家の中にはこんなにたくさんのダニが!! アレルギー...
TRANSCRIPT
●アレルギー体質の方、乳幼児、寝たきりの方がいる家庭は、日常
のダニアレルゲン対策が必須です。
● ダニは人が生活するところには必ずいますので、ダニアレルゲン
対策としては清掃、洗濯、布団干し、換気を励行し、アレルギー
に影響しないレベルにまでダニを減らすことが重要です。
● 健常な方にとっては、ダニアレルゲン対策は、さほど神経質にな
る必要はありません。
1 ダニとはどんな生物ですか?
2 ダニはどこにいますか?
3 家の中にもダニはいますか?
4 チリダニはどんな条件で増えるのですか?
5 家のどこにチリダニは多いですか?
6 チリダニの餌は何ですか?(当所での検討を中心に)
7 ダニはアレルギーと関係ありますか?
8 チリダニはどうしてアレルギーを起こすのですか?
9 ダニとアレルゲンを減らすにはどうしたら良いですか?
家の中にはこんなにたくさんのダニが!!
アレルギーの原因物質もこんなに…!
今日お話する内容
公開セミナー資料
今日お話したことの結論!
■ 昆虫ではなく、クモに近い仲間です
■ 雪と氷の世界以外、地球上、どこにでもいます
■ 日本で見つかっているダニの種類は約 2000 種(多くは土の中にいます)です
■ 土の中にいるダニは汚物、枯れ葉など(有機物)の分解に関与→地球の環境
浄化に貢献しています。
■ 屋内から見つかっているダニは 100 種以上います。
■ 多くの種類は小さくて見えにくい(多くが 0.25~0.75mm。マダニ、タカラダニなど
は大きい)。
■ 土の中にいるダニ (数と種類は1番多く、環境浄化に貢献)
:ササラダニ類、ヤドリダニ類、マヨイダニ類、カザリダニ類‥
■ 庭や壁に出現するダニ :タカラダニ類
■ 水の中にいるダニ :ミズダニ類
■ 動物について吸血するダニ :マダニ類、イエダニ類、トリサシダニ類、ワクモ
類、ツツガムシ類
■ 植物につくダニ :ハダニ類
■ 人(動物)の皮膚の中にいるダニ :ヒゼンダニ類、ニキビダニ類
■ 食品につくダニ :コナダニ類、サトウダニ類、ニクダニ類‥
ダニとはどんな生物?
ダニはどこにいますか?
マダニ
約2mm
市街地にもいて、吸血します。感染症を媒介することがあります。
タカラダニ
約1~1.5mm
5月頃から、庭や壁に出現します。
部屋の中にいるダニ:チリダニ類、コナダニ類、ニクダニ類、ツメダニ類‥
アレルゲンになるチリダニと人を刺すツメダニが特に問題になります。
ハウスダストから見つかるダニの種類
チリダニ コナダニ ニクダニ ツメダニ ホコリダニ ササラダニ
% 86.7 3.3 2.3 4.5 0.7 5.0
● 気 温:高 温
25~30℃(10~35℃で発育可能)
→10℃以下、50℃以上では発育不可、死滅
● 湿 度:多 湿
60~80%
→50%以下では発育不可、死滅
● 餌 :屋内塵(ハウスダスト)、フケ・アカ、
食品カス、昆虫の死骸、カビ
● 産卵場所:潜入スペースがある布団、じゅうたん、タタミなど
チリダニはどんな条件で増えるのですか?
チリダニチリダニアレルゲンになり、フケなどを食べます。
約0.3mm
未消化物(フン):0.02mm以下
ツメダニ
ツメ(触肢)
鋭いツメとハサミがあり、刺します。チリダニなどの体液を吸います。
約0.4mm
ハサミ(鋏角)
■ 布団の中はダニが特に多い!
30年前に比べ、今の日本の住まいはダニにとって好条件!
部屋の中のダニの数は、約3倍に増えました
チリダニのの一生
卵卵
幼虫幼虫
若虫若虫
雄成虫雄成虫雌成虫雌成虫
ふ化 脱皮
脱皮産卵
約10日約1週間
約20日
約2ヶ月生存
家のどこにチリダニは多いですか
5ウレタン布団・表面
4~231
45~2,57423~1,658
25~4,263範 囲
58毛布
16防ダニ布団
1,500ウレタン布団・内部
約100,000(死骸が多い)
敷き布団(綿)・内部
100敷き布団(綿)・表面
30枕
69マットレス
平 均寝具
5ウレタン布団・表面
4~231
45~2,57423~1,658
25~4,263範 囲
58毛布
16防ダニ布団
1,500ウレタン布団・内部
約100,000(死骸が多い)
敷き布団(綿)・内部
100敷き布団(綿)・表面
30枕
69マットレス
平 均寝具
( 匹/1m2あたり)
ダニ数は使用年数、干し方、洗い方等によって異なります
■ タタミ、じゅうたんの中にもダニが多い!
