ユーザーオリエンテッドのddc向け プログラミング …田...

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小特集 火力発電所最新ディジタル制御システム ∪.D.C.〔800.92:る81.323:る81.5〕+〔6 占81.32.0る〕 ユーザーオリエンテッドのDDC向け プログラミング言語と保守ツール User-Oriented Programming Language and Maintenance TooIsfor Direct DigitalControl 火力発電プラント最新形監視制御システムHIACS-3000のポイラ,タービン,バー ナなど異なる制御対象のDDCプログラムを,共通手法で記述作成できるようにした DDC向けシンボリック言語と,上記の制御対象を共通の方法で,しかも統括的に保 守できるようにしたエンジニアコンソールを完成Lた。 前者のシンボリック言語は,DDCプログラムをプラントエンジニアに親しみやす い制御ロジック図と1対1に対応したマクロ命令で記述でき,しかも高速演算が実 現できるようにしたシステム統一言語である。後者のエンジニアコンソールは,上 記言吉吾を用いたDDCプログラムの作成・変更や伝送ネットワークを介したシステム のオンライン調整・制御信号やプロセス量のモニタなどの広範囲の機能によってシ ステムを構成するコントローラHISEC O4-M/L,HISEC O4-M/Fのいずれにも共通 して使用できるようにした統一保守ツールである。この保守ツールは,誤操作やプ ラントに影響を与える変更を阻止する機能ももつので,プラントエンジニアでも容 易に,かつ安全に変更作業が行なえる。本論文では,上記言語とツールの機能,実 現手段及び開発思想について述べる。 日立製作所では,火力発電所を取り巻く新しいニーズに対 して,ディジタル式ボイラ自動制御装置HIACS-20001),ター ビン自動制御装置HITASS2卜5),ディジタル式電子油圧式ガバ ナD-EHG5ト6),ディジタル式自動バーナ制御装置や補機シー ケンス制御装置など,最新のマイクロエレクトロニクス技術 とシステム制御技術を駆使した装置を開発することによ-)こ たえてきた。しかし,これらの装置は,ポイラ,タービン, バーナなど異なる制御対象向け,もしくは異なる時期に開発 され発展してきたこともあr),コントローラのハードウェア やソフトウェア又は保守ツールの面で必ずしも統一されてい るとは言えない点があった。 今回開発した新監視制御システムHIACS-3000では,本シス テムを構成する高機能形コントローラHISEC O4-M/L, HISEC O4-M/Fのアプリケーションソフトウェア〔以下,DDC (DirectDigitalControl)ソフトウェアと呼ぶ。〕を,両方に共 通のDDC向けプログラミング言語「DDC向けシンボリック言 語+とその言語構造を基にしたDDC保守用コンソール「エン ジニアコンソール+とを用いて,統一的に作成・調整・保守 ができるようにした。 本論文では,上記DDC向けシンボリック言語,及びDDC月] 保守ツールの技術内容と機能を中心に報告する。 臣l統一言語及び保守ツールの開発課題と対応策 図1に高機能形コントローラHISEC O4-M/L,HISEC O4- M/Fの統一言語,及び保守ツールの開発課題と対応・策を示す。 まず,ソフトウェアの作成と保守の面で,DDCソフトウェ アは,その性格上計算機ソフトウェアの知識がなくても容易 に取り扱え,かつプログラムが効率よく生産,保′手できるも 成7 ィ妄王 寺ア 調 保信 全輪 性性 開発課題 プラントエンジニアに よるプログラミング 高効率プログラミング 命令豊富で高レベルの プログラミング言語 高速・多機能処理 容易な調整と言呉操作防止 オンライン動作確認 システム異常の可視化 システムの迅速な復旧 宮垣久典* 助〟タブ0わ〟細々才 皆川武司* 丁誠g5ぁざ〟g乃〟勉~√・〟 下山和彦* 舷~`ゐgんo SんJ椚叩α7乃α DDC向けシンボリック言語 制御ロジック図対応の 高機能言語 直接実行方式の高速演 算実行 ドキュメントとの1対1 対応 エンジニアコンソール 制御ロジック図による プログラミング ネットワーク結合形 保守ツール オンラインチューニング・ パラメータグラフィック表示 オンラインモニタ (トレンド,数胤信号操表示色) オンラインプログラム ローディング 図l 統一言語及び保守ツールの開発課題と対応策 プラントエン ジニアに扱え,高遠かつ多機能のDDC向けシンボリック言語と,本言語による 作成・保守及びオンライン調整保守をネットワーク結合により行なうエンジニ アコンソールにより.システムの統一言語による構築・イ呆守が可能となる.-J *日立製作所人みか丁場 21

