チェロにおける構えの指導に関する研究...チェロにお捗る構えの指導に関する醗究...

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チェロにお捗る構えの指導に関する醗究 r3 i チェロにおける構えの指導に関する研究 金谷昌治(器楽〉 チェ簾の演奏には,発音に麗わる両手の動的な妓嬉と,それが鱒きか酵る楽器と身体の縫係にお ける静・的な技徳とが求められる。‘もつヤ‘支える予といった静釣な披講が,碗の動きを演奏に陶け て合謹化する嚢釣を縛っていることから,静的な妓籍は動的な妓籍に瞬免しているといえる。 一方,学習者の縫毛・はその背後にある静的な重支簿よ辱も,直接発音に纏わる1擁を中・むとする動き に集幸する顛講が強く,懸果的に技纂上の開題を抱える場合が多い。、そのため学習者に録しては, むしろ静的な技術を強く意識した指導が求められているといえる。そこで,楽器の購えにおける披 講麟諸要素を焦点覚し,よ吟説得的なそσ)指導のあ辱かたを考察した, {キーワード〕チェ暮の繕え 右手の濁題左手の麗麗左足の縄題 チェ蟹の演奏妓籍は,楽器と弓の録持という静観な 技繕と,讐をとる左手の動き及び檬を動かす右手の勇 き,という嚢的な技術からなっている。左手の動きに は特定の場所での麗のかたち,また瞬韜晦隠の指のか たちも含まれていて,静的な藩分と動的な部分とがお 互いに重な寮)合いながら演奏披講を構築していること は辮違いない。ただし動きに奏法、しの金運性をもたら すためには,それを受けとめて叢大獲に楽器の能力を 発揮させることのできる身体との麗鎌をつく辱だすこ とが必要である。その意殊で動的な技術は静的な技術 の上に成案)宣っているといえる。すなわちチェ環にお ける様々な演奏披講は,遍歪な楽器の構えのもとでし か培うこと寄書できないのである。 ところが,弓をもつことが!その難しさ数に)技術 として認.窯されやすいことに対し,かたちにとらわれ なければ楽器をもつこと自体が容易であるために,学 習者は,そのことがさほど重要ではないという意識を もちやすい。そしてその、1二に築かれるべき動的な技徳 の麟、1二を離んでいる場合が多いのである。 そのため,ある段購の学習者に対しての詣導におい ては,様々な技徳的な問題を解決するために,楽器の 構えにさかのぼることが極めて有鶴な場合が多い。 本譲は,楽器の購えにおける妓籍豹諸要素を焦点秘 し,その動麟な技衛への講化.という擾点から捲導の あ写方を考察したものである。 1 チェロにおける構えの基本 嘩.構えの擬え方について i〉購えとかたち 購えにおけるかたちは,身体と楽器との雛係をもと に,それを演奏に引きつけて合理化しようとすること で追求される。ただし,奏者ごとに幾々の音楽懿徳麺 観をもち,体烙も異なる。そしてこれらをもとにして 構築される懇々の奏法にも違いがあることから,その かたちも一定ではない。つま学)購えば,楽器を支える だけでなく,鱗人の考えに基づいた楽器の繧きや弓の 勇き等との関係で成琴立っているために,一般化され た唯一のかたちとして存窪するものではないのである。 2)購えと妓籍 一…般的には,左手の弦を押さえて音を翻る作業と右 手の弓による沓を翻る{乍業が演奏技籍としてとらえら れることが多く,実際にいくつかの教難本を舞にとっ ても,楽器の購えについてぱほんの数蒼しかふれられ ていない。しかし,弦を揮さえる妓籍と弓を運ぶ技衛 それぞれを単独で考えることはできたとしても,演奏 に引きつけて見れば,相互に縫撫し合うことで娘めて 発欝につながることが瞬らかである。その関係付けの 土台が,身体と楽器との麗孫,つま辱購えということ になる。その愚妹で,楽器の購えば重要な技術として 霞置づけることができる。 楽器の構えを決定する鞠理的な要素は,奏者の体格, 楽器の“大1きさ,エンドピンの長さ,椅子の高さである が,それに換えて身体各蕩の楽器へのはたらきかけが 大きく関わっている。そしてそれらが緩み合わされ一… 定の角度に楽器が保たれることで,はじめてそこに身 体と楽器との演奏に向けた関係が成舞立つことになる。 本来はこの角度を決定する奏者の意志が先行し,構え ほそれに応じて決まってくるのである。なぜなら,楽 器の大きさにぱおおよその規馨があるのに対して演奏 者の体格ほまちまちであって,懸人の奏法が身体を駆 使して生み鐵されることを考えれば,購えば雑然それ を追求した結果としての‘かたち7になるからである。 そして,演奏者の技衛が成熟していく遍程にお謬る試 宥錯誤と共に,購えも変化していき,さらにその‘か たち’のもとである程度の妓籍を獲得してしまうと, 購え藝彗体への注意は薄らいでいく。つまり購えば,演

