三井洋司・山本消商(老人研) 行幹雄(束北大・抗...

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発行責任者 三井洋司・山本消商(老人研) 行幹雄(束北大・抗研) 井出利恋(広島大・医) 東京都板繊区栄町35-2 (〒173) 東京都老人研究所 砥話03-964-1131 日本組織培養学会 昭和58年12月1日発行 § 日本組織培養学会臨時総会議事録 時: 1983年10月14日 所:独協医科大学 長:高岡聡子第56回研究会世話人 日場議 日本組織培養学会第56回研究会の際,臨時総会が開催され,以下の議題が審議された。 (1)新入会員の承認 新入会員 17名(正会員) 1名(賛助会員)の紹介があった。 (会員総数は正会員478 名,賛助会員54名,名誉会員2名,国外名誉会員7名,国外会員17名,計558名。前回 の会員通信で計515名と報告しましたが,正会員1名,国外会員24名分が抜けておりまし た。おわびします。 (2)各委員会報告 。組織培養辞典編集委員会(黒田,代理大野) :今年度の文部省の出版補助金の申請は不成功 であった。査読は終了した。付表を整備し,本年度中に刊行する。 。研究・教育システム委員会(梅田) :フイルム編集のうち, 「培養の基礎」は進行中,次回ま でには作成する。次期出版予定の「細胞成長因子」は現在査読中。今年度中には出版したい。 。培養器材一括購入委員会(角屋) :今期(5回目)の申込数は26名, 249ケース, 血清が 24.5′であった。 初期に比べ半分以下に減少し,価格も安値安定している。本委員会として は役割を充分果たしたので,値上がりが再度起こるまで, しばらく委員会の活動を休止する。 。株式登録委員会(佐藤) : i )細胞銀行設立アッピールについて,要望櫓の形で,成案が提出 され,了承された(別項参照)。 (3)会計中間報告(梅田)があり,了承された。 (4)編集担当幹事報告(三井): 7月で50号に達した。5部製本の予定。今後も,各5冊保存す る。次の会員通信は12月に発行する。US-TCA,Euro-TCAに情報交換をすることになった 「組織培養研究」にshortmmmunicationタイプの原稿を募集する。締切は明年3月。 国際細胞生物学会の案内をおこなった。 (5)庶務幹事報告(大野):木村廉会員の言卜報あり,本学会を代表して,会長が弔辞と花束をささ げた。会員名簿を作成中。 40才の区切は,技術的問題から84年1月1日とした。 菅幹事を通じて, InternationalUnionofCellCulturists(IU -1-

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発行責任者

三井洋司・山本消商(老人研)行幹雄(束北大・抗研)

井出利恋(広島大・医)

東京都板繊区栄町35-2 (〒173)

東京都老人研究所

砥話03-964-1131

日本組織培養学会

昭和58年12月1日発行

§ 日本組織培養学会臨時総会議事録

時: 1983年10月14日

所:独協医科大学

長:高岡聡子第56回研究会世話人

日場議

日本組織培養学会第56回研究会の際,臨時総会が開催され,以下の議題が審議された。

(1)新入会員の承認

新入会員 17名(正会員) 1名(賛助会員)の紹介があった。 (会員総数は正会員478

名,賛助会員54名,名誉会員2名,国外名誉会員7名,国外会員17名,計558名。前回

の会員通信で計515名と報告しましたが,正会員1名,国外会員24名分が抜けておりまし

た。おわびします。 )

(2)各委員会報告

。組織培養辞典編集委員会(黒田,代理大野) :今年度の文部省の出版補助金の申請は不成功

であった。査読は終了した。付表を整備し,本年度中に刊行する。

。研究・教育システム委員会(梅田) :フイルム編集のうち, 「培養の基礎」は進行中,次回ま

でには作成する。次期出版予定の「細胞成長因子」は現在査読中。今年度中には出版したい。

。培養器材一括購入委員会(角屋) :今期(5回目)の申込数は26名, 249ケース, 血清が

24.5′であった。 初期に比べ半分以下に減少し,価格も安値安定している。本委員会として

は役割を充分果たしたので,値上がりが再度起こるまで, しばらく委員会の活動を休止する。

。株式登録委員会(佐藤) : i )細胞銀行設立アッピールについて,要望櫓の形で,成案が提出

され,了承された(別項参照)。

(3)会計中間報告(梅田)があり,了承された。

(4)編集担当幹事報告(三井): 7月で50号に達した。 5部製本の予定。今後も,各5冊保存す

る。次の会員通信は12月に発行する。US-TCA,Euro-TCAに情報交換をすることになった。

「組織培養研究」にshortmmmunicationタイプの原稿を募集する。締切は明年3月。第3回

国際細胞生物学会の案内をおこなった。

(5)庶務幹事報告(大野) :木村廉会員の言卜報あり,本学会を代表して,会長が弔辞と花束をささ

げた。会員名簿を作成中。 40才の区切は,技術的問題から84年1月1日とした。

菅幹事を通じて, InternationalUnionofCellCulturists(IUCC)を設立したい旨,申し

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入れがあった。幹事会で承認されている。

(6)第3回国際細胞培養会議について

山根組織委員会委員長より,暫定プログラム,準備状況の説明があった。 1985年9月10~

13日,仙台で開催。

(7) InternationalUnionofCellCulturistsの設立について: 会長から,国際細胞培養会議

を開催するためのmotherorganizationとしたい,そのために,アメリカ組織培養学会, ヨー

ロッパ組織培養学会と連絡をとっているとの説明があった。この件は了承された。

(8)研究会年一回案について:継続審議となっていた研究会年1回案の審議がおこなわれ,以下の

幹事会提案が示された。

「会員の総意を汲むため,下記の案に対する賛否を正会員の郵便投票に付す。

但し投票用紙にはこれまでに討議されてきた賛成意見,反対意見の要旨を添付する。郵便投票

の結果,投票総数の過半数の賛成が得られた場合,昭和59年度より施行する。

(案) 「現行の年2回の研究会を,年1回の大会とする。但し,現在までの本学会の特徴を生

かし,研究成果発表時間,討論時間は充分に確保する。発表に際しては培養技術を重視する。従

って,現行の会則第3条第2項,第12条,第15条をそれぞれ以下のように変更する。

第3条第2項年一回大会を開催lノ学術上の研究成果の発表および知見の交換を行う。

’ 第12条幹事会は大会の開催地および世話役を決定し委嘱する。

第15条大会に要する経費は,別にこれを徴収することができる。 」 ;

上記の提案を実施するが,会則変更の手続きは次回の総会で行うこととなった。

(9)新幹事選出について:難波選挙管理委員長から案内があった(別項参照)。

⑩次回研究会世話人の喜多村会員より,挨拶があった(別項参照)。

伽その他:山田会長より,極めて個人的理由により,今年度をもって,会長を辞任したい旨,申

し入れがあった。多数の慰留意見が出されたが,辞任の意志が硬く,やむを得ず了承した。次期

会長選挙は,今度の幹事選挙と同時に実施する。 以上

¥

§ 日本組織培養学会第57回研究会のご案内

第57回研究会は,高知医科大学でお世話させて頂くことになりました。

次号会員通信で詳細なご案内を申し上げますが現在までのところ,下記のように予定しております。

1.会 場:高知放送会館

Z会 期:昭和59年5月25日(金) ・26日(土)

ろ.世話人:喜多村 勇

高知医科大学小児科学教室

〒781-51南国市岡豊町小蓮TEL、 0888-66-5811内2690

4. プログラム:

シンポジウム

1J 細胞工学的アプローチの現況と展望

2. 以下未定

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5.一般演題申込:次号(2月号)に掲載予定

6.宿泊観光:日本旅行高知駅旅行センターからご案内を差し上げます。

§ 第3回国際細胞生物学会のご案内

来年, 8月26~31日に東京で開かれる上記国際学会に関して, シンポジウムとテクノロジーワ

クショツプ 55セッションが下記の様に決定された。

1. GenomesandGeneEngineering llセッション

Ⅱ、 Membranes 10 "

皿Organelles 8 〃

W. CytoskeletonandCelIMotility 9 〃

V. Cell Sociology 9 〃 ・ ,

Ⅵ、 CellPathologyandAging 4 〃

Ⅶ. TechnologyWorkshops 4 〃

一般演題も, これに準じた分類に従って,応募を受ける。 SecondCircularは, 11月中に出来

上り,関係者,関係機関に配布する予定ですので,詳細はこれを読んで下さい。本年中にCircular

を入手できなかったら,興味ある人は,沖垣会員(ICCB事務局長)又は,三井に連絡してみて下

さい。 (ICCB連絡委員三井洋司,老人研 964-1131 )

§ 第3回国際細胞培養会議について(2)

10月13日, 宇都宮ロイヤルホテルにて幹事会に先立ち第二回プログラム委員会が行われました。

今回は,主としてプログラムの大網について討議された結果,以下のことが決定しました。

シンポジウムは会期(1985年9月10-13日)と会場(仙台市民会館で原則として一会場)の都

合から6-8テーマしか取り上げられない。そこで今回の会議は「培養細胞の分化機能」を中心と

したプログラムにする。

具体的には,

1. 分化細胞の大量培養

2. 上皮細胞の選択的培養

①肝細胞

②眸ラ氏島細胞

③血管内皮細胞

3.培養細胞の分化機能の誘起

①CSF

②NGF

③ リソフォカイン

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4. 新しい培養技法

クローニング,貯蔵法など

以上の点をふまえて今後,国内のそれぞれの分野の主要な研究者と連絡をとり具体的な人選に入

いる予定です。

なお, FirstCircularは会員の皆様には既に会員通信に同封されて届いていると思いますが,

この会議についてのご質問その他は,東北大学,抗酸菌病研究所,細胞生物学部門,

〒98o 仙台市星陵町4-1, Tel. 0222-74-1111 (内)3461-4までご連絡下さい。

SecondCircularは来年( 1984年)9月頃を予定しています。

(山根綴,菅幹雄)

§ 会長,幹事選挙について丁

今期の幹事任期満了(59年3月31日まで)に伴い, 会則に従って,幹事の改選を行います。

また,同時に,現会長が今期をもって辞任されますので,会長の改選も行います。会員通信に同封

された新しい会員名簿を参照し,正会員のうちから,会長1名, 40才以上および40才未満の幹

事各4名を,それぞれ,会長用,幹事用の投票用紙に記入して下さい。

ただし,下記の現会長,現幹事はそれぞれ会長,幹事としての被選挙権がありません。

会長山田正爾

幹事黒木登志夫,梅田誠,黒田行昭,難波正義,三井洋司,野瀬清,菅幹雄,

大野忠夫

投票用紙は所定の小封筒に入れ(この小封筒には,次項で述べる郵便投票紙も入れて下さい),

これを大封筒に入れて,下記に御返送下さい。小封筒は無記名ですが,大封筒には必ず所属と氏名

を御記入下さい。投票の締切りは, 12月20日(消印有効)です。 開票は12月26日に行いますb

宛先(返信用封筒の表記のとうり)

〒701-01 倉敷市松島577

川崎医科大学病理学教室

日本組織培養学会選挙管理委員長

難波正義

§ 研究会年一回案に関する郵便投票について

本年10月14日の臨時総会で決定されました研究会年1回案に関する郵便投票を, 役員選挙と

同時に行います。役員の選挙用紙とともに,同封されている郵便役票用紙をみて下さい。 2年間に

わたって討議されてきた研究会年1回案に対する,賛成,反対の各意見の要旨が載っています。充

分吟味した上,幹事会提案に対する賛否を決し,所定の欄に丸印をつけて,役員選挙用の小封筒に

入れ,前記の日本組織培養学会選挙管理委員長へ送って下さい。締切りと開票は,役員選挙と同じ

です。

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§ 会長を辞任する辮

山田正篤

今回,独協医大で開かれた研究会に際して,以下に述べるような個人的な理由を述べて,無理矢

理に幹事会での了解を得,総会にはかり会長を辞めさせていただくことになりました。

学会外との対応を考えて日本組織培菱学会に新らしく会長制度をしくようになった2年前,私は

初代会長に選ばれる光栄に浴しました。その折,同時に日本細胞生物学会の会長でもありましたの

で,ふたつの学会の会長を併任することを蹄鰭したのですが,兄弟のような両学会の連絡・連携を

はかることが私の任務と考えて,お引き受け致しました。就任の挨拶に, 「会長が何もしなくても

うまく運営されてゆくのが良い学会で,それは会員のひとりひとりの働きによるものであろう」と

曙いたはなはだ勝手気儘な会長でした。

あれから2年間,それでも今日まで何とかやってきましたが, これは学会の幹事の諸君,会員の

皆さんがうまく動いてくれたためで私自身の果した役割はほとんど何もなかったというのが実状で

しょう。とくに,組織培養学会では,幹事40才定年という過去の実繊が, 40才以上の会員を幹

事に加えた現在でもうまく生かされていて,実にスムーズに運営されたと考えます。

ところで,もう一方の日本細胞生物学会では,一年後の来年8月に国際細胞生物学会議を控えて

おり,会長としてだけでなく,会場が東京という関係で,地区委員としてその準備に急に忙しく動

かなければならなくなりました。大学での職務,学外での諸委員会等の仕事に加えてフル回転の有

様です。国際会議をどうしてもやり遂げなくてはならないとすると,組織培養学会の会長の職につ

いていることが重荷になってきました。何にもしなくても良いといったのは私のひとりよがりで,

やはり良く機能する会長のもとでこそ学会の発展がある筈です。組織培養学会を愛する故に,新ら

しい会長に代ってもらいたいというのが,今回会長を辞退するに至った理由です。

幹事の任期は2年,来年から新らしい幹事会をスタートさせるために,現在新幹事を選出する時

期に当っています。会長の任期が4年というのは,学会運営の継続性を考えての措置であったので

すが, 4年ごとには必然的に幹事と一緒にやめることになります。学会の運営方針がほぼかたまっ

てきた現在では,会長だけが残る必要もないと思います。どうか新らしい会長のもとに新らしい幹

事会で充実した運営を進めていただきたいと考えております。本学会では会長を選挙で選ぶ仕組に

なっておりますが,会長にふさわしい方が沢山いらっしゃいますので,安心しております。それぞ

れの会員が自主的に考えてつぎの良き会長を選ばれることを期待致します。なお,会長職を2年で

降りたのは,あくまで個人的な理由で,会則の変更ではないことを申し添えます。

この2年間,至らない私を支えて下さった幹事会の諸君,そして全会員の方々に感謝して筆をお

きます。ありがとうございました。

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§ 第56回研究会を終って

第56回研究会のお世話をするにあたって,考えたことが幾つかありました。先ず,勝田先生の

三回忌をどのようにするかということ,独協医大の立地条件の不利をどう補うかということ,年毎

に増加する演題を二日間におさめるにはどうすればよいか等でした。

その中で研究会として一番重要なことは,最後の問題です。考えた末,思い切って講演は全部シ

ンポジウムにすることにし,一般演題はポスターセッシ圖ンとして募集しました。そうなるとシン

ポジウムのテーマをなるべく多くの人にとって興味あるものにしなくてはなりません。結局,独協

医大で展開している研究分野の中からテーマを選びました。そして研究会当日は, どのシンポジウ

ムも,座長の先生方の万全の御用意と,演者の先生方の力のこもった御講演と;会場の皆さんの熱

心な討論とで盛況にすすめられました。 「骨形成と骨吸収」は昔なつかしい器官培養から始って,

顕微鏡映画技法を駆使して現在の問題の核心にまで迫るものでした。「培養細胞における特異機能

の発現」「組織培養における発癌と遺伝子」と時代の最先端をゆく遺伝子レベルの講演がつづき,

最後の「ヒトリンパ球の培養」で問題点はぐっと現実的になりました。研究会の二日目後半には,

ともすると会場がさびしくなるものですがグ今回は最後まで多くの方たちの熱心な討議がつづけら

れました。

日本組織培養学会の研究会は, もともと組織培義の技術を向上させるために,各分野からの研究

成果を一堂に集めて討議する‘という.会だったと思うのですが,昨今は動物細胞の培養ばかりが目だ

つようになりました。そこで今回は特に,植物培養の山田康之先生,昆虫培養の三宅端先生に講

演をお願いし,大変好評でした。

独協医大は大変立派な講堂をもっていて会場には最適だったのですが, 100人を越えると宿泊施

設がありません。結局,日本旅行に頼んで,宿泊は宇都宮にして頂きま・した。懇親会も宇都宮で催

しましたので,バスで送り迎えをする形になりました。朝寝坊を好む方には御迷惑であったろうと

思いますが,まずまず混乱なくすみました。

私にとっては,勝田先生の三回忌というのが一番心にかかる問題だったのですが,多分それは個

人的な問題であろうし,現在の組織培養学会にとっては,勝田先生も過去の人であるのかも知れま

せん。矢張り今日の組織培菱の発展のもとには勝田先生たち大先輩の努力のあったことを,少しで

もわかって頂きたく,展示会場の片すみに勝田先生のコーナーを設けました。シンポジウム演者の

一人である大分医大の小野順子先生が飾って下さった白菊に埋もれて,勝田先生の写真が-やさ

しく-会場を見守っておられるようでした。参加者の皆さまには,記念品として栃木・益子焼きの「ぐい呑み」を差上げました。

最後に,この研究会の準備の段階から終るまで,かげになり日向になりのあたたかい御協力を下

さった山田正徳会長,親身に御協力下さった独協医大・微生物,病理の先生方,献身的に黙々と裏

方さんをつとめてくれた独協医大組織培縫研究センターの若者たちに心から御礼申上げます。

(世話人 高岡聡子)

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§ 北から南から一一研究室だより↓

☆ただ今一人だけの培養室から-東北大学医学部第二病理学教室

培養室ができてから早や5年目になります。まだ用具が不十分なので,不便を感じながら培養し

ているというのが実状です。しかし,親元がすぐ近くの抗研の肺癌ですので,何か足りなくなるとすぐ・泣きついてなんとかなるようにできています。

うちの研究室は内分泌病理学が専問ですので,内分泌なら何でも手がけるようにしています。以

前にやっていた間葉系に比べて内分泌細胞はやっかいです。まず細胞が非常に捻弱です。甲状腺は

捻弱ではないのですが細胞間結合が非常に強力なため,細胞をバラバラにしようとするといきおい

細胞にdamageを与えてしまいます。 副腎皮質は初め見てビックリします。黄色;赤,黒と極色

彩です。身体の何処をとってもこれほど色彩のあざやかなものはないでしょう。しかし,非常にこ

われやすく,細胞の遊離には苦労します。マクロで既にあざやかですが, ミクロでも非常に特徹的

です。穎粒をたくさん持っているためか細胞は盛り上がっており, 1個の細胞の中でも赤,黄,燈

と光っています。しかし,これらの穎粒を維持するのは非常に困難です。どんどん穎粒はなくなり,

シャーレ面をマクロで見ても,初めのきれいな黄色はうせて白づぽくなってきます。一度,犬の副

腎の時には恐ろしい想いをしました。細胞を遊離した直後,位相差顕織鏡でながめたら,細胞の

5 . 6倍程度の大きさでしょうか, ものすごく先の尖がった原虫のようなものがうごめいているの

です。背筋がぞくっとして,おもわず,培養室から逃げてしまいました。しかし,あの犬から副腎

をとってくれた先生は素手だったのです。その話しをその先生に話したら,彼は「皆な素手でやっ

ているから大丈夫だ」というのです。それ以後,犬の副腎は一度も扱かつていません。

今,非常に興味をもっているのは,組織栂築とホルモン分泌能との関係です。甲状腺でMoscona

のSpinnerCultureをやると, TSHをいれた場合,大きな凝集塊を作り,中に瞳胞が形成されて

くるのは知られています。これを他の内分泌腺組織に適用しようというわけです。脳下垂体で行な

ってみますと,非常に大きな凝集塊が再構築されてきます。きれいなjunctionも形成されてきま

す。これに上位ホルモンを添加しますと大きくなったり小さくなったりします。ホルモン分泌能と

対応させてみますと相関関係があるようです。これら組織櫛築能と分泌能との関係はどのようなも

のであるかということです。

(後藤邦彦)