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Page 1: ユーザーオリエンテッドのDDC向け プログラミング …田 DDCプログラムの記述言語とソフトウェア構造 3.1DDCプログラム記述言語 DDCプログラムを記述する方式とLては,(1)機能ブロック

小特集 火力発電所最新ディジタル制御システム ∪.D.C.〔800.92:る81.323:る81.5〕+〔681・327・13・015占81.32.0る〕

ユーザーオリエンテッドのDDC向けプログラミング言語と保守ツールUser-Oriented Programming Language and Maintenance TooIsfor

Direct DigitalControl

火力発電プラント最新形監視制御システムHIACS-3000のポイラ,タービン,バー

ナなど異なる制御対象のDDCプログラムを,共通手法で記述作成できるようにした

DDC向けシンボリック言語と,上記の制御対象を共通の方法で,しかも統括的に保

守できるようにしたエンジニアコンソールを完成Lた。

前者のシンボリック言語は,DDCプログラムをプラントエンジニアに親しみやす

い制御ロジック図と1対1に対応したマクロ命令で記述でき,しかも高速演算が実

現できるようにしたシステム統一言語である。後者のエンジニアコンソールは,上

記言吉吾を用いたDDCプログラムの作成・変更や伝送ネットワークを介したシステム

のオンライン調整・制御信号やプロセス量のモニタなどの広範囲の機能によってシ

ステムを構成するコントローラHISEC O4-M/L,HISEC O4-M/Fのいずれにも共通

して使用できるようにした統一保守ツールである。この保守ツールは,誤操作やプ

ラントに影響を与える変更を阻止する機能ももつので,プラントエンジニアでも容

易に,かつ安全に変更作業が行なえる。本論文では,上記言語とツールの機能,実

現手段及び開発思想について述べる。

山 緒 言

日立製作所では,火力発電所を取り巻く新しいニーズに対

して,ディジタル式ボイラ自動制御装置HIACS-20001),ター

ビン自動制御装置HITASS2卜5),ディジタル式電子油圧式ガバ

ナD-EHG5ト6),ディジタル式自動バーナ制御装置や補機シー

ケンス制御装置など,最新のマイクロエレクトロニクス技術

とシステム制御技術を駆使した装置を開発することによ-)こ

たえてきた。しかし,これらの装置は,ポイラ,タービン,

バーナなど異なる制御対象向け,もしくは異なる時期に開発

され発展してきたこともあr),コントローラのハードウェア

やソフトウェア又は保守ツールの面で必ずしも統一されてい

るとは言えない点があった。

今回開発した新監視制御システムHIACS-3000では,本シス

テムを構成する高機能形コントローラHISEC O4-M/L,

HISEC O4-M/Fのアプリケーションソフトウェア〔以下,DDC

(DirectDigitalControl)ソフトウェアと呼ぶ。〕を,両方に共

通のDDC向けプログラミング言語「DDC向けシンボリック言

語+とその言語構造を基にしたDDC保守用コンソール「エン

ジニアコンソール+とを用いて,統一的に作成・調整・保守

ができるようにした。

本論文では,上記DDC向けシンボリック言語,及びDDC月]

