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栃木県過疎地域自立促進方針 (平成 28~32 年度) 平成 27 年9月 (平成 30 年1月一部改定)

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栃木県過疎地域自立促進方針

(平成 28~32年度)

平成 27年9月

(平成 30年1月一部改定)

栃 木 県

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○この栃木県過疎地域自立促進方針は、過疎地域自立促進特別措置法(平成 12 年法律第 15 号)

第5条の規定に基づき、本県の過疎地域の自立を促進するための方針を定めたものである。

○方針に係る期間及び対象地域は以下のとおりである。

・期 間 平成 28年度から平成 32年度までの5年間

・対象地域 日光市のうち旧足尾町・旧栗山の区域、茂木町、塩谷町、那珂川町

過疎関係市町 4 過疎市町 3

過疎地域とみなされる区域を有する市町 1 過疎地域とみなされる区域 2

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目 次

Ⅰ 基本的な事項

1 過疎地域の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

(1) 現 状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

ア 過疎地域自立促進特別措置法の公示団体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

イ 過疎地域団体の地理的条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

ウ 他の特定地域の振興法に基づく指定地域等の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・2

エ 人口等の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

オ 産業の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

カ 財政の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

(2)過疎対策の成果と今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

ア 過疎対策の成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

イ 今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

2 時代に対応した新たな過疎対策の基本的方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

(1) 過疎地域が有する役割・意義と対策の必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

(2) 新たな過疎対策の本県の基本的な考え ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

ア 基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

イ 目指すべき将来像・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

ウ 県が過疎対策を行うに当たり留意する視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

(3) 過疎地域自立促進のための施策展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

Ⅱ 分野別の方針と対策

1 産業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

(1) 方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

(2) 対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

ア 農林水産業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

イ 商工業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

ウ 観光の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

2 交通通信体系の整備、情報化及び地域間交流・連携の促進・・・・・・・・・・・・・・・・23

(1) 方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

ア 道路・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

イ 生活交通・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

ウ 情報通信・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

エ 地域間交流・連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

(2) 対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

ア 国・県道及び市町村道の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

イ 農道、林道の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

ウ その他道路全般に関する対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

エ 生活交通の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

オ 情報通信施設の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

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カ 情報発信の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

キ 地域間交流・連携の促進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

3 生活環境の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

(1) 方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

(2) 対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

ア 水道等の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

イ 生活排水処理施設等の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

ウ ごみ処理施設の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

エ 消防・救急施設の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

オ その他の対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28

4 高齢者等の保健及び福祉の向上及び増進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

(1) 方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

(2) 対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

ア 高齢者の保健及び福祉の向上及び増進を図るための対策・・・・・・・・・・・・・・・29

イ 児童その他の保健及び福祉の向上及び増進を図るための対策・・・・・・・・・・・・・30

5 医療の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

(1) 方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

(2) 対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31

ア 医療確保対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

イ 特定診療科に係る医療確保対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

6 教育の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

(1) 方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

(2) 対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

ア 公立小中学校等教育施設の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

イ 社会体育施設、社会教育施設等の整備推進及び社会教育活動の促進・・・・・・・・・・32

7 地域文化の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

(1) 方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

(2) 対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

■ 地域文化の振興に係る環境の整備等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

8 集落機能の維持・活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

(1) 方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

(2) 対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

■ 集落機能の維持・活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

Ⅲ 地域別の自立促進方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35

1 旧足尾町(現日光市)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35

2 旧栗山村(現日光市)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37

3 茂木町・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

4 塩谷町・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

5 那珂川町・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

6 その他(広域的な社会生活圏計画等との関連)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45

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Ⅰ 基本的な事項

1 過疎地域の現状と課題

(1) 現 状

ア 過疎地域自立促進特別措置法の公示団体

○本県 25市町のうち、過疎地域自立促進特別措置法(平成 12年法律第 15号)(以下、

過疎法)に基づく公示団体は、日光市のうち旧足尾町・旧栗山村の区域、茂木町、

塩谷町及び那珂川町の4市町5地域である。(平成 29年 4月1日現在)

○日光市については、旧足尾町及び旧栗山村が、最初の過疎対策の法律である過疎地

域対策緊急措置法(昭和 45 年法律第 31 号)に基づく過疎地域として公示されて以

来、現在まで過疎地域として法の適用を受けている。平成 18年3月に非過疎地域で

ある旧日光市、旧今市市、旧藤原町との5市町村合併を行なったが、過疎法第 33条

第2項の規定により、合併以前に過疎地域であった旧2町村の区域のみが、引き続

き過疎地域としての適用を受けることになった。

○茂木町は、昭和 45年度に過疎地域として公示されて以来、現在まで、法の適用を受

けている。

○塩谷町については、平成 27 年国勢調査の結果に伴う法改正に伴い平成 29 年4月1

日に過疎地域として公示されている。

○那珂川町については、旧馬頭町が昭和 45年度から過疎地域として法の適用を受けて

おり、平成 17年 10月に非過疎地域である旧小川町と合併したが、過疎法第 33条第

1項の規定により、旧小川町の区域も含めた町全域が過疎地域とみなされた。その

後、平成 26年の法一部改正により過疎法第2条1項の適用を受け町全域が過疎地域

として公示されている。

〔栃木県内の過疎地域〕

区 分 団体名

過疎地域対策緊急措置法 (昭和 45~54年度)

足尾町、茂木町、栗山村(S46~)、馬頭町

過疎地域振興特別措置法 (昭和 55~平成元年度)

足尾町、茂木町、栗山村、馬頭町、粟野町

過疎地域活性化特別措置法 (平成2~11年度)

足尾町、茂木町、栗山村、馬頭町

過疎地域自立促進特別措置法 (平成 12~21年度)

日光市(旧足尾町、旧栗山村の区域)、茂木町、那珂川町(H17~旧小川町を含む全域)

過疎地域自立促進特別措置法(延長) (平成 22~32年度)

日光市(旧足尾町、旧栗山村の区域)、茂木町、塩谷町(H29~)、那珂川町

※日光市は、過疎法第 33条第2項による一部過疎地域である。

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イ 過疎地域団体の地理的条件

○県西部の足尾山地に旧足尾町区域(現日光市)、日光連山に旧栗山村区域(現日光

市)、県東部の八溝山地に茂木町と那珂川町が位置しており、隣県に接している。

また、県の中央やや北部に塩谷町が位置している。

○過疎市町の面積は 1991.36 ㎢(県土の 31.08%)であるが、そのうち林野面積が

1,600.96 ㎢と広大であり、林野率は 80.40%となっている(非過疎地域の林野率

42.68%)。

〔林野率〕

区分 面積(㎢) 林野面積(㎢) 林野率(%)

過疎市町

日光市 1,449.83 1,253.24 86.44

旧足尾町 185.79 ― ―

旧栗山村 427.37 ― ―

茂木町 172.69 110.60 64.05

塩谷町 176.06 113.7 64.58

那珂川町 192.78 123.42 64.02

計 1991.36 1,600.96 80.40

(31.08% (45.92%)

非過疎市町 計 4416.73 1,885.21 42.68

(68.92%) (54.08%)

全県 計 6,408.09 3,486.17 54.40

※1 総面積は国土地理院が公表した数値(平成 28年 10月1日現在)、平成 27年版日光市統計書及び平成28年版栃木県森林・林業統計書により作成(平成 28年3月 31日現在)により作成

2 過疎市町計は、日光市(全域)、茂木町、塩谷町、那珂川町の数値の合計 3 過疎市町計、非過疎市町計欄の( )は対全県比率

ウ 他の特定地域の振興法に基づく指定地域等の状況

○本県の過疎地域は、県土の縁辺部の山間地等に位置し、交通条件等恵まれない環境

にあることから、他の特定地域の振興法に基づく指定地域等にも該当している。

〔指定地域等の状況〕 (平成 29年4月1日現在)

区 分 振興山村 特定農山村 豪雪地帯 辺地

日光市 旧足尾町 全域 全域

旧栗山村 全域 全域 全域 有 ( 5)

茂木町 〔逆川村〕 全域 有 (10)

塩谷町 玉生村 玉生村 有( 3)

那珂川町 〔大山田村及び大内村〕 有 ( 4)

県内該当市町村数 11 9 3 14(81)

※1 辺地数は、平成 29年3月 31日現在 2 〔 〕は、指定が市町村の一部の地域であるため、地域名(=旧市町村名)を記載 3 辺地欄の( )は辺地数

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エ 人口等の状況

(ア) 人口

○平成 27年(国勢調査)における過疎地域人口は、45,090人である。

○昭和 35年から平成 27年までの 55年間に、非過疎地域人口が 36.0%増加している

のに対し、過疎地域人口は 52.6%減少している。これに伴い、全県人口における過

疎地域人口の割合は、昭和 35年の 6.3%から、平成 27年には 2.3%となっている。

○過疎地域の5年毎の人口減少率は、昭和 40 年 10.4%、昭和 45 年 11.2%、昭和 50

年 9.5%、昭和 55 年 2.2%、昭和 60 年 1.3%、平成2年 3.3%、平成7年 2.9%、平成

12年 5.1%、平成 17年 6.7%、平成 22年 8.0%、平成 27年 10.7%であり、昭和 50年

代前半まで大幅な人口減少を示した後沈静化し、1~3%台で推移していたが、平

成 12年には再び減少率が拡大している。

○平成 27年の人口密度は、非過疎地域 367.2人/㎢に対し、過疎地域 39.0人/㎢で

ある。

(イ) 人口構成

○平成 27年の高齢化率(65歳以上)は、非過疎地域が 25.5%であるのに対し、過疎

地域は 35.8%である。なお、過疎地域においては、平成 12 年に既に 26.5%と、平

成 27年の全県の高齢化率を超えていた。

○また、平成2年から平成 27年までの 25年間における高齢化率の上昇ポイントは、

非過疎地域 13.4ポイント、過疎地域 17.0ポイントであり、過疎地域においては、

従来から高齢化率が高いうえに、非過疎地域の約 1.3 倍の速度で高齢化が進展し

ている。

○過疎地域の若年者(15歳~29歳)比率は、昭和 60年 16.1%、平成2年 15.2%、平

成7年 15.3%、平成 12 年 15.5%、平成 17 年 14.6%と安定していたが、平成 22 年

は 12.8%、平成 27年は 10.9%まで減少した。

なお、非過疎地域の若年者比率も、昭和 60年の 19.3%から平成 22年には 15.0%と

減少したが、過疎地域においては昭和 55~平成 17 年の間に、既にこの水準にな

っていた。

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(ウ) 世帯

○非過疎地域の総世帯数は、平成 12年から平成 27年までの 15年間に 97,085世帯

14.9%増加しているのに対し、過疎地域の世帯数は 1,447世帯 8.4%減少している。

○65 歳以上の高齢者の単身世帯の割合は、非過疎地域の 9.1%に対し、過疎地域は

13.2%であり、また、高齢者の夫婦のみからなる世帯の割合は、非過疎地域の 8.9%

に対し、過疎地域は 11.9%であり、いずれも過疎地域の割合は非過疎地域の割合を

上回っている。

〔総世帯数及び高齢者世帯数の状況〕

区 分

総世帯 高齢者世帯(H27)

H12 H27 増減数

(H12→H27)