一.▽

☆大分医科大学生化学教室

はじめまして, “おおいた”です。瀬戸内型の温暖な気候と豊かな緑に恵まれた豊後の国に,大

分医科大学が設置されたのは昭和53年4月1日のことでした。我が国最大のニホンザル群の生息

地として有名な高崎山の裏温泉郷別府の隣,医大ケ丘に基礎研究棟が竣工したのが昭和54年4月

の事ですから,当生化学教室が実質的に研究活動を開始して未だ4年足らずであります。スタッフ

は教授.桑野,助教授.秋山,助手.小野,池崎に,大学院生.益田,冨田,上田の3名,技官の

山戸,高橋, さらに内科(高木良三郎教授,)教室より研究にきている佐藤を含めた総勢10名で,

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平均年令30才の若さ溢れる教室です。ゼロからのスタートで,設備の拡充等に時間はかかりまし

た。しかし現在では5人が同時にクリーンペンチを使うことができ, CO2インキュペーターを8

台備えた無菌室,液クロ ・ガスクロ・蛋光分光光度計等を備えた化学研究室,分子遺伝学実験室,

コールドルームを整備して,どうにか体細胞遺伝生化学の研究が軌道に乗りつつあります。

当教室では薬剤耐性変異の研究を中心に

1. 低比重リポ蛋白(LDL)の細胞内取り込み過程が変化したML236B(コンパクチン)耐性株の

解析を通して, LDLと家族性高脂血症の関連性を検討する。

2. ライソゾームやゴルジ装置の機能に影響を与えるクロロキンやモネソシン等の薬剤に対する耐

、性株を分離し,細胞表面リセプター活性ならびに細胞内取り速み過程をEGF, インスリン, ウ

イルス等を使って調べる。

3. BLM耐性株やコルヒチン耐性株を分離することにより,抗がん剤に対するがん細胞の耐性機

構の解明を進めている。他方では耐性克服の手段としてのポリエン系抗生物質・ビタミンAなら

びにイソプレノイドと制がん剤との併用ならびにその作用機序等を理解する。以上の3点を重要

課題として,培養哺乳類細胞を対象に体細胞遺伝学的研究を進めております。

大分を代表する城下カレイ・関あじ,関さば, フグ料理さらに生シイタケ・カポス等の海の幸・

山の幸は日本一と自負しております。これらの料理を酒肴にむぎ焼酎を毎日でも酌み交わしたい誘

惑に耐えつつ,仕事にも精を出さればと頑張っている今日此の頃であります。大分はええとこです

よ。 (池崎清信)

§ 両st.Doc.留学先のご案内

アリゾナ大学で, Post-Docを二人紹介して欲しいとの依頼がありました。

仕事内容は,培養技術も関連するので,興味ある人は,ご連絡下さい。手紙のコピーお送りしま

す。

Thefirstpositioninvolves thestudyofalterations inadrenergicresponsesof

bloodvesselsduringaging. Byusing inVitrotechniques inaratmodel ofaging,

alterations invascular responseoradrenergicnervereactivitywill be investigated.

ノヴ

Thesecondposition isrelatedtothestudyof the innervationof thecerebral

circulation..Techniquesof radioligandbinding9 quantitativeautoradiography9 and

immunohistochemistrywill beusedto localizeandcharacterize the typesofnerves

aswell as their receptors.

留学先: Dr.SuePiperDucklesA=ociateProfessor

Deptofpharmacology

CollegeofMedicine

TheUniversityofArizona

HealthSciencesCenter

Tucson,Arizona85724.

(連絡先:東京都老人総合研究所三井洋司)

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§ 細胞銀行設立に関する要望書につし、て

以下の摺式で細胞銀行設立に対し関係各位にご協力をお願いすることにしました。

細胞銀行設立に関する要望雷

近年生命科学の発展にめざましいものがあり,御承知のようにその発展過程において,個体レベル

から細胞レベルへ更に分子レベルへと進行いたしましたが,その進行と共に研究材料となる培養細胞

の樹立,維持,同定,保存及び供給の必要が所謂“細胞銀行”の設立の要望という要で高まりつつあ

ります。

“細胞銀行”の目的には多くのものが考えられますが,主たるものは

1)現在汎用されている規準培養細胞系統の整備,大量保存と長期的安定供給

2)希少培養細胞系統の保存

3)各研究分野(機能,遺伝,免疫或いは癌等)に関する細胞株の開発

4)培養細胞系統の同定,マイコプラズマ等の混入,微生物の検出,及び特性の確認等の品質管理

5)培養細胞系統の情報の収集,整理及び供給等の情報活動

6)上記の機能の維持,向上,適応性をはかるための研究

と云えましょう。

米国においてこの種の活動は,主としてAmericanTypeCultureCollection及びInstitutefor

MedicalResearchで取扱われ, 非営利財団として米国国家及び民間財団に支援されて研究者の大

きな力となっており,我が国の研究者も直接間接に利益を受けています。

一方我が国においては,全国に散在する大学,並びに研究機関に於て培養細胞系統が樹立,保存,

維持されその一部は他の研究者に分与され利用されています。又これらの機関を対象とした細胞株の

所在情報が幾度か刊行されたのが主たる活動であります。

日本組織培養学会は細胞株の登録を行なって,細胞株の標準化に努めて来ました。然し乍ら我が国

におけるこの種の活動は培養細胞系統の樹立,情報交換の面では世界的な水準にありますが,品質管

理,長期的見通しに立つ樹立系統の保存, プロジェクト性,供給の円滑,並びに国際性の面では,米

国の細胞銀行活動に比較して格段に劣っており,多くの分野で米国の細胞銀行活動の恩恵を一方的に

受けている現況であります。

この様な我が国の現状を打開するためには,多くの研究者の要望である“細胞銀行”を早急に設麗

することが急務であると考えられます。 “細胞銀行”設立に対して関係各位の御協力をお願いいたし

ます。

尚, “細胞銀行”の運営,将来像に就いては少からず未解決の問題が残されており,従来の我が国

での発展の経過,業頴をふまえ充分な検討が行われるべきと思われます。我が国の専問家集団である

日本組織培養学会はそれら関連事項について充分に協力する用意があります。

昭和58年10月

》『

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日 本組織培養学会会長

幹事

山田・正篤 ‘

梅田 誠,黒木登志夫

黒田’行昭,難波正義

大野忠夫,菅 幹雄

野瀬 清,三井洋司

佐藤二郎

奥村秀夫,黒木登志夫

関口守正,高岡聰子

松村外志張,安村美博

日本組織培養学会細胞株名登録委員会委員長

委員

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§ 編集後記 ▼

本号には, 「会長・幹事選挙」および「研究会年一回案に関する郵便投票」のお知らせが掲賊され,

また,投票用紙が同封されています。充分吟味の必要のある事ばかりですが,投票締切りまで時間的

にあまり余裕がありませんので宜しくお願いします。

「会員通信」( 1~50号)の製本が出来上がりました。出来映は,満足出来るものかと思います。

これで「会員通信」の管理が大部楽になりそうです。 originalを提供して下さった会員の皆様には,

あらためて感謝の意を表します。 51号からまた気持を新たに出発したいと思います。

落葉の舞いをながめながら原稿を番いています。例年12月の「会員通信」は年末にお手許に届く

よう発行しておりましたが,今回は選挙等の投票があるため幾分早めました。そのため,原稿をお願

いした会員の皆様にはご迷惑をお掛けしました。ご協力ありがとうございました。

朝夕の冷込みも増々厳しくなるかと思います。カゼなどひかぬようお身体お大切に。

(K、Y・&Y、M.)

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発行責任者

三井洋司・山本溝高(老人研)菅幹雄(束北大・抗研)井出利憲(広島大・医)東京都板橘区栄町35-2 (〒173)東京都老人総合研究所通話03-964-1131

会員通信

第52号

日本組織培養学会

昭和59年3月1日発行

§ 会長・幹事選挙の結果について

昭和59年~62年度会長, 59 .60年度幹事選挙は昨年12月20日締切られ,川崎医大にて木本哲夫会員の立合いのもと,開票の結果,下記のように決定しました(敬称略)。

会長当選 佐藤二郎 50票

次点 山根 顎 34〃

幹事(40才以上)

当選 高木良三郎 45票

〃 奥村秀夫 40〃

〃 松村外志張 33〃

〃 沖垣 達 28〃

次点 高岡聰子 27〃

幹事(40才以下)

当選 鈴木文男 45票

〃 花岡文雄 36〃

〃 西 義介 28〃

〃 常盤孝義 18〃

次点 間中研一 16〃

なお投票者総数は159名でした。

(会長・幹事選挙管理委員長難波正義)や

麹旬

§ 研究会年一回案に関する郵便投票結果について

昨年末,新会長・幹事選挙と同時に,第56回研究会の際の臨時総会において決議された研究会年一

回案に関する幹事会提案(下記)の郵便投票が行われました。結果は

賛 成 128

反 対 30

白 票 1

総投票数 159

でした。従って,大多数の会員は,現行の研究会年2回を,年,回の大会とする案に賛成であり, こ

の結果をふまえて,次回総会において会則変更の手続をとりたいと思います。

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(幹事会提案) 『現行の年2回の研究会を,年1回の大会とする。但し,現在までの本学会の特徴

を生かし,研究成果発表時間,討論時間は充分に確保する。発表に際しては培養技術を重視す

る。従って,現行の会則第3条第2項,第12条,第15条をそれぞれ以下のように変更する。

第3条第2項年1回大会を開催し学術上の研究成果の発表および知見の交換を行う。

第12条幹事会は大会を開催地および世話役を決定し委嘱する。

第15条大会に要する経費は,別にこれを徴収することができる。』

(庶務幹事大野忠夫)

§ 日本組織培養学会第57回研究会の御案内

第57回研究会は,初めて四国で開催されることになりました。出来るだけ多数の方に参加して頂く

ため, シンポジウムは一つに致しました。なお,ポスターセッションを行うかどうかは演題の集りぐ

あいによって決めさせていただきます。

4

1. 会場:高知放送会館(高知市本町)ほんまち

{霞錆雫繍…※《。…蕾『棚剛。”高知駅から

{雛蕊…車《。。"電…瀞I…、高知空港から

2. 会期:昭和59年5月25日(金), 26日(土)

3.世賭人:喜多村勇

高知医科大学小児科おこう こはす

〒781-51 南国市岡豊町小蓮

Tel6 0888-66-5811 内2690

4. プログラム:

シンポジウム 司会藤本重義

「細胞工学的アプローチの現況と展望」

内田昌尭(大阪大学細胞工学センター)

矢原一郎 (東京都臨床医学総合研究所)

渡辺 武 (佐賀医科大学)

谷田 克 (千葉大学医学部)

招待調演

"Applicationof tissueculturemethods inclinical investigation'l

PearayL・Ogra, ProfessorofPediatricsandMicrobiology

Director,DivisionofInfectiousDiseases

STATEUNIVERSITYOFNEWYORK

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5. 演題申し込み:昭和59年3月15日

申し込みをされた方々は, 「組織培養研究」 (抄録)掲戦のための講演要旨用用紙をお

送り致します。 (〆切 3月末日)

6. 参加費: 2,000円

7. 懇親会:高知会館(会場から歩いて3分)

5月25日午後6時(会費4,000円)

8. 宿泊:日本旅行(高知駅旅行センター)がお世話します。 (Tel.0888-82-4167)

§ 第3回国際細胞培養会議のお知らせ

既に会員通信でお知らせしておりますように,下記要領にて第3回国際細胞培養会議(3rd

InternationalCellCultureCongress, 3rd lCCC)が開催される予定です。現在鋭意準備中で

すが改めてご案内いたします。

名称 第3回国際細胞培養会議(3rdlCCC)

主催 第3回国際細胞培養会議組織委員会

共催 日本組織培養学会

会長 山根 績 (東北大学,抗酸菌病研究所細胞生物学部門)

事務局 東北大学抗酸菌病研究所細胞生物学部門内, 松谷 豊

〒98o 仙台市星陵町4-1

Te1. 0222-74-1111(内)3461~4

期間 1985年(昭和60年)9月10日(火)~13日(金)

場所 仙台市民会館

内容 シンポジウム: 「培養細胞の分化機能」

詳細は前回の会員通信をご参照下さい。

一般演題:ポスターセッション

SecondCircularは今年(1984年)9月頃発行の予定です。ご質問,お問い合わせは事務局あて

にお願いいたします。

(山根綴,菅幹雄)

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§ 第3回国際細胞生物学会議へのお誘い

日本組織培養学会に積極的な後援を頂いている上記国際学会が,本年8月26日~31日の間,東京

新宿の京王プラザホテルおよび隣接のNSビルで開催されます。Program作成は,阪大岡田善雄教授

を中心に進展し, 55のsymposiumとworkshopが計画されています。内容はGenome9Membrane,

Organelles,Cytoskeleton,CeIISociology,Cell PathologyandAging,Technologyにまたがり,

一般演題(Poster)もこれと平行して行われます。

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申すまでもなく,細胞生物学は近代の生命科学の中核的存在であり,幅広い支持と注目を集めてい

る分野となっていますので, この会議には既に65ケ国からの参加問合せが寄せられております。

過去の歴史から見ても, 1976年のBosto会議には4,300人, 1980年のBerlin会議には3,500人以

上が討論に加っています。本会議にも多数の外国人参加者が予想され, これにこたえる為には,国内

からのより多い参加が望まれます。

特にもっとも関係の深い日本組織培養学会員の積極的な参加を希望してやみません。なお, Poster

発表の締切りは4月15日です。必要書類ご入用の方は下記までご連絡下さい。

〒701-02 岡山市山田2117

第3回国際細胞生物学会議

事務局長 沖垣 達

Tel.0862-82-6332(直通)ノ

§ 「細胞成長因子」刊行のお知らせ

かねてよ・り編集しておりました本学会編「細胞成長因子」が4月中旬には刊行される予定となりま

した。前回の「組織培養の技術」のときと同様,本学会員には特別価格でお頒けいたします。注文書

は別途お送りいたしますので,皆様ご活用下さいますようお願いします。なお,内容概略目次は以下

のとおりです。

1. 細胞成長因子研究の現状と展望

2. ペプチド性細胞成長因子(EGFなど36項目)

3. 細胞増殖に関与するホルモン(インシュリンなど13項目)

4. プロテアーゼ( トロンピンなど6項目)

5. 担体( トランスフエリンなど5項目)

6. 栄養物質(アミノ酸など7項目)

7. マトリックス物質(ファイブロネクチンなど8項目)

8. 細胞増殖関連物質(ポリアミンなど10項目)

9. 生物材料(血清など2項目)

10. 細胞増殖阻害物質(ケイロソなど3項目)

11. 代表的実験例-EGFを用いて-

12. 付表(無血清培地の組成など)

教育研究システム委員会

(「細胞成長因子」編集委員会)

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§ アメリカTCAreportから

アメリカ組織培養学会の第35回年会が, 6月3日から7日まで,TexasのHoustonで開催されます。

2月発行のTCAreportに, AbstractFormと登録方法の情報が同封されますので,参加希望者は

ご留意下さい。なお,会期中,米国,欧州, 日本の組織培養学会共催によるRoundTableが行われ

ます。タイトルはSerum-FreeCellCulturesで, Convenerは, R、G・Ham,M・Adolphe及び

I.Yamaneです。

また, TCAの重要会員でNominatingCommitteeの委員長であるDr.V.J・Cristofaloが, アメ

リカ老年学会の1983年Brookdale賞の栄誉を受けたことがその業績とともに詳しく報じられていま窕

彼は, humandiploidfibroblastのinvitro系におけるcellularaging,特にhydrocortisoneに

よる分裂加齢の延長機序を解析していた。

(三井洋司)

§ 編集後記

本号は,役員改選や規約改正の結果,及び研究会案内など重要記事が職っていますのでお見逃がし

のないように。さて,今度,会長・幹事の総入れ替えとなり,編集幹事も交代いたします。さすがに,

ほっとしているところです。必須の情報を, もれなく,正確に,期日にまにあわせて伝達する為には,

自分個人の実験などは少々犠牲にして原稿を集めるなど,気を使うこともあります。他の編集委員,

ことに,身近かで助けていただいた山本会員の労に感謝したい。同様,いやそれ以上に,雑用,気苦

労をなされ,大任を務められた会長をはじめ,他の幹事諸氏も大変ご苦労様でした。五月の新旧合同

幹事会,総会等での正式引き継ぎをもって,新体制の発足となるのでしょうが,研究会その他重要事

項の円滑な運営の為には,新旧協力し合った活動がもう始まっていて良いと思われます。

任務の引き継ぎにあたって編集幹事の行ってきた務めを記録にとどめて,次期編集幹事及び会員諸

氏の参考に付し,ご協力をお願いしたい。

① 「会員通信」の発行,……特に研究会案内は,開催時期,印刷,郵送を考え合わせ,絶対に遅れ

ないよう世話人と協議する。

② 「組織培養研究」の統一性維持と一部編集, とくに, short communicationなど研究会発表要

旨以外の原稿について,採否(review)のarrangeと編集に責任を負う。

③アメリカ及びヨーロッパ組織培養学会に,会員通信の英訳要旨を郵送する。逆に, これら学会か

らのTCAレポートを受理し,会員に必要記事をしらせる。 以上

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最後に,二年余の編集を通じて,原稿執筆などのお世話になった方々に御礼申し上げると共に,新

しい編集幹事を中心とした活動に,会員皆様のご協力をお願いする次第です。

(三井洋司)

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§ 住所等の変更

豈菫冨卜妄帝豆天急患黒豐看彙議霞言扇垂備考一

p、 5

○田中義夫農林水産省家畜衛生試験場製剤研究部

ウイルス製剤研究室

常盤孝義岡山大学医学部癌源研究施設病理部

茨城県筑波郡谷田部町観音台3-1-1

筑波谷田部(02975)6-7859

305p.27

700岡山市鹿田町2-5-1 p.29岡山(0862)23-7151内線2614

o徳難患史|盤…省家畜衛生試験場 ‘8,小平市上水本町!"・小平(0423)21-1441p.29

青田昭彦|ゼ抵識訴業㈱ 埼玉県大里郡江南村大字押切字沼上2512-1

(0485)36-3456

360-01 p、50

§ 住所等の変更

〔賛助会員〕

住社 名

アミコン株式会社

所 備考一

p。57東京都千代田区麹町1-7東京(03)264-2491(加藤好雄)

担当者のみ変更(学術課山本桂己)

102

三光純薬株式会社 p、58

t州“叩0

太陽酸素株式会社 556大阪市浪速区元町2-1-1大阪(06)647-1871 p.58(低温課宮本清一)

株式会社東海医理科 ピル名のみクリ′、ラビルに訂正

社団法人

日本化学物質安全情報センタ_| 」o' 東京都港区虎ノ門1-13-4東京(03)434-8891 p、60宝寿会館ピル4F (調査部長大島輝夫)

東京都千代田区飯田橋4-7-10東京(03)237-0844P.飯田橋セントラルピル8F (代表者高瀬譲治) 60

社名のみ変更,旧富士臓器製薬㈱よりpβ0

日本フロウラポラトリーズ㈱ ’ 102

富士レビオ株式会社

山之内製薬錦生物科学研究蕨 ’ '7‘東恵都板橋区小豆沢1-1-8東京(03)960-5111 p.61(細胞生理研究部小原 侃)

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発行責任者

沖垣途(重井研),常盤孝義(岡山大・医)『 三井洋司(老人研),大野忠夫(放医研)| 間中研一(独協医大),喜多野征夫(阪大・医),大島浩(大阪歯大)

'岡山市鹿田町2-5-1 (〒700)i 岡山大・医・癌研病理; 通話0862-23-7151

会員通信

第53号

日本組織培養学会

昭和59年7月30日発行

§第57回日本組織培養学会総会議事録

日 時 : 1984年5月25日(金)