保守ツールの技術内容と機能を中心に報告する。

臣l統一言語及び保守ツールの開発課題と対応策

図1に高機能形コントローラHISEC O4-M/L,HISEC O4-

M/Fの統一言語,及び保守ツールの開発課題と対応・策を示す。

まず,ソフトウェアの作成と保守の面で,DDCソフトウェ

アは,その性格上計算機ソフトウェアの知識がなくても容易

に取り扱え,かつプログラムが効率よく生産,保′手できるも

作 ソ

成7

ィ妄王寺ア

調

保信

全輪

性性

開発課題

プラントエンジニアに

よるプログラミング

高効率プログラミング

高 効 率 保 守

命令豊富で高レベルのプログラミング言語

高速・多機能処理

容易な調整と言呉操作防止

オンライン動作確認

システム異常の可視化

システムの迅速な復旧

宮垣久典* 助〟タブ0わ〟細々才

皆川武司* 丁誠g5ぁざ〟g乃〟勉~√・〟

下山和彦* 舷~`ゐgんo SんJ椚叩α7乃α

対 応 策

DDC向けシンボリック言語

制御ロジック図対応の高機能言語

直接実行方式の高速演算実行

ドキュメントとの1対1対応

エンジニアコンソール

制御ロジック図によるプログラミング

ネットワーク結合形保守ツール

オンラインチューニング・

パラメータグラフィック表示

オンラインモニタ

(トレンド,数胤信号操表示色)

オンラインプログラム

ローディング

図l 統一言語及び保守ツールの開発課題と対応策 プラントエン

ジニアに扱え,高遠かつ多機能のDDC向けシンボリック言語と,本言語による

作成・保守及びオンライン調整保守をネットワーク結合により行なうエンジニ

アコンソールにより.システムの統一言語による構築・イ呆守が可能となる.-J

*日立製作所人みか丁場

21

Page 2: ユーザーオリエンテッドのDDC向け プログラミング …田 DDCプログラムの記述言語とソフトウェア構造 3.1DDCプログラム記述言語 DDCプログラムを記述する方式とLては,(1)機能ブロック

458 日立評論 VOL.68 No.6(J986-6)

のでなければならない。

次に制御の面で,高度又は多種多様なロジックが簡単にプ

ログラミングできる豊富な命令語をもった高レベルプログラ

ム記述言語とともに,DDCプログラムをコントローラで高速

処理するための言語構造と実行処理構造が必要である。

一方,制御特性の調整の面で,制御パラメータがコントロ

ーラのオンライン動作中に,簡単な操作で誤りなく設定でき,

調整の結果が迅速かつ経時的に確認できなければならない。

最後に,システムの信頼性,保全性の面では,コントロー

ラの演算渋滞などのシステム異常の可視化やDDCプログラム

の変更,復旧が迅速かつ安全に行なえることが重要な課題で

ある。

以上述べた課題をHIACS-3000システムではDDC向けシン

ボリック言語とエンジニアコンソールによって解ブ失した。

田 DDCプログラムの記述言語とソフトウェア構造

3.1DDCプログラム記述言語

DDCプログラムを記述する方式とLては,(1)機能ブロック

シンボルによるデータフロー方式,(2)ラグーンンボルによる

ラダー方式,(3)ビットパターンによるテーブル方式が代表と

して挙げられるが,調整利子卸とシーケンス利子卸をi昆在させて

制御ブロック図の例

AO12 AO15 AO17

AOlO

AOll

S〕B

Ol

AO13

Ao14

AO16

PIF

0

D200

DGl

O3

AO17

D201

D202 くコ

小 レ ベ ル

積和也昇算せ昇算

罷王甲二

T+J

論論加減乗除

・{〃ま

RDD㈹いⅣ

A

O

A

S

M

D重

(×U

部品

中 レ ベ ル

比例・鮒(先行信号付き)関数発生

アナログメモリ変化率制限

一次遅れ変化率

進み遅れ時系列データ平均

むだ時間ほか 28種

/

モジュ_ル后dr+レ

dr+レ

♂〆

大 レ ベ ル

診断1 DGl

〝 2 DG2

〝 3 DG3

〝 4 DG4

A/Mインタロック M11

〝 M12

アドレスシフト ADS

D

L

T

肝GMLGRDLD

P

F

A

R

L

G

L

F

P

/

計器

高 機 能

ソフトウェア

パッケージ

注:制御ブロック図で,

1.AXXX‥‥‥アナログ点番号(アナログ信号の番号)2.DXXX…・・・ディジタル点番号(論理又はディジタル信号の番号)

