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2019.5.1017 2019.5.1017 42 43 世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。この コーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホ テル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてき たが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合 い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名 取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載で は、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、 コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写 真を掲載する。 「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」はスイート 41 室を含む全 282 室を擁し、広々 とした正面玄関車寄せやエントランスホールには正装のドアマンが立つ ラウンジ「Almada Negreiros Lounge」の周りには現代ポルトガルを代表するアー ティストの絵画が多く飾られている 「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」の印象は、エントランスホールから中央ラウンジに至る広大な空間など、すべてのフロアに余裕がある。2003 年に大改装を施し、 その際の卓越した空間演出に好感が持てる 「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」の正面エントランス車寄せ。1997 年からフォーシーズンズホテルズが運営に参画し、ホテルの発展に大いに貢献して現在の名称 を掲げている。ホテルは新市街の中心であるポンバル広場に隣接し、10 階建てのスマートな外観は現在でも新鮮に感じる 筆者 小原 康裕 国際ホテルジャーナリスト 慶応義塾大学法学部法律学科卒。 1974 年 Munich Re 入社。 2001 年投資顧問会社原健設立、 代表取締役 CEO。 JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント 協会常務理事。 SKAL International Tokyo、 Professionnels du Tourisme 会員。 JARC、日本宿泊施設関連協会 アドバイザリーボードメンバー。 www.jhrca.com/worldhotel/?cat42 www.hoteresonline.com https://www.facebook.com/yasuhiro.obara.16 ホテル館内中央に位置するゴージャスなラウンジ「Almada Negreiros Lounge」 多くの調度品は 18 世紀のクラシックスタイルで統一され、カーペット・絵画・ 彫刻の数々が空間に華を添え、館内はまるで美術館の雰囲気でもある Four Seasons Hotel Ritz Lisbon フォーシーズンズ リスボンの創業はポルトガルの首相であり 大統領、そして独裁者となったオリヴェイラ・サラザールの夢で あった。ヨーロッパのいかなる首都にも負けないホテルの建設を 合言葉に 1959 年に開業したポルトガル最高峰のホテルである。 97 年からフォーシーズンズ ホテルズが運営に参画し、ホテル の発展に大いに貢献して現在の名称である「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」(以下、FS/RL)を掲げている。ホテル名に託された “Ritz” の呼称はセザール・リッツの子息、チャールズ・リッツか ら名称の使用を許諾されたと言われる。ホテルは新市街の中心で あるポンバル広場に隣接し、10 階建てのスマートな外観は現在 でも新鮮に感じる。 FS/RL にある多くの調度品は 18 世紀のクラシックスタイルで 統一され、現代ポルトガルを代表するアーティストによるカー ペット・絵画・彫刻の数々が空間に華を添え、館内はまるで美術 館の雰囲気でもある。目の前にエドゥアルド 7 世公園が広がるロ ケーションは視界を遮るものが何もなく、高層ホテルではないに も関わらず客室のバルコニーから見渡す眺望は抜群である。屋上 部分にはフィットネスセンターがあり、驚くことにテラスにはラ VOL 191 世界のリーディングホテル www.hoteresweb.com/columntop Four Seasons Hotel Ritz Lisbon フォーシーズンズ ホテル リッツ リスボン

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Page 1: Four Seasons Hotel Ritz Lisbon VOL191ohtapub.co.jp/wlh200/WLH191.pdf「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」の印象は、エントランスホールから中央ラウンジに至る広大な空間など、すべてのフロアに余裕がある。2003年に大改装を施し、

ー 2019.5.10・17ー ー 2019.5.10・17ー42 43

世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」はスイート 41 室を含む全 282 室を擁し、広々とした正面玄関車寄せやエントランスホールには正装のドアマンが立つ

ラウンジ「Almada Negreiros Lounge」の周りには現代ポルトガルを代表するアーティストの絵画が多く飾られている

「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」の印象は、エントランスホールから中央ラウンジに至る広大な空間など、すべてのフロアに余裕がある。2003 年に大改装を施し、その際の卓越した空間演出に好感が持てる

「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」の正面エントランス車寄せ。1997 年からフォーシーズンズホテルズが運営に参画し、ホテルの発展に大いに貢献して現在の名称を掲げている。ホテルは新市街の中心であるポンバル広場に隣接し、10 階建てのスマートな外観は現在でも新鮮に感じる

筆者 小原 康裕国際ホテルジャーナリスト

慶応義塾大学法学部法律学科卒。1974 年 Munich Re 入社。2001 年投資顧問会社原健設立、代表取締役 CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会常務理事。SKAL International Tokyo、Professionnels du Tourisme 会員。JARC、日本宿泊施設関連協会アドバイザリーボードメンバー。

www.jhrca.com/worldhotel/?cat42 www.hoteresonline.comhttps://www.facebook.com/yasuhiro.obara.16