場 所 : 高知放送会館

議 長 : 喜多村勇第57回研究会世話人

日本組織培義学会第57回研究会に際してウ開催された定例総会において,新会長挨拶,新任幹事紹介に引き焼き以下の議事が審議された。

(1)新会長挨拶

今期,新任された佐藤会長より挨拶があった(別項参照)。

(2)新任幹事紹介

佐藤会長より新任幹事の紹介があった。新幹事は以下の通り。

会 長 : 佐藤二郎 会計幹事 : 松村外志張

会長代行 : 高木良三郎 梅田 誠*

庶務幹事 : 奥村秀夫 零担当幹事: 花岡文雄

西 義介 菅 幹霞

編集幹事 : 沖垣 達 会計監査 : 黒田行昭*

蕊霧蕊: 鈴木文雄 鯵波正義.鑪鱸: 常盤孝義

三井洋司*

大野忠夫*

間中研一*

喜多野征夫*

大島 浩*

_〆‐

高木幹事は会長代行として主に国際担当をする。会員通信の内容を拡充するため会員通信担当

幹事を増員した(*印は会長委任幹事)。日本組織培養学会共催の国際細胞培養会議(別項参照)との円滑な対応を計るため,国際担当幹事をおく。

(3)学会事業報告

会誌:組織培養研究は57-58年度で計4号発行された(大野前幹事)。 59年度以降は学会

が年1回に減るため,学会抄録として年2度の発行は不可能になるが,特集,他学会の抄録を掲載するなどして,年2回の発行を維持すべく考慮中である(沖垣)。

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会員通信:58年度までに52号発行された。5部を保存し,内4部は幹事が保管していく(三

井前幹事)。今後,大会が年1回となり,会員交流の機会が減少するので,年3回の定期発行を

維持し,情報量を増やすようにしたい(佐藤,沖垣)。

国際学会関係:国際細胞生物学会は,5月現在, 56ケ国, 1720題(一般演題: 1350,シン

ポジウムとワークショツプ370)の参加がある。内容に多岐にわたるが充実している(沖垣)。

国際細胞培養会議は,来年の9月10~13日の4日間開催。昨日(24日)のプログラム委員会で

内容を検討した。シンポジウム,一般講演,ポスターセッション, ワークショップを予定してい

る。会費は3万円の予定(山根)。

(4)各委員会報告

研究教育システム委員会:フィルム編集のうち「培菱の基礎」は完成した。本日,午後懇親会

の前に高岡聡子氏(独協医大)がそのフィルムを紹介するので見て,意見を述べてほしい(梅田)。

現在出版予定の「細胞成長因子」の進抄状況は, 5月下旬に案内智,注文雷が出来上り, 6月中

旬には出版予定。一部,5.800円。GrowthfaCtorは現在,botな話題なので学会員の購観を希望

する(大野)。

株登録委員会:JTC株への登録の拡充をはかりたい。代表的な細胞株があれば, JTCに登

録してほしい。パテント等の件で問題にならないように留意する(佐藤)。

組織培養辞典編集委員会:文部省の出版助成金は, この辞典が2次刊行物であるため得られな

かった。収録項目,関連項目の採取が終った段階である(黒田)。

マイコプラズマ委員会:橋爪壮氏(千葉大)を中心に進められているが,新幹事会でも積極的

にとりあげて行く方針である(奥村)。 ’

(5)会計報告

58年度の決算と59年度の予算について梅田,松村会計幹事より報告があり,了承された

(別項参照)。なお, 58年度決算報告については前日の幹事会の席上,難波会計監査担当幹事

より,問題はないとの承麗を得た。

(6)その他

次回研究会について:次期世話人は都老人研の大橋先生の予定であったが,急病になられ,世

話人を辞退する由通知があった。ついては,次期世話人を新たに依頼すべ<現在考慮中である。

大会の様式についても,従来の形式を変更しようと考えている。これらの事項については出来るだ

け早い時期に具体案を示し,各幹事へ通知して検討する(佐藤)。

会則変更について:

奥村庶務幹事より,研究会の年1回開催に関して,経過報告と,それに伴う会則変更の提案が

あり,総会の議決をもって承認された。'変更個所は,第3条第2項。「原則として年2回研究会

、、

を開催し……」が「年1回大会を開催し……」,第12条。「幹事会は,団究会の……」が「幹事

会は大会の」および第15条。.「研究会に……」が「大会に……」にそれぞれ変更された。

(7)新入会員紹介

昨年10月から今年5月4日までに入会申込みのあった正会員24名, 賛助会員4社の紹介が

あった。 (奥村秀夫,西義介)

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§新会長挨拶

佐藤二郎

我が日本の組織培養学会の偉大なパイオニアであった勝田甫先生によって永年培ちかわれて来た古き良き伝統と山田正鱒前会長を始めとする前幹事諸兄が試みられた現代への注目すべき対応を踏まへて旧き良き習慣と新しい気風を織りまぜながら未来の日本組織培養学会の理想像に向って,ねばり

強く努力精進したいと思います。

時恰も過熱とも思われるバイオテクノロジーへの要望によって日本の組織培養学会の真価が問われようとしています。

我々は平和と友愛の精神のもとに創造力豊かな実力のある培養屋集団として国際社会の中で独自の

日本組織培養学会の成熟を期すべき時と思いますb新幹事諸兄と共に微力ながら責任をもって献身する

覚悟でありますので御協力をお願い致したいと思います。尚,素晴しい今大会の開催に御努力頂きま

した高知医科大学喜多村勇教授に感謝の意を捧げて御挨拶と御礼に代へさせて頂きます。

=〆

§第58回研究会のおしらせ

持ち回り幹事会により次回研究会は,世話人を現会長とし,幹事会が協力することになりました。

会場については現在交渉中ですが, 日程,その他については以下の通り予定いたしております。日 時 : 昭和60年5月(土, 日を除く)

プログラム :

第1日午前: エキスカーション(バス)

午後: 1:30~5:30 一般演題

7:00~9:00 ワークショップ

9:00~ 懇親会

第2日午前: 8:30~11:30 一般演題

11:30~12:15総会

午後: 1:30~3:30. シンポジウム

・一般演題が多い場合は, 2会場とし,ポスターセッシ園ソを設け,細胞株(JTC)の追加発表等を考えています。

・ワークショップについては,司会進行は出来る限り培養学会会員で実際に実験を行っている研究者

2名におまかせしたい。テーマは,無血滴培養,成長因子,映画撮影による培養研究,成熟ラット

肝還流培養法,マトリックスを応用する培養技法,ハイブリドーマからモノクロナール抗体への技

法, 自然発癌とoncogene, エイジングなどです。 (予定のテーマは以上の通りですが,最終決定

は10月に致したいと思いますので,ご希望,ご忠告などがありましたら小生宛ご一報下されば幸いに存じます。)

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・会場選定に当っては以下のような条件を考えております。

①箱根周辺で交通の便が良いところ

②250人収容の大会議室を有すること

③分科会(50人5室)が可能であること

④250人収容の宿泊設備を有し,出来れば会議と同場所であること(特に分科会場=宿泊場所)

⑤宿泊料金,会議室使用料金が手頃であること

(佐藤二郎)

§ International unionについて

6月3日より7日まで, Texas州HoustonのShamrockHiltonHotelにおいて第35回米国

組織培養学会総会が開催された。会期中の6月6日午後8時より, Roundtable 4uSerum-free

culture"が行われたが,これに引統きInternational unionに関する話合いが行われた。 この

話合いにはRoundtableの話題提供者8名(日本から山根綴,高木良三郎, 米国からR・Ham,

D・Barns,M.Taub,欧州からM.Adolphe,H,J・Romijn, D・Grouldjii)の外p .

MCGarrity,K・Sanford,G.Satoなど計10数名が参加し, 概略以下の話合いがなされた。まず

Dr.Hamより

。組織培養に関する用語の統一を国際的に検討したい。

。培養技術の交換を行う。

。細胞株を相互に分綴する。

。国際シンポジウムを開催する。

などの提案がなされ,山根博士に意見を求められた。同氏は日本側の立場から

olnternatinal unionの世話人はMcGarrity氏,事務局もアメリカでよい

。草案がアメリカで作られたら日本側でも充分検討する。

。結合のゆるやかなものでスタートしてみる。

。国際シンポジウムは4年に1回位でどうか?

などの考えを述べた。以下

Dr・Adolphe :賛同,国際シンポジウムは3年に1回では如何か。

Dr, Sanford :かつて,勝田先生が開催されたシンポジウムを例にあげ,経済的な面からも何ら

かの国際学会のサテライトの形でシンポジウムを持っては如何か。

Dr・McGarrity:それも1つの方法だが,例えば“がん”の国際集会のサテライトとして開催する

場合, CmSerum-freeculture''の様なテーマのシンポジウムが持ちにくくなる可能性はない

か?

など主にシンポジウムに関する意見が出された。

会終了後のパーティーでMcGarrity氏と話合った際, International unionの規約はこの秋頃出来

上り発送するとのことであったので,受取り次第日本組織培養学会委員会で検討すること,また会員

通信の交換を確実に行うことなどを約した。 (ちなみに現在米国組織培養学会員は約2,500名,欧州

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のそれは約350名ということである。 )

(大分医大高木良三郎)

追記: 52号の会員通信に関しては,英文抄録とともにDr・McGarrity(米国組織培養学会会長)ならびにDr・Adolphe(欧州組織培養学会会長)宛発送ずみであり,本号も同様に行う予定です(Dr.G・Sato,Dr.McGarrity9Dr.Adolphe宛)。なおDr.McGarrityよりInternational unionの日本側委員2名の推奨を依頼されたので,現幹事の内,国際係の高

木良三郎氏と従来からのいきさつから山根綴氏にお願いし了承を得ました。

(佐藤二郎)

§第57回研究会を終って

山田正鯆先生から研究会開催の御依頼の御手紙を頂戴致しまして,成程,四国で開催されたことのないこと,いかに私が培養学会と疎遠になっているかの二つを思い知らされました。

旬日を出ず,高岡先生の第56回がひらかれることゆえ, とりあえず出向いて,最近の培養学会のひ

らかれ方と,開催のためのノウハウを修得のため,独協医大にお邪魔を致しました。あいかわらずザッ

クバランな点,これはまことになつかしく思いました。もう一つは,私が長期不在で,臨床の学会に馴らされたためか, 「せまい範囲を深くやっているなあ」という印象でした。

高岡先生からこまごまと前回開催の準備を段階を追ってお知らせ下さり,台所の方もすべてお教え下さったのが,私共の出発の大きな支えになりました。

外人講師の選択では,私が小児科であることから臨床に応用する培養をということで, Prof・Ograに決めることを迷いませんでした。これは第56回の研究会から私の得た印象を具現するためのもので

したが,結果は,功罪半ばした様に思われます。培養を, ウイルス診断に如何に応用するかといった,

培養屋にとっては,いわば,各論でなくて,ベッドサイド的な面を論じてもらった点には新しさがあっ

たと思われますが,培養と関係のない免疫概論に,ついのめり込み勝ちだったのは彼としては致し方ないとしても,参集会員には招待講演を聴取する礼を強要した感がありました。

シンポジウムは大成功だったと思って居ります。私共のところの内海耕慥教授に御相談した結果「細

胞工学的アプローチの現況と展望」という題がすぐに出て来まして,而も,世話人は免疫学教室の藤本

重義教授が適任と決まってしまいました。シンポジストはそれぞれに第一人者であり,内容は斬新なものばかりでしたが,残念なことは全員が培養学会のメンバーでないことでした。

東京から, ジェット化されたあとでしたので,四国開催といっても,比較的スムースにおいで頂けた

のではないかと思って居ります。会場は市の中心部で便利の良いところですが,開会後のスピーカーに

雑音が暫く入りつづけていたことには弱りました。予行のとき入らなくて本番で入るのですから始末のわるいことでした。

機器展示ば同じフロアーの別室が最良の条件でしょうが,一階下になってしまいました。隣りの部屋

で切り絵の婦人同好の会があったりしまして,シンポジストの一人も, こっちの方をたのしんで居られましたが,田舎での学会というムードが,何となく出てしまいました。

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一般講演では,佐藤二郎会長にプログラム編成から大層御世話になりました。山田正鱒先生をはじ

めとして,最近では,御自分で御発表になられない棟な御年輩の方が,御自身で御発表になられるケ

ースが多く,後部座席に座って居りました私に,隣席の旧友が, 「これは,四国と,貴兄へのおもい

やりだ」と,解説をしてくれました。本当にありがたいことだと思いました。討論もなかなか活発で,

1題30分が短く感じられました。

総会で,年2回開催の培養学会を年1回とすることが決められました。佐藤二郎会長から,来春に

は箱根で,学会ではない研究会をする様な御提案がありましたが,四国の今回の第57回研究会が,

年1回の最初の思い出深い会になろうとは夢にも思いませんでした。

懇親会の,土佐鶴の樽が殆ど底をみせてくれる程,会員相互の交歓が出来ましたことも,御世話さ

せて頂いた私にとりましては感謝すべきことでした。

今回の準備のため前会長及び現会長,幹事の諸先生方にはいろいろと御指導を賜わり,また献身的

に裏方さんをつとめてくれた倉繁助教授以下教室員のみなさんに,心から御礼を申します。! ‘ (世話人・ 喜多村勇)

§第57回研究会に参加して

東大・医科研癌細胞 細井純一

はらんぽ,のれそれ,長太郎。数々の珍味に加え,本場のかつおのたたき,鯨の刺身に舌鼓を打ち,

初めての四国路に胃袋は満足しています。

初めての培蕊学会への参加は頭も満足させました。勝田先生らが創立なさったユニークな学会であ

ると以前から聞いており,胸をわくわくさせて会場を訪れたのですが,噂に違わぬ楽しい研究会でし

た。癌学会のように規模が大きくなると演題は細分化され,会場もばらばらになってしまいます。 1

つの会場でじっくりといろいろな話を聞けるのはとてもすばらしいことです。

シンポジウムでは,組織培養を用いた研究が応用,発展されていく姿を見ました。谷口先生は, メ

ラノーマ細胞に対するモノクローナル抗体力輔床診断に有効であり, さらに転移を抑制すると発表さ

れました。癌細胞の性質を探り,各方面に応用するには,組織培養は不可欠の手段となっています。

また,化学発癌とともに発生や分化に関心があるので,黒田先生や久保西先生などの発表も興味深

く聞きました。昆虫が幼虫期を経ずに一足飛びに成虫になれるとしたら単純で良いと思うのですが,

これでは季節の変化に対応できないのでしょうか。PL-21は分化の勝導できる癌細胞。 トランス

フォームできる3T3正常細胞との違いは何なのでしょうか。

このように広範囲の研究をおもしろく聞けるのも1人30分もの発表時間が与えられているからこ

そだと思います。やはりこの研究会は,今のスタイルを維持してほしいものです。

アットホームな懇親会で会長から伺った研究者としての心構えを守りつつ研究に励みますので,み

なさんよろしくお願いします。

見事な映画をお土産に,桂浜を後にして。

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§第3回国際細胞生物学会の御案内

既に何度か準備状況を御報告しましたが,その後の進展についてお知らせします。

現在,招へいによるシンポジウムとワークシ回ジブは54セッションで, 発表論文数は370編にの

ぼります。このうちの半数以上は外国からの研究者です。

一般演題はポスター形式で5日間全日展示されますが,その数は1,350編にのぼっていますb従っ

て総発表論文数は, 1,800編近く,かなりの規模の国際会議となることがわかりました。参加者も54

ケ国から2,000名以上力澄録を済ませています。米国から最大のグループが参加するのは当然ですが,

中国から50名以上,あるいはネパールからも発表があるという現象は, アジア地区にも細胞生物学

の流れがおこっていることを示しているようです。

会期中に私たちはアジア・太平洋地区からの参加者集会を計画していましたが,やはり時機を得たプランだったと思います。

NHKホールにおける開会式では, 日本生まれのH. S・Bennett教授( ノースキャロライナ大)

が「日本の近代医科学の歴史」について話されます。

特別講演は既に御案内のとおり,毎朝1人宛, 4回に分けて行われます。

細胞を中心に,一方は分子から遺伝子へ, もう一方は細胞集団,細胞社会へと考えを進展させb細

胞生物学の流れを見極め,将来に備えようというのが本会議のねらいです。

連日早朝8時半から夜間10時半までという強行軍ですが,それだけに大きな成果を期待しています。

新しいAdvanceProgramには発表者名も加えてあります。どうぞ御覧の上,多数の方々が参加

されますようにお願い致します。

第3回国際細胞生物学会議

事務局沖垣 達

連絡先 〒160東京都新宿区西新宿2-2-1

京王プラザホテルRm、 3609

第3回国際細胞生物学会議

事務局 (Te1. 03-345-9383)

戸寺

§第3回国際細胞培養会議(3rd ICCC)の御案内

既報の如く,第3回国際細胞培養会議(会長山根綴(東北大・抗研))が3rd lCCC紐織委員会と日本組織培養学会との共催で1985年9月10~13日仙台で行われます。

去る5月24日,組織培養学会の幹事会に先立ち,第3回プログラム委員会が,高知市のサンルー

ト高知で行われました。今回の会でも主としてシンポジウムの内容について討議され,第2回の委員

会で決まった内容に若干の手直しが行われました。その結果は下記のとおりです。

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。各シンポジウムは持ち時間を3~3.5時間としシンポジストは5人を原則とする。

。シンポジウムのテーマおよび世話人は次のとおりです。

1. 分化細胞の大量培養 山根 績(東北大・抗研)

2. 分化細胞の選択的培養

A肝細胞 市原 明(徳島大・医)

B膵ら氏島細胞 高木良三郎(大分医科大)

c血管内皮細胞 三井洋司(東京都老人研)

D乳腺上皮細胞 榎並淳平(独協医科大)

E神経系細胞 福田 潤(東大・医)

3. 新しい培養技法 大野忠夫(放医研)

4. 細胞株の保存,登録,汚染およびその除去

佐藤二郎(岡山大・医)

・詳細は本年9月中旬頃発行予定のSecondCircularに掲戚いたします。

。テーマの3と4はnight sessionとし,並行して行う。

以上の他に一般演題(ポスターセッション)を募集する予定です。

尚,お問い合わせは。

〒980仙台市星陵町4-1

東北大学抗研細胞生物部門

第3回国際細胞培養会議事務局

あてお願いいたします。

(菅幹雄)

§関連学会報告

口腔組織培養研究会

口腔組織培養研究会は1963年に川原春幸(大歯大),佐伯栄一(九歯大),佐藤温重(東医歯大)

須田立雄(東医歯大),真泉平治(日歯大),吉岡済(兵庫医大)教授らが中心となり,歯学領域

で組織培養法を利用している人々の集いとして発足しました。以後,毎年1回の研究発表会を行い,

本年度で21回目をむかえます。 「TissueCulture inDentistry」のタイトルで研究会誌(英

文)を発行し,各年度の研究会の報告を掲戦しております。このような活動を通じて,我が国におけ

る歯学領域での組織培養研究に関する情報交換の場としての使命を果してまいりました。さらに海外

における研究者との間の交流の面でもその成果を上げてきました。

1983年度の第20回口腔組織培養研究会は葛西四郎教授(東北歯科大学)のお世話により開催さ

れました。

本年度の研究会は次の要領で行う予定です。歯学領域に関心をお持ちの方食は密って御参加下さい。

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第21回口腔組織培養研究会

日 時 : 1984年11月17日(土)

場 所 : 兵庫医科大学

世話人 : 吉岡済教授(兵庫医科大学)

