geoph, the university of tokyo - 地震観測u x 図1: 簡単な地震計 図2:...
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地震観 測気 仙沼周辺の 地震に 迫る !!
地球 惑星物理学科木下、 瀧川、 羽 鳥、 宮 林
2005/12/07
こ の 実験は 日本で 起 こ っ て い る 地震の 一 部を 実際に 機 器 を 用い て 観 測、 解析を
行う 。 そ の 中で 「 地震計 (電磁誘導か ら キャ リ ブ レ - ショ ン ) の 原理、 得ら れ る 地
震波形 (P波、 S波の 決定)、 震源決定法 (グリ ッドサー チ、 相対震源決定)、 グー テ
ン ベ ル ク・ リ ヒ ター 式、 スペ クトル 解析 (コー ナー 周波数)」 を 理解す る 。
目 次
1 地震計の 原理 3
2 電磁式地震計の 特性 3
2.1 キャ リ ブ レ ー ショ ン . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4
3 観 測に つ い て 8
3.1 何故三陸を 選ん だ か . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
3.2 地震計を 置く 場所 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
3.3 設置場所の 決定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
3.4 設置に つ い て . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10
4 震源決定 11
4.1 震源決定の 手法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11
4.2 気 仙沼周辺地震の 震源決定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11
4.3 マ スター イ ベ ン ト法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13
4.4 一 関 市西部の 内陸群発地震の 相対震源決定 . . . . . . . . . . . . . . 13
5 G-R(グー テン ベ ル ク・ リ ヒ ター )式 16
5.1 気 象庁の デー タと 観 測デー タと の 誤差 . . . . . . . . . . . . . . . . 17
5.2 原因 1 マ グニチュ - ドの 違い . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17
5.3 原因 2 観 測精度の 違い . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18
5.4 考察 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 19
6 スペ クトル 解析 20
6.1 得ら れ る スペ クトル に つ い て . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 20
6.2 コー ナー 周波数の 定義 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21
6.3 sac を 使っ た 解析 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21
6.4 考察 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 23
7 全体を 通して 24
8 感 想 24
2
1 地震計の 原理
地震計は 基 本的に 、 地面の 揺れ を あ る 一 定方向に 動く バ ネと お も り を 使っ て 、 揺
れ の 大き さ を 測る も の で あ る 。 お も り の 質量を m と し、 振動方向の 座標系で 、 地
震計全体の 変位 量を u(t)、 バ ネの 伸び を x(t)、 バ ネ定数を k と 置き 、 お も り は バ
ネの 速度に 比例して 運 動へ の 抵抗力D ∂x(t)∂tが 働く も の と す る と 、 お も り に つ い て
の 運 動方程式は 、
m(∂2x(t)
∂t2+
∂2u(t)
∂t2) = −D
∂x(t)
∂t− kx(t) (1)
と なる 。 こ の 式を フ ー リ エ変換 し、 ω0 =√
k/m、 h = D/2√
km と す る と 、 こ の
式は
(−ω2 − 2ihωω0 + ω20)X(ω) = ω2U(ω) (2)
と 変換 さ れ る 。 こ れ は 、 入力 U(ω) に 対す る 出力X(ω) を 表し、 X/U は 、
X(ω)
U(ω)=
ω2
−ω2 + ω20 − 2ihωω0
(3)
と 書け 、 ω0
ω= T ′ を 用い る と 、 振幅特性は
∣∣∣∣∣X(ω)
U(ω)
∣∣∣∣∣ =1√
(1 − T ′2)2 + 4h2T ′2(4)
と 書け る 。 こ れ よ り 、 高周波で は 振幅特性は 1 に 近い 値を 取り 、 ま た 低周波で は
T ′ の 2 乗で 減衰す る こ と が わ か る 。 入力成分を ∆ 関 数で 表す と 、 出力は 減衰定数
