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Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management. 中央大学大学院 戦略経営研究科 山本秀男プロジェクト研究 ケース作成グループワーク サイボウズ株式会社の経営戦略とIT戦略の融合 ~コモディティ化の追求による持続的競争優位の確立に向けて~ 2009/9/12 宣史 伊東 田附 悟史

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    中央大学大学院 戦略経営研究科山本秀男プロジェクト研究 ケース作成グループワーク

    サイボウズ株式会社の経営戦略とIT戦略の融合

    ~コモディティ化の追求による持続的競争優位の確立に向けて~

    2009/9/12

    濵 宣史伊東 明

    田附 悟史

  • 2Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    Agenda

    サイボウズの御紹介

    企業概要

    考察と仮説

    TOPインタビュー

    新生サイボウズのIT戦略の考察①

    新生サイボウズのIT戦略の考察②

    まとめ

    持続的競争優位の確立に向けた課題

  • Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    サイボウズの御紹介

  • 4Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    サイボウズの御紹介

    サイボウズとは?・グループウェアを中心としたソフトウェアの開発&販売を行う企業。

    ・『情報共有の場を広げ、チームワークを生み出し、知の創造に貢献する』がコンセプト。

    図1. サイボウズ Office8の画面イメージ

    出所:サイボウズ社 ホームページ

    グループウェアとは?・組織内のコンピュータ及びネットワークを活用した情報共有のためのソフトウェア。

    接続されたコンピュータ同士で情報の交換や共有を行ない、業務効率化を支援する。

    ・主な機能は、スケジュール共有、設備予約、Todo共有、ワークフロー機能 ・・・etc.

  • 5Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    サイボウズのグループウェア製品の導入社数の推移・サイボウズのグループウェアは発売以来、導入社数が年々増加し続けている。

    32

    310

    587

    899

    1,264

    1,578

    1,820

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    1,200

    1,400

    1,600

    1,800

    2,000

    2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

    表1. サイボウズ Office 導入社数

    (導入社数)

    (年度)

    66846

    2,571

    6,440

    11,357

    15,353

    17,514

    19,940

    22,231

    24,090

    25,59226,800

    0

    5,000

    10,000

    15,000

    20,000

    25,000

    30,000

    1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

    表2. サイボウズ ガルーン 導入社数

    (導入社数)

    (年度)

    出所:サイボウズ社 会社案内

    サイボウズの御紹介

    現代の厳しい環境下でも着実に売れている!

  • 6Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    サイボウズ製品の市場シェアの推移

    サイボウズの御紹介

    ・2007年(創立10年目)には、日本国内グループウェア市場でシェアNo.1を獲得!

    12.9%17.3%

    12.5%

    23.4% 26.2% 26.7% 24.7%6.0%

    5.9% 12.5%

    7.2%7.8% 10.0% 10.3%

    16.8%

    16.9%17.6%

    14.4%12.1%

    13.1% 13.6%

    44.0%

    43.5%35.3% 29.8% 29.3%

    24.7% 25.1%

    20.3%16.4%

    22.1% 25.2% 24.6% 25.5% 26.3%

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    80%

    90%

    100%

    2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

    サイボウズ

    Notes

    Exchange

    desknet's

    その他

    表3. グループウェア製品市場シェアの推移

    (市場シェア率)

    (年度) 出所:ノークリサーチ

    着実な売上増加は市場シェアにも反映されている!

  • 7Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    製品のコモディティ化によって競争優位性を確立した!

    なぜ売れているのか?・製品機能を徹底的に絞り込み、ユーザーの使い勝手を向上!

    ・圧倒的低価格を実現し、リーダー企業との差別化に成功!