単身世帯 夫婦世帯

増減率 世帯数 世帯数/総世帯数

世帯数 世帯数/総世帯数

過疎地域

日光市

旧足尾

町 1,659 1,063 △596 △35.9% 347 32.6% 180 16.9%

旧栗山

村 942 651 △291 △30.9% 142 21.8% 88 13.5%

茂木町 5,036 4,572 △464 △9.2% 573 12.5% 619 13.5%

塩谷町 3,817 3,696 △121 △3.2% 368 10.0% 398 10.8%

那珂川町 5,806 5,831 25 0.4% 662 11.4% 595 10.2%

計 17,260 15,813 △1,447 △8.4% 2,092 13.2% 1,880 11.9%

非過疎地域 計 650,199 747,284 97,085 14.9% 67,698 9.1% 66,408 8.9%

全県 計 667,459 763,097 95,638 14.3% 69,790 9.1% 68,288 8.9%

※1 総世帯数、高齢者世帯数は、国勢調査(平成 12年、平成 27年)による。 2 高齢者世帯の夫婦世帯とは、夫及び妻が 65歳以上の一組の一般世帯を指す。

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〔人口動態〕

増減率 比率B/A 比率C/A

S35 16,608 3,361 20.2% 756 4.6% 3,952

S40 14,470 △ 12.9% 2,728 18.9% 817 5.6% 3,710

S45 11,202 △ 22.6% 1,915 17.1% 864 7.7% 3,272

S50 6,948 △ 38.0% 1,076 15.5% 904 13.0% 2,336

S55 6,007 △ 13.5% 872 14.5% 1,008 16.8% 2,184

S60 5,556 △ 7.5% 648 11.7% 1,209 21.8% 2,095

H 2 4,934 △ 11.2% 603 12.2% 1,355 27.5% 1,921

H 7 4,380 △ 11.2% 447 10.2% 1,453 33.2% 1,838

H12 3,797 △ 13.3% 351 9.2% 1,509 39.7% 1,659

H17 3,248 △ 14.5% 267 8.2% 1,450 44.6% 1,466

H22 2,763 △ 14.9% 185 6.7% 1,342 48.6% 1,272

H27 2,178 △ 21.2% 139 6.4% 1,134 52.1% 1,063

△ 86.9%

S35 4,751 1,200 25.3% 244 5.1% 946

S40 3,886 △ 18.2% 636 16.4% 243 6.3% 848

S45 3,142 △ 19.1% 429 13.7% 263 8.4% 807

S50 2,843 △ 9.5% 442 15.5% 303 10.7% 801

S55 3,223 13.4% 619 19.2% 343 10.6% 1,257

S60 3,004 △ 6.8% 508 16.9% 386 12.8% 1,121

H 2 2,738 △ 8.9% 343 12.5% 500 18.3% 986

H 7 2,623 △ 4.2% 322 12.3% 596 22.7% 983

H12 2,411 △ 8.1% 284 11.8% 670 27.8% 942

H17 1,933 △ 19.8% 191 9.9% 629 32.5% 811

H22 1,726 △ 10.7% 157 9.1% 592 34.3% 863

H27 1,265 △ 26.7% 100 7.9% 545 43.1% 651

△ 73.4%

S35 26,786 4,836 18.1% 2,143 8.0% 5,238

S40 24,106 △ 10.0% 4,105 17.0% 2,314 9.6% 5,059

S45 21,978 △ 8.8% 4,250 19.3% 2,527 11.5% 5,030

S50 20,810 △ 5.3% 4,345 20.9% 2,756 13.2% 5,007

S55 20,051 △ 3.6% 3,706 18.5% 3,083 15.4% 4,944

S60 19,656 △ 2.0% 3,085 15.7% 3,312 16.8% 4,922

H 2 18,934 △ 3.7% 2,782 14.7% 3,794 20.0% 4,903

H 7 18,532 △ 2.1% 2,798 15.1% 4,453 24.0% 5,131

H12 17,466 △ 5.8% 2,724 15.6% 4,871 27.9% 5,036

H17 16,403 △ 6.1% 2,354 14.4% 4,991 30.4% 4,956

H22 15,018 △ 8.4% 1,930 12.9% 4,788 31.9% 4,799

H27 13,188 △ 12.2% 1,285 9.7% 4,890 37.1% 4,572

△ 50.8%

S35 17,665 3,507 19.9% 1,151 6.5% 3,428

S40 16,383 △ 7.3% 3,402 20.8% 1,293 7.9% 3,402

S45 15,155 △ 7.5% 3,476 22.9% 1,425 9.4% 3,385

S50 14,751 △ 2.7% 3,362 22.8% 1,555 10.5% 3,446

S55 14,930 1.2% 2,995 20.1% 1,812 12.1% 3,483

S60 15,148 1.5% 2,561 16.9% 2,047 13.5% 3,588

H 2 14,898 △ 1.7% 2,484 16.7% 2,491 16.7% 3,594

H 7 14,729 △ 1.1% 2,531 17.2% 2,946 20.0% 3,723

H12 14,171 △ 3.8% 2,414 17.0% 3,211 22.7% 3,813

H17 13,462 △ 5.0% 2,192 16.3% 3,415 25.4% 3,836

H22 12,560 △ 6.7% 1,757 14.0% 3,489 27.8% 3,828

H27 11,495 △ 8.5% 1,430 12.4% 3,791 33.0% 3,696

△ 34.9%

S35 29,256 5,442 18.6% 2,206 7.5% 5,321

S40 26,310 △ 10.1% 4,577 17.4% 2,390 9.1% 5,171

S45 24,138 △ 8.3% 4,734 19.6% 2,557 10.6% 5,235

S50 23,061 △ 4.5% 5,033 21.8% 2,749 11.9% 5,367

S55 22,704 △ 1.5% 4,418 19.5% 2,980 13.1% 5,491

S60 22,671 △ 0.1% 3,848 17.0% 3,314 14.6% 5,488

H 2 22,383 △ 1.3% 3,491 15.6% 3,884 17.4% 5,624

H 7 21,774 △ 2.7% 3,389 15.6% 4,713 21.6% 5,732

H12 20,999 △ 3.6% 3,356 16.0% 5,307 25.3% 5,806

H17 19,865 △ 5.4% 3,016 15.2% 5,433 27.3% 5,870

H22 18,446 △ 7.1% 2,439 13.2% 5,385 29.2% 5,877

H27 16,964 △ 8.0% 1,959 11.5% 5,769 34.0% 5,831

△ 42.0%

S35 95,066 18,346 19.3% 6,500 6.8% 18,885

S40 85,155 △ 10.4% 15,448 18.1% 7,057 8.3% 18,190

S45 75,615 △ 11.2% 14,804 19.6% 7,636 10.1% 17,729

S50 68,413 △ 9.5% 14,258 20.8% 8,267 12.1% 16,957

S55 66,915 △ 2.2% 12,610 18.8% 9,226 13.8% 17,359

S60 66,035 △ 1.3% 10,650 16.1% 10,268 15.5% 17,214

H 2 63,887 △ 3.3% 9,703 15.2% 12,024 18.8% 17,028

H 7 62,038 △ 2.9% 9,487 15.3% 14,161 22.8% 17,407

H12 58,844 △ 5.1% 9,129 15.5% 15,568 26.5% 17,256

H17 54,911 △ 6.7% 8,020 14.6% 15,918 29.0% 16,939

H22 50,513 △ 8.0% 6,468 12.8% 15,596 30.9% 16,639

H27 45,090 △ 10.7% 4,913 10.9% 16,129 35.8% 15,813

△ 52.6%

S35 1,418,558 334,966 23.6% 87,820 6.2% 282,849

S40 1,436,501 1.3% 366,305 25.5% 98,378 6.8% 313,293

S45 1,504,406 4.7% 402,919 26.8% 113,785 7.6% 358,581

S50 1,629,590 8.3% 408,776 25.1% 132,384 8.1% 416,414

S55 1,725,286 5.9% 365,293 21.2% 158,212 9.2% 472,793

S60 1,800,031 4.3% 348,053 19.3% 186,060 10.3% 504,342

H 2 1,871,281 4.0% 380,336 20.3% 226,481 12.1% 556,493

H 7 1,922,352 2.7% 398,513 20.7% 278,786 14.5% 607,767

H12 1,945,973 1.2% 385,188 19.8% 328,938 16.9% 650,203

H17 1,961,720 0.8% 339,042 17.3% 374,978 19.1% 692,407

H22 1,957,170 △ 0.2% 294,008 15.0% 422,600 21.6% 728,965

H27 1,929,165 △ 1.4% 270,928 14.0% 492,263 25.5% 747,284

36.0%

S35 1,513,624 353,312 23.3% 94,320 6.2% 301,734

S40 1,521,656 0.5% 381,753 25.1% 105,435 6.9% 331,483

S45 1,580,021 3.8% 417,723 26.4% 121,421 7.7% 376,310

S50 1,698,003 7.5% 423,034 24.9% 140,651 8.3% 433,371

S55 1,792,201 5.5% 377,903 21.1% 167,438 9.3% 490,152

S60 1,866,066 4.1% 358,703 19.2% 196,328 10.5% 521,556

H 2 1,935,168 3.7% 390,039 20.2% 238,505 12.3% 573,521

H 7 1,984,390 2.5% 408,000 20.6% 292,947 14.8% 625,174

H12 2,004,817 1.0% 394,317 19.7% 344,506 17.2% 667,459

H17 2,016,631 0.6% 347,062 17.2% 390,896 19.4% 709,346

H22 2,007,683 △ 0.4% 300,476 15.0% 438,196 21.8% 745,604

H27 1,974,255 △ 1.7% 275,841 14.0% 508,392 25.8% 763,097

30.4%

世帯数

(現

区 分 総人口A若年者人口B

(15~29歳)

高齢者人口C

(65歳~)

S35~H27

(現

S35~H27

S35~H27

S35~H27

S35~H27

S35~H27

S35~H27

県計

S35~H27

※ 人口、世帯数は、国勢調査による。

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6

(エ) 今後の人口推計

○本県の人口は、平成 17 年 12 月の約 201 万8千人をピークに減少傾向が続いてい

る。現在のような傾向が続いた場合、平成 37年には、平成 27年比で約 5.4%減少

することが見込まれている。

○この場合において、非過疎市町では緩やかな人口減少(平成 37 年推計:平成 27

年比約 5.1%の減)が予測されているのに対し、過疎市町では、これまで以上に大

幅な人口減少(平成 37年推計:平成 27年比約 10.4%の減)が続き、高齢化も進展

(平成 37年推計:約 21.4%)することが予測されている。

〔今後の人口等推計〕

実績値 ← → 推計値

H17総人口

H27総人口 H37総人口

H17→H27 増減率

高齢者 (65歳以上)比率

H27→H37 増減率

高齢者 (65歳以上)比率

過疎市町計 144,021 125,033 △13.2% 33.2% 111,986 △10.4% 21.4%

非過疎市町

計 1,872,610 1,849,222 △1.2% 25.2%

1,755,206 △5.1% 16.9%

全県 2,016,631 1,974,255 △2.1% 25.8% 1,867,192 △5.4% 17.2%

※1 H17、H27の総人口の数値は、国勢調査による。H37の総人口の数値は、「日本の市区町村別将来推計人口(H25年 3月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)による。

2 過疎市町の数値は、日光市(全域)、茂木町、塩谷町、那珂川町の数値の合計

オ 産業の状況

(ア) 就業構造

○平成 27 年の過疎地域の就業人口は 22,870 人であり、その産業別構成は第1次産

業が 2,939人(12.9%)、第2次産業が 7,178人(31.4%)、第3次産業が 12,491

人(54.6%)である。非過疎地域と比較すると、第2次産業の比率はほとんど変わ

らないが、第1次産業の比率は高く、第3次産業の比率は若干低い状況である。

○昭和 35年から平成 27年までの 55年間における就業人口の変化についてみると、

過疎地域においては、総人口の大幅な減少(49,976人、52.6%の減)に伴い、就業

人口も減少(20,737人、47.6%の減)しており、同期間に非過疎地域では、総人口

の増加(510,607人、36.0%の増)に伴い、就業人口も増加(273,944人、41.1%の

増)したのと対照的である。

○また、55年間の変化を産業別にみると、過疎地域、非過疎地域ともに、第1次産

業就業人口は大幅に減少しているが、第2次産業就業人口は過疎地域で減少、非

過疎地域では増加している。第3次産業就業人口については、過疎地域、非過疎

地域ともに大幅に増加している。

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7

〔産業別就業人口の動向〕

区分 A

人数B B/A 人数C C/A 人数D D/A 不能 /総人口

5,686 383 6.7% 3,493 61.4% 1,809 31.8% 1 34.2%

842 18 2.1% 255 30.3% 563 66.9% 6 38.7%

△ 4,844 △ 365 △ 3,238 △ 1,246 5

増減率 △ 85.2% △ 95.3% △ 92.7% △ 68.9%

2,410 1029 42.7% 894 37.1% 486 20.2% 1 50.7%

720 37 5.1% 83 11.5% 589 81.8% 11 56.9%

△ 1,690 △ 992 △ 811 103 10

増減率 △ 70.1% △ 96.4% △ 90.7% 21.2%

13,249 8,867 66.9% 1,400 10.6% 2,982 22.5% 0 49.5%

6,638 857 12.9% 1,964 29.6% 3,731 56.2% 86 50.3%

△ 6,611 △ 8,010 564 749 86

増減率 △ 49.9% △ 90.3% 40.3% 25.1%

8,503 5,428 63.8% 1,393 16.4% 1,679 19.7% 3 48.1%

6,041 824 13.6% 1,919 31.8% 3,191 52.8% 107 52.6%

△ 2,462 △ 4,604 526 1,512 104

増減率 △ 29.0% △ 84.8% 37.8% 90.1%

13,759 9,707 70.6% 1,339 9.7% 2,711 19.7% 2 47.0%

8,629 1,203 13.9% 2,957 34.3% 4,417 51.2% 52 50.9%

△ 5,130 △ 8,504 1,618 1,706 50

増減率 △ 37.3% △ 87.6% 120.8% 62.9%

43,607 25,414 58.3% 8,519 19.5% 9,667 22.2% 7 45.9%

22,870 2,939 12.9% 7,178 31.4% 12,491 54.6% 262 50.7%

△ 20,737 △ 22,475 △ 1,341 2,824 255

増減率 △ 47.6% △ 88.4% △ 15.7% 29.2%

667,155 297,576 44.6% 158,877 23.8% 210,634 31.6% 68 47.0%

941,099 50,238 5.3% 288,942 30.7% 566,373 60.2% 35,546 48.8%

273,944 △ 247,338 130,065 355,739 35,478

増減率 41.1% △ 83.1% 81.9% 168.9%

710,762 322,990 45.4% 167,396 23.6% 220,301 31.0% 75 47.0%

963,969 53,177 5.5% 296,120 30.7% 578,864 60.1% 35,808 48.8%

253,207 △ 269,813 128,724 358,563 35,733

増減率 35.6% △ 83.5% 76.9% 162.8%

全県計

S35

H27

増減数(S35→H27)

過疎地域計

S35

H27

増減数(S35→H27)

非過疎地域計

S35

H27

増減数(S35→H27)

H27

増減数(S35→H27)

那珂川町

S35

H27

増減数(S35→H27)

塩谷町

S35

第1次産業 第2次産業 第3次産業

日光市

旧足尾町

S35

H27

増減数(S35→H27)

旧栗山村

S35

H27

増減数(S35→H27)

区 分 就業人口A

H27

増減数(S35→H27)

茂木町

S35

※ 就業人口及び産業別人数は、国勢調査(昭和 35年・平成 27年)による。

(イ) 農業、工業、商業の状況

○過疎地域における農業の状況を平成 27 年の農業産出額等でみると、耕地1ha 当

たりの年間産出額は 151万3千円となっており、非過疎地域の数値(227万円)を

下回っている。

〔農業産出額等の状況(平成 27年)〕

耕地面積(ha) 農業産出額(千万円) 耕地1ha当たり農業産出額 (万円)

過疎市町 13,030 1,972 151.34

非過疎市町 111,470 25,258 226.59

全県 124,500 27,230 218.71 ※1 農林水産省ホームページ都道府県詳細データから抜粋 2 耕地面積及び農業産出額は平成 27年値 3 過疎市町の数値は、日光市(全域)、茂木町、塩谷町、那珂川町の数値の合計 4 過疎市町の耕地面積、年間産出額の数値は、日光市(全域)、茂木町、塩谷町、那珂川町の数値の合計

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○工業の状況を平成 26年の製造品出荷額等でみると、1事業所当たりの従業者数は

33.6人であり、非過疎地域(44.5人)に比べ、工場等事業所の規模は小さいこと

が分かる。

また、年間製造品出荷額は、1事業所当たり1億 2315万円、従業者1人当たり 369

万円であり、非過疎地域の数値(1億 9577万円、440万円)を下回っている。

〔製造品出荷額等の状況(平成 26年)〕

事業所数

(箇所) 従業者数 (人)

年間製造品出

荷額 (百万円)

1事業所当たり

従業者数 (人)

1事業所当たり

年間製造品出

荷額 (百万円)

従業者1人当た

り年間製造品出

荷額 (百万円)

過疎市町 317 10,644 39,039 33.58 123.15 3.69

非過疎市町 4,037 179,547 790,339 44.48 195.77 4.40

全県 4,354 190,191 829,378 43.68 190.49 4.36 ※1 事業所数、従業者数、年間製造品出荷額は、「栃木県の工業」(平成 26年工業統計調査結果報告書)(県

県民生活部)による。 2 過疎市町の事業所数、従業者数、年間製造品出荷額の数値は、日光市(全域)、茂木町、塩谷町、那珂川

町の数値の合計

○商業の状況を平成 26年の商品販売額等でみると、1事業所(小売業)当たりの従

業者数は 5.3人であり、非過疎地域(7.0人)に比べ、小規模な商店が中心である

と推測される。

また、年間商品販売額は、1事業所当たり 715 万円、従業者 1 人当たり 146 万円

であり、非過疎地域の数値(1,160万円、181万円)を下回っている。

〔商品販売額等の状況(平成 26年)〕

事業所数〔小売業〕

(箇所)