h に よ っ て 減衰が 変化す る 解と なる 。 地震計は 図 1-2 に 示さ れ る よ う な振幅特性を
持ち 、 固有周波数よ り 低い 周波数に 対して は 感 度が 急 激に 減少す る 。 グラ フ か ら
わ か る よ う に 、 h=0.7 の と き に 固有周波数以 上の 周波数特性が ほ ぼ 均等に なる 。 こ
の 状態を 作り 出す こ と が キャ リ ブ レ ー ショ ン の 目的で あ る 。
2 電磁式地震計の 特性
い ま 私達の 用い る 地震計は 、 お も り に 付属した コイ ル を 用い た 電磁誘導に よ っ
て お も り の 振動を 電圧 と して 出力す る 、 電磁式地震計で あ る 。 こ の と き の 起 電力
は シグナル コイ ル の 電圧 感 度Gsig を 用い て 、
G(t) =dφ
dt= 2πNaBx(t) = Gsigx(t) (5)
と 書け る 。 磁界中を 運 動す る シグナル コイ ル に は 、 ロ ー レ ン ツ力
F = 2πNaBrI =G2
sig
Rc + Rsx(t) = D′(x(t)) (6)
3
u
x
図 1: 簡 単な地震計
図 2: 地震計の 振幅特性
が 働く 。 こ れ を 、 初め に 書い た お も り の 抵抗と 合わ せ て 、 振幅特性を 決め る h(h =
(D + D′)/2√
km) を 定義 し直す 。 こ の 値を 測定す る と 、 入力に 対す る 出力の 複素
周波数特性は 、
V (ω)
U(ω)=
(Rs
Rc + RsGsig
) −ω3
(ω2 − ω20) + 2ihωω0
=−ω3Gd
(ω2 − ω20) + 2ihωω0
(7)
と 書け る 。 今回の 実験で は 、 あ ら か じ め ω0 は 決定して い る の で 、 h と Gd を 求 め る
だ け で よ い 。 こ の h と Gd を 求 め る こ と が 電磁式地震計に お け る キャ リ ブ レ ー ショ
ン で あ る 。
2.1 キャ リ ブ レ ー ショ ン
地震計を 長期 間 に わ た っ て 使用して い る と 、 ば ね や 磁石の 特性が 経年変化して
い る 可能性が あ る 。 そ の た め 、 特性の 変化に 合わ せ て 減衰定数 h と 抵抗を 含 め た
シグナル コイ ル の 電圧 感 度Gd の パ ラ メ ター を 決定し直す こ と が 必要に なる 。 様々
な抵抗を 使っ て お も り に パ ル ス型の 変位 を 与え 、 シグナル コイ ル の 電圧 変化を 計
測す る こ と で 求 め る こ と が で き る 。 こ の 電圧 は 、 減衰振動の 式
V (t) =−GdGcalI
m√
1 − h2ω0
e−hω0t sin(√
1 − h2ω0t) (8)
で 書く こ と が で き 、 h < 1 の 場合、 ∂V (t)∂t
= 0 と なる 時刻は 、 上の 式の 微分よ り 、
tan(√
1 − h2ω0t) =
√1 − h2
h(9)
4
t =α + nπ√1 − h2ω0
(10)
α = arctan√
1 − h2h (11)
と なり 、 減衰振動す る 出力電圧 の 連続す る 2 つ の 極大、 極小値の 振幅比を r = ai
ai+1
と す る と 、
r =exp −h√
1−h2(α+iπ)
exp −h√1−h2(α+(i+1)π)
= expπh√
1 − h2(12)
と 常に 一 定と なる 。 こ の 比か ら
h =1√
1 + ( πln r
)2(13)
の よ う に h が 求 ま る 。 h と 抵抗の 関 係を ば ね の 部分と コイ ル の 部分に 分け て 考え
る と 、
h =G2
sig
2√
km
1
Rc + Rs+
D
2√
km(14)
と 書け る 。 こ こ で 抵抗を 小さ く して い く と r が 求 め に く く なる た め 、 抵抗値と r の
関 係か ら そ の 時々 の h の 値を 調べ て 、 h と 1Rc+Rs
は 比例す る こ と か ら 、 最小自乗法
に よ り h = 0.7 の 場合に お け る 抵抗 (シャ ン ト抵抗) を 推定す る 。 以 下に そ の 結果
を 示す 。
-0.4
-0.2
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
-0.05 0 0.05 0.1 0.15
h
1/(Rs+Rc)
calibration
"calibration2.dat" using 1:2f(x)
0
5
10
15
20
25
30
35
40
0 100 200 300 400 500 600 700
V/U
�Ö
Gd
"Gd.dat" using 1:2
0
5
10
15
20
25
30
35
40
0 100 200 300 400 500 600 700
V/U
�Ö
Gd
"Gd.dat" using 1:2f(x)
図 3: シャ ン ト抵抗の 推定
こ の グラ フ か ら 適切なシャ ン ト抵抗の 値は 1.08kΩと 推定さ れ た 。
入力に 対す る 出力の 複素周波数特性の 式と h の 値か ら Gd を 求 め る こ と が で き
る 。 実験で は 、 振動台を 用い て 地震計に 振動を 入力し、 オシロ スコー プ を 用い て
出力電圧 の 振幅を 測定しGd を 求 め た 。 以 下に そ の 結果を 示す 。
5
0
5
10
15
20
25
30
35
40
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
