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FURUNO GPS/GNSS受信機 Model: GN-86/87, GV-86/87, GT-86/87シリーズ デザインガイド (Document No. No. SE13-900-000-05)

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FURUNO GPS/GNSS受信機

Model: GN-86/87, GV-86/87,

GT-86/87シリーズ

デザインガイド

(Document No. No. SE13-900-000-05)

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改訂歴

Version 改訂内容 改訂年月日

0 初版発行 2013.06.19

1 2.4節、表 3-5、図3-7、3.5.3項を修正 2013.07.31

2 表3-5、3.5.3項を修正 2013.12.11

3 1章、図3-1、図3-2、図3-5、図3-6、6章を修正 2014.10.09

4 表紙を修正 2015.05.26

5 3.5.1項を修正 2015.10.30

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目次

1 概要 ······························································································································· 1

2 RF部のプリント基板レイアウト ······························································································· 1

2.1 設計時の注意点 ·········································································································· 3

2.2 マイクロストリップライン ································································································· 4

2.3 λ/4ショートスタブによるESD保護 ····················································································· 6

2.4 電源供給用インダクタ ··································································································· 8

3 アンテナインターフェイス ··································································································· 11

3.1 LNA切り替え方法 ······································································································ 11

3.1.1 FLNA端子による切り替え方法 ················································································ 11

3.1.2 ANTSELコマンドによる切り替え方法 ········································································· 11

3.2 アクティブアンテナの使用例 ························································································· 12

3.3 パッシブアンテナの使用例 ··························································································· 12

3.4 SAWフィルタを挿入する場合 ························································································· 14

3.5 アンテナ検出回路 ······································································································ 15

3.5.1 アンテナ検出回路の概要 ······················································································· 15

3.5.2 アンテナ検出回路 / アンテナ保護回路 ···································································· 16

3.5.3 アンテナ検出の閾値の計算例 ················································································· 18

3.5.4 過電流保護の計算例 ···························································································· 18

3.6 パッシブアンテナを使った場合の実験結果と補足説明 ························································ 19

3.6.1 パッチアンテナのレイアウトによる電気的特性 ····························································· 19

3.6.2 レイアウトによるノイズの影響 ················································································· 24

4 電源供給時の注意点 ······································································································· 25

5 設置位置によるモジュールの機械的ストレスと注意点 ······························································ 25

6 関連図書 ······················································································································· 26

7 連絡先 ·························································································································· 26

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1 概要

本書は FURUNO GPS/GNSS受信機 86/87 モジュールを使用して、基板を設計する際に性能および品質

を確保するために必要な情報について記載したものです。本書の資料が対象となる機種は以下の通りです。 - GN-86F - GV-86 - GT-86 - GN-87F - GV-87 - GT-87 - GN-8615 - GV-8615 - GN-8715 - GV-8715

2 RF部のプリント基板レイアウト

本項ではアンテナ端子から 86/87モジュールのRF_IN端子までの、レイアウトについて記載しています。

図 2-1はアクティブアンテナ、図 2-2はパッチアンテナ(パッシブアンテナ)のレイアウトを、下記に示す

各節に詳細を記載しています。

・2.1 節 : レイアウト

・2.2 節 : マイクロストリップライン

・2.3 節 : λ/4ショートスタブ

・2.4節 : アンテナ DC電源供給用インダクタ

:λ/4 ショートスタブ

:アクティブアンテナ電源供給ライン

: 1.5GHz / 1.6GHz 50Ωマイクロストリップライン

 : グランド

アンテナDC電源供給用

インダクタ (39nH)

33pF キャパシタ

(DC カット)

アンテナコネクタ(アクティブアンテナを接続)

#11 RF_IN

#12 GND

#10 GND

86/87 モジュール

λ/4 ショートスタブ

(ESD保護)

50Ωマイクロストリプライン

図 2-1 RF部のプリント基板レイアウト(アクティブアンテナ)

△3

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:λ/4 ショートスタブ

: 1.5GHz / 1.6GHz 50Ωマイクロストリップライン

 : グランド

パッチアンテナ (パッシブアンテナ)

#11 RF_IN

#12 GND

#10 GND

86/87 モジュール

λ/4 ショートスタブ

(ESD保護)

50Ωマイクロストリプライン

図 2-2 RF部のプリント基板レイアウト(パッシブアンテナ)