遺伝学関係の特別講演も予定しています。

なお,演題申し込み〆切日など詳細については吉岡済教授または口腔組織培養研究会事務局までお問い合せ下さい。

口腔組織培養研究会事務局

〒540 大阪市東区京橋1-47

大阪歯科大学歯科理工学教室

06-943-6521 内線271 大島 浩

ご罫

§海外研究所紹介

"ll ScienceCenterは, 米国ニューヨーク州の北東部,森と湖の町LakePIacidに位置し

ております。 1980年には冬季オリンピックが当地で開催されたので,御記憶の方々も多いかと存じますb

さて当研究所は1971年植物及び動物細胞の組織培養の教育・ トレーニング機関として設立されま

した。当初米国組織培養学会が研究所運営に参画しておりましたが, 82年に研究法人として独立し,

83年には, Dr・GordonSatoがカリフォルニア大サンディエゴ校より新所長に就任し,新生の研

究所としてスタートしたばかりです。

研究所の基本的研究方針は,種々の分化機能を保持した細胞の無血清培地の開発,正常及び癌細胞

の増殖・分化に影響を与えるホルモン,成長因子,叉は制御因子の解明・癌細胞特異的ホルモン・レ

セプターに対するモノクローナル抗体の開発などです。

具体的研究プロジェクトとしては,①ヒト, ウサギ血管内皮細胞, ヒト気管支上皮性細胞, ヒト及

びラット分化型肝癌細胞, ヒト及びラット前立腺上皮性細胞, ヒトーヒトハイプリドーマ細胞の無血

清培地の開発と分化形質の発現,②ラット腫瘍細胞及び正常細胞のEGF及びHDL(highdensitylipoprotein)の要求性の相違,特にApolipoproteinの要求性の解析を中心に研究が進められて

います。③皿管内皮細胞を用いた血栓症とプロテオグリカンの合成・代謝の関係,④気管支上皮性細

胞の発癌剤の代謝,⑤ヒトーヒトハイプリドーマ細胞の選択的無血浦培養に必要なミエローマ細胞の

conditioned medium factor, 叉血管内皮細胞,前立腺上皮性細胞,及び肝癌細胞の増殖に不

可欠な牛脳下垂体及び視床下部中の生理活性物質の分離・精製,⑥アンドロジエソ要求性前立腺上皮

性細胞のアンドロジエンレセプター遺伝子のクローニング,などです。LakePlacidは自然環境に

恵まれ,全米でも有数のリゾートエリアとして知られ,夏はハイキング・カヌー,水上スキーに,叉

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W・ AltonJonesCell ScienceCenter

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冬はスキー,スケートとレジャー設備はいたれりつくせりの感があります。学会員の皆様も米国東部においでの節はLakePlacidにも足を伸して下さい。

研究所住所

W・AltonJonesCell ScienceCenter, OldBarnRoadpLakePlacid,

NewYOrkl2946.U、S.A Tel. (518) 523-1274

(星宏良)

追記:Dr・GordonSatoが先頃,米国国立アカデミーの会員に選出されたとのニュースが’松村外

志張会員を介し,上記研究所より編集部に寄せられました。以下にそれを伝える記事の一部を

ご紹介いたしておきます。

DR.GORDONH.SATO,CELLSCIENCECENTERHEAD, ~

EIECTEDTONATIONALACADEMYOFSCIENCES=◇-

Dr.GordonH.Sato,DirectoroftheW.AltonJonesCellScienceCcnter,hasbcenclecteda

memberoftheNationalAcademyofSciences,theprestigioushonorarySocietywhichalso

advisestheFcderalgovemmentonissuesinvolvingscicnceandsociety.Theelcctionwasheld

duringthebusinesssessionofthel21stannualmeetingoftheAcademyonMayl,1984.Dr.SarowashonoredbytheAcademyinrecognitionofhisoriginalresearchandleadershipin

science.ElectiontomembershipintheAcademyisconsideredtobeoneofthehighesthonors

thatcanbeaccordedanAmericanscientistorengineer・Thereareonlyl,4281ivingmembers.

§Post-Doc.Position

アメリカ組織培養学会の事務局でもあるDell'Orco博士は,培養細胞を用いてクロマチンの構造

と機能,特に,その加齢変化を研究しています。この度,下記のような研究内容と条件のもとに,

Post-Doc・の留学生を求めています。関心のある方は,至急ご連絡下さい。より詳細なbenefitと,

年報などお渡しします。

TheSamuelRObertsNObleFoundation,Inc。RouleOneArdmore,ORIahoma73401Telephone405/223-5810Rou1eOneArdmore,OkIahoma73401TeIephone405/223-5810

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連絡先: (03) 964-1131, ext 3080

三井洋司(東京都老人総合研究所)

§TechnicaIReport

コロニー分離用シリンダーの簡単な作り方

東大・医科研 黒木登志夫

コロニーを分離するためのシリンダーとしては, これまでステンレス,ガラス,プラスチック製の

もの力荊用されてきた。しかし, これらは簡単に入手できず,また紛失しやすい。最近,われわれは,

ピペットチップの根本を切って用いている。すなわち, ピペットマン1000狸2用ピペットチップ(青色)の根元を長さ5~8mmにはさみで切り落したものである。高圧滅菌できる。少し軽すぎるきらいはあるが,ていねいに底面(チップの根元側)にシリコングリースを塗り,シャーレに少し押さえつければ,中からトリプシン液のもれることはない。 200"2用チップ(黄色)は細すぎて使いにくい。

一一l

はさみで切る

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§編集後記

新会長,新幹事のもと,会員通信も新たなスタッフで出発いたしました。学会は年一回となりまし

たが,会員通信の方は従来通り年三回発行です。どうぞよろしくご指導,ご援助のほどをお願いいた

します。なお,本号にはDr・McGarrityから編集部宛に送付されて来ました米国組織培養学会編

Usesandstandardizationof vertebrate cell cultures購入申し込み用紙を同封いたしま

した。ご利用下さい。

(T、T、 )

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発行責任者

沖垣途(亜井研),常盤孝義(岡山大・医)三井洋司(微工研),大野忠夫(放医研)間中研一(独協医大),喜多野征夫(阪大・医),大島浩(大阪歯大)岡山市鹿田町2-5-1 (〒700)岡山大・医・癌研病理睡鑑0862-23-7151

会員通信

第54号

日本組織培養学会

昭和59年11月30日発行

§ 第2回幹事会議事録

日時: 1984年10月3日(水)午後6時~8時30分

場所:福岡市博多区天神町「くいだおれ」

参加者: (会長)佐藤, (幹事)高木,奥村,松村,沖垣,常盤,花岡,鈴木,西

(第43回日本癌学会総会時に合せて幹事会が開かれ,各担当幹事から報告,提案のあと,討議。)

0)会誌の件

・鈴木,沖垣幹事から「組織培養研究」 (第3巻2号)編集の経過報告:会誌の内容は総説と研究情

報とに分け,総説を前回(高知)の培養学会のシンポジウム各演者に原稿を依頼する。

研究情報は第3回国際細胞生物会議のシンポジウムの中から選翫演者に原稿依頼することにした

旨報告,承認された。

・幹事会として,会誌(「組織培養研究」)を年2回発刊することを確認そのときの予算等の問題は今

後検討する。会誌発行に関する学会の予算が40万円であるが,不足なので一つの案として,会誌に

広告を募集してその広告代を充当することを考慮する。その方法等については日本学会事務センター

にも問い合せるなど検討する。

従来は年2回の研究会開催に合せて,世話人の協力で発行していたが,今後年1回開催で,会謎

を年2回発行という状況なので,予算上の問題点を全幹事によって討議をしていく。

②会員通信の件

・常盤幹事から次回会員通信にのせる記事,原稿募集等についての案が提示され,承認された。主な

もの;次回学会(第58回研究会: 1985年5月,箱根,世話人佐藤二郎会長)に関する記事,細胞

バンク設立に関する会長報告,会計報告,その他学会関係行事予定,等。

G)会計の件

・松村幹事から会計の現状と今後の予算上の問題点について,報告と提案があり,活発な討議が行わ

れた。

なお,現会計幹事が来春海外出張するのrp後任を高岡聡子会員にお願いすることが確認された。

討議された主な点は, 1)会誌の発行に伴う予算上の解決(前述), 2)次回学会(箱根)の開催,

運営に関する会計(前述), 3)国際細胞培養会議に関する支出に関し,梅田会計幹事からの引き継

ぎ内容の説明と,それに対する幹事会の対応が討議され,現幹事会としては,過去の問題とは別に,

共催分担金として40万円を限度として支出することを決定,4)今後の幹事会開催に関する経費は原則

として年2回分を含めて20万円を予算計上することが全幹事の一致した意見であった。 (一回は培

養学会開催時,あとの一回は従来のよう.に他の学会開催時を考慮して開く, しかし,その学会に関

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係ない幹事もいること,今後も自己負担による幹事会出席もあり得るので最低限の予算を計上する

必要がある)

④次回日本組織培養学会第58回研究会開催の件

佐藤(会長)世話人より,開催内容の構想について説明とそれに対する協力要請があった。当初,

予算上の問題,発表者が会員かどうか等の関係から, ワークシ目ツプ6題, シンポジウム(血液細

胞の培養と同定)が提案されたが,大会が年一回となったこと,一般演題の時間を確保すること等

等の理由により, ワークショップを中心に一応大会案内(別項参照)のような形をとることとなっ

た。

さらに,西幹事より会場となるホテル「おかだ」 (神奈川県箱根町湯本)の会場設営上の説明が

あり,今後運営上の問題点をさらに詳しく調査することになった。

(5)新入会員申込の件

5月5日(高知での学会)以降入会申込みのあった8名について関係宙類を幹事会で検討した結果

7名が入会承認残りの’名は申込番の記入不備が著しいので,再提出してもらうことに決定。

(6) その他(庶務幹事)

上記の議題の他に次の様なことが報告され,話し合われた。

・特許庁への学会会長変更届の提出報告

・国際細胞培養会議及びユニオン結成に関する日本側窓口,担当者の会長説明

・本学会年会(研究会)では今後できるだけ一般演題を増やし, とくに若い研究者の発表を促進する

ことが望ましいこと

・学会事務の円滑化を推進するための技術的問題

(奥村秀夫,西義介)

§ 日本組織培養学会第58回研究会ご案内

前号会員通信で簡単にご案内申し上げましたが,第58回研究会は以下の要領で開催いたします。

1. 会期:昭和60年5月15日(水), 16日(木)

2会場:箱根ホテル「おかだ」

3. プログラム:

ワークショップ (オーガナイザー)

放射線生物学領域における細胞培養フロンティア (寺島東洋三,鈴木文雄)

哺乳動物細胞の突然変異と形質転換 (黒田行昭,西義介)

組織培養における温度環境と細胞特性 (奥村秀夫,蔵本博行)

肝実質細胞培養の最前線 (大野忠夫,花岡文雄)

細胞老化は制御できるか (三井洋司,藤原義定)

コラーゲンゲル培養 (榎並淳平,常盤孝義)

特別講演(演題未定)

蓑和田潤(昭和60年2月より林原生物化学研究所赴任予定)

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4.一般演題申し込み締切日:昭和60年3月下旬

(申し込みについては次号に掲職)

5. 世話人:佐藤二郎(幹事会協力)

岡山大,医,癌研病理

〒700 岡山市鹿田町2-5-1

TEL、0862(23)7151内線2615

日本組織培養学会昭和58年度会計報告および昭和59年度予算

一般会計

§

(収入の部)

勘定科目 昭和58年度予算額昭和58年度決算額昭和59年度予算額

正会員会費

賛助会員会費

入会金

雑収入

1,350,000

890,000

30,000

30,000

1,413,600

870,000

39,000

7,500

1,400,000

870,000

30,000

5.000

小 計

前年度繰越金

合 計

2,300,000

592,955

2,892,955

2,330,100

592,955

2,923,055

2,305.000

577,272

2,882,272

(支出の部)

勘定科目 昭和58年度予算額昭和58年度決算額昭和59年度予算額

会誌発行費

会誌発送費

事務通信費

印 刷費

業務委託費

研究会補助金

名簿作成費

雑 費

予備費

250,000

350,000

50,000

100,000

650,000

800,000

450,000

50,000

0

194,380

199,160

26,140

43,650

574,158

800,000

442,345

65.950

0

250,000

250,000

50,000

70,000

600,000

400,000

250,000

70,000

400,000

小 計

次年度繰越金

合 計

2,700,000

192,955

2,892,955

2,345.783

577,272

2,923,055

022

077

022

,、9

022

448

358

22

-3-

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特別会計

(収入の部) (支出の部)

勘定科目 昭和58年度決算額 勘定科目 昭和58年度決算額

DR、HARN援助金

フィルム委員会

200,000

250,000

朝倉書店よ

合同酒精よ

利子収

119,395

107,500

74,500

りり入

小 計

次年度繰越金

合 計

450,000

2,529,115

2,979,115

小 計

前年度繰越金

合 計

301,395

2,677,720

2,979,115

§ 我が国における細胞銀行の現状と日本組織培養学会が果すべき役割

昭和58年10月日本組織培養学会は細胞銀行に関する要望雷(会員通信51号9頁)を作成し各関

係者に送付致しました。文誓の終りは「"細胞銀行”の運営,将来像に就いては少なからず未解決の問

題が残されており,従来の我が国での発展の経過,業績をふまえて充分な検討が行われるべきと思わ

れます。我が国の専門家集団である日本組織培養学会はそれら関連事項について充分に協力する用意

があります。」と結んでいます。

我が国の細胞銀行活動は米国に比して低水準にあり,その向上のためには産学官の担当者の効果的

努力と協力が必須であります。

本年初頭から公的部門において様盈な会議が開かれて来ました。

項目をとりあげて見ますと,

①科学技術会議諮問第10号「ライフサイエンスにおける先導的・基盤的技術の研究開発計画につ

いてlに対する答申,昭和59年4月24日。

②科学技術会議諮問第11号「新たな憎勢変化に対応し長期的展望に立った科学技術振興の総合的

基本方策について」研究基盤問題小委員会:佐藤二郎,奥村秀夫会員等。

③科学技術庁振興局「遺伝子細胞の保存等に関する調査」, 「遺伝子細胞の収集保存,提供シス

テムのあり方について」,昭和59年8月:山田正篤,黒木登志夫,大野忠夫,金子一郎,小山秀機,

古山順一,松村外志張,三井洋司会員等。

④文部省関係では学術国際局が三島の国立遺伝研究所と共同で「実験生物系統に関する調査」を

実施整理中:黒田行昭会員等,又文部省では現在東北大・抗酸研に癌細胞保存施設を開設し,そ

の他に併設で6ケ所の細胞株の保存研究部門を設けている。

⑤厚生省特別研究「細胞遺伝子銀行業務研究鉦報告宙」,昭和59年3月斑長:染谷四郎,「細胞銀行

小委員会報告書」,昭和58年度世話人:石館基会員,責任者:梅田誠,関口守正,松村外志張

会員等。

⑥政府は58年6月7日「対がん10ケ年総合戦略」を決定し,その中で研究支援体制の整備が企

-4-

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画され,財団法人がん研究振興財団の新設が行われ,厚生省の協力のもとで59年10月より主と

して癌に関する細胞銀行が石館基会員を長として発足した。

⑦又,通産省では微生物工業研究所に新しく動植物細胞研究室が新設され,三井洋司会員が室長

に就任し特許に関連する培養細胞の取扱いも併行して行われる予定である。

以上述べた様に極めて急速に細胞銀行に関する会議や調査,更に実施が行われつつあり多くの培養

学会会員が参画しています。日本組織培養学会としては誠に喜ばしい事と思います。

勿論それらの考え方や実施について問題もありますが,現状では夫‘との推進母体の完成を目指すべき

時期であり,その後に連絡,調整を行って,我が国としての最終の細胞銀行のあり方を模索すべきで

あると考えます。その間, 日本組織培養学会の責任者及び株登録委員長の立場から私は以下の点を主

張して参り,各推進母体にも主旨は執り入れて頂いたと考えています。

①培養細胞を利用する立場のみならず培養細胞樹立者の立場も充分尊重すること。

②ヒトの培養細胞の取扱いは慎重であること。

③我が国で樹立された細胞株を優先し,少数からでも形質管理システムを完成して標準的,代表

的細胞株リストを作り外国と対等の立場に立てる様にすること。

④情報システムの合理化等。

尚, 日本組織培養学会には故勝田甫先生によって設けられた組織培養株,株名登録規定(昭和34

年8月)があり,現在39株が登録されている。現状で入手出来るものは,岡山大学癌源研究施設培養株

センターに凍結保存されています。規定の一部改正が必要ですが(昭和60年5月14,15,16日の第58

回総会で審議予定)現在の状況下では出来る限り有用な細胞株の消失を防ぐためと標準株をつくる資料

株としてのJTC株の充実を計っておくべきと考えています。会員の方で有用と思われる細胞株をお持

ちの方で凍結保存を希望される方は小生の方へ御相談下さい。 (佐藤二郎)

下記は登録用紙の内容ですので参考にして下さい。

組顧培養細胞株名登録表

日本皿職埼饗学会株名匠録委員会

-5-

中師年月日

圧録年ノ 日

匝録者所属観閲

氏 名

株 名

樹立者所属槻関

氏 名

由 来

正常阻織又は圃癌阻織の別

成体組織又は肋児組織の別

動物名

紐職名

細胞名

株化開始’ 時期

現在までの繕代数および培費期間

現 用

培地姐成

変著

発原

倒立細胞の性質

1. 形 暇:

2. 期殖度:

3‘ 核学所見:

4. 動物移械性:

畑胞の位相差囲敬鏡写真をここに

貼付する。

培饗代数

培養日数

総培餐日敗

拡大率

5. ウイルス感受性:

6. その他:

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§ 第3回国際細胞生物学会議(mlCCB)を開催して

I. m lCCB事務局長として

重井研 沖垣 達

世界53ケ国からの細胞生物学および関連分野の研究者を糾合して,去る8月末に東京で開かれた第

3回国際細胞生物学会議(母体:国際細胞生物学会連合,主催:日本細胞生物学会,会長:妹尾左知

丸)は,多大の成果をあげ予定どおり, しかも好評裡に終了しました。開催準備の当初から積極的な

御協力と御後援を賜った日本組織培養学会には特に深く感謝の意を表します。

アジアではじめてのこの会議には2,500名以上が参加し,開会式当日を除く5日間,朝8時半から

深夜11時までというエネルギッシュな内容がもりこまれました。皇太子殿下,妃殿下の御来臨を頂い

たNHKホールでの開会式では,鳥取うまれのHS.Bennetが「日本の細胞生物学の夜明け」と題して多

くのスライドを交え事例をあげて興味ある開会識演をされ,海外からの来訪者にも多大の感銘を与え

ました。特別識演ではまずN・LeDouarin女史が異種間キメラにおける神経堤細胞の分化の本質につ

いて,つづいて司会の江橋教授によって「細胞生物学の父」と紹介されたKR・Porterが立体スライ

ド映写を用いて細胞内の物質移動について明解な話をされ, D.D・Brownは真核細胞の遺伝子の発現,

特に発現性を持たない遺伝子の分子的メカニズムについて話されました。最終日には満員の聴衆を集

めてS・Tonegawaが3種のT細胞リセプター同定と, この分野の将来について熱の入った繁演をされ

ました。

Symposiumは遺伝子, 細胞膜,オーガネル,細胞骨格,細胞社会学,細胞病理学および新技法な

どの主題のもとに, 370名の招へい演者によって実に53セッションが行われました。一般演題は上記

主題にそってすべてポスター発表とし,計1,350論文の発表がありました。学会の性格上,細胞培養の

名を冠したSymposiumはありませんが,実際には培養技法を用いた研究は相当数にのぼっています。

会期中には私たち事務局の肝入りで「アジア太平洋地域集会」が開かれ, 11ケ国から35名の有志

が参加して将来における憎報交換,集会の可能性について話し合いが進み, 日本が当分の間世話人と

なるようにとの助言がありました。このことは,明年の第3回国際細胞培養会譲において結成が予定

される国際細胞培養者連合とも関連する問題であり,今後とも両学会は十分な連絡を保って事を進め

たいと考えています。

なお, Symposiumのうち細胞培養に関連のあるものについては, 国内からの担当座長におねがい

していくつかの総説としてまとめ, 「組織培養研究」の次号にのせる予定にしています。

以上,御礼を兼ねて報告致します。

Ⅱ. mICCB総務として

東大・薬 花岡文雄

異常に暑かった1984年の夏の最後にやってきた3rdlCCBが終わって早くも2ケ月が過ぎようと

している。長い準備期間を経て, アッという間に終わった会議の後は,燃え出すまでに時間のかかる

花火のようなもので、燃え尽きた後には, うまくやったという気持と空しさとが残っているだけであ

る。

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会議の副会長の一人であり, 日本の学会長でもある山田正鱒教授のお膝元ということで,沖垣事務

