『事業システムのp-var分析』 - waseda university–...

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Copyright © 2005 Tatsuhiko Inoue All Rights Reserved 『事業システムのP-VAR分析』 ―不完備な収益原理を超えて― 基本枠組みについては『早稲田大学商学研究科紀要』(20063月)掲載予定 引用する場合は、 井上達彦「事業システムのP-VAR分析」 (早稲田大学商学研究科2005年度第二回学生研究発表会特別講演 20051018日) 井上 達彦 商学研究科紀要投稿予定

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Page 1: 『事業システムのP-VAR分析』 - Waseda University– 分析例(プロフェッショナルコース浅古亮一による) 6. P-VARの可能性 – 共進化モデルとのかかわり(学術と実務)

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『事業システムのP-VAR分析』―不完備な収益原理を超えて―

基本枠組みについては『早稲田大学商学研究科紀要』(2006年3月)掲載予定引用する場合は、

井上達彦「事業システムのP-VAR分析」(早稲田大学商学研究科2005年度第二回学生研究発表会特別講演

2005年10月18日)

井上 達彦

商学研究科紀要投稿予定

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1. はじめに2. ビジネスモデル志向

– プロフィット志向– モデル志向

3. プロフィット志向を超えて– 収益エンジン+開発エンジン(プロフィット志向 + 開発志向)

4. モデル志向を超えて– モデル志向 + システム志向– 活動と資源のシステム的結合(事業システムの基本P-VAR分析)

5. 事業システムのP-VARエンジン分析– P-VARエンジン分析、ならびに評価方法

– 分析例(プロフェッショナルコース浅古亮一による)

6. P-VARの可能性– 共進化モデルとのかかわり(学術と実務)– 開発モデル、収益モデル、相互循環パターンの類型化– 実務的な統合枠組み(業界の文脈の分析)

7. 結び付属資料

実務におけるビジネスモデルの理解/狭義の収益モデル/広義の収益モデル

本日の講演

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2.ビジネスモデル志向

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志向性 特 徴 問 題

事業設計の中心の再定義

開発・投資活動の軽視

・価値連鎖の知見の歪曲

・資源-活動の相互連関の欠如

・資源蓄積のメカニズムを軽視

システム性の欠如

・活動間相互依存性軽視

・人間系・社会系の軽視

・経路依存性の軽視

単純化による

適用可能性

(1)プロフィット志向

ビジネスモデル志向

部分模倣の発想

収益原理の直接

的な模倣によっ

て、収益や競争

優位の仕組みの

全体を模倣でき

るという発想

(2)モデル志向

1. 一般の実務での理解2. 競争戦略論での理解 共通項より考察3. 経営情報論での理解

2.ビジネスモデル志向

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志向性 特 徴 問 題

事業設計の中心の再定義

開発・投資活動の軽視

・価値連鎖の知見の歪曲

・資源-活動の相互連関の欠如

・資源蓄積のメカニズムを軽視

システム性の欠如

・活動間相互依存性軽視

・人間系・社会系の軽視

・経路依存性の軽視

単純化による

適用可能性

(1)プロフィット志向

ビジネスモデル志向

部分模倣の発想

収益原理の直接

的な模倣によっ

て、収益や競争

優位の仕組みの

全体を模倣でき

るという発想

(2)モデル志向

1. 一般の実務での理解2. 競争戦略論での理解 共通項より考察3. 経営情報論での理解

2. プロフィット志向

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読み方 : ビジネスモデル 別名 : business model

• ビジネスの仕組み。事業として何を行ない、どこで収益を上げるのかという「儲けを生み出す具体的な仕組み」のこと。特に、コンピュータやインターネットなどの情報システムを活用した新しいビジネス手法のことを指す場合もある。これを特許にしたものが「ビジネスモデル特許」である。英語では「business method」と呼び、「business model」とは言わな

いが、日本に最初に紹介されたときに「ビジネスモデル」という用語が使われたことから、現在でもこの言い方が定着している。

http://e-words.jp/

プロフィット志向:ネット辞典の定義

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ドコモ自身も、FeliCaを使ったビジネスモデルを明確に説明し切れていない。

iモードFeliCa発表時に話されたのは、おサイフケータイという生活に密着したサービスを提供することで、解約を減らす狙いがあるということだ(6月16日の記事参照)。「解約する人をどうやって引き留めるかが重要」(マルチメディア&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野剛氏)。

