フレッツ・adslのインタフェース 第2版フレッツ・adslでは、図1.2及び図1.3...

38
技術参考資料 フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版 東日本電信電話株式会社 本資料の内容は、機能追加などにより追加・変更されることがあります。 なお、内容についての問い合わせは、下記宛にお願い致します。 東日本電信電話株式会社 営業部 IP ネットワーク推進室

Upload: others

Post on 27-Feb-2021

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

技術参考資料

フレッツ・ADSLのインタフェース

第2版

東日本電信電話株式会社

本資料の内容は、機能追加などにより追加・変更されることがあります。

なお、内容についての問い合わせは、下記宛にお願い致します。

東 日 本 電 信 電 話 株 式 会 社

営業部 IP ネットワーク推進室

Page 2: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 1 -

目 次

まえがき....................................................................................................................................2

1. 概要 .....................................................................................................................................3 1.1 用語の定義 ........................................................................................................................3 1.2 フレッツ・ADSL の概要 ....................................................................................................5 1.2.1 タイプ構成 ...................................................................................................................5 1.2.2 通信の概要 ...................................................................................................................5

1.3 インタフェース規定点 ........................................................................................................7 1.4 端末設備と電気通信回線設備の分界点 ................................................................................7 1.5 施工・保守上の責任範囲 ....................................................................................................8 1.6 プロトコル構成 ..................................................................................................................9

2. 伝送路インタフェース仕様 ...........................................................................................10

2.1 概要 ................................................................................................................................10

3. ユーザ・網インタフェース仕様 ...................................................................................11

3.1 概要 ................................................................................................................................ 11 3.2 物理レイヤ(レイヤ 1)仕様 ............................................................................................ 11 3.2.1 インタフェース条件 .................................................................................................... 11 3.2.2 適用ケーブル .............................................................................................................. 11

3.3 データリンクレイヤ(レイヤ 2)仕様 ...............................................................................12 3.3.1 PPPoE 仕様 ...............................................................................................................12

3.3.1.1 PPPoE の概要 .................................................................................................12 3.3.1.2 PPPoE のフレーム構成 ....................................................................................12 3.3.1.3 ディスカバリステージ ......................................................................................14 3.3.1.4 PPP セッションステージ .................................................................................25 3.3.1.5 PPPoE セッション数制限 .................................................................................26

3.3.2 PPP 仕様 ...................................................................................................................27 3.3.2.1 PPP の概要 .....................................................................................................27 3.3.2.2 PPP プロトコル識別子.....................................................................................27 3.3.2.3 LCP ................................................................................................................28 3.3.2.4 IPCP...............................................................................................................29

3.4 ネットワークレイヤ(レイヤ 3)仕様 ...............................................................................30 3.4.1 IP アドレス ................................................................................................................30

3.5 上位レイヤ(レイヤ 4~7)仕様 .......................................................................................30

4. 通信シーケンス ...............................................................................................................31

4.1 通信シーケンス ................................................................................................................31 4.1.1 接続シーケンス ..........................................................................................................32 4.1.2 切断シーケンス ..........................................................................................................33 4.1.3 認証失敗シーケンス ....................................................................................................34 4.1.4 強制切断シーケンス ....................................................................................................35

5. タイマ及びカウンタ .......................................................................................................36 5.1 PPP 通信用タイマとカウンタ...........................................................................................36

Page 3: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 2 -

まえがき

本技術参考資料は、IP 通信網とこれに接続する端末機器とのインタフェース条件について説明した

もので、端末機器を設計、準備する際の参考となる技術的情報を提供するものです。東日本電信電話

株式会社(以下、NTT 東日本)は、この資料の内容によって通信の品質を保証するものではありませ

ん。

本資料では、フレッツ・ADSL のインタフェース条件を説明します。その他の IP 通信網サービス

については、該当する技術参考資料を参照してください。本資料中で参照する技術参考資料は特にこ

とわりの無い限り、日本電信電話株式会社(以下、NTT)または NTT 東日本が提供する最新版を示

します。

また、IP 通信網に接続される端末設備が必ず適合しなければならない技術的条件は、NTT 東日本

の「端末設備等の接続の技術的条件」に定められています。

今後、本資料は、インタフェースの追加、変更などにより、予告なく変更される場合があります。

Page 4: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 3 -

1. 概要

1.1 用語の定義

ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)

既設の電話用メタリックケーブル上の高速デジタル伝送方式で、上り方向と下り方向の伝送

速度が非対称である方式です。

ATM(Asynchronous Transfer Mode)

セルを情報転送単位とする転送モードです。1 ユーザからの有効な情報を転送するセル出現

が必ずしも同期的でないことから非同期転送モードと呼びます。

ATU-R(ADSL Transceiver Unit at the Remote terminal end)

契約者宅に設置する ADSLモデムです。

DIX 規格

Ethernet の規格。今日、普及している Ethernet はこの EthernetVer2.0 です。

Ethernet

CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)メディアアクセス方式に従

った信号の送受を行うネットワークの媒体です。

IEC(International Electrotechnical Commission)

国際電気標準会議。電気、電子、通信などの分野で各国の規格、標準の調整を行う国際的機

関です。1947 年以降から ISO の電気・電子部門を担当しています。

IP(Internet Protocol)