局長の補佐を主とする,総務という漠然とした形で,会議運営の裏方を務めた。学会の公式的なこと

は沖垣先生が雷かれると思うし,学術的な面はいくつもの科学雑誌に取り上げられる予定なので,

ここでは総務の反省といった形で多少厳しい見方からの感想を述べ,少しでも来年の国際細胞培養会

議運営の参考になればと思う。

「会溌前」のこと;

会議中,多くの方食にも言われたが,会議が始まってしまえばほとんど終わったも同然で問題は,

そこへ持っていくまでの準備である。 ScientificProgramの編成に当たったプログラム委員会は,何

度も会議を持ち,練りに練った案を作って,ほとんどの人に満足のいくシンポジウム・ ワークショッ

プの内容であった。一部, シンポジウムに形態学が多くて分子生物学が少ないとか, シンポジストが

アメリカ人と日本人に偏よっているなどの不平も聞かれたが, これだけ大規模なものになれば部分的

な不満は止むを得ないし,ある程度は開催国の特徴が反映されるのは当然であろう。

会議運営費を確保する役目の財務委員会も熱心に動き, 内容にふさわしい雰囲気を作り出すために

必要な資金を集めることに成功した。もう一つの委員会である地区委員会は,会議が東京で行なわれた

ため,東京周辺の先生方が会場・登録,広報,式典,観光・宿泊,行事,商業展示などの小委員会に

分かれて構成され, これも2年以上前から活動を始めた。

会議全体の運営には沖垣事務局長と地区委員会とが当たり,具体的なところはプロのいわゆる学会

屋さんに依頼した。これだけの大きな国際会議を,会議運営に関しては素人に近い研究者が行なうこ

とは,あまりにも犠牲が大きく,学会屋を雇うことは,必要悪のようなものではある。しかし学会屋

と我を研究者側とで判断や意見の食い違いがままあり,ストレスになった。また最後に述べるように

経理上の問題があり,余穐関与のさせ方を考えないと大変なことになることを痛感した。

総務委員会というのは当初,構成されていなかったが,地区委員会,なかでも会場・登録関係の会

議を持つなか~G事務局長を補佐して細かなことを決定したり,会議中のGeneral lnformation(GI)

やTrouble-shooter的な役割をする人間が必要であろうということで組織され,会場・登録委員会

との合同も含めると計10数回の会議を持った。ただ,実際には事務局長と学会屋とで話を進めること

が多く,だいたいは進行状況を聞くだけに終わってしまった。今,考えてみると, もう少し総務委員

会の側がイニシアチブをとって,学会屋の「経験」を盾にとった強引なやり方を改めさせるべきであ

ったと反省している。

会場(シンポジウムおよびポスターセッション),登録などには大学や研究所の院生,若手の研究

者の方女を配した。これは①研究者の方がズプの素人の学生アルバイトよりも丁寧な仕事が期待でき

る,②若い日本の研究者の少しでも多くに国際会議の雰囲気な触れてもらうよい機会である,③純学

生アルバイトより経費が節減できる,などの考えからであった。結果としては,若い人達に喜んでも

らいつつ熱心にお手伝いして頂き,成功であった。学会屋としては自分のところに登録されている純

アルバイト学生を使うほうが, ビジネスライクに出来るので,若い研究者を配するこちらの案には消

極的であったが,上記のメリットは大きかった。職のある研究者には交通費も出ず,全くの奉仕の形

でD また院生でもごくわずかなアルバイト代しか払えなかったが快く働いて頂き,有難かった。

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「開会式」のこと;

皇太子殿下御夫妻をお呼びしたこと, しかもそれぞれが韓国大統領訪日の直前ということで,審備

に非常な注意が払われた。我々の研究室の院生や卒業生など20数名が,会場のNHKホール前で出席者

の名札チェックや,未登録者の仮登録,来賓・報道関係者の受け付けを手伝った。登録を京王プラザ

ホテルで済ませた参加者は,貸切りバスによる輸送で,スムーズにNHKホールに運ばれた。VIPの

誘導について若干の混乱があったが, これは,皇太子殿下に接見する人,会場で壇上に上がる人など

の区別が複雑だったのと,外国人はあまりそういうことに頓着せずに知っている人どうしが同じパス

に乗ろうとしたことなどで起きたそうである。また開会式の始まりが前から午後2時30分と知らせて

あったにもかかわらず,諸般の事情で2時までに入場せよということに変更され,バス輸送がストッ

プされてしまい,苦情が多かったと聞いている。皇太子殿下に御臨席頂いたことは,それなりに(特

に外国からの参加者にとっては)意義あるものであったが,そのために融通をつけられない部分がで

てきてしまったことも否定できない。

「会謹中」のこと;

登録に関しては特に問題はなかった。数件,何故あの人には旅費が出て,私には出ないのかとか,お

金がないので登録費を安くしてほしいとか, ピザがなかなかおりないという苦情(東欧の人′々)など

があったが, これはどこの国際会議でもあるらしい。

シンポジウムおよびテクニカル.ワークショップは京王プラザホテル内の5会場で午前と午後’ 日

によっては夜,0時過ぎまで行なわれた。会場の大きさにずい分差があり,時によっては大きな会場が

閑散として,小さな会場に人が溢れるという状態もみられた。参加者がわかりやすいように関連のあ

るテーマ(大分類)は同じ会場で, という方針で部屋の割振りを行なったわけだが’同じ大分類

の中でも,個なのテーマによって凸凹ができるのでb一時的にまずい状況もあった。ただ急に会場を

変更するわけにもいかず,致し方のないことでb全体的にはまあまあであった。

会場係としては,やはりスライドの焦点合わせが大変な仕事慈特に最も大きな会場(’'200名収

容)ではプロジェクターからスクリーンまで30m以上もあるのでウオペラグラスに頼らざるを得なか

ったが,必ずしも肉眼とは同じでなく,係の一人が前のほうで見て合図をするといったことも行なわ

れた。特に大きな事故がなかった中で, フランス人のシンポジストが講演中に脳貧血で倒れるという

アクシデントがあった。幸い命に別状はなく, ホテルの部屋にもどって回復したとのことで胸をなでお

ろした。会場に居わせたMDたちがかけ寄って話しかけたり,講演を続けたいとする本人に大事をと

って止めさせるなど,暖かい光景がみられた。後で聞いた話では,あまり得意でない英語での講演が

ストレスになった末のことらしいが,我々日本人には身につまされる出来事であった。

会場での計時進行にコンピューターのディスプレイを用いたのは成功であった。カラー表示により’

雑音なしに講演時間,討論時間の経過が演者,座長,聴衆に一目でわかるのでb今後,大いに利用さ

れるのではないか。

ポスターセッションの行なわれたNSビルは,京王プラザホテルから少し遠いのが不便であった。

会期中,ほとんど雨が降らなかったのは助かった。ポスター会場ではボードの質が固く, ピンがなか

なか刺さらないのでボードを押し過ぎてボード固定用の針金がはずれたりするトラブルがあった。ま

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たボードがかなり高く,背の低い人には気の毒であった。ボード間のスペースは比較的ゆったりとら

れていて,通行に不自由することもなく, まずまずであったように思う。

京王プラザホテルの受け付け付近におかれたGIには,初めのうちはポスター会場への行き方とか

ホテル内の会場の案内が多く,英語に堪能なお嬢さんたちでほぼ事が足りた。また会期中,全体を通

じて知人に連絡したい旨のメッセージが数多くあり, これにはパソコンにメッセージを伝えたい人の

名前を打ち込む方式が役に立った。メッセージ自体はアルファベット順にボードにはり,番号をつけ

て,その番号と名前をコンピューターに入力するシステム~C 1日, 150~200件の利用があった。

シンポジウム会場の計時のディスプレイと共に東大・薬・清水研の関口さんにプログラムを作って頂

いたが,ある人に対してのメッセージがあるかどうかを数秒間で調べることもでき,大変便利であっ

た。ただ,黙ってメッセージをボードからはがして行ってしまう人がいたので, これは毎朝残って

いるメッセージを確認し,ないものはコンピューターから消去した。また登録時に宿泊カードを配布

し,記入してGIに届けてくれるようお願いした。全部ではないが,かなりの人が提出してくれ, こ

れもinformationとして役に立った。律義に出してくれる人の多い国,ほとんど無視する人などのお

国柄があらわれ,興味深かった。

ホテルの一室(かなり大きな)をanyone'Schairと名付け, freediscussionroom兼休憩室と

して自由に使ってもらおうとしたが,あまり利用されていなかった。その一つの原因は, コーヒーサ

ービスのなかったためであろう。経費節約のため致し方ないと言ってしまえばそれまでだが(京王プ

ラザホテル内ではコーヒー1杯450円〃),高い登録料から考えるとなんとかその程度のサービスを

できなかったものだろうか。

「会議後」のこと;

とりたてて大きな問題点もなく,無事に会議が終了してよかった, よかったと関係者一同が胸をな

でおろしていたところ,一ケ月半もたって学会屋から大赤字が出たので,何とかしてほしいと言ってき

た。会議終了時まで,かなりの黒字であると聞いていたので, 日本の学会の運転資金が増えると喜ん

でいた矢先のことである。寝耳に水とはまさにこのようなことを言うのであろう。当初の予算を上回

わる収入があったのでゥ予算どおりに支出していれば,赤字の出るはずのないところで,学会屋のず

さんな会計にはあきれるばかりである。この問題はまだ現在進行中で,細かい点には触れないが, と

もかく研究者側は募金に精を出し,支出のほうはほとんど学会屋に任せっきりという形がこのような

結果を招いたもので,学会屋に良いように踊らされた感がある。このような大きな会議で,細かな会

計まで研究者がタッチするのは大変だが,規模が大きいからこそ,厳しく目を光らせていないと大変

なことになるという苦い経験になった。

eフ| 71

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§ アルゴンヌ国立研究所国際シンポジウム

-TheRoleofChemicalsandRadiation

intheEtiologyofCancer-

金沢大・薬・放射化学 鈴木文男

上記のテーマのシンポジウムが, 8月26日から29日までの4日間, アメリカ合衆国シカゴ郊外のオ

ークブルックで開催された。これは,昨年(1983年1月18日)亡くなったCharlesHeidelberger

博士の偉大な業績に敬意を表する意味で,博士の下で研究に携わった経験のある, アルゴンヌ国立研

究所生物医学研究部門のE.Huberman部長らによって企画されたものである。 35名の招待講演者の

うち2名は日本人(阪大微研の角永武夫氏と東大医科研の黒木登志夫氏)であり,一般出席者(約180

名)の中にも海外からの参加者が多数見うけられ〃国際色豊かな雰囲気であった。以下シンポジウム

の内容を簡単に紹介する。

シンポジウムの初日(26日)は,夜8時の歓迎パーティで開始された。ウィスコンシン大学マツカ

ードル研究所で研究を初めた時以来の親友であるV、R・Potterによって, Heidelbergerの業綴および

人柄についての紹介があった後,往年のライバルであったイスラエルワイズマン研究所のL・Sachsに

よって興味ある基調講演がなされた。内容は,がん形質が消え正常細胞になるメカニズムを2種類の

細胞を用いて解析した研究結果を中心にしたもので,ハムスター線維芽細胞ではある特異な染色体が

増加するが,造血系細胞を用いた系ではそのような染色体変化がみられないことから,がん細胞の形

質発現の制御には2つの機構,染色体変化と細胞の分化誘導が働いていることを示した。

2日目の午前のセッションでは,芳香族アミンとアルキル化ベンゼン類(E・Miller),ニトロソア

ミン類(P・Magee),アフラトキシンB,(G.Wogan)およびベンヅピレンB[a]P(A.Conney)を中心

とした化学発がん剤の活性化機織についての発表と,V79チャイニーズ'、ムスター細胞を用いて体細

胞突然変異を調べることにより,化学発がん剤による遺伝的作用機序を詳細に検討した報告があった

(R.LangenbachとP・Brooks)。各演者が述べているように,化学発がん剤の活性化の程度や細胞

の感受性は,各個体間および組織間でかなり異なっており,""ZToで得られたデータをそのまま

”〃"oに適応することは危険である。実際, B[a]P,、イドロキシレース活性は喫煙時に上昇す

ること, さらにアルコールや多段の蛋白質,炭水化物および脂質の摂取によって活性化の度合がかな

り変動することが明らかにされた。

午後のセッションでは,活性化した化学発がん剤がどのようにして生体高分子(DNA)と反応する

かについて討議された。特に, HPLCを用いてB[a]P代謝物質を同定し,その突然変異誘発性から

DNAとの反応様式を述べたR.Harveyと,アセチルアミノフルオレンがDNA鎖に挿入しZ型のDNA

を形成することを証明したD.Grurbergerの報告に強い印象を受けた。 1970年代半ばにおいて行な

われた多くのAmesテスト系を用いた研究によって,がんの突然変異説は強力な支持を得たが,最近,

発がん性はあるが突然変異性を示さない物質が数多くみつかったことにより,突然変異だけでは語れ

ないとする風潮にある。しかし上記のように,化学発がん剤はDNAに対して種々の変化を与え,その結果

として点突然変異やフレームシフト ・欠損型の突然変異を誘発し(W.Thilly),すべてではないにしても

大部分のがんの最初のステップに突然変異が関与していることは間違いないようである(A・Peterson)。

-10-

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もちろん, DNA変化(損傷)がどのように固定され,細胞致死や突然変異に結びつくかについても解明

されなければならないが,仮説の域を脱していないのが現状である(B・ StraussとR.B.Painten)。

その日の夜は, Dinnerをとりながら特別講演を聞いた。演者のH・Teminは,逆転写酵素を発見し

た人として有名だが,現在はトリがん遺伝子c-γejの発現機構を中心に,精力的に研究を行なってい

る。内容は多岐にわたっており,紙面が限られているここでその詳細を述べることは不可能である。

今回の国際シンポジウムの最後のセッション, “発がんにおけるがん遺伝子の役割--S.Aaronson,

J.Rowiey,W・Uenedict-"の報告とともに,次の織会に談ることにする。

試験管内発がん検出系によく用いられる細胞株として,Heidelbergerらの株化したマウス由来

C3H10T1/2細胞がある。 3日目の“化学薬剤による細胞がん化誘発”のセッションでは,この細

胞株を用いて, アスピリンがメチルコラントレンの発がん効果を下げ, X線照射がB[a]Pによる細

胞がん化の形質発現過程を阻害することが示された(J・R.LandolphとS・Nesnow)。しかし,細胞の

正常な機能を有しない株化した細胞を用いての解析は,実際のれ”ひoにおけるがん化槻構を類推

するのに不向きである。この点,マウス皮膚(S.Yi,spa)やヒト骨髄性白血病患者由来で分化機能を

持つHL-60細胞(E.Huberman)を用いた研究は,新しい方向性を示すものである。同じセッション

で発表された2つの演題は,細胞がん化の機構解析に携わる研究者にアイディアを提供する意味で,

特に興味があった。つまり, N・Colburnは発がんプロモータ(TPA)に対する感受性の異なる細胞

を分離し, プロモーションのかかりにくい細胞(P-)にかかりやすい細胞(P+)のDNAをリン酸カ

ルシウム法でトランスフェク卜することにより,細胞がん化をプロモートする遺伝子をクローニング

し, またT・Kakunagaは, ヒト由来がん細胞において,細胞膜構築蛋白質であるアクチンに変化がみ

られること,すなわち,ある種のヒトがん細胞では, βアクチン遺伝子に突然変異が生じていること

を示した。今後の研究の進展が期待される。

午後のセッションは, “放射線による細胞がん化誘発”という題名でM・EIkind, C・ Borek,

J・Little,T、M・Seed,それにA.Uptonが講演した。このセッションが最も筆者の研究に関係して

おり,以前から何か新しい報告があるのではと期待していたが,いずれの演者も,すでに誌文として

公表された内容が中心であったり,信ぴょう性に欠ける少ないデータを用いて過剰な数理解析をした

報告が多く,他の分野に比べてかなり遅れている感じを受けた。

正常細胞からがん細胞に至る過程は,複雑な多段階から櫛成されていることはよく知られている。特に,

最もがん特有の現象として知られているプロモーション過程は,細胞がん化機構を解明する上で極め

て重要である。

シンポジウム最終日の午前は, プロモータの作用を中心としたがん化の多段階的形質発現機構に関

する演題が準備された。まず3人の演者(T・Slaga,C・Peraino,H・Pitot)は,マウス皮膚やラット

肝臓を用いてのモデルシステムを紹介し, プロモータ処理後におこる細胞の変化やプロモータ阻害剤

の作用機構について述べ,次いで, P・Blumbergがプロモータレセプタの性質, T・Kurokiが活性化

ビタミン1,25(OH)2Dsの細胞に対する分化およびがん化形質発現に及ぼす影響について詳細に

報告した。全体として,多くのデータが示され活発な討論もなされたが,細胞がん化のプロモーシヨ

ン過程にどのような分子機構が働いているかは不明であり,今後の大きな課題になると思われる。た

だ驚いたことは,皮膚細胞に分化機能誘導作用を示す1,25(OH)2Dsが,マウスBALB3T3細胞

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を用いた試験管内発がん系において, TPAと同様のプロモーション作用を有すること, さらに,マッ

カードルのHeidelberger研で共に研究に従事した黒木氏の親友のE・Hubermanも独自にこの奇怪な

物質に注目し,研究を行なっていることを知ったことであった(黒木氏の私信)。

Heidelbergerの残した業綴は数限りがない。たえずがんの基礎研究分野において指導的な立場に

あり,今回のシソポジストの誰もが彼の下で研究をしたり,何からの形で影響をうけた人で構成され

ていることからも明らかである。がん研究をやりはじめた者として,このような背景の下に,有機化

学,生化学,分子生物学,そして細胞生物学の研究者が一同に会して開かれたアルゴンヌ国立研究所

国際シンポジウムに参加できたことは,大きな収穫であった。筆者は約2年半前にアルゴンヌ研究所

に留学したが,今回のシンポジウムで多くの研究所の人々や友人に再会できた。今回のシンポジウム

がアルゴンヌ国立研究所の主催で開催されたことは,個人的にも意識深いことであった。

§関連学会報告

★皮膚科領域における組織培養の現況

一本年度の学会より-

阪大・医 喜多野征夫

皮膚科学領域における組織培養はすっかり定着した感があり,基礎的な研究は無論のこと,臨床面

においても,たとえば色素性乾皮症では線維芽細胞を培養してDNA修復能の測定と相補性群の決定が

なされていなけれI謡学会発表をすることも困難な状態である。昭和57年には第81回日本皮膚科学会

総会のシンポジウムのテーマとして“表皮ケラチノサイトの体外培養とその臨床研究への応用”が選

ばれ,ケラチノサイトの培獲を用いた研究の広がりが示された。昭和59年に開催された第83回日本皮

膚科学総会と第9回日本研究皮圃科学会の演題より最近の研究の趨勢をさぐってみたい。

表皮ケラチノサイトの培養が普及した現在においてはその応用が多岐にわたって来た。 “培養表皮

細胞による副腎皮質ホルモンの代謝”, “培養表皮のアラキドン酸代謝”は皮膚の解剖学的構造から

表皮だけの代謝能の測定が困難であるため,培養系を利用したものであるが,血清成分の影響など,

培養という調節自由な環境に移したことから可能となるいろいろな解析がなされている。“低c訳濃

度にて培養した表皮細胞におけるケラチン蛋白の燐酸化反応”, “5-アザシチジンによるSV40-

形質転換ケラチノサイトの分化機能の再現”, “培養表皮細胞の細胞骨格(ケラチン型中間径線維と

ミクロチュブルス)の正常分布と天庖癒抗体”, “培養表皮細胞の分裂時におけるkeratin-type

intermediate filamentの分布動態”などの演題は,細胞骨格としての,あるいは表皮ケラチノサイ

トの分化のマーカーとしてのケラチン蛋白の問題を中心としている。一方では培養条件の検討を中心

としている演題もみられる。 “皮膚器官培養における表皮櫛造の維持'', '@Maintenance of the

psoriatic lesion inorganculture"がこのカテゴリーに入る。疾患の病態生理解明への試みとし

て"@Enhancedepidermal cell detachmentbypemphigusantibody in thepresenceof

complement", "固定薬疹発症機序に関する加""γ@の研究", "先天性表皮水庖症(劣性栄養障

害型)の発症機序一動物実験及び器官培養における研究”があげられる。

腫瘍細胞株の樹立の報告は2,3見られるが"疾賛状表皮発育異常症患者より発症した皮膚腫瘍の腹腔

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内転移巣由来樹立株の性状”ではヒト乳頭腫ウイルス5型のDNAが検出されている。

