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FinTech そのビジョンと実現に向けての施策 Masakazu Masujima FINOVATORS代表 2016.9.1 資料3-1

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FinTech そのビジョンと実現に向けての施策 Masakazu Masujima

FINOVATORS代表 2016.9.1

資料3-1

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FINOVATORS FinTechエコシステム形成を志す専門家個人の集団

Financial + Innovators = FINOVATORS

【MISSION】 ☑ FinTechスタートアップ企業へのメンタリングによる創業・成長促進 ☑ パブリックセクターへの提言(政府行政・自治体・行政) ☑ 海外FinTech業界団体との連携によるFinancial Innovationのエコシステム拡大

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背景と視点

金融ビジネスの情報産業化・インターネット産業化が進展すると、従来の顧客アクセス経路を支配することにより収益を生み出す垂直統合型・中央集権型の産業構造から、インターネットによるレイヤー型・分散型の産業構造のもと様々な経路で顧客が金融サービスにアクセス可能であることを前提に、各金融機関はどのような収益モデルを描くかがポイントとなってくる。 - 産業としての金融のあり方の変革

コンテンツや金融に限らず、従来は異なる産業構造と考えられていた製造業、運送業、エネルギー産業などの非情報財産業までも、価値の根源を財そのものから「財へのアクセス権」と再構成することにより、情報産業化・インターネット産業化を推し進めようとする第四次産業革命が視野に入るにつれ、産業の血液としての金融業は、産業政策の観点から、新しい産業構造に合わせた金融サービスの提供が求められる。 - 産業インフラとしての金融のあり方の変革

日本の金融が抱える課題に対するソリューションとしてのFinTechビジョン -FinTechの個別施策の多くは金融庁の規制監督のもとで施行されることになるから、金融庁が現在、我が国の金融サービスの課題として認識しているものをベースに、そのソリューションとしてFinTechがいかに貢献できるかという視点が不可欠

-経済産業省が所掌するクレカの課題についても認識する必要

国際競争を勝ち抜くための戦略としてのFinTechビジョン -上記の課題認識は、既に各国が共通して持つところとなっており、金融のあり方の変革を通じた新しい産業パラダイムの推進により国際競争を勝ち抜くべく、各国・地域はそれぞれ戦略的に施策を立案し、実行に移している。 -国際競争に勝利するための戦略とタイムフレームの明確化が必要

<背景となる課題認識>

<視点>

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8月24日に開催された上記会議は、新たな金融モニタリングの手法とツールの開発に向けた意見交換を目的としたものであるが、金融サービスの目標と日本の課題に根差した問題提起となっており、政府として一貫性のあるFinTechビジョンを掲げるのであれば、これらを踏まえたものでなければならない。

日本の金融の課題 <第1回金融モニタリング有識者会議 「森金融庁長官からの問題提起」に見る金融の目的と日本の課題>

<金融行政の基本的役割>

「市場の失敗」への対処

市場の失敗の原因 ・ 金融システムのネットワーク性に由来する外部不経済 ・ 金融機関と利用者の間の情報非対称性 ・ 金融機関と利用者の間の情報非対称性への対処能力の格差 ・ 資本市場における発行体と投資家の間、投資家と投資家の間の情報非対称性

<金融行政の中核的目標>

金融システムの安定

利用者の保護

市場の公正・透明性

<金融行政の付加的目標>

金融仲介機能の発揮

利用者の最善の利益に沿った商品・サービスの

提供

市場の活力

<金融行政の究極的目標>

企業・経済の 持続的成長

国民の厚生の増大

安定的な資産形成

当局のイニシアチブの役割大 民間のイニシアチブの役割大

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日本の金融の課題

<日本を取り巻く環境> <抱える課題>

事業性評価・ 生産性向上への貢献

顧客の立場に立った 資産運用手段の提供

フォワードルッキングな リスク把握と対応

日本を取り巻く環境の変化に応じて、日本の金融が抱える課題も変化している。 FinTechがイノベーションである以上、掲げる目標を達成し、抱える課題を解決するものでなければならない(ソリューションドリブン)

国際的な低金利環境の持続

国内の人口減少・ 高齢化

利用者ニーズの多様化

リスクの形態と所在の 変化の加速

顧客とともに成長する 持続可能で多様な ビジネスモデルの実現*

FinTechはどのようにこの課題解決に貢献することができるか?