V/U
1/ω
Gd
"Gd_rev01.dat" using 1:2f(x)
図 4: Gd の 推定 (手動計測デー タ有り )
0
5
10
15
20
25
30
35
40
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
V/U
1/ω
Gd
"Gd_rev02.dat" using 1:2f(x)
図 5: Gd の 推定 (手動計測デー タなし)
6
こ の グラ フ か ら 適切なGd の 値は 178V/(m/s) と 推定さ れ る 。
h の グラ フ に 比べ て Gd の グラ フ は 誤差が 大き い よ う に 見え る が 、 こ れ は 読み取
り 誤差に よ る も の が 大き い 。 前者の オシロ スコー プ に よ る 計測は 有効数字二桁の
精度で 観 測で き た の に 対し、 後者の 振動台の 振幅は 周波数が 低い と こ ろ で は 計測
精度が 一 桁ま で 落ち る 。 そ の た め 振動台の 振幅を 手動で 計測した も の の 、 残念な
が ら なお も 精度は 低か っ た よ う で あ る 。
7
3 観 測に つ い て
3.1 何故三陸を 選ん だ か
地震を 観 測す る に あ た り 、 デー タ解析時間 など を 考慮し、 地震計の 設置期 間 を
一 週間 と した 。 一 週間 と い う 限ら れ た 期 間 で た く さ ん の 地震を 観 測す る た め に は
普段か ら 地震活動が 活発な地域 で 観 測す る 必要が あ る 。 気 象庁の デー タを 参照し
た と こ ろ 、 東京か ら ア クセスが 簡 単で 地震活動が 盛ん な地域 は 中越 、 日光、 茨 城、
そ して 三陸で あ っ た 。
地震は 大き く 分け て 、 プ レ ー ト境界地震 (interplate地震)、 沈み込む プ レ ー ト (ス
ラ ブ )内地震、 上盤側プ レ ー ト地震の 三種類が あ り 地震三兄弟と 呼ば れ て い る 。 三
陸地方は こ れ ら 三種類の 地震が す べ て 発生し、 2003年 5月 26日の 宮 城県沖地震 の
余震の 影 響で 気 象庁で 観 測さ れ る だ け で も 一 週間 で 約 800個の 地震が 発生して い
る の で 地震観 測点と して は 十分で あ る 。 三陸地方の よ う に 地震の 種類 も 個数も 豊
富なら 、 得ら れ た 地震波か ら 震源や マ グニチュ ー ドを 決定し、 そ れ ら を 解析す る
際に 様々 な解析が で き る の で は ない か と 考え 、 今回の 観 測点を 三陸地方に 決定し
た 。
図 6: 三陸地方の 断面図
8
3.2 地震計を 置く 場所
で き る だ け 実際の 地震波に 近い も の を 観 測す る た め 、 地震計の 設置点選び は 非
常に 重要で あ る 。 ま ず 、 地震計は 水平に 置か なけ れ ば い け ない 。 さ ら に 、 ノ イ ズ
が なる べ く 少ない と こ ろ に 置く 、 つ ま り 人通り の 多い 場所や 線路、 大き な道路の
近く は 避け なけ れ ば い け ない 。 ま た 、 地盤が 硬い と こ ろ で ない と 地震波が 正確 に
観 測で き ない 。 こ れ ら の こ と を 考慮す る と 設置場所と して は 小さ な川の 堰 堤や 山
奥の 道路脇など が 好ま しい 。
3.3 設置場所の 決定
三陸地方の 地震は スラ ブ 内地震など 深い と こ ろ で 発生す る も の が 多い 。 深い 地
震を 観 測す る 際に 地震計を 近く に 置い て しま う と そ れ ぞ れ の 観 測点で 得ら れ る 地
震波に 違い が 見れ なく なる の で 、 なる べ く 離して 設置す る べ き で あ る 。 そ こ で 、 三
陸地方で 一 番地震活動が 活発な気 仙沼を 囲 む よ う に 、 海沿 い に 二つ 、 内陸に 一 つ
設置す る こ と に 決め 、 地図で 地震計を 置く の に ふさ わ しい 場所を 調べ た 。 設置当
日は 地図で 調べ た 場所を ま わ っ て 実際に 設置で き る 場所を 探し、
1千厩 の 細い 道の 脇に あ る 崖
2 志津川の 小さ な川の 堰 堤
3 陵里の 岩 盤の 上に あ る 民家の 庭
に 設置した 。 (下図参照)
図 7: 地震計の 設置場所
9
3.4 設置に つ い て
今回の 実験で 使用した 地震計は 千厩 は Lennartz地震計、 志津川は 1Hz の 地震計
3 個、 陵里は 2Hz の 地震計3 個で あ る 。 地震計の 設置は 次の 順序で 行う 。
1. 設置場所の 決定
2. 方角を 調べ 地震計を 設置す る
3. シャ ン ト抵抗を 地震計と バ ッテリ ー の 間 に 繋げ る 。
4. レ コー ダー の セットを す る
5. レ コー ダー と シャ ン ト抵抗を 濡れ ない よ う に 箱に 入れ る 。
設置完 了時は 下図の 様に なる 。
図 8: 設置完 了図
10
4 震源決定
4.1 震源決定の 手法
イ ベ ン ト i の 地震波 k(k = P, S) が 、 観 測点 j に お い て 観 測さ れ る 時間 は 、 イ ベ
ン ト i の 発生時刻Oi 及 び 波の 伝播時間 Tijk を 用い て 、
tijk = Oi + Tijk (15)
と 表さ れ る の で 、 こ れ を 実際に 観 測さ れ た 波の 到達時間 TijkO と 比較 す る こ と に