色素細胞の培養を用いた演題は悪性黒色腫細胞に関するものが主体である。 “ヘーマトポルフィリン

誘導体光照射の波長別殺細胞効果の培養細胞による検討”はヒト悪性黒色腫細胞を用いて光感作によ

る腫瘍治療の基礎的実験である。 “テオフィリン及びグルタチオンのlnitialMelanogenesisへの作

用機序のj7z zJ"T・o解析", "アゼライン酸(A2 )のH.P.-マウス黒色腫のメラニン生合成過程に

及ぼす影響-f"""γ・O-"p "培養B-16黒色腫細胞のチロシン輸送機構に及ぼすアテオフイリンの

影響”, “人由来培養悪性黒色腫(M-1/4)に対する単クローン性抗体について'', @@Selective

alterationof secretoryglycoproteinpremelanosomeandGolgi cisternae inducedby

carbohydrateprocessing inhibitor,monensin'', "Regulationof tyrosinase9 γ一glutamyl

transpeptidaseand5-S-cysteinylDOPAgenesisbyL-glutamine inculturedB16

melanomacells'', C,TumorgenecityandmetastaticabilityofB-16,F-10melanomacells

after"""oand"""7・o interferon treatment'', "光照射B-16melanomacellのspin

labelling法による膜流動性の研究”のように主としてメラニン生物学の研究に利用されている。そ

の他色素細胞に関連する演題としては“母斑細胞母斑の体外培養”がある。

皮間線維芽細胞を用いた研究としては,色素性乾皮症関連の演題として“神経症状は軽いが不定期

DNA合成の低い色素性乾皮症の1例"p "色素性乾皮症(Xp)E群の紫外線感受性:"""oと”

""7・o解析”がある。"Catalysisofpyrimidinedimerexcisionfromxerodermapigmentosum

chromatinbycell-freeextractT', @$Chemical damages toDNAinxerodermapigmento-

sumandCockaynesyndromecells", @,Alterationofclinical sensitivitytoultra-violet

light inxerodermapigmontosumcomplementationgroupEsubjects", "Studieson lawof

reciprocity inWerythemaandcellkillingofxerodermapigmontosum(Xp)patients"

が研究皮膚科学会のシンポジウムC'Biomedical problems in light-inducednuclear reactions''

における色素性乾皮症関連の演題で,いずれも培養線維芽細胞が用いられている。線維芽細胞を用い

た遺伝性疾患の研究としては“先天性表皮水庖症の線維芽細胞におけるコラケナーゼ活性'', @@Osteo-

genesis imperfecta患者線維芽細胞によるコラーケン合成'', @@Bourneville-Pringle母斑症噸

織培養による検討”がある。結合組織の生化学的研究は皮膚科領域で盛んであり“モルモット皮膚由

来線維芽細胞のコラーケン合成に対するヒスタミンの影響”, “熱傷癩痕由来線維芽細胞のグリコサ

ミノグリカン合成”, “線維芽細胞を免疫源とした単クローン性抗体作製の試み”などの演題が見ら

れる。

以上いささか演題の羅列になったが,表皮ケラチノサイト, メラノーマ細胞,真皮線維芽細胞の培

養が皮膚科領域の臨床研究においてはたしている役割を概観した。

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★「初代培養肝細胞研究会」お知らせ

日時: 昭和60年6月6日(木)~7日(金)

場所: 徳島厚生年金会館

世賭人: 徳島大学医学部酵素研究施設

教授 市原 明

出席,発表の詳細は下記に郵便にてお問い合わせ下さい。

初代培養肝細胞研究会

事務局

〒770徳島市蔵本町3丁目18番地の15

徳島大学医学部酵素研究施設酵素病理部門

§ 編集後記

朝夕の冷えこみも一段と厳しくなって来ましたが,会員の皆様にはいかがお過しでしょうか。

第54号をお届けいたします。癌学会の機会を利用して持たれた幹事会の議事録や,学会案内などを

中心に編集いたしました。

次回は3月上旬発行予定です。ご寄稿をお待ち申し上げております。 (T、T.)

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§ 新入会員(昭和59年10月承認)

氏 名 所 属機 関 〒 同住所 ・ 電話番号

河口徳一鋤癌研究会癌研究所病理部 170盟島区上池袋1-37-1 (03)918-0111

河崎忠好 フオルマシア.ジ・パン研究所 ,皿_35茨謡輔蕊蛎蝋内(02995)5-088』

小林雄一バイオ製薬㈱ラボラトリ 501-11岐阜市佐野 (0582)35-7303

○鈴木弘康電気化学工業㈱中央研究所 194町田市旭町3-5-1 (0427)22-631111]、11 村上龍夫久留米大学医学部病理学第1講座 83O久留米市旭町67 (0942)35-3311

森川 実 ニツカウヰスキー㈱生産技術研究所

277柏市増尾松山967 (0471)74-9025

山下三千年長崎大学医学部第一外科 852長崎市坂本町7-1 (0958)47-2111

(以上正会員7名)

(03)339-9173

(担当山本正和)

株式会社R&D

プランニング

丸善石油

バイオケミカル㈱

102千代田区麹町5-3-3

107港区赤坂6-1-20

(担当横溝 敬)

(以上賛助会員2社)

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§ 住所等の変更

同住所 ・ 電話番号新所属機関 〒氏 名

⑧所沢市下安松5o西武グリーンヒル12○上田清基 359

○角屋堯英宇都宮大学教育学部生物学教室

○上吉英隆

○小山秀機横浜市立大学木原生物学研究所分室

(0286)36-1515321宇都宮市峰町350

731-01⑧広島市安佐南区祇園町南下安246-2

(045)261-0732232横浜市南区中村町2-120-3

(045)542-1331富永直樹㈱資生堂研究所生物科学研究部 223横浜市港北区新羽町1050l偉のI

(0423)25-2070○平井秀松腫瘤研究所 185国分寺市東戸倉1-15-3

(0859)33-1111○松井克明鳥取大学付属病院検査部 683米子市西町36-1

⑧藤鱒蕊署諺G-11 (0466)87-0564松沢保江 252

東京大学医学部

放射線基礎医学教室

農林水産省動物医薬品検査所

検査第一部ウイルス製剤

(03)812-2111安田秀世 113文京区本郷7-3-1

(0423)21-1841○山本富史 185国分寺市戸倉1-15-1

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,発イテ責任者

沖垣途(重井研),常盤孝義(岡山大・医)三井洋司(微工研),大野忠夫(放医研)

間中研一(独協医大),喜多野征夫(阪大・医),大島浩(大阪歯大)

#岡山市鹿田町2-5-1 (〒700)

岡山大・医・癌研病理

趣話0862-23-7151

会員通信

第55号日本組織培養学会

昭和60年2月20日発行

§ 日本組織培養学会第58回大会のご案内

第58回大会を下記により開催することになりましたのでご案内致します。

1. 会場:ホテル「おかだ」

〒250-0, 神奈川県箱根町湯本 Tm460Mi7,@,2.会期:昭和60年5月15日(水)~16日(木)

ろ.参加,宿泊および一般露演申し込み:

昭和60年5月20日(火) までに参加,宿泊(ス宿泊の項参照)および一般講演希望

者は,同封の申し込み票嘆書)にご記入の上,ご返送下さい‘

講演の申し込みをされた方々には, 「組織培養研究」(抄録)掲載のための原稿用紙

をお送り致します。 (締切3月末日)

4. スケジュール:

5月15日午前 8:30~12:45 箱根観尤」午後 1:00~4:50一般講演

一」

講演25分質疑15分(叉は講演15分,質疑5分)

4:50~5:30総 会

6:30~9:30 ワークシヨツプ( 10項I~Ⅵ参照)

9:30~ 懇親会

5月16日午前9:00~11:00一般講演

11:15~12:15 特別講演(司会高木良三郎,沖垣達)

蓑和田潤博士

(林原生物化学研究所,細胞センター所長)

午後 1:15~3:15 一般講演

5.大会参加費:会員 3,000円,非会員 4,000円

6.懇親会参加費: 2,000円(懇親会は, ワークショップ終了時各会場で行います。 )

ス宿泊:宿舎は,会場ホテル「おかだ」をご利用下さい。 (宿泊費は, 2食付12β00円)

4~6人の合部屋になっておりますので,出来れば, グループとしてお申し込み下さ

い。その他の宿泊のわりふりは,世話人におまかせ願います。

尚,申し込み時, 5,000円の予約金をご送金願います(振替用紙同封)。

8.交通: 。小田原駅から箱根湯本まで, タクシー,パス,登山鉄道15分。

。新宿駅(東京)から箱根湯本まで,小田急ロマンスカー90分

・箱根湯本より会場まで, タクシー,共同マイクロバス5分

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R購演申し込み先および予約金送付先:

〒700岡山市鹿田町2-5-1

岡山大学・医学部・癌研病理部門内

日本組織培養学会・第58回大会事務局

(世話人佐藤二郎)

10. ワークショッププログラム

放射線生物学領域における細胞培養フロンティアI

オーガナイザー 寺島東洋三(放医研)

鈴木文雄(金沢大・薬)

1. 系図法による細胞の放射線損傷発現過程の分析について

佐々木弘(九大・医・放射線基礎)

2. ヒト甲状腺上皮細胞の培養と放射線生物学への応用

中村 典, RichardC・Miller(放

3. 多細胞球状体(スフェロイド)による固形腫瘍の放射線感受性

佐々木武仁(東北大・医・放射線基礎)

4. 放射線による鋺"tγ・ トラソスフォーメーション

渡辺正己(金沢大・薬・放薬化)

5. 哺乳類細胞の修復遺伝子の染色体マッピング

堀 雅明(放医研・遺伝)

(放影研)

哺乳動物細胞の突然変異と形質転換Ⅱ

オーガナイザー 黒田行昭(遺伝研)

西 義介(専売公社)

1. 試験管発がんにおける細胞内コミュニケーションの役割

榎本 平(広島大・歯・口腔生理)

2. DNAトランスフェクションによる哺乳類細胞の形質転換

平川 忠(老人研)

3. 発がんプロモーターによるCキナーゼの活性化とタンパクの燐酸化

千田和広(東大・医科研)

4. FM3A細胞を用いる弱変異原検出に有効な突然変異検出法

森田初恵(横浜市大・医・組織培養)

5. 変異原研究における培養細胞の利用

西 義介(専売公社・中央研)

-2-

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培養における温度環境と細胞特性

一主にヒト細胞を中心に-

オーカナイザー 奥村秀夫(予 研)

蔵本博行(北里大)

1. 培養細胞の温度環境の意義

一多温度培養法の開発-

奥村秀夫(国立予研)

2. 温度感受性からみた細胞の形態と増殖能

・山田堅一郎,奥村秀夫(国立予研),田村昭蔵(慶応大・産婦人科)

3. 女性性器細胞の温度感受性

一細胞の増殖・形態・腫瘍マーカー-

・宇田川康博,野沢志朗(慶応大・産婦人科)

4. 肝・胆道系癌細胞の温度感受性

・本間定,永森静志,亀田治男(慈恵医大・内科)

5. ホルモン分泌系細胞の温度感受性

5-1 膵島ホルモンの分泌機能

・桶田俊光,山口景輔,横川太,高木良三郎(大分医大・内科)

5-2絨毛癌細胞のホルモン分泌能

・下田隆夫,浜野恵美子,森沢孝行,蔵本博行(1哩大・産婦人科)

追加討議

1. 食道癌細胞株の温度感受性

o斉藤光和,真保俊(富山医薬大.外科)

2. ホルモン分泌系細胞の温度感受性

一副腎皮質腫瘍細胞のステロイド分泌機能一

・東淑子,佐藤二郎(岡山大・癌研)

肝実質細胞培養の最前線Ⅳ

オーガナイザー 大野忠夫(放医研)

花岡文雄(東大・薬)

1. 肝実質細胞の増殖制御と分化機能発現

中村敏一(徳島大・酵素研)

2. 初代培養肝実質細胞の長期機能維持

宮崎正博(岡山大・癌研)

-3-

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3. 肝実質細胞の無血清培養法

古閑睦好(独協医大・第一生理)

4. 初代培養肝実質細胞の応用薬理的研究

若杉潤一郎,富川宗博(第一製薬・中研)

追加討議

初代培養ラット肝細胞の凡γm"omeの変化

-特に異常封入体形成について一

古川一典,望月洋一(札幌医大・癌研)

細胞老化は制御できるかV

オーガナイザー 三井洋司(微工研)

藤原美定(神戸大・医)

1. 序一遺伝子の老化から老化制御因子まで

三井洋司(微工研)

2. 遺伝子,その老化,分化による変化

山岸秀夫(京大・理)

3. 老化細胞におけるDNA合成の再開

井出利憲(広島大・医)

4. 老化細胞表面膜にDNA合成制御因子

松岡耕二(老人研・薬)

5. GrowthFactorsによる細胞寿命の制御

加治和彦(老人研・RI)

6. 血管細胞の老化 山本清高(老人研・生物)

7. 結語,今後のCytogerontology

藤原美定(神戸大・医)

コラーケンケル培養Ⅵ

オーガナイザー 榎並淳平(独協医大)

常盤孝義(岡山大)

1. マウス乳腺上皮細胞,乳癌細胞のコラーケンケル培養

榎並淳平(独協医大・生理)

2. 再構成培養皮膚の作製とその性質について

吉里勝利(北里大・医・形励

3. 正常マウス賎および子宮上皮細胞のコラーケンケルによる

勝利(北里大・医・形成

正常マウス陸および子宮上皮細胞のコラーケンケルによる

外科)

無血清培養

井口泰泉(横浜市立大・生物)

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4. 軟骨細胞のコラーケンケル内培養

安井夏生(阪大・医・整形外科)

5. 骨原性細胞株MC3T3-E1のコラーケンケル内における分化

須藤博子(東北歯大・解剖2)

小玉博明(東北歯大・生理)

山本茂久(東北歯大・解剖2)

6. ブタ皮膚を支持体とする各種上皮細胞の培養とその分化

吉田 豊(札幌医大・第2病理)

7. コラーケン基質におけるヒト胎児肝細胞の分化の試み

常盤孝義(岡山大・癌研)

§ フィルム委員会からの報告

「細胞THE LIVINGCELL」のビデオほぼ完成

かねてより当フィルム委員会で企画し製作していた「細胞THELIVINGCELL」のビ

デオが,ほぼ完成しました。半完成品のフィルムを,昨年高知での学会の席上試写いたしました

が,それをビデオにした当委員会での第一作です。

対象を大学教養課程,高校理科学生とし,その教材になるように,われわれの研究技術である

組織培養法と,材料である細胞を紹介しています。当初の目標はまずはフィルム作製だったので

すが,原板にゴミが多かったり,暗い画面があったりするので,その完成は夏頃になる予定です。

その一方で, フィルムより手がけ易く,また近年各機関に行き渡っている視聴覚教育用に, ビデ

オを完成させました。説明を吹き込むと費用などの点で大変なので,別に説明書を作成中です。

あらかじめこれを読んでから見ていただくことになります。

編集は故勝田先生が長年にわたり撮られたフィルムを中心に, アメリカのハソチソトン医学研

究所の好意により使用を許可されたフィルム, さらに本企画の目的に沿って撮り足したものを用

いて行いました。

内容はつぎのとおりです。

第1章 細胞の種類 第3章 細胞の活動 第4章 細胞の微細構造1-1 上皮細胞 3-1 正常細胞分裂 4-1 核

1-2線維芽細胞 3-2 異常分裂 4-2 ゴルジ体1-3 マクロフアージ 3-3 飲作用 4-3 中心体と中心粒1-4 リンパ球 3-4食作用 4-4 ミ トコンドリア

1-5 腎臓上皮細胞 3-5接触阻害 4-5 4飽体1-6 神経系の細胞 3-6麻疹ウイルスによる

1-7 運動筋細胞 細胞融合

1-8心筋細胞 3-7 穎粒移送

第2章 細胞培養法

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フィルム委員会としては広く一般に利用され,活用されることを望んでいます。会員諸氏の研

究室や,また大学,研究所で入手御希望の節は,ほぼ実費の¥15,000で頒布いたします。梅田

迄申し込んで下さい。

一方,会員がおられない大学や高校などでも,需要があれば応じたいと考えています。その方

法などにつき会員諸氏の御意見などお聞かせ下さい。また御協力をお願いします。

なお,本ビデオ作製にあたり,委員のうちとくに独協医科大学の丹羽,高岡委員の努力に負う

ところが大でした。付記して感謝します。 (梅田誠)

申込先:〒232横浜市南区中林町2-102

横浜市立大学・医・組織培養室

§ 関連学会報告

☆,,日本口腔組織培養研究会開催さる”

第21回研究会は吉岡済教授(兵庫医科大学)のお世話で1984年11月16,17日に兵庫医科

大学において開かれ,特別講演,新技術紹介を含む20演題の発表があり, 活発な討議がなされ

た。当日は日本全土から同学の研究者が62名参加した。演題は特別講演として『細胞培養と遺

伝学』のタイトルで古山順一教授(兵庫医科大学)が約30年間にわたって研究されてきたその

軌跡を講演されたのをはじめとして,新技術紹介では『コンピューターによる細胞数自動算定法とそ

のデータ処理』という最も新しい話題を川原春幸教授(大阪歯科大学)が紹介し,出席者の興味

をひいた。また,一般講演では,培養細胞の樹立,同定などに関する研究,活性および変異に関

する研究そして生体材料の毒性についての演題などが発表され,討議された。なお,本研究会で

は創立以来英文研究会誌(TissucCultureinDentistry)を発行してきているが, 口腔領域で

の組織培養研究に興味を持たれる方は,今回のも含めて事務局までお問い合せ下さい。

また,今回の総会において本研究会の新会長には川原春幸教授(大阪歯科大学)が選出された。

1985年度の研究会は佐藤光信教授(徳島大学), 1986年度は佐藤温重教授(東京医科歯科大

学)のお世話で開催されることになった。詳細については逐次会員通信にて報告する予定。

日本口腔組織培養研究会事務局

〒540大阪市東区京橋1-47

大阪歯科大学歯科理工学教室

TEL、 06-943-6521 (内線271)

担当 大島 浩

-6-

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☆米国組織培養学会

とき: June2-6 , 1985

ところ: FairmontHotel,NewOrleans,Louisiana,USA

Chairman :MinaJ・ Bissel

シンポジウム:Oncogenesandgrowthfactors regulationofgeneexpression inanimal

andplant cells.