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2.1 設計時の注意点

図 2-3に RF部のレイアウトを示しています。

モジュールの底面は信号線やビアホールが絶縁されずに露出しています。ショートモードの故障を防ぐ

ため、モジュールの底面に接する箇所にパターンを設けないでください。

2層基板を使用する際は、RFラインの下層をグランドに、多層基板を使用する際は RFラインの 2層目

をグランドにしてください。

RFラインの周辺はグランド面で囲い、ノイズが RFラインに回り込まないように配慮してください。詳

細は 2.2節の図 2-6を参照ください。

33pF キャパシタアンテナコネクタ

#11 RF_IN

#12 GND

#10 GND

86/87 モジュール

λ/4 ショートスタブ

50Ωマイクロストリプライン

ジャンパー抵抗

アンテナDC電源供給用

インダクタ (39nH)

図 2-3 RF部のグランドエリア (86/87評価用キット)

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2.2 マイクロストリップライン

アンテナコネクタから RF_IN端子までのプリント基板の設計は、受信性能に大きな影響を与えます。所

望の性能を得るために、下記の点を考慮して設計してください。

- RFラインは 50Ωとなるようマイクロストリップラインを形成してください。

- RFラインは可能な限り短く設計してください。

- RFライン付近にはデジタル信号源/ラインを配置しないでください。

- RFラインの周辺は図 2-6のようにグランド面で囲ってノイズが RFラインに回り込まないように配慮

してください。

マイクロストリップラインは基板上に 50Ωラインを形成するために、最もよく使用されます。図 2-4の

右下の図はマイクロストリップラインの構成を示しています。上側の導体部は伝送ライン、下側の導体部

はグランドです。マイクロストリップラインの特性インピーダンス(Z0)は、プリント基板に対する次のパ

ラメータによって決まります。

- 基板の比誘電率 (Er)

- 線路とグランドの距離 (H)

- 線路の厚さ (Tmet)

- 線路の幅 (W)

マイクロストリップライン上の特性インピーダンスの計算は、無償で公開されている Microstrip

Analysis/Synthesis Calculator(*1)の使用をお勧めします。図 2-4はこのソフトを使った一例を示します。

Notes: (*1) Microstrip Analysis/Synthesis Calculator (Copyright (c) 1994-2003, 2010 Dan McMahill All rights

reserved.) URL: http://mcalc.sourceforge.net/

図 2-4 Microstrip Analysis/Synthesis Calculatorを使用した算出例

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図 2-5に図 2-4で設計したマイクロストリップラインの伝送周波数特性を示します。

図 2-5 図 2-4のツールで計算したマイクロストリップラインの伝送周波数特性

マイクロストリップラインはプリント基板の表層に形成するため、高周波ノイズの影響を受けやすくな

っています。ノイズの影響を軽減させるために、図 2-6のようにマイクロストリップラインの周辺にグラ

ンドによるガードリングを行います。このときマイクロストリップラインとグランドの距離は、ライン幅

以上にしてください。これが小さい場合、マイクロストリップラインではなくコプレナーラインとなり、

計算条件がマイクロストリップラインと異なるため、図 2-4による計算結果に対し誤差を発生する恐れが

あります。

図 2-6 マイクロストリップラインのレイアウト例

MSub MLIN

MSUB

Term Term

TL7

MSub1

Term1 Term2L=23.5 mm

W=0.31 mm

Subst="MSub1"

Cond=5.96e7

Rough=0.00127 mm

TanD=0.018

T=0.043 mm

Hu=1000 mm

Mur=1

Er=4.3

H=0.178 mm

Z=50 Ohm

Num=1

Z=50 Ohm

Num=2

0.5 1.0 1.5 2.0 2.50.0 3.0

-1.75

-1.50

-1.25

-1.00

-0.75

-0.50

-0.25

-2.00

0.00

freq, GHz

dB

(S(2

,1))

