fxシリーズⅣ型ダイアライザー データ集① (フレゼニウス社...
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FXシリーズⅣ型ダイアライザーデータ集①
ダイアライザー FX 140
(フレゼニウス社製 )の臨床試験
医療法人 トキワクリニック
西田雅一, 斉藤貴義, 中野千佳, 中原宣子, 岸本武利
第 71 回大阪透析研究会にて口演発表
JP29971(ns 11.08) Copyright 2008 Fresenius Medical Care Japan
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目的 国内生産品となったフレゼニウス社製Ⅳ型 F X
シリーズの臨床評価を行った.
対象と方法 FPX 140(輸入品)を使用していた維持血液透析患者
を対象としてダイアライザーを FPX 140 から FX
140(国内生産品)に変更し,各溶質の除去率,除去量 ,
アルブミン(Alb)漏出量を測定した.測定日は週の最
初の透析日とした.また,FX 140 の操作性を評価
するため , 使用開始日より 3 回分についてのプライ
ミング時のエア抜けならびに透析終了後の残血を
観察した.
対象の概要・FPX 140を使用していた維持透析患者 10 名
・性別 男性 3 名 , 女性 7 名
・年齢 平均 61.2 歳(48~72 歳)
・透析歴 平均 12.4 年(2~19 年)
・ DW 平均 47 kg(39.5~58.8 kg)
・原疾患 CGN 5 名
IgA 腎症 3 名
SLE 1 名
妊娠腎 1 名
・透析時間 4.0 時間
・平均血流量 225mL/min(200~250mL/min)
結果
図1は各溶質の除去率を示したものである. 尿素
(UN),ク レ ア チ ニ ン(Cr),尿 酸(UA)の 除 去 率 は
70%を超えており, β2 -MG に関しても 6 1% と高い
除去率であった.
図4は FPX から FX に変更した前3カ月,後3カ月
の各溶質の透析前値の平均を示したものである.
UN,リン,Albの透析前値に差はなかったが,β2 -MG
は有意に低下した.
残血は図 5 の分類に従い,「なし」~ クラスⅢの
4 段階で評価した.
図 6 は残血とエア抜けの評価を示したものである.
透析後の残血は,残血なしが 87%であり,クラスⅠが
10%,クラスⅡが 3% と良好な結果であった.
エア抜けは従来の F P X よりも良いが 77% であり,
また他社ドライ製品よりも良いも73%と高値を示した.
考察とまとめ・各溶質の除去率,除去量は高値を示した .特に
β2 -MGの除去率は,Ⅳ型ダイアライザーとしては
高値を示した.
・Alb 漏出量は低値を示した.
・Kt/V は FX の変更前後で差がなかった.
・FXの変更前後では,透析前 UN,リン,Alb の値に
差はなかったが,β2 -MG は有意に低下した.
その原因として,対象の全身状態が変化したことに
よるのか, F Xのダイアライザーとしての生体適合性
がFPXより優れ,β2 -MGの産生が抑制された可能性,
あるいは両者によると推察される .
・残血,エア抜けについては,良好な結果が得られた.
結語
今回評価したFX 140は従来のFPX 140と比較して,
溶質除去機能には遜色なく,操作性は優れていた.
図 3. ダイアライザー変更前後の Kt/V
図 4. ダイアライザー変更前後の各溶質の透析前値
図 5. 残血クラス分類
図 6. 残血とエア抜けの評価
第71回大阪透析研究会 ダイアライザー FX 140 ( フレゼニウス社製 ) の臨床試験
第71回大阪透析研究会 ダイアライザー FX 140 ( フレゼニウス社製 ) の臨床試験
図 1. 各溶質の除去率
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図 2. β2-MG 除去量とアルブミン漏出量
図2はβ2 -MG 除去量と Alb 漏出量を示したもので
ある.Alb漏出量は1透析あたり平均 39.1mgと極めて
低値であった.
図3は同じ透析治療条件で,FPX から FX に変更
し た 前 3 カ 月,後 3 カ月 の 平 均 Kt/V(Daugirdas
single-pool model) を示したもので、変更前後で
両者間に差はなかった.
その原因として,対象の全身状態が変化したことによるのか,
FX のダイアライザーとしての生体適合性が FPX より優れ,β2-MG の産生が抑制された可能性,あるいは両者によると推察される.