    (製品価格+導入価格)

    (ユーザービリティ)

    高い

    安い

    低い

    高い

    図2. サイボウズ製品の特徴とポジショニング

    サイボウズの御紹介

    IBMLotus Notes

    Domino

    サイボウズOffice

    ガルーン

    ・自社単独での導入が困難・購入しても即使用できない・多機能で使いこなせない・高い・・・(1CAL¥13,000-~+付随費用が多い)

    ・導入が簡単・購入後、即使用可能・必要最低限のシンプルな機能・安い!(50CAL¥198,000-=1CAL¥3,960-)

    ※製品発売当時の価格

  • 8Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    (年商・百万円)

    (年度)

    業績推移

    0

    2,000

    4,000

    6,000

    8,000

    10,000

    12,000

    14,000

    1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    1,200

    売上(連結)

    売上(単体)

    経常利益(単体)

    当期純利益(連結)

    経常利益(連結)

    当期純利益(単体)

    表4. サイボウズの業績推移

    出所:サイボウズ㈱IR情報

    サイボウズの御紹介

  • Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    考察と仮説

  • 10Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    製品のコモディティ化によって持続的競争優位が確立できるのか・・・?

    製品のコモディティ化によって競争優位は確立できるのか?

    考察と仮説

    ITの優位性は高い

    ITの普及

    ITの標準化

    ITの低価格化

    ITのインフラ化

    ITの優位性は低い

    専有技術 コモディティ化

    戦略的価値

    ITの戦略的価値

    インタンジブル・アセットの価値

    図3. ITのコモディティ化と戦略的価値の関係

    ・標準化・低価格化

    技術の進化

    ・ITのコモディティ化とは? (出所:ニコラス G・カー「IT Dosen’t Matter」)

  • 11Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    製品のコモディティ化が利益に悪影響を及ぼしているのではないか?

    本当に競争優位性が確立されているのか?

    表4. 経常利益率(対売上高)の推移

    (経常利益率)

    (年度)

    21.7%

    24.5%

    31.8%

    14.4%

    7.9%6.6%

    5.1%

    17.9%

    17.0%17.3%

    23.6%

    24.3%

    18.1%

    28.5%

    20.9%

    15.2%

    28.4%

    19.5%

    25.2%

    24.9%

    0.0%

    5.0%

    10.0%

    15.0%

    20.0%

    25.0%

    30.0%

    35.0%

    1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

    経常利益率(連結)

    経常利益率(単体)

    出所:サイボウズ社 IR情報

    考察と仮説

    ・連結の利益率はダウン傾向にある・・・(※単体の利益率は高水準を維持)

  • 12Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    その他製品のシェアも伸張・・・TOPシェアを維持することが出来るのか?

    このまま市場シェアNo.1を維持できるのか?

    12.9%17.3%

    12.5%

    23.4% 26.2% 26.7% 24.7%6.0%

    5.9% 12.5%

    7.2%7.8% 10.0% 10.3%

    16.8%

    16.9%17.6%

    14.4%12.1%

    13.1% 13.6%

    44.0%

    43.5%35.3% 29.8% 29.3%

    24.7% 25.1%

    20.3%16.4%

    22.1% 25.2% 24.6% 25.5% 26.3%

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    80%

    90%

    100%

    2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

    サイボウズ

    Notes

    Exchange

    desknet's

    その他

    表5. グループウェア製品市場シェアの推移

    (市場シェア率)

    (年度)出所:ノークリサーチ

    考察と仮説

    ・日本国内グループウェア市場でシェアNo.1を獲得したものの・・・

  • 13Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    競争優位性を持続するための経営戦略、IT戦略は・・・?

    仮説の醸成

    考察と仮説

    主力製品のコモディティ化戦略は業績を圧迫しているのではないか?

    ITを効果的に活用して、苦境の活路を切り開いている【仮説1】

    主力製品がコモディティ化する中で持続的競争優位を

    確立するために、経営戦略とIT戦略の融合が図られている【仮説2】

    TOPインタビューするしかない!

  • Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    企業概要

  • 15Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    サイボウズ株式会社の概要・設立・・・1997年8月8日

    ・所在地・・・東京(後楽園)、大阪、松山

    ・事業内容・・・インターネット/イントラネット用ソフトウェアの開発・販売

    ・資本金・・・569百万円(2009年1月末時点)

    ・上場証券取引所・・・東京証券取引所 市場第1部(コード4776)

    ・業績(個別)・・・2009年1月期個別売上 4,034百万円、経常利益1,004百万円

    ・業績(連結)・・・2009年1月期連結売上 9,359百万円、経常利益 742百万円

    ・従業員数・・・212名(2008年1月末)

    ・関連会社

    【連結子会社(6社)】

    サイボウズ総合研究所株式会社、サイボウズ・ラボ株式会社、ユミルリンク株式会社

    サイボウズ・メディアアンドテクノロジー株式会社、株式会社ブリングアップ、株式会社ジェイヤド

    【持分法適用関連会社(2社)】

    cybozu.net株式会社(サイボウズ・ドットネット)、フィードパス株式会社

    【その他のグループ会社(2社)】

    才望子信息技術 (上海) 有限公司(サイボウズ上海)

    Cybozu Vietnam Co., Ltd.(サイボウズベトナム)

    企業概要

  • 16Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    企業概要

    企業理念・「情報サービスをとおして世界の豊かな社会生活の実現に貢献する」・「簡単・便利・安い」による「情報サービスの大衆化」

    サイボウズの原則・・・「人間尊重」・人を尊重し自分を尊重する。すなわち各人が天分をはたせるようにすること。

    サイボウズの存在意義・・・「文化的価値創造」・多くの人々の生活がより豊かになるために、新たな必需品を創造すること。

    サイボウズの行動指針・・・「サイボウズ五精神」

    1. 一芸に秀でる2. ベストを尽くす3. 誠実4. チームワーク5. 人から学ぶ

    出所:2009年1月期(第12期)決算説明会資料、サイボウズ社 ホームページより作成

    人間尊重

    文化的価値創造

    五精神

    原則 存在意義 企業理念の実現

    「簡単・便利・安い」による「情報サービスの大衆化」

    「情報サービスをとおして世界の豊かな社会生活の実現に貢献する」

    行動指針

    図4. サイボウズの企業理念の概要

    コモディティ化の追求

    個人・チームワーク

    イノベーション

  • 17Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    販売チャネル

    企業概要

    国内企業

    官公庁

    自治体

    海外企業

    日系企業

    一般消費者

    その他

    研究開発

    製品

    サービス

    通信サービス

    メール配信サービス

    ビリング(課金・請求)ソリューション提供

    請求代行

    シンクライアント・ソリューション

    内部統制ソリューション

    システムインテグレーション

    旅費精算システム

    SaaSビジネス展開

    オフショア開発

    ビジネスパーソン向けビジネスポータル

    ダウンロード販売

    販売パートナー

    サイボウズ㈱

    サイボウズ・ラボ㈱

    ㈱インフォニックス

    ユミルリンク㈱

    ブリングアップ㈱

    ㈱ジェイヤド

    cybozu.net㈱

    フィードパス㈱

    サイボウズ上海

    サイボウズベトナム

    サイボウズグループ 顧客

    持分法適用子会社

    非連結子会社

    2009度より連結除外

    連結子会社

    サイボウズ総合研究所㈱

    サイボウズ・メディアアンドテクノロジー㈱

    ビジネススキーム

  • 18Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    企業概要

    出所:2009年1月期(第12期)決算説明会資料

    中長期目標・グループの総力を挙げて、「グループウェア世界トップシェア」を目指す。

    ・海外市場獲得のための先駆けとして、アジア市場をターゲットとする。

    ・グローバル展開の経緯・2001年 米国現地法人 Cybozu Corporation 設立・2005年 米国現地法人 Cybozu Corporation 撤退・2007年 サイボウズ上海(才望子信息技術有限公司)設立・2008年 サイボウズベトナム(Cybozu Vietnam Co., Ltd)設立・2009年 アジア諸国でのオフィシャルパートナー契約開始

    図5. サイボウズのグローバル戦略

  • 19Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    図7. ボウズマン(2009年)図6. 歴代ボウズマン

    図8. ささきいさおによるテーマソング 図9. 神谷明のクリックボイス

    出所:サイボウズ社 ホームページ

    参考情報・・・プロモーション活動・サイボウズは独自のプロモーション活動を実施している。

    ・1998年以降、オリジナルキャラクター「ボウズマン」を広告塔に採用している。

    ・ボウズマンは時代と共に進化しており、現在は5代目。

    ・ボウズマンは、テーマソングや人気声優によるクリックボイスも作成されている。

    企業概要

  • 20Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    参考情報・・・プロモーション活動・「グループウェア」と検索するより、「サイボウズ」と検索される傾向が高い。

    すなわち、「サイボウズ」=「グループウェア」と認識されている。

    図10. グループウェア市場におけるサイボウズの認知度の高さ

    出所:Google Insights for Search

    ブランディングの確立に成功している!