長期的には、携帯向けFeliCaのライセンス料が収入となることも話された。

しかし、コンテンツサービスの普及がパケット利用量の増大に結びつき、データ通信収入が増加する──というiモードの美しいモデルとは比べるべくもな

い。

解約率の低下を狙うあたり、収益拡大という観点で見れば、かなり後ろ向きな印象も受ける。

[斎藤健二,ITmedia]

http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0408/10/news062.html

プロフィット志向:やっぱり見えないFeliCaのビジネスモデル

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• インフォメーションの価格付け

• インフォメーションのバージョン化– ディレイ

– ユーザーインターフェース

– 画像の解像度

– 操作のスピード

– フォーマット

– 性能、機能、わかりやすさ、複雑さ、サポート

– バンドル化

• 権利の運用管理

シャピロ=バリアン『ネットワーク経済の法則』148

プロフィット志向『ネットワーク経済の法則』より

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書籍の流れ 情報の流れ お金の流れ

根来・小川(2001)『製薬・医薬産業の未来戦略』東洋経済新報社.

ビジネスモデル分析例(クロネコヤマトのブックサービス)

出版社 取次店

書店

ブックサービス

一般消費者(和書のみ)

魅力:中小出版社からの集配が早い

顧客の比較対象:本屋他インターネット書店出版社への直接注文

資源:自社宅配インフラ

代金

注文(電話またはネット)伝票処理

注文データ(FAX)

代金

注文書籍の集品

注文

注記:原著はお金の流れも黒色で表示。

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志向性 特 徴 問 題

事業設計の中心の再定義

開発・投資活動の軽視

・価値連鎖の知見の歪曲

・資源-活動の相互連関の欠如

・資源蓄積のメカニズムを軽視

システム性の欠如

・活動間相互依存性軽視

・人間系・社会系の軽視

・経路依存性の軽視

単純化による

適用可能性

(1)プロフィット志向

ビジネスモデル志向

部分模倣の発想

収益原理の直接

的な模倣によっ

て、収益や競争

優位の仕組みの

全体を模倣でき

るという発想

(2)モデル志向

1. 一般の実務での理解2. 競争戦略論での理解 共通項より考察3. 経営情報論での理解

2. プロフィット志向

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3.プロフィット志向を超えてービジネスモデル志向をこえて(その1)ー

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収益エンジン(収益活動システム)

利 益(価値)

P-VAR分析

収益化

実務レベルのビジネスモデルは左上の収益化原理だけを議論

する傾向にある。

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収益エンジン(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

P-VAR分析

収益化

資産(資源)の収益化

より理論的な枠組みでは、資源を視野に入れるが、

「資源ありき」で勧めるため、上方向に焦点をあてる。

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開発エンジン(開発活動システム)

収益エンジン(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

P-VAR分析

資産(資源)の収益化

収益の資産(資源)化

むしろ重要なのは、縁の下の力持ち的な存在の「開発エンジン」を組み込んだ循環関係。

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成長エンジン(開発活動システム)

収益エンジン(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

P-VAR分析

価値・利益価値があって利益は生まれる。価値が質的なのに対し、利益は量的である。

利益=f(活動,資源,ポジション)

成長(開発)エンジンカネを非金銭的資源に変換するための活動システム。

資産・資源B/Sに表記しにくい無形資産も含める。ただし、ケイパビリティ(組織がインプットをアウトプットへ変換するためのルーチン)は、ここに含めない。

収益エンジン非金銭的資源を収益に変換するための活動システム

・規模、範囲の経済につながる活動

・標準規格を収益に結びつける活動

*循環にはタイムラグあり

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成長(開発)エンジン

定義 カネを非金銭的資源に変換するための活動システムのこと。収益の資産化にかかわる組織論的な問題でもある。

具体例 ・設備投資

・技術開発

・デファクトを獲得する活動/特定顧客と密接な関係を築く活動

・中モジュール化アーキテクチャ開発/最適内部設計

・市場開発投資(アプリケーション開発含む)

・企業連携による関係資産の構築

解説 ・McGahan(2004)、「下部構造の陳腐化への脅威」に対処して資産を再開に対応

する。

・Nelson & Winter(1982)の第2レベルのルーティーンと対応している。第3レベル

は、「開発エンジン」の追加や刷新として示される。

第1レベル:定型業務的性格

第2レベル:資本ストックの増大あるいは減少を伴う意思決定

第3レベル:環境適応的な企業内諸活動の変化

Nelson & Winter(1982)の

成長エンジン

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成長エンジン(開発活動システム)