ネットワークレイヤにおけるインターネットの標準的な通信プロトコルで、データグラムの

道筋を決めるルート決定等を行うものです。

IP アドレス

32 ビットのバイナリデータで、IP を用いて通信する必要がある機器に割り当てられます。

IP データグラム

IP で扱われるメッセージ転送単位です。

ISO(International Organization for Standardization)

国際標準化機構。1946 年に設置された、商品に関する国際標準をつくることを目的とした国

際的機関です。

Page 5: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 4 -

MAC(Media Access Control)

媒体アクセス制御。データリンク層でのフレーム送出方法、フレームフォーマット、誤り検

出等を規定しています。

MAC アドレス(MAC Address)

データリンク層で MAC を用いてフレームを送受信する際に使用されるアドレスです。MAC

アドレスは、Ethernet カード等が固有の値として持ちます。

MRU(Maximum Receive Unit)

最大転送単位。所定のネットワークに受信することができるデータグラムの最大量を示しま

す。

MTU(Maximum Transfer Unit)

最大転送単位。所定のネットワークに送信することができるデータグラムの最大量を示しま

す。

OSI 参照モデル(Open Systems Interconnection)

データ通信を体系的に整理し、異機種相互間の接続を容易にするために ISO が共通する枠組

みを定めたモデルです。

PPP(Point-to-Point Protocol)

2地点間の通信に使用するプロトコルであり、専用線で接続を行うルータ間やダイヤルアッ

プ接続を行う PC(パーソナル・コンピュータ)等で使用されます。

PPPoE(PPP over Ethernet)

Ethernet 上で PPP を使用するためのプロトコルです。

RFC(Request For Comments)

TCP/IP に関連するプロトコルやオペレーションの手順などを定めた標準勧告文書です。 IAB

(Internet Activities Board)が管理、発行しています。

スプリッタ

周波数多重された加入電話の信号と ADSL 信号を電気的に分離するためのフィルタです。

ITU-T G.992.1 において仕様が標準化されています。

Page 6: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 5 -

1.2 フレッツ・ADSLの概要

1.2.1 タイプ構成

フレッツ・ADSLのタイプとスプリッタの設置、通信速度について表 1.1 に示します。

表 1.1 各タイプとスプリッタ設置、通信速度

タイプ スプリッタ 通信速度

利用回線型 設置

契約者回線型 無し

上り(端末機器等→IP 通信網)最大 512Kbps

下り(IP 通信網→端末機器等)最大 1.5Mbps

(注1)通信速度については、最大伝送速度(ATM セルヘッダを含みます)を

規定しています。また、回線の状態、同一回線収容設備に接続されてい

る他の契約者の利用状況等によって異なります。

ADSL 区間において、回線の状態が悪化した場合、自動的に最適な速

度変更の調整が行われ、その際に一時的に通信が途絶える場合がありま

す。

1.2.2 通信の概要

フレッツ・ADSL は、上り最大 512Kbps、下り最大 1.5Mbps のベストエフォート型 IP 通信サービス

です。フレッツ・ADSL を利用する端末機器等(以下、端末機器)は、電気通信事業者等と IP 通信網

を介して IP 通信を行います。フレッツ・ADSLの基本構成を図 1.1 に示します。

(注 2)契約者回線型の場合は、スプリッタ、加入電話端末機器、電話網は構成に含まれません。

図 1.1 フレッツ・ADSLの基本構成

電気通信 事業者等

電気通信 事業者等

ATU-R

回線 収容 設備

端末機器 スプリッタ

IP通信網 スプリッタ

電話網

加入電話 端末機器

Page 7: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 6 -

以下に、端末機器と電気通信事業者等との間の通信開始から終了までの概要を示します。

(1)端末機器は、認証情報を含む接続要求を IP 通信網に送信します。認証情報には、ユーザ ID

とパスワード、接続先として選択した電気通信事業者等の情報等を含みます。

(2)IP 通信網は、認証情報を選択された電気通信事業者等に送信します。

(3)電気通信事業者等から IP 通信網に返信される認証結果が成功の場合、端末機器は接続され、

IP 通信が可能となります。認証結果が失敗の場合、端末機器からの接続要求は拒否され、IP

通信は開始しません。

(4)通信を終了するには、端末機器は切断要求を IP 通信網に送信します。IP 通信網は切断要求

によって接続を切断します。

Page 8: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 7 -

1.3 インタフェース規定点

フレッツ・ADSL では、図 1.2及び図 1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ

ンタフェース(LI)を規定します。ただし、ユーザ・網インタフェースについては NTT 東日本が ATU-R

を提供する場合に限り規定します。

図 1.2 利用回線型のインタフェース規定点

(注 3)スプリッタの電話側のインタフェース条件は「電話サービスのインタフ

ェース」及び「端末設備等規則」(昭和 60 年郵政省令 31 号)別表 3 号を

参照してください。

図 1.3 契約者回線型のインタフェース規定点

1.4 端末設備と電気通信回線設備の分界点

端末設備と電気通信回線設備との分界点について図 1.4、図 1.5 に示します。

図 1.4 利用回線型の分界点

図 1.5 契約者回線型の分界点

伝送路インタフェース規定

ユーザ・網インタフェース規定点

加入者線UNI

端末機器 ATU-R 保安器又 は配線盤

伝送路インタフェース規定点 ユーザ・網インタフェース規定点

LI

加入者線

UNI 端末機器 ATU-R

スプリッタ 保安器又

は配線盤 端末機器(電話)