従業者数

(人)

年間商品販売額

(百万円)

1事業所当たり

従業者数 (人)

1事業所当たり

年間商品販売額

(百万円)

従業者1人当たり

年間商品販売額

(百万円)

過疎市町 1,345 7,022 124,933 5.22 92.89 17.79

非過疎市町 16,353 119,634 4,440,483 7.32 271.54 37.12

全県 17,698 126,656 4,565,416 7.16 257.96 36.05 ※1 事業所数、従業者数、年間商品販売額は、平成 26年商業統計(経済産業省)による。 2 過疎市町の事業所数、従業者数、年間商品販売額の数値は、日光市(全域)、茂木町、塩谷町、那珂川町

の数値の合計

○以上のとおり、農業、工業、商業のいずれも、非過疎地域との格差が生じている

状況である。

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9

カ 財政の状況

(ア) 決算

○平成 28年度における過疎市町の歳入決算の状況をみると、地方税の歳入総額に占

める割合は 26.5%で、非過疎市町の 39.5%を大きく下回っている。

一方、地方公共団体の財源調整を行う地方交付税の歳入に占める割合は 26.0%で

あり、非過疎市町の 9.9%と比べ極めて高く、また、地方債についても 12.0%と、

非過疎市町の 6.8%を上回っており、依存財源型の構成となっている。

〔歳入決算額の状況(平成 28年度)〕 (単位:百万円)

地方税 地方 譲与税

地方特例 交付金

地方 交付税

国庫 支出金

県支出金 地方債 その他 合計

過疎市町

決算額計 18,375 654 43 18,011 6,667 4,423 8,292 12,780 69,246

1団体当たり の決算額

4,594 164 11 4,503 1,667 1,106 2,073 3,195 17,311

構成比 26.5% 0.9% 0.1% 26.0% 9.6% 6.4% 12.0% 18.5% 100.0%

非過疎市町

決算額計 292,743 6,538 1,214 73,391 107,531 49,084 50,392 160,789 741,684

1団体当たり の決算額

13,940 311 58 3,495 5,121 2,337 2,400 7,657 35,318

構成比 39.5% 0.9% 0.2% 9.9% 14.5% 6.6% 6.8% 21.7% 100.0%

決算額計 311,119 7,193 1,258 91,402 114,199 53,507 58,685 173,569 810,930

1団体当たり の決算額

12,445 288 50 3,656 4,568 2,140 2,347 6,943 32,437

構成比 38.4% 0.9% 0.2% 11.3% 14.1% 6.6% 7.2% 21.4% 100.0%

※1 「市町村財政の状況」(県総合政策部)をもとに作成 2 過疎市町の決算額計の数値は、日光市(全域)、茂木町、塩谷町、那珂川町の数値の合計 3 計数は、それぞれ表示未満四捨五入のため、合計等において一致しない場合がある。

○平成 28 年度における過疎市町の歳出決算の状況を性質別にみると、過疎市町で

は、社会基盤の整備が遅れていることから、公共事業が積極的に展開されている

こともあり、投資的経費の割合が 17.0%と、非過疎地域の 13.0%を上回っている。

〔歳出決算額の性質別状況(平成 28年度)〕 (単位:百万円)

義務的経費 投資的経費 その他の 経 費

合計

人件費 扶助費 公債費

普通建設事業費 災害 復旧 事業費

単独事業 その他

過疎市町

決算額計 28,350 11,730 9,249 7,371 11,216 10,287 7,930 2,357 930 26,238 65,805 1団体当たり の決算額

7,088 2,933 2,312 1,843 2,804 2,572 1,982 589 232 6,560 16,451

構成比 43.1% 17.8% 14.1% 11.2% 17.0% 15.6% 12.1% 3.6% 1.4% 39.9% 100.0%

非過疎市町

決算額計 330,296 110,873 155,373 64,050 92,973 89,492 49,399 40,094 3,481 290,361 713,630

1団体当たり の決算額 15,728 5,280 7,399 3,050 4,427 4,262 2,352 1,909 166 13,827 33,982

構成比 46.3% 15.5% 21.8% 9.0% 13.0% 12.5% 6.9% 5.6% 0.5% 40.7% 100.0%

決算額計 358,646 122,604 164,622 71,421 104,189 99,779 57,328 42,451 4,410 316,599 779,435

1団体当たり の決算額 14,346 4,904 6,585 2,857 4,168 3,991 2,293 1,698 176 12,664 31,177

構成比 46.0% 15.7% 21.1% 9.2% 13.4% 12.8% 7.4% 5.4% 0.6% 40.6% 100.0%

※1 「市町村財政の状況」(県総合政策部)をもとに作成 2 過疎市町の決算額計の数値は、日光市(全域)、茂木町、塩谷町、那珂川町の数値の合計

3 計数は、それぞれ表示未満四捨五入のため、合計等において一致しない場合がある。

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(イ) 財政力指数等

○市町村の財政力を示す指標である財政力指数(過去3ヶ年平均)の状況をみると、

過疎市町の平均は、平成 17年度の 0.391 から、平成 28年度には 0.470に上昇し

ているものの、県平均の 0.723 と比べ著しく低く、過疎市町の財政力は脆弱な状

況にある。

〔財政力指数の状況〕

区 分 H17

(H15~17)

H22

(H20~22)

H25

(H23~25)

H28

(H26~28)

過疎市町(地域)

日光市 ― 0.697 0.648 0.622

旧足尾町 0.233 ― ― ―

旧栗山村 0.386 ― ― ―

茂木町 0.493 0.459 0.410 0.410

塩谷町 0.492 0.473 0.438 0.452

那珂川町 ― 0.425 0.403 0.394

旧馬頭町 0.352 ― ― ―

平均 0.391 0.514 0.475 0.470

全県平均 0.746 0.752 0.704 0.723 ※1 財政力指数は過去3ヶ年間平均の数値

2 過疎市町(地域)平均は日光市、茂木町、塩谷町、那珂川町(H17は旧足尾町、旧栗山村、 旧馬頭町)の単純平均、県平均は県内全市町の単純平均

○地方債の元利償還金に充てられる公債費は、義務的経費の中でも特に非弾力的な

経費であるため、公債費の増加は財政を圧迫することになるが、自治体の実質的

な公債費負担の程度を示す実質公債費比率の状況を、平成 28 年度でみると、

過疎市町平均は 7.3%で、非過疎市町平均の 6.2%より高い状況になっている。

○一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模に対する比率を表す将

来負担比率の状況を、平成 28年度でみると、過疎市町平均は 29.0%で、非過疎市

町平均の 19.3%を大きく上回っている。

○非過疎市町との比率の差については、過疎地域でこれまで実施してきた、起債を

活用したインフラ整備などの元利償還金の負担が大きいことが一つの要因である

と考えられる。

〔実質公債費比率・将来負担比率の状況〕

実質公債費比率 将来負担比率

H27 H28 H27 H28

過疎市町平均 7.8 7.3 28.9 29.0

非過疎市町

平均 6.6 6.2 19.9 19.3

全県平均 6.8 6.4 21.3 20.9

※1 「市町村財政の状況」(県総合政策部)による。 2 過疎市町の数値は、日光市(全域)、茂木町、塩谷町、那珂川町の数値の平均 3 数値は単純平均

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(2) 過疎対策の成果と今後の課題

ア 過疎対策の成果

○本県の過疎地域は、県土の縁辺部の山間地等に位置し、自然的・地理的条件の厳し

い地域であり、交通体系や生活環境等の整備が立ち遅れていた。

○これらの地域では、日本経済の発展に伴う社会経済構造の変化を契機に、急激な人

口減少、産業活動停滞が起こり、地域社会の活力が低下していった。

そのため、「過疎地域対策緊急措置法(昭和 45~54年度)」、「過疎地域振興特別

措置法(昭和 55~平成元年度)」及び「過疎地域活性化特別措置法(平成2~11年

度)」に基づき、過疎対策事業債等を活用しながら、地域間格差の是正等のため国・

県道や基幹的市町村道等の交通体系や生活環境の整備などの各種対策を、計画的に

実施してきた。また、改正前の過疎地域自立促進特別措置法に基づく計画期間(平

成 12~25年度)においても、引き続き交通体系や生活環境の整備を中心に、過疎地

域の自立促進に努めてきたところである。

〔過疎対策事業費の状況〕 (単位:百万円)

※1 事業費は過疎地域における県事業と該当市町村事業の計 2 過疎地域振興特別措置法(S55~H元)の欄は粟野町分を含む 3 過疎地域自立促進特別措置法(H12~H21)の欄は平成 12~20年度の実績額と平成 21年度の計画額の計

○これらの対策により、過疎地域(塩谷町を除く)においては、平成9年から平成 28

年までの 19 年間に、市町村道の改良率が 38.8%から 56.1%(非過疎地域(塩谷町を

含む)58.1%から 71.2%)、同舗装率が 54.1%から 71.7%(非過疎地域 75.8%から 87.5%)、

また、平成元年から平成 28 年までの 27 年間に、上水道等の普及率が、87.1%から

99.0%(非過疎地域 84.8%から 95.5%)、そして、平成 10年から平成 28年までの 18

年間に、生活排水処理人口普及率が 26.4%から 76.8%(非過疎地域 50.8%から 86.0%)

に改善されるなど、交通体系や生活環境の整備等には一定の成果がみられた。

過疎地域対策緊急措置法(S45~S54)

過疎地域振興特別措置法(S55~H元)

過疎地域活性化特別措置法(H2~H11)

過疎地域自立

促進特別措置法(H12~H21)

過疎地域自立

促進特別措置法(延長)(H22~H28)

〔10箇年〕 〔10箇年〕 〔10箇年〕 〔10箇年〕 〔7箇年〕

(23.3%) (11.9%) (9.5%) (7.8%) (19.1%) (12.4%)

10,679 8,945 10,796 7,695 9,858 47,973

(61.6%) (58.1%) (54.9%) (53.5%) (37.3%) (53.6%)

28,242 43,766 62,608 52,744 19,272 206,632

(23.1%) (24.0%) (16.7%)

(6.6%) (15.5%) 26,390 23,664 8,613 (21.6%)

3,032 11,718 (3.2%) (3.6%) (5.0%) 83,178

3,619 3,540 2,602

(0.2%) (0.8%) (0.6%) (1.4%) (5.0%) (1.4%)

90 599 675 1,403 2,564 5,331

(7.5%) (13.6%) (6.3%) (9.1%) (15.0%) (9.8%)

3,441 10,269 7,161 9,012 7,756 37,639

(0.8%) (0.1%) (2.4%) (0.6%) (1.9%) (1.2%)

359 66 2,749 576 954 4,704

区 分 合 計

産業の振興

交通通信体系の整備

生活環境の整備

高齢者・その他の福祉

医療の確保

教育文化の振興

計 45,843 75,363 113,998 98,634 51,619

集落の整備・その他

385,457

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〔道路改良率・舗装率、上水道等普及率、生活排水処理人口普及率〕

区 分 市町村道改良率 市町村道舗装率 上水道等普及率

生活排水処理人口 普及率

H9.4.1 H28.4.1 H9.4.1 H28.4.1 H元.3.31 H28.3.31 H10.3.31 H28.3.31

過疎地域

日光市

旧足尾町 23.3% 55.4%

78.4% 68.1%

99.4% 99.3%

11.2% 80.1%

旧栗山村 20.7% 21.2% 85.4% 26.2%

茂木町 48.7% 59.3% 61.4% 71.4% 75.3% 99.2% 22.4% 64.8%

塩谷町 63.4% 74.6% 74.6% 80.1% 74.6% 85.9% 5.9% 34.9%

那珂川町 43.6% 55.5% 68.5% 88.0% 94.8% 97.2% 32.6% 69.9%

平 均

(括弧内は塩谷町を

除いた値)

43.9%

(38.8)

58.1%

(56.1)

58.3%

(54.1)

72.6%

(71.7)

84.2%

(87.1)

97.8%

(99.0)

21.5%

(26.4)

72.9%

(76.8)

非過疎地域 平均

(括弧内は塩谷町を

含んだ値)

58.1%

(58.1)

71.1%

(71.2)

75.9%

(75.8)

87.5%

(87.5)

84.9%

(84.8)

95.6%

(95.5)

51.1%

(50.8)

86.3%

(86.0)

全県 平均 57.2% 69.7% 74.8% 85.9% 84.9% 95.7% 50.2% 85.5%

※1 市町村道改良率・舗装率は、「道路現況調書」(県県土整備部)のデータを元に作成 2 上水道等普及率は、「栃木の水道」(県保健福祉部)のデータを元に作成 3 生活排水処理人口普及率は、「とちぎの下水道」(県県土整備部)のデータを元に作成 4 平成 28年日光市のデータは市全域である

イ 今後の課題

○上述のとおり、これまでの計画的な過疎対策の結果、交通体系や生活環境の整備に

一定の成果が見られるものの、依然として、公共施設の整備・普及水準、産業面に

おいて非過疎地域との格差が認められる。

○また、前述のとおり、過疎地域では、大幅な人口減少とともに、高齢化の進展が予

測されている。人口の減少や高齢化の進展は、担い手不足をはじめ、需要や労働力

人口の減少等による経済規模の縮小や、経営不採算による民間交通の事業縮小、医

師不足等日常生活環境の悪化をもたらし、ひいては、地域活力の低下を引き起こす

ことが懸念される。

○特に過疎地域の中でも、地理的・地形的条件の厳しい集落においては、人口の減少

や高齢化の進展に伴い、地域コミュニティ機能の維持が困難な集落の発生が予想さ

れ、将来、地域文化の消滅、空き家・耕作放棄地の増大、景観の荒廃など、深刻な

状況に陥ることも危惧される。

○更に、豊かな森林は、県土保全、水源のかん養、地球温暖化の防止など公益的・

多面的な機能を担っているが、地域活力の低下により、その機能低下も危惧されて

いる。

○一方、人々の意識、価値観、生活様式の多様化等により、過疎地域は、自然的・地

理的な要因により各種条件の整備が遅れた地域として捉えられていたが、豊かな自

然や特色ある地域文化を有する魅力ある地域、ゆとりと潤いのある生活空間、新た

なライフスタイルを実現する場として見直されはじめている。

○また、ICT(情報通信技術)の一層の進歩は、若年層を含めた都市から地方への

移住・交流を拡大し、新規産業の創出の可能性を高めるなど、過疎地域を取り巻く

環境は大きく変化している。

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○こうした過疎地域を取り巻く状況を的確に捉え対応していくためには、地域間格差