金融機関は、顧客ニーズに合った良質なサービスや金融商品を提供し、企業の生産性向上や国民の資産形成の拡充を後押しする。金融機関自身も、企業や国民資産の成長を通じて持続的な収益を確保し、成長していく。

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FinTechにインパクトをもたらす肝 FinTechが金融業界内部の変革にとどまらず、産業全体にインパクトをもたらす変革につなげるためには、インターネ

ット上でやり取りされる情報化された財の対価の支払いが、フリクションなく実現する世界を実現する必要がある。 - コンテンツ、電力、シェアリングエコノミーのパラダイムのもとで情報化された不稼働資産等

チャネルが分散化したインターネット上の支払いの円滑は、様々なチャネルから銀行をはじめとする支払アカウント提供業者に接続し、支払のオペレーションを実行することができて初めて実現する。

欧州PSD2では、銀行をはじめとする支払アカウント提供業者に対し、資格を取得したアカウント情報サービス事業者(AISP)と支払指図サービス事業者(PISP)からの接続要請に応じる義務(XS2A)を課すことで、実質的に銀行にAPI導入を義務付ける施策を導入。これにより、銀行は口座情報の開放を前提としたインターネット時代の新しいビジネスモデルの構築に挑戦する方向に舵が切られている。 <新たなビジネスモデルの例> ・ 連携を強制されたデータ以上に有用なデータの創出とその連携を有料で実施 ・ 自らAISPモデルに参入 ・ オープンAPIの提供を通じ銀行をプラットフォーム化し、その上で多様なプレイヤーが事業を営むエコシステムを

組成する

銀行によるRESTfulなオープンAPIの導入の先には、ブロックチェーンを用いたセキュアなスマートコントラクトがAPIを経由して銀行口座から直接自動的かつマイクロな決済を実現する世界がひらける。ブロックチェーンは、銀行APIの導入によって初めて、IOTにおける様々なデータ連携や取引をセキュアかつ自動的に行い、決済を完了させるキーテクノロジーとして位置づけられることになる。 - 代替的なシナリオとしては、IoT時代の決済を仮想通貨が担うというシナリオもありうるが、法定通貨の決済コ

ストが十分に下がり、マイクロな支払いも可能になるシナリオも十分にありうる。 APIを通じて様々な事業者が、ユーザーの意思により銀行から直接・リアルタイムで決済を実現するというシナリオ以

外もありえたが、欧州がXS2Aに舵を切った以上、このモデルよりも優位性のあるモデルを提示できないかぎりは、国際競争の観点からこのシナリオに可能なかぎり早く追随するのが得策

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銀行API+ブロックチェーンモデルのインパクト

金融仲介の効率性を格段に高めることになる

リアルタイム決済の実現による金融システムの強靭性の強化 - 支払サイトという概念がなくなることにより、資金繰りのための別の金融サービスが生まれる - 銀行の新たなビジネスモデルのチャンス

決済データの銀行からの開放により生まれる様々な事業と他の金融サービスへの好影響 - 資産運用ビジネス、保険ビジネスetc

エコシステム型のビジネスモデルのもと、多くの新規参入企業が、より利用者にとって使い勝手の良い金融サービスを開発

金融機関にAPIが組み込まれることは、金融モニタリングのリアルタイム化と高度化を実現することにつながり、新たな金融モニタリングの手法とツールが見えてくる

- 共通APIが組み込まれ、金融当局向けに金融機関の持つアカウントデータが連携されれば、収集した全ての金融機関のデータをビッグデータとして解析することで、例えば、市場のどこにリスクが溜まっているかリアルタイムに分析することができる。

- 大量の金融トランザクションデータを解析することで、一定の特徴量から将来パターンの予測も可能となり、金融危機を未然に防止するオペレーションも不可能ではないと思われる。

⇒ 「フォワードルッキングなリスク把握と対応」は、リアルタイムなデータを分析することで把握される客観的かつ定量的な現状認識があってこそ。

一方、決済チャネルを寡占していたクレジットカードのモデルは変更を迫られることになる

<金融が抱える課題の多くを解決>

欧州と英国は2018年第一四半期までに銀行によるAPIの実装を目指すものとされている。

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国際競争の環境

多くのイニシアチブは欧州、とりわけ英国から発信されている - 金融立国として、金融業界の国際標準語である英語の地位を最大限に利用したルールメイク - アジアシフトを敷いており、シンガポール・オーストラリアと連携 - Open Banking Standardへの自主的取り組みも、Brexit後はCMAから導入に向けた勧告が出され

るなど、加速が見られる。 今年に入り、中国がブロックチェーンで猛追 - インターネットと同様、政府管理のブロックチェーン? - ブロックチェーン業界の錚々たるメンバーをアドバイザーに迎える