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チェロにお捗る構えの指導に関する醗究 r3

i

チェロにおける構えの指導に関する研究

金谷昌治(器楽〉

 チェ簾の演奏には,発音に麗わる両手の動的な妓嬉と,それが鱒きか酵る楽器と身体の縫係にお

ける静・的な技徳とが求められる。‘もつヤ‘支える予といった静釣な披講が,碗の動きを演奏に陶け

て合謹化する嚢釣を縛っていることから,静的な妓籍は動的な妓籍に瞬免しているといえる。

 一方,学習者の縫毛・はその背後にある静的な重支簿よ辱も,直接発音に纏わる1擁を中・むとする動き

に集幸する顛講が強く,懸果的に技纂上の開題を抱える場合が多い。、そのため学習者に録しては,

むしろ静的な技術を強く意識した指導が求められているといえる。そこで,楽器の購えにおける披

講麟諸要素を焦点覚し,よ吟説得的なそσ)指導のあ辱かたを考察した,

{キーワード〕チェ暮の繕え 右手の濁題左手の麗麗左足の縄題

は じ め に

 チェ蟹の演奏妓籍は,楽器と弓の録持という静観な

技繕と,讐をとる左手の動き及び檬を動かす右手の勇

き,という嚢的な技術からなっている。左手の動きに

は特定の場所での麗のかたち,また瞬韜晦隠の指のか

たちも含まれていて,静的な藩分と動的な部分とがお

互いに重な寮)合いながら演奏披講を構築していること

は辮違いない。ただし動きに奏法、しの金運性をもたら

すためには,それを受けとめて叢大獲に楽器の能力を

発揮させることのできる身体との麗鎌をつく辱だすこ

とが必要である。その意殊で動的な技術は静的な技術

の上に成案)宣っているといえる。すなわちチェ環にお

ける様々な演奏披講は,遍歪な楽器の構えのもとでし

か培うこと寄書できないのである。

 ところが,弓をもつことが!その難しさ数に)技術

として認.窯されやすいことに対し,かたちにとらわれ

なければ楽器をもつこと自体が容易であるために,学

習者は,そのことがさほど重要ではないという意識を

もちやすい。そしてその、1二に築かれるべき動的な技徳

の麟、1二を離んでいる場合が多いのである。

 そのため,ある段購の学習者に対しての詣導におい

ては,様々な技徳的な問題を解決するために,楽器の

構えにさかのぼることが極めて有鶴な場合が多い。

 本譲は,楽器の購えにおける妓籍豹諸要素を焦点秘

し,その動麟な技衛への講化.という擾点から捲導の

あ写方を考察したものである。

1 チェロにおける構えの基本

嘩.構えの擬え方について

 i〉購えとかたち 購えにおけるかたちは,身体と楽器との雛係をもと

に,それを演奏に引きつけて合理化しようとすること

で追求される。ただし,奏者ごとに幾々の音楽懿徳麺

観をもち,体烙も異なる。そしてこれらをもとにして

構築される懇々の奏法にも違いがあることから,その

かたちも一定ではない。つま学)購えば,楽器を支える

だけでなく,鱗人の考えに基づいた楽器の繧きや弓の

勇き等との関係で成琴立っているために,一般化され

た唯一のかたちとして存窪するものではないのである。

 2)購えと妓籍 一…般的には,左手の弦を押さえて音を翻る作業と右

手の弓による沓を翻る{乍業が演奏技籍としてとらえら

れることが多く,実際にいくつかの教難本を舞にとっ

ても,楽器の購えについてぱほんの数蒼しかふれられ

ていない。しかし,弦を揮さえる妓籍と弓を運ぶ技衛

それぞれを単独で考えることはできたとしても,演奏

に引きつけて見れば,相互に縫撫し合うことで娘めて

発欝につながることが瞬らかである。その関係付けの

土台が,身体と楽器との麗孫,つま辱購えということ

になる。その愚妹で,楽器の購えば重要な技術として

霞置づけることができる。

 楽器の構えを決定する鞠理的な要素は,奏者の体格,

楽器の“大1きさ,エンドピンの長さ,椅子の高さである

が,それに換えて身体各蕩の楽器へのはたらきかけが

大きく関わっている。そしてそれらが緩み合わされ一…

定の角度に楽器が保たれることで,はじめてそこに身

体と楽器との演奏に向けた関係が成舞立つことになる。

本来はこの角度を決定する奏者の意志が先行し,構え

ほそれに応じて決まってくるのである。なぜなら,楽

器の大きさにぱおおよその規馨があるのに対して演奏

者の体格ほまちまちであって,懸人の奏法が身体を駆

使して生み鐵されることを考えれば,購えば雑然それ

を追求した結果としての‘かたち7になるからである。

そして,演奏者の技衛が成熟していく遍程にお謬る試

宥錯誤と共に,購えも変化していき,さらにその‘か

たち’のもとである程度の妓籍を獲得してしまうと,

購え藝彗体への注意は薄らいでいく。つまり購えば,演

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茎6 福鶴大学教育実践懸究紀要第38号 2倉麟窃一§