LI

(注3)

電気通信設備端末設備等

加入者線

UNI 端末機器 ATU-R

スプリッタ保安器又

は配線盤 端末機器(電話)

LI

加入者線UNI

端末機器 ATU-R 保安器又

は配線盤

LI

電気通信設備端末設備等

Page 9: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 8 -

1.5 施工・保守上の責任範囲

施工・保守上の責任範囲について代表的な例を図 1.6、図 1.7 に示します。

A:NTT 東日本が保安器等までを提供する場合・・・責任範囲(1)になります。

B:NTT 東日本が ATU-Rまでを提供する場合・・・責任範囲(2)になります。

図 1.6 利用回線型の施工・保守上の責任範囲

図 1.7 契約者回線型の施工・保守上の責任範囲

(注 4)ATU-R 等を NTT 東日本が提供する場合であってもユーザにて施工することが

可能です。その際、施工上の責任範囲は責任範囲(1)になります。

責任範囲( 1)

責任範囲( 2)

加入者線

UNI

端末機器 ATU-R

スプリッタ 保安器又 は配線盤

端末機器(電話)

LI

責任範囲(1)

責任範囲( 2)

加入者線

UNI

端末機器 ATU-R 保安器又 は配線盤

LI

Page 10: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 9 -

1.6 プロトコル構成

プロトコル構成は、表 1.2 に示す OSI 参照モデルに準拠した階層構成となっています。

表 1.2 プロトコル構成

レイヤ 使用するプロトコル

7 アプリケーション

6 プレゼンテーション

5 セッション

4 トランスポート

3 ネットワーク RFC791(IP)

RFC792(ICMP)

RFC1332、RFC1877(IPCP)

RFC1661(PPP)

RFC1334(PAP) RFC1994(CHAP)

RFC2516(PPPoE)

2 データリンク

DIX 規格 Ethernet Ver.2

1 物理 ISO/IEC8802-3 標準(10BASE-T)

Page 11: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 10 -

2. 伝送路インタフェース仕様

2.1 概要

本章では、フレッツ・ADSL の伝送路インタフェース(LI)について説明します。伝送路インタフ

ェースを図 2.1、図 2.2 の通りに規定します。

フレッツ・ADSL の伝送路インタフェースは、ITU-T 標準の G.992.2 Annex Cに準拠します。ただ

し、ATU-R 及びスプリッタは、インタオペラビリティが確立するまでの間は NTT が調達手続きに基

づいて選定した機器にて提供します。

図 2.1 利用回線型の伝送路インタフェースの規定点

図 2.2 契約者回線型の伝送路インタフェースの規定点

伝送路インタフェース(LI)

加入者線(2W)

スプリッタ

保安器

又は 配線盤

配線設備(2W)

伝送路インタフェース(LI)

加入者線(2W)

ATU-R

保安器

又は 配線盤

配線設備(2W)

Page 12: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 11 -

3. ユーザ・網インタフェース仕様

3.1 概要

本章では、フレッツ・ADSL のユーザ・網インタフェースについて説明しています。ユーザ・網イ

ンタフェースにおいて使用するプロトコル構成は、表 1.2 を参照してください。

3.2 物理レイヤ(レイヤ 1)仕様

レイヤ1では、ISO/IEC8802-3 に規定されている 10BASE-T 半二重をサポートする必要があります。

詳細については、ISO/IEC8802-3 標準 10BASE-T を参照してください。

3.2.1 インタフェース条件

ユーザ・網インタフェースは、ISO8877準拠の 8 極モジュラジャックである RJ-45 ポートです。モ

ジュラジャックの挿入面から見た RJ-45 ポートのピン配置を図 3.1 に示します。

信号方向記号

端末機器 IP 通信網ピン番号

TD(+) 1送信 TD(-) 2

RD(+) 3受信 RD(-) 6

RJ-45 ポート挿入面

※ピン番号 4、5、7、8 は使用しません

ピン番号 1 8765432

図 3.1 挿入面から見た RJ-45 ポートのピン配置

3.2.2 適用ケーブル

モジュラジャックと接続する端末機器との配線は、2 対の非シールドより対線ケーブル(UTP ケー

ブル カテゴリ 3 以上)を使用します。

Page 13: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 12 -

3.3 データリンクレイヤ(レイヤ 2)仕様

レイヤ 2 では、10BASE-T、Ethernet Ver.2、PPP、PPPoE、CHAP、PAP、IPCP を使用します。使用

するプロトコルについての詳細は、ISO/IEC8802-3 標準 10BASE-T、DIX規格 Ethernet Ver.2、表 1.2内

の該当する RFC を参照してください。

3.3.1 PPPoE 仕様

3.3.1.1 PPPoE の概要

PPPoEは、Ethernet 上の端末機器([3.3.1 PPPoE仕様]では以下、ホスト)がAccess Concentrator

([3.3.1 PPPoE 仕様]では以下、AC)(注 1)と PPP セッションを構築するプロセスを規定してお

り、以下の 2 つのステージを持っています。

(1) ディスカバリステージ(Discovery stage)

PPP セッションを確立する相手の MACアドレスを特定し、PPPoEセッション ID の設定を行

い、PPPoEセッションの確立を行うステージです。

(2) PPP セッションステージ(PPP Session stage)