<日本単独で行うのは環境面・人材面で無理>

⇒ 日本一国のクローズドイノベーションで太刀打ちできる状況にはなく、国際的なルールメイクの主導権の所在が決まるまでそれほど猶予があるわけでもないように思われることや、地政学的な点も考慮に入れると、適切な外国政府パートナーと組んで、アジアの面を取りにいく戦略を考えなければ、FinTechの果実を取り逃してしまうのではないか

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タイムフレーム 2018.1-3

英・欧州API実装

2017.1

関連法案提出 戦略立案 準備期間

2018.5

施行

2020

決済インフラ抜本強化 キャッシュレス化取組期限

ブロックチェーン技術・実証・応用

IoT,IoEの進展

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機能 決済 送金 交換 融資 投資 保険

収納代行 プリペイドカード

送金 デビットカード 電子マネー

P2P (送金)

外国通貨(DCC) (クラウドファンディング) 延長保証

電子マネー (前払)

仮想通貨 ソーシャルレンディング

ソーシャル インベストメント

P2P保険

決済代行 立替払

クレジットカード

電子マネー (後払) ポイント

トランザクション レンディング

ロボアドバイザー

非保険化

ポイント 仮想通貨

前払 資金決済法

後払

割賦販売法

資金決済法

資金決済法

商品レイヤー

貸金業法 金商法 保険業法

分散型

AI

販売レイヤー

Personal Finance Management

経営・会計支援(中小企業)

銀行代理業、保険代理業、証券仲介業

インフラ レイヤー

認証・セキュリティ・不正検知 犯収法、個人情報保護法等

< BCBS > <IOSCO > <IAIS >

<FATF>

※1 銀行は銀行法に基づく銀行業として決済、送金、融資を営むことが可能である。 ※2 各法律の適用は原則的なものを示すものであり、適用除外に該当する場合には適用を受けないサービスもある。 ※3 クラウドファンディングについては、融資型、投資型に分類されるもののほか、売買型や寄付型に分類されるサービスもある。

個別サービスの導入

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貸付型クラウドファンディング

CFP (二種業・貸金業)

投資者

資金需要者

匿名組合出資

貸付

個別の資金需要者を 明らかにできない

投資者

匿名組合出資

資金需要者

CFP (二種業(少額電子))

資金需要者の明示・情報提供は必須

<貸付型> <投資型(TK)>

「形式」よりも「実質」

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ソーシャルインベストメント

投資先企業

プラットフォーム

投資情報の共有 コピートレード 報酬

<金融商品取引業者等向け監督指針> VII-3-1(2)② 不特定多数の者を対象として、不特定多数の者が随時に購入可能な方法により、有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断 (以下「投資情報等」という。)を提供する行為 例えば、以下aからcまでに掲げる方法により、投資情報等の提供を行う者については、投資助言・代理業の登録を要しない。 ただし、例えば、不特定多数の者を対象にする場合でも、インターネット等の情報通信技術を利用することにより個別・相対性の高い投資情報等を提供する場合や、会員登録等を行わないと投資情報等を購入・利用できない(単発での購入・利用を受け付けない)ような場合には登録が必要となることに十分に留意するものとする。 a. 新聞、雑誌、書籍等の販売

(注)一般の書店、売店等の店頭に陳列され、誰でも、いつでも自由に内容をみて判断して購入できる状態にある場合。一方で、直接業者等に申し込まないと購入できないレポート等の販売等に当たっては、登録が必要となる場合があることに留意するものとする。

b. 投資分析ツール等のコンピュータソフトウェアの販売 (注)販売店による店頭販売や、ネットワークを経由したダウンロード販売等により、誰でも、いつでも自由にコンピュータソフトウェアの投資分析アルゴリズム・その他機能等から判断して、当該ソフトウェアを購入できる状態にある場合。一方で、当該ソフトウェアの利用に当たり、販売業者等から継続的に投資情報等に係るデータ・その他サポート等の提供を受ける必要がある場合には、登録が必要となる場合があることに留意するものとする。

c. (略)

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P2Pインシュランス

プラットフォーム (ブローカー)

保険会社

保険加入(団体・免責設定)