写真嘩 写真2

ノ蒐ロック・チエ疑 モダン・チェロ

写真3

奏技術の内に人離込んで飽の技術に講化していく披講

である, ということ毒まできる。

 3)楽羅をおく 購えの基本は,聾的な技術との連携を欝指した身体

と楽器との聡係であって,もっことだけを藝的とした

購えはない。あえてもっことに焦点を絞るとすれば,

それは,様々な技術への食事膳を藩提とした楽器のおき

方}『という表現が妥当であろう。そこでまず身体に寄

むかかっておかれる楽器の保持について考えてみた塾。

 楽器をおく粒選は,次の二つのことから決められる。

一… ツは楽器と身体の1薄き, もう一つは楽器と身体の垂

i藍方向の角度である。

 1寅奏することを養提に,身捧の1毎きと楽器の海きを

同じにして,また講者の垂直方向の角度も同じに保つ

方法はな籍。なぜなら,そのために楽器を載羅させな

ければならない場所は身体の中央であ吟,写真圭の購

えで演奏することが不審能なのは購らかである。そこ

で楽器を身体のやや在に位灘させることで,その向き

と驚度を選1登翼こ圭猛づ’εナる。

 次に重要な視点は,楽器を支える位置及び身体との

接舷のしかたである。支える位置は,楽器をよ1ラ安定

した状態で保持することを難撰して,また按舞戯こつい

ては楽器の振動を醗害しないことを考慮して決められ

る。その結果,楽器の裏綴左下離を左足が受けとめ,

裏灘窃一と藻を右騰が受けとめることになる。

 さらに左右の手の動きを考癒すると溺な観点が必要

である。それは磨手がもつ弓と弦との距離及び角度,

そして左手の揮さえ方である。

 安定した発音を欝指して,弓の軌跡と弦とが直角に

交わるべきことは騰寒であるし,音程をとる左手の動

きは捲娠の低い粒置から外灘にまでに及ぶ。単に楽器

をおくとしてもこの視点をふまえない訳にはいかず,

そのために楽器と身体の接点は,左巻の手の技術との

連携を境野に入れて決定されることになる。

 4〉エンドピンと季舞え

 楽器の保持に離わって,エンドピンの果たす役講は

大きい。ここではエンドピンをもたないバ滋ックチェ

筥とモダンチェ冒(現代のチェ欝1とを講比させるこ

とで,その役麟と意義について遠べてみたい。

 講建のふくらはぎの鐸慰こ擁み込むようにして保持さ

れるバ讐ックチェ買は,張力の弱塾ガット弦への対繕

として,磨手(弓1による弦への撫圧をかな毎少な§

にしなけれ.ばならない。楽器がほぼ垂痘に購えられる

ことも弓の必要以一妻1の趨疲を防ぐ意鎌をもっているし,

宿継をあまを}高く一1二げずにむしろ手欝をつり一しげた蕨

態をつく辱だしていることも,講じ偉屠を猛ったもの

である。一方モダンチェ1コにお塾ては,ピッチの一ヒ昇

による表板への圧力の上昇に文才広して大疑バスバーが

取琴入れられ21,それを蔚提とした高い験1こよって楽

器に対する弦の角度は傾斜を増した。(写真231参照1

そしてエンドピンの採購によって,楽器本体はよを}水

平に近く峯渠持されるようになる。つま諺,エンドピン

によって弦に対する撫圧をよ琴強くすることができる

のである。しかしそれは,楽器に対して駝がはたらき

かける場所(鮨飯と魏/を身体から遠ざけることにも

なっている。

 さらにエンドピンは楽器の重量を分散させるはたら

きをもっている。バ讐ックチェ盤では楽器の重量すべ

てを身体(足)が支えるのであるが,モダンチェ蟹で

はエンドピンが代わってこのはたらきをするために,

身体にかかるその重量はごくわずかなものになる。つ

ま辱エンドピンは,身体が支えるものを‘楽器の重さ㌻

からし楽器と身体の接点7つま彗 ‘支点壷に変換する

のである。モダンチェ欝にお諺る購えの意陳を決定付

ける重要な役麟を,エンドピンはもっているのである。

 そして,高度な技術に対癒した楽器の動きまでを考

えに入れた場合,バ滋ックチェ韓ま楽器をすべてもっ

ことで,身体と楽器が一体となった動きが容易である

のに対し,モダンチェロに見られる支点の保持は,身

体か楽雛どちらか一方を動かさないことがその欝的で

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チェロにおける購えの指導に関する麟究 i7

あって,遂にどちらかを動かすために身体と楽器との

位麗麗係を変化させなけれ1まならない。

 つまむモダンチェ駿の購えの基本は,「支点を支えて

いる身体の動きを,楽器の動きに達勇させない,また

はさせる雄ことを繭提とした楽器と身体の位置縫孫で

あるということができる葛

2.動的な披衛への縄化

 iラ左1擁の動きと楽器の霧定

 シフティングによって左手は,指極上で低籍盤置に

ある第iぷジションから高いポジションである窺捲の

ポジシ強ンまでを行き来しなければならない。そして