PPP セッションを確立し、IP 通信を行うステージです。

(注 1)フレッツ・ADSLにおいて AC の機能は IP 通信網に含まれています。

3.3.1.2 PPPoE のフレーム構成

PPPoEのディスカバリステージ及びPPP セッションステージで利用する Ethernetフレームのフォー

マットを図 3.2 に示します。

1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5

DESTINATION_ADDR

(あて先アドレス) 6 オクテット

SOURCE_ADDR

(送信元アドレス) 6 オクテット

ETHER_TYPE

(イーサタイプ) 2 オクテット

payload

(Ethernet ペイロード) 可変長(46~1500 オクテット)

CHECKSUM

(チェックサム) 4 オクテット

図 3.2 Ethernet フレームのフォーマット

Page 14: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 13 -

あて先アドレスフィールドには、ディスカバリステージにおいては Ethernet ブロードキャストアド

レス(0xffffffffffff)またはあて先の MAC アドレスを設定し、PPP セッションステージにおいてはデ

ィスカバリステージにおいて特定されるあて先の MAC アドレスを設定します。

送信元アドレスのフィールドには、送信元の MAC アドレスを設定します。

イーサタイプフィールドには 0x8863(ディスカバリステージ)または、0x8864(PPP セッション

ステージ)を設定します。

図 3.2 の Ethernet ペイロードフィールドのフォーマットを図 3.3 に示します。

1 2 3 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1

VER

(バージョン)

TYPE

(タイプ)

CODE

(コード)

SESSION_ID

(セッション ID)

LENGTH

(PPPoE ペイロードの長さ) payload

(PPPoE ペイロード)

図 3.3 Ethernet ペイロードフィールドのフォーマット

バージョンフィールドとタイプフィールドは共に 4 ビットで、0x1 を設定します。

コードフィールドは 8 ビットで、パケット種別を示すコード値を設定します。設定値については表

3.1 に示します。

セッション ID フィールドは 16ビットで、PPPoEセッションの識別子として固有の値を設定します。

セッション ID 値として 0xffff は将来の利用のために予約されているため使用しません。

PPPoEペイロードの長さフィールドは 16 ビットで、PPPoEペイロードの長さを設定します。

表 3.1 コードフィールドに設定する値

パケット種別 コード値

PPPoE Active Discovery Initiation(PADI) 0x09

PPPoE Active Discovery Offer(PADO) 0x07

PPPoE Active Discovery Request(PADR) 0x19

PPPoE Active Discovery Session-confirmation(PADS) 0x65

PPPoE Active Discovery Terminate(PADT) 0xa7

PPP セッションステージ 0x00

Page 15: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 14 -

3.3.1.3 ディスカバリステージ

ディスカバリステージには、PPPoE セッションの開始から確立までの動作と、解放を通知する動作

が含まれます。

(1) PPPoEセッションの開始から確立までの動作

PPPoE セッションの開始から確立までの動作では、以下の順にパケットを送受信します。そ

れぞれのパケットの送受信は動作の段階を意味します。

①ホストから PADI パケット送信

②AC からホストへ PADO パケット送信

③ホストから AC へ PADR パケット送信

④AC からホストへ PADS パケット送信

PPPoE セッションの開始から確立までの動作の各段階が完了すると、PPPoE セッションが確

立され、ホストとAC は固有のPPPoEセッション IDと相互のMAC アドレスを認識します。PPPoE

セッションの確立後、PPP セッションステージへと進みます。

(2) PPPoEセッションの解放を通知する動作

PPPoEセッションの解放を通知する動作では、ホストまたはAC から PPPoEセッションが解

放されたことを通知するために PADT パケットを送信します。

これらのパケットの送受信による動作とフォーマットの詳細については、以下の説明を参照してく

ださい。

なお、ディスカバリステージにおいて PPPoE ペイロードは、0個あるいは複数個のタグを含みま

す。タグのフォーマットについて図 3.4 に示します。

1 2 3 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1

TAG_TYPE

(タグタイプ)

TAG_LENGTH

(タグ値の長さ)

TAG_VALUE(タグ値)

図 3.4 タグのフォーマット

タグタイプフィールドは 16 ビットで、タグの種別を示すタイプ値を設定します。設定値について

は以下の説明を参照して下さい。

タグ値の長さフィールドは 16 ビットで、タグ値の長さをオクテットで示します。

Page 16: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 15 -

① PADI パケット

ホストは要求するサービス名を含む PADI パケットを送信し、AC に PPPoE セッションの開

始を通知します。要求するサービス名を指定しない場合は、どのサービスでも受け入れられる

ことを示します。

あて先アドレスフィールドにブロードキャストアドレス 0xffffffffffff、コードフィールドに

0x09、セッション ID フィールドに 0x0000を設定します。

ホストが要求しているサービス名を示す Service-Name タグを含むことが必須です。また、中

間エージェントが Relay-Session-ID タグを追加することを考慮して、PADIパケットのサイズは

PPPoEヘッダを含めて 1484 オクテットを超えてはなりません。

フレッツ・ADSL では、Service-Name タグのタグ値の長さフィールドに 0x00を設定します。

フィールド名 フィールド長 0 1 2 3 4 5 6 7

DESTINATION_ADDR

(0xffffffffffff) 6 オクテット

あて先アドレス

(ブロードキャストアドレス)

SOURCE_ADDR 6 オクテット 送信元アドレス

(ホストの MAC アドレス)

