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地方自治体におけるGIS導入の留意点

福島県立会津大学

　　　上田　穣

発表の順序

• GIS（地理情報システム）の発展

　　　従来の地図とGISの比較

• GIS導入の問題点と提案

　　　東北ガス組合事例

　　　GIS導入推進のための提案

• ３次元都市GISの研究動向

　　　研究課題

　　　会津若松市中心市街地の実例ビデオ

　　　３次元都市GISの応用事例ビデオ

紙の地図とコンピュータの地図

異なる縮尺の地図ＪＲ会津若松駅周辺

紙の地図は縮尺を変えるのが難しい。コンピュータの地図は拡大縮小が自由

紙の地図はA全紙の大きさで一覧性があり、折り畳める。コンピュータの地図GISでは、上下左右スクロールする　

GIS導入の歴史

• 米国ではCADシステム導入の一部

1960年ころから飛行機、自動車会社のCAD導入

　 １９７０年ころから、地方公共団体、

　　　　 ユーティリティによるGISの導入始まる

日本では

　　１９７０年ころに国土地理院に米国製GIS導入

米国は、各ユーザ独自の判断でGIS導入が進んだ。

日本は、測量業界が足並みを揃えようとしたため

および米国製GISがあまりにも高価だったために　

普及は進まなかった。

コンピュータによる地図

基本地図　都市計画図など道路、河川、建物の輪郭線

面情報の拡張土地台帳など

ユーティリティ（ガス、電気、上下水道）

線情報の拡張

コンピュータの要素線分、文字の表示

事業所では地図、書類、写真等を別々に処理保管する

コンピュータ上で、必要なデータを統一的に扱え、提出資料などが迅速に作成できる

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コンピュータグラフィックスとデータベース図形情報のデータベース

文字情報（属性情報）のデータベース

図形の表示マウス、ペンによる対話型編集

グラフィック　エンジン

図形情報と属性情報の対応づけ

Ｘ１ｙ１ｚ１Ｘ２ｙ２ｚ２Ｘ３ｙ３ｚ３

松長１－１７－２６

ISO　GIS基準案

ネットワークとGIS　（G-XML）インターネット上でのGIS

ITSの実用化

カーナビゲーション

携帯電話など

モバイル機器上での

GIS

ビーコン（基地局）方式

GPS方式

（民間用誤差付き）SA　selective availability

見晴らしの良い高速道路上ではなく、市街地でのGPSの利用には多くの問題がある

東京都庁からJR新宿駅

（東大柴崎研究室）

GPSを補う各種の方法が開発　実験中である。

事物、情報、位置の三位一体

• 事物（物や人）

情報 位置

バーコードICタグ

GIS　　GPS

不動産動産

　 人

東北地方ガス事業者のGIS導入事例

GIS導入の問題点と提案

東北地方は盆地が多く、各盆地ごとにガス事業者がある。約３０事業体（東京ガス、大阪ガスとは異なる状況）

プロジェクトの経緯

• 学術委員会、　実行委員会設置

• ガス事業者の実態調査

• 先進的ユーザの見学

• GISメーカの訪問

• 報告検討会

• 報告書作成

• 実施は先送り

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実施されなかった理由

• ユーザの立場

　　　初期投資は１千万円程度

　　　年間ランニングコストは２－３００万円程度

• メーカの立場

　　　システム価格は１億円オーダー

　　　基本データ入力費用（デジタイザーなどで）

　　　　　　数千万円

　　　年間ランニングコストは１千万円程度

ユーザとメーカの間の価格差が大きすぎた

１つの提案

• 参考例　　建築設計業界では、インターネット上から　　ただで持ってこれる２次元の建築CADがある

　　ほとんど全ての建築設計士が利用している　　より高度な設計士を必要とする設計士は　　経済能力に応じて、　有料の建築CAD を購入し、　　両方のCADを使い分けている。　

• GISの速やかな普及のために　 簡易版のGISを無料で提供すれば？！

　　

提案の内容

JSGI　2.0

データ相互のやり取り

GIS未導入

個別ユーザ

GIS既導入個別ユーザ

GIS既導入個別ユーザ

GISメーカ より高度なシステムは　簡易版を拡張する

仕様：　インターネット上から、　無料でダウンロードできる簡易版２次元GIS　　　　　　ＩＳＯ／ＴＣ２１１が要求する基準を満たす（将来も長期に使用できる）　　　　　　地物を操作する２次元CAD機能。　データベースに文字情報を連結する機能

内容：　１：２，５００都市計画図をデジタル化したもの。道路河川、家屋など　　　　　が線分で表現。三角測量点は正確だが、他の地物は緩い精度

将来の研究課題　３次元GIS• 会津若松市、中心市街地の３次元GIS作成

　　　景観条例に基づく保存民家選定作業

平成９年度

「会津歴史の街づくり事業」

１．第一次候補　　８２件　から

　　最終選定　　　 ２６件

２．建築士により、　実測

　　3次元建築CADでモデル作成

３．景観シミュレーションを行う 北から鶴ヶ城を望む

３次元GIS作成の問題点• データ量が大きくなり過ぎる

（NTTサイバースペース研究所　２００１年画像電子学会年次大会　発表）

3次元建築CAD使用のモデル例

会津武徳殿

永山陶磁器店

会津一番館

福西伊兵衛商店

形状データと画像データ合わせて１０ＭｅｇａＢｉｔｅ位ある１つ作成するのに、３日。　費用３０万円　作業：　福島県建築設計士組合　会津支部会員が分担

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会津市街地全体の３次元GISをどう作成すればよいか？

• ３次元建築CADを用いて、

　　　市街地約３万件の建物を１つづつ真面目に作る

　　　作業時間：　3日人ｘ３０，０００＝９万人日

　　　費用：　　　　３０万円ｘ３０，０００＝９０億円

　　　データ量　　１０Mｂｘ３０，０００＝３００Gb• 個々の建物を箱で代表するか？

データ量　　４Kｂｘ３０，０００＝１２０Mb• 第３の方法は無いか？

屋根による家の色々　（埴輪　　東京国立博物館）

入母屋寄棟 切り妻切り妻切り妻寄棟

入母屋

中国雲南省景供

天理市奈良県

乾燥地域の住居

西新宿　１９７０年　２００１年

汐留

六本木ヒルズ

NY ロックフェラー　センター　東京版

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未来の住居

マレーシア風の家（新　入母屋）

新　切り妻北海道

３次元テンプレート使用CADでは、よく使用する図形は予め作成しておき、部品ライブリィ

として登録し、必要な箇所に特定部品を挿入する。　一品作りに比べ、作業が極めて速い。

３次元テンプレートを使用した会津３次元GIS

個々のテンプレートは約２Kbite　　　

デジタル化した１：２，５００都市計画図に配置していく。

まとめ

• GISもポジショニング技術も

　　　　　急速に進歩している

• GISの全国的な普及が速やかに必要。　しかし

　　　　　厳しい財政事情が普及を遅らせている

• 一つの解決法

　　（１）学と官が安価で基礎的なものを提供する

　　（２）ユーザとメーカが財政状況と用途に応じて

　　　　　より高度なシステムを構築する

西新宿 横浜ベイエアリア

画家が想像したニューヨークの未来図

大都市の未来は？ ３次元地理情報システムの災害救助への応用