    企業概要

  • Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    TOPインタビュー

    ~ 2009/8/14 & 2009/8/21 ~

  • 22Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    TOPインタビューの概要・青野代表取締役社長と、北原社長室長にお話しを伺った!

    TOPインタビュー

    青野代表取締役社長 北原社長室長

    伊東

    田附

    ボウズマン

  • 23Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    TOPインタビューの概要

    TOPインタビュー

    サイボウズ

    人材の観点

    プロダクトの観点

    ファイナンスの観点

    情報の観点

    ベンチャー的体質

    属人性の強さ

    製品の乱立

    散漫なコンセプト

    戦略無き開発投資

    M&Aの失敗

    内部情報の散在

    市場の認識不足

    サイボウズの歴史の背景には紆余曲折があった・・・

    新生サイボウズへの変革!

    そして、青野社長が就任後の2006年頃から変革を開始した!

  • 24Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    TOPインタビューの概要

    TOPインタビュー

    IT戦略との関連性を予想

    サイボウズ

    人材戦略

    プロダクト戦略

    ファイナンス戦略

    情報戦略

    人材変革

    コミュニケーション

    選択と集中

    コンセプトの明確化

    戦略的投資

    戦略的回収

    内部情報の活用

    外部情報の活用

    新生サイボウズ(2006年~)

    ドラスティックな人事制度刷新

    チームワークの醸成

    グループウェア製品への特化

    企業理念を実現する製品イノベーション

    グローバル市場へのリトライ

    ドメイン集中(子会社売却)

    知識創造の活用

    市場との積極的なコンタクト

    和の文化

    経営戦略(経営理念)を実現するコモディティ化製品により、永続的企業へ・・・

    つまり、コモディティ化の追求は持続的競争優位確立のための戦略だった!

  • 25Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    TOPインタビューの概要

    TOPインタビュー

    コモディティ化の追求は持続的競争優位を確立するための戦略!

    主力製品がコモディティ化する中で持続的競争優位を

    確立するために、経営戦略とIT戦略の融合が図られている【仮説2】

    持続的競争優位を確立するための経営戦略として

    コモディティ化を追求し、IT戦略との融合が図られている【仮説2】

  • 26Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    TOPインタビュー

    (年商・百万円)

    (年度)

    出所:サイボウズ㈱IR情報

    サイボウズの転換期

    0

    2,000

    4,000

    6,000

    8,000

    10,000

    12,000

    14,000

    1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    1,200

    売上(連結)

    売上(単体)

    経常利益(単体)

    当期純利益(連結)

    経常利益(連結)

    当期純利益(単体)

    表6. サイボウズの転換期とIT戦略

    製品戦略

    競争戦略

    経営戦略

    トピックス

    M&A活性化

    子会社売却(選択と集中)

    ・米国市場撤退・サイボウズ・ラボ設立(海外展開向けSW開発)

    ・サイボウズ弁公系統発売・ApprovalFlow発売

    海外展開リトライ(サイボウズ上海設立)

    国内シェアNo.1

    社長交代

    人事制度刷新

    マザーズ上場 東証ニ部上場 東証一部上場

    Seed Start up Expansion Growth More!

    IT戦略

    変革期

    More

    創業

    ・Office1発売

    新生サイボウズで、我々の仮説は実証されるのだろうか?

    ITを効果的に活用して、苦境の活路を切り開いている

    持続的競争優位を確立するための経営戦略として

    コモディティ化を追及し、IT戦略との融合が図られている

    【仮説1】

    【仮説2】

  • Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    新生サイボウズのIT戦略の考察①

  • 28Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    ITを活用することにより、イノベーションを活性化させているのでは?

