オープンデータと日本のイノベーション · •...

2013/2/24

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Copyright © 2013 NTT DATA Corporation

オープンデータと日本のイノベーション

2013年3月7日株式会社NTTデータ

高木聡一郎

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「データ」の蓄積

データ

日常生活の様々な場面をITがサポートしており、それに伴いデータが蓄積されている。

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無形資産の重要性

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1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

情報化資産ストック（ソフトウェア、データベース）の推移（兆円）

Source: JIP database 2011

経営資源としての無形資産の重要性は増しており、情報化のための資産も右肩上がりに増加。


イノベーションの民主化

開発ツールやサービス提供プラットフォームの普及により、個人レベルでもアプリケーション開発・サービス提供が可能に

https://developer.apple.com/xcode/ http://www.eclipse.org/ http://developer.android.com/sdk/index.html

https://play.google.com/store/apps?feature=corpus_selector https://itunes.apple.com/en/genre/ios/id36?mt=8

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公共経営の視点から

少子高齢化による財政難行政コスト削減の必要性公共的課題の複雑化

行政のリソースだけではこれまで行政が果たしてきた役割を担い切れなくなる

そこで

厳しい財政環境の中で、社会的課題を解決し、公的サービスの質を維持・向上させていくためには、「行政の役割自体のオープン化」が必要。

電子行政の役割が「行政業務の電子化」から

社会システムの革新を実現する基盤へと変化

民間が共に公的サービスを担える可能性の拡大（BPO、PFI、PPP）

公的サービスの質を維持・向上させていくためには、多様な担い手の連携よる公的サービスの実現・社会課題の解決が必要であり、行政の役割自体のオープン化が必要。


政府のオープン化：業務運営フェーズ

情報連携を基盤として、官民が互いの活動をコーディネートし、共通の公共的目標に向けたサービス提供

官民が互いに収集・管理する情報を、電子的に連携できる仕組みを構築し、それぞれの活動に役立てる

官民の関係者がアドホックに情報を交換し、それぞれの活動に役立てる

公共的な業務運営、社会的課題の解決のためには、政府と民間の情報連携を基盤とした、サービスの連携・統合が必要となりつつある。

サービス連携型

情報連携型

情報交換型

連携の高度化（統合度）

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オープン（ガバメント）データの目的

透明性の向上

公共サービスの向上

経済の活性化

公共データの公開・利活用

公共データの公開・民間での再利用による、透明性の向上、経済の活性化、公共サービスの向上


世界のオープンデータ・ポータルサイト

英国フランス http://data.gov.uk http://data.gouv.fr

世界のオープンデータサイト開設国

世界30ヵ国が開設済み OECD、国連など国際機関もデータポータルを開設。EUも開設予定。

Source: data.gov(US)

欧米諸国では公共データを公開するポータルサイトが整備されつつある。自治体での取り組みも多い。

パリ市 http://opendata.paris.fr

米国 http://www.data.gov

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諸外国での取り組みの歴史

オープンガバメント・ライセンスの制定

EUレベル 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

●

PSI利活用に関するEU指令

●

INSPIRE指令マルメ宣言

●

欧州デジタルアジェンダ

●

欧州オープンデータ戦略

●

EU指令の改定作業中

英国

フランス

ドイツ（ベルリン）

推進体制の確立（OPSI）

data.gov.uk開設

Etalabの設立 PSI提供指針

ライセンスの制定

大統領演説 data.gouv.fr開設

daten.berlin.de開設

ニーズ調査、ラウンドテーブル

Berlin Open Data Day

Re-use of PSI Regulations

●

透明性原則、透明性アジェンダ

首相演説

各国では、データ提供＆利活用サイクルを立ち上げ、次の実質化フェーズへと入っている。

米国

オープンガバメントに関する覚書、data.gov開設

Recovery.gov USAspending.gov IT Dashboard

電子政府新戦略

Challenge.gov


最近のデータ提供＆利活用事例

コミュニティ・地方自治省が保有する自治体の情報を提供

様々な指標を国の平均と比較して表示

Linked Dataフォーマットでデータが提供されており、SPARQLエンドポイントも提供。

Local Authority Dashboard Spogoによるスポーツ施設情報の提供

政府機関のSport Englandが保有するスポーツ施設情報を活用

フィットネス産業協会がSport Englandと共同でスポーツ施設を検索できる機能を提供（いずれ予約機能も提供予定）

ITO World社の交通案内サービス

ロンドンのリアルタイム交通データを活用。

地下鉄の運行情報から、電車が止まった際の代替ルートや所要時間を提供。

リアルタイム性の高いデータの活用も見られる。

Next Bus London for iPhone

ロンドンのバス運行情報を利用したサービス。

バスの現在地を地図上に表示したり、停留所ごとに次のバスが来るまでの時間を表示する。

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http://en.wikipedia.org/wiki/File:Flag_of_the_United_States.svg

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オープンデータ活用事例データベース

http://okfn.jp/2013/01/21/opendatacases/


データフォーマット

http://5stardata.info/

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LOD×オープンデータ実装例

http://www.legislation.gov.uk/


LOD×オープンデータ実装例

http://opendatacommunities.org/dashboard/local_authorities/metropolitan-district-council/manchester