■ハウスダスト、フケ・アカを餌にダニを飼育しました。
約50,000タタミ(内部)
8~2481
14~57
範 囲
400ぬいぐるみ
162ソファ
29セーターその他
110,000じゅうたん(内部)
500じゅうたん(表面)
35床
700タタミ(表面)
平 均床材
約50,000タタミ(内部)
8~2481
14~57
範 囲
400ぬいぐるみ
162ソファ
29セーターその他
110,000じゅうたん(内部)
500じゅうたん(表面)
35床
700タタミ(表面)
平 均床材
( 匹/1m2あたり)
ダニ数は使用年数、干し方、洗い方等によって異なります
チリダニの餌は何ですか?(当所での検討を中心に)
用いたハウスダストNo.1:A宅No.2:B宅(空き家)No.3:C宅No.6:B宅にフケとアカを加える
図 ダニの生育試験 (温度25℃、湿度65%)
冷凍保存後のハウスダスト 5g チリダニ(メス)
20匹
フタ(網目)
50mLポリ容器
■ 家庭のゴミでダニの増え方が違う?
No2 は空き屋のハウスダストを餌にしてダニを飼育した場合で、ダニはあまり増えていませ
ん。No1、No3 はふつうに暮らしている家のハウスダストを餌にして飼育した場合で、ダニ
の数が 15 週後には 10000 前後に増加しています。
■ フケとアカはダニの大好物?
No2 は空き屋のハウスダストを餌にして飼育した場合で、最初 4匹だったダニ数はあまり増
図 世帯ごとのダニ数の変化
1
10
100
1000
10000
初期値 4週 7週 10週 15週
経過日数(週)
ダニ数(匹/g塵)
No .1
No .2
No .3
図 フケの添加とダニの増加
1
10
100
1000
初期値 4週 7週 10週
経過日数(週)
ダニ数(匹/g塵)
No .2
No .6
えていませんが、空き屋のハウスダストにフケとアカを加えて飼育した No6 の場合は、ダ
ニの数が約800匹に増加しました。フケとアカはダニのよい餌になることがわかりました。
■アレルギーとは気管支喘息、アトピー性皮膚炎、鼻炎、結膜炎などをいいます。
■日本人は、3人に1人がアレルギー症状をもっています。
■アレルギー患者の8割以上は、ダニに陽性反応を示します。
■ダニが原因のアレルギーが、小児を中心に増えています。
■屋内塵(ハウスダスト)の中にいるチリダニがアレルギーと関係します。
■チリダニのフン、抜け殻、死骸、すべてがアレルゲンになります。
■ダニがいなくなっても、ダニのフンや死骸は残ります。
■ 2つのアレルゲン(タンパク質)を持っています(アレルゲンとはアレルギーを起こ
す物質をいいます)。
フン由来のアレルゲンを Der 1、虫体由来のアレルゲンを Der 2 といいます
Der とは、学名(Dermatophagoides) の頭文字です
■ 部屋の中のダニの数は非常に多く、1軒の家に数百万~数億匹いると推測さ
れます。
■ 細かく砕かれたダニのフンや死骸を吸い込むことになどにより、喘息やアトピー
性疾患などのアレルギーを起こします。
■喘息発作を起こすとされるダニアレルゲン量(WHO の汚染基準値)
できれば、2μg/g 塵(ダニ
100 匹相当)以下にするこ
とが理想です。
ダニはアレルギーと関係ありますか
チリダニはどうしてアレルギーを起こすのですか?
*:白血球などの細胞が異物を排除しようとして働くこと
2μg/g塵(ダニ100匹相当)感作*
10μg/g塵(ダニ500匹相当)発作
Der 1量
2μg/g塵(ダニ100匹相当)感作*
10μg/g塵(ダニ500匹相当)発作
Der 1量
*:白血球などの細胞が異物を排除しようとして働くこと
■ 家庭によりゴミ中のアレルゲンがこんなに違う!
市民の方のご協力の結果、ハウスダスト中のダニ数、アレルゲン量は家庭によってバラツ
キのあることがわかりました。
■アレルゲン量は基準値を超えているのか?