よ り 、 最小二乗法の 原理か ら 震源を 決定す る こ と が で き る 。 最小二乗法に お け る
残渣は 、
Di =Nobs∑
j=1
∑
k=P,S
∣∣∣tijk − tOijk
∣∣∣2
=Nobs∑
j=1
∑
k=P,S
∣∣∣Oi + Tijk − tOijk∣∣∣2
(16)
と なる が 、 こ こ で 地震の 発生時Oi と 、 震源の 座標 rO = (x, y, z)) は 独立で は ない
の で 、 は じ め に 最小二乗の 原理に 基 づ い て Oi(rO) を 求 め て お く 必要が あ る 。
最小二乗点で は ∂∂Oi
Di = 0 が 満た さ れ る の で 、
∂∂Oi
∑Nobs
j=1
∑k=P,S
∣∣∣Oi + Tijk − tOijk∣∣∣2
= 0
Oi =
∑Nobsj=1
∑k=P,S(tO
ijk−Tijk)
2Nobs(17)
なる Oi を 用い れ ば よ い こ と が 分か る の で 、 こ れ を 代入して 最終的な表式を 求 め
る と 、
Di(rO) =Nobs∑
j=1
∑
k=P,S
∣∣∣∣∣∣
∑j
∑k
(tOijk − Tijk(ro)
)
2Nobs
+ Tijk(rO) − tOijk
∣∣∣∣∣∣
2
(18)
計算が 複雑に なる た め 、 震源座標 rO に 関 して は コン ピ ュ ー タに よ る グリ ッド
サー チの 手法に よ っ て 、 最小二乗点を 求 め る こ と に す る 。
4.2 気 仙沼周辺地震の 震源決定
図 9 及 び 図 10 は 、 今回観 測した 気 仙沼周辺の 広域 の 地震を 震源決定した も の で
あ る 。 図 9 の 単層構造に よ る 震源決定で は 、 太平洋プ レ ー トの 沈み込み帯が ぼ ん や
り と しか 判別で き ない の に 対し、 図 10 の 水平 7層構造を 仮定した 震源決定で は 、
図 9 と 比べ て 斜め に プ レ ー トが 沈み込ん で い る 様子が は っ き り と 判別で き る 。
観 測点の 3点に 囲 ま れ た 気 仙沼直下の 地震で は あ ま り 変化見ら れ ない が 、 遠く
の 地震に なる ほ ど 両者の 変化は お お き く 、 震源決定の 精度が 向上して い る 事が 分
か る 。
11
図 9: 単層構造に よ る 気 仙沼周辺地震の 震源決定
図 10: 水平 7層構造に よ る 気 仙沼周辺地震の 震源決定
12
4.3 マ スター イ ベ ン ト法
前節で は 、 観 測点へ の 地震波の 到達時間 を 式 15 の よ う に 、 地震の 発生時刻Oi 及
び 地震波の 伝播時間 Tijk の 和と して 計算した 。 と こ ろ が こ こ で Tijk は 、 全体に 7
層の 水平成層構造を 仮定した 時の 巨視的な地震波伝播時間 で あ り 、 観 測点固有の
地形等に よ る 微細構造を 反映 して い る わ け で は ない 。
そ こ で 、 観 測点固有の 補正項 djk を 導入して 、 式 15 を
tijk = Oi + Tijk + djk (19)
の よ う に 書き 直す こ と に す る 。 す る と 、 補正項 djk は イ ベ ン ト i に 依 ら ない た め 、
2 つ の イ ベ ン ト i1,i2 間 の 、 同一 観 測点で の 地震波到達時間 の 差を と れ ば 、
ti1jk = Oi1 + Ti1jk + djk
ti2jk = Oi2 + Ti2jk + djk
τ jki1i2
= (Oi2 + Ti2jk) − (Oi1 + Tt1jk) (20)
の よ う に 、 観 測点固有の 補正項を 消去で き る 。 さ ら に 、 イ ベ ン ト i,j の 震源が 観 測
点か ら 見て ほ と ん ど 同一 の 点と みなせ る 場合に は 、 こ の 操作は 観 測点固有の 補正
項以 外に も 、 地震波が 辿っ て く る 経路の 固有の 情報 (つ ま り 、 水平成層構造に 反映
さ れ て い ない 微細構造) を 打ち 消して い る と 考え ら れ る の で 、 こ の よ う な相対的な
震源決定を す る こ と に よ り 震源決定の 精度を 向上さ せ る こ と が で き 、 ま た 、 基 準
と なる 地震と 震源が 近い も の ほ ど 、 そ の 精度が 向上す る こ と が 分か る 。 (但し、 震
源間 の 距離が 、 地震波到達時間 の 読み取り 誤差に 対応す る 距離よ り 小さ い 場合に
は 、 こ の 限り で は ない 。 )
こ こ で は 、 絶対的な基 準と なる マ スター イ ベ ン トを 1 つ 決め 、 そ れ に 対す る 相
対的な震源決定を 行う 、 マ スター イ ベ ン ト法を 用い て 震源決定を 行っ た 。
4.4 一 関 市西部の 内陸群発地震の 相対震源決定
図 11 及 び 図 12 は 、 一 関 市西部で 発生して い る 、 オホ ー ツク海プ レ ー ト内の 群
発地震の 震源決定の 結果を 、 絶対震源決定と 相対震源決定の 結果で 比較 した も の
で あ る 。 左上の 平面図で は 大き な変化は 見ら れ ない が 、 東西・ 南北の 断面図を 見
る と 、 か なり ば ら ば ら に 分布して い た 震源が 、 一 直線ない し楕円 に 近付い た 様子
が 分か る 。 図 13 の 気 象庁に よ る 震源決定を 見る と 、 こ れ ら の 地震の ほ と ん ど が 、