1.598G-182.0m

m1

Transmission, dB

m1freq=dB(S(2,1))=-0.181

1.589GHz

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2.3 λ/4ショートスタブによる ESD保護

RFライン上に λ/4ショートスタブを接続することで、静電気耐圧の向上が期待できます。λ/4ショート

スタブはマイクロストリップラインとともに形成され、入力インピーダンスは電気長によって決まります。

λ/4ショートスタブを設計する際は、下記の項目を考慮してください。

- GPS/GLONASSの周波数帯に対して高インピーダンスとなり、挿入損失が極力小さくなること

- その他の信号に対しては低インピーダンスとなり、静電気がグランド側に流れること

2.2節で示したMicrostrip Analysis/Synthesis Calculatorは、λ/4ショートスタブの計算にも使用するこ

とができます。図 2-7にMicrostrip Analysis/Synthesis Calculatorを使用した λ/4の電気長の計算例を示

します。

GPSと GLONASSを同時受信する 87シリーズモジュール(GN-87、GV-87、GT-87)を使う場合、周波数

は GPSと GLONASSの中心付近 (約 1589MHz) に設定します。86シリーズモジュール(GN-86、GV-86、

GT-86)を使う場合は GPSの周波数帯 (1575.42MHz) に設定します。

図 2-7 Microstrip Analysis/Synthesis Calculatorを使用した算出例

図 2-7で設計した λ/4ショートスタブを接続した条件の伝送周波数特性を Agilent ADSTM

softwareを使

って求めた結果を図 2-8に示します。

この結果 1.589GHzでの挿入損失は 0.281dB、1.234GHzから 1.830GHzの周波数範囲での損失の変動

幅は 0.1dB以内で、λ/4ショートスタブを接続したときの影響は小さいと言えます。

アクティブアンテナを使用する場合、上記の損失は LNAの NFが支配的となるため、NFの合計は

λ/4ショートスタブを接続しない場合とほぼ変わりません。したがって λ/4ショートスタブを接続したと

きの影響はありません。

パッシブアンテナを使用する場合、図 2-8より 0.1から 0.3dB程度の損失が観測されますが、この損失

を許容範囲であると判断されるなら、ESD保護の観点より、パッシブアンテナを使用する際も、λ/4ショ

ートスタブを接続することを推奨します。

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図 2-8 図 2-7で設計したλ/4ショートスタブを接続した条件の伝送周波数特性をAgilent ADS

TMを使って

求めた結果

Microstrip Line

1/Lambda Short Stub

MSub MLIN MLIN

MLIN

MSUB

Term

Term

TL2 TL3

TL4

MSub1

Term1

Term2L=18 mm

W=0.31 mm

Subst="MSub1"

L=5.5 mm

W=0.31 mm

Subst="MSub1"

L=26.85 mm

W=0.3 mm

Subst="MSub1"

Cond=5.96e7

Rough=0.00127 mm

TanD=0.018

T=0.043 mm

Hu=1000 mm

Mur=1

Er=4.3

H=0.178 mm

Z=50 Ohm

Num=1

Z=50 Ohm

Num=2

m2freq=dB(S(2,1))=-0.378

1.830GHzm1freq=dB(S(2,1))=-0.378

1.234GHz

m3freq=dB(S(2,1))=-0.281

1.589GHz

0.5 1.0 1.5 2.0 2.50.0 3.0

-4.5

-4.0

-3.5

-3.0

-2.5

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

-5.0

0.0

freq, GHz

dB

(S2

,1)

1779300000.000-0.346

m2

1.257G-362.8m

m1

Readout

m3

Transmission, dB

m2freq=dB(S(2,1))=-0.378

1.830GHzm1freq=dB(S(2,1))=-0.378

1.234GHz

m3freq=dB(S(2,1))=-0.281

1.589GHz

wi 1/Lambda Short Stub

wo 1/Lambda Short Stub

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2.4 電源供給用インダクタ

一般的にアクティブアンテナには RFラインに DC電圧を重畳して電源を供給しますが、RFラインの特

性インピーダンスに影響を与えない必要があります。そのためにアンテナ電源供給ラインに下記の条件を

満たすインダクタを配置してください。

(条件)