を是正するために従来から実施してきた道路、生活環境基盤等のハード整備に加え、

固有の地域文化、歴史遺産等を活かした地域おこし、6次産業化や地域資源ブラン

ド化による地場産業の振興、ICTを活用した新規産業の創出の促進、豊かな自然

環境、美しい景観等を活用した交流人口の拡大、UIJターンの促進等のソフト施

策を展開するなど、人口減少や高齢化が進展する中でも、安全・安心で心豊かな生

活が将来にわたって確保され、住民が誇りと愛着を持ちつづけ、活力溢れる地域づ

くりを推進する必要がある。

○更には、近隣の都市的地域とネットワーク化を図り広域的な地域づくりの施策を推

進し、より一層地域の個性に磨きをかけ、魅力ある生活空間としての特色を活かす

よう努めていく必要がある。

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2 時代に対応した新たな過疎対策の基本的方向

(1) 過疎地域が有する役割・意義と対策の必要性

○本県の過疎地域は、県の総人口のわずか 2.3%で、県土の面積の 31%以上を有してお

り、次に示すような大きな役割を担っている。

◆ 県民全体の安全・安心な生活への寄与

-土砂の流出や崩壊、洪水の防止機能を有する場

-広大な森林による二酸化炭素の吸収、地球温暖化の防止機能を有する場

-良好な水源のかん養機能を有する場

-水力発電等によるエネルギー供給機能を有する場

-安全・安心な農林水産物の供給の場

-生物多様性の保全の場

-県土全体の良好、豊かな自然環境の原点の場 等

◆ 都市部にはない過疎地域ならではの価値

-癒しや安らぎを求める都市住民のニーズに応える場

-均一化された都市部と異なる豊かな自然環境、美しい景観を有する場

-個性豊かな伝統文化、歴史遺産、生活様式等を有する場

-アウトドアスポーツ、キャンプ等のレクリエーションを満喫できる場

-多様なライフスタイル実現の場

-環境や環境問題に対する興味や関心を高める環境教育の場

-都市部では希薄になっている「人と人とのつながり」が残っている、共同体・

共同社会を体現できる場

○過疎地域は、山林や伝統文化などの地域資源の維持保全に重要な役割を果たしてお

り、過疎地域のこうした公益的・多面的な役割や意義を考えれば、都市部と過疎地

域は共生・互恵の関係にある。過疎地域が健全に維持されていることが、過疎地域

住民の生活だけでなく、都市部も含めた県民全体の安全・安心な生活に寄与するこ

とになる。

○従って、過疎地域に対して適切な対策を講じることができなければ、都市部、ひい

ては、本県全体の衰退にもつながる懸念がある。

○こうした考えから、本県における過疎対策は、過疎地域と都市部とがお互いに支え、

連携し合うという理念に基づき、過疎地域と都市部との共生・互恵を図るための対

策と捉え、積極的な施策を展開していくこととする。

(2) 新たな過疎対策の本県の基本的な考え

ア 基本方針

「地域間格差の是正と集落ネットワーク圏の形成並びに地域の個性・資源を活かした活

力の創出」

○上述のとおり、本県の過疎地域が有する大きな役割や意義を踏まえ、引き続き、過

疎地域の抱える課題に対処するための施策を推進することとし、ソフト・ハードの

両面から地域間格差の是正を図るための対策を実施する。

○また、今後、人口減少の進行により、集落機能の低下や集落の維持が困難となるこ

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とが予想されることから、基幹集落を中心としたネットワーク化を図り、生活に必

要なサービスの確保や集落を活性化する取組を着実に実施していく。

○加えて、都市部にはない価値に重きを置き、人口減少や高齢化等が進んだ中にあっ

ても、豊かな自然環境、美しい景観、固有の伝統文化、生活様式、歴史遺産、安全

な食糧といった各地域の個性・資源を活用し、地域の自給力や創富力を高め、そこ

に住む住民が誇りと愛着を持つことができる、活力に満ちた地域社会の実現が図ら

れるための対策を推進していく。

○以上のように、本県においては、「地域間格差の是正」、「集落ネットワーク圏の

形成」並びに「地域の個性・資源を活かした活力の創出」を展開しながら、過疎地

域の自立を目指すことを基本方針とする。

イ 目指すべき将来像

(ア) ゆとりと活力ある地域社会

○価値観やライフスタイルの多様化により、都市部の住民にとって、中山間地域等

の過疎地域の持つ自然環境、生活様式等は、ゆとりと潤いある生活空間、新たな

ライフスタイルを実現する場として見直されてきている。また、過疎地域に住む

人々にとっても、景観、伝統文化、歴史遺産等は、それらを保全、継承していく

ことで、地域アイデンティティの形成や自らの地域に誇りと愛着を持つ契機をも

たらし、個性的で活力ある地域づくりを支える柱となる重要なものである。

○また、人口減少の進行により、集落機能の低下や集落の維持が困難となることが

予想されることから、基幹集落を中心としたネットワーク化を図り、生活に必要

なサービスを確保することが重要である。

○こうした観点から、豊かな自然環境、美しい景観の保全、固有の伝統文化・歴史

遺産・生活様式などの地域資源の継承・保存、情報発信、ネットワーク化を積極

的に進め、ゆとりと活力に満ちた魅力的な地域社会を形成する。

(イ) 開かれた地域社会

○国民の価値観の多様化に伴い、都市部の住民の間では、豊かな自然とのふれあい

や農林業の体験の場を求める人々が増加しており、情報化の進展と相まって、地

域間交流が国内外を問わず拡大している。更にはUIJ ターンをはじめ、新たな

ライフスタイルを実現する場としても過疎地域は見直されてきている。

○こうした状況を、地域の活力創出に結び付けていくため、過疎地域を交流の場や

新たなライフスタイルを実現する場として志向する人々が気軽に滞在・居住でき

るような魅力づくりと受入態勢を整える等、誰にでも広く開かれた地域社会を形

成する。

(ウ) 生きがいに満ちた生涯現役社会

○本県でも本格的な人口減少、少子・高齢化を迎える中、過疎地域は、既に高齢化

が進展している。

○高齢者等が、生活に必要なサービスを確保するとともに、より積極的に自分の能

力を発揮し、生きがいをもって暮らせるよう、学習機会や就業機会等の充実や地

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域社会への参加を容易にする環境の整備を図るとともに、保健・福祉の向上と安

心して医療が受けられる体制の確保や専門的な医療や高度な医療を要する場合の

適切な連携体制の整備に努め、生きがいに満ちた生涯現役社会を形成する。

ウ 県が過疎対策を行うに当たり留意する視点

(ア) 市町域を超えた行政課題の対応や広域的観点からの事業調整

○過疎対策は基本的には市町の取組が中心となるが、市町域を超えた課題について

は、県が広域自治体としての立場から率先して対処するとともに、県の有する広

域コーディネート機能やノウハウを活かしながら関係市町との調整・連携を図り、

過疎市町の取組を補完・支援していく。

○具体的には、市町村合併により、広域化した基礎自治体間の調整や広域災害発生

への対応等、更に大きな圏域として対処が必要な案件については、県が広域的な

見地から周辺地域全体を見据え、主導的に調整機能を発揮していく。

○また、集落間のネットワーク化を図るため、県内の都市部と過疎地域を結ぶ広域

交通、地域医療などについて、生活圏域や交流圏域の拡大に対応できるよう、非

過疎地域も含めた関係団体や関係機関との調整を行いながら、適切に整備、確保

等を進めていく。

○過疎地域にとって重要な課題の一つである産業振興についても、個々の市町だけ

では地域間競争の激化に対応しきれない場合があるため、県が隣接する市町・地

域間の連携を積極的に促し、それぞれの地域資源を広域的に結び付けるとともに、

地域のブランド化が図られるよう取り組んでいく。

(イ) 行政サービスの高度化・専門化・効率化への支援

○地方分権推進改革の進展に伴い、基礎自治体である市町においては、その役割が

増大するとともに、各種行政サービスの提供にあたっては、より一層高度・専門

的かつ効率的な能力を発揮することが求められている。

○しかしながら、過疎市町においては、脆弱な財政、職員一人当たりの業務過重、

技術・ノウハウの未蓄積等から、必ずしも住民の期待に応えられない場合も考え

られる。

○このため、県が保有するノウハウ、技術や専門的人材等を活かし、共同事業や

事業参画を行うことにより、住民のニーズに合った行政サービスが確保されるよ

う、過疎市町における取組を積極的に支援していく。

(ウ) 積極的なソフト施策の推進・支援

○これまでの過疎方針における県の役割は、基幹道路や公共下水道の幹線管渠など

の広域的観点からのハード整備に重点を置いてきた。

○しかし、今後の過疎対策において、これまでのハード施策に加えて、「地域の個

性・資源を活かした活力の創出」を図ることを基本に、“とちぎ暮らし”事業等

による都市部の住民との交流・移住施策の推進、高齢化集落に住む住民の支援・

活性化策等のソフト施策における役割についても積極的に担っていく。

また、過疎地域を支える人材を確保・育成等をはかるためのソフト施策を積極的

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に進めていく。

○産業、交通・情報通信といった個別の分野においても、これまで整備してきたハ

ードと様々なソフト施策を効果的に連携させ展開していく。

○また、平成 22年の過疎法改正により、ソフト事業にも過疎対策事業債が活用でき

ることになったことから、過疎市町において関連するソフト施策が円滑かつ有効

に実現・実行されるよう、適宜情報の提供や、事業に対する助言等の支援を行っ

ていく。

(エ) 新たな時代の“公(おおやけ)”による地域づくり

○過疎地域が直面する諸課題に対し実効性ある対策を講じていくためには、県・市

町の行政だけが担ってきた“公”の領域を、地域住民をはじめ、ボランティア、

NPO、企業、関係団体にまで拡大し、各主体の強みを活かしながら役割を分担

し、連携・協働を進めていくことが重要となる。

○このため、各主体の創意工夫溢れる取組により、これまでにない新たな価値を創

造することで、ゆとりと活力に満ちた魅力的な地域づくりが行われるよう、多様

な主体が担い手として積極的な参画を促していく。

(3) 過疎地域自立促進のための施策展開

○以上のように、本県では、「地域間格差の是正と集落ネットワーク圏の形成並びに

地域の個性・資源を活かした活力の創出」の基本方針を念頭に、「ゆとりと活力あ

る地域社会」、「開かれた地域社会」及び「生きがいに満ちた生涯現役社会」の3

つの目指すべき将来像を描きながら、「市町域を超えた行政課題の対応や広域的観

点からの事業調整」、「行政サービス等の高度化・専門化・効率化への支援」、「積

極的なソフト施策の推進・支援」、「新たな時代の“公(おおやけ)”による地域

づくり」という4つの視点に留意して、積極的な過疎対策を展開していく。

○また、施策を展開するに当たっては、県重点戦略をはじめ総合戦略、県山村振興基

本方針等の各種県計画、及び市町振興計画、市町過疎地域自立促進計画、市町山村

振興計画等の各過疎市町の計画との整合性を図りながら、各種施策に取り組んでい

く。

○具体的には、個別分野に記載のとおり、

- 農商工連携や6次産業化、グリーン・ツーリズム、農林業体験などの交流産業の

推進・育成

- 民間や地域住民等が展開するコミュニティビジネス、地産地消の取組等支援

- 産学連携や農商工連携等による商品の地域ブランド化、新商品の開発

- 過疎地域及び近隣地域への企業誘致等による就業機会の確保、情報通信基盤や地

域資源を活かした新規産業の創出の促進

- 国・県道・基幹市町村道等の整備及び老朽化対策等による広域的交通ネット

ワークの確保

- 通院や通学など住民生活を支える、身近で使い勝手の良い交通手段の確保

- 情報通信基盤の利活用による住民生活・福祉の向上、増進等

- 地域住民の暮らしに活気や生きがいをもたらす地域間交流・連携の促進(UIJ

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ターンを含む)

- 高齢者一人ひとりが安心して生活を送ることを支援するための地域ネットワー

クの構築、地域における支えあいの推進、見守り活動やサロンづくりの取組を支

- 地域で健やかに安心して生活するための介護サービス・医療体制の確立や質の向

- 児童生徒がいきいきとした学校生活を送るための学校教育の充実、通学支援策の

実施

- 学校統廃合に伴う廃校舎等の有効活用促進

- 社会体育施設、社会教育施設等の総合的な活用促進、多様な学習機会の確保等を

通じてのコミュニティの活性化

- 個性的・創造的な地域文化振興に係る環境整備

- 集落機能の維持・活性化(人材の確保、集落間のネットワーク化を含む)

等の施策を推進していくものとする。

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Ⅱ 分野別の方針と対策

1 産業の振興

(1) 方針

○過疎地域における人口減少や少子高齢化、特に若者の流出を防止し、地域の自立促進

を図るためには、魅力ある産業の振興により安定した雇用の場を確保し、所得の安定

と増大を図ることが最も重要な課題となっている。

○また、人々の就業に対する意識、価値観やライフスタイルの多様化、交通通信体系の

整備、情報化の進展により、過疎地域においても、その地域ならではの資源や都市部

も含めた様々な主体間の交流等を活かした産業振興が十分可能な状態になっている。

○こうした状況を踏まえ、今後は、これまでの基幹的産業である農林水産業の振興を図

りつつ、以下のような多様な産業振興を図るための取組を進めていくことが、過疎地

域の自立・活性化に有効であると考えられる。

-地域資源を活用した新しい交流型産業(ツーリズム産業等)の推進・育成

-地域の特性や地域資源を有効に活用した創業や新分野進出の促進

-農林漁業生産と加工・販売の一体化による農林水産業の6次産業化

-コミュニティビジネス等の地域密着型産業の育成

-情報通信網を活用した農林産品等販売の新たな市場の開拓支援

-立地自由度の高い情報通信利用事業関係企業等の誘致

-整備が進められてきた交流拠点や遊休施設等を活かした新たな流通・販売チャン

ネルの構築支援

○以上のような幅広い取組の中から、各過疎市町が地域の特性に応じ最も適合すると考

え推進する事業について、県としても市町の考えを尊重し、その事業展開により産業

の振興が図られ、地域の自立・活性化につながるよう、人的・技術的資源や知識・ノ

ウハウ等を活かし、積極的に支援していく。

○また、広域自治体としての立場から、地域のブランド化を図るとともに、市町との

連携や市町間の連携を深める支援を行い、過疎地域を含む圏域全体の産業力を高めて

いく。

○なお、産業の振興にあたっては、以下の点にも留意して進めていく。

-とちぎ産業成長戦略(2016~2020)との整合性

-自然環境の保護、景観の保全・形成

-既存産業の後継者の育成

-新たな産業を支える人材の確保(定着、拡大)