収益エンジン(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

P-VAR分析

価値・利益価値があって利益は生まれる。価値が質的なのに対し、利益は量的である。

利益=f(活動,資源,ポジション)

成長(開発)エンジンカネを非金銭的資源に変換するための活動システム。

資産・資源B/Sに表記しにくい無形資産も含める。ただし、ケイパビリティ(組織がインプットをアウトプットへ変換するためのルーチン)は、ここに含めない。

収益エンジン非金銭的資源を収益に変換するための活動システム

・規模、範囲の経済につながる活動

・標準規格を収益に結びつける活動

*循環にはタイムラグあり

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収益エンジン

定義 非金銭的資源をカネに変換するための活動システムのこと。売上の拡大かコストの削減に直接的にかかわる活動であり、資産の収益化にかかわる狭義のビジネスモデルの問題でもある。

具体例 ・購買、生産、物流、販売、サービス

・規模、範囲の経済につながる活動

・標準規格を収益に結びつける活動

・在庫回転率を速める活動

解説 ・McGahan(2004)、「上部構造の陳腐化への脅威」に対処してビジネスモデルを

再構築するということに対応する。

・Nelson & Winter(1982)の第1レベルのルーティーンと対応している。

第1レベル:定型業務的性格

第2レベル:資本ストックの増大あるいは減少を伴う意思決定

第3レベル:環境適応的な企業内諸活動の変化

Nelson & Winter(1982)の

収益エンジン

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以下の軸の組み合わせと考えられる

– 単体か補完か(回収先・相手はどこか)

– 回収は過去か現在か将来か(長期か短期か)• 持続のロジック

– 技術をどこに埋め込むか。特許、製造工程など)

– どのように参入障壁を築くか

– 回収のロジック• 規模

• 範囲(使いまわし)

• ネットワーク(規格)

• 回転率

収益エンジン=回収のロジックを考える

• 成長・開発にも配慮しているが未分離– 顧客開発/顧客ソリューション利益、製品ピラミッド利益、マルチコンポーネ

ント利益、スイッチボード利益、時間利益、ブロックバスター利益、利益増殖モデル、起業家利益、専門家利益、インストール・ベース利益、デファクト・スタンダード利益 スライウォツキー(恩蔵・石塚訳)『プロフィットゾーン経営戦略』ダイヤモンド社

規模、範囲、速度、集中化の経済性と関連して井上が考察

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成長エンジン(開発活動システム)

収益エンジン(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

「カネ」から「モノ、情報」への変換プロセス

*投資のロジック

収益エンジン 成長エンジン

規模の経済 安定・大量販売 設備投資/技術開発

範囲の経済 多様な供給 共有設計

ネットワークの経済 ライセンス収入 プラットフォーム開発/標準規格

速度の経済 投資回転率 サプライチェーン設計

P-VAR分析

「モノ、情報」から「カネ」への変換プロセス

*回収のロジック

結果

結果

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おおざっぱな収益原理

収益= (利幅 × 個数 × 期間) × 相手先

個数を伸ばすロジックシェア拡大 :規模の経済多角化展開:範囲の経済標準規格化:ネットワークの経済回転率 :速度の経済

現在か将来か短期間か長期間か

薄いか厚いか

そのものか補完財か相手先(供給先か販売先か

収益= f(利幅,個数, 期間, 相手先)

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4.モデル志向を超えてービジネスモデル志向をこえて(その2)ー

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志向性 特 徴 問 題

事業設計の中心の再定義

開発・投資活動の軽視

・価値連鎖の知見の歪曲

・資源-活動の相互連関の欠如

・資源蓄積のメカニズムを軽視

システム性の欠如

・活動間相互依存性軽視

・人間系・社会系の軽視

・経路依存性の軽視

単純化による

適用可能性

(1)プロフィット志向

ビジネスモデル志向

部分模倣の発想

収益原理の直接

的な模倣によっ

て、収益や競争

優位の仕組みの

全体を模倣でき

るという発想

(2)モデル志向

1. 一般の実務での理解2. 競争戦略論での理解 共通項より考察3. 経営情報論での理解

4.モデル志向

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メーカー

銀行 卸売業者物流業者

小売業者

消費者

物流

商流

決済流

國領二郎(1999)『オープンアーキテクチャ戦略』ダイヤモンド社,26-27頁.