弦を檸さえるために揚は指板に押しつけられる。

 捲板上の音程が定められた場翫に指を厩確に移動さ

せるためには,楽器本体が不安定で,離の動きと共に

動いてしまっては具合が悪い。その意練で,楽器の保

持は音程をとる技衛と直結しているといえる。

 さらに,指は移動した場所でビブラートに関わる作

業をすることになる。ビブラートは基本麟に,一力醗

に留められた指の往復運動を要求する。それは捲を含

む左手全体を擁辱嚢かす運銚である。これも,運定さ

れた対象に縛してはたらきかけることか合遷的であ諺,

対象そのものがビブラートと共に動塾てしまっては全

く意鎌がないことになる。

 ただし,シフティングに婦癒した楽器の霞定とビブ

ラートに対癒する露定とは,若干意味が異なる.講者

は正確な移動のために港板を動かさないことが欝的で

あ吟,後沓は,捲叛に蕊わる捲の圧力を身体が受けと

めるために露定するのである。

 2)弓の動き・移弦への女孝慈

 弓が根本から先の方病に動く闘に,弓をもつ麓は徐

々に檸びていく。しかし実無の演奏における弓の運動

が瞬…弦上のみに獲られることはまずあむ得ないため

に,運弓にはさらに複雑な技鶴寿軽率うことになる。

 右1擁の紳び・縮みは,弦に対して一定の角度(弦と

弓が嚢角に交わっていることを基本とする/を保って

おこなわれなければ“ならない。 藁本の弦は,糸巻きと

緒鑑め板との馨餐こ張られている訳であるが,振動する

灘分はネックの基駒と綱体の騎との聡である。この弦

が4本とも講じ高さに張られていたとすると,講籍の

弦以外は単独で弾くことができない。そこで基騎と験

にカーブを付け(写真3参購,弦はそのカーブに沿っ

て醗置され,指板も講様な薩癬に仕一とげることで,そ

れぞれの弦を単独で弾くことを響能にして静る。さら

に,基験が騎よ弩も狭い輻しかないために.それらの

麗に張られる弦の関係も平行にはならない。この巻本

の弦を弾くためには,今遽べた条件を考癒した4本劉

々の弓の軟跳を想定する必要があ弩,これが移弦にお

け『る右手の妓籍の萬提である。

 さらに弦と右手との盤置関係からすると,i番線(A

線/は遠く,尋番線(C線〉は近い。身体の歪面に楽

器を向けて購えた場合(全身の梅きと楽器の食きを隅

じにする/,遠いi番線に対してはかな瞬擁を紳ばさな

ければならず,弦に対して痘角方海の動きを基本とす

る弓の運勇を実現するための奪箆の紳び編みは葬常に園

難な作業となる。これを解消するために,身体と楽器

の向きを調整するのが…般的であろう。楽器を身体の

玉露に対してやや右に向けることがその…つの方法で

ある41、楽器が右に嚢転し,懸時に襲も身体に鰐して

有験鞍することで,弓とi番線の接点は右手に近づい

てくる。同時に荷手の運聾すべき戦跡も/至番線上の

弓の動き)身体に近いところにもつてくることができ

る。

 3〉上半身の醤転 楽器と身体が全く属じ猿麗麗係を繰ったまま演奏さ

れるとすると,先に違べた各弦の角度には主に右手善

の動きだけ“で鯵癒しなければならないことになる。こ

のため,圭番線では弓をもつ右手の撃が上方織に藻鯵

返参,嘘番線では遂に下を幽く。絃果的に弓の毛は各

弦に異なった角度で接することになる。i本の弦の弓

奏ですら高度な麓の麟げ紳ばしの披講が必要であるの

に,4本の弦への対応で,その動きをさらに複雑にす

ることと,不適切な弦と弓の毛の接舷は籔遷しなけれ

ばならない。そこで,腰から上つま弩上半身を薩転さ

せることによって,それぞれの弦の角度と露離に弓を

対癒させる方法がとられる。右手にとってはあたかも

玉本の弦を弾いているようでいながら,一と半身が響転

して弦それぞれの角度に弓の執蹄を合わせることで,

すべての弦を弾くことができるようにするのである。

 左手の技術への瞬化が,楽器の翼定という方鶴でお

こなわれていたのに対し,右手の技術への講紀は上半

身の獲転という,一露見異なる方向を示している。しか

し,後者における上半身のはたらきか諺が繕転となっ

て表れるためには,楽器は霞定されている必要がある

ことに気付くGつま辱左右の手の技術に購銘している

購えの技術は,楽器の鐡定に関わる技衛であるという

ことができるのである。

 ただし,ここでいう翼定とは.楽器と身体の位置雛

係を瞬定することではなく,特定の婁受備を薯龍にする

ために,右手及び産手の動きに婦癒して楽器を襲密に

操るための團定である。そのことをもって始めて.購

えを勤的な技術に講化させることが欝能になるのであ

る。

獲 指導における要点

 先に違べたように,購えにはその典型と呼べるもの

カ§ない。{残本できるものはあくまでも楽器の保持を目

麟とした基本のかたちでしかない。しかも学習者が簿

えを‘購え方うとして学習する一一方で,それと異なっ

た構えで対癒すべき妓籍を学習しようとしている薄能