3.マクロ命令シンボルの中の番号は∴寅算実行の順序を示す。

図2 DDC向けシンボリック言語 調整制御及びシーケンス制御及び

簡単なロジックから複雑高度なロジックまで,機能対応の小レ/くルから大レベ

ルのマクロ命令を用いて,フレキシブルに構築できる。

22

記述させても制御のi充れが分かりやすい,制御ロジック図と

1対1に対応したシンボルでプログラミングができるなどグ)

点に着目し,(1)の方式を採用した。すなわち,図2に示すよ

うなDDC向けシンボリック言語を開発し,制御ロジックを制

御ブロック図で記述できるようにした。本言語は同図に示す

ように,論理i寅算,四則演算などハードウェアに例えればリ

レーのような機能を実行する′トレペルの命令から,音寅算モジ

ュールや計器の機能に対応する中レベルの命令,更に入出力

診断などハードウェアでは実現困難な大レベルの命令まて、幅

広いレパートリーをもち,簡単なロジックから複雑,高度な

ロジックまでをフレキシブルに実現することができる。以下

では,上記小レベルから大レベルまでの命令を総称してマク

ロ命令と呼ぶ。今回はまずこの中レベル命令のレパートリー

を拡充しポイラ,タービン,補機と広範囲の制御が実現でき

るようにする一方,プロセス入力信号や操作出力信号の診断,

手動・自動切換インタロック用の高機能標準マクロ命令を用

意した。また,このほかに上述のマクロ命令を組み合わせた

プログラムをサブルーチン化するマクロ命令(ADS)を支援し,

共通のロジックによって異なる操作端を駆動するバーナ制御

などのDDCプログラムをコンパクトに構成できるようにした。

3.2 DDCプログラムのプログラミング

DDCプログラムを図3(a)に示すようにDDCシンボリック言

語を用いてエンジニアコンソール(以下,コンソールと略す。)

からのキー操作によってCRT(CathodeRayTube)画面上に

制御ブロック図を表示させながら対話形式で作成,修正でき

るようにした。また,マクロ命令のブロックシンボルの配置

や信号線の結線ルートが同図(b)に示すように特に指定しなく

ても同図(a)に示すようなキー操作7ごけで自動的に決定される

ようにした。

上述のようなプログラミング方式を実現するため,マクロ

命令を1個ずつコントローラが実行できる目的プログラムに

変換するコンパイラ(逐次形コンパイラと呼ぶ。)と,この目的

プログラム7)を利子卸ブロック図に変換し,CRTに表示する制御

ブロック図表示処理プログラムをコンソールに内蔵させた。

上述のDDCプログラムは,コントローラごとのDDCプログ

ラムファイルとして目的プログラムの形でハ】ドディスクに

記憶させ集中管理できるようにした。そLて,プログラムの

追加・修正時にはまず該当コントローラのDDCプログラムを

ファイルからコンソールのメモリ上に読み出して,シートと

いう分割単位で制御ブロック図として表示させて追加,修正

する。

その結果をDDCプログラムファイルに書き込んだ後,該当

コントローラのプログラムをネットワーク経由で書き換える

方式とし,常にハードディスクにコントローラの最新のプロ

グラムが保存されるようにした。

3.3 DDCプログラムのソフトウェア構造

DDCプログラムがコントローラで高速処理でき,かつそれ

がコンソールで迅速に制御ブロック図として表示できるよう

にするため,その言語構造とi寅算実行処理構造をi欠のように

して決定した。

(1)マクロ命令実行処理の高速化

DDCプログラムをコントローラに実行させる方式としては,

直接実行方式とインタプリタ7)方式がある。前者は実行処理対

象である目的プログラムが機械語のもので,そのため高速演

算が可能であるが,原始言語(ここではマクロ命令)を機械語

に翻訳するプログラム(コンパイラ)が複雑になるという欠点

がある。これに対して後者は,原始言語と機械語の中間に位

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ユーザーオリエンテッドのDDC向けプログラミング言語と保守ツール 459

制御ロジック図

二≦璽戸;

良∠_∨

頂⊥二ご、

嶺.