「商物分離」のビジネスモデル

「実務的なツール」と但し書きをして紹介。

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戦略モデル収益モデル

オペレーションモデル

市場モデル

競合モデル

課金モデル

SCMモデルコミュニティモデル パートナーモデル

必須モデル

オプションモデル

根来龍之「第1講ビジネスモデルとは」『早稲田大学オンデマンド授業利用資料』より作成

根来(2001)のビジネスモデルの捉え方

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業種やドメインを超えた共通性業種やドメインを超えた、共通のパターン」を発見し、抽出し、

個別の「価値創造・課金システム」としてモデル化すること。[安室憲一,『中国企業の競争力』日本経済新聞社,14-15頁]

不可欠要素

不可欠要素

不可欠要素

たとえば供給にかかわる活動

たとえば受注にかかわる活動

たとえば需給のマッチングにかかわる活動オプション

要素

たとえば受注をスムーズにする活動

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コア活動(汎用的)

コア活動(汎用的)

コア活動(汎用的)

モデル性を重視した描き方

たとえば集客にかかわる活動

たとえば供給にかかわる活動

たとえば需給のマッチングにかかわる活動

コア活動(汎用的)

たとえば受注にかかわる活動

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コア活動(汎用的)

コア活動(汎用的)

コア活動(汎用的)

モデル性を重視した描き方

活動を可能にする情報システム

コア活動(汎用的)

情報システム支援

情報システム支援

情報システム支援

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コア活動(汎用的)

自社固有のコア活動

コア活動(汎用的)

自社固有のコア活動

自社固有のコア活動

コア活動(汎用的)

活動

活動

活動

活動

コア活動(汎用的)

活動活動

システム性を重視した描き方

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志向性 特 徴 問 題

事業設計の中心の再定義

開発・投資活動の軽視

・価値連鎖の知見の歪曲

・資源-活動の相互連関の欠如

・資源蓄積のメカニズムを軽視

システム性の欠如

・活動間相互依存性軽視

・人間系・社会系の軽視

・経路依存性の軽視

単純化による

適用可能性

(1)プロフィット志向

ビジネスモデル志向

部分模倣の発想

収益原理の直接

的な模倣によっ

て、収益や競争

優位の仕組みの

全体を模倣でき

るという発想

(2)モデル志向

1. 一般の実務での理解2. 競争戦略論での理解 共通項より考察3. 経営情報論での理解

4.モデル志向

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Inter Activities Fit

Value-Activities Fit

Activities-Resources Fit

Position-Business Systems Fit

価値システムのレイヤー

活動システムのレイヤー

資源のレイヤー

詳細活動

主要活動

中核価値

資源・資産

ポジションのレイヤー

差別化Position

Value

Activity

Resource

Business Systems Fit

P-VAR分析

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ポジショニング(誰に)

低付加価値

高付加価値

高価格低価格

ユニクロ

ヨーカ堂イオン

一流ブランドシャネルグッチプラダ

GAP

移動障壁

B→A移動障壁

ブランド高品質デザイン

C→B2移動障壁

高価格化の障壁少量化への障壁高品質デザイン

情報処理高速SCMブランド

C→D移動障壁

徹底したローコストオペレーションD→C移動障壁

ファッション企画力

デザイナーズ衣料戦略グループA

ファッション衣料戦略グループB2

ベーシック衣料戦略グループC

実用衣料戦略グループD

セレクトショップユナイテッドアローズ

シップスビームス

しまむら

ファッション衣料戦略グループB1

B2→B1移動障壁

事業規模の制約(少量化の障壁)高品質仕入れ

百貨店アパレル

ワールド

Position

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出発点、主要な価値=「何を」

高品質で値ごろ感のある商品

「おしゃれでカッコいい」とみんなに認められる

コンサバエレガンス=セイフティなファッション

ちょっといいもの=かしこいマスへの訴求

*2つのサブシステムが結びついて、初めて価値を供給できるようになる。

Value

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「事業の活動システム」(いかに)