Ethernet

ヘッダ

ETHER_TYPE

(0x8863) 2 オクテット

イーサタイプ

(ディスカバリステージ)

VER(0x1),TYPE(0x1) 1 オクテット 0 0 0 1 0 0 0 1

CODE(Ox09) 1 オクテット 0 0 0 0 1 0 0 1

0 0 0 0 0 0 0 0 SESSION_ID

(0x0000) 2 オクテット

0 0 0 0 0 0 0 0

PPPoE

ヘッダ

LENGTH 2 オクテット PPPoE ペイロードの長さ

TAG_TYPE 2 オクテット タグタイプ

TAG_LENGTH 2 オクテット タグの長さ

TAG_VALUE 可変長

タグ値

PPPoE

ペイロード

TAGs その他のタグ

FRAME CHECK SEQUENCE 4 オクテット

フレームチェックシーケンス

図 3.5 PADI パケット

Page 17: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 16 -

表 3.2 PADI パケットのタグ設定

タグタイプ タイプ値 タグ値の長さ タグ値 設定条件

End-Of-List 0x0000 - - 未使用

Service-Name 0x0101 0 - 使用

AC-Name 0x0102 - - 未使用

Host-Uniq 0x0103 可変長 - 使用可

AC-Cookie 0x0104 - - 未使用

Vendor-Specific 0x0105 - - 未使用

Relay-Session-Id 0x0110 - - 未使用

Service-Name-Error 0x0201 - - 未使用

AC-System-Error 0x0202 - - 未使用

Generic-Error 0x0203 - - 未使用

Page 18: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 17 -

② PADO パケット

PADI パケットを受信した AC は、送信元のホストに PADOパケットを送信し、AC がサポー

トするサービス名、AC 名を通知します。

コードフィールドには 0x07、セッション ID フィールドには 0x0000を設定します。

AC の名前を示す AC-Name タグと PADI パケットと同一の Service-Name タグを含みます。

AC が他のサービス名もサポートする場合はその Service-Name タグを含みます。

フィールド名 フィールド長 0 1 2 3 4 5 6 7

DESTINATION_ADDR 6 オクテット あて先アドレス

(ホストの MAC アドレス)

SOURCE_ADDR 6 オクテット 送信元アドレス

(AC の MAC アドレス)

Ethernet

ヘッダ

ETHER_TYPE

(0x8863) 2 オクテット

イーサタイプ

(ディスカバリステージ)

VER(0x1),TYPE(0x1) 1 オクテット 0 0 0 1 0 0 0 1

CODE(Ox07) 1 オクテット 0 0 0 0 0 1 1 1

0 0 0 0 0 0 0 0 SESSION_ID

(0x0000) 2 オクテット

0 0 0 0 0 0 0 0

PPPoE

ヘッダ

LENGTH 2 オクテット PPPoE ペイロードの長さ

TAG_TYPE 2 オクテット タグタイプ

TAG_LENGTH 2 オクテット タグ値の長さ

TAG_VALUE 可変長

タグ値

PPPoE

ペイロード

TAGs その他のタグ

FRAME CHECK SEQUENCE 4 オクテット

フレームチェックシーケンス

図 3.6 PADO パケット

Page 19: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 18 -

表 3.3 PADO パケットのタグ設定

タグタイプ タイプ値 タグ値の長さ タグ値 設定条件

End-Of-List 0x0000 - - 未使用

Service-Name 0x0101 0 PADI 送信値 使用

AC-Name 0x0102 可変長 - 使用

Host-Uniq 0x0103 可変長 PADI 送信値 使用可

AC-Cookie 0x0104 可変長 - 使用可

Vendor-Specific 0x0105 - - 未使用

Relay-Session-Id 0x0110 - - 未使用

Service-Name-Error 0x0201 - - 未使用

AC-System-Error 0x0202 - - 未使用

Generic-Error 0x0203 - - 使用可

Page 20: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 19 -

③ PADR パケット

ホストは受信した PADO パケットに含まれる AC 名やサービス名を PADRパケットに設定し

AC に送信します。

コードフィールドには 0x19、セッション ID フィールドには 0x0000を設定します。

ホストが要求するサービス名を示す Service-Name タグを含むことが必須です。また、PADO

パケットで AC-Cookie タグを受信した場合は、AC-Cookie タグを含むことが必須です。

フィールド名 フィールド長 0 1 2 3 4 5 6 7

DESTINATION_ADDR 6 オクテット あて先アドレス

(AC の MAC アドレス)

SOURCE_ADDR 6 オクテット 送信元アドレス

(ホストの MAC アドレス)

Ethernet

ヘッダ

ETHER_TYPE

(0x8863) 2 オクテット

イーサタイプ

(ディスカバリステージ)

VER(0x1),TYPE(0x1) 1 オクテット 0 0 0 1 0 0 0 1

CODE(Ox19) 1 オクテット 0 0 0 1 1 0 0 1

0 0 0 0 0 0 0 0 SESSION_ID

(0x0000) 2 オクテット

0 0 0 0 0 0 0 0

PPPoE

ヘッダ

LENGTH 2 オクテット PPPoE ペイロードの長さ

TAG_TYPE 2 オクテット タグタイプ

TAG_LENGTH 2 オクテット タグ値の長さ

TAG_VALUE 可変長

タグ値

PPPoE

ペイロード

TAGs その他のタグ

FRAME CHECK SEQUENCE 4 オクテット

フレームチェックシーケンス

図 3.7 PADR パケット

Page 21: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 20 -

表 3.4 PADR パケットのタグ設定

タグタイプ タイプ値 タグ値の長さ タグ値 設定条件

End-Of-List 0x0000 - - 未使用

Service-Name 0x0101 0 PADO 受信値 使用

AC-Name 0x0102 可変長 PADO 受信値 使用可

Host-Uniq 0x0103 可変長 PADO 受信値 使用可

AC-Cookie 0x0104 可変長 PADO 受信値 使用可(注 2)