半径 2~ 3km の 領域 内で 起 こ っ て い る こ と が 分か る の で 、 こ れ は 、 相対震源決定に
よ っ て 震源決定の 精度が 高ま っ た こ と を 示して お り 、 ま た 、 観 測点配置の 死角を
突く 内陸の 浅発地震に 対して は 、 上下方向の 精度が 十分に 得ら れ なか っ た 様子が
見て 取れ る 。
13
140.5˚
140.5˚
141˚
141˚
141.5˚
141.5˚
142˚
142˚
38.5˚
39˚
39.5˚
0 1 2 3 4
SENMYSENMYSENMY
RYORI
SHIZU
0
10
20
30
Dep
th (
km)
140.5 141.0 141.5 142.0
0 10 20 30
Depth (km)
図 11: 絶対震源決定
140.5˚
140.5˚
141˚
141˚
141.5˚
141.5˚
142˚
142˚
38.5˚
39˚
39.5˚
0 1 2 3 4
SENMYSENMYSENMY
RYORI
SHIZU
0
10
20
30
Dep
th (
km)
140.5 141.0 141.5 142.0
0 10 20 30
Depth (km)
図 12: 相対震源決定
14
図 13: 気 象庁に よ る 震源決定
15
5 G-R(グー テン ベ ル ク・ リ ヒ ター )式
グ- テン ベ ル クと リ ヒ タ- は 、 マ グニチュ - ドが 小さ く なる に つ れ て 、 地震の
数が 、 指数関 数的に 増え る こ と を 発見し、 1941年に G-R式
log n(M) = a − b(M) (21)
を 見出した 。 n は そ の マ グニチュ - ドで 起 こ っ た 地震の 数で あ る 。 あ る マ グニ
チュ - ドの 区間 M か ら M+dM ま で の 地震の 度数を n(M)dM、 M 以 上の 地震の 総
数を N(M) と す る と 、
log N(M) = A − bM = b(M ∗ − M) (22)
と 書け る 。 こ こ で の M∗ は 、 N(M) = 1 と なる M の 値が 入る 。 こ の 関 係を 用い
て 、 自分た ち で 得た デー タが 、 式に 従っ て い る か 、 ま た b値が ど の よ う な値の な
る か 計算し、 気 象庁の デー タと 比較 す る こ と で 、 観 測の 結果を 考察す る 。
グ- テン ベ ル クと リ ヒ ター は 、 1944年南カリ フ ォル ニア の 浅い 地震の 観 測か ら
b = 0.88 が 得た 。 日本付近の 地震 (浅い 地震が ほ と ん ど ) で は 、 b = 0.968 と なっ た 。
比較 的浅い 地震で の b値は 、 0.7 - 1.1 と 求 め ら れ て い る 。 今回調べ た 気 仙沼周
辺の 地震は 、 深い 地震が 多い こ と が わ か っ て お り 、 気 仙沼半径 300km付近で 起 こ っ
た 地震か ら 、 b値を 求 め る と b = 0.54(観 測) b = 0.645(気 象庁) と なり 、 浅発地震
に 比べ 増え 方が 小さ い こ と が わ か っ た 。
図 1, 気 象庁か ら 得た 度数分布
16
図 2, 観 測か ら 得た 度数分布 (回帰 直線は M > 2.5 で 求 め た )
5.1 気 象庁の デー タと 観 測デー タと の 誤差
図1と 2 を 比較 す る と 、 指数関 数的な傾き が 0.1程度異 なる こ と か ら 考え る と 値
が 大き く 異 なっ て い る 。 こ の b値と 気 象庁の b値の 誤差の 原因 を 考え る 。 あ げ ら
れ る も の と して 、 以 下の 二つ が あ る 。
5.2 原因 1 マ グニチュ - ドの 違い
観 測か ら 求 め た マ グニチュ - ドは 、 渡辺の 式に よ る も の で 気 象庁の 求 め 方と 異
なっ て い る 。 Av(cm/s) を 最大速度振幅、 r(km) を 観 測点か ら の 震源距離と して 、
M = (log10 Av + 1.73 log r + 2.5)/0.85 (渡辺の 式) (23)
が 、 r < 200km の 場合に お け る 微小地震に お い て 成立す る 。 こ の 震度の 求 め 方か
ら 生じ る 誤差を 計算す る 。 方法と して 、 観 測で 得ら れ た 地震情報の 個数ま で 、 気
象庁の デ- タを 減ら し、 1つ 1つ の 地震に お け る マ グニチュ - ドの 差を 求 め 、 平
均と 分散を 求 め る こ と と した 。
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表 1 観 測デー タ と 気 象庁の デー タd h min sec N E r M h min sec N E r M
30 11 15 2 37.068 142.202 34.467 3.309 11 15 6.06 37.238 142.164 31.0 3.130 12 44 14 37.056 142.208 34.068 2.733 12 44 33.91 37.873 142.051 41.0 1.730 13 20 8 38.619 141.737 79.176 2.407 13 20 7.97 38.304 142.118 38.3 1.6. . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . .
結果、 気 象庁の Mに 比べ 、 観 測で の Mが 0.935ほ ど 大き く 、 分散は 0.56と なっ た 。
5.3 原因 2 観 測精度の 違い
気 象庁の デ- タ量と 観 測量で は 、 か なり 差が あ っ た 。 そ の た め 、 気 象庁の デ-タを 観 測で 得た 地震の みカウ ン トして か ら 、 b値を 求 め る こ と に す る 。
表 2 M 観 測デー タ数 気 象庁の デー タ数
0.5~ 1.0 132 6151.0~ 1.5 130 3871.5~ 2.0 125 2112.0~ 2.5 99 972.5~ 3.0 72 363.0~ 3.5 37 193.5~ 4.0 17 84.0~ 4.5 8 44.5~ 5.0 4 25.0~ 5.5 4 1
図 3, 気 象庁の カウ ン ト数を 自分逹の 得た カウ ン ト数に 減ら して 求 め た M > 2.5 の 回帰 直線
結果、 気 象庁か ら 求 め た b値は b=0.563 と なっ た 。
18
5.4 考察
観 測デー タを 見る と 、 明ら か に M < 2.5 か ら の 観 測量が 減っ た た め 、 M > 2.5 で 回帰 直線を 求 め る こ と に した 。 こ れ は 、 当初Hi-net よ り も 精度測定しよ う と い う 目的が 達成で きなか っ た こ と を 意 味して い る 。 しか し、 誤差の 評価の 際、 観 測デー タと 気 象庁の デー タを
比べ る と 5~ 6 個程、 気 象庁で 観 測して い ない 地震が あ っ た 。 こ の 点で は 精度が 高い と 言
え る か も しれ ない が 、 そ れ 以 外の 部分で 精度が 劣っ て い る こ と を 考え る と 、 地震波形など
を ふま え て 考え る 必要が あ る 。
ま た 、 M < 2.5 を 除い た 部分で の 気 象庁と の 誤差の 2 つ の 原因 を 比べ る と 、 ど ち ら も 影 響が あ る よ う だ が 、 こ こ で 、 観 測デー タか ら 求 め ら れ た b値の 信頼区間 を 計算す る と 、
半径 b値
100km 0.33292453~ 0.704856069200km 0.376121505~ 0.686971092300km 0.394369051~ 0.691590567
と なり 、 カウ ン ト数を 減ら した 場合に お い て 求 め た 、 度数分布の 回帰 直線の 傾き (b値)が 観 測値と ほ ぼ 近い こ と か ら 、 測定数に よ る 誤差が 大き い と い え る 。 測定数が 減っ た 原因
は 、 綾里の 観 測デー タの ノ イ ズで 観 測数が 減っ た た め で あ る 。
19
6 スペ クトル 解析
6.1 得ら れ る スペ クトル に つ い て
弾性論よ り 、 無限媒質で 変位 u(x, t) は
u(x, t) =R
p(φ, δ, λ, φ0, i0)
4πρα3rM0(t − (t0 +
|x − x0|α
))
+R
p(φ, δ, λ, φ0, i0)
4πρβ3rM0(t − (t0 +
|x − x0|β
)) (24)
と 表さ れ る 。 (た だ し、 r = |x−x0|、 ρ は 密度、 α は P 波の 速度、 β は S波の 速度、 M0(t)は モ ー メ ン ト関 数で 、 L は 長さ 、 W は 幅、 D は す べ り 量と す る と M0(t) = νLWD(t))(1)式よ り u(t) ∝ ˙M0(t) で あ る の で 、
∫uz(t) ∝ M0(t) と なる 。 (M0(t) で t → ∞ と した も の
を 地震モ ー メ ン トM0 = νDWL と い う 。 ) M0(t) を パ ル ス波に 近似し、 フ ー リ エ変換 す る
と˜M(ω) = νDWL| X
sin(X) |2と なる 。 (た だ しX = ωTr
2 ) こ の グラ フ は 両辺を 対数プ ロ ット
に す る と 図 2 の よ う に なる 。 地震計で 観 測さ れ る の は 速度成分で あ る の で 、 地震波を フ ーリ エ変換 す る と 図 2 の 実践の 観 測波の スペ クトル が 得ら れ る 。 地震計で 観 測して い る の は変位 の 速度なの で 、 図 2 の 点線の スペ クトル が 得ら れ る 。
1e-12
1e-10
1e-08
1e-06
0.0001
0.01
1
1 10 100
sin(x)/x)**2.01
x**(-2.0)
図 14: log X と log M0 の グラ フ
20
6.2 コー ナー 周波数の 定義
図 1 の 2 つ の 直線が 交わ る 点の 周波数を コー ナー 周波数 (fc) と い う 。 (地震計か ら 得られ た 速度スペ クトル を 考え る と 、 fc は グラ フ の 頂点を 与え る 周波数の こ と 。 )コー ナー 周波数は fc = 1