性は大きい.冒頭にも遽べたが,特にある程度の技術

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玉8 福島大学教育実践醗究紀要第38号

水準に達し演奏経験を重ねた学習考が抱えて雛る技衛

士の賜題は,不適笏な購えを原獲とする場合が多い。

購えが動麟な技衛を羨提1こ考えられる必要がある一方

で,楽器の保持という灘露をもっているために,羅に

楽器をもってしまっている学習者はなかなかそのこと

に気付かない。

 その指導に§を転ずれば,当携に指導でき得るのは

あくまでも購えの‘かたち’であって,その後学習者

の進度に合わせて,動的な披講との瞬化をはかってい

くことになる。しかし学習者の興練・購蘇ま,驕を中

心とする動的な技術に集中してしまう繧海が強い。こ

のため,それを重要な演奏技衛として学習者に認識さ

せるために,よ許)説得鯵な捲導の展醗が求められてい

ると考える。そこで,購えの基本に見られる技術的な

要素と左右の手による銚的な技術との麗わむという視

点から,その指導における要点を探ってみたい。

荏.購えにお纏る薄き

 基本的に,楽器と全身を薩じ方晦に癖けた購えがあ

韓得ないことを先に遜べたが,それは,楽器と身体の

関係が演奏を可能にする特定の角度にならなければな

らないことiが理密であった。そして身棒の中央から左

舞彗に楽器を紘置させることと,身体重藤から右醜きに

楽器を罎すことで,その関係を適歪な位置に近づける

のであった。ただし楽器から見ればすべてが遂である。

そこで,どちらを基準にするべきかを,捲導において

まずはっき弩させるべきである。

 論者は,楽器の方向を基準にすることが適切である

と考える。なぜなら,独奏,弦楽毯重奏,オーケスト

ラ,等それぞれの演奏形態によって楽器を陶ける方向

は変化する。そこでは音響的な藪から,身体よ弩も楽

器の向きが開題になることから,その指導は楽器の向

きを中心に考えられるべきである。そして,学習者が

楽器の向きを定めたとすると身体寿§やや左を向くこと

になるのだが,その餐祭にはどの程度身体を遽せばよい

かを趨藪する欝安が必要であろう。そこで注§したい

のは右足の鶴きである。石建を楽器下部の右簿横板に

沿わせることで,身{本と楽器との位置縫係を確認でき

る。ただし楽器に足形張ン)付き,内綴に強弾力を換え

ると,楽器が左痛きに倒れることになむ,左足と巻購

の支点が安定しなくなる。さらに掻板に足が駿れてい

ることだけでもその振動を難害する可能性があるので,

極力楽器から離すよう指導する必要がある。

2.身鯵摂支えるもの

 巻足の向きを基準にして方講を定めた楽器を支える

のは,右晦と左足である。楽器と身体が接するという

意陳で,それを支点とよぶことができる。ただし先ほ

どから違べているように楽器の振動を阻害しないこと

を念頭において,支点は楽器の裏や横の板ではなく,

縁にすべきであろう。そしてその支点が楽器の重量と

左手の指及び右手による弓からの猛力を受1ナとめるの

2倉馨馨一6

である。

 その点からいえば挙に楽器があたる場漸が支点では

なく,身体講きの圧力を受けとめて楽器を黙足する特

定の場霧が支点であるといえる。つま惨,身体が支え

るものは結果的に楽器ではあるが,あくまでも支点を

支えるべきなのである。楽器を支える意識は,その支

点がどこであっても楽器を保持すれば良いという考え

につなが弩,縫的な技!衛を動的な披講に講化させると

いう目的からは遊離した購えを生み織す.

 その詣導において重要なのは,「身体が支えているの

は楽器と身体の適歪な漢係を{呆ちうる支点なのだ」と

いうことを学習者に意識舞けることである,、さらにこ

の意識は,以下に違べる上半身の籔転についての捲導

にも大きく麗わってくる。

3、上半身の園転

 i〉薩転と姿勢 上半身が麟屈みになっていると,その露転によって

楽器が大きく移動してしまう。上半身の醤転の醤的は

楽器を動かさずに身体を動かすことにあるので,この

場合の騒転は全く意練炉な騨ことになる。また楽器を

受けとめる晦の支点炉安定せず,その結果左足の支点

も不安定とな辱,楽器がぐらついてしまうことになる。

また前羅みになることで楽器が身体に食い込み,弦と

弓との接点が身体に近づきすぎることにも翼題がある。

 学習者に対して,背筋を伸ばして、L半身をまっすぐ

に保つよう促すことは,騰の支点をしっか鯵支えるた

めと,上半身の適正な羅転を生み鐵すために大変重要

なことである書

 2/懸転と支点の移動

 移弦に対応する緩転の欝的の一一つは,麟本の弦の醍

置によって生ずる弓との,駆離と角度の違いを少なく

して均一化することである。つま毒身体と楽器との銃

置雛係を変化させることが§縫なのである。その点.