(a)プログラミング操作

エンジニアコンソールの処理内容

DDCプログラムファイル

≠宅[

DDCプログラムファイル

ク短]

コントローラ群

コントローラ1

制 御

ブロック図

表示処理

qミ)メモリ目的プログラム

ピーチイスク)

篭も

逐 時 形

コンパイラ

(完昆?認

目的プログラム

固`ク

コントローラ八・'

コントローラ2

コントローラ1

シート

(ハードディスク)

70ログラムライト

プログラム照合

ハードコピー

空夢(プリンタ)

竿も

(b)制御ブロック図表示

キー操作

マクロ名〔回□回[垂]

入 力点番号

匡]

匡】

[司

[]

[∃

匝]

匝]

[可

匝]

[∃

[司

[司

崇番喜〔回□回回

[軍司

く〉

く〉

CRT表示

MACRO X Z F SW Y

PIF AlOO

AlO小一0小200AlO3

AlOI

AlO2

D200

データ伝送ネットワーク

H-04-M/L

コントローラ八r

H-04-M/F

基プログラミング(追加)

プログラミング(修正)

挿 入 書 換 削 除

sIS3

s4 sl-S3

s4

…呈。1S3。2S4sI

S3s4

S2 01 02 S2 01 02 S2 01 02

壇)⑧

ご三三竺1

④⑧

子空d_「

(み ⑧

ヱ嘩+′

④凰

■r

削除指定

…呈召S3④

声望aS3

し軍至芸S3

圭…gロ芸萱+______+

S3SI S4

S2蓋02霊喜去01④02芸S5

s4

SI S(う

S201④慧S5

S5 03⑥

03⑧

図3 プログラミング操作及び処理内容 エンジニアコンソールを用いて,DDCプログラムを制御ブロック図イメージで確認Lながらプログラミングできる。〕

DDCプログラム(機械語)置する中間言吾を実行する方式であI),中間語を制御ブロック

区l表示に都合のよい形態にしやすく,かつコンパイラが簡単

に構成できるなどの長所をもっているが,コントローラにイ

ンタプリタという中間語を解釈実行するプログラムが必要と

なり,実行処理速度が遅くなるという欠点がある。そこで,

高速から低速まで広範囲の制御演算を同一のソフトウェア構

造で実現できることから直接実行処理方式を採用した。これ

に伴い,コンパイラはマクロ命令を機械言吾に直接変換する方式

とし,容量が大きくなることからコンソールに内蔵させた。

(2)制御ブロック図表示の高速化

マクロ命令すべてについて機1戒語に展開した形を標準化し,

コンソールにマクロ命令の機械語パターン認識用のテーブル

をもたせて制御ブロック図表示の高速化を図った。

(3)DDCフ0ログラム実行処理の高速化

DDCプログラムは,・一般に論理演算のような高速処理が必

要な部分と比例積分演算のように必ずしもその必要のない部

分とから構成されているので,DDCプログラムをループとい

う実行単位に分割し,各々を指定周期又はトリガ信号で起動

できる実行処理構造とし,計算機負荷率の平均化が図れるよ

うにした。なお,前述したシートという区分単位に対しては,

各ループ内で個別に番号をとr),ループNo,とこの番号を組み

合わせたシートNo.コードによりコンソールでは管理すること

とLた。

図4に以上の検討結果に基づいて実現させたコントローラ

のソフトウェア構造を示す。同区=ま特にループ02に属するシ

ートNo.0203グ)DDCプログラムの実行処理フローを拡大したも

ので,各ループを各々の起動条件に応じてシートNo.の川軋 シ

ート内ではマクロ命令の順に実行管理タスクにより高速処理

させる。

{}

周期タイマ

実行管理タスク

演算実行処理

プログラム

し⊆=ご=

制御ロジック

了?参照実行管理テーブル

(芸表芸)

シート帖=0203

マクロ1

SU[~

01

マクロ2

PIF

O2

瓜り/へ

ループ01

シートNo.0101

ループ02

シートNo.0201

シートNo_0202

シートNo.0203

マクロ01(S〕B)

マクロ02(PIF)

[V・-

DDC

マクロ命令ライブラり

(機械語)

注:こ(演算実行の加を示すc)i壬 ;+__________+

図4 コントローラのソフトウェア構造 実行管理タスクの演算実行

処理プログラムは,周期タイマによって起動され,実行管理テーブルを参照Lて,

DDCプログラムを起動条件下にあるループニとに実行する。DDCプログラムを機

械語に展開することにより高速化を回り,シートNo.コードに区分することでコ

ンソールによるファイル管王里を容易化している。

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460 日立評論 VOL.68 No.6‥986-6)