πTrで 与え ら れ 、 地震の 種類に よ っ て 変化す る 。
こ こ で 、 地震が 幾 何学的に 相似で あ る と 仮定す る 。 断層の 破壊時間 T が n倍に なる と長さ L、 幅W、 す べ り 量D が す べ て n倍に なる の で 、 M0 は n3倍に なる 。 fc ∝ T−1なの
で fc は n−1培に なる 。 よ っ て M0 ∝ fc3 が 成立す る 。 つ ま り log fc と log M0 の グラ フ は
傾き −13 の 直線に なる は ず で あ る 。 実際は 、 地震は 相似で は ない の で 完 全な直線に は なら
ない が 、 マ グ ニチュ ー ドが 大き い 地震の 場合は 直線に の る 。 下に そ れ を 示す グラ フ を 論
文か ら 引 用した 。
図 15: 直線の 図
6.3 sac を 使っ た 解析
地震波を 表示す る の は win を 使っ た が 、 スペ クトル 解析を す る の に は 地震波解析ツー ルSAC を 利用す る 。 地震波の デー タを SAC で 読ん で 、 そ れ ぞ れ の 地震波に つ い て p波が 到着した 点と s波が 到着した 点を マ ー クす る 。 p波や s波を 取り 出し、 トレ ン ドの 除去、 テーパ リ ン グを して 高速フ ー リ エ変換 して 周波数と 速度の 振幅の グラ フ に す る と fc の と こ ろ
に ピ ー クが あ る は ず で あ る 。
実際に 2005年 11月 1日 11時 1分に 発生した 地震を 例に と っ て みる 。 ま ず 得ら れ た 地震波を 上の 順序で 解析す る と 下図の よ う に なる 。 場所も 成分も 違う 地震計なの に す べ て
1.5Hz の と こ ろ に ピ ー クが 見ら れ る 。 つ ま り 、 こ の 地震の コー ナー 周波数は 1.5Hz で あ ると 考え ら れ る 。 同様に して 様々 な場所で 発生した 地震の コー ナー 周波数を 読み、 先程の 論
文か ら 引 用した グラ フ と 同様なも の を 作っ た 。 自分た ち で 作っ た プ ロ グラ ム で 求 め た マ グ
ニチュ ー ドは モ ー メ ン トマ グニチュ ー ドMw = log M0−9.11.5 で あ る が 、 実際は マ グニチュ ー
ドが 小さ い 時に 成立す る 渡辺の 式M = log Av+1.73logr+2.50.85 を 利用した 。 (た だ し Av は 速度
振幅で r は 震源地か ら 観 測点ま で の 距離で あ る 。 )縦軸に fc を 、 横軸に M を プ ロ ットし
た ら 下図の よ う に なっ た 。
21
図 16: スペ クトル の 図
1
10
100
1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5
"intraplate.dat" using 10:11"inter_plate.dat" using 10:11
"sp.dat" using 10:11"sp1.dat" using 10:11
図 17: モ ー メ ン トマ グニチュ ー ドM と コー ナー 周波数の グラ フ (縦軸の み対数プ
ロ ット)
22
6.4 考察
グラ フ は 論文か ら 引 用した よ う に マ グニチュ ー ドが 大き い と 傾き −13 の 直線に の る 。 こ
こ で 、 様々 な地震の コー ナー 周波数を 求 め る 際に 、 fc が 簡 単に 読め ない 場合が あ る 。 そ の
原因 と して は 次の よ う なも の が あ げ ら れ る 。
1. 読み取り の 誤差コー ナー 周波数を 読む 時に 小数点以 下は 目分量なの で 信用で き ない 。 ま た 、 対数プ
ロ ットなの で コー ナー 周波数が 大き い つ ま り マ グニチュ ー ドの 小さ い 地震ほ ど 読み
取り 誤差が 大き く なっ て しま う 。
2. 周囲 の ノ イ ズ観 測の 項目で 述べ た よ う に 周囲 の ノ イ ズを 完 全に カットす る こ と は で き ない 。 例え
ば 志津川観 測点は 川の 堰 堤に 設置した の で 常に 水の 流れ の ノ イ ズが 入っ て しま っ て
い る 。
3. 場所の 特性例え ば 綾里観 測点で は 下図の よ う に 常に 9Hz の と こ ろ に ピ ー クが や っ て き て い る 。こ れ は 陵里で 地震計を 置い た コン クリ ー トの 特性で あ る と 考え ら れ る 。
4. 地震計の 特性今回は 1Hz と 2Hz の 地震計を 用い た 。 キャ リ ブ レ ー ショ ン の と こ ろ で 述べ た が 、 固有周波数よ り 周波数が 低い と 感 度が 悪 く なる 。