① 自己共振周波数が GPSと GLONASSの周波数以上であること。

② GPSと GLONASSの周波数帯に対して高インピーダンスであること

③ GPSと GLONASSの周波数帯に対して挿入損失が低いこと

④ 消費電流に対して絶対最大定格が十分なマージンを持っていること

下記に太陽誘電製のインダクタ HK1005シリーズの中から上記条件を満たすインダクタを選択する例を

示します。表 2-1は HK1005シリーズの諸特性を、図 2-9はメーカーより提供されている TYP値でのイ

ンピーダンスの周波数特性を、図 2-10は周波数 1589MHzの条件で HK1005シリーズを接続したときの伝

送損失を示しています。

以下ではこれら資料を使用して、最適なインダクタを選定するプロセスについて説明します。

a.自己共振周波数からの選択

表 2-1の MIN値に加え、図 2-9の TYP値の自己共振周波数から、HK100556NJ-T 以上のインダクタ

はその自己共振周波数が GPSと GLONASSの周波数より低いため、条件①に合わないため除外します。

b.インピーダンスからの選択

図 2-9の GPSと GLONASSの周波数帯(GPS/GLONASS Band)でより大きなインピーダンスを持つ

のは、HK100547NJ-Tと HK100539NJ-Tとなり、条件②を満たすため、この 2種類を候補とします。

c.伝送損失からの選択

図 2-10よりHK100547NJ-TとHK100539NJ-Tの伝存損失が最も低いことにより、条件③を満たすため、

この 2つに絞り込むことができます。

d.消費電流からの選択

ここではすでに HK100547NJ-Tと HK100539NJ-Tに絞り込んでいるので、その最大定格電流がアクテ

ィブアンテナ消費電流の仕様を満足しているかを検証します。通常使用するアクティブアンテナの消費電

流は 30mA程度であるため、表 2-1の定格電流(max)は基準を十分満たしていると言えます。

以上より、条件①~④を満たすインダクタは、HK100547NJ-Tと HK100539NJ-Tなります。最終的にど

ちらを選択するかは、自己共振周波数(min)がより GPS と GLONASSの周波数帯に近いかによって決定し

ます。ここでは HK100547NJ-Tよりも HK100539NJ-Tがその周波数帯域に近いことから HK100539NJ-T

を推奨します。

Notes: HK1005シリーズ以外のインダクタを使用する際は部品メーカーから情報を入手し、上記条件を満

たすインダクタを選択してください。

表 2-1 HK1005シリーズの仕様

型番 インダクタンス Q (min)

自己共振周波数

(min)

定格電流

(max)

直流抵抗

(max)

HK100515NJ-T 15nH 8 2300MHz 300mA 0.46Ω

HK100518NJ-T 18nH 8 2100MHz 300mA 0.55Ω

HK100522NJ-T 22nH 8 1900MHz 300mA 0.6Ω

HK100527NJ-T 27nH 8 1600MHz 300mA 0.7Ω

HK100533NJ-T 33nH 8 1300MHz 200mA 0.8Ω

HK100539NJ-T 39nH 8 1200MHz 200mA 0.9Ω

HK100547NJ-T 47nH 8 1000MHz 200mA 1Ω

HK100556NJ-T 56nH 8 750MHz 200mA 1Ω

HK100568NJ-T 68nH 8 750MHz 180mA 1.2Ω

HK100582NJ-T 82nH 8 600MHz 150mA 1.3Ω

HK1005R10J-T 100nH 8 600MHz 150mA 1.5Ω

△1

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図 2-9 TYP条件でのHK1005シリーズのインピーダンスの周波数特性

図 2-10 HK1005シリーズを接続した条件で生じる伝送損失@1589MHz

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

0.14

HK

100515N

J-T

HK

100518N

J-T

HK

100522N

J-T

HK

100527N

J-T

HK

100533N

J-T

HK

100539N

J-T

HK

100547N

J-T

HK

100556N

J-T

HK

100568N

J-T

HK

100582N

J-T

HK

1005R

10J-T

Lo

ss [

dB

]

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インダクタはできるだけマイクロストリップラインの近くに配置してください。図 2-11のように、マイ

クロストリップライン上に配置することを推奨します。

No Good Good

マイクロストリップライン

図 2-11 マイクロストリップライン上のインダクタの配置

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3 アンテナインターフェイス

3.1 LNA切り替え方法

86/87モジュールは High Gainと Low Gainの 2つの LNAを持っています。表 3-1に示すように使用す

るアンテナによって LNAを切り替えてください。アクティブアンテナでの LNAの選択の基準は、基本的

にはアンテナ回線設計により決定される総合利得で決めます。この総合利得は、妨害波の影響を考慮して

できるだけ低くしてください。どの程度低くするかについては、利得不足による NFの劣化の影響がない

と判断されるのであれば、Low Gainを推奨するので、ここでは 15dBが最適な総合利得となります。

LNAは FLNA端子の制御、および PERDSYS,ANTSELコマンドによって切り替えが可能です。3.1.1に

FLNAを使った切り替え方法を、3.1.2にPERDSYS,ANTSELコマンドを使った切り替え方法を記載します。

表 3-1 アンテナに適応するLNA

アンテナ LNA Notes

パッシブアンテナ High Gain

アクティブアンテナ

(0dB≦総合利得≦ 35 dB) High Gain 総合利得とは、アンテナから RF_IN端子ま

でのケーブル損失等も考慮された利得を指

します。 アクティブアンテナ

(15dB≦総合利得≦ 50 dB) Low Gain

3.1.1 FLNA端子による切り替え方法

FLNA端子を表 3-2に示す通りにしてください。

表 3-2 FLNAによるLNA設定方法

LNA FLNA端子の設定

High Gain オープン

Low Gain High Level

3.1.2 ANTSEL コマンドによる切り替え方法

表 3-3に示す通りにコマンドを入力してください。

表 3-3 ANTSELコマンドによるLNA設定方法

LNA コマンド

High Gain $PERDSYS,ANTSEL,FORCE1H*7F

Low Gain $PERDSYS,ANTSEL,FORCE1L*7B

ハード(FLNA)より LNAの切り替え

を行う。 コマンドを入力しない。(*1)