Vendor-Specific 0x0105 - - 未使用

Relay-Session-Id 0x0110 - - 未使用

Service-Name-Error 0x0201 - - 未使用

AC-System-Error 0x0202 - - 未使用

Generic-Error 0x0203 - - 使用可

(注 2)PADO に AC-Cookie タグが含まれている場合は使用します。

Page 22: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 21 -

④ PADS パケット

PADRパケットを受信した AC は、要求されたサービス名を受け入れる場合、PPPoE セッシ

ョンの識別のために固有のセッション ID を生成し、セッション ID を含む PADSパケットをホ

ストへ送信します。

ホストが PADSパケットを受信すると、ホストと AC は固有の PPPoEセッション ID と相互

の MAC アドレスを認識し、PPPoEセッションの確立が完了します。

AC は、要求されたサービスを拒否する場合、エラー内容を含む PADS パケットを送信し

PPPoEセッションの確立を拒否します。

コードフィールドには 0x65、セッション ID フィールドにはこのとき生成した固有の値を設

定します。

要求を受け入れる場合、サービス名を示す Service-Name タグを含みます。

要求を拒否する場合、エラー内容を設定した Service-Name-Error タグを含めて、セッション

ID には 0x0000を設定します。

Page 23: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 22 -

フィールド名 フィールド長 0 1 2 3 4 5 6 7

DESTINATION_ADDR 6 オクテット あて先アドレス

(ホストの MAC アドレス)

SOURCE_ADDR 6 オクテット 送信元アドレス

(AC の MAC アドレス)

Ethernet

ヘッダ

ETHER_TYPE

(0x8863) 2 オクテット

イーサタイプ

(ディスカバリステージ)

VER(0x1),TYPE(0x1) 1 オクテット 0 0 0 1 0 0 0 1

CODE(Ox65) 1 オクテット 0 1 1 0 0 1 0 1

SESSION_ID 2 オクテット セッション ID

(固有の値)

PPPoE

ヘッダ

LENGTH 2 オクテット PPPoE ペイロードの長さ

TAG_TYPE 2 オクテット タグタイプ

TAG_LENGTH 2 オクテット タグ値の長さ

TAG_VALUE 可変長

タグ値

PPPoE

ペイロード

TAGs その他のタグ

FRAME CHECK SEQUENCE 4 オクテット

フレームチェックシーケンス

図 3.8 PADS パケット

Page 24: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 23 -

表 3.5 PADS パケットのタグ設定

タグタイプ タイプ値 タグ値の長さ タグ値 設定条件

End-Of-List 0x0000 - - 未使用

Service-Name 0x0101 0 PADR 送信値 使用(注 3)

AC-Name 0x0102 可変長 PADR 送信値 使用可

Host-Uniq 0x0103 可変長 PADR 送信値 使用可

AC-Cookie 0x0104 可変長 PADR 送信値 使用可(注 4)

Vendor-Specific 0x0105 - - 未使用

Relay-Session-Id 0x0110 - - 未使用

Service-Name-Error 0x0201 可変長 - 使用(注 5)

AC-System-Error 0x0202 - - 使用可

Generic-Error 0x0203 - - 使用可

(注 3)要求されたサービス名を受け入れる場合は使用します。

(注 4)PADR に AC-Cookie タグが含まれている場合は使用します。

(注 5)要求されたサービス名を拒否する場合は使用します。

Page 25: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 24 -

⑤ PADT パケット

PPPoEセッション確立後、ホストまたは AC は PPPoEセッションが開放されたことを通知す

るため PADT パケットを送信します。PADT パケットを受信すると、その後いかなる PPP トラ

フィックもこの PPPoEセッションを使用することは許可されません。

コードフィールドには 0xa7、セッション ID フィールドには開放された PPPoE セッションの

セッション ID を設定します。

タグは不要です。

フィールド名 フィールド長 0 1 2 3 4 5 6 7

DESTINATION_ADDR 6 オクテット

あて先アドレス

(PPPoE セッション開放通知先

MAC アドレス)

SOURCE_ADDR 6 オクテット

送信元アドレス

(PPPoE セッション開放通知元

MAC アドレス)

Ethernet

ヘッダ

ETHER_TYPE

(0x8863) 2 オクテット

イーサタイプ

(ディスカバリステージ)

VER(0x1),TYPE(0x1) 1 オクテット 0 0 0 1 0 0 0 1

CODE(Oxa7) 1 オクテット 1 0 1 0 0 1 1 1

SESSION_ID 2 オクテット セッション ID

(停止されたセッション ID)