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(2) 対策

ア 農林水産業の振興

○農林道・ほ場等の生産基盤や機械・施設の整備等による経営の合理化・効率化の

促進、集団化・組織化等の促進などにより、生産構造の改善を図り経営の安定化に

努める。

○果樹、野菜、花き等の地域の特色ある農産物、木材及びきのこ等の特用林産物の

地域ブランド化、新商品化を図るとともに、生産加工流通体系を整備し、長期的

安定経営を目指す。

○農林業者の経営管理能力や生産技術の向上を図るため、情報提供や実地指導等の充

実とともに、農林業事業体の育成強化により、多様な農林業の担い手の育成確保に

努め、森林の総合利用、観光農林業の育成等を推進する。

○森林資源の持続可能な利用のため、森林ボランティア活動、景観保全活動等の森林

整備のためのソフト事業を展開する。

○地域資源を活かした、6次産業化や農商工連携を図るとともに、グリーン・ツーリ

ズム、農林業体験、移住・二地域居住などの交流産業を推進、育成する。

○豊富な森林資源を活用した環境産業、資源循環型産業への支援(バイオマス等新エ

ネルギー開発、リサイクル技術の開発)等、新たな農林水産関連事業の振興を行な

っていく。

○民間や住民団体等が主体となって展開するコミュニティビジネス、地産地消の

取組、地域産物を消費者に直送する取組等の支援を行っていく。

イ 商工業の振興

(ア) 地場産業振興

○本県の過疎地域における地場産業としては、以下のようなものがある。

- 旧足尾町:足尾焼

- 旧栗山村:土石製品、高冷地野菜・山菜等加工品、木材加工品

- 茂 木 町:茂木焼、木材加工品・竹細工、ゆず・しいたけ等加工品

- 塩 谷 町:地酒、しめ縄

- 那珂川町:小砂焼、手づくりハム、武茂の里アイス、鮎・いのしし等加工品

○これらの特産品は、原料や製法上の制約から少量の生産・販売に止まっているが、

今後は、原料の確保、設備の近代化、人材の確保や育成を図るとともに、情報通

信網を活用したPR活動の強化や注文販売等その形態にあった販売方式導入など

により、市場の開拓に努める。

○また、産学連携や農商工連携等の垣根を越えたアイディア結集による新たな地域

産品や商品デザインの開発を進め、商品の差別化・高付加価値化を図り、商品

イメージの向上やブランド化を推進する。

○伝統工芸品等については、技術・技法の伝承を図り、後継者の育成に努める。

(イ) 創業等促進

○過疎地域の自立促進を図るためには、地域の特性や地域資源を有効に活用しなが

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ら、既存の地域産業を発展させるとともに、創業や新分野進出の促進も図り、地

域経済を活性化していくことが重要である。

○このため、創業等に関する相談、研修・セミナーの開催、経費の融資や助成、

各種支援制度等に関する情報提供などを行い、創業前から創業の初期段階までを

一貫して支援する総合的な創業支援を実施する等、創業や新分野進出の促進に努

める。

(ウ) 商業振興

○商業・サービス業の振興は、住民生活の利便性を確保するためだけでなく、過疎

地域の自立促進や活性化を図るためにも極めて重要である。また、商店街は、身

近な購買機会の提供の場であることはもとより、地域活動や地域の文化・伝統の

担い手といった役割も大きくなっている。

○このため、個店の経営力の強化を図るとともに、地域住民や観光客等消費者の多

様化するニーズや嗜好に対応した、商店街等の取り組む魅力創出への支援に努め

る。

(エ) 企業誘致

○過疎地域における所得の増加と雇用機会の増大(特に地域の将来を担う若者の就

業機会の確保)を図るため、自然環境の保全や農林漁業等の地域の地場産業との

連携・調和に配慮しながら、工業用地の確保等工業の立地条件の整備を進め、積

極的な企業誘致に努める。

○なお、過疎地域への直接誘致だけでなく、近隣市町への誘致による就業機会の増

大を図ることも検討していく。

ウ 観光の振興

○観光は、それぞれの地域が持っている自然や産業、独自の歴史や文化等の資源を活

かしながら、地域の自立促進を図るとともに、人々の生きがいや安らぎを生み出し、

交流人口の増加にも寄与するものであり、地域の振興に不可欠な分野となっている。

○このため、本県では、平成 23 年度から平成 27 年度までを計画期間とする「新とち

ぎ観光プラン」に基づき、様々な観光関連施策を展開し、観光振興による交流人口

の拡大や地域の活性化に取り組んできたところである。

○本県の過疎地域は、東京都心から2~3時間程度の距離に位置しているという有利

な地理的条件に加え、以下のような、豊かで美しい自然、様々な観光施設、伝統あ

る歴史・文化を有するなど恵まれた環境を備えている。

- 旧足尾町:日光国立公園、前日光県立自然公園、銅山観光施設、わたらせ渓谷

鐵道、足尾環境学習センター、足尾温泉

- 旧栗山村:日光国立公園、尾瀬国立公園、湯西川温泉、川俣温泉、奥鬼怒温泉、

鬼怒沼、野岩鉄道

- 茂 木 町:益子県立自然公園、那珂川県立自然公園、大瀬観光やな、真岡鐵道

(SL)、ツインリンクもてぎ、昭和ふるさと村

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- 塩 谷 町:日光国立公園、尚仁沢湧水群、尚仁沢はーとらんど、イヌブナ原生

林、佐貫観音、東古屋湖、星ふる学校くまの木、籠岩

- 那珂川町:八溝県立自然公園、清流那珂川、馬頭広重美術館、馬頭温泉郷、那

須小川古墳群、ふるさとの森公園(なす風土記の丘資料館、那須官

衙遺跡)

○とちぎ観光立県戦略に基づき、これらの発展可能性及び魅力ある観光資源を有効に

活用しながら、各地域の持つ特性を活かした観光地づくりを進め、地域振興につな

げていく。

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2 交通通信体系の整備、情報化及び地域間交流・連携の促進

(1) 方針

ア 道路

○過疎地域における道路等交通体系は、過疎法等に基づき整備を推進してきた結果、

相応の改善が図られたが依然低位な水準にある。

○人口減少が急激に進み、行政や医療、福祉、商業などの生活に必要な各種サービス

を維持し、効率的に提供していくことが必要となり、さらに、巨大地震の切迫や風

水害の局地化・激甚化も懸念される中、大規模災害時の救急救命活動や復旧支援活

動のために、道路等交通体系の整備の必要性はますます高まってきている。

○このため、「コンパクト+ネットワーク」の考え方にもとづき、地域拠点を連携す

る道路の整備を推進するとともに、道路の防災対策や震災対策等を推進し、代替性

が確保された道路ネットワークの形成に努める。

イ 生活交通

○過疎地域の中でも、人口規模が小さく分散居住している地区では、需要やニーズと

実際の運行のミスマッチから、バス路線が廃止・縮小されている等、地域公共交通

の状況は年々厳しさを増しており、通院や通学など住民生活を支える地域交通の維

持・確保が極めて大きな課題となっている。

○本県においては、平成 26年 4月に、栃木県生活交通対策協議会により「とちぎ生活

交通ネットワークガイドライン」を改定し、地域の課題に対応するための手法を新

たに掲載したところであり、これまで以上に、地域に最適な輸送形態の選択や複数

の輸送形態の組み合わせ等による効果的・効率的で持続可能な地域公共交通の形成

を促進していくこととしている。

○過疎地域においても、このガイドラインの考え方に則り、各地域のニーズや交通需

要の特性等を的確に把握しつつ、関係機関と協議の上、各地域の実情に合った効率

的な生活交通体系を確立していく。

ウ 情報通信

○情報通信技術については、過疎地域の地理的条件不利性を克服し、産業、文化、若

年層の定住促進等の他分野の振興及び地域間格差の解消を図る上で、有効な手段で

あるばかりでなく、人口に比して広大な面積を持つ過疎地域において、保健・福祉・

医療、教育等の各種行政サービスを効率的に提供する上でも、大きな役割を果たす

ものである。

○このため、これまで各過疎地域において着実に情報通信インフラの整備を進めてき

たところであり、今後は、整備済のインフラの利活用方策について、生活環境の向

上や、産業、文化、都市交流等の分野での活用による地域の自立・活性化等、様々

な面で便益が最大に発揮されるよう、各地域の実情に応じた施策を実施していく。

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エ 地域間交流・連携

○過疎地域は、食糧供給や国土保全といった役割のみならず、新たなライフスタイル

を実現する場としての存在価値が注目されていることから、豊かな自然環境、美し

い景観、固有の伝統文化、歴史遺産、生活様式等の地域資源を活用し、都市部を含

めた他地域との交流を促進することは、農林業、地場産業の振興、地域内では気付

いていない魅力的な資源の発掘等、地域発展の機会を創出し、地域住民の暮らしに

活気や生きがいをもたらすなど、重要な地域活性化策の一つとなっている。

○また、他地域との連携を強化していくことは、医療・災害対策等の単独の地域だけ

では対応が困難な課題の効率的かつ効果的な解決につながるなど、住民の安全・安

心な暮らしの確保のために必要な取組となっている。

○このため、交通通信基盤等の整備・利活用を図りながら、UIJターンや二地域居

住をはじめ、体験型・滞在型観光の展開や、他地域との協力・連携体制の構築・拡

充など、地域間交流・連携を積極的に拡大していく。

(2) 対策

ア 国・県道及び市町村道の整備

(ア) 国・県道の整備

○地域の成長を促し、人口減少を克服するため、道の駅等による地域拠点機能の強

化に加え、拠点間を連携する道路ネットワークの整備や既存ネットワークの老朽

化対策等を推進する。

○広域的なネットワークを形成する幹線道路の整備に加え、災害発生時の被害を低

減するための減災ネットワーク道路及び避難所周辺道路の拡幅整備や防災対策・

震災対策等を推進する。

(イ) 市町村道の整備

○市町村道は、各種公共施設への連絡や県道等との有機的結合等地域住民の日常生

活に極めて重要な機能を果たしているが、その整備は立ち遅れが目立っているこ

とから、日常生活の利便性向上を図るため、各過疎市町の状況にあわせた整備を

促進する。

イ 農道、林道の整備

○農林産物の流通の合理化、経営の近代化、農耕車両等の安全の確保、集出荷体制の

確立、森林の適正管理、森林の総合的な利用を図るために農道・林道の整備を推進

する。

ウ その他道路全般に関する対策

○産業の振興に資する市町村管理の基幹的な農道・林道の整備については、緊急度の

高い路線から、順次整備を推進する。

○既に整備された道路構造物等については、長寿命化を図るなど適切に補修・管理に

努めるとともに、今後の維持管理が容易で効率的になるよう技術改善を図る。

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エ 生活交通の確保

○鉄道や地方バス路線は、通勤・通学等地域住民の生活に不可欠な交通機関であるが、

第三セクター鉄道である真岡鐵道㈱、野岩鉄道㈱及びわたらせ渓谷鐵道㈱並びに地

方バス路線は、自動車の普及等により経営が厳しい状況にある。

このため、事業の合理化等による経営の安定化と利便性の向上による利用の促進を

図ることにより、地域住民の交通手段の確保に努める。

○また、既存のバス路線の廃線、維持困難等により生活交通が整っていない地区につ

いては、地域のコミュニティバス、デマンドバス、乗り合いタクシー、自家用有償

旅客運送の導入、スクールバス、福祉バスの生活交通への活用等を進めることによ

り、身近で使い勝手の良い交通手段の確保に努める。

オ 情報通信施設の整備

○インターネットは、住民に対する情報提供だけでなく、双方向通信機能を有してい

るため、地域の振興を図るうえで有効な手段として位置づけられている。今後とも、

ICT(情報通信技術)を積極的に活用して、住民の生活・福祉の向上や増進等を

図ることは極めて重要である。

○このため、これまで整備してきた光ファイバー網、CATV、移動通信用施設など、

基盤となる情報通信施設の適切な維持管理・補修に努める。

カ 情報発信の推進

○情報化の進展は、これまで地理的条件から過疎地域に生じていた時間や距離の制約

等を克服し、新たなコミュニケーションの形成、地域間交流の拡大、地域文化の振

興、地場産業の振興及び新たな産業の創出等大きな波及効果を生み出す可能性をも

っている。

○今後とも、光ケーブル網やCATV回線といったブロードバンド環境を活用して効

率的な行政事務の執行を推進するとともに、医療や教育などの分野における活用や、

高齢者の安否確認、買い物支援、生活情報伝達などの保健福祉サービスを展開し、

住民サービスの向上を図っていく。

○また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を受け、これまで以上に

観光・文化・産業等の地域情報を国内外に発信し、様々な人々との交流の促進を図

り、地域の活性化につながるよう努めていく。

○引き続き、情報通信環境の整備と併せ、これを十分に使いこなせるよう住民の情報

リテラシー向上のための普及・啓発活動を推進していく。

キ 地域間交流・連携の促進

○地域間での各種機能へのアクセス機会の均等化を図るため、幹線道路網の整備、都

市部と過疎地域を結ぶ交通手段の確保、情報通信基盤の利活用、上下水道等生活環

境基盤の改善等を図り、より多くの交流機会の提供による地域間交流の拡大に努め

るとともに、互いの地域への理解や共感を深めるため、地域間の交流、連携のため

の体制づくりを推進する。

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○都市住民等の自然志向の高まりや、首都圏に位置しているという有利な地理的条件