エンドピンと右駒と左足の三点で楽器を支えているこ

とは非常に合理的で,お互いの麗係で確実に楽器を議

定することができる一一方,そのうちの一一点が移動する

ことで容易に楽器を動かすことができる。ただし動く

のは身体の方であって楽器ではない。

 、t半身のi番線方瞬1への礒転1こは癬の支点を右灘こ,

4番綴方梅には支点を左方晦に動かすことになる。上

帯身の醸転においては.この支点の移動という凝念が

不再欠なのである。(写真4のi,垂の2参蕪/そこに

観題の滋馨をもつ学習者の指導においては,麗の技術

がはたらきかける楽器本体を翼定させることと,その

技衛を蒋能にする身体の聾きと移動を震々に棒感させ

ることで,上半身を瞬転させる合理性に気韓かせ,支

点の移動を意識化する必要がある。

 3)展転と左腕 正確な音程を実現するために,ポジシ鷺ンを意識し

た指の閥蘂を保つことが左手における重要な技術の…

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チェ欝にお鋳る構えの指導に関する藩発 露

耳翼彗の1 嘩番線万両の騰の支点 写真4の2 4番綴方講の襲の支点、

つであ琴,そのためには指のかたちを一定に保つ必要

がある。これは,詣板、飯の横の移動においてまさに忠

実に実行されなければならない。(講牲によって若干の

膠嚢韮まある方寸弱) しかし, i番線で新弩醗げていた指

を紳ぱすことで淫番線を押さえようとする学習者は多

い。蛋を稗ばすことでそのかたちが変化し,音程が不

安定になってしまうことは明らかである。このことを

技術として取離込み,たった一つの音を猿って指が単

独で捲板上を飛び遜ってしまうことがもたらす難害は

はか弩知れない尋1。また支点を團足し,騰のま二百ヂ下げ・

檸び編みだけですべての弦を難き,霧じ高さの肘ですべ

ての弦を押さえるといった不濤然きわま辱ない購えを

覚え込んでしまい,春程や運弓の瞬題を感じながらも

それを修正することができない学習者があま瞬こも多

い。そこで,左手がネックを中心に騒転ずることで,

購ビ指のかたちですべての弦を押さえることができる

ようになることを指導する必要がでてくるのである。

そこにおいて学習者に,上半身の騒転と魏の麟転が連

動することの必然性を気付かせることができれば,先

に遠べた支点の移動の必要性にも気付かせることがで

きる点で,上記の技衛的な難題の解消に露酵た手だて

としての有効盤は高いと考える。

4.左手と請え i)握ることの弊害

 左手の霧指とそれ以外の指は,ネックで弦を押さえ

る際には握誇合うようなかたちになる。楽器に換わる

カの方講を考えてみると,親指は楽器を身体から離す

方海で,それ以磐の指は身体に押しつける方海,とい

うことになる。

 しっかりとネックを握ってしまったとしたらどうな

るであろうか。エンドピンにほとんどの重量をあずけ,

ごくわずかの重みで身捧に寄弩かかっている楽器は,

縛単に左手だけでもたれてしまうことになる。そして

左手だ縁で楽器が支えられてしまう結果,駒と左足の

支点を失った楽器は極めて不安定な状態となる。当然

一動半身の騒転に梓う支点の移動もないどころか,楽器

の方晦を定めることすらできなレ㌔さらに左手濤体の

仕事であるシフティングやビブラートにも陸害をたら

すことは翼違いない。またネックを強く握弩込むこと

によって,その詣嚢身に無駄な負握をかけることにも

なる。

 学習者は楽初,音程をとることだけを曇的に一左手の

指の縫き方を学習する。それは親指とそれ以外の指と

が握融合うかたちで繰琴返されることにつな治書む,む

しろネックを握ることが当た諺薦の状態をつく琴だし

ている。綾らに対して,それが大きな弊害をもたらす

ことをごく溺霧の段欝から絶えず意識させ,以下に違

べる親指とそれ舞舞の指におけるはたらきの違いに留

意した鮨導がなされるべきであると考える。

 21楽器方海への撫羅と保持

 ヒ遠したように,晦と左足の支点1こ斐鷺わる力1ま,楽

器をもつだけであればわずかなものである。そのため

学習考がどこかに不霧然な力を入れてしまうことで,

藩単にその購えばくずれてしまう。構えにお謬る支点

は,拳に楽器をおくだけの場所ではなく,特定の身体

と楽器との縫孫をつく身)撮すための場所である。たと

え楽器がもてていたとしても,そのもち方が購えとし

て適窃であるかどうかは靉靆題であiり,それを決定す

るのは支点が適歪な場所にある;かどうかである。先か

ら透べているように,身体の仕事は楽器を支えること

ではなく,この支点を支えることである。ただし支点

を支える力は今遠べたようにわずかな楽器の重さだけ

である。そこで,支点の安定のために左手の1またらき

が重要になってくる。一左手が握絵合わないことを蕪鍵

とすれば,弦を鐸さえるための捲の撫圧は,購鋳に指

板を身体方麟聾こ押しつけることにつな毒§る。 まさにそ

の力が支点を支えるために必要なのである。弓の弦に

縁する撫圧にも全く講じことがいえる訳であるが,必

要以、との撫圧は弦の自然な驕を難害する恐れがある。

一方弦の分割を目的とする左手による撫経にはその心

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2§ 轟轟大学教畜実践醗究紀要第38号

蔑がなく,支点の維持に大きく貢献することができる。

 学習者には,左右それぞれの手の仕事が生み墨す身

体海きの力が購えの安定に大きく関わっていることを

気付かせると瞬時に.それを難む身体のはたらきにも

濡意する必要があることを指導する必要がある。

 齢義指の支点 左手で楽器を支えてしまうことの弊害について羨項

で違べたが,その原露の一つである親指のはたらきを

もう少し詳しくみてみたい。

 握ることが左手で楽器を支えてしまう原露となる訳

だ炉,さらに指の力の方陶を考えれば霧捲一本で楽器

を支えることが薄能なことが分かる。つま吟左手が楽

器を支えてしまう原義は.握って楽器をもってしまう

ことと,親指炉ネックを身体から離す方癖紅撫証して

しまうことの,二二つが考えられるのである。

 親指がネックを押しつけることは楽器を支えるのと

講じことであ鞍,本来あるべきはずの右購と左足とい

う二つの支点以外にもう一カ所できてしまうことにな

る。ニカ所での撫蓬は多少どちらが強くても弱くても

海方の支えるはたらきには変髭が無いが,三力湧(エ

ンドピンを除いて)となるとそれらが講時に楽器を支

えるはたらきをすることが大変難しくなる。さらにい

ずれかの撫騒が大きいと,それに応えるために萢の二

点はかな吟の移動をしなければならないばか1ヌか,支

点であ鋒続けることが不群能な場合も鐵てくる。つま

1り,左手の窺詣がネックを支えると麟欝に楽器を蒲に

押し撫してしまうために左足と窟騰の支点が動き,楽

器が清陰鐵してしまい,ついには楽器を支えられなく

なってしまうのである。

 また姿勢の悪さが漂麗で鞠の支えが不安定になると,

それまで均禽を保っていた是と脇の支点に代わって,

是と義捲が支点となiり,親指で楽器を支えばじめる。

これによっても,楽器方海の撫窪で弦を檸さえる揺と

義指とが強く握善あうことにつながることになる。そ

れを厚総として,捲が醐かない…・音程が悪い,シフテ

イングの笑駿一レ音程が悪い,指が霞蜜1こ動かない一ツビ

ブラートが§然にかからない,等の癒隷があらわれる

ことになる。

 諜者は,捲に負麺をかけずにしっかりと弦を揮さえ

つける方法として,弦の反発力と,支点を支える身体

の柔軟性を舞蟹するよう指導すべきだと考える。それ

は親鮨とそれ以外の指とが握舞合うことを原羅とする

妓籍、ヒの幾題の解消に有効であると瞬時に,鶏詣の支

点化を跡ぐことにもつながると患われるからである.