Notes:

(*1) ANTSELコマンドによる LNA設定は、FLNA端子による設定よりも優先されます。FLNA端子で LNA

を設定する場合は、ANTSELコマンドを入力しないでください。

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3.2 アクティブアンテナの使用例

86/87モジュールはアンテナへの電源供給を VCC_RF端子から、もしくは外部から行うことができます。

VCC_RF 端子からアンテナへ電源供給する場合(図 3-1 左図)は、モジュールの VCCと同じ電圧レベルと

なります。アンテナに必要な供給電圧が VCCの電圧と異なる場合は、外部よりアンテナへの電源供給を行

ってください。(図 3-1 右図)

ANT_DET1

ANT_DET0

FLNA

RF_IN

Active Antenna

LNA

VCC_RF

VCC

L D

C F

EE

D

(Low Gainに設定)

33pF

VCC_RF端子からアンテナ電源供給

VCC_RF

ANT_DET1

ANT_DET0

FLNA

RF_IN

Active Antenna

LNA

VANT

VCC

L D

C F

EE

D

(Low Gainに設定)

外部から電源供給

図 3-1 アンテナ電源供給

図 3-2はアンテナ検出回路を挿入した例です。アンテナ検出回路については 3.5節を参照ください。

VCC_RF

ANT_DET1

ANT_DET0

FLNA

RF_IN

Active Antenna

LNA

L D

C F

EE

D

VANT

Antenna Detection

Circuit

Antenna Biasing Circuit

VCC

(Low Gainに設定)

図 3-2 アンテナ検出回路を挿入した場合

△3

△3

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3.3 パッシブアンテナの使用例

図 3-3にパッシブアンテナの回路の一例を記載します。パッシブアンテナ使用時は FLNAには何も接続

しないでください。FLNAはモジュール内部でプルダウンされており、LNAは High Gainに設定されてい

ます。

86/87 モジュールの仕様書に記載されている感度は、

図 3-3に示すRF_INでの値です。仕様書に記載されている感度を満たすには、アンテナとRF_INまでの距離

を0にしてください。アンテナからRF_INまでの伝送路は損失となり感度を劣化させるため、アンテナと

86/87モジュールの距離はできるだけ短くしてください。 Passive Antenna

VCC_RF

RF_IN

FLNA

ANT_DET1

ANT_DET0

FLNAはOPEN(High Gainに設定)

図 3-3 パッシブアンテナ使用時の回路の一例 (1)

パッシブアンテナから RF_INまでの距離が長く信号の損失が受信性能に大きく影響を与える場合は、図

3-4に示すように、LNAを実装することを推奨します。このとき LNAはパッシブアンテナのできるだけ直

近に配置してください。LNAを実装することで、総合利得が15dB以上になる場合はLNAの設定はLow Gain

にしてください。

Passive Antenna

VCC_RF

RF_IN

FLNA

ANT_DET1

ANT_DET0

LNA

VCC (Low Gainに設定)

アンテナ直近に LNAを挿入

図 3-4 パッシブアンテナ使用時の回路の一例 (2)

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3.4 SAWフィルタを挿入する場合

86/87モジュールは内部の LNAの後段に SAW フィルタが内蔵されているので、通常お客様側のボード

上に SAW フィルタを挿入する必要はありません。耐妨害波特性を、より向上させる必要がある場合、図 3-5

に示すようにアンテナの後段に SAW フィルタを挿入してください。このとき SAW フィルタの挿入損失に

よる性能劣化を十分考慮して、SAW フィルタを実装するかを決めてください。

ANT_DET1

ANT_DET0

FLNA

RF_IN

Active Antenna

LNA

VCC_RF

VCC

L D

C F

EE

D

SAW Filter

C D

C B

lock

(Low Gainに設定)

33pF

Passive Antenna

VCC_RF

RF_IN

FLNA

SAW Filter

ANT_DET1

ANT_DET0

FLNAはOPEN(High Gainに設定)

アクティブアンテナ パッシブアンテナ

図 3-5 SAWフィルタ挿入時の回路の一例

△3

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3.5 アンテナ検出回路

3.5.1 アンテナ検出回路の概要

86/87モジュールは、アンテナ検出のために 2つのポート (ANT_DET0、 ANT_DET1)が用意されていま

す。ポートの状態は PERDSYS,GPIOセンテンスとして出力され、このポートの状態によって表 3-4に示

すようにアンテナの接続状態(アンテナ正常、アンテナオープン、アンテナショート)を確認することができ

ます。アンテナ検出回路は、図 3-6に示す"Antenna Detection Circuit"の位置に取り付けてください。アン

テナ検出回路の詳細は 3.5.2項を参照ください。

VCC_RF

ANT_DET1

ANT_DET0

FLNA

RF_IN

Active Antenna

LNA

Antenna Detection

CircuitTXD

RXD

$PERDSYS,GPIO*67

$PERDSYS,GPIO...