Convener :GeorgeTodaro

☆欧州組織培養学会

とき:

ところ2

May 20-22, 1985

UllensvangHotel,Bergen,Norway

Chairman :J・Lillehaung

§・ 会員住所の晉録について

本学会員の住所等の登録にあたり,従来のカタカナコンピューターを漢字化し,あて名のみな

らず会員名簿の作成にも利用することにいたします。

そのために全会員について所属と自宅の両方を再登録いたします。

つきましては恐縮ですが同封葉書にて4月末日までにご連絡下さい。 とくに連絡先が自宅の方は

ご所属をお知らせ下さい。

なお58回大会に申し込まれる方は関係葉書の欄に記入いただければ結構です。

§ 編集後記

第55号をおとどけします。発行日がおくれ,第58回大会の申込み締切までの日数が余りない

ので申し訳けなく思っています。今号には,第58回大会参加, 講演および宿泊申し込み用葉書と

宿泊予約金用振替用紙を同封いたしました。申し込み方法が従来の形式とは少々異なりますので

ご注意下さい。 (T、 T. )

-7-

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§ 住所等の変更

同住所・電話番号新所属氏 名 〒

○室田誠逸 東京医科歯科大学歯学部顎口腔機能研究部門

(03)813-6111

内線5285

113文京区湯島1-5-45

〔賛助会員〕

岩城硝子株式会社 新電話番号(03)214-6221

(販売第2部)l

m

l

丸善石油バイオケミカル㈱ (03)798-3882

(担当横溝敬)

105港区芝浦1-1-1 東芝ビル

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発行責任者

沖垣達(璽井研),常盤孝義(岡山大・医)三井洋司(微工研),大野忠夫(放医研)間中研一(独協医大),喜多野征夫(阪大・医大島浩(大阪歯大)岡山市鹿田町2-5-1 (〒700)

岡山大・医・癌研病理電話0862-23-7151

会員通信

第56号日本組織培養学会

昭和60年8月5日発行

§ 第58回日本組織培養学会総会議事録

日時: 1985年5月15日(水)

場所:ホテルおかだ(箱根町)

議長:中沢恒幸

日本組織培養学会第58回大会に際して開催された定例総会において, 以下の議事が報告または審

議された。 : ,

(1)会計報告(高岡幹事)

昭和59年度決算報告と60年度予算案が提案され, (別紙収支決算及び予算案参照)審議,了承さ

れた。なお, 60年度から秋季会誌(組織培養研究)の発行費に充当する広告料は特別会計に入れるこ

とになった。

(2)新入会員紹介

昨年5月4日から本年5月10日までに入会を申込み, 5月15日の幹事会で承認された正会員39名,

賛助会員2社が紹介された。

(3)会員通信(常盤幹事)

会員通信の内容を充実させるため,会員諸氏からの情報(Technical reportなど)を集めたい旨提

案された。

(4)会誌「組織培養研究」編集報告(鈴木幹事)

本年も「組織培養研究」を年2回発行する。本年秋の第4巻第2号は第58回大会のワークショップ

の論文を中心に編集する。

(5)株登録について(佐藤会長)

株登録委員長(佐藤)より,報告と今後の方針説明があった。現在のJTCシリーズの登録株は39

株,今後積極的に株数を増やしたい。なお,株登録委員会を充実させるために,株分離経験者に委員

会へ参加してもらい,有用細胞株の登録数を増やしたり,諸問題の解決に当たりたい。

6) IACCについて(佐藤会長)

Dr・GbJ.McGarrity(U、S,A、)よりIACC(InternationalAssociationforCellCulture幼設

立についての協力要請とその内容説明及び, 日本組織培養学会の対応について佐藤会長より報告があ

った。また,本年9月国際細胞培養会議時に関係者が集って協議することになった旨報告された。

IACCに加入する場合の1つの条件としては費用(年会費)は会員1人当り数ドル以内とすることを

きめた。

(7) ICCCについて(山根会員)

本年9月に開催される国際細胞培養会議(仙台,山根願会長)の準備,進行状況について報告が

-1-

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あり, さらに, より多くの方の参加の要請があった。 .

(8)次期大会(昭和61年)についで(奥村幹事)、 . ’ ;

第59回大会は奥村秀夫会員(国立予防衛生研究所)のお世話で開催されることが決定された。

奥村幹事より,来年も一般演題のほかに, しiくつかのワー”ヨツiプの開催をしたいので,会員の方女のご意見ご希望(テーマ,その他開催方法など)があればご連絡願いたい旨挨拶があった。

I

東京都品川区上大崎2¥-10-35

国立予防衛生研究所

奥村秀夫奥 秀夫

連絡先:〒141

電話 03-444-2181 内線300

(西義介,奥村秀夫)

’ 1

-2-

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§ 日本組織培養学会昭和59年度会計報告および昭和60年度予算

昭和59年度会計報告

(昭和59年4月1日~昭和60年3月31日)

一般会計

〔収入の部〕

勘定科目 昭和59年度予算額 昭和59年度決算額

正会員会費

賛助会員会費

入会金

雑収入

広告料収入

1,417,400

900,000

30,000

24,000

1,165,000

1,400,000

870,000

30,000

5,000

0

3,536,400

577,272

2,305,000

577,272

小 計

前年度繰越金

4,113,6722,882,272合 計

〔支出の部〕

勘定科目 昭和59年度予算額 昭和59年度決算額

「組織培養研究」発行費

会員通信発行費

同発送費

事務通信費

印 刷費

業務委託費

研究会補助費

名簿作製費

雑 費

予備費

546,000

253,135

232,580

102,815

19,030

597,180

600,000

0

490526

0

0

250,000

250,000

50,000

70,000

600,000

400,000

250,000

70,000

400,000

小 計

次年度繰越金

2,400,266

1,713,406

2,340,000

542,272

合 計 4,113,6722,882,272

-3-

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特別会計

〔収入の部〕 〔支出の部〕

勘定科目 決 算額 勘定科目 決 算額

国際細胞培養会議援助金

朝倉醤店より

合同酒精より

利子収入

504,489

196,956

97,474

400,000

小 計

前年度繰越金

798,919

2,529,115

小 計

前b年度繰越金

400,000

2,928,034

合 計 合 計3,328,034 3,328,034

日本組織培菱学会一般会計の大まかな年間収支をみますと,収入としては,正会員会費が470人と

して約140万円,賛助会員を90口として90万円で,合計230万円です。一方,支出は,業務委託費.

60万円,研究会補助・60万円,会員通信発行・25万円,同発送・25万円,隔年に発行する名簿作成

費の一年分が25万円で,残りの35万円を事務通信費,雑費にあててトントンという状態です。

昭和59年度の決算項目をみると,収入に広告収入として1,165,000円があり,支出に会誌発行費

546,000円が計上されています。これは, 59年から研究会が年一回となって,大会となり,今まで研

究会の世話係に一任されていた「組織培養研究」の発行のための財源が問題になりました。そして,

その捻出のために広告料収入を見込んだわけです。しかし,考えてみると,組織培養学会として一番

重要な事業であるべき会誌の発行資金を広告料金に頼るべきではないので, とりあえず,来年度は広

告料を特別会計へまわしたいと報告しました。

総会会場では,前会計委員の梅田先生から「59年度予算の予備費が40万円計上してあるのは「組織

培養研究」発行を考えてのことで,組織培養学会として一番重要な事業の会誌発行を特別会計へまわすとは何事か」とお叱りを受けました。

会計委員としても,梅田先生と全く同意見ですが,初にのべたように,現在の一般会計収入から,

毎年会誌発行の約60万円を支出するとすれば,他の支出を極力倹約しても,当然,毎年約40万円の: q

赤字は覚悟しなくてはならなくなります。提案としては,会費を1,000円値上げすれば, 健全財政を

保てる計算ですが,会饗値上げは会員にとって重要な問題ですから,会計委員の一存では何とも出来

ず,問題として持ち越されました。

会員の皆さんからの御意見をお寄せ頂けると幸いですb昭和60年度の予算は, とりあえず次のよう

に組みました(総会後に一部訂正)。

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昭和60年度予算

(昭和60年4月1日~昭和61年3月31日)

一般会計

〔支出の部〕〔収入の部)

勘定科目 予 算 額 勘定科目 予 算 額

会誌発行費

会報発行費

会報発送費

事務通信費

印 刷 費

業務委託費

研究会補助金

名簿作製費

雑 費

予 備 費

600,000

260,000

250,000

120,000

50,000

600,000

600,000

400,000

70,000

100,000

正会員会費

賛助会員会費

入 会 金

雑 収入

1,500,000

900,000

30,000

25,000

小 計

次年度繰越金

3,050,000

1,118,406

小 計

前年度繰越金

2,455,000

1,713,406

合 計 4,168,406合 計 4,168,406

(高岡聰子)

日本組織培養学会第58回大会を終って§

世話人 佐藤二郎

今大会開催に当って現幹事諸兄の御意見もお聞きし,出来る限り日本組織培養学会の伝統を残すこ

とと,新しい会則を時代に即応した形で定着させることを願って

①新しい血を導入するために日本組織培義学会を外部に開くと共に,新入会員と旧会員の親睦を

図り, 日本組織培養学会の目的を達成する。

②具体的対応として合宿形式で行う。夜の時間を有効に活用するため複数のWorkshopを開催する。

Workshopの座長及び演者は出来る限り第一線の研究者を登用する。

③賛助会員及び協力の業者も会の発展に寄与してもらう為,共に満足できるようにする。

以上の方針で大会を運営した。

大会は350名余の出席があり,一般演題23題,Workshop演題39題,特別講演1題とが各座長,学

-5-

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会幹事,裏方を引き受けて下さった明治乳業へルスサイエンス研究所の方,々,学会事務センター,賛

助会員の方々,ホテル「おかだ」関係者及び私の教室員の人々の大いなる協力で盛会裡に無事終了しました。

ここに心から感謝いたします。

今後の問題として,①宿泊事務は専門家に任すこと②宿泊費用は出来る限り低くすること③観

光ないし見学の時間帯を考えること④受付け業務を整備する等が考えられます。参加者の方々の中で御気付の点がありましたら, 日本組織培菱学会会員通信までお知らせ下されば幸いです。

§箱根湯本での日本組織培養学会第58回大会に出席して

大分医科大学内科第一 桶田俊光

今まで多くの学会に出席しましたが,いつも東京,大阪など大都市のビルディングの一角が会場でし

た。しかし,組織培養学会に関しては,以前に倉敷のアイビースクェアなどユニークな場所が時々会

場となっているようです。今回,箱根湯本での開催,はずかしながら,私にとっては箱根を訪れるのb 4 ・

ははじめてでした。大分から出てくるのには,交通の便がわるいところで, どうしてこのような場所

で開催されるのか, また学会の初日の午前中に観光が組み込まれているのか,出席前は多少疑問に思

っておりました。しかし,これらの疑問は学会に出席しているうちに次第に私なりに意味がわかった

ような気がしました。学会では演題発表時間に対して,他の学会ではみられないような十分な時間が

とってあります。すなわち,活発な質疑応答が可能なわけです。このためには出席された先生方の緊

張がとけた, リラックスした自由な雰囲気が必要と思います。この地は,その点,最適の場所で,午前中の観光も非常に良かったのではないでしょうか。

私はワークショップでは,細胞の温度感受性のテーマに参加させて頂きました。一般演題とは違っ

て,色々な違った細胞を培養している先生方がそれぞれの専門分野からの立場で, 1つのテーマのも

とに色んな角度から細胞の特性について検討するものでした。ここでは,非常に活発な質疑応答がみ

られました。先生方皆さん, リラックスされて,本音をぶつけ合うような雰囲気でした。ワークショ

ップの終り近くには, ビールを飲みながらということになりました。このような自由な論議の出来る

場は, とくに若手研究者にとっては刺激のある会となったのではないでしょうか。その中から,色々

な疑問に対するアイデアなり,研究の方向性が生まれるのではないでしょうか。ただ1つ》残念だっ

たことは,興味ある他のワークショップに参加出なかったことです。これは時間的に無理なお願いか

もしれませんが’ もう1つ出来れば聞くことが可能ならば良かったのですがb今後ともこのような学会が開催されることを期待します。

-6-

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憂うる

濁協医大 高岡聰子

箱根での組織培養学会に出席して, 「培養学会も変わったな」と思いました。日本組織培養研究会

が発足して, 4半世紀以上の年月が過ぎたのですから,変わることがあたり前でしエうが,昔の学究的

な雰囲気,若さ,熱気が殆んど失なわれていることが,かなしくさえ思われました。

会長制をとり入れ, 40才幹事定年制を廃し,ピブリオグラフィの刊行をあきらめ,研究会を大会に

するという改革が, この衰頽をもたらしたように思えてなりません。

第1回組織培養研究会が開かれた昭和31年代は,培養仲間が集ってそれぞれの分野での研究発表を

持ちよって討論するという場が必要な時代でした。しかし,現代は,学会や研究会があふれ,技法の

セミナーさえも,あふれています。その上,組織培養研究会が当初の目的とした, 「培養技術を一般

にひろめる」ということに関しては, もう十分貢献してきたわけです。矢張り-いさぎよく解散す

るべき-ではなかったでしょうか。

一蝿の単なる杷憂にすぎないのかも知れません。しかし,気障な言い方をすれば-我が愛する培

養学会の現状に心が痛む一あまりに一文を寄せました。

§ 関連学会報告

★モノクロナル抗体を用いた腫瘍マーカーの研究: '85の現況

濁協医大組織培養研究センター 間中研一

Kohler&Milstein(1975)により開発されたマウスXマウス細胞融合によるモノクロナル抗体作

成法は,現在,種間あるいはヒトxヒト細胞融合によりヒト型抗体の作成,及びこれらハイブリドー

マの大量培養へと技術的進歩を遂げた。

一方,癌研究においては,腫瘍抗原の発見が診断と治療を可能とするとの考えから,癌細胞培養

株,癌関連物質あるいは発癌遺伝子の発現蛋白質などを抗原としたモノクロナル抗体の作成が試みら

れ,それらの特異性の検索,診断学的評価,また一部に於いては免疫療法への応用が進みつつある。

例えば, CEA,CA19-9,AFPやメラノーマ抗原及びそれらのモノクロナル抗体は,診断学上の有

用性が認められ,ほぼ一般化した検査法として用いられている。

現在まで報告された抗腫瘍モノクロナル抗体について,その特徴を挙げてみると,細胞あるいは細

胞膜を免疫原として同定された腫瘍関連抗原の決定基は,そのほとんどが糖鎖にあること,特にシア

ル酸を含む場合強い抗原性を有すること,細胞を免疫原とする限り, アミノ酸配列部分に関連する腫

瘍抗原は得難たいこと,また癌化における糖鎖異常には共通の変化部分が認められていず, これらの

抗原を利用しての癌への対応には,かなりの複雑化が予想されること,などであろう。また,それら

抗体の特異性については,精力的な検索によりかなり多種の腫瘍について検討され,部分的特異性を

それぞれ有していると考えられる。しかし,報告された多くのモノクロナル抗体には特異性に幾分か

問題点があり,即ち, 1.免疫酵素組織化学における組織固定剤には吟味が必要なこと。2.抗原細胞以

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外にも,粘液,膠原線維,角質,あるいは血中のある種のイムノグロプリンなどに反応した場合(お

そらく, イムノグロブリンのV領域以外にも吸着部位があるのだろう),それをV領域の反応と区別

するために,モノクロナル抗体をFab以上に分解してみること。3.抗原抗体反応を示す定量的取り扱

いをすること。 4.ABC法など高感度徹趾測定に際しては二次抗体の特異性を吟味すること, これら

の点の解決を計ることが腫瘍抗原の発見に必要ではなかろうか。

一方,発癌に関連した蛋白の発現についてのモノクロナル抗体の話題は,昨年10月のNATURE

誌に掲職されたSchlomらの報告が興味深い。即ち,Hu-rasp.21に対するモノクロナル抗体がヒ

ト大腸癌の前癌病変域でなく,発癌ステージの比較的遅い時期と見なされる部位にp.21の発現を捉

えた。更に, raS遺伝子発現機構の解明が待たれる。

以上が,モノクロナル抗体法を利用した腫瘍抗原検索の現況であるが,果たして将来,腫瘍に共通

の,あるいは共通性の高い抗体が発見されるかどうか, 目下,多くの累積されたデータの見直しによ

り標的を絞った研究方向へと転換しつつあるように思える。

§研究室だより

★雪印乳業生物科学研究所

雪印乳業生物科学研究所は, 1983年,栃木県下都賀郡石橋町に,乳業界におけるバイオの先陣とし

て設立されました。干瓢畑と田圃と林に囲まれた関東平野の北の端に在ります。東北本線石橘駅より

車で5分,田園風景の中に立つ白亜の建物は新幹線からも見る事が出来ます。近所には, 自治医大と

濁協医大があります。

約19,000mgある敷地内には6階建の研究棟を中心に,動物実験棟,RI実験棟,培養実験棟等を,

計6棟が林立しています。 134人の所員のうち,約70名が研究員ですb研究員の内には,これらの建物

の3カ所以上の実験室を利用する者もいます。

当研究所に於いても組織培養の技術は不可欠で,どの実験棟でも,細胞や組織の培養を行なう事が

出来る様になっています。組織培獲を用いた研究のいくつかを紹介しますと,

1. ヒト胎児肺の線維芽細胞に血栓溶解剤を生産させる為の研究。またその為の大熾培養。

2. ホルモン産生細胞の培養や,その精製に用いるモノクローナル抗体の作製。

3. 開発中の抗癌剤の薬理作用を細胞レベルで解析する研究。

4. 化学物質の安全性を検討する一環として行なう,動物細胞を用いた変異原性研究。

5. 受精卵分割移植でも,卵割をCQインキユベーター内で行なわせる研究。

等が行なわれています。

どのテーマ担当者もバイオテクノロジーを企業化させる為に,貧欲な試みに挑戦しています。

さて,昨今の生命科学と離れた所で作られたバイオプームには,我食企業内で研究をする者にとっ

てもしばしば眉をひそめたくなりますが,この熱病の様なバイオ旋風が,企業経営者に基礎研究の重

要さを再認識させた事も確かです。当研究所に於いても応用研究より基礎研究が中心で約7割の所員

が基礎研究部門に所属しています。また,研究テーマの大半は,各研究者の創意が採用されています。

-8- ●

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研究費の面でも,試薬や消耗品類は充分用意されています。一方,犬学や他の研究機関との協同研究も盛んに行なわれています。

設立されたばかりの無名に近い研究所が,将来,外に向って通用する研究所になり得るかを考える

と,荷の重さを痛感致します。生体外に取り出して,培養された細胞の個性の豊かさにとりつかれ,

基礎研究に勤しむ我々研究者にとっては,細胞が元気であるかどうかが重要であり,今日も薬剤の細胞に対する薬理作用の研究に励んでいます。

既に何度かこの研究所の紹介は商業誌等でもなされましたが,本学会会員通信の様なアカデミック

な場での紹介はこれが初めてです。

なお, この様な機会を与えて下さいました濁協医大の高岡先生に心から感謝致します。

★明治乳業株式会社

当社はライフサイエンス分野への本格的取組の為,昨年8月に神奈川県小田原市に,生体に根ざした

基礎的研究から「人間の健康を科学的に考える」研究所として“明治乳業へルスサイエンス研究所

(略称MIH)"を設立致しました。MIHは16,500m2の敷地に7階建の研究棟を設け,一般実験

室の他, RI実験センター,動物実験センター,大量培養室等を有しております。

MIHの研究体制は,現在8つの基礎研究部門(生化学,遺伝生化学,生物有機化学,微生物学,細胞

生物学,分化発生学,免疫遺伝学,分子生物学)と開発部門に当たる特別研究グループで構成されてお

ります。この様にMIHは基礎研究を重視しており,研究テーマは研究者自身のプロポーザルによって

決定され,その研究成果は国内外の学会や学術誌に発表され,評価を世に問うというシステムを採用

しております。

組織培養の取組は,動物細胞を中心に,細胞生物,分化発生,免疫遺伝等の基礎研究部門と細胞工

学的手法で物質生産を目指した特別研究グループで行っております。現在の組識培養に係る研究テー

マの一部を紹介致します。

(1) リンパ球表面抗原の研究:既にマウスリンパ球表面抗原を検出する約50種のマウスモノクロー

ナル抗体を自社開発し,免疫,病理等の基礎医学用の研究試薬として市販している

②ヒト ・ヒト-'、イプリドーマに関する研究

旧)動物細胞の生育因子に関する研究

(4) 動物細胞への形質導入と形質発現に関する研究

⑤細胞分化に伴う細胞膜表面蛋白質に関する研究

(①各種細胞膜レセプターに関する研究

(7) マウス胚の体外培養による造形運動の研究,その異常としての奇形発生メカニズムの研究

旧) ウシ及びマウスの胚子移植及びマニピュレーションに関する研究

これらの基礎研究の他に,開発研究として, ヒト細胞が産生するTPA(ティシュ・プラスミノーケ

ソ・アクチペーター)やHBsAg(B型肝炎ウィルス表面抗原)等の物質生産をプロジェクト方式で

取組んでおり,細胞株の育種,大量培養,大量精製法等の生産技術の開発を行っております。

最後に,紙面をおかりして,先般の組織培養学会大会のエキスカーションの途中,MIHに多数お越し

-9-

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頂きましたことを御礼申し上げます。

§ CellBiology lnternational Reportsへ投稿のおすすめ

CBIRアジア地区担当編集委員 沖垣 達

CellBiologylnternationalReports(AcademicPressLondon発行,月刊)は速報を中心

とした比較的新らしい専門誌です。細胞生物学全般にまたがる論文を掲戚していますが,そのうちで

も細胞培養および培養技術に関する論文は高い頻度で取りあげられています。

この雑誌の特長は,

pagechargeを取らない

著者のtypingの写真版が印刷される

Onepagepaperは4-6週間で発表される

Standardpaper(4-5pages)は12週間で発表される

などです。過去においては欧州主体の雑誌でしたが,今後は日本からの投稿を歓迎します。御希望の

方にはInstructiontoAnthorsと, LayoutSheetsをお送りします。

§編集後記

暑中お見舞申し上げますb今回より一時途絶えていた研究室だよりを復活させました。当面,比較的

新しい研究室を中心に追ってみたいと思います。 (なお,原稿は到着順に掲載いたします)