5. 高周波減衰地震波の 減衰は 波長同じ 長さ で ど れ だ け 振動した か で 決ま る の で 高周波の 波ほ ど 減
衰が 激しく なる 。
上に 挙げ た 誤差が 原因 で fc が 読め なか っ た り 、 正確 に 求 ま っ て い ない 可能性が あ る 。 し
か し、 今回書い た M と log fc の グラ フ は 、 論文か ら 引 用した 図と 類似した も の が 得ら れ
た 。 今後の 課題と して は 誤差を ど れ だ け 取り 除け る か で あ る が 、 三 ヶ 所の 観 測点で 一 週
間 と い う 限ら れ た 期 間 に も か か わ ら ず 良い 結果が 得ら れ た と い え る 。
23
7 全体を 通して
今回の 実験は 、 地震計の 理解か ら 、 装置の 設置、 測定、 解析と 内容の 多い も の で あ っ
た 。
設置に 関 して は 、 千厩 と 志津川の 2 点は 良い デー タが 得ら れ た が 、 綾里の デー タで は 、 漁
港の 近く だ っ た た め 、 ノ イ ズが 多く なっ て しま っ た 。 1点で も デー タが 悪 い と 全て の 解析
に 影 響して しま っ た の で 、 確 実に お け る 場所、 条件に 合う 場所に き ち ん と 設置す べ き だ っ
た 。
解析に 関 して は 、 7 層の 水平成層を 仮定した プ ロ グラ ム を 使っ た た め 、 時間 と 場所は 、 気
象庁と 比べ て 、 観 測点内で は ほ ぼ 同じ 場所を 特定す る こ と が 出来た 。 しか し、 観 測点が 少
ない た め 、 観 測点か ら 遠い 部分で の 地震は 、 数 km - 数十 km の 誤差が 出て しま っ た 。 また マ グニチュ ー ドの 決定法に 渡部の 式を 用い た た め 、 平均して 、 気 象庁と 、 マ グニチュ ー
ド1弱の 差を 作る こ と に なり 、 度数分布の 解析に 多少影 響が で て しま っ た 。 出来る こ と な
ら 観 測点を 増や す べ き で あ り 、 決定法を き ち ん と 考え る べ き だ っ た 。
誤差に 関 して は 、 綾里の ノ イ ズも あ っ て 初め の 地震決定の 段階か ら 発生して お り 、 解析す
る デー タに よ っ て 、 影 響が 異 なり 、 スペ クトル 解析で は 、 コー ナー 周波数の ピ ー クに 関 し
て は 地域 ご と の 特性も 発生し、 人の 目で 決定す る た め 誤差は か なり あ る と 思わ れ る 。 こ の
よ う な誤差を なく す に は 、 Hi-net地震観 測網の よ う に 、 精度の 良い 地震計を 様々 な地点の地下深く に 埋め なけ れ ば なら ない 。 逆 に 、 少ない 観 測点の 割 り に は 上質の デー タが 得ら れ
た と 言え る 。 総じ て 良い 実験だ っ た 。
8 感 想
今ま で 地惑の 授業は 、 概論的なも の が 多く 、 そ れ ぞ れ の 分野の 具 体的な研究 が 見え て な
か っ た が 、 実験を す る こ と で そ の 分野の 入口が 少し見え た 気 が す る 。 そ して 、 実験を 始め
て い く と 、 基 本的な知識が 全然足り て ない こ と に 気 づ い た 。 しか し、 先生、 院 生方か ら 詳
しく 教え て い た だ く こ と で 、 実験の 内容だ け で なく 、 様々 なこ と を 知る こ と が で き た 。 井
出教官 、 武尾教官 、 TA の 中村さ ん 、 内出さ ん 、 お 忙しい 中、 実験時間 外で も 時間 を 割 いて 教え て く だ さ り 、 ど う も あ り が と う ご ざ い ま した 。
参考文献
[1] 宇 津徳治. 地震学第三版. 共立出版会
[2] Takaya Iwasaki, Toshikatsu Yoshii, Takeo Moriya, Akio Kobayashi, Makoto Nishi-waki, Tomoki Tsutui, Takashi Iidaka, Akira Ikami, and Tetsu Masuda. Precise P andS wave velocity structures in the Kitakami massif, Northern Honshu, Japan, From aseismic refraction experiment, Journal of Geophysical Research, Vol.99, No.B11, Pages22, 187-22, 204. November 10, 1994
[3] Ralph.J.Archuleta. DOWN HOLE RECORDINGS OF SEISMIC RADIATION
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