デンマークのフューチャーセンター...

ヘルスケアビジネスにおけるフューチャーセンター及びリビングラボの可能性

紺野　登多摩大学大学院

知識イノベーション研究所 (KIRO) Japan Innovation Network

2015 (c)N.Konno, KIRO Please Do Not Copy.

http://mind-lab.dk/en/case/vaek-med-boevlet-for-unge-arbejdsskadede/

デンマークのフューチャーセンター　MindLabのプロジェクト：労災時のコミュニケーション問題にデザイン思考でアプローチする

Future Centerとは

• 欧州の企業、政府・自治体などが主導してはじまった運動であり、現状の問題解決アプローチでは対処できないような社会的事象や課題に対して、未来的視点から対話を行い、イノベーションを実践するための場所、機能の総体を指す

• オランダ、デンマーク、フィンランドなど北部ヨーロッパの政府が積極的に取り組む

• フューチャーセンター、イノベーションセンター、リヴィングラボのような幾つかの側面を持つ場所、機能を含む

• FCは官や民間企業、自治体、コミュニティ、生活者などが特定の課題について、変化を起こすための実践の方法を討議する場と仕組み、機能の総体を意味する。

• 問題を現時点の状況としてとらえるのでなく、5年10年といった将来的な時間軸から逆向きに現在をみて、たとえば本来あるべき状態や障害を考える、実験のやり方を考える、というプロセスを追う。

http://mind-lab.dkwww.dialogueshouse.nl/


【フューチャーセンター、イノベーションセンター、リヴィング・ラボ：Future Center, Innovation Center, Living Labs】

• FC研究会では、フューチャーセンターだけでなく、イノベーションセンターやリヴィング・ラボなどの場・活動を合わせて、いずれも知識社会における企業、共同体、都市の「場の革新」であり、最終的には社会・経済のイノベーションを生みだす一連の活動としてとらえています。

• つまり「フューチャーセンター」は単なるイベントではなく、①企業、②国・自治体、③共同体・市民、④教育機関等を結ぶ場(boundary object)。「イノベーションセンター」は企業の技術と社会を繋ぐオープン・イノベーションの場。「リヴィング・ラボ」は以上から生まれるプロトタイピングのための社会的実験の場であり、これらは関連したものだといえます。

• こういった視点から、研究会ではこういった場においてソーシャルなテーマを本来はどう取り扱うべきか、イノベーション政策においてはいかに位置づけられるべきか、などのテーマに取り組んでいきます。


対話の場： ①フューチャーセンター ②イノベーションセンター ③リヴィングラボ

フューチャーセンター

イノベーションセンターリヴィング・ラボ

３つのプラットフォームの連携モデル

www.dialogueshouse.nl/

http://www.ili-lighthouse.nl/RoadmapEhv2030EN.htmlhttp://josephbihag.com/3m-innovation-center/

オランダ政府・環境省・水利運輸管理庁の Future Center LEF


写真提供：LEF

日本でも最近フューチャーセンターセッションといったイベントが盛んだが、実は重要なのはイベントでなく、仕組みやプロセス、場所である。

社会イノベーションのための対話の場

フィンランド／欧州　イノベーション・キャンプ


ただ未来を語っても・・・ • その場が楽してくても • 現実は厳しい • 予測はあたらない・意外性や偶然性単にワークショップでイベントを

行って、未来を描くのでなく、変化を起こす主体者間が場を共有して対話する

肯定的世界観

否定的世界観

現実的空想的

⚪⚪の未来を語ろう

（はやとちり・楽天的？）歴史を構想し世界制作する力

現状の問題解決型対処・過去の辛い記憶の再現・受動的対応

恐怖訴求・強迫観念

一方、暗いシナリオを描いてただ危機に備えても・・・現実的で創造的な未来を描くのが一番難しい

大学を拠点に研究・教育・イノベーションの連携を行い、自治体、コミュニティと協業して社会イノベーション（特定地域を対象としたイノベーション）を行い、他地域に広げていく

Aalto Camp for Societal Innovation (ACSI)

https://www.youtube.com/watch?v=h48LpeWF8RU

• ヘルスケアにもこういったアプローチは不可欠：もはやヘルスケアの専門家だけでは解決できない複雑な社会的問題だと認識される

デンマークのフューチャーセンター MindLab

• 産業省、教育省、雇用省の３つの省の横断的なフューチャーセンターであり、人間中心のデザイン思考（design-centred thinking）によって社会的革新を志向する官民フューチャーセンター

• ヘルスケアなどのパブリックセクターのイノベーションをテーマとして活動する

COHERENT PATIENT EXPERIENCEIt is a little disorientating where you are you are supposed to go. And nobody gets up to greet you, or welcome you or anything – you have to knock and it feels a little like your presence is an inconvenience. Patient in the clinic

http://mind-lab.dk2015 (c)N.Konno, KIRO Please Do Not Copy.