Input

Output

VCC

Under Current Detect

Over Current Detect

L D

C F

EE

D

Antenna Biasing Circuit

VANT(Low Gainに設定)

図 3-6 アクティブアンテナインターフェイスの例

PERDSYS,GPIOセンテンスは$PERDSYS,GPIO*67を入力することで、その状態を確認することができ

ます。センテンスの下記の箇所を参照し、表 3-4に示すアンテナの接続状態を確認してください。

表 3-4 ANT_DET0とANT_DET1の値が示すアンテナの接続状態

アンテナ接続状態 ANT_DET0 ANT_DET1

アンテナオープン 1 1

アンテナ正常 0 1

アンテナショート 0 0

Undefined 1 0

$ PERDSYS , GPIO , X X H H L L L L L * 0

ANTDET _ 1

ANTDET _ 0

7 △5

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3.5.2 アンテナ検出回路 / アンテナ保護回路

次項の図 3-8に表 3-5の条件のアンテナ検知回路とアンテナ保護回路を示します。

アンテナ検出回路は"Antenna Detection Circuit"で囲まれた回路になります。アンテナ検出回路には電流

検出抵抗(R1)と 2つのコンパレータ(U1A, U2A)が含まれています。2つのコンパレータは 2つの閾値(オー

プン検知電圧: VREF_Oとショート検知電圧: VREF_S)と検出された電圧(VDET)を比較し、ANT_DET0 と

ANT_DET1の値として出力します。

VDETが VREF_Oより高い場合、ANT_DET0と ANT_DET1の値は両方とも 1になります。これはアン

テナ接続状態がオープンであることを示しています。

VDETが VREF_Oより低く、VREF_Sよりも高い場合、ANT_DET0の値は 0、ANT_DET1の値は 1と

なります。これはアンテナ接続状態が正常であることを示しています。

VDETが VREF_Sよりも低い場合、ANT_DET0と ANT_DET1の値は両方とも 0になります。これはア

ンテナの接続状態がショートであることを示しています。

アンテナショートによる過電流を防ぐためにアンテナ検出回路に過電流保護回路を追加することを推奨

します。過電流保護回路は図 3-8の"Over Current Protection Circuit"で囲まれた回路になります。回路内に

は 2つのトランジスタ(Q1、Q2)が含まれており、アンテナバイアス電流が増加すると R2の電圧降下が増

加し、Q1が ONします。そうすると Q2のバイアス電圧が減少し、アンテナのバイアス電流が減少します。

この回路によりアンテナコネクタとグランドがショートしている間、電流の最大値は表 3-5に示す電流の

制限値(IOC)を保持し続けます。

アンテナ検出回路の閾値と過電流保護回路の制限値は VANTと抵抗により決まります。表 3-5は表 3-6

の部品を使った図 3-8での閾値と制限値です。具体的な計算例は 3.5.3と 3.5.4を参照ください。

図 3-7に表 3-5の条件での ANT_DET0と ANT_DET1の値とアンテナ電流の関係を示します。

表 3-5 図 3-8の回路でのアンテナ検出条件

@TA=25°C

アンテナ供給電圧(VANT): 5V [typ]

アンテナオープン検出閾値 (IANT_O): 6 mA [typ]

アンテナショート検出閾値 (IANT_S): 64 mA [typ]

電流制限値 (IOC): 117 mA [typ]

Notes: 本項に記載する内容は弊社の評価用ボードによるものです。御社の回路に組み込む場合は、使用す

るアクティブアンテナの仕様に基づいて回路構成を検証ください。

IOC

IANT_O

IANT_S

ANT_DET0/

ANT_DET111 01 11 01 00

t

(6mA)

(64mA)

(117mA)

図 3-7 アンテナ検出(ANT_DET0、ANT_DET1)と検知電流の関係

△1

△2

△1

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図 3-8 アンテナ検出回路と過電流保護回路

表 3-6 部品表

Component Recommended Specification Notes

C1,C2,C4 0.1uF

C3 33pF

L1 39nH e.g. HK100539NJ-T (Taiyo Yuden)