    (製品の性能)

    (時間)

    サイボウズのIT戦略

    破壊的

    イノベーション

    サイボウズOffice

    ガルーン

    IBMLotus Notes

    Domino

    出所:クリステンセン「イノベーションのジレンマ」

    図4. イノベーションのジレンマ

    「簡単・便利・安い」による

    「情報サービスの大衆化」

    新生サイボウズのIT戦略の考察①

    ・サイボウズの競争優位性は、経営戦略に適った“プロダクトイノベーション”が礎となる。

  • 29Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    新生サイボウズのIT戦略の考察①

    サイボウズのIT戦略

    出所:JUAS 「企業IT動向調査2009」

    ITを活用したビジネスイノベーション

    ビジネスモデルの変革~新技術を活用した画期的イノベーション~

    ビジネスプロセスの変革~日々の改善を積み上げていく斬新的イノベーション~

    ビジネス自体の変革

    商品・サービスの創造

    顧客確保・拡大

    現場改善

    組織の改革を支える

    基盤の確立

    業務プロセスの変革

    図5. ITを活用したビジネスイノベーション

    ・サイボウズのイノベーションは、どのようにして生まれているのだろうか?

    ・ITを活用したビジネスイノベーションは下記のように分類される。

  • 30Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    内部知識

    蓄積

    オープン

    知識ベース 企業組織 市場 イノベーション

    非企業組織による

    知識蓄積

    1

    D

    CB

    A 7

    6

    5

    43 2

    実線:製品の流れ、A~D

    点線:情報の流れ、1~7

    企業組織でのイノベーションプロセス 市場でのイノベーションプロセス

    サイボウズのIT戦略・サイボウズのイノベーションは、どのようにして生まれているのだろうか?

    新生サイボウズのIT戦略の考察①

    出所:伊丹敬之(一橋ビジネスレビュー 2008 SPR.)

    図6. 知識・企業システム・イノベーションのダイナミクス

    企業組織と市場の知識を“繋げる”ことで、イノベーションは活性化される。

    ITを活用することで、よりイノベーションが活性化されているのでは?

  • 31Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    出典:JIPDEC (財)日本情報処理開発協会「IT投資マネジメントガイドライン」

    出所:JIPDEC (財)日本情報処理開発協会「IT投資マネジメントガイドライン」より抜粋

    概念

    プロセス改善型  ビジネスプロセスのパフォーマンス向上を目指した投資

    顧客価値増大型  顧客関係の強化により、顧客増大、市場拡大を目指した投資

    製品開発力強化型  製品・サービス開発強化のための投資

    ビジネス創出型  ITをイネーブラにして新たなビジネスを創出する投資

    組織力強化型  戦略管理、財務管理、人的資源管理など組織資本、人的資本への投資を通じて戦略実現に貢献

    ITインフラ強化型  アプリケーション開発や維持管理の効率性向上、ビジネスパフォーマンス向上などのための投資

    効率向上型  日常の業務改善レベルであり、業務コスト改善、販管費削減などによる効率向上を目指した投資

    情報提供型(対顧客)  顧客接点を強化するために、顧客や取引先に対して付加価値の高い情報提供を目指したIT投資

    情報共有型  社内及び関係者での情報共有、ナレッジマネジメントを目指したIT投資

    リスク対応型  リスク対応、セキュリティ対策、コンプライアンスのためのIT投資

    必須対応型  法制度改正や顧客からの要望への対応など

    戦略実現

    間接的

    個別対応

    効果分類

    新生サイボウズのIT戦略の考察①

    サイボウズのIT戦略・IT投資の観点からも考察する。

    表7. IT投資マネジメントガイドライン

  • 32Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    新生サイボウズのIT戦略の考察①

    図8. IT活用による組織内部の知識連結

    オープン

    知識ベース企業組織

    非企業組織による

    知識蓄積

    経営戦略

    ~連結化~グループウェア

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    図7.企業組織でのイノベーションプロセス

    サイボウズのIT戦略・サイボウズの企業組織でのイノベーションは、どのようにして生まれているのだろうか?