ホテル館内中央に位置するゴージャスなラウンジ「Almada Negreiros Lounge」 多くの調度品は 18 世紀のクラシックスタイルで統一され、カーペット・絵画・彫刻の数々が空間に華を添え、館内はまるで美術館の雰囲気でもある

Four Seasons Hotel Ritz Lisbon

 フォーシーズンズ リスボンの創業はポルトガルの首相であり大統領、そして独裁者となったオリヴェイラ・サラザールの夢であった。ヨーロッパのいかなる首都にも負けないホテルの建設を合言葉に 1959 年に開業したポルトガル最高峰のホテルである。97 年からフォーシーズンズ ホテルズが運営に参画し、ホテルの発展に大いに貢献して現在の名称である「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」(以下、FS/RL)を掲げている。ホテル名に託された“Ritz” の呼称はセザール・リッツの子息、チャールズ・リッツか

ら名称の使用を許諾されたと言われる。ホテルは新市街の中心であるポンバル広場に隣接し、10 階建てのスマートな外観は現在でも新鮮に感じる。 FS/RL にある多くの調度品は 18 世紀のクラシックスタイルで統一され、現代ポルトガルを代表するアーティストによるカーペット・絵画・彫刻の数々が空間に華を添え、館内はまるで美術館の雰囲気でもある。目の前にエドゥアルド 7 世公園が広がるロケーションは視界を遮るものが何もなく、高層ホテルではないにも関わらず客室のバルコニーから見渡す眺望は抜群である。屋上部分にはフィットネスセンターがあり、驚くことにテラスにはラ

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Page 2: Four Seasons Hotel Ritz Lisbon VOL191ohtapub.co.jp/wlh200/WLH191.pdf「Four Seasons Hotel Ritz Lisbon」の印象は、エントランスホールから中央ラウンジに至る広大な空間など、すべてのフロアに余裕がある。2003年に大改装を施し、

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スイート「Central One-Bedroom Suite」の気品あるベッドルーム。全体で 115㎡の面積を持ち、デラックスタイプの部屋 2 つを合わせてリビングとベッドルームにした構成だ

屋上部分にはフィットネスセンターがあり、驚くことにテラスにはランニングトラックが併設され、天空のジョギングコースで汗を流すのも気持ちよい

メインダイニングの名称「Veranda」の由来である美しいオープンエアのベランダ席

メインバーの「Ritz Bar」は重厚で落ち着いた空気感を醸し出している

玄関ホワイエから左手にリビングルームを望む。右手奥にベッドルームを配置している

広大な面積を確保したエレベーターホール。正面の重厚なドアがスイート「Central One-Bedroom Suite」で、“Ritz” を冠したホテルの矜持というものを感じられる

スパ・ウェルネス施設は充実しており、18 mのラッププールや英国スパブランドの「ESPA」とオーストラリアの「Sodashi」との製品を使用したトリートメントが好評だ

メインダイニングの名称「Veranda」のエレガントな店内。地元ポルトガルのシーフード料理が好評だ

バーラウンジ「Ritz Bar」のライブラリーコーナー

スイート「Central One-Bedroom Suite」の余裕あるリビングルーム。付属のテラスからリスボンの街並みを望める

ダークな色調を強調した豪華なバスルーム

ンニングトラックが併設され、天空のジョギングコースで汗を流すのも気持ちよい。 FS/RL はスイート 41 室を含む全 282 室を擁し、広々とした正面エントランス車寄せには正装のドアマンが立つ。今回は 115㎡の面積を持つスイート「Central One-Bedroom Suite」をご紹介したい。デラックスタイプの部屋 2 つを合わせてリビングとベッドルームにした構成で、テラスからリスボンの街並みを望める。メインダイニング「Veranda」は地元のシーフード料理が好評で、店名の由来であるベランダ席は人気だ。ホテル館内中央にゴージャスなラウンジ

「Almada Negreiros Lounge」があり、現代ポルトガルを代表する

アーティストの絵画が多く飾られている。隣接してバーラウンジ「Ritz Bar」があり、ライブラリーなど落ち着いた空気感を醸し出している。スパ・ウェルネス施設は充実しており、18 mのラッププールや英国スパブランドの「ESPA」とオーストラリアの「Sodashi」との製品を使用したトリートメントが好評だ。 FS/RL の印象はすべてのフロアに余裕があり、卓越した空間演出に好感が持てる。2003 年に大改装を施して、エントランスホールから中央ラウンジに至る広大な空間、各界のエレベーターホールの面積を活かしたレイアウトなど、“Ritz” を冠したホテルの矜持というものを感じられる。

VOL191世界のリーディングホテル www.hoteresweb.com/columntop Four Seasons Hotel Ritz Lisbonフォーシーズンズ ホテル リッツ リスボン