拠出

<少額短期保険業者向け監督指針> III-1-1(1) なお、当該事業の全部又は一部が保険業に該当するか否かは、法第2条第1項によって判断するが、その際以下の項目に留意する。 (参考)法第2条第1項:この法律において「保険業」とは、人の生存又は死亡に関し一定額の保険金を支払うことを約し保険料を収受する保険、一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し保険料を収受する保険その他の保険で、法第3条第4項各号又は第5項各号に掲げるものの引受けを行う事業をいう。 (中略) (注1)一定の人的・社会的関係に基づき、慶弔見舞金等の給付を行うことが社会慣行として広く一般に認められているもので、社会通念上その給付金額が妥当なものは保険業には含まれない。 上記の「社会通念上その給付金額が妥当なもの」とは、10万円以下

とする。

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大企業におけるイノベーション導入の鉄則 トップマネジメントのコミットメント

ー イノベーションは重要な経営戦略と位置づけ ー 実務部隊から上がってくる案件をマネジメントに直接説得できる者

担当するトップマネジメントは組織の長期戦略に責任を負う者(CEO、CFO、CSO) ー 個別最適に陥らない全社的・長期的な観点からの投資

実務部隊は既存の事業ユニットに属してはいけない ー ディスラプティブなイノベーションは既存の事業ユニットに潰される

実務部隊はトップマネジメントの直属部隊 ー 間に余計な階層を設けるとディスラプティブなイノベーションの角がとれてしまう

規制当局におけるイノベーション担当部署への応用 企画・監督いずれにも帰属しない部署 省庁の長期戦略に責任を負う幹部の直属組織 上がってきた案件を企画・監督に下ろすのでは意味がなく、その部署と直属の上司で判断

ー 既存の規律とぶつかる場合には、例外を認めるための枠組み・ツールを用意 適切なKPIのもとでPDCA管理

注)組織令を動かさずに行う方法として企画・監督の共管として部署構成員は両局兼務がありうるか

規制改革のための枠組み

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ビジネスモデルの実地テストという位置づけ ー 期間と対象者を限定し、ビジネスモデルの仮説を検証することを目的とする ー 対象者はリスク許容度の高いアーリーアダプター、最初の1000人

法律や規則を直接いじる必要はない ー イノベーションは既存のルールの境界領域で起こる。特にディスラプティブなイノベーションは、マージナルであるもののルールの根幹に関わる問題を提起するため、解釈指針として一般化されてしまうノーアクションレターやグレーゾーン解消制度では解消できない

ー 先の例に見るとおり、抵触は監督指針レベルで発生するものがほとんど(法律や規則は十分に抽象的。直接に抵触しており修正が必要であれば改正ダマとして上げやすい)

「イノベーションの促進」を目的として、案件ごとに個別的に例外を許容する枠組み ー 多くの事案は、「本件はやっても良いと思われるが、この事案を認めると、そのロジックを適用すれば、現行法上(ないし現行監督上)とても認められない○○という事案まで認めなければならないことになる」という理由で認められない

- 具体的なビジネスモデルのもと、「イノベーションの促進のためにビジネスモデルの仮説検証を行う」という目的のために、一定の限定された期間、限定された対象者につき行うものについて、監督指針上の例外を許容する、という建付けであれば、上記のような理由で認められないことにはならない

ー 例外を許容するための着眼点の公表 不測の事態が生じた場合の対処

ー 利用者保護のための一定のコンティンジェンシープラン(保険手当を含む)の用意を、提案を許容するための判断基準に含める

ー 問題が生じた場合に関する当局のあらかじめのコミットは技術的に難しいところもあり、曖昧にしておくことはやむを得ない

規制の例外を認めるための枠組み

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KPIは数値目標を絶対化するものではなく、アカウンタビリティを高めるもの ー 数値の公表と、KPIから乖離したものについてはその原因についてのマネジメントディスカッション ー あくまでマーケットとの対話のためのツール

想定されるKPI ー 申請処理の期間(正式申請からのみではなく、相談開始から処理完了までの期間) ー 処理件数(結論を出した件数) ー 申請件数の帰趨に関する分布(許容、拒絶、正式に資格申請、途中で頓挫)⇐ 正式処理にならなかった案件についても算出する必要

分析とディスカッション ー 数値結果のみではなく、その数値となった原因の分析、前期との変動がある場合にはその理由の分析

ー 分析結果の公表 実験結果の総括から規制改正のタマを抽出

PDCAを回すためのKPIの設定

<必要なツール> •組織令上の整理・機構定員要求、組織規則の改定 •フレームワーク(ガイダンス)、許容基準の策定 •KPIの項目・数値の設定

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弁護士 増 島 雅 和 森・濱田松本法律事務所 tel. 03.5220.1812 email. [email protected]