    効率向上型

    組織力強化型

    顧客価値増大型

    製品開発力強化型

    ビジネス創出型

    情報提供型(対顧客)

    情報共有型

    ITによる組織内の知識蓄積によって、イノベーションが活性化されている!

    内部知識蓄積

    IT戦略

    図9. IT投資マネジメントの観点から見たサイボウズのIT戦略

  • 33Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    新生サイボウズのIT戦略の考察①

    市場斬新的・画期的

    イノベーション

    ITアプローチ リアルアプローチ

    図11. IT活用による組織外部との知識連結図10.市場でのイノベーションプロセス

    サイボウズのIT戦略・サイボウズの市場でのイノベーションは、どのようにして生まれているのだろうか?

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    IT戦略

    効率向上型

    組織力強化型

    顧客価値増大型

    製品開発力強化型

    ビジネス創出型

    情報提供型(対顧客)

    情報共有型

    ITによる組織外との知識連携によって、イノベーションが活性化されている!

    図12. IT投資マネジメントの観点から見たサイボウズのIT戦略

  • 34Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    新生サイボウズのIT戦略の考察①

    サイボウズのIT戦略・サイボウズのイノベーションは、以下のようにして創出されている。

    図13. サイボウズでのITを活用した知識連結によるイノベーション

    サイボウズは、ITを活用して企業組織と市場の知識を“繋げる”ことで、経営戦略(経営理念)=コモディティ化を実現するイノベーションを創出している!

    内部知識蓄積

    オープン

    知識ベース企業組織

    市場斬新的・画期的

    イノベーション

    非企業組織による

    知識蓄積

    1

    D

    CB

    A 7

    6

    5

    43 2

    企業組織でのイノベーションプロセス 市場でのイノベーションプロセス

    出所:伊丹敬之(一橋ビジネスレビュー 2008 SPR.)に一部加筆

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    新生サイボウズのIT戦略の考察②~グランズウェル的思考~

  • 36Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    ITを活用した新たな思考法・ITを活用した企業組織・市場との知識連携によってイノベーションを活性化させる…

    この考え方は、『グランズウェル』と呼ばれる思考に該当する。

    新生サイボウズのIT戦略の考察② ~グランズウェル的思考~

    出所:シャーリーン・リー、ジョシュ・バーノフ

    「グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略」

    サイボウズは、グランズウェル的思考を活用しているのでは?

    『グランズウェル』とは?・“大きなうねり”と呼ばれる社会動向であり、人々がテクノロジー(IT)を使い、自分が必

    要としているものを企業などの伝統的組織ではなく、“つながり”を持った人から調達す

    るようになっていることを示す。

    サイボウズが必要としているものとは?・コモディティ化を実現するイノベーションを創出するための企業組織・市場の声

    ・イノベーションのジレンマに陥らないための市場ニーズの把握 ・・・etc.

  • 37Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    グランズウェルの実践方法1) 耳を傾ける(傾聴戦略)

    2) 話をする(会話戦略)

    3) 活気づける(活性化戦略)

    4) 支援する(支援戦略)

    5) 統合する(統合戦略)

    新生サイボウズのIT戦略の考察② ~グランズウェル的思考~

    図14. グランズウェルの実践サイクル

    統合支援

    活性化

    会話

    傾聴

    グランズウェルを実践するためのテクノロジーツール表8. グランズウェル的思考法とテクノロジーツール

    グランズウェル的思考 グランズウェルテクノロジーの例 サイボウズのグランズウェル的思考を実現するテクノロジー

    1  創造する  Blog・UGC・Podcast  ブログ(社内・社外) ※約15本

    2  つながる  SNS コミュニティサイト(社内・社外) グループウェア(社内) サポートサイト(社外)

    3  コラボレーションする  Wiki・Open Source  コミュニティサイト(社内・社外)

    4  リアクションする  Forum Rating Ranking Review コミュニティサイト(社内・社外) サポートサイト(社外) Twitter(社内)