モード シ ス テ ム 構 成

l

標準タイプ 国i 「言蒜告詣1;□‾‾‾‾-‾‾‾‾「

‾喜㌘「叢.書ロシ州〟-∑NETWORK

-

L________■_三三_と_+

標準タイプ国占B16′EX標準タイプ国♭B16/EXシステムキャビネット システムキャビネット

l l

cv-「誌三読訓。A。,アダプタ

ノ■‾‾‾-■司

cv-「石jよ㍍7こ丁ノいADTアダプタNETWORK+---l一--ノl

NETWORK+---r--γl

応諾ト___仲M′F:ノドニヒ刀 ′-L--1ドニ二土÷可仁品二試トーーー;H一。。-M/Fり+_.____J +__.____...′ L-___-.′ + _

______J′

ノレ

標 準 タ イ プ 高 機 能 タ イ プ

エンジニアコンソール本体 エンジニアコンソール本体

lMFUl3苧白部バス?1・㌶法卜;ヰよ部バ弊l遥詣ユゝ芸∩

lィン管フ彗コ lp可レ窪スll

l l

卜芸(オ三≡…テドプリンタぎ邦吉タCRTタイプライタは㌔フ㌔セス′+J∑N汁

卜叫キーボード 李聖書WORK

No. 項 目 標準タイプ 高機能タイプ

1 機 種

マイクロ スーパーマイクロ

コンピュータ コンピュータ

(B16/EX) (〉gOシリーズ)

2 伝送速度 4.8kピット/秒 1Mビット/秒

3 CRT

サイズ 14jn 20in

表示色 7色 15色

表示

マクロ数6-15個 20-30佃

4ネットワーク

構 成

/上-∑NETWORK用〃一∑NETWORK用C〉-NETWORK用

の2種あり。

のみ。

5運転監視

機 能な し あ り

注:略語説明

H-04-M/L(HISECO4-M/+形コントローラ)

H-04-M/F(HISECO4-M/F形コントローラ)

MPU(Micro Processing Unit)

CRT(Cathode Ray Tube)

BPU(Basic Processlng Unit)Pl/0(Processlnput and Output)

CV-NETWORK(系統ネットワーク)

.〟-∑NETWORK(ユニットネットワーク)

図5 エンジニアコンソールのシステム構成と主仕様 エンジニアコンソールには,標準タイプと高機能タイプの2種顆があり,リモートモードでは,

接続Lたネットワーク及びその下流のネットワークのコントローラをオンライン保守できるし.ローカルモードでは,ハードディスクベースでのプログラミング機能

などオフライン保守が行なえる。

エンジニアコンソール

DDCプログラムファイル

コントローラB

コントローラA

DDCプログラム

制御パラメータ

共通ファイル

トレンド項目フ ァ イ ル

トレンドデータ

収録ファイル

オンラインモニタ項目ファイル

主な機能プログラム

システム構成表示

システム構成図表示

ブ ロ ッ ク 図 表 示

70ログラムメンテナンス

プ ロ グ ラ ミ ン グ

プ ロ グ ラ ムリー

プ ロ グ ラ ム ラ イト書

プ ロ グ ラ ム 照 合

チ ュー ニ ン グ

ブロックパラメータ表示・設定

パラメータリスト表示・印字

モ タ

トレンド項目表示・設定

オンライントレンド表示

ヒストリカルトレンド表示

オ ン ラ イ ン モ ニ タ

コントローラステータス制御*

フロッピー

ディ スク

データ伝送ネットワーク

コントローラB

コントローラA

DDCプログラム

制御パラメータ

演 算 結 果

プロセスデータ

ラン・スタンバイ制御

注:く>(ローカルモードのデータの流れ).一・・(リモートモードのデータの流れ),*(′′′-∑NETWORK接続時は未支援)

図6 エンジニアコンソールの主な機能 DDCプログラムの検索表示を行なうシステム構成表示,DDCプログラムの作成・修正や書込み,読出しなどを行

なうプログラムメンテナンス,制御パラメ▼タの設定を行なうチューニング.コントローラの演算結果などのオンライントレンドや収釜責データのヒストリカルトレ

ンドを行なうモニタなど,多種多様な機能をもっている。

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ユーザーオリエンテッドのDDC向けプログラミング言語と保守ツール 461