5、左建と購え !/左足の支点 身体と楽器の接験する場漸は,可能な隆琴楽器の音

響に悪影響を及ぼさない場所に設定すべきことは磁然

である。その点,通常の繕えにおける駒の支点は鬱然

に楽器の縁にあた畠},音響に大きな影響を与える裏板

2総書一6

に直接身鉢が絞れることはまずない。しかし左足の支

点は,楽器の裏板.縁そして横板と,そのどこにでも

設定することができる。(それを趨密に移動させること

を技徳として学ぶ必要もあるのだが〉ただし音響癒か

らいえば,もちろん支点は振動する板よ辱も縁に位置

するべきであを),このことを学習者が容易に実行でき

れば開題はない。しかし,縁を支えることと裏板を支

えることとでは,楽器に対する身捧のはたらきか酵に

大きな違いがある。そしてそれが原爆で,左足の支点

を繭提とした様々な技徳の学習に,難度の違いが生ず

ることになる。

 裏板で支点を支えるためならば,足は単純に楽器を

受けとめさえずればよい。つま1り左足に楽器を乗せれ

ばよいことになる。しかし縁に支点を設けたとすると,

足の内驚に溝酵込もうとする楽器を支えるために,足

は内麟(足にかかる注力1麟ず観する方向として)への

カを簾え続けなければならなくなる。楽器を身体方梅

に押しつける鐸}醗の撫膨に対しても,左足は先ほどの

内綴への力を増さなけ矛tばならないことになる。騰に

は楽器がもたれかかっているだけなので姿勢を維持す

ることで応えられる}つま睾)主星における縁の支点は,

裏板の支点に競べ支えづらいのである。そのことが療

馨で,飽の妓籍!に気を取られ,盛窃縁にあった支点が

横板にずれていき,楽器が雨足の霧に入})込んでしま

い,それを受けとめるために楽欝と全身が講じ方難を

悔いてしまう結果,身体に対して楽器が斜め左に纏い

てしまうという症状が多くの学習者に箆られる。

 熱半身の甕転に伴う移動を前提とした騰の支点に髭

べ,一一見単純に楽器と接してい矛tば喪いように患われ

がちな建の支点の支えには,こんな落とし穴がある.

 その上でさらに轟度な技衛を視野に入れた場合,こ

れまで運べてきた楽器を遜寇する概念は,麟かさない

ことだけでなく,身体と共にi勤かすことにまで広げら

れる。

 騰の支点が移動する場辮は縁以外に無いが,左足の

支点が移塾するとすれば,横板もしくは裏飯にずれる

しか無い.そのため,支点のずれを防窪しながら高度

な妓籍に対応して楽讐を勤かすためには,支点を支え

ている左足そのものを楽器と其に動かすことまで必要

になってくるのである。特に高い技徳水準にある学響

蓄の指導においてはこのことが重要になってくる。

 2)学習者の技術水準に応じた段墜麟捲導

 演奏技衛の学習が,学び取った妓籍を藩礎に進めら

れていくとすれば,静的な技術としての購えが適度ξに

ならない限琴,その■茎二に動窪1な書室徳蓄を築くこと毒害でき

ないことになる。しかし先に遠べたように,購えの根

幹に関わる左足の支点をささえる身体のはたらきかけ

を欝得することが難しいことから,それ炉飽の技術の

海量1を遅らせてしまう場合が考えられる。

 そこで,演奏全般1こわたる技徳の指導において,最

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チェ饗における購えの指導に鵠する爾究 2i

低銀の基本をふまえた購えのもとで飽の技術の講一ヒを

はか吟ながら,学習者の発達段繕に合わせて構えを修

正していく,段賠的な捲導が有鶴ではないかと考える。

 以下に講者の考える擁を示す。

第辱段購i左麗の技術の発達を優先してi

 まず,左騰の妓籍を学習する上で重要な,安定した

楽器の保持のみを§麟として購えを麓置付け,捲導す

る段鞍である。

 音響醸の不郷倉を承知で写真5のように左足膝に楽

器裏板左灘を乗せタエンドピンと,騰の支点との三カ

所で楽器を支えるよう指導する。(写真6参照1

 この場合,左足先を楽器と瞬じ方向に向けさせるこ

とによって,是の左右のぶれを跡窪しやすくなる。しっ

か晦と楽器を露定することで,左手の嚢きを集中鶴に

学ぶことができ,さらにその動きを身体が支えること

を鉢感ずることができる。そして,楽器を購える基本

である‘脚と4左足串による支えをしっか琴と意識

することで,後の適正な支点づくむに結びつける。瞬

時に左窟の手の身体轟きの力によって,楽器を確実に

舞持することも指導することができる。

 これは主に一本の弦だけの弓奏状態に対癒した段繕

であるが,購えを原翼とする技衛的な問題を抱えてい

る学習者すべてに応驚できるものと考える。

第2段繕1移弦の妓籍を取弩込んで1

 第i段1警で学んだ基本のうち,足の建直だけを少し

ずつ外襲彗にずらし,それに伴う楽器の左向きの遜転に

離れる。(写真7参照)