当所が行った 34世帯の調査
では、44%の世帯が WHO の
汚染基準値 10μg(500 匹相
当)以上のアレルゲン量を
示しました。
図 ハウスダスト(屋内塵)中のダニアレルゲン量
0
10
20
30
40
5060
70
80
90
100
1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33
世帯No.
Der 1(μ
g/g塵)
29
77
65
121 124(ダニ数;1472 匹)
192 98(ダニ数;2290 匹)
36(ダニ数;6972 匹)
調査数;34 世帯
(当所の調査より)
10μg以上
2-10μg
2μg以下
44%
38%
18%
図 34世帯のアレルゲン量の分布割合
■ダニの数とアレルゲン量は関係あるの?
当所で実験したところ、アレルゲン(Der1)量 2μg では 70 匹、また 10μg では 400 匹
となり、WHOの汚染基準にほぼ相当した結果となりました。
■家庭によりアレルゲンの増え方が違うの?
No3 は空き屋のハウスダストで飼育されたダニのアレル
ゲン量であり、No1,No2 はふつうに暮らしている家のハ
図 ダニ数とダニアレルゲン量の関係
0.1
1
10
100
1000
0.1 1 10 100 1000 10000
ダニ数(匹/g塵)
Der 1(μg/g塵)
R2=0.597
10μg(喘息発作)
2μg(喘息感昨)
70匹 400匹
図 世帯ごとのダニアレルゲン量の変化
0.1
1
10
100
1000
初期値 4週 7週 10週 15週
経過日数(週)
Der Ⅰ(μg/g塵)
No .1
N0 .2
No .3
図 世帯ごとのダニ数の変化
1
10
100
1000
10000
初期値 4週 7週 10週 15週
経過日数(週)
ダニ数(匹/g塵)
No .1
No .2
No .3
(当所の実験結果)
(当所の実験結果)
(当所の実験結果)
ウスダストを餌にして飼育されたダニのアレルゲン量です。ダニ数の増加に従いアレルゲ
ン量も増加しています。
■フケとアカがアレルゲンを作っているの?
フケとアカを加えるとダニ数、アレルゲン量が増えています。
■ 布団にはアレルゲンも多い!
布団は床に比べて、ダニ
の数も多いのですが、ア
レルゲン量も多いこと
がわかります。
ですから、出来るだけ
ダニの数を減らしまし
ょう!
(坂口ら、1997 から作成)
35.5
図 フケの添加とダニアレルゲンの増加
0.1
1
10
100
初期値 4週 7週 10週
経過日数(週)
Der Ⅰ(μg/g塵) N0 .2
No .6
図 フケの添加とダニの増加
1
10
100
1000
初期値 4週 7週 10週
経過日数(週)ダニ数(匹/g塵)
No .2
No .6
図 床と布団中のアレルゲン
0
5
10
15
20
25
30
35
40
床 布団
アレルゲン(μg/g塵)
2.0
1,500ウレタン布団・内部
14~574~231
45~2,57423~1,65825~4,263範 囲
100敷き布団(綿)・表面
35床床材
16防ダニ布団
5ウレタン布団・表面
約100,000(死骸が多い)
敷き布団(綿)・内部
58毛布
69マットレス
平 均寝具
1,500ウレタン布団・内部
14~574~231
45~2,57423~1,65825~4,263範 囲
100敷き布団(綿)・表面
35床床材
16防ダニ布団
5ウレタン布団・表面
約100,000(死骸が多い)
敷き布団(綿)・内部
58毛布
69マットレス
平 均寝具
35.5
(匹/ 1m2あたり)
(当所の実験結果)
(当所の実験結果)
■布団の上げ下げ時、睡眠時に注意!
清 掃:部屋の掃除機がけは、原則毎日行い、1畳あたり
1分以上かけましょう。
洗 濯:シーツやカバー類は、まめに(週1回程度)洗濯しましょ
う。
布団干し:週2回程度、天気のよい日の日中(10 時~14 時)に
日光干しを行ない、その後、掃除機をかけましょう。
換 気:晴れた日は、できるだけ窓を開けましょう。(除湿効果)
(坂口ら、1997 から作成)
30900
図 空中浮遊アレルゲン
1
10
100
1000
10000
100000
アレルゲン(pg/m3)
睡眠中
●布団の上げ下げ時は空中浮遊
アレルゲンが高い。 ●寝ている時に吸い込む。
布団上げ
下げ時
30
居間
223
30900
ダニアレルゲン対策はどうしたら良いのでしょうか?