を活かし、自然とのふれあいや地域資源である農林業資源を活用した体験型・滞在

型による都市住民等の交流の実施(グリーン・ツーリズム、農林業体験等)や、広

域的な観光地域の形成のため周辺地域との連携に努める。

○空き家や耕作放棄地等を活用し、“とちぎ暮らし”おためし体験ができる住宅の整

備、「空き家バンク」などの活用可能な空き家情報等の提供や、移住や就農に関す

る相談対応、インターンシップや体験ツアーの実施などUIJターンに関する総合

的な情報の発信に努める。

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3 生活環境の整備

(1) 方針

○上水道、下水道等の生活環境インフラについては、過疎地域においても、安全・安心

な生活を続けるために不可欠な基盤であることから、これまでも重要な過疎対策の

柱の一つとして整備に取り組んできたところである。

○しかしながら、地域的な制約等により、一部整備が進んでいない地区もあることから、

今後は、地域の実情に応じた施設の整備やその維持管理方策について、計画的・効率

的な措置を行い、過疎地域住民のシビルミニマムの確保を図る。

○また、近年では、自然志向の高まり等を背景に、UIJターンや、二地域居住、田舎

暮らしなど人口流動が見られるが、過疎地域においても、交流の促進を図り若年層の

定住を促進していくためには、生活環境の利便性が求められていることから、こうし

た観点からも、生活環境施設等の整備・充実を進める。

(2) 対策

ア 水道等の整備

○地域住民の要請や地域の実情を踏まえ、多様な水供給手法を検討し、供給体制の整

備を図るとともに、老朽化した施設の改修や耐震化を図る。

イ 生活排水処理施設等の整備

○水源地域や河川の上流部に位置する地理的条件から、河川の水質汚濁防止、自然環

境の保全、観光環境の快適性の確保及び地域社会における健康で快適な生活環境の

確保を図るため、県が策定した「栃木県生活排水処理構想」に基づき、地域の特性

に応じて、公共下水道、農業集落排水施設、コミュニティ・プラント、浄化槽等の

計画的な整備を推進する。

ウ ごみ処理施設の整備

○過疎地域の環境衛生の向上を図るため、ごみの減量化、再資源化を推進する。なお、

ごみ処理施設については、県が策定した「栃木県廃棄物処理計画」に基づき、各地

域ブロック単位で、現有施設の更新時期等に配慮しながら、安全性・利便性の高い

施設の整備を推進する。

エ 消防・救急施設の整備

○過疎地域における消防ポンプ車、防火水槽等の設備は徐々に整備されつつあるが、

消防団員の高齢化や昼間災害時の人的不足等による消防力の低下が懸念されてい

る。このため、各種補助制度の活用による消防設備の整備や消防団員の確保等の人

的充実等、消防力の向上を支援する。

○災害、交通事故、急病等の緊急時の要請に迅速に対応するため、救急救命士の育成、

更にヘリコプターによる救急搬送等、救急業務の高度化の推進に努める。

○なお、過疎地域における消防・救急・防災施設等の整備については、広域的観点に

立って、規模や利用効率を考慮した効果的な配置とする。

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オ その他の対策

○既に整備された水道、排水処理施設、ごみ処理施設、消防・救急施設については、

損傷・劣化等を把握し、適切に補修・管理に努めることで長寿命化を図る。

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4 高齢者等の保健及び福祉の向上及び増進

(1) 方針

○過疎地域においては、高齢化率が高いこともあり、高齢者が、豊富な経験や受け継い

できた知恵・技を活かして地域活性化に貢献している事例が多い。よって、今後、過

疎地域における高齢者一人ひとりが安心して住み慣れた地域で生活を継続していける

よう、高齢者を支える仕組みを創っていくことは、地域活性化のためにも重要である。

○本県においては、平成 27年3月に栃木県高齢者支援計画「はつらつプラン 21(六期計

画)」を策定し、「生きがいづくりの推進」「介護予防・日常生活支援の推進」「介護

サービスの充実・強化」「在宅医療・介護連携の推進」「認知症施策の推進」「人材の

育成・確保」「安全・安心な暮らしの確保」「県民の理解・協力の推進」の8つを柱と

し、あるべき高齢社会の姿として設定し、これを実現するために、様々な高齢者支援

施策を展開することにしている。

○本県の過疎地域においても、上記計画並びに市町村が定める老人福祉計画や介護保険

事業計画等に基づき、保健福祉対策や生きがい対策などの各種施策を計画的、総合的

に推進していく。

○また、児童・障害者については、過疎地域の実情に応じた幼児期の教育や保育の提供、

ノーマライゼーションの理念に基づく障害者支援サービス等、各種施策を積極的に推

進する。

〔栃木県内の高齢化率の高い市町村〕

順 位 市町村名 高齢化率

1 茂木町 37.1%

2 那須町 34.6%

3 那珂川町 34.0%

4 那須烏山市 33.1%

5 塩谷町 33.0%

6 日光市 32.5%

7 足利市 30.3%

8 芳賀町 28.9%

9 栃木市 28.8%

10 矢板市 28.3%

県平均 25.9% ※1 数値は国勢調査(平成 27年)のデータを元に作成

(2) 対策

ア 高齢者の保健及び福祉の向上及び増進を図るための対策

○過疎地域における特性を十分に踏まえた上で、高齢者が心身の状態に応じた各種在

宅での保健福祉サービスを適時、適切に受けられるよう、介護保険制度等の円滑な

実施に向けた体制の整備に努めるとともに、できるだけ身近なところで必要なサー

ビスが受けられるよう、介護サービス基盤等の整備を推進していく。

なお、施設サービスについては、地域の実情を踏まえ、関係市町との連携をもとに、

広域的な観点にたった施設配置や利活用に努める。

○生きがい対策としては、「とちぎ生涯現役シニア応援センター」(愛称「ぷらっと」)

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において、社会貢献活動から就労まで、多岐にわたる高齢者の社会参加ニーズにワ

ンストップで対応し、相談や情報提供等を行うとともに、社会参加に意欲を持つ高

齢者のための魅力ある老人クラブの育成とその活動の活性化に努めるとともに、高

齢者のボランティア活動の普及に努めるなど、高齢者が積極的に社会活動へ参加で

きるような環境づくりに努める。

また、就業を希望する高齢者が蓄積してきた知識や技能を提供するシルバー人材セ

ンターの充実を図るとともに、高齢者の多様化・高度化する学習ニーズに対応する

学習の場の提供に努める。

なお、これら高齢者の生きがいづくりの拠点となる老人福祉センター等の施設につ

いては、既存施設を活用するなど地域の特性を活かして整備を進める。

○高齢者が住み慣れた地域で自立した生活が送れるよう、ホームヘルプ、デイサービ

ス、ショートステイなどの介護サービスの整備を図るとともに、高齢者向け住宅(改

良)の普及、介護福祉機器の普及及びマンパワーの養成・確保に努める。

施設サービスが必要な高齢者のための特別養護老人ホームや認知症高齢者グループ

ホーム等については、地域の実情に配慮し、市町村と十分調整を図りながら計画的

に整備を促進していく。

○また、一人暮らし・夫婦のみ世帯の高齢者や認知症高齢者の増加を踏まえ、見守り

活動やサロンづくりなどを支援するとともに、地域包括支援センターや市町村社会

福祉協議会等のコーディネートにより、自治会、住民ボランティア、医療機関、介

護サービス事業者等のネットワークを構築し、地域における支え合いの推進を図る。

イ 児童その他の保健及び福祉の向上及び増進を図るための対策

○次代を担う子どもたちの健やかな成長を図るため、社会全体で子育てを支援し、安

心して子どもを生み育てられるよう、地域の実情に応じた幼児期の教育や保育の充

実等の環境整備をはじめとして、妊娠・出産・子育て支援を行う市町の支援や母子

保健医療対策の充実、児童健全育成活動の促進等による子どもの健全育成等、各種

施策を積極的に推進する。

○障害者の自立と社会参加を支援するため、医療、福祉、教育等の各分野におけるリ

ハビリテーションの充実や障害福祉サービス等の充実を図るとともに、ノーマライ

ゼーションの理念に基づいた地域づくりや障害福祉サービスを担う人材の育成・確

保のため、各種施策を推進する。

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5 医療の確保

(1) 方針

○医療の確保については、地域で健やかに安心して生活するための基礎的条件となるこ

とから、地域社会の維持・存続を図る上で欠くことのできない対策である。過疎地域

については、人口の高齢化等に伴う疾病増加により、需要が増大かつ多様化する傾向

にあるのに対し、医療機関の絶対数の不足や医師の高齢化等による診療所の廃止、更

には深刻な医師・看護師不足など、医療提供体制に対する不安は大きいものがある。

○本県においては、過疎地域の住民が安心して医療を受けられるよう、平成 23年度から

の「栃木県第 11 次へき地保健医療計画」及び平成 25 年度からの「栃木県保健医療計

画(6期計画)」に基づき、へき地医療支援機構の助言・調整の下、巡回診療事業等

を実施するとともに、へき地診療所やへき地医療拠点病院の施設・設備の充実を図る

など、へき地医療提供体制の維持・確保に努めることとしている。

○本県の過疎地域においても、上記計画に基づき、各地域における諸条件に対応した医

療体制の整備を進め、安全・安心に暮らせる地域医療の確保が図られるよう努める。

(2) 対策

ア 医療確保対策

○平成 26 年 10 月時点での過疎地域における無医地区及び無医地区に準ずる地区(以

下、「無医地区等」という。)の状況は、旧栗山村4地区(現日光市)、茂木町3地

区、那珂川町4地区である。

○無医地区等については、毎年度策定するへき地医療支援計画に基づき、巡回診療事

業などの各種施策を実施する。

○医師修学資金貸与事業や自治医科大学卒業医師の派遣等により、へき地診療所やへ

き地医療拠点病院における医師確保の取組を支援するとともに、へき地での医療の

質の向上及び専門的な医療との連携確保を促進する。

○遠隔画像診断等の診療支援やへき地の医療従事者に対する研修等を促進するととも

に、介護を必要とする高齢者が住み慣れた地域社会や家庭において在宅生活が送れ

るよう、保健、医療、福祉の連携による在宅ケアの充実を図る。

○重篤な患者が発生した場合については、ドクターヘリを活用し、医師と看護師をい

ち早く派遣することで初期治療の早期実施や迅速な医療機関への搬送など、適切な

対応を行う。

イ 特定診療科に係る医療確保対策

○平成 26 年 10 月時点での過疎地域における無歯科医地区及び無歯科医地区に準ずる

地区(以下、「無歯科医地区等」という。)の状況は、旧栗山村6地区(現日光市)、

茂木町2地区、那珂川町2地区である。

○無歯科医地区等については、「とちぎ歯の健康センター」を拠点とした歯科巡回診

療車による巡回診療を実施し、歯科医療の確保を図る。

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6 教育の振興

(1) 方針

○教育については、一次医療と並んで、過疎地域においても不可欠な基本的生活サポー

ト機能であり、特に若年層を中心とした人口の定住を図る上では、過疎地域に住んで

いても子どもの教育に影響を及ぼさない対策が必要である。

○本県における教育の指針は、栃木県教育振興基本計画において示している。本県の過

疎地域においても、これに基づき、学校教育の充実をはじめとする様々な施策を展開

していく。また、地域の活性化に寄与するよう、生涯学習・社会教育を推進し、住民

の学習の機会の充実や、学びを通じた住民同士の交流、学習の成果を生かした地域活

動等の促進を図る。

○さらに、過疎地域においても、学校の老朽化が進んでいること、また小規模校が存在

することから、こうした状況も配慮した対策を行っていく。

(2) 対策

ア 公立小中学校等教育施設の整備

○教育施設については、過疎地域においても校舎の老朽化がみられることから、改築、

改修等良好な学校教育環境を確保するための対策を促進していく。

○さらに、小規模校においては、児童生徒数の動向等を的確に把握し、地域の実情に

応じた適正規模を確保しつつ、特色を活かした学校施設・設備の整備を推進する。

イ 社会体育施設、社会教育施設等の整備推進及び社会教育活動の促進

○住民の多様な要求に対応できる体育館・各運動施設等の社会体育施設や図書館・公

民館等の社会教育施設及び福祉・農林業・商工労働等に係る各社会教育関連施設に

ついて、近隣地域の施設との相互利用等、広域的な連携に配慮しながら、総合的な

活用の促進を図る。また、社会教育活動への積極的な参加を促すためのプログラム

を開発するほか、様々な社会教育関係団体や企業、高等教育機関との連携を促進す

ることにより、多様な学習機会の確保に努める。

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7 地域文化の振興

(1) 方針

○人々の意識、価値観、生活様式の多様化により、人々が心の豊かさ、新たなライフス

タイルを実現する場を求めている現在、地域文化は、地域の個性の創出に欠かすこと

のできない大切な要素となっている。また、地域文化は、地域の特色を表すとともに

地域のアイデンティティを形成し、地域住民が自らの地域に誇りと愛着を持つ契機と

なり、個性的で多様な地域づくりを支える重要な柱の一つとなっている。

○本県においては、平成 20年3月に、総合的な文化振興施策を推進し、心豊かな県民生

活及び活力ある地域社会を実現することを目的に、栃木県文化振興条例を制定した。

また、平成 21年2月に栃木県文化振興基本計画を策定し、『みんなで育み、誇る「と

ちぎの文化」』を基本目標に、「文化を創造し、享受することができる環境の整備」、

「多様な文化の保護と発展」、「伝統的な文化の保存、継承と新しい文化の創造のため

の活用」等の視点を持って、①多彩な文化活動の促進、②文化に親しむ環境の整備、

③文化を支える担い手の育成、④伝統的文化の保存、継承、活用、⑤文化による地域

の振興 を図るための施策を展開している。

○本県の過疎地域においても、この条例、計画の考え方を十分に踏まえ、地域に残され

た貴重な伝統文化、歴史、芸能の保存を図るとともに、地域文化の振興をとおして、

住民が自信、誇り、愛着を保持・創出できるような個性的で魅力ある地域づくりの推

進に努める。

(2) 対策

■ 地域文化の振興に係る環境の整備等

○過疎地域における多彩で自由な文化活動を促進するために、年中行事、民俗芸能、

民話等の地域特有の伝統文化の継承・発展や生活文化の振興、高齢者の文化活動の

充実等の施策を展開する。

○それぞれの地域の生活に密着した文化の再発見や掘り起こし等に努める。

○文化を担う人材や団体の育成・支援、文化遺産の保護と伝承、地域の自然や風土を

活かした景観の形成等を進める。

○特色ある様々な文化の魅力を多くの人に知ってもらうため、文化に関する情報を広

く活用できるネットワークを整備するとともに、地域内外へ広く情報発信し、地域

を越えた交流を促進していく。

○地域固有の魅力を形成し発信する場や交流する場として、伝統芸能の伝承施設の整

備等、地域文化の振興等に係る施設の充実に努めるとともに、県立美術館、県立博

物館、県総合文化センター等の活用を図る。

○栃木県文化振興基金を活用して、多彩な文化活動や地域伝統文化の継承を行う団体

への支援を行う。

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8 集落機能の維持・活性化

(1) 方針

○本格的な少子・高齢化・人口減少社会を迎え、過疎地域の集落を取り巻く状況は厳し

さを増しており、担い手不足、地域コミュニティの崩壊や耕作放棄地の増大、森林の

荒廃、貴重な地域文化の消滅等が社会問題となっている。

○過疎地域が、今後とも、都市部では得ることのできない良好な生活空間や新たなライ

フスタイルを実現する場として維持されるためには、地域における最も基本的な生活

単位である集落の維持が不可欠である。

○人口減少に伴い過疎地域を取り巻く環境の変化に柔軟に対応するとともに、過疎地域

が直面する課題を解決し、地域の中において安全・安心で心豊かな生活が将来にわた

って確保されるよう努める。

(2) 対策

■ 集落機能の維持・活性化

○過疎地域に点在する山間集落の多くは戸数が少なく、本格的な少子高齢化や人口減

少により、集落機能の維持はもとより、地域活力の一層の低下が懸念される。

このため、地域社会の基礎単位としての諸機能を保持できるよう、「小さな拠点」

の形成等の施策を推進し、住民の日常生活に必要な生活環境の整備、医療の確保、

基幹集落との交通通信環境の改善などを促進していく。

○集落の維持・活性化を図るためには、住民自身が集落の現状を十分に把握し、集落

の問題を自らの課題として捉える必要があることから、自治会等の地域自治組織が

行う自主的・自発的活動を支援し、自ら集落の将来像を描くことができるよう、積

極的にサポートしていく。

○集落の自主的・自発的活動を促進するためには、外部人材の力を借りることも有効

な手段であることから、国が行う「地域おこし協力隊」「集落支援員」等の人的支

援制度の積極的な活用も促進していく。

○住民が郷土の魅力を再発見・再認識し、自らの創意工夫により自立促進が図られる

よう、地域資源を活かした取組や、地域コミュニティの強化、地域間交流の促進を

図っていく。

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Ⅲ 地域別の自立促進方針

1 旧足尾町(現日光市)