ポーターの活動システムのマッピングを応用した

取引関係素材の確保

コストと品質のバランス管理

社内モニター

テストセール

供給・補充システム安定供給高速SCM品質管理

生産ラインの確保

マーチャンダイジング会議

実験計画法

最大公約数的企画の発見

売上POS情報

の処理

旬のデザイナーの提案

マイニング

エンドユーザーコンピューティング

MDマップ

による計画

情報収集意味発見のシステム

シーズンピークに合わせた開発システム週単位のMD

Activity

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「事業の活動システム」を支える能力と資源(いかに)

取引関係素材の確保

迅速なSCM処理

社内モニター

テストセール

供給・補充システム安定供給高速SCM

生産ラインの確保

マーチャンダイジング会議

実験計画法

最大公約数的企画の発見

売上POS情報

の処理

旬のデザイナーの提案

マイニング

エンドユーザーコンピューティング

MDマップ

による計画

情報収集意味発見のシステム

シーズンピークに合わせた開発システム週単位のMD

交渉力継続的な取引関係

外部デザイナー

高感度の販売員

MDマップのノウハウ

情報システム

情報収集・意味発見能力シーズンピークに合わせた

開発システム週単位のMD

供給・補充能力安定供給力迅速補充力品質管理力

優れたマーチャンダイザー

直営店

場 計画表

POS読み取りノウハウ

マイニングノウハウ

VA/VEのノウハウ

Resource

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高品質低価格

P 低品質低価格

高品質高価格

低品質高価格

VAR

値ごろ感コンサバエレガンス

週単位MDSCM

活動 活動 活動 活動

資源 資源 資源 資源

WP2 カセットMD

価値システムのレイヤー

活動システムのレイヤー

資源システムのレイヤー

個別資源

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高品質低価格

低品質低価格

高品質高価格

低品質高価格

値ごろ感コンサバエレガンス

週単位

MDSCM

活動 活動 活動 活動

資源 資源 資源 資源

WP2 カセット

MD価

値価

主活動

主活動

活動

活動

活動

活動

資源

資源

資源

資源

コア資源

コア資源価

値価

主活動

主活動

活動

活動

活動

活動

資源

資源

資源

資源

コア資源

コア資源

差別化

トレードオフ

差別化

トレードオ

ポジションごとのトレードオフと

事業システム戦略

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5. P-VARエンジン分析ー動態分析へのプレリュードー

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成長エンジン(開発活動システム)

収益エンジン(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

P-VAR分析

価値・利益価値があって利益は生まれる。価値が質的なのに対し、利益は量的である。

利益=f(活動,資源,ポジション)

成長(開発)エンジンカネを非金銭的資源に変換するための活動システム。

資産・資源B/Sに表記しにくい無形資産も含める。ただし、ケイパビリティ(組織がインプットをアウトプットへ変換するためのルーチン)は、ここに含めない。

収益エンジン非金銭的資源を収益に変換するための活動システム

・規模、範囲の経済につながる活動

・標準規格を収益に結びつける活動

*循環にはタイムラグあり

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Position

Resource

Value

Activity成長エンジン

(開発活動システム)収益エンジン

(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

P-VAR分析

価値・利益価値があって利益は生まれる。価値が質的なのに対し、利益は量的である。

利益=f(活動,資源,ポジション)

成長(開発)エンジンカネを非金銭的資源に変換するための活動システム。

資産・資源B/Sに表記しにくい無形資産も含める。ただし、ケイパビリティ(組織がインプットをアウトプットへ変換するためのルーチン)は、ここに含めない。

収益エンジン非金銭的資源を収益に変換するための活動システム

・規模、範囲の経済につながる活動

・標準規格を収益に結びつける活動

ポジション事業体が属する競争空間であり、さまざまな視点(顧客、技術、アーキテクチャ)とレベル(産業、業界、戦略グループ)から定義できる。

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Position

Resource

Value

Activity成長エンジン

(開発活動システム)収益エンジン

(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

P-VAR分析

価値・利便性・コストパフォーマンス

利益・利益、売上

成長(開発)エンジン・設備投資・技術開発・デファクトを獲得する活動・中モジュール化アーキテクチャ開発・市場開発投資・企業連携による関係資産の構築

資産・資源有形資産(不動産、生産設備、インフラなど)

無形資産(ブランド、特許、技術的知識、顧客関係資産など)

