングディスク協会ＨＰ　　http://www.jfda.or.jp/