(1) 地域の現状

当地域は、県の最西部に位置し急峻な足尾山地に囲まれている。

この地域は、慶長 15年(1610年)に銅が発見されて以来、銅山最盛期の大正年間

には人口が 38,428人を記録するなど、銅山の町として発展を遂げてきたが、戦後、

銅貿易の自由化による銅価格の低迷や鉱脈の枯渇により、昭和 48年2月に閉山とな

ったため、急激に人口が流出した。

昭和 35年に 16,608人であった総人口は、閉山した昭和 48年には対前年比 23%の

減少を記録するなど、著しい減少が続き、平成 27年には 2,178人となっている(55

年間の減少率 86.9%)。

高齢化率は、昭和 35年の 4.6%から平成 27年には 52.1%に達し、昭和 55年から平

成27年までの高齢化率の上昇ポイントも35.3 ポイントで全県平均(16.5)の約2.1

倍と、県内市町村のなかで高齢化の進展が最も著しい地域である。

平成 27 年の就業者総数 842 人の産業別構成は、第1次産業 18 人(2.1%)、第2次

産業 255人(30.3%)、第3次産業 563人(66.9%)となっている。

この地域においては、銅山の閉山に伴い関連産業の撤退や事業の縮小を図ったこ

と、また、工場適地が少ないため企業誘致が進まず就業の場に乏しかったこと、道

路網の未整備等交通条件が厳しかったことなどから、人口の流出が続いてきた。

旧足尾町(現日光市)では、新生足尾を目指し、産業の振興を図るため、雄大な

自然景観や歴史的資源を活用した観光産業の充実、地場産業の育成、住環境の整備

等を積極的に推進してきたところである。

また、県においても、閉山以降の急激な過疎化を防止するため、継続的に各種の

支援を行ってきた。

なお、この地域は、周辺4市町村と平成 18年3月に合併し、日光市となったが、

過疎法第 33条第2項の規定により引き続き過疎地域とみなされることとなった。

(2) 過疎対策の成果と課題

国・県道及び基幹的な市町村道等の道路網の整備が図られた。特に、国道 122 号

の日足トンネル(2,765m)の開通により、日光地域との近接性が飛躍的に高まり、観

光産業の活性化、社会生活、経済活動等に多大な効果がもたらされた。

また、坑道跡を利用した銅山観光のリニューアル化、環境学習センターの整備、

住環境整備、地域特産品の開発による地域産業おこしや地場産業の振興を図ってき

た。

更に、他市町村に先駆けて地域おこし協力隊制度を導入し、都市部の若者が地域

内で活動することによる地域住民の主体性の醸成が図られた。また、地域医療の実

施等各種の健康福祉事業の充実を図るとともに、足尾橋の改修等、社会生活基盤の

充実を図ってきたところである。

しかしながら、就業人口の増加、若年層の定住促進、域内道路や産業遺産の保存・

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活用と環境学習の推進のための環境整備等による観光産業の振興、「わたらせ渓谷

鐵道㈱」や市営バス路線等公共交通機関の維持・確保、更に、少子・高齢化社会へ

の対応など解決すべき課題は多い。

なお、前述のとおり、この地域は周辺4市町村と平成 18年3月に合併し、日光市

となった。日光市は、総面積 1,449.83㎢と県土の4分の1弱を占める広大な市域を

持ち、日光・鬼怒川温泉など多くの観光資源に恵まれていることから、市内の他地

域との連携も今後これまで以上に重要となる。

(3)過疎地域自立促進のための基本的な方向・施策

○旧足尾町区域は、日光国立公園及び県立自然公園を有しており、雄大な自然景観に

恵まれている。この自然や銅山関連施設等の歴史的資源を活用しながら、国際観光

都市であり、世界遺産にも登録された東照宮等二社一寺をはじめとする優れた歴史

文化遺産を有する旧日光地域との交流・連携を強化し、観光関連産業の振興を中心

として地域の自立促進を図っていくものとする。

○自立促進のための基本的な方向・施策は、以下のとおりである。

- 農林業の生産基盤の整備、担い手の育成・確保、特産品の開発や観光産業との連

携による地場産業の育成

- 銅山観光を核とした観光拠点施設整備の促進及び世界遺産登録に向けた活動の

活発化

- 国及び県道を中心とする幹線道路網整備の促進及び第三セクター「わたらせ渓谷

鐵道㈱」や市営バス路線等の公共交通機関の維持・確保

- 老朽住宅や空き家の活用等の促進、上水道等の生活基盤の維持

- 高齢者等の保健・福祉の向上・増進を図るための人材育成及び環境整備

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2 旧栗山村(現日光市)

(1) 地域の現状

当地域は、県の北西部に位置し、日光連山の急峻な山々に囲まれている。

総人口は、昭和 35年においては 4,751人であったが、大幅な減少が続き、平成 27

年には 1,265人となっている(55年間の減少率 73.4%)。

昭和 55年にはダム関連工事等の従事者が流入したため、一時的に人口が増加した

が、工事の完了とともに村外に転出し、昭和 60年以降再び人口が減少している。

高齢化率は、昭和 35年の 5.1%から平成 27年には 43.1%に達し、昭和 55年から平

成 27 年までの高齢化率の上昇ポイントも 32.5 ポイントと全県平均(16.5) を大幅

に上回り、県内において高齢化の進展が著しい地域の一つである。

平成 27 年の就業者総数 720 人の産業別構成は、第1次産業 37 人(5.1%)、第2次

産業 83人(11.5%)、第3次産業 589人(81.8%)となっており、第3次産業の割合が高

くなっているが、これは、地域内の各所温泉を活かした観光業を営む者が多いため

である。

この地域は、広大な山間部に集落が点在しており、急峻な地形のため道路は狭い

上に曲折が厳しいため、県下で最も人口密度が低く、若者の地域外流出が過疎化を

招き、地域の高齢化に拍車をかけるという悪循環が生じている。その結果、社会的

にも経済的にも地域の発展が妨げられている。

現在、地域の産業の中心は、観光産業であり、地域内総生産の大部分を占めてお

り、雇用の場も提供している。美しい景観や伝統文化はもちろんのこと、とりわけ

豊富で良質な温泉により誘客が図られている。その温泉の有効活用を図るため、温

泉の各戸給湯事業、共同浴場整備事業等により、地域の全域温泉地化が推進されて

おり、地域に付加価値を加え、「ふれあい」「コミュニティ」「交流」「就労の場の

確保」など魅力ある地域づくりが推進され、観光地として今後の発展が大きく期待

されている。

しかし、豊かな自然資源という恵まれた環境は、産業振興の観点から見ると、急

峻な地形の連なりに加え、多雪地帯にあるといった、産業立地の条件の厳しさに通

じている。恵まれた地域の自然を活かしていく産業の要は、温泉を活用した観光で

あり、その観光のあり方に留意して、農林業、商工業ともに観光と結び付けた振興

により、総合的な観光施策を推進している。

また、この地域には首都圏の水がめとして、4基(川治、五十里、川俣、湯西川)

の大型多目的ダムが設けられ、いずれも観光資源化しており、道路交通網や観光施

設等、ダム工事関連の施設整備等により、地域振興の促進が図られている。

なお、この地域は、周辺4市町と平成 18年3月に合併し、日光市となったが、過

疎法第 33条第2項の規定により引き続き過疎地域とみなされることとなった。

(2) 過疎対策の成果と課題

県道や基幹的な市町村道等の整備により交通条件が改善され、冬季積雪対策とし

ての除雪車の整備により交通の安全確保が図られ、住民生活の利便性が向上した。

農林業においては、林道等の整備とともに、造林、保育等の計画的な森林整備が

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推進され、公営牧場の草地改良及び放牧管理施設の整備により生産コストの低減及