収益エンジン・購買・生産・物流・販売・サービス・規模、範囲の経済につながる活動

・標準規格を収益に結びつける活動

ポジション①マーケティングにおけるセグメンテーション②藤本のアーキテクチャポジショニング③クリステンセンのバリューネットワークに基

づくポジショニング

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事業システムの評価

適合の種類 有効性 効率性 模倣困難性 持続性 発展性

Level 1 活動システム内適合 ― ◎ △ ― ―

活動-資源の適合 ― ◎ ○ ― ―

価値-活動の適合 ◎ ◎ △ ― ―

Level 3 価値-活動-資源の適合 ◎ ◎ ○ △ △

Level 4 ポジションと<価値-活動-資源>の適合

◎ ◎ ◎ △ △

Level 5 定常的な動態適合 ◎ ◎ ◎ ○ ○

Level 6 脱均衡による動態適合 ◎ ◎ ◎ ○ ○

Level 2

標注:◎分析可能、○一定水準は分析可、△一部のみ分析可、―分析困難:評価項目は、加護野(1999)を用いた。適合レベルが高いほど優れたシステムとして評価できる。

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分析例ーNTTドコモー

商学研究科プロフェッショナルコース 浅古 亮一

商学研究科プロフェッショナルコース 大久保順一(協力)

商学研究科 助教授 井上 達彦(指導)

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ドコモの成長の軌跡

0

5,000,000

10,000,000

15,000,000

20,000,000

25,000,000

30,000,000

35,000,000

40,000,000

45,000,000

50,000,000

55,000,000

3/1993 3/1994 3/1995 3/1996 3/1997 3/1998 3/1999 3/2000 3/2001 3/2002 3/2003 3/2004 3/2005 7/2005

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

3,000,000

3,500,000

4,000,000

4,500,000

5,000,000

5,500,000

契約数 営業収益(日本基準) 営業収益(米国基準) 営業利益(米国基準)

保証金廃止 新規加入料廃止 iモード開始 FOMA開始 おサイフケータイ

パケット通信料

トラフィック収益の源泉

携帯固定を抜く

ライフサイクル音声通信インフラ期 ITインフラ期

成長の源泉アナログ方式、デジタル方式設備投資、研究開発、保証金廃止

多様な利用用途開発コンテンツプラットフォームの構築

FOMAによる転送容量増大3Gへ移行

おサイフケータイ普及(Eコマース推進)

1999/2~2004/51992/7~1999/1

利用手数料

2004/6~

データ通信料

時間×通信単価×利用者

情報サイズ×パケット単価×利用回数

利用額×手数料割合×利用回数ライセンス料、手数料

生活インフラ期

お買い上げ制

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ドコモの成長の軌跡

保証金廃止 新規加入料廃止 iモード開始 FOMA開始 おサイフケータイ

パケット通信料

トラフィック収益の源泉

ライフサイクル音声通信インフラ期 ITインフラ期

成長の源泉アナログ方式、デジタル方式設備投資、研究開発、保証金廃止

多様な利用用途開発コンテンツプラットフォームの構築

FOMAによる転送容量増大3Gへ移行

おサイフケータイ普及(Eコマース推進)

1999/2~2004/51992/7~1999/1

利用手数料

2004/6~

データ通信料

時間×通信単価×利用者

情報サイズ×パケット単価×利用回数

利用額×手数料割合×利用回数ライセンス料、手数料

生活インフラ期

お買い上げ制

端末層

ネットワーク層:アナログ、PDC、WCDMA

プラットフォーム層:iモード

アプリケーション層iアプリ(java)

おサイフ

HSDPA

ICT産業の産業構造(レイヤー)は①アプリケーション層②プラットフォーム層③ネットワーク層④端末層に分かれる。『ユビキタスネット社会を担うプラットフォームの展望~ICT産業の競争力強化に向けて』ユビキタスネット社会におけるプラットフォーム機能のあり方に関する研究会

ICT産業

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・新規加入料、・基本使用料、・通話料、・利用料の値下・音声収益=時間×単価↓×利用者↑