Q1 PNP Transistor e.g. 2SA2029 (Rohm)

Q2 PNP Transistor Corrector tolerance dispassion more than 1W e.g. MCH6101 (SANYO)

R1 10±5%, 1/4W

R2 5.1±5%, 1/8W

R3, R4 3k±5%

R5 1.2k±5%

R6 12k±5%

R7 82k±5%

U1A,U2B 2ch comparator Rail to Rail Input Open Collector /Drain Output

e.g. TLV3402 (Texas Instruments)

Over Current Detect

Under Current Detect+

-

U1A

1

2

3

8

R5

1.2k

L1

56nH

R2

5.1

Q1

C4

0.1uF

C3

33pF

C10.1uF

-

+

U2B

7

5

6

4

R6

12k

C2

0.1uF

Q2

R7

82k

R3 3k

VANT VANT

0.25W

ANT_DET0

Open Collector/Drain

Active

AntennaRF_IN

ANT_DET1

R110

R4

3k

VREF_O

VREF_S

VDET

Antenna Biasing Circuit

Rail to Rail In

Over Current Protection Circuit

Antenna Detection Circuit

39nH

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3.5.3 アンテナ検出の閾値の計算例

閾値電流は以下の 3種のリファレンス電圧に置き換えて使用され、アンテナオープン、ショートの判定

を行います。以下の計算式を用いることで所望の閾値へ変更することが可能です。

オープンリファレンス電圧:

(3.1)

ショートリファレンス電圧:

(3.2)

検出された電圧:

(3.3)

Vce: Q2コレクタ・エミッタ間電圧

IANT : アンテナ電流

アンテナオープン:

アンテナショート:

アンテナに流れる電流は下記の公式の通りです。

アンテナオープン電流:

(3.4)

アンテナショート電流:

(3.5)

Notes: VANT = 5V typ. >> VCE = 0.11V typ. のため、VCEは省略しています。

3.5.4 過電流保護の計算例

アンテナ検出回路に電流保護回路を追加することを推奨します。

上記回路図に示す電流制限値 (IOC) は 117 mAであり、下記の TA=25°Cでの計算式に基づいています。

(3.6)

VBE: Q1ベース・エミッタ間電圧

Notes: IOC を変更する場合は抵抗、インダクタおよびトランジスタの許容電流を確認ください。

△1

△2

△1

△2

△1

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3.6 パッシブアンテナを使った場合の実験結果と補足説明

3.6.1 パッチアンテナのレイアウトによる電気的特性

パッチアンテナの電気的特性はグランドの影響を強く受けるため、アンテナ配置に合わせた特性チュー

ニングが不可欠です。

例としてサイズの異なる 3種の基板 (図 3-9) に対して、サイズの異なる 3種類の GPSパッチアンテナ

(図 3-10) を実装したときの、アンテナ特性(波数特性、指向特性)を比較しました。なおここでは PCB1(75

mm 角プリント基板)にて特性をチューニングしたアンテナをすべての基板に実装しています。

○ :アンテナ設置位置

プリント基板 1 (PCB1) プリント基板 2 (PCB2) プリント基板 3 (PCB3)

75mm x 75mm 40mm x 140mm 40mm x 140mm

図 3-9 プリント基板のサイズとパッチアンテナの設置位置

25

25

18

18

12

12

図 3-10 パッチアンテナのサイズ (単位:mm)

測定結果を表 3-7、図 3-11に示します。

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表 3-7 測定結果

測定項目

測定結果

PCB1 PCB2 PCB3

25mm 18mm 12mm 25mm 18mm 12mm 25mm 18mm 12mm

Return Loss 1575MHz[dB] -17.9 -23.6 -31.6 -16.1 -12.7 -20.2 -12.3 -4.3 -2.8

B.W.@-10dB[MHz] 29.3 18.3 11.2 24.4 16.8 11.1 27.6 7.9 - (*1)

Gain [dBic] 1575MHz 3.6 2.5 2.4 0.6 0.0 -1.6 0.6 -5.4 -8.1

Axial Ratio [dB] 1575MHz 2.1 2.8 3.1 18.1 10.7 22.4 10.6 14.1 26.2

Notes:

(*1) PCB3、12 mm 角の B.W.@-10 dBは、特性の劣化が大きいため、測定不能。

PCB1 PCB2 PCB3

PCB1 PCB2 PCB3

PCB1 PCB2 PCB3

PCB1 PCB2 PCB3

25mm x 25mm 18mm x 18mm

12mm x 12mm

図 3-11 測定結果

PCB1PCB2PCB3

PCB1

PCB2PCB3

PCB1

PCB2

PCB3

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図 3-12~図 3-14のグラフは、図 3-10で示したパッチアンテナを、図 3-9の通り設置したときの指向