び労働力負担の軽減が図られた。

また、スクールバスの整備等学校教育環境の改善、コミュニティセンター等社会

教育施設の整備、患者輸送車、レントゲン装置等医療施設・設備の整備、消防ポン

プ自動車の整備等により、社会生活環境の整備充実が図られた。

更に、観光客の受入体制整備のため、共同浴場、遊歩道、園地、温泉引湯、観光

案内板、キャンプ場等の整備を促進し、農産物加工所、農林産物直売所の整備によ

り観光産業と連携した農産物販路拡大と誘客強化のためのPR活動を積極的に行っ

ている。また、地域おこし協力隊が配置されたことによって、地域の情報がこれま

で以上に対外的に発信されるようになった。

今後とも、個性的な観光地づくりを目指し、観光関連施設の充実、道路網の整備、

第三セクター「野岩鉄道㈱」等の公共交通機関の維持確保等による観光資源のネッ

トワーク化、豊かな自然や地域文化等を活かした観光資源の開発等により観光産業

の振興を図るとともに、上・下水道の普及、高齢者福祉対策の充実等による生活環

境の改善により、地域の自立促進を進めていく必要がある。

また、旧足尾町地域同様、合併を機に、豊富な地域資源を活かし、日光市内の他

地域との連携を進める必要がある。

(3)過疎地域自立促進のための基本的な方向・施策

○旧栗山村区域では、住民が生き生きとした暮らしを営めるよう、日光国立公園に指

定されている優れた自然環境や温泉等を活かした観光関連産業を中心とする産業の

振興、起業の促進、恵まれた自然環境や伝統文化の保護・育成、「人づくり」の要

となる教育文化の振興等により地域の自立促進を図っていくものとする。

○自立促進のための基本的な方向・施策は、以下のとおりである。

- 観光産業と連携した農林業、商工業の振興

- 幹線道路網整備の促進

- 近接する地域との交流・協力関係の強化及び都市住民との交流の促進による地域

の自立促進

- 上水道、下水処理施設等の整備及びコミュニティ活動の活性化の促進

- ノーマライゼーションの考え方を基本とした地域福祉、在宅福祉の充実

- 教育環境の改善、国際理解・交流、スポーツレクリエーションの振興

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3 茂木町

(1) 地域の現状

茂木町は、県の南東部に位置し、県際に広がる八溝山系の山間にある農山村であ

る。

総人口は、昭和 35年においては 26,786人であったが、減少が続き、平成 27年に

は 13,188人となっている (55年間の減少率 50.8%)。

高齢化率は、昭和 35年の 8.0%から平成 27年には 37.1%に達し、昭和 55年から平

成 27 年までの高齢化率の上昇ポイントも 21.7 ポイントと全県平均(16.5)を大幅に

上回っている。

平成 27 年の就業者総数 6,638 人の産業別構成は、第1次産業 857人(12.9%)、第

2次産業 1,964人(29.6%) 、第3次産業 3,731人(56.2%)となっている。

この地域は、以前は、収益性の高い葉たばこ生産を主体とした農業の展開、たば

こ製造工場の立地及びこれらを中心とした商業の形成という特徴のある産業形態を

有し、県内でも比較的豊かで先進的な町であった。

しかし、高度成長期を境に都市部への人口流出が始まり、昭和 52年にはたばこ製

造工場の撤退により、産業の中核を失うこととなった。

当時の地域経済がたばこ産業に依存する構造であり、他産業の規模が小さく、就

業機会に乏しかったことや、交通体系や水道等の生活環境の整備の立ち遅れなどか

ら、若年層を中心とした人口流出が進行していった。

現在、町の産業の中心は農業であり、稲作を始め、コンニャクやゆずの他、近年

ではイチゴやナス、ブロッコリー等の園芸作物の栽培が増加傾向にあるが、東日本

大震災以降、基幹農作物であった原木しいたけの生産が衰退し、耕作放棄地や担い

手の高齢化が進んでいる。

工業については、平成3年には小規模工業団地を造成、企業の誘致を行い、200人

の就業の場を創出したところであるが、近年は伸び悩んでいるのが現状であり、学

校跡地等の町有地を中心に引き続き企業の誘致に取り組んでいる。

茂木町では、現在、中心市街地活性化拠点施設の整備を進め、市街地の魅力づく

りを図ると共に、道の駅「もてぎ」や個々の商店における地場産品や特産品を活用

した商品開発や販路拡大を支援している。

町の北部を流れる那珂川を中心とした県立自然公園地域においては、大瀬観光や

なやキャンプ場など、自然を活用した観光施設を有する。平成8年には、西の玄関

口に道の駅「もてぎ」を整備し、平成 11 年 10 月に第三セクター㈱もてぎプラザを

設立し、農業・商業・観光の連携に重点をおいた町の情報発信基地づくりと6次産

業に取り組んでいる。

平成9年にオープンした大型スポーツレクリエーション施設「ツインリンクもて

ぎ」の国際性や情報発信力を利用し、町のイメージアップを図っている。また、町

特産品のブランド化事業を推進するとともに、コミュニティビジネス等の地域振興

に積極的に取り組んでいる。

なお、山村振興計画及び林業構造改善計画に基づく事業などが実施され、生活環

境の改善や農林業の振興が図られている。

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(2) 過疎対策の成果と課題

国・県道や基幹的な町道等の整備により、円滑な交通条件が確保され、産業活動

や住民生活の利便性の向上が図られるとともに、周辺市町村へのアクセスが容易と

なり、就業の機会が増加した。

また、農林業におけるほ場整備の促進や都市と農村の交流の推進を図るため「グ

リーン・ツーリズム」等の実施や道の駅「もてぎ」の整備、「ツインリンクもてぎ」

のオープンなどにより、交流人口が飛躍的に増加し、各種産業の振興が図られた。

更に、学校統合等教育環境の改善、上下水道の普及、消防施設、コミュニティセ

ンター、多目的集会施設、町民体育館、運動公園等の整備により、社会生活環境の

整備充実が図られた。

なお、町民の 99%が加入するCATVは、地上デジタル放送の受信と高速インタ

ーネット等の双方向サービスに対応した地域情報総合ネットワークとして再整備さ

れ、都市との情報格差を是正するとともに、災害時の情報伝達やコミュニティづく

りに貢献している。

以上のように、茂木町においては比較的順調に町の振興が図られているが、今後

も、安定した農林業経営の確立、農林業の担い手の育成確保、地域間交流の促進、

地域おこしと連携した産業の振興、企業誘致等による就業機会の創出、「ツインリ

ンクもてぎ」に対応した広域幹線道路や地域内道路の整備、第三セクター「真岡鐵

道㈱」等の公共交通機関の維持確保、下水道の整備等による生活環境の改善、住宅

団地の造成、教育文化施設の整備、中心市街地の活性化に取り組んでいく必要があ

る。

(3)過疎地域自立促進のための基本的な方向・施策

○茂木町では、世界でも有数の大型スポーツレクリエーション施設「ツインリンクも

てぎ」と連携して、交流人口の一層の拡大と定住促進を図るとともに、農林業及び

商工業の振興を中心として地域の自立促進を図っていくものとする。

○自立促進のための基本的な方向・施策は、以下のとおりである。

- 企業誘致及び起業支援による就業機会の創出

- 宅地造成や空き家等の活用による個性的な定住促進策の推進

- 生産基盤整備や6次産業化による農林業の振興

- 中心市街地の活性化及び町並づくりの推進

- 美しい自然や特色ある地域づくりを活かした滞在・体験型観光の創出

- 「ツインリンクもてぎ」や道の駅を核とした国際的観光産業の促進

- 幹線道路網整備の促進

- CATVを活用した情報化の推進

- 下水処理施設の普及、都市的基盤整備の促進

- 子育て世代や高齢者への支援並びに特色ある教育環境の推進

- 教育・文化・産業等における国際交流のさらなる推進

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4 塩谷町

(1) 地域の現状

塩谷町は県の中央やや北部に位置し、町の北部は日光国立公園の一部に属する高

原山を頂点とした山林地帯で、林産資源に富み、東部を流れるの荒川と西部を流れ

る鬼怒川の2つの一級河川が町の両側を囲みながら南流し、中央部から南部にかけ

ては肥沃な農業地帯となっている。

総人口は、平成 2 年においては 14,898 人であったが、減少が続き、平成 27 年に

は 11,495人となっている(25年間の減少率 22.8%)。

高齢化率は、平成 2年の 16.7%から平成 27年には 33.0%に達し、平成 2年から平

成 27 年までの高齢化率の上昇ポイントも 16.3 ポイントと全県平均(13.5)を大幅に

上回っている。

平成 27年の就業者総数 6,041人の産業別構成は、第1次産業 824人(13.6%)、第

2次産業 1,919人(31.8%) 、第3次産業 3,191人(52.8%)となっている。

この地域においては、小規模な農林業以外に就業の場が少なかったことや公共施

設、交通体系、上水道、住宅・商業施設等の生活環境の整備しきれていないなどの

理由から、若年層を中心とした人口の流出が進行している。

塩谷町の産業は農業が基幹産業であり、水稲を始め花卉、トマト、いちご、ニラ、

畜産のほか、地場産業として地酒やしめ縄の生産が盛んであるが、農産物の価格の

低迷や高齢化、担い手不足による耕作放棄地や獣害の増加など大変厳しい状況とな

っている。

観光については、全国名水百選にも認定された尚仁沢湧水を中心とした清らかな

観光資源をイメージさせる「名水の郷しおや」をPRするとともに、佐貫観音(石

仏)の周辺整備や平成 24年にオープンした道の駅「湧水の郷しおや」を中心に観光

交流施設などでの情報発信・食・イベントの充実による誘客の促進を行っている。

また、まちづくりに関して安全安心な暮らしのために健康づくりの推進や子育て

支援の充実、豊かな人を育むための教育推進体制や教育環境の充実、産業活性化の

ための活力ある商工業の振興や地域特性を活かした観光の推進を図るため、町振興

計画や山村振興計画に基づき各種施策に取り組んでいる。

(2) 過疎対策の課題

道路では、国・県道や基幹的な町道等が整備されつつあるものの、主幹道路から

枝葉的に集落に延びる町道の整備や舗装老朽化の更新等、集落から市街地への円滑

な交通環境の確保が必要である。橋梁では老朽化した佐貫観音橋の架け替えが行わ

れたが、それ以外にも主要な橋の耐震補強や老朽化対策が必要となっている。また、

山あいに構成された集落から市街地を結ぶ高齢者の足の確保を目的に、施策の1つ

として高齢者の福祉ワゴンの運行が行われているものの、公共交通網が脆弱である

ことが課題となっている。

観光では、国道 461号沿線に道の駅が整備されているが収容・受入機能の充実等、

一層の町内滞留への工夫が必要となっている。

農業においては、圃場整備が進められて耕作の効率化が図られているが、担い手

の確保のための農業青年の育成及び営農組織などの多様な組織の育成、農業経営の

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合理化のための資金面での支援が必要となっている。また、特に山間部からの耕作

放棄地の増加が懸念されている。

林業においては、中学生を対象に林業体験や木工教室を通して、自然にふれる機

会が少なくなった子どもたちの林業への関心を高めるための施策も行っているが、

林業の活性化のための林道網の整備や林産材の需要拡大のための施策が必要となっ

ている。

今後、人口の減少と高齢化がより一層進む状況であり、就業人口の増加(雇用の

場の確保)、若年層・子育て世代層の定住化、転出の抑制及び公共インフラの整備

を図るための企業誘致や上水道の整備等の事業を実施する必要がある。

(3)過疎地域自立促進のための基本的な方向・施策

○塩谷町は、全国名水百選にも認定された尚仁沢湧水を始めとした豊富な水資源のほ

か、国指定天然記念物のイヌブナ自然林などの雄大な自然景観に恵まれている。こ

れらの優れた自然環境を活かした観光振興を促進し、交流人口の増加と定住の促進

をするとともに公共交通手段の確保や子育て環境の充実、就業の場の確保などの施

策を講じることにより、地域の自立促進を図っていくものとする。

○自立促進のための基本的な方向・施策は、以下のとおりである。

- 農林業の生産基盤の整備による経営の効率化及び担い手の育成・確保の推進

- 地域特産品の開発とそのブランド化による地場産業の振興

- 企業誘致等及び新たなしごとの創出による就業機会の創出

- 地域資源や道の駅等の観光資源を活用した観光の振興とネットワーク化

- 道路網の整備及び交通弱者のための身近な生活交通の確保

- 公営住宅、空き家対策といった住環境整備、上水道施設、消防防災対策等の生活

環境基盤の整備

- 少子高齢化社会に対応した児童福祉施設、高齢者福祉施設等の整備促進

- 地域医療の確保及び健康増進、疾病予防、早期発見、リハビリテーションに至る

保健医療提供体制の整備推進

- 生涯学習環境の充実

- 学校教育施設の充実と子育て支援施設の整備

- 人と自然が共生する環境への負荷が少ない循環型社会の構築

- 地域コミュニティの形成

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5 那珂川町

(1) 地域の現状

那珂川町は県の東北東に位置し、なだらかな八溝山系に属し、雄大な清流那珂川

が中央部を南流している。

総人口は、昭和 35年においては 29,256人であったが、減少が続き、平成 27年に

は 16,964 人となっている(55 年間の減少率 42.0%)。昭和 60 年前後においては、

ほぼ横ばい状態にあったが、近年は減少率が再び拡大している状況である。

高齢化率は、昭和 35年の 7.5%から平成 27年には 34.0%に達し、昭和 55年から平

成 27 年までの高齢化率の上昇ポイントも 20.9 ポイントと全県平均(16.5)を大幅に

上回っている。

平成 27 年の就業者総数 8,629 人の産業別構成は、第1次産業 1,203 人(13.9%)、

第2次産業 2,957人(34.3%) 、第3次産業 4,417人(51.2%)となっている。

この地域においては、小規模な農林業以外に就業の場が少なかったことや公共施

設、交通体系、上下水道、住宅等の生活環境の未整備などの理由から、若年層を中

心とした人口の流出が進行した。

那珂川町の産業は農林業が基幹産業である。農業は水稲を始め、畜産、施設園芸

作物、果樹などが中心となっており、都市部への供給基地となっている。また、林

業は「八溝材」と呼ばれる優良材を産出し、八溝林業地帯の中核をなしている。

町では、山振事業や中山間地域総合整備事業等により、ほ場や農林道等の農林業

生産基盤の整備や農山村体験施設等の整備、ブランド材の需要拡大等、高齢者の就

業機会の確保や交流人口の増加を図りながら、農林業経営の安定化に努めている。

また、休耕田を利用したマコモタケの生産やホンモロコの養殖など、耕作放棄地

の対策が講じられてきている。

特産品としては、イノシシ肉、手づくりハム、八溝そば等の需要拡大を図るため、

観光施設と連携した積極的なPR活動を推進している。また、6次産業化の取り組

みによる、新たな特産品の開発・販売に取り組んでいる。

水産業では、温泉水を活用した「温泉トラフグ」の養殖や、排熱を活用したうな

ぎの養殖など、資源の循環利用による取り組みがはじめられている。

商工業については、江戸末期から続く「小砂焼」の振興や生産性が高く雇用効果

が望める新規企業の誘致に努めるとともに、消費者の町外流出を防止し、賑わいの

創出を図るため、魅力ある商店街の整備を進めている。

観光については、温泉、史跡、緑と清流等の地域資源を活かしながら、地場産業

と結びつけた事業を展開し、更には「日本で最も美しい村」連合の加盟により、町

の美しさを町内外に発信し、リピーターの確保に努めている。

また、道の駅を情報発信基地と位置づけ、美術館や資料館をはじめ、町内の各ス

ポットとの連携により、回遊性の向上に努めている。

生活環境面についても、町営住宅等の整備や定住促進団地の整備等による定住対

策、上下水道整備による都市機能の整備促進を図っている。また、町独自のCAT

Vを活用した地域活性化や、環境負荷の低減及び、資源の利活用を目的とした循環

型社会の形成を目指して、各種施策に取り組んでいる。

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(2) 過疎対策の成果と課題

国・県道や基幹的な町道等の道路網が整備され、デマンド交通の運行等による交

通弱者の足の確保が図られるなど、住民生活の利便性の向上が図られている。

農林業については、生産基盤の整備などにより経営の基盤の改善が図られている

とともに、遊休農地の利活用による耕作放棄地の解消の取り組みが出てきている。

また、6次産業化の推進による農産品のブランド化が図られ、新たな特産品の創

出につながっている。

更に、学校教育環境の改善、上下水道の施設整備、宅地・住宅の供給等により、

社会生活環境の整備が進められている。

なお、平成5年に開局したCATVについては、地上デジタル放送化に取り組み、

災害時等の情報伝達を始め、地域コミュニティの形成や行政サービスの向上を図る

手段として活用されている。

今後とも、伝統工芸品や地場産業の振興を図るため地域特産品の開発や需要の開

拓に努めるとともに、農林業における安定した経営の確立や担い手育成を図ってい

く必要がある。また、企業誘致による就業機会の創出をはじめ、住宅・宅地の供給

等による定住条件の向上、消費行動の広域化等に対応した魅力ある商店街の形成と

育成、道路整備による広域的交通体系の整備や地域公共交通の確保、上下水道等都

市的機能の整備促進が必要である。更に、人口減少と著しい高齢化により維持が困

難な集落の問題、空き家対策、森林の荒廃対策、耕作放棄地対策、地域医療の確保、

自然エネルギーの活用等、地域住民の安全・安心な暮らしの確保を図るための事業

を実施する必要がある。

(3)過疎地域自立促進のための基本的な方向・施策

○那珂川町は、関東の四万十川と称される清流那珂川を始め、八溝材に代表される豊

かな森林資源、世界的な文化遺産である歌川広重の肉筆浮世絵・版画等を所蔵する

「馬頭広重美術館」、那須古代文化を紹介している「なす風土記の丘資料館」、歴

史ある温泉郷等、豊かな自然環境、歴史文化遺産の地域資源に恵まれている。この

ため、これらと融和を図った観光産業の振興、農林業の振興、地域特産品の開発、

人材の育成、定住の促進を中心とした施策を展開することにより、地域の自立促進

を図っていくものとする。

○自立促進のための基本的な方向・施策は、以下のとおりである。

- 農林業の生産基盤の整備による経営の効率化及び担い手育成の推進

- 地域特産品の開発とそのブランド化による地場産業の振興

-企業誘致等及び新たな産業の創出による就業機会の創出

- 地域資源や文化遺産を活用した観光の振興とネットワーク化

- 幹線道路網の整備及び身近な生活交通の確保

- 公営及び民間住宅、空き家、優良宅地分譲地、上下水道施設、消防防災対策等の

生活環境基盤の整備

- 少子高齢社会に対応した児童福祉施設、高齢者福祉施設等の整備促進

- 地域医療の確保及び健康増進、疾病予防、早期発見、リハビリテーションに至る

保健医療提供体制の整備推進

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- 生涯学習環境の充実及び学校教育施設の整備

- 人と自然が共生する環境への負荷が少ない循環型社会の構築

- 地域コミュニティの形成

6 その他(広域的な社会生活圏計画等との関連)

○茂木町、塩谷町及び那珂川町については、以下のとおり、広域行政事務組合に属し

ている。

市町名 広域行政事務組合名

茂木町 芳賀地区広域行政事務組合

(真岡市、益子町、茂木町、市貝町、芳賀町の1市4町で構成)

塩谷町 塩谷広域行政組合

(矢板市、さくら市、塩谷町、高根沢町の2市2町で構成)

那珂川町 南那須地区広域行政事務組合

(那須烏山市、那珂川町の1市1町で構成)

○各広域行政事務組合は、各々の目的に応じた広域行政計画を策定し、各圏域の諸機

能の充実に努めているところであり、茂木町、塩谷町及び那珂川町についても、こ

の計画の中で、位置付けや機能分担を示し、振興方策を講じているところである。

○過疎対策の展開に当たっては、広域行政計画との整合性に留意しつつ、地域の実態

や住民の要望等を的確に把握しながら、圏域内の他市町との連携を図り、各種施設

の効果的な配置・機能の拡充に努めるなど、広域的な観点のもとに推進していく。

○また、幹線道路網の整備、過疎地域と他地域を結ぶ交通手段の確保などにより広域

交通ネットワークの形成を図り、各圏域内はもとより、隣接地域との連携も促進し

ていく。