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電子政府におけるAPI連携

http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/omb/egov/digital-government/digital-government.html


ＡＰＩ連携の事例

復旧・復興支援制度ＤＢ（ＡＰＩ提供）ロンドン交通局ＨＰの開発者向け情報

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データの品質の５スターは？

http://www.rieti.go.jp/jp/database/JIP2012/index.html

無駄のないデータ構造

時系列

標準化された項目

データ内容の解説

日本産業生産性(JIP)データベース


オープンデータ推進のプロセス

戦略立案推進体制の確立

著作権の整理

内部処理制度化検討

ニーズ調査イベントの開催

ポータルの整備データ公開

対象データの選定

大方針の設定と推進部局の設定透明性アジェンダ（英）、大統領演説（仏）、オープンデータ・アジェンダ（ベルリン）。 Office of PSI（英）、Etalab（仏）

再利用の促進を促すためのライセンスの設定、免責事項の検討 Open Government License（英）、Open License（仏）、Open Data Commons（OKF/パリ） Creative Commons（CC/ベルリン）

データ公開手順、フォーマット等の規定 PSIの利活用に関する指針（仏）：各省庁に担当官の設置を義務付け。組織間の業務分担やデータのフォーマット等についても規定。情報公開法との対応

民間ニーズの把握、啓発イベントの継続的開催等。ニーズを継続的に取り込む体制の整備ニーズ調査、ラウンドテーブル（ベルリン） Dataconnexions（仏）

公開するデータの選定出しやすいデータ、ニーズの高いデータを優先的に選定

継続したデータセットの充実、民間アプリケーションの登録、より良いポータルの模索

インキュベーションイノベーションの具現化

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日本の取り組み：国

オープンデータ流通推進コンソーシアムアイデアボックス＋データポータル

http://www.opendata.gr.jp/

http://opendata.openlabs.go.jp/

http://datameti.go.jp/


イノベーションの類型

イノベーション

プロダクト・イノベーション

プロセス・イノベーション

• iPod/iPhone • ハイブリッド車 • 電子書籍 • Suica

• カンバン方式 • アウトソーシング • オフィス改革 • ナレッジ・マネージメント

• 乗換案内アプリ • データクレンジングサービス

• 地域安全の向上サービス

• 出店計画の精緻化 • 不動産価格の設定 • 円滑な物流・配送 • より効率的な税金の使い方等

類型一般的イノベーション

イノベーション with

オープンデータ

イノベーションには大別して新製品・サービスの開発と、プロセスの改善があり、オープンデータは双方に活用可能

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ベンチャー育成への２つの壁

技術の壁事業の壁

参考：西澤昭夫「NTBFｓによるハイテク産業形成の条件」RIETI Policy Discussion Paper Series 10-P-017を元に筆者作成

無顧客状態での投資

販売実績なし

創業資金不足

既存事業との競合（イノベーターのジレンマ）

一般的にベンチャー企業育成には2つの壁があり、それを解決するための仕組み（イノベーション・システム）が検討されてきた。

公的研究開発新産業の集積

ベンチャーキャピタル


オープンデータにおけるイノベーション・システムの特性

• 技術の普及により参入障壁が下がり、プロトタイプ構築が容易に • プレイヤーのパーソナル化に伴い、マネタイズにとらわれない社会的課題解決の側面 • プロトタイプからいかに育てていくか（インキュベーション）が重要

開発環境の普及・低価格化

クラウドによるホスティング・ストレージ

サービス提供プラットフォームの

普及

個人レベルでの開発技術の壁事業の壁

社会課題の解決

新規ビジネスの立ち上げ

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英国：Open Data Institute

起業家へのメンター機能（サポート、アドバイス）教育プログラム（技術＋経営）⇒サウサンプトン大学を拠点

政府が立ち上げ資金（1000万ポンド＝12.6億円）を当初5年間拠出

11月にオープニングイベントとしてハッカソンを開催予定。

“ODIは、ビジネスや公共の文脈でオープンデータを活用することが最も有望である分野の小企業に対して、その立ち上げの過程で集中したサポートを行います。この対象となるビジネスは、年一回の公開のODI主催のコンペティションにより選ばれます。”

インキュベーション＋教育プログラムの提供のため、政府出資によりオープンデータ・インスティテュートを設立。

http://www.theodi.org/


ハッカソン世界同時開催

https://opendataday.crowdmap.com/main

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利活用推進ロードマップの仮説

インキュベーションアイデアソンハッカソンコンテスト

アウェアネス

マネタイズ的利活用

幅広い普及啓発

分野別検討

分野別検討

ビジネス化支援時間

重要度

利便性向上・試行的利活用


オープン・イノベーションの観点から

内部のデータ

外部へのデータ提供

外部のデータ

アウトサイド・イン

インサイド・アウト

規模の経済性

範囲の経済性

出典：Henry Chesbrough, 2004を基に筆者改変

政府・企業

データの質

目的の整理

外部データの利活用には「データの質」、データの外部提供には「目的の整理」が重要。

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知識創造とコミュニティの重要性

オープンデータの推進を実践・表明している地域

• スキルの多様性：技術、経営、社会課題 • 知識共有：利活用アイデア、ツール・ソースの共有、データ公開 • クリエイティブ産業の育成・集積へ



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