性パターンを示しています。アンテナの配置位置の影響があることがわかります。

PCB# Y-Z Plane Z-X Plane

1

2

3

図 3-12 指向性パターン(25 mm x 25 mm パッチアンテナ)

-35-30-25-20-15-10

-505

100

30

60

90

120

150

180

210

240

270

300

330

-35-30-25-20-15-10

-505

100

30

60

90

120

150

180

210

240

270

300

330

-35-30-25-20-15-10

-505

100

30

60

90

120

150

180

210

240

270

300

330

-35-30-25-20-15-10

-505

100

30

60

90

120

150

180

210

240

270

300

330

-35-30-25-20-15-10

-505

100

30

60

90

120

150

180

210

240

270

300

330

-35-30-25-20-15-10

-505

100

30

60

90

120

150

180

210

240

270

300

330

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PCB# Y-Z Plane Z-Plane

1

2

3

図 3-13 指向性パターン(18 mm x 18 mm パッチアンテナ)

-35-30-25-20-15-10

-505

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30

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150

180

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-35-30-25-20-15-10

-505

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-35-30-25-20-15-10

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300

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180

210

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270

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330

-35-30-25-20-15-10

-505

100

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300

330

-35-30-25-20-15-10

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30

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150

180

210

240

270

300

330

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PCB# Y-Z Plane Z-X Plane

1

2

3

図 3-14 指向性パターン(12 mm x 12 mm パッチアンテナ)

-35-30-25-20-15-10

-505

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300

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-35-30-25-20-15-10

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330

-35-30-25-20-15-10

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270

300

330

-35-30-25-20-15-10

-505

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3.6.2 レイアウトによるノイズの影響

パッチアンテナはアンテナ底面およびその周辺からの信号も受信するため、底面およびその周辺のノイ

ズをできるだけ排除する必要があります。これを実現するため、アンテナの底面や周辺にはデジタル信号

ラインやスルーホールを設けないようにしてください。下図にアンテナ底面の良い例と悪い例を示します。

GoodBad

アンテナ給電ポイントパッチアンテナ設置個所

図 3-15 パッチアンテナ底面のレイアウト

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4 電源供給時の注意点

86/87モジュールはバイパスコンデンサが含まれているので、電源供給時に電源供給(VCC)端子の近くに

バイパスコンデンサを設置する必要がありませんが、お客様の供給する電源が±50 mV以上のリップルを

持っている場合は、リップルの影響で受信感度等の性能が劣化する恐れがあるため、バイパスコンデンサ

を設置するようにしてください。

5 設置位置によるモジュールの機械的ストレスと注意点

86/87モジュールをネジ穴の近くなど、機械的ストレスが加わりやすい箇所に配置した場合、モジュー

ルが機械的ストレスにより破壊される可能性があります。

モジュールの設置位置は図 5-1の"Better"に示すように機械的ストレスを受けにくい基板の中心に配置

することを推奨します。図 5-1の"No good"で示すように"Screw point"の近くに 86/87モジュールを配置す

る場合は、できるだけ機械的ストレスがかからないようにトルク管理を行ってください。

86/87

モジュール

Screw point

ユーザー基板

86/87

モジュール

Better

ユーザー基板

No good

図 5-1 推奨するモジュールの設置位置

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6 関連図書

GN-86F機器仕様書 (文書番号: G13-000-10-004)

GN-87F機器仕様書 (文書番号: G13-000-10-002)

GN-8615機器仕様書 (文書番号: G14-000-10-006)

GN-8715機器仕様書 (文書番号: G14-000-10-008)

GV-86機器仕様書 (文書番号: G13-000-10-009)

GV-87機器仕様書 (文書番号: G13-000-10-007)

GV-8615機器仕様書 (文書番号: G14-000-10-010)

GV-8715機器仕様書 (文書番号: G14-000-10-012)

GT-86機器仕様書 (文書番号: G13-000-10-018)

GT-87機器仕様書 (文書番号: G13-000-10-016)

7 連絡先

古野電気株式会社 システム機器事業部

662-0934 兵庫県西宮市西宮浜 2-20

TEL: (0798) 33-7510 FAX: (0798) 33-7511

古野電気株式会社 システム機器事業部 東京支店

130-0026 東京都墨田区両国 3-25-5 JEI両国ビル 7階

TEL: (03) 5624-7473 FAX: (03) 5624-7474

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