    5  コンテンツを整理する  tag  コミュニティサイト(社内・社外)

    6  コンテンツの消費を加速する  RSS・widget  RSSリーダー(社外)

    コミュニケーションの活性化

  • 38Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    グランズウェル的思考+リアルアプローチ・しかもサイボウズは、観察者・不参加者への“リアルアプローチ”も実施している。

    図15. グランズウェル参加者のイノベーションへの影響度合い

    (変革要求度)

    (関心度)

    高い

    低い

    低い

    高い

    創造者

    批判者

    収集者

    加入者

    不参加者

    観察者

    新生サイボウズのIT戦略の考察② ~グランズウェル的思考~

    不参加者

    観察者

    不参加者

    観察者

    そして、知名度が高いブランドだからこそ、実施可能なアプローチ方法である!

    グランズウェルへの参加度が低い者ほど、イノベーションを齎す可能性がある。

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    まとめ

  • 40Copyright © 2009 All rights reserved by Chuo Graduate School of Strategic Management.

    サイボウズの経営戦略とIT戦略の融合①・グランズウェル的思考+リアルアプローチによる経営戦略(理念)の実現

    まとめ

    図13. サイボウズでのITを活用した知識連結によるイノベーション(再掲)

    IT活用型のグランズウェル的思考+リアルアプローチにより、企業組織と市場の知識を“繋げる”ことで、

    経営戦略(経営理念)=コモディティ化を実現するイノベーションを創出している!

    内部知識蓄積

    オープン

    知識ベース企業組織

    市場斬新的・画期的

    イノベーション

    非企業組織による

    知識蓄積

    1

    D

    CB

    A 7

    6

    5

    43 2

    企業組織でのイノベーションプロセス 市場でのイノベーションプロセス

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    まとめ

    サイボウズの経営戦略とIT戦略の融合②・経営戦略(経営理念)とIT戦略の融合による競争優位の確立

    経営戦略とIT戦略の融合による競争優位

    ビジネスモデルの変革

    ~画期的イノベーション~

    戦略型ITASIS TOBE

    プロセス改善型

    顧客価値増大型

    製品開発力強化型

    ビジネス創出型

    情報提供型(対顧客)

    効率向上型

    組織力強化型

    ITインフラ強化型

    情報共有型

    リスク対応型

    必須対応型

    ビジネスプロセスの変革

    ~斬新的イノベーション~ビジネスプロセスの創出

    間接型IT

    個別対応型IT

    KPI

    時間軸

    IT投資マネジメント

    価値創出プロセス

    高いIT活用能力

    経営戦略(経営理念)経営戦略とIT戦略の融合

    高レベルなIT資産

    (人的資本・情報資本・組織資本)

    出所:浜(2009)

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    効果的なIT投資

    仕組みとしてのITを使いこなす能力

    図16. 経営戦略とIT戦略の融合による価値創出イメージ

    経営戦略(経営理念)=コモディティ化とIT戦略の融合によって創出されるイノベーションは、競争優位の確立に寄与している!

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    競争優位性を持続するための経営戦略、IT戦略は・・・?

    仮説の実証

    まとめ

    主力製品のコモディティ化戦略は業績を圧迫しているのではないか?

    ITを効果的に活用して、苦境の活路を切り開いている【仮説1】

    持続的競争優位を確立するための経営戦略として

    コモディティ化を追及し、IT戦略との融合が図られている【仮説2】

    我々の仮説は実証された!

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    持続的競争優位の確立に向けた課題

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    課題(インタビューより)

    持続的競争優位の確立に向けた課題

    新たな競合企業の出現(Google等が提供するフリーソフトは脅威)

    グローバル展開のリスク(アジア展開での海賊版リスク)

    企業規模拡大による大企業病・・・

    グループウェア開発を支える有能な人材の確保、流出リスク

    これらの課題は、IT戦略だけで解決できるものではない。

    しかし、サイボウズはこれまでと同様に苦境を乗り越えていくだろう。

    これからもサイボウズの成長から目が離せない!

    これらの苛酷な課題に立ち向かっていかなければならない・・・

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