PPPoE

ヘッダ

LENGTH 2 オクテット PPPoE ペイロードの長さ

PPPoE

ペイロード

FRAME CHECK SEQUENCE 4 オクテット

フレームチェックシーケンス

図 3.9 PADTパケット

Page 26: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 25 -

3.3.1.4 PPP セッションステージ

PPPoEセッションが確立されると、PPP セッションステージへと進みます。PPP セッションステー

ジでは、PPP セッションが確立され、IP 通信が開始します。PPP セッションの開放によって PPP セッ

ションステージは終了します。

あて先アドレスフィールドおよび送信元アドレスフィールドにはホストまたは AC の MAC アドレ

ス、コードフィールドには 0x00、セッション ID フィールドにはディスカバリステージで割り当てら

れた固有の値を設定します。PPPoEペイロードフィールドには PPP フレームが格納され、そのフレー

ムは PPP プロトコル識別子から設定します。使用する PPP プロトコル識別子については[ 3.3.2 PPP

仕様]を参照してください。

フィールド名 フィールド長 0 1 2 3 4 5 6 7

DESTINATION_ADDR 6 オクテット あて先アドレス

(あて先の MAC アドレス)

SOURCE_ADDR 6 オクテット 送信元アドレス

(送信元の MAC アドレス)

Ethernet

ヘッダ

ETHER_TYPE

(0x8864) 2 オクテット

イーサタイプ

(PPP セッションステージ)

VER(0x1),TYPE(0x1) 1 オクテット 0 0 0 1 0 0 0 1

CODE(Ox00) 1 オクテット 0 0 0 0 0 0 0 0

SESSION_ID 2 オクテット セッション ID

(固有のセッション ID)