 膝だけをずらすのでは写真8のように足が外灘に霧

れて不安定になるので,足全体を左にずらす必要があ

る。その際左足先を外向きに饑くことで,よ鞍支点が

安定してくる。特に移弦に伴う一圭1半身の繕転と麹〃)支

点の移動を連動させることを意識しながら,様々な弦

の角度に対応する弓の轟きと,それを支える支点を発

つ諺だす。左足の仕事が,楽器を乗せることから溝勇

込みの防鑑へと徐々に変飽していくことに気付かせ,

その力の入れ方を学習する。その際安定していない左

足を補蝕する意瞭で,右足による撫涯を覇矯すること

も有効である。しかしそれが遜ぎると騰の支点が左に

ずれることになるので,4番線の弓奏によって楽器に

換わる右繧転の瀦重に鰐貌する程度に産めておく必要

がある。

 また,裏板に足を戻して発音してみることで,修重

羨との音響的な違いに気付かせ,学習の動機蕎諺をは

かることも必要であろう。

 右漿の技衛に霧{とする圭1半身の緩転を学ぶ時難にこ

の段賠を設定する意味は,左足の支えが外穫彗にずれる

ために生ずる楽器の左陶きの羅転を,羅方海になる上

半身の露転の中で§然に麺遷することを学べる点にあ

る。つま辱この段1箸で無建のない購えの修亜が薄能紅

なると考えられるのである。

纂3段購i完成と新たな課題意識1

 左足を写真警のように楽器裏板左縁に闘定させ,そ

の状態で安定した撮持ができるようにする。(写真欝参

薫1左足の力は内籍にやや強く働かせ,騰の支点とで

楽器を支えられるようにし,右足は完全に楽器から離

す。裏飯に支点をおいていたときよ辱もかな吟楽器は

左構きに懇転しているので,改めて楽器と身体の向き

を謬鐸塾し直iすことと,上半身の左野縁きの羅転を大きめ

にすることで,i番線に糞考毒する右手の負極を軽織す

る。第2段階と瞬じく支点の修正鹸の状態と聴き比べ,

縁の支点がもたらす深い響きを実感させることで,そ

の状態の露定化を{足すことも重要である。瞬嚢寺に,童蒙々

な技術への対癒.!三枝点を勧かさずに楽器を移動させ

る場合について1,左足そのものを灘かす必要も戯てく

ることについてふれ,さらに柔軟な購えに向けた課題

意識をもたせる。

 以上のような段踏的指導によって,演奏妓籍全般の

陶窯をは力蹄)つつ左足の支点を適密な盤置に設定する

ことができるようになると思われるが,婦象とする学

習者の進度はまちまちで,また指導すべき披講も様々

写真5 写真6 写真7

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22 機島大学教育実践醗究紀要第38号 2§{}暮一6

写真8 耳糞9 写真鐙

である。音響を犠牲にして飽の技衛の発達を優先させ

るべきかどうかは,学習者の状態を見た上で嶽導者が

半彗藪しなければならない。

 つま辱,高度な技術水準にある学習者であっても,

その意練で妓籍:に欠賂があれば裏嫉を支点にした指導

が必要であるといえるし,遵にごく初歩の段踏からで

も,左足がうまく働けば,適蕉な支点を意識した指導

は鳶職麩であるG

お わ 琴 に

 購えが搬導されるのは通常学習の初鱗の段賠であろ

う。それはいわゆる‘楽器の構え方’として捲導され,

さらに発音が可能な状態になれば,運指及び運弓妓籍

の海上に請けて学習者の興陳はそちらに集中していく。

しかし被らが学んだ購え方は楽器のおき方・もち方で

しがなかったことを忘れてはならない。

 犠えの基本で運べたように,様々な演奏技礒と購え

は深く関わっていて,それは単に楽器を支えるだけの

身体のかたちではなかった。そして身体の動きすべて

が音楽に奉仕しているとき,静的な技術は聾的な妓籍

に完全に1舞乾していて,その時点で意識の中から消え

てしまっている場合が多いことを考えれば,チェΩ演

奏の指導においては,むしろ購えにさかのぼ“って様々

な妓籍が指導される必要があると考える。

 その点で,繰垂}返し運べてきた購えにおける支点の

支えに関わって,重要な指摘を最後にしておきたい。

それは,支えるために必要な力が演奏考と楽器との自

然な聡係からもたらされているということである。

 そのカは騰の支点においては楽器が寄琴かかること

で,左足では膝の内灘に楽器が滑り込まないように留

めることで生ずるのである。右手から弦に帰してはた

らく力は弓と醗の重みであ諺,さらに力の方向は重力

の方向に這い。左手が弦を押さえつける力には弦高が

もたらす弦の張力が麟繕され,当然魏の重みも穂矯さ

れる。さらにすべての力を受けとめて支点を支える身

体は,腰のひねむが生み鐵すバネのような反発力に満

ちている.楽器と格鬱するように見える演奏には,実

はこれらの縷然の力が生かされているのである。言葉

を換えれば,チェ欝の演奏技術は,自然のエネルギー

を生み鐵せる身体の柔軟性の、しに成箸立っているとい

える。そして静麟な技徳の上に築かれる動的な技術が,

その柔軟性を繭提として賎尋立っているとすれば,購

えを唯一のかたちとして決めつけ,支点を麟定化する

ことで楽器を保持しようとする不自然な身体のはたら

きか酵がもたらす弊害ははか辱知ることができない。

その意練で,「支点を支えている身体の動きを,楽器の

動きに連動させない,またはさせる涯ことを,学習者

の身体をもとにした翼然のエネルギーによって蔑辱立

たせる必要があることを,指導者がその指導において

縫えず意識するべきではないだろうか。

〈注〉

玲}麺畷籍甚鞭}沁脚廊綴£藝、駐灘1簑雛el纏 倉灘澄子讃 欝欝

全鷺楽譜議飯縫 麟.7

21篇e Ce掬.狂llz油e撫C灘1量璽 三木敬之譲 !§縛 シン

 フオニア 厘}.2暮

3)Ce獅.W薮識費董eε蛮 三本敬之課 欝鰻 シンフォニア

β.24iより転誠

紛蔚揚書 夢.露8

5〉チェ霞演奏におけるポジションの一考察 襯稿 欝欝

橿鳥大学教育学鍍論集第蕊号 夢、3

§〉チェ欝運指妓籍の熟達に関わる諸難題登 運鮨妓籍の

 陶土を羅害する要露 嶽穣 欝鱒 徳島大学教育実践覇

究紀要第37号 費.58

(2韓食年9霧22醤受理)