• デザイン思考の活用：デザイナーや人類学者の方法を用いて、ユーザーあるいは顧客の参与観察からはじめる問題発見、共同作業的な問題解決、さらには従来の仕組みを超える新しいやり方を生み出す方法論。


自治体・ NPO・コミュニティがリビング・ラボ（社会実験活動）のネットワークを形成し、知識共有、共創を行う

欧州リビング・ラボ

• リヴィングラボは社会実験のための活動だが、欧州では経済危機もあり、コミュニティの再生、イノベーションが大きな課題で、こういった試みが盛んである。 • 背景には既存のトップダウン的ヘルスケアサービスの限界があり、ボトムアップ的なアプローチが志向されていることがある

ヘルスケア・エコシステムのグローバルネットワーク構築の呼びかけ

「ヘルスケア制度の持続性を脅かす挑戦は、世界のいかなる国の能力をも超えるもので、さらに困難さは増すばかりである。

Fred Hosea氏

Kaiser Permanente（米国最大の非営利医療法人）プログラム・ディレクター


Kaiser Permanenteは1945年に設立の米国最大のマネージドケアサービスのコンソーシアム。医療基金、病院、その他の地域の医療サービスからなり18万人以上のスタッフ、約420億ドルの収入(2009)の組織体

ヘルスケア分野においてはコラボレーション、「対話」は不可分に

• 欧州だけではない。米国もこういったデザイン思考を用いたイノベーションの場が重視されている。メイヨ―クリニックやここで紹介されているカイザーパーマネンテのイノベーションセンターは有名である。

• 彼らは社会生態学的理論をどうやって共同体の健康増進に応用するかといった視点で、グローバルにヘルスケアエコシステムのネットワーキングを提唱している。


ヘルスケア・イノベーションのための対話、プロトタイピング、実験の場

http://www.kaiserpermanentejobs.org

• カイザーパーマネンテはオークランドにイノベーションセンターを持って活動している。背後には、デザイン思考がある：こういった場は、単にスケアサービスにとって手段として有効だというのでなく、現代のヘルスケアの本質が、多くの関係者の対話にとって進められるものだということ

三菱地所

東京急行電鉄

富士通

ダイキン工業

コクヨ

経済産業省

日建設計(日建設計総研）

京都工芸繊維(NEO)

IKLS（組織）

住田孝之（経産省）

ハンク・クーネ(FCA,Educore)

レイフ・エドヴィンソン(ルンド大学）

地域戦略の核としての場

オープンイノベーション創発としての場

問題解決としての場

リーダーシップ育成の核としての場

グローバルイノベーションネットワークとしての場

産官学／PPPP の新しい機能としての場

オフィスの新しい機能としての場

知識都市の交流機能としての場

新たな経済／社会の交流機能としての場

都市産業

グローバル社会

人材

多様な交流拠点としての場

フューチャーセンター研究会(FCSG)の構成（会員情報は2014.6）

•フューチャーセンター •イノベーションセンター •リヴィングラボ　などを具現化する官民、企業間、地域間ネットワークによるイノベーションの場の具現化・支援のための研究と実践

富士通エフサス

ベネッセコーポレーション

ICMG

日本政策投資銀行

東京大学 i.school

JIN(Japan Innovation Network)

フューチャーセンター®・イニシアティブ

FCA(Future Center Alliance)

JT

多摩大学大学院

Future Center Alliance Japan

徳島大学

© 2014 Noboru Konno, KIRO

博報堂

UDS

富士ゼロックス

文部科学省

慶應義塾(system design management)

日東電工

資生堂

日本における試み

• 日本にもこういったフューチャーセンター，イノベーションセンターが増えている

三菱地所

東京急行電鉄

富士通

ダイキン工業

コクヨ

経済産業省

日建設計(日建設計総研）

京都工芸繊維(NEO)

IKLS（組織）

住田孝之（経産省）

ハンク・クーネ(FCA,Educore)