オペレーション C R T 表 示

田 DDC用保守ツール

4.1 システム構成

図5に,HIACS-3000システムのDDC用保守ツールである

コンソールのシステム構成と主な仕様を示す。コンソールと

して保守専用の標準タイプとプラントの運転監視機能ももつ

高機能タイプの2種類を用意した。いずれもネットワークに

接続して,コントローラのオンライン調整・保守機能を実行

するためのリモーートモードと,コンソⅦル単体でプログラミ

ングなどの機能を実行するローカルモードのことおりの使用

方法がとれるようにした。

リモートモードとしては両タイプ共に〃-∑NETWORKに接

続し,〟-∑NETWORK及びCV-NETWORKを介Lてすべて

のコントローラをコンソールとの1対∧rデータ伝送により集中

オンライン保守ができるようにした。また,標準タイプのも

のは,CV-NErrWORKに接続L,該当したCV-NETWORK

上のコントローラとの1対Ⅳデータ伝送によりオンラインイ呆守

ができるようにLた。本構成により,異なるCV-NETWORK

ごとにコンソールを接続してシステムの二蔽列保守が行なえ,

特にプラ_ントの定期点検や試運転期間を短縮できる効果は大

きい。このほか,標準タイプではコントローラと直結した1

対1の保守も可能とした。

4.2 機能及び特長

図6にコンソールの主な機能を,コントローラとのデータ

のラ売れが分かる形で示した。以下,本国と具体例を基に主な

機能と特長について説明する。

(1)システム構成表ホ

図7に示すように手元に[司曲がない場合でも,コントロー

ラ間の階層構成の表示内容からコントローラNo.を知り,その

DDCプログラムの内容を制御プロ、ソク図のレベルまで答易に

検索することができるシステム構成図表示,コントローラNo.

とシートNo.をもとに制御ブロック間を直接検索することがで

きるブロック図表示の二つの機能を用意した。

(2)プログラムメンテナンス

3.2節で説明したプログラミング機能,DDCプログラムファ

イルの内容をコントローラのメモリに書き込むプログラムラ

イト,書き込み後に双方のプログラムの照合を行なうプログ

ラム照合の外に,フロッピーディ スクをDDCプログラムファ

イルとする上述と同様の機能ももたせた。なお,プログラミ

ング機能では,マクロ命令の人力時に.その人出力点番号の

種別,出力点番号の重複,プログラム用メモリ容量のチェ・ソ

クなどを行ない,‾文法上の誤りが作り込まれるのを未然に防

止するようにした。また,安全グ)ためDDCプログラムが動作

中はプログラムライトができないようにした。

(3)チューニング

コントローラの制御パラメータを,マクロ命令単位にオン

ラインで設定変更するブロックパラメータ表示・設窟,DDC

プログラムファイルの制御パラメータを,マクロ命令の種別

ごと又はループ別にリスト表示あるいはプリントアウトする

パラメータリスト表示・印字の機能を用意した。パラメータ

変更操作に対しては,入力データの合理性チェックや現在値

との比較表示を行なうなどの誤設定防止策を講ずる一方,変

更前後の値を自動的にプリントアウトし,変更来歴として残

せるようにした。区18に,ブロックパラメータ表示・設定に

よる関数発生マクロ命令のパラメータ変更時の表示例を示す。

(4)モ ニ タ

(a)コントローラの演算結果やプロセスデータの中から任意

、甘ループ帖(06)選択

+

甘シート帖(0604)選択

区17 システム構成図表示例 エンジニアコンソールのDDCプログラム

ファイルを読み出して,コントローラ相互間のシステム構成.指定したコントロ

ーラのループ情報,シート情執制御ブロック図を順次階層的に表示させ,図面

がなくても迅速な情幸艮検索ができるこ

のものをトレンド項目として選択するためのトレンド項目表

示・設定,(b)選択データを図9に示すようにカラートレンド

グラフで実時間表示するオンライントレンド表示,(C)この表

示データをトレンドデータファイルに収録L,後で必要な部

分をトレンドグラフ表示するヒストリカルトレンド表示,(d)