次号は11月中旬発行予定です。ご投稿をお待ちいたしております。 (T.T・&T、O、)

-10-

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§ 住所等の変更

名氏 新所属機関 〒 同住所・電話番号

伊井一夫岩城硝子㈱組織培養室 273船橋市行田1-50-1 (0474)21-2196

24‘⑧ツ蔽雲露撫&熟。3号甲野充子(旧姓:太原)

小山恒太郎 三光純薬㈱品質管理センター 273船橋市海神町2-3-21

602京都市上京区河原町通丸太町下ル伊勢屋町406マツヲピル4F (075)241-4054

312-02栃木県下都賀郡壬生町大字北小林880 (0282)86-1111

菅原 努菅原事務所

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高木道正独科医科大学皮膚科

永井 彰東海大学沼津教養部 410-03沼津市西野317

西冨 保三菱化成安全科学研究所 314-02茨城県鹿島郡波崎町砂山14

林 俊郎茨城大学理学部生物学教室 310水戸市文京2-1-1

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藤田学園保健衛生大学医学部

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海外出張

470-11 豊明市沓掛町田楽ケ窪1-98 (0562)93-9377

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学 日本ハム食品㈱ 498三重県桑名郡木曽岬村三崎601-1

洋司 微生物工業技術研究所 (0298)54-6070動植物細胞研究室305茨城県筑波郡谷田部町東1-1-3

三原

=井

〔賛助会員〕

(03)918-8166

(中家茂)17O豊島区巣鴨2-11-1日水製薬㈱試薬部学術課

(03)913-6261

(所長延原正弘)115北区神谷1一1持田製薬㈱l

樗画I

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§新入会員(昭和60年5月承認)

名氏 所属機関 〒 同住所・電話番号

浅野昌司 アース製薬㈱技術部 678-01 赤穂市坂越3218 (07914)8-8001

磯辺 靖東京医科歯科大学整形外科 113文京区湯島1-5-45 (03)813-6111

321-02栃木県下都賀郡壬生町大字北小林880 (0282)86-1111榎並淳平稠協医科大学第一生理

黄海文日日 東京医科歯科大学整形外科 113文京区湯島1-5-45 (03)813-6111

(内3305)

(082)251-5178

(内513)

01』四11

草野敬久 広島女子大学 734広島市南区宇品東1-1-71

(096)363-1111(内3233)

桑名 責熊本大学医学部解剖学第3講座 86o熊本市本庄2-2-1

小出典男 岡山大学医学部附属病院中央検査部 700岡山市鹿田町2-5-1

幸野 健大阪市立大学医学部皮膚科学教室 545大阪市阿倍野区旭町1-5-7

(0862)23-7151

(内3358)

(06)633-1221

高上悦志九州大学医学部第一内科 812福岡市東区馬出3-1-1 (092)641-1151

古賀龍彦九州大学医学部第一内科 812福岡市東区馬出3-1-1 (092)641-1151

国分友邦工藷羅驚騨濯#灌所 305茨域県筑波郡谷田部町東1-1-4 (0298)51-9127

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小島 肇 日本メナード化粧品㈱生化学研究所

小林光樹東北大学抗酸菌病研究所細胞生物学部門

佐,々木澄志国立衛生試験所変異原性部細胞バンク

(0584)89-5659503大垣市浅草町4-66

(0222)74-111198O仙台市星陵町4-1

(03)700-1141(内460)158世田谷区上用賀1-18-1

879-56大分県大分郡挟間町医大ケ丘1-1506

(0975)49-4411佐藤靖史大分医科大学内科第一

(0862)23-7151700岡山市鹿田町2-5-1白石則之岡山大学医学部放射線医学

(05384)2-4356437静岡県袋井市堀越717情野一郎三共株式会社安全性研究所00悼心01

879-56大分県大分郡挟間町医大ケ丘1-1506

(0975)49-4411高倉 健大分医科大学内科第一

(06)302-7281532大阪市淀川区十三本町2-17-85竹内昌男㈱発酵研究所

(0862)23-7151700岡山市鹿田町2-5-1津島知靖岡山大学医学部泌尿器科

(0862)23-7151700岡山市鹿田町2-5-1中井 肇岡山大学医学部第一外科

(092)641-1151812福岡市東区馬出3-1-1中野修治九州大学医学部第一内科

(092)641-1151812福岡市東区馬出3-1‐1中山政明九州大学医学部第一内科

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延原正弘 持田製薬㈱研究所 115北区神谷1-1-1 (03)913-6261-、凸●~●

879-56大分県大分郡挟間町医大ケ丘1-1506

浜口和之 大分医科大学内科第一 (0975)49-4411

(0862)23-7151(内2615)

半田佳彦 岡山大学大学院医学研究科 700岡山市鹿田町2-5-1

福岡正恒 京都大学医学部産婦人科 606京都市左京区聖護院川原町54 (075)751-3288

(011)611-2111(内2392)

古川一典 札幌医科大学がん研究所病理 060札幌市中央区南1条西17丁目

(011)611-2111: (内2313)

寸山敏松 勝博

札幌医科大学第2病理 060札幌市中央区南1条西16丁目11]m11

(03)700-1141(内461)

水澤 国立衛生試験所変異原性部 158世田谷区上用賀1-18-1

宮崎耕治 九州大学医学部第一外科 812福岡市東区馬出3-1-1 (092)641-1151

(0862)23-7151(内2465)

宮崎雅 史 岡山大学医学部第一外科 700岡山市鹿田町2-5-1

(0862)55-1211(内38)

岡山県赤十字血液センター研究課

宮本寛治 700岡山市いずみ町3-36

(011.)611-2111(内2391)

060札幌市中央区南1条17丁目望月洋一

山口啓輔

札幌医科大学がん研究所病理

879-56大分県大分郡挟間町医大ケ丘1-1506

大分医科大学内科第一 (0975)49-4411

一、。 ~ 、. = ■里 つ グー、 .一 一凸. ロ←一

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I。

吉田 剛㈱資生堂研究所 223横浜市港北区新羽町105q_ (045)542-1331

(06)301-1231(内2407)吉田東歩㈱発酵研究所 532大阪市淀川区十三本町2-17-85

吉田 豊札幌医科大学病理学第2講座 060札幌市中央区南1条西17丁目 (011)611-2111

若松利男 キューピー㈱基礎研究所 182調布市仙川町2-5 (03)308-5126

〔賛助会員〕10群、Ⅱ0

キリンビール㈱開発科学研究所 (0272)52-7001371群馬県前橋市総社町1-2-2

ヤマトラポテック㈱ 104中央区新川1-3-21

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発行責任者

沖垣途(垂井研),常盤孝義(岡山大・医)三井洋司(微工研),大野忠夫(放医研)間中研一(独協医大),喜多野征夫(阪大・医),

会員通信

第57号日本組織培養学会 大島浩(大阪歯大)

岡山市鹿田町2-5-1

岡山大・医・癌研病理

電話0862-23-7151

(〒700)昭和61年2月14日発行

§ 日本組織培養学会第59回大会のご案内4■■

1. 会場:私学会館

〒102東京都千代田区九段北4-2-25▽

2.会期:昭和61年7月13日~15日

3. ワークショップ(仮勘

・培養とバイオテクノロジーの接点

(オーカナイザー;小原侃,古沢満)

・培養におけるセンイ芽細胞の特性

(オーガナイザー;加治和彦)

。無血清培地の現状と展望

(オーガナイザー;佐藤二郎)

o inViVO-inVitrO微細構造の関連性

(交渉中)

4.演題申し込み:昭和61年4月30日

申し込みをされた方′々には, 「組織其

お送り致します。 (〆切5月末日)

「組織培養研究(抄録)掲職のための講演要旨用用紙を

5.世話人:奥村秀夫

国立予防衛生研究所, ウイルス・ リケッチャ部

〒141東京都品川区上大崎2-10-35

Tel. (03)444-2181,内線300

-1-

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§ 第3回国際細胞培養会議を終えて

東北大学抗研・細胞生物松谷 豊

第3回国際細胞培養会議は同会議組織委員会と日本組織培養学会との共催により, 9月10日

より13日までの4日間にわたり,仙台市民会館で開催された。会議は約500名の参加者を迎え,

うち約100名は外国人であった。 参加者を始め,皆様のご支援のお蔭で会を大変成功裡に終え

ることができた。この会議の学術的成果については,何れなんらかの形で出版されるかと思うが,

この会議の事務局にたずさわった1人として,裏方から見た会議体験記の形でまとめてみた。

事務局といっても,動員できる人数は限られているし,時間的にも制約があり,また予算的裏

付けも期待できない状態でスタートした。山根会長には資金調達で東奔西走して頂き,ご心労を

お掛けして申し訳なく思っている。会議の準備は基本的にはできる限り手作りで行い,いわゆ

る学会屋には頼まないでやろうということにした。そのため,思わぬミスや手違いを生じ,ご迷

惑をお掛けした点もあったが,大筋ではそれでよかったと思う。その作業に当り, これ迄国内で

行われてきた国際学会の資料やパンフレットを集めたり,国際学会を主催された方々の苦労話や

アドバイスを頂いたりして見聞を広めた。この会議は国の内外の招待演者を中心に, シンポジウ

ム形式で行うこととし,第1, 2回を通して取り上げてきた分化細胞の大蹴培養を今回も柱の一

つとし,更に成体より分離した分化細胞を如何にすればその機能を保持した状態で培養できるか

というテーマを中心に据え,肝実質細胞,膵ラ氏島細胞,乳腺上皮細胞,血管内皮細胞および神

経細胞の初代および長期培義法をとり上げた。更に,増々その重要性が認識されてきた細胞株の

保存と供給に関するCellBankingのワークショップを持つことにした。これに中国を始めアジ

ア地域で特に関心の深い無脊椎動物細胞の培義法を加え,全プログラムの大綱が, 日本組織培養

前会会員から構成されたプログラム委員との討議の中から決定された。海外では特に米国組織培

学学会の前・現会長を始め,主だった役員の全面的支援を得たのも,この会を盛り上げるエネル

ギーの一つになった。こういった地道な話し合いの積重ねから, ようやくその細目が決まりセカ

ンド・サーキュラーを作ることができた。この段階で, これらの分野に関心の深い方々の多数の

参加をうながすため,その登録料は大学院生や公的機関の研究者を特に優遇する配慮をした。そ

れから,先の国際細胞生物学会で悪評を買った学会屋(JCS)に一部業務を依託する羽目に陥っ

たが,前車の轍を踏まないためにも, しかるべき心栂えをして交渉に当った。最終的に業務依託

を行ったのは,先づ海外からの登録料払込みは銀行振込みの現金化の煩雑さを考え, クレジット

カードによる払込みと併用することにしたため, JCSはその業務を行える点, 海外よりの招待

者の格安航空券の調達および賛助金調達のため免税枠をもった科学振興財団のあっせんに限った

(後に登録関係の業務も追加したが)。そういった経過を経た中で,手作り学会を標傍し, シン

ボルマークや表紙・ポスターのデザインを決めたり,見よう見まねで何とかセカンド・サーキ

ュラーを作りあげ,地元で印刷し,海外に発送し終えたのが,昨年の暮れであった。登録料の割

引き料金の締切りが本年5月末日ということで参加者の申込みを待った。登録申込みの反応が意

外に遅く,一喜一憂する落着かない日々を送った。その間, SocialProgramのプランを練った

-2-

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が,これには地元の主婦を中心とするボランティアグループに終始一貫して携わって頂いて深く感

謝している。学会場和室での日本芸能の紹介および懇親会の余興としての舞い雛子,琴および日

本舞踊で, このような演目は出演者の熱演もあって海外よりの参加者および同伴者には殊の外う

けて,会を最高に盛り上げることができた。次に学会当日の学術プログラムの進行について触れ

ると,各シンポジウムに5人の演者を当て, 3時間を費したので討論にも十分に時間をさくこと

ができた。叉,一般演題はすべて示説としたが,これも120題近い申込みがあったが, 2日に分けて行い一日の示説の枠で1時間の演者出席時間を設け,参加者との質疑応答時間に当てた。こ

の時間帯はシンポジウムの時間と重ならないように配感した。これも参加者との討議を重ねるの

に好評であった。兎に角,期日がせまってくるにつれて事務局スタッフや支援してくれたアルバ

イト学生やボランティアの方なの熱気が高まり,一生懸命やって頂いて,大したトラブルもなく

無事会を終えることができた。仙台は上野から新幹線で2時間の距離で,交通の便もよくなり,

医学関係の国際学会ないしシンポジウムが相次いでいるが,会議,宿泊,商業展示などが同時に

進行できる国際会議場の設立が切に望まれる。終りにこの会議を介して,山根会長の肝入りで,

米国,欧州および日本の組織培養学会の会長が一堂に会して話合いがもたれ,細胞培養の世界連

一Ⅱ

合体が発足することになったことを申し添えて結びとする。

0

○●

-3-

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§研究室だより

☆森永生科学研究所

㈱森永生科学研究所は,昭和46年12月, 横浜市にバイオ研究のため,森永製菓㈱研究所の

生科学研究室として発足。昭和55年10月に森永製菓全額出資の子会社として独立しました。現

在約20人の所員がおり,研究施設として一般実験室の他, RI実験室, 動物実験室,培養実験

室等を有しております。

最近では癌診断或いは治療薬として将来が期待されている。 ヒトーヒトモノクローナル抗体の

研究に成功,無血清培地を利用して大量培養を可能とする技術開発も進めています。又腫瘍関連

抗原の酵素免疫測定法による診断システムの開発も実施中です。

当研究所では,以上の診断薬開発にとって組織培養の技術は不可欠の要素であり,関連するテ

ーマの一部は次の通りです。即ち,

1. ハイブリドーマの培養方法及び培地。

2. 腫瘍関連抗原の培養細胞による産生法,及び培地。

3. 無血清培地。

4. アミノ酸のペプタイドヘの取込み酵素とその作用機序。

5. 遺伝子組替えによる生体有用物質の生産。

6. 動物細胞の成長因子の研究。

等を進めており,更に癌の早期診断のための巾広い診断薬の研究と癌治療薬開発のための基盤作

りに全員精力的に取組んでおります。

最後に,当社紹介の機会を与えて下さったことに感謝いたします。

☆藤崎細胞センター

当研究所は1985年4月5日,岡山市藤崎675-1に㈱林原生物化学研究所藤崎研究所(1981

年1月竣工現在“ハムスター生体内ヒト細胞増殖”, “ハムスター法”によるインターフェロン

及びその他の生理活性物質の産生及び研究施設,建築面積3,983.70㎡)の隣接地に地下一階,地

上3階の施設(建築面積1,863.78㎡)として新設されました。初代センター所長として,米国

及びスエーデンにおいてヒト白血病リンパ腫細胞の研究生活25年の経験者,裳和田潤医博を迎

え,約400株のヒト造血細胞株の収集とともに発足し,基礎的研究グループとしての役割をもっ

ております。初年度の研究員は7名で毎年数名の研究員を増加すると共に,林原国際研究員制度

(International ResearchFellowshipProgram)をもうけ, 来年度より年間2名の外国人

研究者を募集することにより,基礎研究体制の国際間交流を充実させる計画であります。細胞セ

ンターの主な施設としては細胞バンク,セルソーター実験室,細胞培養実験室, ウイルス実験室

(P3レベル),免疫学実験室,生化学実験室,隔離実験室群(P3レベル),精密特殊分析室,

隔離実験動物室,純水調製設備等をそなえ,高度な空調設備,実験室排水処理キルクタンク設備

等があり,あらゆる細胞工学実験に予想されるバイオハザードに対処されております。

細胞センターの研究テーマとしては,センター全体として上記のヒト造血細胞バンクの整備,

0

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管理及び研究を充実して,林原生物化学研究所内のみならず国内外の大学等研究施設からのヒト

造血細胞株の要望に対処する計画であります。

その他の研究テーマは上記ヒト造血細胞を材料とする公約数の中で,各研究者自身の研究プロ

ポーザルによって決定され,その研究成果については国内外の学会や学術誌に発表評価されるこ

とが期待されます。

従って細胞センターの研究テーマは, ヒト白血病リンパ腫の研究継続は勿論のこと,有用生理

活性物質の検索発見,細胞マーカーの研究,細胞機能の研究,基礎細胞免疫学研究,細胞分化機

構の研究,分子生物学的遺伝子研究,染色体研究, ウイルス学研究,薬理学的研究,分子代謝機

構研究,細胞増殖抑制因子研究,細胞培養技術研究,開発等にまたがる広範な門戸が解放されて

おります。今後3-5年の想定で研究所の研究テーマはおのずと2-3の特定分野に限定される

と考えられます。一方現在すでに国内国外の大学等の研究機関とヒト白血病リンパ腫をテーマに

した共同研究が活発に続けられています。

また当研究所の活性化を促進する活動の一環として毎月一回国内外の指導的研究者,臨床家に

よる研究セミナーを行っています。さらに当研究員には必要に応じて国内及び国外出向留学の道

も開かれています。最後に,一歩一歩でありますが,設立されたばかりの当研究所が内外共に優

れた有用な,産学官のハイブリッド的存在になるよう努力する覚悟でおりますので,本学会会員

通信をお借りして会員諸先生方の御指導御嬢捷をお願い致します。

00画

§ Post-Doc.Position

南カリフォルニア大学のColinHill博士は,各種培養細胞を用いて放射線による突然変異や

細胞がん化誘発効果を調べている精力的な若手研究者(35才)です。最近の手紙によりますと,

新しく紫外線の生物作用(培養哺乳類細胞を用いた突然変異とがん化)に対する波長依存性とそ

の損傷修復機構に関する研究をスタートするために, Post-mc・の留学生を求めています。

興味のある方は至急ご連絡下さい。

詳細な内容をお伝えします。

留学先:Dr・ ColinK.Hill

AssistantProfessorofRadiationOncologyandHeadofCancer

ResearchLaboratory

UniversityofSouthernCalifornia,School ofMedicine

SouthernCaliforniaCancerCenter

1414SouthHopeStreet

IcsAngeles, California 90015,U、S.A.

連絡先:〒920金沢市宝町13番1号

金沢大学薬学部放射薬品化学教室

鈴木文男

(電話)0762-62-8151 (内)4863

L1回

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§ 編集後記

遅れておりました会員通信冬号をお届けいたします。

早くから原稿をお寄せいただいていた先生方には,ご心配をおかけいたしたと思います。今回

は大会案内の他,松谷会員による国際培瀧会議の裏方記を中心に編集いたしました。次号は幹事

(T、T,&T、O、)選挙の関係で, 3月上旬発行予定です。

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