基地局等のインフラ

サービスエリアの広さ、通話品質のよさ、利用料金の値下げ

ドコモの(P-)VARの変遷

・iモード収益=情報サイズ×パケット単価×利用回数・有料サイトの課金手数料

・多様な利用用途開発・コンテンツプラットフォームの構築

・FOMA利用料の新設

・FOMAによる転送容量増大・3Gへ移行

・おサイフケータイ普及・iモード利用促進

時間

業界一の技術力

・手数料=ユーザーの利用額×手数料割合×利用回数・利用場所の拡大

メール、様々なコンテンツ

Eコマースの利用

・設備投資・研究開発・メーカーとの連携

・端末普及・顧客拡大・保証金廃止

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・アナログ方式開発拡大投資

・保証金廃止検討会議(普及活動)

・グローバル化への取組み( WCDMA世界標準獲得活動)

・モバイルマルチメディアPJ

・アナログサービス

・デジタルサービス

・保証金の廃止等値下げ

・携帯でインターネット

サービス、メールサー

ビス

・つながらない

・費用が高い

・端末が重い

・バッテリー寿命が短命

・通話品質の向上

・端末の軽量化

・バッテリーの改良

・料金値下げ

・契約数急増

・携帯でインターネット接続が可能

・アナログシステム

・業界一の技術力

・NTTブランド

・デジタルシステム

・デジタル方式開発投資

・欧州で標準化規格

・WCDMAのノウハウ

・海外ネットワーク

・インターネット、パケットシステム

・拡充したアナログシステム

・コスト削減意欲

簡易版音声通信インフラ期

(1992/7~1998/12)

音声収益=時間×単価↓×利用者↑

端末の普及活動、顧客拡大基地局の拡充

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・iモードシステムの開発投資

・コンテンツ提供企業との協業

・iモード事業本部設置

端末共同開発、投資

・国際戦略強化(国際戦略委員会設置、海外キャリアなどに出資、提携)

・HSDPAの開発投資

・第4世

代規格の開発投資

・ソニーと合弁会社設立、出資

・iモード

サービス

・FOMAサービス

・豊富なコンテンツ

・ライセンス収入

・高音質

・動画通信

・豊富なアプリ

・狭いエリア

・フェリカ・ネットワークス

・iモードシステム

・コンテンツ

・海外ネットワーク

・FOMAシステム

・3.5G、4G携帯

のノウハウ

簡易版ITインフラ期

(1999/1~2003/12)

FOMAシステム開発投資

約2兆円

iモード収益

=情報サイズ×パケット単価×利用回数

コンテンツ(データとアプリケーション)プラットフォームの整備

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・次世代端末開発投資

・モバイルスイカ推進組織設置検討合意

・クレジットビジネス参入のため出資、提携

・フェリカサービス(おサイフケータイ)

・フェリカ・ネットワークス

・フェリカシステム

・次世代端末の技術力

・3.5G、4G携帯

のノウハウ

・エディ機能内蔵携帯

・モバイルスイカのノウハウ

・クレジットビジネスのノウハウ

簡易版生活インフラ期(2004/1~)

・4G伝送

実験成功・フェリカ利用場所の拡大

手数料=ユーザーの利用額×手数料割合×利用回数

ファイナンスビジネスへの下準備

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7.P-VARの可能性

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業界進化の4類型

コア活動(上部構造)

コア資産(下部構造)

脅威を受けている

脅威を受けていない

脅威を受けている 脅威を受けていない

Radical Change Creative Change

Intermediating Change Progressive Change

何もかもが混乱状態にある産業

資産や経営資源を絶えずリニューアルすべき産業

取引関係が不安定な産業

小さな変化を試みに、そのフィードバックに対応すべき産業

Ex.固定通信メーカー、宅急便旅行代理店

Ex.映画製作、プロスポーツ・チーム経営、投資銀行

Ex.自動車販売、証券会社骨董オークション

Ex.オンラインオークション、民間航空会社、長距離トラック輸送

出所:アニタM.マクガーハン 「産業進化のダイナミズム」『Diamond Harvard Business Review』2005 Feb を基に作成

【コア活動】

■その活動を完全に止めた場合に

収益性が大きく落ち込む活動

■顧客と供給業者の双方に同時に

影響を与える活動

【コア活動の陳腐化の判断基準】

■顧客の購買意欲と供給業者の

販売意欲が減退しているか否か

【コア資源の陳腐化の判断基準】■当該業界の企業と取引するすべての顧客の購買意欲の合計と、供給業者の販売意欲の合計のそれぞれが落ち込むとき

【コア資源】■価値創造活動に欠かせない資源

上部構造と下部構造のどちら(あるいは双方)を変更すべきか?