図10に示すように制御プロ、ソク凶と実時間データ表示を同時

に行なうオンラインモニタの四つの機能を設けた。オンライ

ントレンド表示では図9に示すように複数台のコントローラ

の信号(点番号)を一一画面に6′在までアナログ信号とディジタ

ル信号を混在させて表示できるようにするとともに,制御パ

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Page 6: ユーザーオリエンテッドのDDC向け プログラミング …田 DDCプログラムの記述言語とソフトウェア構造 3.1DDCプログラム記述言語 DDCプログラムを記述する方式とLては,(1)機能ブロック

462 日立評論 VOし.68 No.6=986-6)

図8 関数発生マクロ命令のパラメータ表示例 関数発生マクロ命

令のパラメータ設定時のCRT表示画面の例を示す。実線が現状の設定カーブ,破

線が入力データの確認表示カーブを示す。設定指令を入力することにより,パラ

メータが実際に書き替えられる。

注:*1CTし.No.(コントローラNo.) *2 PT.No.(点番号)

*3 NAME(信号名称) *4 VALUE(現在値)

仕様

画 面 数(6ページ)

トレンド点数〔ページ当たり6点(6色)〕

画面当たり表示時間(6分,12分,30分,1時間,6時間から選択1

画面スクロール(全画面左方向,÷画面左方向,÷画面左方向から選択)

表示スケール(各点につきゲイン,オフセット値可変)

図9 オンライントレンド表示例 ページNo.を指定することにより,

あらかじめトレンド項目設定機能で指定された点番号のデータを,lページ当た

り最大6点(6色)までトレンドグラフで表示する。各点の現在値も数値更新表示

する。また,この機能の中で,マクロ命令の制御パラメータのチューニングが行

なえる。

ラメータの調整をトレンドグラフと同一画面上で芦別御応答を

見ながら行なえるようにした。ヒストリカルトレンド表示で

は,試運転記三録の整理や異常現象の解析などの用途を想定し,

トレンドデータファイルはデータサンプリング周期を2秒と

して最大30点のデータを8時間分収録できるようにした。i欠

に,オンラインモニタでは,図川に示すように利子卸ロジック

の動作状態やシーケンスの渋滞状況をチェックしやすいよう

に,最大9点の信号の数値表示と制御ブロック図のディジタ

ル信号線の色変更を行なわせるようにした。また,オンライ

ンモニタの中で制御ブロック図中のマクロ命令の制御パラメ

ータをカーソル指定により容易に変更できるようにした。

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図10 オンラインモニタ表示例 選択表示Lた制御ブロック図のディジ

タル信号については,論理値l,0に対応して数値を信号線近傍に表示するとと

もに,信号線の亀をそれぞれ黄.緑で色別表示する。また,最大9点の信号を,

二の表示と平行Lて画面下方に数値で更新表示することができる。

(5)コントローラステータス制御

DDCプログラムを,プログラムライト機能でコントローラ

のメモリに書き込む場合などに,コントローラのスイ・・ノチを

直接操作しなくてもリモートモードでスタンバイ(停止)にし

たり,書き込み完了後にラン(動作)させたりすることができ

るように本機能を設けた。

b 結 言

新監視制御システムHIACS-3000を構成する高機能形コン

トローラによる制御を統一言語と保守ツールを用いて構築・

保守できるようにすることを目的として開発したDDC向けシ

ンボリック言語とエンジニアコンソールの機能,実現手段及

び開発思想について述べた。本開発の結果,火力発電制御シ

ステムの(1)低速制御から高速利子卸,(2)調整利子卸とシーケンス

制御,(3)異なる利子卸対象の制御のすべてを,統一言語を用い

てプラントエンジニアでも容易に構築可能となるとともに,

これら利子卸を行なうコントローラ群を統 一保守ツールを用い

ることにより,システムのMTTR(Mean Time to Repair)

を従来のナにすることができるようになった。今後とも,新規ニーズを反映してより使いやすいものとするため,機能及

び性能の充実を図っていく考えである。

参考文献

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東,外:蒸気タービン用ディジタ′レ式電子油圧式ゲバナ,日立

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