PPPoE

ヘッダ

LENGTH 2 オクテット PPPoE ペイロードの長さ

PPP PROTOCOL 2 オクテット PPP プロトコル識別子

PPPoE

ペイロード PPP payload PPP ペイロード

FRAME CHECK SEQUENCE 4 オクテット

フレームチェックシーケンス

図 3.10 PPP セッションステージのパケット

Page 27: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 26 -

3.3.1.5 PPPoE セッション数制限

フレッツ・ADSL では、同時に利用することが可能な PPPoEセッション数は制限されています。同

時利用可能な最大 PPPoEセッション数について表 3.6 に示します。

表 3.6 各タイプの最大 PPPoE セッション数

タイプ 最大 PPPoEセッション数

利用回線型 1

契約者回線型 1

メニュー毎に制限されている最大数の PPPoE セッションを使用中に、ホストから PPPoE セッショ

ンを開始するための PADI パケットを送信した場合は、AC からホストへ PADO パケットは送信され

ません。

Page 28: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 27 -

3.3.2 PPP 仕様

3.3.2.1 PPP の概要

PPP は、端末機器と IP 通信網の間でデータリンクの確立を行うために用いる LCPと、ネットワー

クレイヤのプロトコルに対応した NCP から構成されます。NCP では、ネットワークレイヤのプロト

コルとして IP を扱うため、IPCP を使用します。

3.3.2.2 PPP プロトコル識別子

フレッツ・ADSL で使用する PPP プロトコル識別子を表 3.7 に示します。また、それ以外のプロト

コルについては動作を保証しません。

表 3.7 使用する PPP プロトコル識別子

プロトコル名 値

Link Control Protocol(LCP) 0xc021

Password Authentication Protocol(PAP) 0xc023

Challenge Handshake Authentication Protocol(CHAP) 0xc223

Internet Protocol Control Protocol(IPCP) 0x8021

Internet Protocol(IP) 0x0021

Page 29: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 28 -

3.3.2.3 LCP

フレッツ・ADSLにおいて使用する LCPコンフィグレーションオプションのタイプ値を表 3.8 に示

します。

フレッツ・ADSLでは、MTU を 1454オクテットとします。Maximum-Receive-Unit(MRU)オプシ

ョンは 1454 オクテットとしてネゴシエーションを要求します。端末機器(ホスト)が IP 通信網に対

して 1454オクテット未満の MRU 値でネゴシエーションを要求した場合、接続や正常な通信ができな

い場合があります。MRU の値を越えるデータグラムを送信した場合は、IP 通信網で分割転送が発生

します。

PPP セッションを開放したときは、端末機器(ホスト)と Access Concentrator(AC)はその PPPoE

セッションを開放しなければなりません。

表 3.8 LCP コンフィグレーションオプションのタイプ値

タイプ値 オプション 設定条件

1 Maximum-Receive-Unit 使用

2 Asyncronous-Control-Character-Map 使用不可

3 Authentication-protocol 使用

4 Quality-Protocol 使用不可

5 Magic-Number 使用

7 Protocol-Field-Compression 使用不可

8 Address-and-Control-Field-Compression 使用不可

9 Field Check Sequence Alternative 使用不可

Page 30: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 29 -

3.3.2.4 IPCP

フレッツ・ADSL において使用する IPCP コンフィグレーションオプションのタイプ値を表 3.9 に

示します。

表 3.9 IPCP コンフィグレーションオプションのタイプ値

タイプ値 オプション 設定条件

1 IP-Addresses 使用不可

2 IP-Compression-Protocol 使用不可

3 IP-Address 使用

129 Primary DNS Server Address 使用可

130 Primary NBNS Server Address 使用不可

131 Secondary DNS Server Address 使用可

132 Secondary NBNS Server Address 使用不可

Page 31: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 30 -

3.4 ネットワークレイヤ(レイヤ 3)仕様

レイヤ3では、RFC791に規定されている IP(Internet Protocol)を使用します。IP のサブセットと

して RFC792 に規定されている ICMPの一部についてもサポートします。

IP についての詳細は RFC791 を、ICMPについての詳細は RFC792 を参照して下さい。

3.4.1 IP アドレス

IP アドレスは、RFC791 で規定されているグローバルアドレスを使用します。

なお、端末機器の IP アドレスとして利用可能な IP アドレスは、IP 通信網に接続する際に IP 通信

網から割り当てられた IP アドレスのみです。その他の IP アドレスを利用する場合、動作は保証しま

せん。

3.5 上位レイヤ(レイヤ 4~7)仕様

上位レイヤ(レイヤ4~7)については、特に規定は設けません。

Page 32: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 31 -

4. 通信シーケンス

4.1 通信シーケンス

フレッツ・ADSL を利用する場合の通信シーケンスについて、接続および切断手順等の具体的な例

について説明します。

Page 33: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 32 -

4.1.1 接続シーケンス

図 4.1 接続シーケンス(例)

[説明]

① PPPoEセッションの確立を開始します。

② PPPoEセッションが確立します。

③ PPP セッションの確立を開始します。

④ 認証プロトコルを要求します。

⑤ IP 通信網側の IP アドレスを通知します。

⑥ 端末機器が使用する IP アドレスを要求します。

⑦ 端末機器に割り当てる IP アドレス情報を返送します。

⑧ 端末機器が受信した IP アドレスを通知します。

⑨ PPP セッションが確立します。

端末機器 IP 通信網

PADS

PADO

Configure-Request

PADR

PADI

Configure-Ack

LCP パケット

IPCP パケット

PPPoE

PPP セッションステージ開始

PPPoE

ディスカバリステージ

Configure-Request

Configure-Ack

Configure-Request

Configure-Ack

CHAP/PAP による認証フェーズ

Configure-Request

Configure-Nak

Configure-Request

Configure-Ack

IP 通信開始

認証成功

Page 34: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 33 -

4.1.2 切断シーケンス

図 4.2 切断シーケンス(例)

[説明]

① PPP セッションの開放を開始します。

② PPP セッションを開放します。

③ PPPoEセッション開放を通知します。

端末機器 IP 通信網

PPPoE

ディスカバリステージ

IP 通信中

Terminate-Request

Terminate-Ack LCP パケット

② PPPoE

PPP セッションステージ終了

PADT

PADT ③

Page 35: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 34 -

4.1.3 認証失敗シーケンス

図 4.3 認証失敗シーケンス(例)

[説明]

① PPPoEセッションの確立を開始します。

② PPPoEセッションが確立します。

③ PPP セッションの確立を開始します。

④ 認証プロトコルを要求します。

⑤ PPP セッションの開放を開始します。

⑥ PPP セッションを開放します。

⑦ PPPoEセッションの開放を通知します。

端末機器 IP 通信網

PADS

PADO

Configure-Request

PADR

PADI

Configure-Ack

LCP パケット

LCP パケット

PPPoE

PPP セッションステージ開始

PPPoE

ディスカバリステージ

Configure-Request

Configure-Ack

Terminate-Request

Terminate-Ack

CHAP/PAP による認証フェーズ

PADT

PADT

認証失敗

PPPoE

PPP セッションステージ終了

PPPoE

ディスカバリステージ

Page 36: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 35 -

4.1.4 強制切断シーケンス

図 4.4 強制切断シーケンス(例)

[説明]

① PPP セッションの開放を開始します。

② PPP セッションを開放します。

③ PPPoEセッション開放を通知します。

端末機器 IP 通信網

PPPoE

ディスカバリステージ

IP 通信中

Terminate-Request

Terminate-Ack LCP パケット

② PPPoE

PPP セッションステージ終了

PADT

PADT ③

Page 37: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 36 -

5. タイマ及びカウンタ

5.1 PPP 通信用タイマとカウンタ

PPP通信用タイマとカウンタの詳細については、「IP接続サービスのインタフェース」の PPP

通信用タイマとカウンタを参照してください。

Page 38: フレッツ・ADSLのインタフェース 第2版フレッツ・ADSLでは、図1.2及び図1.3 に示すユーザ・網インタフェース(UNI)および伝送路イ ンタフェース(LI

- 37 -

附属資料 ATU-R/スプリッタの機器名と端末機器認定/認証番号

フレッツ・ADSL に接続を認める ATU-R 及びスプリッタは、インタオペラビリティが確立するま

での間は NTT が調達手続きに基づいて選定した機器とさせていただきます。その機器名と端末機器

認定番号の一覧を表 1 及び表 2 に示します。ただし、表中の機器であっても使用可能なエリアについ

ては異なります。

表 1 ATU-R の機器名と端末機器認定番号

機器名 端末機器認定番号

DSL NA ATUR-E1

DSL NB ATUR-E1 L01-0028

DSL NC ATUR-E1 L01-0043

ADSL SB ATUR-E1 L01-0029

DSL SA ATUR-E1

DSL SB ATUR-E1 L01-0030

表 2 スプリッタの機器名と端末機器認証番号

機器名 端末機器認証番号

DSL NA SPLR-E

DSL NB SPLR-E A01-0087JP

ADSL SB SPLR-E A01-0088JP

DSL SA SPLR-E

DSL SB SPLR-E A01-0089JP