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• 活動の陳腐化を防ぐ、遅らせる、促す

• 資源の陳腐化を防ぐ、遅らせる、促す

• コントロールするため、プラットフォームとなる

生態系との共進化(蛭田先生のコメントがヒント)

P-VARとマクガーハンの枠組みは相性がよいかもしれない。

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開発モデル&収益モデル(相互循環)パターンの類型化

日本が得意としてきた技術開発&収益モデル・先端開発→汎用化

攻撃的な技術開発&収益モデル(イノベーションのジレンマ)・廉価版→性能アップ

規格戦略でも2つの基本パターンがある①オープン化のコントロールとブランドによる収益の拡大②技術の知財化とライセンス収入

小川紘一「光ディスク産業の興隆と発展」MMRC-J-28をP-VARに当てはめる

整合パターンこそが

事業システム戦略

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開発エンジン(ゆっくり普及)

収益エンジン(利幅を確保)

資産・資源(知財とブランド)

利 益(価値)(高性能)

光ディスク第一のパターン

価値・利益ブランドによる信頼感、高性能

利益=f(活動,資源,ポジション)

開発エンジンゆっくり普及先鋭的な少数企業が組織の総力をあげて作る。技術と知財を持つ少数の特定企業が知財で技術のオープン化を戦略的にコントロールする。資産・資源

知財とブランド・ブランド・知財・世界的な販売ネットワーク(前提)

収益エンジン利幅を確保普及すれば膨大な利益をもたらすというビジネスモデル。普及と価格維持を同時に実現。

VTRの事業の仕組みLaser Disc, CD-Audio, Mini Disc, Giga MO

陳腐化スピードと利幅のコントロールが可能なポジション

開発エンジンもの造りレベルでは製品アーキテクチャが時間とともにモジュラー化へ移行してコストが下がるが、比較的コントロール可能。

ポジション陳腐化スピードと利幅のコントロール①第一期:中インテグラル・外インテグラル②第二期:中モジュラー(コスト構造外から見えない)・外インテグラル

小川紘一「光ディスク産業の興隆と発展」『MMRC-J-28』, 2005, pp.21-27.から筆者が分類(誤謬は筆者に帰する。)

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開発エンジン(迅速に普及と知財化)

収益エンジン(ライセンス収入)

資産・資源(知財)

利 益(価値)

価値・利益利益=f(活動,資源,ポジション)

開発エンジン迅速な普及・普及を最優先させることを狙った規格のオープン化。・対抗規格よりも早く・速く市場を抑える。

資産・資源①知財・特許

収益エンジン①ライセンス収入

CD-ROM, CD-RW型の普及

だが、実際には、うまく収益モデルを構築できなかった。

光ディスク第二のパターンその①

中モジュラー・外モジュラーでも収益が上げられるポジション

開発エンジン①技術の知財化事前に、巧妙に中長期的なライセンス収入への戦略を構築大量普及したインフラの上で創るブランド付きのサプライ品ビジネスへの展開を準備する。

小川紘一「光ディスク産業の興隆と発展」『MMRC-J-28』, 2005, pp.21-27.から筆者が分類(誤謬は筆者に帰する。)

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企業名

顧客

「誰に」

価値

「何を」

工夫

「いかに」

実務的な統合枠組み

Position

Value

Activity

Resource

開発エンジン(開発活動システム)

収益エンジン(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

Position

Value

Activity

Resource

開発エンジン(開発活動システム)

収益エンジン(収益活動システム)

資 産(資源)

利 益(価値)

• ポジショニングアプローチ• マーケティング(STP)• アーキテクチャの位置取り

• 資源ベースアプローチ• 技術的経営資源

• 持続的競争優位(システム優位)• ビジネスモデル• 開発(技術系/社会系、プラットフォーム)

• マーケティング(顧客価値)• 利益(プロフィットゾーン、イノベーションのジレンマ)

MBA系の新規事業開発・事業変革の研修MOT系のビジネスモデル研修

理論的視角、分析枠組みを提示しながらも、ポジションアップの瞬間や新市場創造の瞬間に焦点を当てた分析や提案を可能にする。

マクガーハンの産業進化の文脈と組み合わせることによって、自社の「活動」と「資源」を評価し、事業システム変革・創造の方針が定まる。

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ちょっと駆け足で消化不良かもしれませんが、ご清聴ありがとうございました。