レイフ・エドヴィンソン(ルンド大学）

地域戦略の核としての場

オープンイノベーション創発としての場

問題解決としての場

リーダーシップ育成の核としての場

グローバルイノベーションネットワークとしての場

産官学／PPPP の新しい機能としての場

オフィスの新しい機能としての場

知識都市の交流機能としての場

新たな経済／社会の交流機能としての場

都市産業

グローバル社会

人材

多様な交流拠点としての場

富士通エフサス

ベネッセコーポレーション

ICMG

日本政策投資銀行

東京大学 i.school

FCA(Future Center Alliance)

JT

多摩大学大学院

徳島大学

© 2014 Noboru Konno, KIRO

博報堂

UDS

富士ゼロックス

文部科学省

慶應義塾(system design management)

日東電工

資生堂課題探究

目的設定

対話の場の横連携社会実験

成果創出

企業間FCの観点

地域間FCの観点

官民間FCの観点

フューチャーセンター研究会(FCSG)の構成（会員情報は2014.6）

Future Center Alliance Japan

関連イニシアティブ



JIN(Japan Innovation Network)




日本における試み

NEXUS by DBJ：関西発ヘルスケア・エコシステムの試みダイキン

日東電工

サントリー

シオノギ製薬大阪ガス

阪急阪神電鉄

DBJ+FCAJ


企業間で対話の場を提供し、未来・広域のヘルスケア・エコシステムを志向するフューチャーセンター機能を果たす

写真は各社HPなどより

　　関連活動のひとつ：ヘルスケアに直接間接に関わる企業が関西の地盤沈下に対抗してイノベーションを起こそうと新たなモデル的試みを始めている

フューチャーセンター®：対話の場とプロセス

関連当事者・関係者コラボレーション

対話記録

コアチーム

アジェンダ

オブザーバーチーム

専門家パネル（シンクタンク機能）

（ファシリテーター）

基調スピーカー

ロードマップ

事前準備活動事後支援活動協議

（賛否両論）未来視点草案（常識吟味）

了解（判別）

知識共有

集合知：得られた知見• 新方式 • 方法革新 • 問題解決

ファシリティ（場）

1: Familiarisation（親しむ）

2: Contracting（請け負う）

3. Design（設計する）

4. Implementation（実行する）

5. Evaluation（評価する）

6. Application（応用する）

7. Integration（統合＝浸透する）

•まず何よりも「結果を出す」場所であること

•五感を刺激すること（日常からの切り替え）

•物理的に柔軟なミーティングスペース

•カルティベータ、ファシリテータ等の場のリーダーがソフト面で求められる •カルティベータ、ファシリテータ等を支援する機能･設備･什器が求められる •グループワークの場であると同時に、個人作業も可能であること（集中ゾーン） •ライブラリ機能、外部へのインターネット･アクセス機能の充実

プロセス2015 (c)N.Konno, KIRO Please Do Not Copy.

(予定調和的）対話イベントが目的でなく実践的に議論すること

こういった場では単なるイベント・セッションではなく、プロセス、仕組みが重要

創発的対話の方法としてのデザイン思考

仮説（シナリオプランニング等）現状の状況や文脈とは異なる場を想定してそこでの展開を考える

探索（フィールドワーク等）野外観察：空想で考えず現地現物現場の当事者を観察し課題を発見する

試行（プロトタイピング等）シミュレーションなどを通じて実践的に議論する

フューチャーセンターイノベーションセンター

リヴィング・ラボ

場(ba, topos)


賛否両論

常識の吟味判別

単にイベントで未来を語るのでなく、現実の観察から仮説を立て（賛否両論含めて）、ただ議論するのでなく、プロトタイピングを通じて試行・実験していくプロセスの中で対話を軸とする。

問題を解決するのではない：われわれの試みは一体何のためで（目的）、どのような結果（アウトカム、インパクト）をもたらすのか、行為の結果が最大化するための手段を選択判断する。

こういったプロセスを実践していく上での場・場所の役割は大きい。

www.dialogueshouse.nl/

http://www.ili-lighthouse.nl/RoadmapEhv2030EN.html

http://josephbihag.com/3m-innovation-center/

以上の一連の試みはより大きな公共部門のイノベーションとして重要と考えられる

Thank You Future Center 研究会

ホームページ http://future-center.org

フェイスブック https://www.facebook.com/jp.futurecenter?ref=bookmarks

「フューチャーセンター」(Future Center)はKIRO（株）の商標登録です。「フューチャーセンター」商標は国内でKIRO（株）が所有しておりますが、オープンソースとして、共通の目的や役割を相互に展開する場として利用したいと思っております（無償商標ライセンス）。


https://www.facebook.com/jp.futurecenter?ref=bookmarks

デンマークのフューチャーセンター...

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